【2026年】SaaSの死は契約から考える|更新前に決める4つの線

「SaaSの死という言葉をよく聞くが、来月更新する契約はこのまま続けてよいのか」「AIエージェントが画面を操作してくれるなら、席の数を減らせるのではないか」。2026年に入ってから、情シスや経営企画の担当者に、こうした問いが向けられる場面が増えています。1月にはマイナビニュースがSaaS企業の役員への取材でこの議論を取り上げ、6月には第一生命経済研究所が、この言葉をめぐる不安を解説するレポートを出しました。国内の出典を読み比べると見えてくるのは、議論の中身がSaaSが消えることではなく、本当は、人が画面を操作する前提で結んだ契約が、AIが操作する時代に合わなくなりつつあることです。この記事では、株価や市場の話には入らず、利用する側の契約の目線で、更新の前に決めておく4つの線を整理します。
カメ先生SaaSの死と聞くと、ソフトの契約がいらなくなる話だと思われがちなんだ。でも本当に揺らいでいるのは、人の数だけ席を買うという契約の前提のほうなんだよ。
カメ子ソフトそのものが消えるのではなく、買い方の前提が変わるということですか。
カメ先生そう。AIエージェントが画面を操作するようになると、置き換えやすい仕事と、データの置き場として残る仕事がはっきり分かれてくる。契約の見直しは、その分け目を見つけるところから始まるんだ。
カメ子更新のたびに、全部残すか全部やめるかの二択で迷う必要はないんですね。
- 「SaaSの死」は2026年の初めに広まった呼び名。国内の解説は、消えるのではなく、AIが動く土台として役割が変わると見ている
- 更新の前に、置き換えやすい業務と残す業務、データの持ち出し、エージェントからの利用、課金の単位の4つの線を決める
- 置き換えや自作の判断はAIに任せない。置き換えた後の検収と、止めて元に戻す手順を先に書いておく
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「SaaSの死」は2026年の初めに広まった呼び名
国内でこの言葉が広く使われるようになったのは、2026年の初めです。1月15日のマイナビニュースの記事は、経費精算などのクラウドサービスを手がけるラクスの役員への取材で、「SaaSの死」の議論を正面から取り上げました。6月30日には、第一生命経済研究所が、この言葉をめぐる市場の不安を解説するレポートを公開しています。
議論のきっかけとして語られるのは、AIエージェントが人の代わりにソフトを操作するようになったことです。会話で答えるだけのAIと違い、エージェントは画面を開き、入力し、処理を最後まで進めます。人が使うことを前提に席の数で売ってきたソフトは、使う人が減れば契約の数も減るのではないか、という見立てです。
市場では、この見立てがソフト企業の株価の急落と結びつけて語られました。ただ、この記事では株価や時価総額の話には入りません。投資の判断と、自社がいま結んでいる契約の判断は、見る物差しがまったく違うからです。株価が下がったソフトでも、自社の業務の土台として欠かせないなら残すべきですし、株価が上がっていても、使われていない席は見直す対象になります。
利用する側にとって大事なのは、この議論が契約の更新という身近な判断に、新しい問いを持ち込んだことです。席の数は今のままでよいのか、置き換えられる業務はどこか、契約に何を足すべきか、という問いです。
- この記事の主な出典は、マイナビニュース(2026年1月15日)と第一生命経済研究所のレポート(2026年6月30日)です。株価や市場規模の数字は扱いません
消えるという断言も、変わらないという断言も外れる
国内の解説を読むと、SaaSは不要になると断言しているものは見当たりません。第一生命経済研究所のレポートは、AIエージェントはSaaSを代替するのではなく、信頼できるSaaSの基盤の上で、あるいはその管理下で動くことが求められる、と書いています。
マイナビニュースの取材でも、SaaSはAIエージェントを支えるデータの置き場の層として役割を変えていく、という見方が示されました。精度を保つのはSaaS、完璧でなくても作業を肩代わりするのはAIエージェント、という組み合わせで業務を回す姿です。
同じ取材では、AIが1つの作業を正しくこなす確率を95%としても、5つの作業をつなげれば全体で正しく終わる確率は77.4%まで下がる、というたとえも紹介されています。手順が長い業務ほど、エージェントだけに任せるのは難しくなるということです。
一方で、何も変わらないと考えるのも外れます。人が画面を操作する時間が減れば、席の数で払う契約の意味は薄れていきます。消えるか残るかではなく、どの業務でどう役割が変わるかを見るのが、利用する側の現実的な立ち位置です。
課題:更新は今までどおりで、置き換えの話だけが先に進む
多くの会社で起きているのは、2つの動きがかみ合っていない状態です。契約の更新は、席の数と機能の比較で今までどおり決まっていく。その一方で、現場ではAIエージェントや自作の道具で一部の作業を置き換える試みが、契約とは無関係に進んでいます。
この状態が続くと、使われなくなった席に払い続けるか、逆に、置き換えた道具がうまく動かなかったときに戻る先の契約をすでに解約している、という事態が起きます。どちらも、置き換えの判断と契約の判断が別々の場所で行われていることが原因です。
現場の試作が先に進むこと自体は悪いことではありません。AIに作らせた社内の道具をどこまで使ってよいかは、広がる前の線引きを扱った別の記事で整理しています。ここで問題にしたいのは、その試作の結果が、契約の更新の判断に届いていないことです。
更新の3か月前になって慌てて利用状況を調べるのではなく、置き換えの試みと契約の台帳を同じ場で見る習慣をつくることが、この記事の対策の出発点になります。次の3つの節で、かみ合わなくなる原因を順に見ていきます。原因が分かれば、4つの線のどれから手を付けるべきかも見えてきます。
原因1:置き換えやすい仕事と残す仕事が、1つの契約に混ざっている
1つのSaaSの中には、性質の違う仕事が混ざっています。たとえば営業の管理のソフトなら、商談の記録を画面から入力する作業と、何年分もの顧客の履歴を正しく持ち続ける役割が、同じ契約の中にあります。
前者は、画面の操作と定型の入力が中心で、AIエージェントが肩代わりしやすい仕事です。後者は、データの置き場としての役割で、エージェントが動くときの土台になります。置き換えやすいのは契約の一部であって、契約の全部ではないことが多いのです。
契約を丸ごと残すか、丸ごとやめるかの二択で考えると、この混ざり方が見えなくなります。残すべき役割のために契約を続けながら、入力の作業だけをエージェントに移す、という中間の形が選べなくなるのです。
第一生命経済研究所のレポートも、繰り返しの作業に頼るものは置き換えられやすく、統制や監査の記録、その会社にしか蓄積できない独自のデータを持つ仕組みは残りやすい、という見方を示しています。契約を機能ではなく役割で分けて見ることが、後の対策につながります。
原因2:データの持ち主と、置き場の持ち主が分かれている
SaaSに入れたデータの持ち主は、多くの場合、利用する自社です。しかし、そのデータを置いている場所と、取り出す方法を握っているのは提供する側です。この2つが分かれていることを意識しないまま、契約を続けてきた会社は少なくありません。
AIエージェントに仕事を移そうとすると、この分かれ目がすぐに表に出ます。エージェントがデータを読み書きするには、画面を経由するか、API で直接つなぐか、データを書き出して別の場所に移すかのどれかが必要です。どの方法が契約で認められているかを知らないまま試作を進めると、本番の手前で止まります。
置き換えやすいかどうかの判断でも、データの持ち主が自社であることは大きな条件になります。自社のデータを自社の都合で動かせるなら、入力の作業を別の手段に移しやすいからです。逆に、多くの取引先と同じ器を共有している仕組みでは、データは自社だけのものではありません。
乗り換えを塞ぐ要因や、持ち出しの確かめ方の詳細は、ベンダーロックインを扱った別の記事で整理しています。ここでは、データの持ち主が誰で、置き場を握るのが誰かを契約ごとに書き分け、更新の前に確かめる項目の名前を押さえるところまでにとどめます。
原因3:契約が「人が使う」ことしか想定していない
これまでのSaaSの契約は、画面の前に座った人が使うことを前提に組まれています。席の数、利用者の定義、禁止される使い方のどれもが、人の操作を想定した書き方です。AIエージェントが人の代わりに画面を操作したり、APIで大量に処理したりすることは、想定の外にあることが多いのです。
その結果、エージェントに操作させてよいのか、1つの席を人とエージェントで分け合ってよいのか、自動の処理の量に上限があるのかが、契約書を読んでも分からないことがあります。分からないまま使い始めると、あとから規約の違反と言われるおそれがあります。
課金の単位も同じです。人の数で払う契約のまま、実際の作業はエージェントが担うようになると、払っている金額と使われ方がずれていきます。第一生命経済研究所のレポートも、席の数の課金が減る分を、利用量や成果に応じた課金で補う動きを取り上げています。
この3つ目の原因は、契約書の側が新しい使い方に追いついていないことです。だからこそ、更新のたびに、足すべき条件を利用する側から持ち出す必要があります。ここから先の4つの節が、その条件を線として引く対策です。
線1:置き換えやすい業務と残す業務を分ける
1つ目の線は、契約の中の業務を、置き換えやすいものと残すものに分けることです。分ける軸は、次の表のように整理できます。1つの契約の中で、左の列と右の列の両方に当てはまる業務が並ぶのが普通です。
| 見る点 | 置き換えやすい | 残す |
|---|---|---|
| 仕事の中身 | 画面の操作と定型の入力が中心 | データを正しく持ち続けること自体が役割 |
| データの持ち主 | 自社だけで、自社の都合で動かせる | 多くの取引先と同じ器を共有している |
| 記録の性質 | 作業の途中の記録で、後から作り直せる | 税や労務のように、法律で保存の方法が決まっている記録 |
| 誤りの影響 | 人が確かめ直せば済む | 誤りが監査や取引先への説明に直結する |
| エージェントとの関係 | エージェントが肩代わりする側 | エージェントが読み書きする土台の側 |
表の左の列に当てはまる業務が多い契約は、席の数を見直す候補になります。右の列に当てはまる業務が中心の契約は、残すことを前提に、エージェントからどう使うかを考える対象です。
会計、給与、請求のように、法律で保存が求められる記録を扱う仕組みは、置き換えの候補から外して考えるのが安全です。多くの取引先と受発注や請求をやり取りする器も、自社だけの都合ではやめられません。残すと決めた仕組みは、エージェントの土台として磨く対象に切り替えます。
分けた結果は、契約ごとに、置き換えやすい業務と残す業務の2つの欄に書き出します。この欄がそろうと、次の3つの線を契約ごとに引けるようになります。
線1の仕分けで、現場に聞く3つの問い
線1の表を埋めるには、そのソフトを毎日使っている人の話が欠かせません。情シスや経営企画が設定や利用の記録だけを見て仕分けると、置き換えやすく見えて実は例外の判断が多い作業や、逆に簡単に移せる作業を見落とします。聞き取りでは、次の3つの問いを使います。
- その作業は、毎回同じ手順で終わりますか。例外のときは誰が判断していますか
- その画面に入れた情報は、社内の誰が、あとで何に使っていますか
- その記録が1週間分なくなったら、社外の誰に説明が必要になりますか
1つ目の問いで例外が多いと答えた作業は、エージェントに移しても人に回される件数が多くなり、置き換えの効果が出にくくなります。手順をつなげるほど正しく終わる確率が下がるという、先に見たたとえは、例外の多い作業ほど当てはまります。毎回同じ手順で終わる作業から候補にするのが安全です。
2つ目と3つ目の問いは、残す業務を見つけるための問いです。社内の別の部署があとで使う情報や、社外への説明が必要になる記録は、表の右の列、つまりデータの置き場として残す側に入ります。答えが分からないという場合も、確かめるまでは残す側に置いておきます。
聞き取りの記録の整理は、AIに手伝わせてかまいません。複数の人の答えを読ませ、作業ごとに3つの問いの答えを表にまとめさせると、仕分けの下書きが早くそろいます。ただし、どの答えから拾ったかを書かせたうえで、置き換えやすいか残すかを最終的に決めるのは現場の責任者です。
線2:データを持ち出せる条件を、更新の前に確かめる
2つ目の線は、データの持ち出しです。置き換えるにせよ残すにせよ、自社のデータを自社の都合で書き出せる状態を確保しておくことが、どの判断にも必要になります。
更新の前に確かめる項目は、書き出せるデータの範囲、書き出しの形式、解約した後にデータを受け取れる期間、書き出しに費用がかかるかの4つです。条文の細かい読み方は法務と一緒に行い、ここでは項目の名前だけを契約の台帳に載せておきます。
確かめるときは、契約書や規約に書いてあるかだけでなく、実際に一度書き出してみることをすすめます。書けるはずの項目が抜けていたり、添付のファイルだけ別の手順だったりすることは、試して初めて分かります。書き出したデータを別の表計算のソフトで開き、件数と主な項目が元の画面と合っているかまで見ておくと安心です。
持ち出せることを、書類ではなく試した結果で確かめると、置き換えの判断も、残す判断も、根拠を持って下せるようになります。試した日と結果は、台帳の同じ行に書いておきます。
線3:エージェントからの利用を、契約で確かめる
3つ目の線は、AIエージェントからの利用です。残すと決めた契約でも、今後はエージェントが読み書きする場面が増えます。そのときに使える経路が契約で認められているかを、更新の前に確かめます。
確かめる項目は、APIが使えるか、使える量の上限、エージェントが画面を操作することを規約が認めているか、エージェントの利用を席の数にどう数えるか、の4つです。画面を自動で操作する使い方を禁じている規約もありうるので、規約の禁止事項の欄は必ず読みます。
規約で分からない点は、提供する側に書面で問い合わせます。回答が得られない場合や、エージェントからの利用を認めない場合は、その契約をエージェントの土台にしにくいと台帳に書き、次の更新での比較の材料にします。回答が得られたら、回答の日付と担当者の名前を添えて、契約書と同じ場所に保管します。口頭や電話での回答は、あとで確かめられないので、書面かメールで受け取り直します。
エージェントに渡す権限も、この線で決めておきます。読むだけにするか、書き込みまで許すか、どのデータの範囲までかを、人が決めて記録します。権限はAIに選ばせず、業務の責任者が決めるようにします。
線4:席数のままか、利用量に切り替えるか
4つ目の線は、課金の単位です。人の操作が減り、エージェントの処理が増える契約では、席の数で払い続けるのか、利用量や成果で払う形に切り替えるのかを検討します。
席を減らす判断には、根拠が要ります。ログインの回数ではなく、その席で人がしている作業の量を見ます。エージェントが作業を肩代わりしても、結果を確かめる人や承認する人の席は残ることが多いからです。減らす席の数は、置き換えの検収が数か月安定して続いたことを確かめてから決めます。
利用量で払う形に切り替えると、月ごとの支払いが読みにくくなります。上限の設定、使いすぎたときの通知、部署ごとの配分をどうするかは、従量の課金を予算に組み込む方法を扱った別の記事で整理しています。ここでは、切り替えるかどうかを更新の前に決める、という線だけを押さえます。
課金の単位を変えるかどうかは、1つの契約だけで決めず、置き換えの試みがどこまで進んでいるかと合わせて判断します。課金の単位は、使われ方が変わってから決めるのが順番です。
更新の前に4つの線を決める手順
4つの線を、更新の前にどの順で決めるかを手順にまとめます。自動更新の契約では、解約や条件の変更を申し出る期限が満了の数か月前に置かれていることがあるので、その期限から逆算して始めます。
契約の満了日ではなく、解約や条件の変更を申し出る期限を台帳に書き、その1〜2か月前を判断の開始日にします。
線1の表を使い、契約の中の業務を、置き換えやすい業務と残す業務に分けます。現場の利用者に聞き取りをします。
線2の4項目を確かめ、実際にデータを一度書き出してみます。
線3の4項目を規約で確かめ、分からない点は提供する側に書面で問い合わせます。
線4の考え方で、席の数を据え置くか、減らすか、利用量の課金に切り替えるかを決め、承認を取ります。
手順の中で時間がかかるのは、2つ目の聞き取りと4つ目の問い合わせです。判断の開始日を申し出の期限の1〜2か月前に置くのは、この2つに時間を取るためです。
各手順の結果は、契約ごとに1枚にまとめます。次の更新のときに、前回の判断とその根拠を読み返せるようにしておくと、判断が毎回ゼロからにならずに済みます。
申し出の期限までに結論が出ない場合は、いったん今の条件で更新し、残った線を次の更新までの宿題として台帳に書きます。期限を過ぎて知らないうちに自動で更新されるより、分かっていて更新するほうが、次の判断の材料が残ります。結論が出なかったことも、判断の記録として残します。
置き換えた後の検収と止め方
線1で置き換えやすいと判断した業務を、実際にAIエージェントに移したら、移した後の検収の手順を決めておきます。エージェントの作業は、正しく終わったように見えて途中で誤っていることがあるからです。
検収では、エージェントが処理した件数と、元の仕組みに記録された件数が一致しているか、抜き取りで中身が正しいか、例外として人に回された件数、の3つを週ごとに見ます。移した直後の数週間は、抜き取りの割合を多めにします。数字が合わなかった週は、どの手順で食い違ったかを記録し、同じ食い違いが続くなら、その作業は置き換えやすい側から外して考え直します。
止め方も先に書いておきます。どの状態になったらエージェントを止めるか、止めたら誰が手作業に戻すか、元の契約の画面から作業を再開できるか、の3点です。元の契約を解約するのは、止め方を一度試してからにします。
置き換えた結果は、次の更新の判断の材料として台帳に書き戻します。置き換えは、戻れることを確かめてから契約に反映するのが、失敗したときの損を小さくする進め方です。
判断をAIに任せない範囲
契約の見直しの下準備には、AIが役に立ちます。契約書や規約を読ませて、データの持ち出し、APIの利用、禁止事項の箇所を一覧にさせたり、利用状況の数字から席ごとの使われ方を整理させたりできます。
ただし、AIにはどの条文のどの記述から拾ったか、根拠を必ず書かせ、人が原文で確かめます。規約の解釈や、置き換えるか・自作するか・残すかの判断は、AIに任せません。規約の読み違いは、あとで違反や追加の費用として返ってくるからです。
やってはいけない進め方を並べておきます。どれも、急いで結論を出そうとしたときに起きやすいものです。
- 「SaaSの死」の見出しを根拠に、全契約の席を一律に減らす
- AIに規約を要約させ、その要約だけでエージェントからの利用を始める
- 置き換えの試作がうまくいった直後に、元の契約を解約する
- 置き換えや自作を決める判断を、AIが作った比較表の結論に委ねる
- 法律で保存が決まっている記録を扱う仕組みを、置き換えの候補に入れる
どれも、判断の根拠を人が持たないまま、言葉の勢いで動くことから起きます。4つの線は、その勢いに流されないための物差しです。
情シスと経営企画と現場で、誰が何を持つか
4つの線は、1つの部署だけでは引けません。線1の業務の仕分けは、実際に使っている現場の責任者が持ちます。どの作業が画面の操作中心で、どのデータが取引先との共通の器なのかは、現場にしか分からないからです。
線2と線3の確かめは情シスが、条文の確認は法務が持ちます。線4の課金の単位と席の数の判断は、予算を持つ経営企画か部門の責任者が決めます。決める人を線ごとに分けて台帳に書くと、更新の直前に誰も判断していなかったという事態を防げます。
- 線1 業務の仕分け:現場の責任者
- 線2 データの持ち出し:情シス(条文の確認は法務)
- 線3 エージェントからの利用:情シスと法務
- 線4 課金の単位と席の数:予算を持つ経営企画か部門の責任者
置き換えの試作を進める現場と、契約を持つ情シスの間には、月に1回程度の短い共有の場を置きます。試作の進み具合が契約の台帳に届くことで、課題の節で見た、置き換えの話だけが先に進む状態を解消できます。試作と契約を同じ場で見ることが、4つの線を毎年引き直す土台になります。
持ち主を決めたら、年に1回、全契約を並べて線の引き直しの状況を確かめる日も決めておきます。個々の更新の期限だけを追っていると、期限の遠い複数年の契約が何年も見直されないまま残ります。年に1回の確かめでは、置き換えの試みが新しく始まった業務がないかを現場に聞き、次に見直す契約の順番を決め直します。
よくある質問
Q. SaaSの契約は、今のうちに短くしておくべきですか
一律に短くする必要はありません。契約の期間を短くすると単価が上がる料金の体系もあり、見直しの自由と引き換えに費用が増えることがあります。置き換えの試みが進んでいる業務を含む契約だけ、次の更新で見直せる長さにしておく、という選び方が現実的です。残すと決めた契約は、今までどおりの期間で構いません。期間を変えるかどうかも、線ごとの持ち主が決めた内容と合わせて判断します。
Q. AIエージェントで自作すれば、SaaSは解約できますか
置き換えやすい業務だけなら、移せる場合があります。ただ、データの置き場や法律で保存が決まっている記録まで自作で担うのは、別の重さの判断です。自作した仕組みは、作った人が異動したあとも誰かが直し続ける必要があるからです。自作に移すかどうかは、検収と止め方を試してから人が決めます。
Q. 利用量の課金に切り替えると、費用は下がりますか
使われ方しだいで、上がることも下がることもあります。エージェントの処理が増えると、利用量が想定を超えることがあるからです。席の数の課金は払う額が読みやすいという利点もあるので、下がるかどうかだけで比べないようにします。切り替える前に、数か月分の使われ方で試算します。
Q. どの契約から見直せばよいですか
申し出の期限が近い契約から、線1の表で左の列に当てはまる業務が多いものを優先します。現場で置き換えの試作がすでに動いている契約は、期限が少し先でも前倒しで見ます。法律で保存が決まっている記録を扱う契約は、後回しで構いません。
まとめ
2026年に広まった「SaaSの死」は、国内の解説を読む限り、ソフトが消える話ではありません。人が画面を操作する前提で結んだ契約が、AIエージェントが操作する時代に合わなくなりつつある、という話です。更新の前には、置き換えやすい業務と残す業務の線、データを持ち出せる条件、エージェントからの利用の可否、席数か利用量かという課金の単位の4つの線を引きましょう。AIには契約書の該当箇所の一覧までを任せ、根拠の条文を示させて人が確かめます。置き換えや自作の判断は人が持ち、置き換えた後の検収と止め方を試してから契約に反映する。この順番を守れば、言葉の勢いに流されずに契約を見直せます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
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