表示の指摘が届く原因と収め方|確約で早く立て直す

「貴社の表示について確認したいことがあります」。この一文が届いたとき、社内は静まります。多くの担当者はここから先の流れを知りません。何を求められ、どういう選択肢があり、どこで終わるのか。実は2024年10月から、自主的に是正して早く収める道が制度として用意されました。この記事では、指摘が届いてからの流れと、その新しい道の使いどころを整理します。
カメ先生表示について指摘を受けたとき、争うか受け入れるかの2択だと思っていませんか。
カメ子そう思っていました。命令を受けて公表されるか、争って長引くかのどちらかだと。
カメ先生2024年10月から、自主的な是正の計画を出して認めてもらう道が加わりました。使いどころがあります。
カメ子3つ目の道があるということですね。制度を知らないと選べません。
- 指摘の入口は、行政の調査、他社や消費者からの申出、そして自社での発見の3つ
- 2024年10月から確約手続が入り、是正の計画が認定されれば命令や課徴金の適用を受けない
- 確約の認定時には事業者名や行為の概要が公表される。公表を避ける制度ではない
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表示の指摘はどう届くのか
指摘は突然届くわけではなく、多くの場合その前に何かが起きています。第1に、競合からの申出。自社の表示が過大だと考えた同業が行政に情報を提供する形です。第2に、購入した相手からの申出。第3に、行政が自ら市場を調べて見つける形です。
最初の接触は、資料の提出を求める連絡という形をとることが多くなります。「この表示の根拠となる資料を出してください」という照会です。この段階では違反が確定しているわけではなく、確かめる段階にあります。
ここでの対応が、その後を大きく左右します。資料を出せれば、そこで終わることもあります。出せない、あるいは出した資料が根拠として弱い場合に、次の段階へ進みます。
なお、指摘を受けたこと自体は公表されません。公表されるのは、命令が出された場合や、後述する是正の計画が認定された場合です。照会の段階で慌てて社外に説明する必要はありません。
根拠となる資料の提出を求められたとき
効果や性能について優れていると示す表示について、行政は期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。提出がない場合、根拠のない表示として扱われます。これが最も重い局面です。
定められる期間は短く、実務では2週間程度と説明されることが多い枠組みです。この間に、調査の設計、試験の方法と結果、第三者による評価の記録などを揃える必要があります。散らばっていると間に合いません。
提出した資料が根拠として認められるには、その表示の内容を裏づけていることが必要です。似た製品についての試験の結果、条件の違う環境での測定、表示の内容と対応していない資料では認められません。
だからこそ、表示を始める時点で資料を揃えておく運用が要ります。効果や性能をうたう表示については、根拠の資料を表示と紐づけて保管する。求められてから作るのでは間に合わない構造になっています。
措置命令までの流れ
調査の結果、違反があると判断されると、行政は是正を求める命令を出せます。命令の内容は、その表示をやめること、誤認を解消するための周知、再発を防ぐ措置を取ることなどです。
命令が出ると、その事実が公表されます。事業者名、対象となった表示、命令の内容。この公表が、実務上は最も影響の大きい部分です。取引先や顧客からの問い合わせが集中します。
命令に従わない場合には、さらに重い措置が用意されています。したがって、命令が出た段階では従うことを前提に、いかに早く周知と再発の防止を進めるかが焦点になります。
なお、命令の前には意見を述べる機会が与えられる手続があります。自社の主張がある場合は、この機会に示すことになります。この段階では専門家の関与が前提です。
課徴金の仕組み
効果や性能について優れていると誤認させる表示、あるいは取引の条件が有利だと誤認させる表示については、課徴金の納付を命じられる場合があります。対象となる期間の売上額に一定の率を掛けた額が基準になる構造です。
課徴金は、違反を知らなかった場合や、額が一定の水準に達しない場合には課されない仕組みも置かれています。ただし、「知らなかった」で当然に免れるわけではなく、相当の注意を払っていたことが問われます。
2024年10月の改正では、この仕組みが見直されました。違反の行為から遡って10年以内に課徴金の納付を命じられたことがある事業者については、課徴金の額を1.5倍に加算する規定が新設されました。繰り返しへの対応が強まった形です。
また、購入した相手に返金する措置を取った場合に課徴金を減額する仕組みについても、より使いやすい形に見直されました。返金の方法の選択肢が広がったと整理されています。
2024年10月に何が変わったか
改正の内容は4つに整理できます。第1に、確約手続の導入。第2に、課徴金の額の加算。第3に、返金の措置の弾力化。第4に、故意に行った場合の罰則の新設です。施行は2024年10月1日からです。
第4の罰則は、故意に優れていると誤認させる表示、あるいは有利だと誤認させる表示を行う行為について、100万円以下の罰金を科す規定です。命令に従わなかった場合の罰則とは別に、行為そのものを直接に罰する構造が加わりました。
この罰則は、故意に行った場合に限られます。うっかりした表示が直ちに対象になるわけではありません。ただし、根拠がないことを知りながら表示を続けた場合は該当しうる形です。指摘を受けた後に表示を続けるのは危うい対応です。
実務への影響として大きいのは、第1の確約手続と第4の罰則です。前者は早く収める道を開き、後者は放置の代償を高めました。どちらも「早く手を打つ」ことを促す方向の変更です。
確約手続とは何か
優れていると誤認させる表示などの疑いがある事業者が、自ら是正の措置の計画を作って申請し、認定を受けたときは、その行為について是正を求める命令と課徴金の納付命令の適用を受けないという仕組みです。
流れは3段階です。第1に、行政から確約手続に関する通知が届く。第2に、事業者が是正の措置の計画を作って申請する。第3に、内容が認められれば認定される。認定を受けると、その行為について命令等の適用を受けません。
計画に書くのは、問題となった表示をやめること、誤認を解消するための周知、そして再発を防ぐための社内の体制の整備です。実効性のある内容でなければ認定されません。
| 命令が出る流れ | 確約手続を使う流れ | |
|---|---|---|
| 進め方 | 行政が調査し命令を出す | 事業者が計画を申請し認定を受ける |
| 期間 | 調査から命令まで長くかかる | 比較的短い期間で収まる |
| 命令と課徴金 | 適用される | その行為については適用されない |
| 公表 | 命令の内容が公表される | 計画と行為の概要、事業者名が公表される |
表の最後の行が重要です。確約手続を使っても公表は行われます。認定の時点で、計画の内容、疑いのある行為の概要、事業者名などが公表される仕組みです。公表を避けるための制度ではありません。
確約手続を選ぶ利点
利点は3つです。第1に、期間が短くなること。調査が長引くと、その間ずっと社内の資源が割かれます。早く終わることそのものが実務上の利益です。
第2に、課徴金の納付命令の適用を受けないこと。対象となる売上が大きい場合、この差は大きくなります。特に、繰り返しの加算の対象になりうる事業者にとっては検討する価値が高い選択です。
第3に、自主的に是正した事業者として位置づけられることです。公表される内容が命令を受けた形とは違うため、取引先への説明のしやすさが変わります。「自ら計画を出して認定を受けた」という説明ができます。
一方で、計画を実行する義務が生じます。計画どおりに進めなければ、認定が取り消される可能性があります。実行できる内容の計画を作ることが前提です。見栄えのよい計画を出しても、実行できなければ意味がありません。
確約手続を使えない場合もある
この手続は、あらゆる場合に使えるわけではありません。行政から通知が行われることが起点になるため、自社が希望すれば必ず使えるという構造ではありません。重大な事案や繰り返しの事案では選ばれない場合があります。
したがって、「確約で収めればよい」と考えて表示の管理を緩めるのは誤りです。使えるかどうかは自社が決められません。あくまで、指摘を受けた場面での選択肢の1つと理解してください。
また、確約の認定を受けたことは記録に残ります。同じ会社が繰り返し確約を使う形になれば、次の事案で選ばれない可能性が高まると考えられます。一度で立て直す前提で計画を作ってください。
この制度が入った意味は、むしろ平時の運用に効いてきます。指摘を受けたときに自主的に是正する道が用意されているということは、自主的に是正できる体制を持っている会社が有利になるということです。表示と根拠の一覧があり、確認の担当が決まっている会社は、計画を短期間で作って実行できます。制度を使える状態を作っておくこと自体が備えになります。
優良誤認と有利誤認はどう違うのか
規制の対象となる表示は、大きく2つに分かれます。第1に、商品やサービスの品質や規格について実際より著しく優れていると誤認させる表示。第2に、価格や取引の条件について著しく有利だと誤認させる表示です。前者が優良誤認、後者が有利誤認と呼ばれます。
法人向けの事業で起きやすいのは、優良誤認のほうです。効果や性能をうたう表現、対応できる範囲の説明、実績の件数や導入の社数。いずれも実態より大きく書いてしまいやすい部分です。
有利誤認は、価格の見せ方で起きます。通常の価格として示した額で実際には売っていなかった場合、値引きの幅を実際より大きく見せたことになります。期間を限った特別な価格を常時掲げ続けるのも同様です。
- 効果や性能をうたう表現は、根拠の資料とセットで保管する
- 通常の価格として示す額は、実際にその額で販売していた実績が必要
- 期間を限定した価格は、期間が終わったら実際に戻す
なお、この2つ以外にも特定の商品や表示について個別に定められた決まりがあります。自社の商材に固有の決まりがないかを確かめておく必要があります。業種によっては別の法律も重なります。
起きやすい表示の類型
実務で問題になりやすい表現には型があります。第1に、効果を断定する表現。「必ず」「確実に」「誰でも」といった言い回しです。条件によって結果が変わるものを断定すると、実態より優れていると受け取られます。
第2に、比較の表現です。「他社の2倍」「業界最速」といった比較は、何と比べたのか、どういう条件で測ったのかを示せなければ根拠を欠きます。比較の対象が明示されていない表現は、危うい形です。
第3に、実績の数字です。導入の社数、改善の割合、利用者の満足の度合い。数え方の定義を決めずに書いた数字は、根拠として示せません。無料で試している会社を含めるのかどうかで、社数は大きく変わります。
第4に、注記に頼った表現です。本文で大きく効果をうたい、小さな注記で条件を添える形。読み手が最初に受け取る印象で判断されるため、注記があっても足りない場合があります。
打消しの表示は読まれない前提で考える
条件や例外を示す注記は、打消しの表示と呼ばれます。この表示が有効に働くには、読み手が実際に読める形で置かれている必要があります。置いてあるだけでは、伝えたことになりません。
有効に働かない置き方としては、文字が小さすぎる、背景と色が近くて読みにくい、本文から遠く離れている、画面をかなり下まで動かさないと現れない、動画の中で一瞬だけ表示される、といった形が挙げられます。
実務の目安は、本文と同じ程度に読める大きさで、本文のすぐ近くに置くことです。注記を小さくしたい動機があるときは、そもそも本文の表現が過大です。本文を実態に近づけるほうが、根本的な解決になります。
動画や音声で伝える場合は特に難しくなります。画面に文字で示しても短時間では読めず、音声で読み上げるには時間がかかる。この場合は、条件が必要な表現そのものを避ける判断が現実的です。条件を付けずに言い切れる範囲まで表現を弱めれば、注記そのものが不要になります。動画の企画の段階で、この観点から表現を見直しておくと後戻りがありません。
初動でやること
指摘や照会が届いたときの初動は4つです。第1に、対象となる表示を特定して現状の掲載箇所をすべて洗い出す。第2に、根拠の資料を集めて手元に揃える。第3に、専門家に連絡する。第4に、社内の窓口を1つに絞ります。
第1の洗い出しが最も時間を食います。同じ表現が、サイト、資料、提案書、展示会のパネル、広告、動画の中に散らばっています。1か所を直しても、他が残れば意味がありません。
サイト、資料、提案書、広告、動画まで含めて一覧にします。営業が個別に作った資料も探します。
調査の設計、試験の結果、第三者の評価を集め、表示の内容と対応しているかを確かめます。
資料の強さを見て、説明で収まるか、是正に進むかを判断します。自社だけで決めません。
行政とのやり取りの窓口を1人に絞り、社内の他の担当が個別に答えないようにします。
第4の窓口の統一は、実務上の効果が大きい対処です。複数の担当が別々に答えると、説明が食い違い、意図せず不利な材料を作ってしまいます。
社外への説明の順番
公表が行われる場合、社外への説明が必要になります。順番は、既存の顧客、取引先と代理店、そして一般への公表です。既存の顧客が最初に知るべき相手であり、報道で知る形は避けたい状況です。
説明の内容は3点に絞ります。何が問題とされたのか、どう是正するのか、顧客に影響があるのか。特に3点目を明確にします。「すでに購入した製品の性能に問題はない」といった点は、早く伝えるほど不安を抑えられます。
避けるべきは、言い訳の多い説明です。経緯の説明より、これからどうするかを中心に据えます。読み手が知りたいのは、自分に影響があるかと、この会社は直すのかの2点です。
営業に渡す説明の材料も用意します。顧客から問われたときに何をどう答えるかを1枚にまとめ、それ以上のことは窓口に回すよう伝える。個別の判断を現場に委ねると、説明が食い違います。
再発を防ぐ体制を作る
是正の計画にも、命令の内容にも含まれるのが再発の防止です。求められるのは、表示の管理のための措置を実際に機能する形で講じることです。規程を作るだけでは足りません。
最低限の仕組みは4つです。第1に、社外に出す表示を確認する担当を決める。第2に、効果や性能をうたう表示には根拠の資料を紐づけて保管する。第3に、表示と根拠の一覧を作る。第4に、担当者への教育を定期的に行う。
第2と第3が実務の中心です。表示の一覧があれば、指摘を受けたときの洗い出しが速くなります。一覧を持っている会社と持っていない会社では、初動の速さが数日変わります。
第4の教育は、年に一度で足ります。内容は、起きやすい表現の型と、迷ったときの相談先の2点に絞ります。詳しい法律の解説より、危うい表現を見分ける目を養うほうが実用的です。実際に社内で使われている表現を題材にすると、参加者の理解が早くなります。外部の事例だけを並べた研修は、自分の業務と結びつかないまま終わりがちです。
加えて、確認の記録を残す運用にします。誰が、いつ、どの表示を確認したのか。記録があれば、管理の措置を実際に講じていたことを示せます。規程だけがあって記録がない状態は、実際には機能していなかったと見られる余地を残します。
- 指摘を受けた後も、根拠の確認をせずに同じ表示を掲載し続ける
- サイトの表示だけを直し、資料や提案書に残った同じ表現を放置する
- 複数の担当が個別に行政とやり取りし、説明が食い違う
- 確約の計画に実行できない内容を書き、期限までに進められない
- 公表の前に既存の顧客へ説明せず、報道で知られる形になる
この5つは、いずれも影響を大きくする形です。共通するのは、準備と統制の不足です。平時に一覧と窓口を決めておくだけで、大半は避けられます。
代理店や制作会社との責任の分担
表示を作ったのが外部の会社であっても、表示の責任はその表示を用いて商品やサービスを供給する事業者が負います。制作会社に任せたから免れる、という構造にはなっていません。
したがって、外部に制作を依頼する場合も自社で確認する工程が必要です。効果をうたう表現が入っていないか、根拠のない比較や最上級の表現が入っていないか。納品されたものをそのまま公開するのは避けてください。
代理店が自社の商品について独自に表示を作る場合は、使ってよい表現の一覧を渡します。禁止事項を並べるより、使える表現を渡すほうが守られます。渡した記録も残しておきます。
契約の面でも整えます。表示の内容について自社の承認を必要とする条項、根拠のない表現を使わない義務、問題が生じた場合の協力の義務。契約に書いておくと、実際に起きたときの動きが速くなります。
共同で商品を出す場合は、責任の所在がさらに複雑になります。表示を作ったのはどちらか、供給しているのはどちらか。供給している側が責任を負う構造なので、共同の企画では表示の承認の手順を先に決めます。相手が作った表示をそのまま使い、後から問題が生じたときに「相手が作ったものだ」と主張しても通りません。共同の企画では、双方が確認する工程を必ず置いてください。
よくある質問
指摘を受けたら必ず公表されるのですか
いいえ。照会の段階で説明が受け入れられて終わる場合、公表はされません。公表されるのは、是正を求める命令が出された場合や、是正の計画が認定された場合です。したがって、照会の段階での対応が公表を左右します。資料を揃えて速やかに答えることが最も有効な対処です。
確約手続を自社から申し出ることはできますか
この手続は行政からの通知を起点とする構造になっています。自社の希望だけで使えるものではありません。ただし、自主的に問題を見つけて是正した事実はその後の判断で考慮されうる材料になります。自ら見つけたなら、通知を待たずに直してください。
過去の資料に残っている表現も対象になりますか
社外に出た状態が続いているなら、対象になりえます。共有の場所に置いたままの資料、取引先に配ったままの冊子、公開している動画。洗い出しの際は、現在編集している資料だけでなく過去に配ったものまで含めて確かめてください。
まとめ
表示についての指摘は、根拠の資料を求める照会から始まることが多く、そこで資料を出せるかどうかがその後を左右します。2024年10月からは確約手続が加わり、是正の計画が認定されれば命令と課徴金の適用を受けない道が開けました。ただし認定時には事業者名や行為の概要が公表され、使えるかどうかは自社が決められません。同時に、故意に行った場合の罰則が新設され、繰り返した場合の課徴金の加算も入りました。放置の代償は上がっています。平時にやるべきことは、表示と根拠を紐づけた一覧を作り、確認の担当と窓口を決めておくこと。この2つがあれば、届いたときの初動が数日速くなります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
