Singulr AIの導入前に決める項目一覧|社員PCのエージェント

Singulr AIの導入前に決める項目一覧|社員PCのエージェント

「開発者が自分のPCでコーディングのエージェントを動かしているが、何にアクセスしているか分からない」「禁止すると隠れて使われるし、許すと何が起きるか読めない」——情シスやセキュリティの担当者から、2026年に入ってこうした声を聞く機会が増えました。どちらの心配にも理由があります。社員のPCで動くAIは、ブラウザで開く対話AIと違い、手元のファイルを読み、コマンドを実行し、MCPサーバーを通じて社内のシステムにまでつながるからです。困っている原因は、道具の良し悪しではありません。本当は、社員のPCで何を許し、何を警告し、何を止めるかの基準と、それを社員にどう説明するかが決まっていないことが原因です。この記事では、米国の Singulr AI が2026年7月に統制の対象を社員PCのエージェントまで広げたことを手がかりに、こうした道具を入れる前に決めておく項目を一覧にして整理します。


カメ先生カメ先生

社員PCのAIの統制というと、見張る道具を入れれば片づくと思われがちなんだけど、本当は道具が判定に使う基準を会社が先に書いておかないと、何も決まらないんだ。


カメ子カメ子

道具を入れても、何を止めるかは自分たちで決めるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。しかもPCのエージェントは社員本人の資格で動くから、止め方を誤ると仕事そのものが止まる。だから許す・警告・止めるの3段に分けて、例外の通し方と記録の見せ方まで先に決めておくんだよ。


カメ子カメ子

入れる作業より、入れる前に決めることのほうが多いんですね。


この記事のポイント
  • Singulr AI は、社内で使われているAIとエージェントを洗い出し、リスクを採点し、実行時に許可・制限・教育・伏せ字を振り分ける統制の基盤。2026年7月に Claude Code・Cursor・ChatGPT Desktop・MCPサーバーなど社員PCのAIへ対象を広げたと発表した(2026年10月時点)
  • 導入前に決めるのは、洗い出しの範囲、許す・警告・止めるの3段の基準、例外の申請と承認、記録を誰が見るか、社員への説明、見直しの周期
  • 洗い出し・採点・定型の警告は道具、止める基準・例外の承認・社員の記録を誰が見るかは人。見張る目的を社員に先に説明する

AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

Singulr AIは何をする製品か

Singulr AI は、会社の中で使われているAIを洗い出し、それぞれのリスクを採点し、使われている最中に止めたり伏せたりする「AIの統制の基盤」です。公式サイトでは、方針を書いて守られているかを点数にする層、実行時に制御する層、攻撃や持ち出しを見つける層、そして統制が実際に効いていたことを後から示す証跡の層の4つに分けて説明しています(2026年10月時点)。

このうち導入の判断に直接かかわるのは、実行時に制御する層です。公式の会社情報では、許可していないAIのサービスを止める、個人情報や医療情報を伏せ字にする、プロンプトインジェクションを抑える、エージェントの権限の境界をブラウザ・端末・エージェントの実行経路で守る、といった働きが挙げられています。判定には、利用者の身元、所属部署、データの区分、リスクのしきい値を使うとされています。

AWS Marketplace に提供元が載せている説明では、処置は「許可と制限から、教育と伏せ字まで」とされています。つまり、止めるか通すかの二択ではなく、通しながら教える、通しながら伏せる、という中間の処置を持っているということです。この中間の処置をどう使うかが、後で見る「警告」の段の中身になります。なお、許可外のAIの見つけ方そのものは「シャドーAIの見つけ方」の記事に譲り、ここでは見つけた後に社員のPCで何を許すかに絞ります。

作っている会社と、国内でまだ知られていない理由

Singulr AI は、米国カリフォルニア州パロアルトに本社を置き、インドのプネーにも開発の拠点を持つ会社です。公式の会社情報によれば、創業者は CEO のシヴ・アガルワル氏と CTO のアビジット・シャルマ氏で、ベンチャーキャピタルや大手IT企業系の投資部門から出資を受けています。2026年10月時点で、公式サイトに製品の終了や名称の変更、他社への統合の告知は見当たりません。

日本でほとんど知られていない理由は、確かめられる範囲で3つあります。1つ目は、公式サイトに日本語の案内がなく、国内の販売代理店も公式では確かめられないことです。2つ目は、料金を公開しておらず、AWS Marketplace の掲載でも12か月の企業向け契約が入り口になっていることです。3つ目は、公式が想定する買い手が、最高情報セキュリティ責任者やAIの責任者を置く大企業であることです。

国内では、社員のAI利用の統制というと、まずはブラウザの拡張機能や端末管理の道具で対話AIの利用を抑える話が中心でした。社員PCのエージェントまで含めて実行時に統制する道具という棚そのものが、まだ小さいと言えます。ただ、コーディングのエージェントやデスクトップのAIを社員が使い始めた会社では、同じ悩みが製品の有無にかかわらず先に来ています。この記事の項目は、Singulr を選ぶかどうかに関係なく、比べる候補を並べる前の準備として使えます。

社員PCで動くAIが見えていない理由

社員PCのAIが見えにくいのは、通信の出口で見張る従来の仕組みに引っかかりにくいからです。ブラウザで使う対話AIなら、どのサービスに何を送ったかを中継の仕組みで捉えられます。ところが Claude Code や Cursor のようなコーディングのエージェントは、社員のPCの中でファイルを読み、コマンドを走らせ、結果だけを外に送るため、外から見えるのは通信のごく一部です。

もう1つの理由は、MCPサーバーです。MCPサーバーは、AIに社内の道具やデータへの入口を与える小さなプログラムで、社員が自分のPCに入れて動かせます。どのサーバーを入れたか、そのサーバーがどの社内システムにどの資格でつながっているかは、本人以外にはほとんど分かりません。社員PCのMCPサーバーを台帳にまとめて隔離する方法は ToolHive を扱った記事に譲りますが、入っていること自体を会社が知らないのが、多くの会社の出発点です。

3つ目は、エージェントが社員本人の資格で動くことです。エージェントがリポジトリや社内のチャット、クラウドの管理画面に触れるとき、記録に残るのは社員の名前です。社員が自分で操作したのか、エージェントが代わりに操作したのかを、従来の記録では見分けにくくなります。エージェント専用の身元を発行する考え方は Keycard を扱った別の記事に譲り、この記事では社員のPCの側で何を見るかに絞ります。

社員PCまで広がったAgent Pulseで何が変わったか

Singulr は2026年3月に Agent Pulse を発表しました。発表では、エージェントがどの道具につながり、どのデータに触れ、どのMCPサーバーを使い、どんな権限の連鎖を持つかを地図のように描く発見の機能、エージェントごとのリスクを採点する機能、方針を決めて守らせる機能、実行時の制御の4つが挙げられています。方針は、エージェントの種類、扱うデータの機微さ、道具へのアクセス、作業の範囲ごとに決められ、設定の変更やずれも追うと説明されています。

2026年7月の発表では、対象が社員のPCへ広がりました。名前が挙がったのは Claude Code、Cursor、Claude のデスクトップ向けの作業用エージェント、ChatGPT Desktop、そしてMCPです。報道によれば、開発者の端末とデスクトップのアプリでAIの動きを見る端末のセンサーを使います。あわせて、AIの呼び出しを中継する仕組みや、自社で作ったエージェントにも統制を広げたとされています。提供元の発表では、AIの資産とリスクのシグネチャを200万件以上持つとしています。

この拡大で変わったのは、社員PCのエージェントを「見えないから決められない」状態から、「見えるが、基準がないので決められない」状態に移せるようになったことです。道具が見せてくれるのは、どのPCでどのエージェントが何につながっているかまでです。見えたものを許すか止めるかは、道具の側には書かれていません。次の節からの項目一覧は、その空白を埋めるためのものです。

導入前に決める項目一覧

社員PCのエージェントを実行時に統制する道具を入れる前に、決めておく項目を並べます。上から順に決めると、後の項目の判断が速くなります。1つでも空欄のまま入れると、道具の画面に出る警告を誰も裁けない状態になりがちです。

  • 洗い出しの範囲:どの部署のどのPCを対象にし、どの種類のAI(コーディングのエージェント・デスクトップのAI・MCPサーバー)を見るか
  • 許すの基準:会社が契約し、データの扱いを確かめたAIと、承認済みのMCPサーバーの一覧
  • 警告するの基準:通すが本人に知らせる場面と、知らせる文面の持ち主
  • 止めるの基準:本人の操作でも止める場面と、止めたときの代わりの手段
  • 例外の申請と承認:誰が申請でき、誰が何日以内に承認し、いつ期限が切れるか
  • 誰の資格で動くか:エージェントが社員本人の資格で触れてよいシステムの範囲
  • 記録を誰が見るか:記録の中身、見てよい人、見る理由、残す期間
  • 社員への説明:見張る目的・見るもの・見ないものを、導入の前に文書で伝えたか
  • 見直しの周期:基準と例外の一覧を、何か月ごとに誰が見直すか
  • 止め方とやめ方:道具そのものを外すときに、PCに残るものと引き継ぐ記録

この一覧は、Singulr の機能の一覧ではありません。どの道具を入れても、会社が決めなければ埋まらない項目です。道具の比べ方に入る前に、この一覧を情シス・セキュリティ・開発部門の責任者・人事・法務で1度ずつ読み、誰がどの項目の持ち主かを書き込んでおくと、製品の打ち合わせで聞くべきことも自然に決まります。

以下では、項目ごとに、決めるときの考え方と、Singulr の公式の説明で確かめられた範囲を並べます。確かめられなかったことは最後にまとめます。

項目1 洗い出しの範囲を決める

最初に決めるのは、どのPCの、どの種類のAIを見るかです。全社のPCを一度に対象にすると、警告の数が多すぎて裁ききれません。最初は、コーディングのエージェントを使う開発部門のPCと、MCPサーバーを入れている部署に絞るのが現実的です。Agent Pulse の拡大で名前が挙がった道具も、まずは開発者の端末が中心でした。

見る種類は3つに分けておきます。1つ目は Claude Code や Cursor のようなコーディングのエージェントで、手元のコードとコマンドに触れます。2つ目は ChatGPT Desktop のようなデスクトップのAIで、画面やファイルを読み込める場合があります。3つ目はMCPサーバーで、AIに社内システムへの入口を与えます。同じ「PCのAI」でも、触れるものが違えば止める理由も違うため、基準を種類ごとに書けるようにしておきます。

範囲を決めるときに見落としやすいのは、会社が配ったPC以外です。私物のPCや委託先のPCで同じエージェントが動いていても、センサーを入れられなければ見えません。端末管理の道具で何ができ、何ができないかは、マイクロソフトの端末管理の道具を扱った記事で整理しています。見えない範囲を「見えない」と書き出しておくことも、洗い出しの範囲を決める作業の一部です。

項目2 「許す」の基準を書く

3段の基準は、止めるものから書き始めたくなりますが、先に書くべきなのは許すものです。許すものの一覧がないと、道具は見つけたものを全部「未承認」として並べ、警告の山ができます。許すの基準は、会社として契約し、データの扱い(学習に使うか、どこに残るか)を確かめたAIであることを最低条件にします。

コーディングのエージェントなら、会社の契約のアカウントで使っていること、扱ってよいリポジトリの範囲が決まっていることを条件にします。MCPサーバーなら、情シスが中身を確かめて承認した一覧に載っていることを条件にします。同じ道具でも、個人の契約のアカウントで使うと、許すの段から外れるという書き方をしておくと、判定がぶれません。

Singulr の公式の説明では、規則はサービスの種類、利用者の身元、データの区分、業務の目的で決められるとされています。つまり「開発部門の社員が、会社の契約の Claude Code で、社外秘でないリポジトリに触れる」のように、道具と人とデータの組み合わせで許す書き方ができる前提です。道具の名前だけの許可一覧より、この組み合わせで書いたほうが、後の例外の申請も減ります。

項目3 「警告する」の基準を書く

警告の段は、通すが本人に知らせる場面です。Singulr の掲載では、処置の中に「教育」があり、使っている最中に本人に気づかせる使い方が想定されています。警告の段に入れるのは、止めるほどではないが、本人が気づいていない可能性が高い場面です。

たとえば、許可済みのコーディングのエージェントが、社外秘の区分のファイルを読もうとした場面です。業務上必要なこともあるので止めはしませんが、本人に「このファイルは社外秘の区分です。外部のモデルに送られる可能性があります」と知らせます。未承認のMCPサーバーを入れた直後に、承認の申請の窓口を案内するのも、警告の段の使い方です。

警告の段で決めておくべきなのは、知らせる文面の持ち主です。文面が「ポリシー違反です」だけだと、社員は何をすればよいか分からず、警告を消すだけになります。何が起きたか、なぜ知らせたか、どうすればよいか(申請の窓口・代わりの手段)を、情シスが1度書いて人事・法務と確かめておきます。警告を出しても、社員の次の行動が書かれていなければ、統制は効いていないと考えてください。

項目4 「止める」の基準を書く

止める段は、本人の操作であっても止める場面です。社員PCのエージェントを止めると、作業そのものが止まります。そのため止める場面は、止めなかったときの損失が、作業が止まる損失より明らかに大きい場面に限ります。

候補になるのは、顧客の個人情報を含むデータを外部のモデルに送ろうとした場面、本番の環境の資格情報を読もうとした場面、承認されていないMCPサーバーが社内の基幹のシステムにつながろうとした場面などです。公式の説明にある伏せ字の処置は、止める代わりに使える中間の手です。個人情報だけを伏せて通せるなら、作業を止めずに済む場面が増えます。3段を並べると、次のようになります。

段入れる場面の例道具がすること人が決めておくこと
許す会社の契約のエージェントが、許可済みの範囲のリポジトリで動く記録だけ残す許すAI・MCPサーバー・データの組み合わせの一覧
警告する許可済みのエージェントが社外秘の区分のファイルに触れる。未承認のMCPサーバーが入った通しながら本人に知らせる。必要なら伏せ字知らせる文面と、次にすべきこと・申請の窓口
止める顧客の個人情報を外部のモデルに送る。本番の資格情報を読む。基幹のシステムに未承認でつながるその操作を止め、担当に知らせる止める場面の一覧と、止めた後の代わりの手段・連絡先

止める段で忘れやすいのは、止めた後の代わりの手段です。止めたまま代わりがないと、社員は個人のPCや個人の契約のAIに作業を移します。止める場面ごとに、会社の環境でならできる代わりの方法を一緒に書いておきます。なお、エージェントの実行を隔離した環境で動かす方法や、プロンプトインジェクションへの備えそのものは、それぞれの記事に譲ります。

項目5 例外の申請と承認を決める

3段の基準を書いても、業務上どうしても必要な例外は出ます。例外の通し方を決めておかないと、現場は基準を守るより、基準の外で使うほうを選びます。決めるのは、誰が申請でき、誰が承認し、何日以内に返事をし、いつ期限が切れるかの4つです。

承認者は、情シスだけにしないことが大切です。コーディングのエージェントの例外なら、開発部門の責任者がその業務に必要かを判断し、情シスとセキュリティがデータと資格の面で確かめる、という二人の確認にします。返事の期限は、長くても数営業日にします。承認が遅いと、その間に個人の契約で作業が進んでしまうからです。

例外には必ず期限を付けます。期限のない例外は、半年もすると誰が何のために許したか分からなくなります。Singulr の公式の説明には、承認の流れを持つ取り込みの仕組みが挙げられていますが、どの例外を許すかを道具が決めることはありません。道具の承認の流れは、申請と記録を楽にするためのものと考え、判断は人が持ちます。

項目6 エージェントが誰の資格で動くかを決める

社員PCのエージェントは、多くの場合、社員本人の資格で動きます。本人がリポジトリに書き込めるなら、エージェントも書き込めます。本人がクラウドの管理画面に入れるなら、エージェントも入れる可能性があります。そのため、本人が触れてよい範囲と、エージェントに触らせてよい範囲を分けて書く必要があります。

たとえば、開発者本人は本番の環境に入れても、エージェントには開発用の環境までしか触らせない、と決めます。Agent Pulse の発表で挙げられた「権限の連鎖」の地図は、この分け方が守られているかを確かめる材料になります。エージェントがMCPサーバーを通じて別のシステムを呼ぶとき、どの資格が受け渡されているかを、導入後に1度は確かめてください。

資格の分け方そのものを道具で作ることはできません。社員本人の資格を細かく分け直すのか、エージェント専用の資格を用意するのかは、情シスと開発部門の責任者が決めることです。エージェント専用の身元を発行する考え方は Keycard を扱った別の記事で整理しています。この記事の範囲では、エージェントに触らせない範囲を、止める段の一覧に書き込むところまでを決めておきます。

項目7 記録を誰が見るかと、社員への説明

社員PCのエージェントを統制する道具は、社員のPCで何が起きたかの記録を集めます。Singulr の公式サイトでも、プロンプトと応答の追跡や、改ざんを見分けられる監査の証跡が挙げられています。記録が手に入ると、「誰が何を見てよいか」がすぐに問題になります。記録を集める前に、見る人と見る理由を決めておくのが順番です。

見る人は、情シス・セキュリティの担当、調査が必要になったときの法務、という形に絞り、上長が部下の記録を自由に見られる形は避けます。記録の閲覧権限の決め方は別の記事で4つの軸に分けて整理しているので、ここでは社員への説明に絞ります。説明で伝えるのは、何のために見るのか、何を見るのか、何を見ないのかの3つです。

目的は「情報の持ち出しと事故を防ぐため」であり、「仕事ぶりを評価するため」ではない、と書きます。見るものは、どのAIが何につながり、どの区分のデータに触れたかであり、見ないものは、業務と関係のない個人の利用や、記録を人事評価に使うことです。この説明は、センサーを配る前に文書で社員に届けておくことが大切です。配った後で説明すると、見張られていたという受け止めが先に立ちます。

  • 許すものの一覧を作らずに道具を入れ、全部が「未承認」の警告として並ぶ
  • 警告の文面が「違反です」だけで、社員の次の行動が書かれていない
  • 止める場面ごとの代わりの手段がなく、社員が個人のPCに作業を移す
  • 例外に期限を付けず、半年後に誰が許したか分からなくなる
  • センサーを配った後で、見張る目的を説明する
  • 上長が部下のエージェントの記録を自由に見られる

項目8 見直しの周期を決める

社員PCのAIは、入れ替わりが速い分野です。新しいコーディングのエージェントやデスクトップのAIが出るたびに、許す・警告・止めるのどこに入れるかを決め直す必要があります。見直しは、3か月に1度を目安に、許すの一覧・警告の文面・止める場面・例外の一覧の4つを見ます。

見直しで役に立つのは、警告と止めた件数の推移です。同じ警告が何度も出ているなら、基準が業務に合っていないか、許すの一覧に足すべき道具がある合図です。止めた件数が減らないなら、代わりの手段が使いにくい可能性があります。件数の集計は道具に任せ、その件数から何を変えるかは人が決めます。

導入そのものも、いきなり止める段から始めないことをすすめます。次の順番で段を足していくと、現場の反発と誤った遮断を減らせます。

STEP1
見るだけで始める
対象の部署のPCで、どのAIとMCPサーバーが動いているかを集める。処置はかけず、記録だけ取る。
STEP2
許すの一覧を作る
集まった結果から、会社の契約で使っている道具と承認済みのMCPサーバーを許すの段に入れる。
STEP3
警告を足す
社外秘の区分への接触や未承認のMCPサーバーに、本人への知らせを出す。文面への反応を見て直す。
STEP4
止める段を足す
止める場面を絞って有効にし、代わりの手段と連絡先を同時に案内する。
STEP5
対象を広げる
最初の部署で3か月回し、見直しを1度終えてから、別の部署に広げる。

費用の増え方と、やめるときに残るもの

Singulr は料金を公開していないため、この記事では金額を扱いません。AWS Marketplace の掲載では、12か月の企業向けの契約と、契約を超えた利用に従量の料金がかかる形が示されていますが、従量の単位は書かれていません(2026年10月時点)。利用者の数で増えるのか、エージェントの数で増えるのか、通信の量で増えるのかは、契約の前に提供元に確かめる必要があります。

費用は道具の契約だけではありません。警告と例外の申請を裁く人の時間、社員への説明と問い合わせへの対応、見直しの会議の時間がかかります。対象の部署を広げるほど、道具の料金より、警告を裁く人の手間のほうが速く増えることがあります。段階的に広げる理由の1つはここにあります。

やめるときに残るものも先に確かめます。社員のPCに配ったセンサーを外す手順、集めた記録をどこに書き出して何年残すか、許す・警告・止めるの基準を次の道具に引き継げる形で持っているか、の3つです。基準を道具の画面の中だけに持たず、社内の文書として持っておくと、道具を替えても統制は続きます。

道具に任せることと、人が決めること

ここまでの項目を、道具に任せてよいことと人が決めることに分けて並べ直します。部門で導入を決めるときに、右の列が埋まっているかを確かめる材料にしてください。

項目道具に任せてよいこと人が決めること
洗い出しPCで動くAIとMCPサーバー、つながる先の一覧づくり対象の部署と、見えない範囲の書き出し
採点エージェントごとのリスクの点数点数をどの段の判断に使うか
許す・警告・止める基準に沿った判定と、定型の知らせ3段の基準そのものと、止めた後の代わりの手段
例外申請と承認の記録、期限の通知誰が承認するか、何を許すか
記録記録の収集と、改ざんを見分ける保管誰が見るか、何に使わないか、何年残すか
見直し警告と遮断の件数の集計件数から基準をどう変えるか

表を見ると分かるとおり、道具が担うのは、見つける、点数を付ける、決めた基準どおりに処置する、記録する、までです。何を許し、何を止め、記録を何に使わないかは、道具が学んで決めるものではなく、会社が決めるものです。この線を最初に合意しておくと、道具の点数をそのまま止める理由にしてしまう事故を防げます。

公式で確かめられなかったこと

2026年10月時点で、Singulr の公式サイト、会社情報、AWS Marketplace の掲載、発表の転載を読んでも確かめられなかった点があります。製品の評価を下げる理由ではありませんが、入れる前に提供元に聞いておくべき点です。

  • 社員PCのセンサーが対応する基本ソフトと、配り方・外し方
  • 公式の処置(許可・制限・教育・伏せ字)が、社員PCのエージェントにもすべて使えるのか
  • プロンプトや応答の中身を、どこに、どれだけの期間残すのか。中身を残さない設定はあるか
  • 記録を見る人の権限を、社内でどこまで細かく分けられるか
  • 契約を超えた利用の従量の単位と、対象を広げたときの費用の増え方
  • 日本語の画面・日本語の資料・国内の支援の窓口があるか

このうち、記録に中身がどこまで残るかは、項目7の社員への説明の文面に直接かかわります。中身が残るなら、説明に「プロンプトの中身も記録される」と書かなければなりません。確かめられないことは、残る前提で説明を書き、守りを置くのが安全です。

まとめ

Singulr AI は、社内のAIとエージェントを洗い出し、リスクを採点し、実行時に許可・制限・教育・伏せ字を振り分ける統制の基盤で、2026年7月に社員PCのコーディングのエージェントやデスクトップのAI、MCPサーバーまで対象を広げました。道具が見せてくれるのは、どのPCで何が動き、何につながっているかまでです。洗い出しの範囲、許す・警告・止めるの3段の基準、例外の承認、エージェントに触らせない範囲、記録を誰が見るか、社員への説明、見直しの周期を先に決めてから入れてください。洗い出しと採点と定型の警告は道具に任せ、止める基準と例外の承認と記録の使い道は人が決める。この線を守ることが、禁止でも放任でもない統制の出発点になります。

  • 製品の機能・処置の種類・対象の道具は、Singulr AI の公式サイト、会社情報のページ、AWS Marketplace の掲載、2026年3月と7月の発表の転載を2026年10月20日に確かめた範囲に基づきます。機能や条件は更新されることがあるため、利用前に最新の原文を確かめてください
  • 社員の端末の記録を集めることは、就業規則や個人情報の扱いにかかわります。実際の運用は人事・法務の担当者と確かめてください

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次