パーセプションとは何を指す?|認知の次に測るもの

「認知度は上がったのに、問い合わせの中身が変わらない」「名前は知られているはずなのに、商談の最初は毎回同じ説明から始まる」——見せ方を見直そうという話は、たいていこの手の違和感から始まります。こうした状態を指すために使われるのがパーセプションという言葉です。会議では認知度の言い換えとして扱われることが多いのですが、指しているものが違います。パーセプションは知られている量ではありません。その名前が相手の頭の中で何と結びついていて、どちら向きに評価されているかという中身のことです。だから、知っている人を増やす打ち手では動かない部分があります。この記事では、認知やイメージや評判との言葉の使い分け、ポジショニングとの違い、ずれが生まれる三段階、手がかりの集め先と仕分け方、AIに任せてよい範囲、変化を追う間隔までを順に整理します。
カメ先生パーセプションは認知度の言い換えだと思われがちですが、測っているものが別なんです。認知度は名前を知っている人の割合、パーセプションは知っている人の頭の中にある結びつきです。
カメ子知られていれば、結びつきも自然にできているのではないのでしょうか。
カメ先生そうならないのが厄介なところです。名前だけを覚えた状態は実際に起こります。そのとき相手は名前を何とも結びつけないまま置いているので、必要な場面で思い出しません。
カメ子知られている量と、何と結びついているかは、別に測るということですか。
- パーセプションは知られている量ではなく、名前が何と結びついて覚えられているかという中身を指す
- 自分たちが決めた立ち位置と、相手に映っている姿は別に扱う。ずれは言っていること・伝わっている言葉・思い出す場面の三段階で生まれる
- 散らばった言葉を集めて結びつきを仕分ける下書きはAIに任せられる。どの結びつきを目標にするかと、少数の声を全体と見なさない判断は人が持つ
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パーセプションとは何を指すのか
言葉の出どころから押さえます。PRストラテジストの本田哲也氏は、宣伝会議の2023年3月の記事で「私はパーセプションを『認知』ではなく『認識』と定義しています。『知っている』ではなく、どうとらえているか」と述べています。同じ記事で、パーセプションフロー・モデルを提唱する音部大輔氏は「名前だけ覚えてもらって、好きにつながったという経験はありません。無駄とまでは言いませんが、名前しか知らない認知は無価値」と言い切っています。二人が共通して指しているのは、名前を知っている人の数ではなく、その名前が頭の中で何と結びついているかという中身です。
実務に落とすと、パーセプションを見るとは三つの問いに答えることです。一つ目は誰の頭の中の話か。既存顧客か、検討中の相手か、まだ会っていない人か、社内の別部門かで、映っている姿は別物になります。二つ目は、その名前と何が結びついているか。業種、用途、価格帯、人の顔、技術の名前のどれかが入ります。三つ目は、その結びつきが良い向きか悪い向きか、どちらでもないか。結びつきの先が空欄のままなら、それは認知の話をしているだけです。三つが埋まって初めて、把握したと言えます。
判定のやり方は難しくありません。自社名を出したあとに相手が続けて口にする言葉を、そのまま書き取ればよいだけです。「ああ、あの◯◯の会社ですね」の◯◯に入る語が、その相手のパーセプションです。ここが相手ごとに違う語で埋まるなら、結びつきが定まっていません。自分たちの意図と違う語で埋まるなら、ずれています。「聞いたことはあります」で止まって◯◯が出てこないなら、音部氏の言う名前しか知らない状態です。三つのどれなのかで、次の打ち手が変わります。
認知・イメージ・評判・パーセプションの言葉の使い分け
会議ではこの四つが混ざって使われます。混ざったままだと、誰が何をすればよいのかが決まりません。四つに、自分たちが決める側の言葉であるポジショニングを加えて、それぞれが何を指し、どう確かめ、取り違えると何が起きるかを並べます。
| 言葉 | 指しているもの | 確かめ方の例 | 取り違えると起きること |
|---|---|---|---|
| 認知 | 名前を見聞きしたことがある人の割合 | 名前を挙げてもらう、選択肢から選んでもらう | 数字は伸びるのに商談の中身が変わらない |
| イメージ | 名前から浮かぶ漠然とした印象 | 当てはまる形容詞を選んでもらう | 良いか悪いかの話で終わり、直す場所が決まらない |
| 評判 | 第三者の間で語られている評価 | レビュー、口コミ、業界内の伝聞を読む | 自社の発信を直しても動かない部分に手をかける |
| パーセプション | 名前と結びついている中身と、その評価の向き | 相手が続けて口にする語を原文で書き取る | 認知の言い換えとして扱われ、量の打ち手だけが打たれる |
| ポジショニング | 自分たちが取ると決めた立ち位置 | 決定した文書と社内の合意を見る | 決めた内容が届いていると思い込む |
特に混ざりやすいのはイメージと評判です。イメージは相手一人の頭の中にあるもの、評判は相手同士の間で受け渡されているものです。置かれている場所が違うので、手をかける場所も違います。イメージは自社の伝え方でいくらか動かせますが、評判に自社が言葉を足しても直接は動きません。動かせるのは、語られる材料の側です。納品後の対応の速さ、断るときの断り方、うまくいかなかった案件の後始末といった、第三者に話される中身がそれに当たります。
認知とパーセプションを分けておく効き目は、打ち手の順番に出ます。「認知度が低いから広告を出す」と結論に飛ぶ前に、知っている人の中で結びつきがどうなっているかを先に見ると、順番が入れ替わることがあります。知っている人の結びつきが意図と違っているとき、知っている人を増やす打ち手を打つと、違う結びつきを持った人が増えるだけになります。先に中身を直し、そのあとで量を増やすほうが、同じ費用で効きます。
ポジショニングは自分が決めること、パーセプションは相手に映っていること
この二つの取り違えが、いちばん損をします。ポジショニングは自社が主語の作業です。誰に、どの場面で、何の代わりに選ばれるかを自分たちで決める。決めて合意した時点で、作業としては完成します。対してパーセプションは相手が主語です。こちらが決めたかどうかとは無関係に、相手の頭の中には何かが入っています。決めた立ち位置は自分たちで確認できますが、映っている姿は聞かないと分かりません。ここが決定的な違いです。
組み合わせは四つあります。一つ目は、決めた立ち位置が映っている状態。このときだけ、商談の最初の説明が短くなります。二つ目は、決めたのに映っていない状態。伝え方と接点の数の問題です。三つ目は、決めていないのに何かが映っている状態。四つ目は、決めていないし映ってもいない状態です。実際に多いのは三つ目です。創業期に受けた案件の業種や、かつての主力商品が、方針を変えて何年たっても結びついたまま残ります。自社では過去の話になっているのに、外では現在の話として残っているという食い違いが起きます。
だから作業の順番が決まります。立ち位置を決める整理を終えたら、それで完了にしないことです。決めた立ち位置が映っているかを確かめる作業を、別に立てます。立ち位置の決め方そのもの、つまり市場の切り分けと狙いの決定の手順は別の記事の範囲なので、ここでは決めた側と映った側を必ず二つの作業に分けるという点だけ押さえます。一つの作業にまとめると、決めた内容の説明で会議が終わり、映っている姿を聞く時間が消えます。
認知の次に何を測るのか。大規模な調査の項目の並びを見る
認知の次に測るものは、実務ではもう項目として立っています。日経広告研究所が公表している「日経企業イメージ調査」の2025年調査の概要には、「調査項目は、主要6項目(認知度・広告接触度・一流評価・好感度・株購入意向・就職意向)、継続している21項目、経営トピック・社会トレンドに応じた7項目の計34項目で構成されています」とあります。認知度は34項目のうちの1つという位置づけです。
規模も押さえておきます。同概要には「調査対象は、証券市場に上場している企業および非上場を含む各業種の大手企業672社です」、サンプルは「首都圏に勤務するビジネスパーソン 8,588名および首都圏に居住する一般個人9,020名の計17,608サンプルをもとに」と書かれています。調査時期はビジネスパーソン調査が2025年8月1日から9月30日、一般個人調査が同じ8月1日から9月9日です。対象企業の側から見れば、1社について34項目の評価が毎年同じ時期に取られていることになります。
読み取りたいのは項目の並び方です。主要6項目は、認知度の隣に好感度と一流評価が置かれ、さらに株購入意向と就職意向という行動の意向が続きます。名前を知っているかを聞いたあとに、どう評価しているかを聞き、その評価が行動に向かうかを別に聞く、という三段の構えです。自社でこの規模の調査を回す必要はありませんが、項目の分け方は費用をかけずに真似できます。知っているか、どう評価しているか、次の行動に向かうかを別の列にする、それだけです。
逆に、項目を分けないまま「認知度」の1列で管理すると、評価と行動の変化が見えなくなります。よくあるのは、認知度の数字が横ばいなので何も起きていないと判断してしまう例です。実際には、結びついている語が入れ替わって評価の向きが変わっていることがあります。1列では、入れ替わりが打ち消し合って動かないように見えます。
ずれたままだと、現場ではこう見える
パーセプションのずれは、単独の指標としては出てきません。先に現れるのは現場の症状です。次のような形で顔を出します。
- 商談の最初の時間が、毎回同じ前提の説明で消える
- 失注の理由が価格に集まるが、聞き直すと用途や規模の思い違いが先にある
- 問い合わせが特定の一領域に偏り、主力にしたい領域には来ない
- 採用の応募者が、想定していた職種と違うところに寄る
- 既存顧客が、隣の領域の相談を別の会社に出している
厄介なのは、量の指標が同時に悪くなるとは限らないことです。認知度も自社名での検索件数も伸びているのに、上の症状が続くことがあります。量の指標が伸びているときこそ、中身のずれは見つかりにくいという関係になります。むしろ量が増えるほど、違う結びつきを持った人が増えるので、症状のほうは悪化します。
そこで、確かめる順番を変えます。数字が悪い場所を探すのではなく、説明に時間がかかっている場所を探します。商談の議事録を3か月分並べて、最初の10分に何を話しているかだけを抜き出すと、同じ説明が繰り返されている箇所が浮かびます。そこがずれている場所です。失注理由も同じで、価格と書かれた行の元の発言を読み直すと、規模感や用途の思い違いが混ざっていることが分かります。
ずれが生まれる場所を三段階に分けて見る
ずれは一箇所では起きません。自社が言っていること、相手に伝わっている言葉、相手が思い出す場面の三段階のどこかで落ちます。段階を分けずに「伝わっていない」とまとめると、直す場所が決まらないまま資料の作り直しに向かうことになります。
第1段階:自社が言っていること
社内の資料、サイトの説明、営業の第一声がここに当たります。確かめるのは正しさではなく、そろっているかどうかです。会社紹介資料の1ページ目、サイトの見出し、営業3人の第一声を並べて書き出すと、たいてい主語が違います。片方は業種で名乗り、片方は手法で名乗り、片方は実績の数で名乗ります。名乗りが三つあると、相手の頭の中に入る結びつきも三つに割れます。
第2段階:伝わっている言葉
相手が社内で自社を説明するときの言い方です。ここは自分では見えないので、相手の言葉を取りに行く必要があります。稟議でどう書いたかを聞く、紹介してもらったときにどう言ったかを聞く。「◯◯の会社」の◯◯に入った語が、伝わっている言葉です。伝わっている言葉は、自社が使っている言葉より必ず短くなります。短くなる過程で何が落ちたかを見ると、次の段階の話につながります。
第3段階:相手が思い出す場面
必要になったときに思い出されるかどうかです。ここは結びついている先の中身、つまり用途や業種や悩みの話になります。前の二段階がそろっていても、結びついている先が相手が実際に困る場面でなければ、その場面が来たときに名前が出てきません。ただし場面と想起の設計は別の記事で扱う範囲なので、ここでは三段階目のずれは、相手が困る場面の語が結びついていないことで起きるという点だけ確認しておきます。
段階の間で意味が落ちるのは、省略と言い換えが起きるから
段階を移るたびに、説明は短くなります。長い説明が短くなる過程で落ちるのは修飾語で、残るのは名詞です。「製造業の情報システム部門向けに、既存の基幹の仕組みに手を入れずにAIを載せる支援をしている会社」は、社内の伝言を二回通ると「AIの会社」になります。落ちたのは相手(製造業の情報システム部門)と条件(既存の仕組みに触らない)で、残ったのはAIという語だけです。落ちた部分が、まさに他社と分かれていた部分だったりします。
言い換えは三か所で起きます。一つ目は相手の担当者が社内で説明するとき。二つ目は記事や紹介文の見出しになるとき。三つ目は対話型AIが要約して答えるときです。三つ目については、自社の説明が対話型AIの答えにどう出るかを整える話が別の記事にあるので、ここでは手がかりの集め先の一つとして数えるだけにします。共通しているのは、短くする人はこちらではないという点です。誰がどう短くするかは指定できません。
だから対策は、短くされることを前提に組むことになります。削られても残したい語を1つだけ決める。二つ以上決めると、短くされる過程でどちらかが落ちます。決めた1語は、名乗りの三か所、つまり資料の1ページ目、サイトの見出し、営業の第一声のすべてに入れます。逆に、その語を修飾する言葉は落ちてもよい前提で書きます。この割り切りをしないと、全部を残そうとして全部が落ちます。
手がかりは、まず自社の内側にある
パーセプションを把握するために調査を発注する前に、社内にある言葉を集めます。集め先は四つで足ります。相手が最初に使った語が残っている商談メモ、選ばれた相手とその理由の言い方が残っている失注の記録、フォームの自由記述や電話の第一声といった問い合わせの言い回し、そして既存顧客が第三者に自社を説明したときの言い方です。どれも新しく取りに行くものではなく、すでにある言葉です。
集めるときに守る点は一つだけあります。相手の言葉を要約せずに原文で残すことです。営業が書いたメモは、営業の語彙に置き換わっています。「予算が合わなかった」と書かれた行の元の発言が「思っていたより大がかりで、うちの規模だと使いこなせないと思った」だったなら、それは価格の話ではなく規模感の結びつきの話です。要約された時点で、この区別は消えます。消えた区別は、あとから復元できません。
記録の形は、日付、出どころ(商談か問い合わせか紹介か)、相手の属性(業種と部門と役職の粗い区分)、相手の言葉の原文、の四つでよいです。表計算ソフトの4列で足ります。半年分たまれば仕分けられます。落とし穴は、印象に残った発言だけを書き残すことです。強い言葉ほど記憶に残るので、集める基準を印象にすると、極端な声だけが並んだ表ができます。期間で区切って、その期間の全件から拾います。
外側の手がかりは、検索されている語とレビューから取る
外側の手がかりは三つです。検索されている語、レビューや口コミ、対話型AIの答え。検索されている語には、相手が自分の言葉で打ったものが並びます。こちらの語彙が混ざらない点が価値です。ただし、件数だけを見ても結びつきは分かりません。この記事の題材で実際に測ってみます。
キーワードの検索数を調べるツールで、2026年9月3日に日本の検索数を見ると、「パーセプション」は月2,200件で、難易度は0でした。周辺には「パーセプションとは」1,100件、「パーセプション 意味」150件が並びます。ここまでは言葉の意味を調べている人です。ところが同じ語の周辺には、同名のドラマを指す「パーセプション 天才教授の推理ノート」100件、舟の製品名を指す「パーセプション カヤック」40件、登山用品の会社名と組み合わせた語も混ざっていました。マーケティングの文脈で調べている語は「パーセプション マーケティング」20件、「ブランドパーセプション」40件、「パーセプション調査」20件で、桁が二つ小さくなります。
読み取りはこうです。同じ「パーセプション」という2,200件の中に、少なくとも三つの違う結びつき(用語の意味、ドラマの題名、舟の製品名)が同居しています。語の件数は、その語が何と結びついているかを教えてくれません。だから件数の隣に、その語と一緒に打たれている語を必ず並べます。自社名でも同じ作業をします。自社名と一緒に打たれている語、たとえば評判、料金、採用、競合の社名のどれが多いかが、外から見た結びつきの縮図になります。
レビューや口コミ、対話型AIの答えについては、扱いに注意が要ります。
- レビューは書く人が偏る。強い不満と強い満足が集まるので、件数の比ではなく、書かれている語の種類を見る
- 口コミは相手同士の間で受け渡されるものなので、自社の発信を直しても即座には動かない
- 対話型AIの答えは、その時点で参照された情報の要約。答えが違っていたら答えを直すのではなく、参照される情報の側を整える(整え方は別の記事の範囲)
- どの集め先も、拾った語は要約せず原文で残す。集め先ごとに語彙の癖が違うため、そろえた時点で比べられなくなる
評価するときに見られている情報源から、集め先を決める
集め先の優先順位を決めるとき、相手が実際に何を見て評価しているかを踏まえておくと迷いません。経済広報センターの「第27回 生活者の『企業観』に関する調査」は、企業を評価するときの情報源を聞いています。報告には「企業を評価する際の情報源は、『新聞(ウェブ版を除く)』(71%)、『テレビ』(64%)が特に高い」とあります。
発信元ごとの信用度も聞かれています。「『企業からの発信(企業のウェブサイト、各種刊行物、ソーシャルメディアなど)』を80%が『信用する(信用する/ある程度)』と回答。『メディアからの発信(ニュースや記事など報道)』も79%と高い信用を得ている」という結果です。企業への信頼度そのものは、「肯定的評価が47%(『信頼できる』4%、『ある程度信頼できる』43%)と、否定的な評価8%(『あまり信頼できない』7%、『信頼できない』1%)を大きく上回り」、前回の2022年度の44%から増えたと書かれています。
この数値の使い方には留保が必要です。同報告は「調査対象は、全国2,738人の『社会広聴会員』の中で、インターネットで回答可能なeネット社会広聴会員(2,340人)が対象。有効回答数は983人(有効回答率:42.0%)、調査期間は、2023年10月26日~11月6日」と明記しています。調査に継続して協力している会員層です。この割合を自社の顧客の割合として使うことはできません。使えるのは、自社が出した発信と第三者の発信が、どちらも8割前後という近い水準で信用の対象として並んでいるという構図のほうです。
実務への落とし方は単純です。自社が出した言葉(サイト、資料、発信)と、第三者が書いた言葉(記事、レビュー、伝聞)を、片方だけ集めないことです。BtoBでも同じで、稟議に添付されるのは自社の資料ですが、稟議を書く前に見られているのは第三者の言葉です。集め先を自社の発信だけにすると、ずれの半分が視野の外に残ります。逆に第三者の言葉だけを見ると、自分たちの名乗りが割れていることに気づけません。
集めた言葉を仕分ける軸
言葉が集まったら、軸を決めて仕分けます。軸を決めずに読み始めると、印象に残る発言に引っ張られて、結論が最初から決まってしまいます。使う軸は五つで足ります。
| 軸 | 見る点 | 記録の書き方 |
|---|---|---|
| 結びつき先 | 自社名と一緒に語られている語の種類(業種・用途・価格・人・技術) | 語をそのまま1つ書く |
| 評価の向き | 良いか、悪いか、どちらでもないか | 三択で1つ選ぶ |
| 強さ | 言い切りか、ためらいか、伝聞か | 三択で1つ選ぶ |
| 出どころ | 本人の経験か、社内の伝聞か、記事や口コミか | 三択で1つ選ぶ |
| 時期 | いつの時点の話をしているか | 年と月を書く |
仕分けたあとに見るのは、件数そのものではなく偏りです。結びつき先の語が何種類に割れているか、そのうち自分たちが意図した語が何割か、意図と違う語のうち評価の向きが悪いものはどれか。この三つを見れば、直す場所が決まります。意図した語が少ないなら伝え方の問題、意図と違う語が多いなら名乗りが割れている問題、向きの悪い語が集まっているなら語られる材料の問題です。
仕分けの粒度は粗くします。結びつき先の語を細かく分けると、1件ずつが別の分類になって数えられません。10種類前後に畳みます。畳むときの基準は、打ち手が同じ言葉は、同じ分類にまとめることです。「大がかり」と「重い」と「うちの規模では無理」は、言葉は違っても打つ手は同じなので、一つの分類にします。逆に、打ち手が変わる語は分けます。分類の数は、そのあとに用意できる打ち手の数より多くしても意味がありません。
AIに任せる範囲と、人が決めること
集めた言葉の仕分けは、量が増えると手作業では回りません。商談と問い合わせと失注の記録を半年分集めれば、数百件になります。この下書きの部分はAIに任せられます。
- 商談メモや自由記述から、自社名と一緒に語られている語を抜き出す
- 抜き出した語を、こちらが渡した10種類前後の分類に振り分ける
- 評価の向きと強さを、それぞれ三択で付ける
- 同じ意味の違う言い方をまとめて、言い換えの一覧を作る
- 前回の仕分け結果と並べて、増えた語と消えた語を出す
任せ方には条件が二つあります。一つは、分類の名前と定義を先に人が決めて渡すことです。分類をAIに考えさせると、実行するたびに違う分類が出てきて、前回と比べられなくなります。もう一つは、振り分けの理由として原文のどの部分を根拠にしたかを必ず書かせることです。根拠が書かれていない行は、正しいかどうかを確認できないので使いません。この二つを外すと、もっともらしい分布の表が出てきますが、元の言葉に戻れないので直せません。
そして、AIに渡さない判断があります。
- どの結びつきを目標にするかの決定。AIは現状の分布を出せるだけで、どこを目指すかは決められない
- 少数の声を全体と見なさないこと。強い言い方の3件を全体の傾向として扱わない
- 分類の定義を変えるかどうかの判断。変えるなら、変えた日付と理由を残し、過去分も振り直す
- 抜き取りでの確認。件数上位の分類は全数、それ以外は分類ごとに数件を人が原文で読む
確認の量を先に決めておくと、この作業は続きます。件数上位の3分類は全数を読む、残りは各分類5件を読む、と決めておけば、数百件でも1時間ほどで終わります。決めずに始めると、全部読むか全く読まないかのどちらかになり、多くの場合は後者になります。AIが出した分類は、根拠の原文を人が読んだ行だけを使う。この線を引いておけば、分布の数字を会議で使ってよいかどうかで迷いません。
変化を追う間隔と、比べ方をそろえる
パーセプションは短い期間では動きません。動いたように見えるときは、集め方が変わっていることが多いです。だから間隔と比べ方を先に決めておきます。回し方はこうなります。
3か月分を1区切りにします。月ごとでは件数が少なく、その月に来た案件の業種の偏りで結果が動きます。
商談メモ、失注の記録、問い合わせの言い回し、検索されている語の四つに固定します。途中で集め先を足すと、増えた語が実際の変化か集め先の追加かが分かりません。
前回と同じ定義で振り分けます。定義を変えるなら、過去の区切りも同じ定義で振り直します。振り直さない変更は、変化の記録を壊します。
9か月分を並べて、結びつき先の割れ方と評価の向きの変化を見ます。1区切りだけの上下では判断しません。
どの区切りで何を変えたかを同じ表に書き込みます。これがないと、変化が見えても理由を読めません。
間隔の目安は、外に出した言葉が相手の頭の中に入り直すまでの時間で決めます。BtoBで検討期間が半年から1年なら、四半期ごとに見ても数字はほとんど動きません。見る間隔は四半期でよいが、判断は3区切りたまってからという形にします。1区切りの上下は、集まった案件の業種の偏りで簡単に動くので、そこで打ち手を変えると、変えた効果と偏りの区別がつかなくなります。
比べ方でよく壊れるのは、聞き方を良くしてしまうことです。設問を分かりやすく直したり、集め先を増やしたりすると、前回と比べられなくなります。集め方を改善した区切りは、改善前の集め方も1回だけ並行して残す。両方の結果を持っておけば、差が改善によるものかどうかが分かります。並行して残すのは1区切りだけでよいので、負担も限られます。
変えようとして失敗する三つの型
結びつきを変えようとして、かえって固定してしまう型があります。よく見るのは次の三つです。
- 言い方だけ変える。名乗りの語を新しくしても、相手が経験した中身が変わっていなければ結びつきは前のまま残る。むしろ、言うことが変わる会社という別の結びつきが増える
- 良い評価だけを集める。都合のよい声だけを並べると、ずれている場所が表から消える。外に出すときの選び方によっては、法令上の問題にもなる
- 社内の思い込みを裏付ける形で聞く。「当社は◯◯の会社だと思いますか」と聞けば同意が返る。結びつき先を選択肢で示した時点で、答えはこちらの語彙になる
二つ目は、集めるだけでなく外に出す段になると線が引かれています。消費者庁の「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)は、2023年10月1日から施行されました。同庁が公表している告示の質問と回答は、第三者の声の使い方について「例えば、商品について好意的な評価をしているものだけを選んで引用する場合や、商品の『良い点』・『悪い点』を挙げている回答の『良い点』の部分だけを引用する場合は、『事業者の表示』に当たると考えられます」としています。投稿を依頼する場合についても、星の数を条件にする例を挙げ、その場合は「事業者は表示(投稿)の内容を決定している」と説明しています。違反した場合は「措置命令」(行政処分)が行われます。
三つ目の型を避ける聞き方は決まっています。結びつき先を選択肢で出さず、相手に語を言わせることです。「当社を人に説明するとき、どう言いますか」と聞いて、返ってきた語をそのまま書き取ります。同意を求める形にしません。こちらの語彙で選択肢を作った時点で、返ってくるのはこちらの語彙です。選択肢を使うのは、語が十分に集まって分類が固まったあと、割合を確かめる段になってからです。順番を逆にすると、自分たちの想定を確かめただけの表ができます。
着手する前に確認する項目の一覧
最後に、把握を始める前に決めておく項目を並べます。ここが空欄のまま集め始めると、集まった言葉が使えないまま残ります。
- 誰の頭の中を見るのかを決めたか(既存顧客・検討中・未接触・社内の別部門のどれか)
- 結びつけたい語を1つに絞ったか(二つ以上あると、短くされる過程でどちらかが落ちる)
- 集め先を四つ前後に決め、途中で足さない前提にしたか
- 相手の言葉を要約せず原文で残す形にしたか
- 分類の名前と定義を人が先に決めたか(AIに考えさせていないか)
- AIの振り分けに、根拠の原文を書かせる指示を入れたか
- 人が原文を読む範囲(上位の分類は全数、他は各数件)を先に決めたか
- 集める期間の区切り(3か月)と、判断する時点(3区切り)を決めたか
- 外に出すときの線(好意的な声だけを選んで引用しない、投稿の内容を条件にしない)を関係者に共有したか
- 名乗りの三か所(資料の1ページ目、サイトの見出し、営業の第一声)に同じ語が入っているか確認したか
この一覧のうち、最初の二つが空欄のまま始まる例が多いです。誰の頭の中かを決めずに集めると、既存顧客の言葉と未接触の人の検索語が同じ表に混ざり、平均された結果が出ます。混ざった平均は、どの相手にも当てはまりません。既存顧客の結びつきと未接触の人の結びつきは、そもそも別に扱うものです。
二つ目の、結びつけたい語を1つに絞る項目は、社内の合意が取りにくいところです。絞れば落ちる語が出るので、部門ごとに反対が出ます。決め方としては、落とす語を消すのではなく、1語目に置く語と2語目以降に置く語に分けるとよいです。順番の話にすれば、削除の話になりません。1語目に置く語だけを、名乗りの三か所にそろえて入れるという形にすれば、実務の変更も小さく済みます。
まとめ
パーセプションは、名前を知っている人の数ではなく、その名前が何と結びついて覚えられているかという中身を指します。認知が量の話、パーセプションが中身の話なので、量が伸びても中身がずれていれば、商談は毎回同じ説明から始まります。自分たちが決めた立ち位置と、相手に映っている姿は別の作業として扱い、ずれは自社が言っていること、伝わっている言葉、相手が思い出す場面の三段階のどこで起きているかを分けて見ます。手がかりは商談メモ、失注の記録、問い合わせの言い回し、検索されている語、レビューや口コミから、相手の原文のまま集めます。抜き出しと振り分けはAIに任せられますが、分類の定義を先に決めることと、どの結びつきを目標にするかの決定、少数の声を全体と見なさない判断は人が持ちます。四半期ごとに集め、3区切りたまってから判断する。この形にすれば、認知度の1列では見えなかった中身の入れ替わりが記録に残ります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
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