リスティング広告の費用は何で増えるか|膨らむ仕組みを断つ

リスティング広告の費用は何で増えるか|膨らむ仕組みを断つ

「予算は変えていないのに、同じ件数を取るのに前より費用がかかる」「クリック単価が上がったと説明されたが、こちらは何も操作していない」。——月次の報告を受け取る側から出る言葉です。運用している側は理由を知っていることが多く、説明の言葉が共有されていないだけ、という場合もあります。費用が増えるのは、たいてい使いすぎではありません。増える方向にだけ働く仕組みが複数あり、手を入れるのをやめた期間の長さに比例して、そちらへ寄っていくからです。しかも4つの経路のうち2つは、こちらが1つも設定を触らなくても動きます。何もしないことは、現状維持ではなく、広いほうと高いほうへ流れることを意味します。この記事では、費用が膨らむ4つの経路と、どれを断てば効くのかを整理します。


カメ先生カメ先生

広告費が増えたと聞くと、まず出す量を絞る話になります。ところが絞っても戻らないことが多い。増えたのは出した量ではなく、1回あたりの値段のほうだからです。


カメ子カメ子

値段は自分で決めているものだと思っていました。上限を入れているのに上がるのですか。


カメ先生カメ先生

上限を入れているのは入札の側だけです。実際に払う額は、そのときのオークションで決まります。相手の顔ぶれも、参加できる最低の水準も、検索のたびに計算し直されるので、こちらが何も触らなくても動きます。


カメ子カメ子

操作していないのに動く部分がある、ということですね。


この記事のポイント
  • 費用が増える経路は4つ。オークションの再計算、競合の入れ替わり、対象範囲の広がり、自動入札の目標
  • 増えたときに最初に見るのは総額ではない。1件あたりの単価と、実際に拾った検索の中身から見る
  • 入札の刻みと配分は機械のほうが速い。ただし上限と対象の範囲を人が閉じておかないと、閉じていない範囲は必ず埋まる

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目次

使いすぎではないのに、費用だけが増える

広告の費用が増えたとき、最初に疑われるのは出稿量です。しかし多くの場合、出した量は変わっていません。費用は、1回あたりの単価と回数の掛け算です。回数が同じでも単価が上がれば総額は増えます。そして単価は、こちらの操作とは別の要因でも動きます。

なぜ増える方向にだけ偏るのか。理由は2つあります。1つは、オークションでは他社が入札を上げることはあっても、下げることが保証されていないこと。もう1つは、既定の設定が、広く出すほうに寄っていることです。何も指定しなければ最も広い一致の方法が割り当てられ、範囲は勝手に狭くなりません。

つまり、手を入れない期間が長いほど費用は増えます。放置は現状維持ではなく、緩やかな増加です。半年間まったく触らなかったアカウントで1件あたりの費用が上がっているとき、それは誰かの失敗ではなく、仕組みが働いた結果です。原因を人に求めると対策が「もっと注意する」になり、何も変わりません。

費用は単価と回数に分かれている

原因を追う前に、総額を分解します。表示された回数、そのうちクリックされた割合、結果としてのクリック数、1クリックあたりの単価、そして費用。この並びで見ると、どこが動いたかが一目で分かります。総額だけを追っている限り、原因の情報はどこにもありません

動き方には型があります。回数が増えた型、単価が上がった型、両方が動いた型、そして費用は同じで件数だけ減った型。この4つは打ち手がまったく違うので、最初に型を確定させます。回数が増えたなら対象の範囲を閉じる。単価が上がったなら相手か質か目標を見る。件数だけ減ったなら広告の外、つまり面や後処理を見る。

報告の型を先に決めておくと、この分解が毎月自動的に行われます。総額と件数だけの報告では、受け取る側は何も判断できません。報告に必ず入れるのは、総額、クリック数、クリック単価、件数、1件あたりの費用の5つ。この5つがあれば、型は表を見た瞬間に決まります。

動き方の型総額クリック数クリック単価獲得件数最初に当たる場所
回数が増えた増える増える横ばい増えることもある対象の範囲と除外の手入れ
単価が上がった増える横ばい上がる横ばいか減る相手の入れ替わりと質
両方が動いた大きく増える増える上がる増えても割に合わない自動入札の目標の水準
費用は同じで件数が減った横ばい横ばい横ばい減る広告の外(面と後処理)

経路1:オークションは検索のたびに計算し直される

1つ目の経路は、オークションそのものの性質です。代表的な検索広告の媒体の公式な説明では、掲載の順位を決めるスコアは、入札の単価、広告と遷移先の面の品質、参加できる最低の水準、オークションにおける競争力、利用者が検索に至った背景、広告に添える要素の効果、という6つの要素に基づいて決まるとされています。

重要なのは、これが利用者が検索するたびに計算され、掲載の位置が毎回決め直される点です。つまり、こちらの設定が1か月まったく同じでも、実際に払う単価は毎日違います。月次の平均だけを見ていると、この揺れが「上がった」「下がった」として現れます。

参加できる最低の水準についても、公式に説明があります。質の低い広告に対しては水準が引き上げられる上位に表示される広告には、下部に表示される広告よりも高い水準が設定される、そして利用者の所在地や端末、検索の話題や性質によっても変わる、とされています。上に出るほど1回が高くなるのは、こういう仕組みだからです。

この経路への対処は、単価を下げる操作ではなく、どの位置を狙うかの決定です。常に最上位を狙う設計は、この水準の差をそのまま費用として払い続けることになります。品質の指標そのものをどう上げるかは別の論点なので、ここでは「相手と位置で単価が動く」という事実だけを押さえます。

経路2:競合が入れ替わると、こちらの単価が動く

2つ目は、参加者の入れ替わりです。オークションである以上、こちらの単価は相手の入札に依存します。競合が1社増えるだけで、こちらは1つも設定を触っていないのに実際の単価が上がります。逆に、季節的に競合が引くと勝手に下がります。

入れ替わりは、新規の参入だけではありません。既存の競合が予算を増やした、自動の入札に切り替えた、遷移先の面を作り直して品質が上がった。どれもこちらの相対的な位置を下げます。自分の品質が下がっていなくても、相手が上がれば相対的には下がります

この経路に気づく場所は決まっています。ページの上部に表示された割合と、その割合を失った要因の内訳です。要因が「順位」に寄っていれば相手の話、「予算」に寄っていれば自分の話。この2つを分けずに「表示が減った」とだけ報告すると、必ず予算を増やす方向の議論になります。

対処は、追いかけないという選択を含みます。相手の予算が桁で違う語では、上位を取り続けるほど1件あたりが悪化します。同じ需要を別の言い方で拾う、比較の段階の検索に寄せる、あるいはその語を捨てる。相手の入れ替わりは自分では止められないので、当たる場所を変えるのが現実的な対処になります。

経路3:対象の範囲は、放っておくと広がる

3つ目は範囲です。ここが最も見落とされます。まず、指定しなければ最も広い一致の方法が既定で割り当てられます。公式には、この方法は一致する対象の範囲が最も広いため、すべてのキーワードに既定で割り当てられる、と説明されています。

さらに重要なのは、最も狭い完全一致にしても範囲は広がることです。公式の説明では、語順の違い(たとえば靴と男性用を入れ替えたもの)、助詞や接続詞のように検索の意図に影響しない語の追加と削除、言い換えや類義語、検索の意図が同じ語句が対象に含まれます。公式の例では、スイムウェアという完全一致の語で水着という検索にも出る、無料素材という語でフリー素材という検索にも出る、とされています。これらは既定で有効で、無効にすることはできません

つまり、除外の手入れをやめた瞬間から、拾う検索は静かに広がります。法人向けでは特に問題になります。一般名詞に近い語を持っていると、学習目的の検索、就職活動、個人の利用者、同業の調査を拾います。クリックは増え、件数もいくらか増えるので、しばらく誰も異常だと思いません

見る場所は1つです。登録していない語で発生した費用が、全体の何割を占めるか。この割合を月ごとに並べると、手入れが止まった月がはっきり分かります。除外は語ではなく意図で溜めます。求人、無料、自作、意味、とは、事例集、比較サイト。意図で溜めておくと、新しい語が出てきても同じ箱に入ります。

経路4:自動入札は、目標に向かって単価を上げる

4つ目は入札の自動化です。これは機械学習の仕組みで、公式にはオークションごとに入札を計算し、各オークションで獲得件数または獲得した価値を最適化する、と説明されています。ここに費用が膨らむ理由が書かれています。最適化の対象は費用ではありません

目標を件数の最大化に置けば、単価が上がっても件数を取りに行きます。これは不具合ではなく仕様どおりの動作です。1件あたりの目標を置けば単価に手綱がつきますが、その目標を実力より高く置けば、置いた分まで使います。目標の水準は、そのまま許容する単価の宣言です

予算に余りがある場合も同じ方向に働きます。余った予算は、より高い入札に回ります。予算を増やした翌月に単価も上がるのは、この経路です。予算を増やすことは、量を増やす操作であると同時に、単価の上限を緩める操作でもあります

件数が足りない状態で入れると、さらに振れます。公式には、1か月以上の期間で30回以上の獲得(価値を目標にする場合は50回以上)が推奨されるとされています。件数がこれを大きく下回るアカウントでこの仕組みを入れると、学習が安定せず、入札が大きく上下します。件数が少ないうちは、範囲を狭くして分母を絞るほうが先です。

経路何が上がるかこちらの操作の有無最初に見る場所
オークションの再計算実際のクリック単価操作していなくても毎日動く狙う位置の設定
競合の入れ替わり参加の水準と競争操作していなくても動く上部の表示割合と、失った要因
対象範囲の広がりクリック数手入れを止めると広がる登録外の語で出た費用の割合
自動入札の目標実際のクリック単価目標の置き方で決まる目標値と実績の1件あたりの差

シナリオ:半年で1件あたりが1.8倍になった経過

4つの経路は、単独ではあまり目立ちません。重なると効きます。よくある半年の流れを追います。どの月も判断そのものは間違っていない、という点に注目してください。

STEP1
1か月目:整った状態で始まる

完全一致とフレーズ一致を中心に組み、除外を毎週手入れし、1件あたりの目標を実力に合わせて置きました。1件あたりの費用は想定どおりです。

STEP2
2か月目:件数を伸ばしたくて予算を上げる

成果が出ているので予算を1.3倍にしました。件数は増えましたが、余った予算がより高い入札に回り、クリック単価が1割ほど上がります。誰も問題視しません。

STEP3
3か月目:担当が替わり、手入れが止まる

除外の追加が止まります。類似の言い換えを拾う範囲は既定で有効なので、対象は静かに広がります。クリック数が増え、件数も少し増えるので、指標の上では好調に見えます。

STEP4
4か月目:競合が2社増える

参加の水準と競争が上がり、単価がさらに上がります。上部に表示された割合が落ちます。ここではじめて「何かおかしい」と言われますが、原因は複数に分かれていて特定できません。

STEP5
5か月目:上位に戻すため目標を緩める

表示の割合を戻したくて、1件あたりの目標を引き上げます。件数は戻りますが、緩めた分がそのまま単価になります。総額は目に見えて増えます。

STEP6
6か月目:一度止めて仕切り直そうとする

増えすぎたので配信を止める案が出ます。しかし止めている間も相手は動き続け、学習の材料は古くなります。再開後しばらくは、止める前より条件が悪い状態から始まります。

この6か月で、月ごとの判断はどれも合理的でした。増えたのは判断の誤りではなく、順番と、戻せるかどうかを考えずに触ったからです。範囲を閉じないまま予算を上げ、範囲が広がったまま目標を緩め、最後に最も戻しにくい操作を選んだ。この順番が逆なら、同じ半年でも結果は違います。

増えたときに最初に見る場所

では、増えたと分かったとき、どこから見るか。総額からは見ません。総額は予算の設定でいくらでも動くので、原因の情報を持たないからです。1件あたりの費用から見て、次にクリック単価、クリック数、拾った検索の中身、上部の表示割合の順に降ります。

比べる相手も決めておきます。前月と比べると、月の日数と平日の数、季節の需要で揺れます。前年の同じ月と、直近13週の中央値。この2つを基準にすると、揺れに振り回されません。1か月だけの変化で判断しない、という決まりが最も効きます

見つけたあとの当たり方も、型で決まります。単価が上がっているなら相手か位置か目標。回数が増えているなら範囲か予算。件数だけ減っているなら広告の外。この対応表を先に共有しておくと、原因の議論が15分で終わります。共有していないと、毎回同じ議論を最初からやり直すことになります。

  • 1件あたりの費用を、前年の同じ月と直近13週の中央値の両方と比べた
  • クリック単価とクリック数のどちらが動いたかを確定させた
  • 登録していない語で発生した費用の割合を出した
  • 上部に表示された割合と、それを失った要因の内訳を見た
  • 目標として置いた1件あたりの値と、実績の差の向きを確認した
  • この期間に自分たちが行った設定変更の一覧を並べた

自動入札はAIだが、費用を増やす方向にも働く

ここが誤解の中心です。入札の自動化は機械学習の仕組みであり、確かに人より速く正確に働きます。ただし速く正確に向かう先は、こちらが指定した目標です。目標が件数なら、単価を上げてでも件数を取りに行きます。費用を抑えることは目的関数に入っていません。

任せてよいのは、入札の刻みと配分です。時間帯、端末、地域、検索の文脈ごとに入札をどれだけ上下させるかは、人の手作業では追いつきません。この部分を人が握り続ける理由はほとんどありません。任せてはいけないのは、どこまで出すかという範囲の決定です。範囲は目的関数の外にあります。

そして、どの検索が商談になるかという情報は、広告の管理画面の中には存在しません。受注の記録の中にしかありません。件数として同じ1件でも、事業から見た価値は10倍違うことがあります。この差を機械は知らないので、知っている側が範囲を決める必要があります。

「機械が勝手に使った」という言い方は正確ではありません。目的を件数に置き、範囲を開けたままにしたのは人です。責任の話をしたいのではなく、直せる場所が人の側にあるという意味です。設定を直せば、次の月から挙動は変わります。

  • 件数の最大化を選んだうえで、1件あたりの上限も範囲の指定も入れていない
  • 予算を増やすときに、目標の水準を据え置かず一緒に緩めている
  • 商談になった検索とならなかった検索を営業側と突き合わせていない
  • 自動化しているから見なくてよい、と週次の確認をやめている

上限と対象範囲は、人が先に閉じる

閉じる順番があります。第1に対象の範囲、第2に目標の水準、第3に予算。この順でなければ効きません。範囲を開けたまま予算だけ絞ると、狭い予算で広い範囲を薄く回ることになり、単価は下がらず件数だけ減ります。最も割に合わない状態です。

範囲を閉じる具体は4つです。拾う検索を意図で除外していく。地域の指定を、興味を示した人ではなく所在地に寄せる。配信する時間帯を、受電や返信ができる時間に合わせる。成果が出ていない広告グループを止める。いずれも数分でできて、効果は翌日から出ます。

目標の水準は、実力の範囲に置きます。直近13週の中央値を基準にして、そこから大きく離れた値は置かない。目標を高く置くことは、単価が上がることを許可する宣言です。上げる必要があるなら、上げる理由と、いつ戻すかを先に書いておきます。

  • 範囲を閉じる操作は、ほとんどが戻せます。除外は外せますし、地域の指定も戻せます
  • 戻しにくいのは、キャンペーンの作り直しと、獲得の定義の変更です。この2つは学習の材料そのものを入れ替えます
  • 週に1回、費用の上位に来た検索語句だけは人が目で見ます。要約は機械に任せてよいですが、目を通す対象からは外しません

学習の材料を入れ替える操作は、費用の跳ね上がりになる

ここで、広く信じられている誤解を1つ訂正しておきます。目標の値を変えても、学習は振り出しに戻りません。公式には、目標値を変更しても状態が学習中に戻ることはなく、すでに学習した内容がリセットされることも一切ない、と明記されています。目標を触るのを怖がる必要はありません。入札は速やかにその値に向かって調整されます。

戻るのは別の操作です。入札の戦略そのものを別の種類に変える、キャンペーンを作り直す、獲得として数える行動の定義を変える、長期間止める。これらは学習の材料を入れ替える操作なので、しばらくは費用の効率が落ちた状態から始まります。公式にも、参加するオークションが大きく変わった場合には、獲得までの周期の1回から2回程度は成果が安定しないことがあると書かれています。

だから、増えたときに「一度止めて仕切り直す」を選ぶのは、しばしば最も高くつきます。止めている間も相手は動き、材料は古くなり、再開したときの条件は止める前より悪いことがあります。停止と再開の段取りそのものは別の論点ですが、費用を抑える目的で全体を止めるのは、順番として最後だと覚えておいてください。

実務の決まりは2つで足ります。変更は1度に1つ。変更したら、獲得までの周期が1回から2回まわるまで次を触らない。そして、いつ何を変えたかを記録に残す。記録がないと、悪化したときに戻す先が分かりません

止めると効くもの

実際に費用に効く操作を、効く順に並べます。第1に、対象の範囲を閉じること。意図での除外を追加し、一致の方法を絞る。これは単価と回数の両方に効きます。範囲が狭くなれば、質の低いクリックが減り、平均の単価も下がります。

第2に、目標の水準を実力に戻すこと。緩めた目標を戻すと、単価は目に見えて下がります。件数も減りますが、1件あたりで見れば改善します。第3に、成果が出ていない広告グループを止めること。これは回数に効きます。第4に、予算を上げるのをやめること。余った予算が高い入札に回る流れを止められます

この4つに共通するのは、どれも戻せることです。効かなければ元に戻せばよく、試す費用が低い。戻せる操作から順に試す、というのが費用を抑えるときの原則です。戻せない操作を先に選ぶと、失敗したときに元の状態に帰れません。

  • 意図で除外を追加する(求人、無料、自作、意味、事例集など)
  • 一致の方法を絞る(ただし完全一致でも言い換えは拾うことを前提にする)
  • 目標の1件あたりの値を直近13週の中央値まで戻す
  • 成果の出ていない広告グループを止める
  • 予算の増額をいったん止め、1件あたりが戻るかを見る

止めても効かないもの

逆に、よく試されるのに効かない操作もあります。第1に、広告文の細かい書き換え。単価が上がった主因が相手の入れ替わりであれば、文言を変えても相手は変わりません。効くとしても効き方が遅く、原因が別の場所にあるときは時間の無駄になります。

第2に、全体をいったん止めること。止めている間も相手は動き続け、こちらの材料だけが古くなります。第3に、掲載の位置を上げること自体。上位ほど参加の水準が高いという公式の説明のとおり、上げるほど1回が高くなります。表示の割合を取り戻すために目標を緩める、という手は、費用の観点では逆向きです。

第4に、費用の安い媒体に移すこと。同じ検索の需要を追う限り、相手は同じ顔ぶれです。媒体を変えても、需要の側が変わらなければ単価の構造は変わりません。第5に、品質の指標を目標にすること。これは診断のための指標であって、直接操作するものではありません。指標を目標にすると、指標だけが良くなって費用は変わらない、という結果になりがちです

効かない操作を止めるだけでも、運用の時間は空きます。空いた時間を、効く4つ(範囲、目標、グループ、予算)に振り向ける。やることを増やすより、効かないことをやめるほうが速いのが、費用に関する打ち手の特徴です。

月の途中で気づく仕掛け

月末の報告で気づいたときには、その月はもう終わっています。費用の管理で決定的なのは、月の途中で気づけるかどうかです。仕掛けは4つで足ります。

1つ目、週の初めに1件あたりの費用を1行だけ見る。2つ目、登録していない語で出た費用の割合を週次で見る。3つ目、上部に表示された割合の推移を見る。4つ目、月の日数に対する費用の消化の進み方を見る。どれも1分で終わる確認です。時間がかかる確認は続きません。

そして、閾値を先に決めておきます。「1件あたりが直近13週の中央値の1.2倍を超えたら、その週のうちに範囲を確認する」といった形です。閾値がないと、毎週見ても何もしないまま月末が来ます。数字を見る習慣と、動く基準は別のものです。

最後に、誰が見て誰が止められるかを決めます。見る人と止める権限を持つ人が違うと、気づいても止まりません。この確認は、集計と前週との差分の抽出をAIに任せて構いません。同じ形の1枚にまとめさせ、変化の大きい行を並べさせる。ただし閾値の判定と、止める判断は人が持ちます。基準を機械に持たせると、基準を変えた記録が残らなくなります。

週に1回、1分で見る4項目
  • 1件あたりの費用(直近13週の中央値と比べる)
  • 登録していない語で発生した費用の割合(前週と比べる)
  • ページ上部に表示された割合と、それを失った要因の内訳
  • 月の日数に対する費用の消化の進み方

よくある質問

予算を半分にすれば、費用は半分になりますか

総額は下がりますが、1件あたりは下がらないことが多いです。予算を絞っても、拾う検索の範囲とオークションの相手は変わりません。範囲を閉じずに予算だけ絞ると、同じ質のクリックを少ない回数だけ買うことになり、効率は変わらないまま件数だけ減ります。閉じる順番は、範囲、目標、予算です。

クリック単価が上がったのは、品質が下がったからですか

その可能性もありますが、こちらの品質が同じでも上がります。競合が入れ替わる、相手の面が良くなる、狙う位置が上がる、拾う検索の話題が変わる。いずれも単価を動かします。品質の指標が下がっていないのに単価が上がっているときは、相手か位置か範囲を先に見てください。

完全一致にすれば、対象は広がりませんか

広がります。公式の説明では、語順の違い、助詞や接続詞の追加と削除、言い換えや類義語、意図が同じ語句が完全一致の対象に含まれ、これらは既定で有効で無効にできないとされています。完全一致は「狭い」であって「固定」ではありません。だから除外の手入れが要ります。

一度止めて、落ち着いてから再開するのは有効ですか

費用を抑える目的では、順番として最後に置くべき手です。止めている間も相手は動き、学習の材料は古くなります。再開後しばらくは条件が悪い状態から始まるので、止める前より1件あたりが上がることがあります。先に範囲と目標を閉じて、それでも足りないときの最後の手段と考えてください。

目標の値を触ると、学習がやり直しになりますか

なりません。公式には、目標値を変更しても状態が学習中に戻ることはなく、すでに学習した内容がリセットされることも一切ない、と明記されています。やり直しに近い状態になるのは、入札の戦略そのものを別の種類に変えたとき、キャンペーンを作り直したとき、獲得の定義を変えたときです。

代理店の手数料を減らせば、総額は下がりますか

手数料の分は下がりますが、この記事で挙げた4つの経路は手数料とは無関係に働きます。体制をどう組むかは別の判断になるので、そちらは体制の議論として切り分けてください。少なくとも、費用が膨らんでいる原因が4つの経路にあるなら、体制を変えても同じ経路は残ります。

まとめ

リスティング広告の費用が増えるのは、たいてい使いすぎではありません。オークションが検索のたびに計算し直されること、競合が入れ替わること、対象の範囲が既定で広いこと、自動の入札が費用ではなく件数や価値に向かうこと。この4つが、手を入れない期間の長さに比例して効いてきます。

だから対処も、注意深くなることではなく、閉じる順番を決めることです。範囲を閉じ、目標を実力に戻し、そのうえで予算を決める。この順番なら、戻せる操作から順に試せます。逆順にすると、最も戻しにくい操作から手をつけることになります。

そして、月末を待たないこと。1件あたりの費用、登録外の語で出た費用の割合、上部の表示割合、消化の進み方。この4つを週に1分見て、動く基準を先に決めておく。仕組みで増えるものは、仕組みで止めるしかありません。次の月次の報告を受け取る前に、この4つの数字が今どうなっているかを確かめておくと、話の始まりが変わります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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