買い手はAIで下調べを終えて来る|接点の置き直し方

買い手はAIで下調べを終えて来る|接点の置き直し方

「問い合わせが来た時点で、もう他社と比べ終わっている」「初回の商談で説明するつもりだった内容が、相手の手元の資料にすでに書いてあった」。営業とマーケティングの両方を見ている方から、ここ一年でこうした声が急に増えました。これは説明の腕が落ちたわけでも、資料の出来が悪くなったわけでもありません。買い手が下調べを終える場所が、検索結果の一覧からAIとの対話へ移ったのです。この記事では、買い手が接触してくるまでに何を済ませているのかを一件の案件に見立てて追いながら、どの段階にどんな接点を置き直すかを整理します。


カメ先生カメ先生

買い手がAIで下調べをするようになった、と聞くと検索が置き換わった話だと思われがちなんだけど、本当は『会う前に順位がついている』という話なんだ。


カメ子カメ子

調べ方が変わっただけではない、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。候補を挙げるところまで先に終わってしまうから、そもそも候補に入らないと会う機会が来ない。会ってから巻き返す前提の設計だと、届かなくなるんだ。


カメ子カメ子

接点を置く場所を、前にずらす必要があるんですね。


この記事のポイント
  • 営業に接触する時点で、すでに複数の候補を挙げ終えている買い手が6割を超えている
  • 生成AIは候補の洗い出しと違いの整理に使われる一方、まとめた情報そのものの信頼度は最下位に置かれている
  • 接点は「候補が挙がる前」「候補が挙がる場面」「絞り込みと稟議の場面」の三つに分けて置き直す

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目次

起きているのは検索の置き換えではなく、検討の前倒し

買い手がAIを使うようになった、という話は、たいてい検索の代わりにAIを使うという意味で語られます。ところが実際の調査を見ると、変わったのは道具だけではありません。2026年6月11日から16日にかけて実施された、直近12か月以内にBtoB商材の比較・選定・稟議・承認に関与した、従業員50名以上の企業に勤める1,573名への調査では、営業に接触する時点ですでに複数の候補を挙げ終えている人が63.5%にのぼりました。内訳は、複数の候補を並べた段階が29.6%、数社まで絞り込んだ段階が18.7%、要件や比較表や稟議の資料まで用意した段階が8.8%、第一候補が固まって最終確認をする段階が6.4%です。さらに、営業とは接触しないまま進めるという回答も9.0%ありました。

同じ調査で、この2〜3年で増えた情報収集の行動として最も多く挙がったのが、生成AIのサービスやAI検索を使うことで33.5%でした。生成AIやAI検索が購買の判断に与える影響が以前より大きくなったと感じる人は41.6%です。使われている道具はひとつではなく、頻繁に使うとときどき使うを合わせると、代表的な対話型の生成AIが58.0%、検索大手が提供するものが51.2%、業務ソフトに組み込まれたものが40.1%でした。調べる道具が増えたのではなく、検討の工程そのものが前へ倒れています

順番が変わったことの意味は小さくありません。以前は、知る、調べる、問い合わせる、比べる、という順で進みました。問い合わせの後ろに比較があったので、営業が説明に使う時間がそのまま比較の材料になりました。いまは比較が先に終わり、その後で連絡が来ます。説明の質をどれだけ上げても、候補に入っていなければ説明する機会自体が来ません。だから接点の設計は、会ってからの話し方ではなく、会う前のどこに何を置くかへ組み替える必要があります。

場面1:課題がまだ言葉になっていない朝

ここからは、よくある流れを一件の案件に見立てて追います。従業員六百名ほどの製造業で、問い合わせの対応が追いつかないという話が部内の定例で出たとします。担当者はまだ何かを買おうとしていません。むしろ、これが人手の問題なのか、仕組みの問題なのか、そもそも問い合わせが増えたのかどうかすら整理できていない状態です。この段階の相手は、自社の商品名で検索することがありません

かつては、この言語化のきっかけを外から与えるのが売り手の役割でした。展示会で似た事例を聞く、セミナーで分類の枠組みを知る、付き合いのある営業に相談する。そうした場が、もやもやを課題の言葉に変えていました。いまは同じ役をAIとの対話が担う場面が増えています。症状をそのまま書き込めば、考えられる原因の切り口が数分で並びます。無料で、社外の誰にも知られずに、何度でも試せます。

ここで売り手が失っているのは、受注ではなく課題の名前を決める権利です。どの枠組みで問題を捉えるかが決まると、探す候補の種類も決まります。枠組みを提供できた側は、その後の比較で有利な位置に立ちます。逆に、枠組みが他所で決まってから登場すると、相手の土俵で条件を比べられます。この段階に置く接点の目的は、売り込みではなく、課題の言葉を先に渡すことです

場面2:候補を挙げさせる三十分

課題が言葉になると、次は候補探しです。先の調査で生成AIを使っている人の用途を見ると、候補となる商品やサービスの洗い出しが50.3%で最も多く、各社の特徴や違いの整理が47.1%、比較表の作成が39.2%、社内説明用の要約作成が38.8%と続きました。候補の一覧を作る作業が、売り手の見えないところで完結しています。以前なら資料請求や比較サイトの閲覧として痕跡が残った行動が、痕跡を残さなくなりました。

ただし、AIが最初の入口になっているわけではありません。2026年5月22日から6月5日にかけて、過去1年以内にBtoBの発注先や外注先の選定に関わった196名に聞いた別の調査では、生成AI検索の利用経験が75.0%にのぼる一方、発注先探しで最初に使う手段は従来の検索エンジンが48.0%で最多でした。既存の取引先や営業からの提案が18.4%、知人や同業者の紹介が10.7%と続き、生成AI検索は9.7%で四番目です。複数回答で聞くと生成AI検索は43.4%まで上がります。

この二つの数字の差が示すのは、AIは一手目ではなく、二手目から三手目で効いているという実態です。まず検索や人づてで大枠をつかみ、そこからAIに整理させる。だから既存の露出を減らしてAI向けに置き換える、という判断は早すぎます。同じ調査では、AIを使った人の82.3%がそれまで知らなかった企業をAI経由で見つけたと答え、21.1%が実際に発注まで至っています。新規の入口としては無視できないが、既存の入口の代わりにはならない。この位置づけが、接点を足す順番を決めます。

場面3:稟議の資料が先に出来上がる

候補が三社ほどに絞られると、担当者は社内向けの資料を作り始めます。ここで注意したいのが、AIが出した内容の扱われ方です。先の1,573名への調査では、社内の説明や稟議にAIの情報を使う際、自分で事実を確認して加筆修正するが48.3%、他の人に確認してもらうが35.7%、そのままかほぼそのまま使うが24.9%でした。四人に一人は、確認を挟まずに社内資料へ載せています

この段階で作られた資料は、その後の議論の前提になります。仮に自社の提供範囲が実際より狭く書かれていたとしても、それを訂正する機会は、会議が終わった後にしか訪れません。しかも訂正の相手は担当者一人ではなく、資料を読んだ全員です。誤解は商談で解けますが、稟議に載った誤解は商談まで残りません。ここが、接触前の区間を放置できない最大の理由です。

救いもあります。196名への調査では、AIが出した情報について何らかの裏取りをする人が98.0%に達しました。手段は公式サイトの確認が70.7%、検索での別途調査が59.9%、比較サイトやレビューサイトでの確認が40.1%です。つまり買い手は必ず確かめに来ます。問題は、確かめに来たときに着地する場所が用意されているかどうかです。ここが空白だと、確認できなかったという理由だけで候補から外れます。

場面4:連絡が来たときには、すでに順位がついている

こうして問い合わせが届きます。フォームの文面は短くても、その裏には比較表と稟議の下書きがあります。営業が最初にすべきことは自社の説明ではなく、相手の比較表がどんな前提で作られているかを確かめることです。前提が違えば、どれだけ丁寧に説明しても評価軸に乗りません。説明の前に、評価軸の確認を置く。これは接点の設計を変えたときに、営業側で必ず起きる変化です。

時間の余裕も減っています。196名への調査では、AI検索によって選定にかかる時間が短くなったと答えた人が83.0%でした。大幅に短くなったが22.4%、やや短くなったが60.5%です。検討が速くなるということは、売り手が気づいてから動くまでの猶予も短くなるということです。気配を感じてから資料を用意していては、決まった後に届きます。

だからこの記事で扱うのは、話し方の改善ではありません。どの段階に、どんな接点を、あらかじめ置いておくかという配置の問題です。会ってからの一時間で挽回する設計を、会う前の三か月で候補に入る設計へ替える。ここから先は、そのための具体的な組み替え方を見ていきます。

買い手が接触前に済ませていること

いまの流れを一枚に並べると、売り手から見える区間がどれだけ短いかが分かります。次の表は、買い手の工程と、その工程が売り手の手元でどこまで観測できるかを対応させたものです。

買い手の工程そこで起きていること売り手から見えるか
課題の言語化症状をAIに投げ、原因の切り口を得る見えない
候補の洗い出し検索と人づてで大枠をつかみ、AIで一覧にする見えない
違いの整理特徴と差分を並べ、比較表を作る見えない
裏取り公式サイトと検索とレビューで確かめるサイト上の行動として一部見える
社内の稟議資料に転記し、関係者の合意を取る見えない
接触問い合わせ、または営業への連絡ここで初めて見える

表の右列を眺めると、見えない区間が工程の大半を占めていることが分かります。問い合わせの件数だけを追っていると、どこで落ちたのかが分からないまま数字が減ります。改善の対象は、見えている最後の一区間ではありません。見えない五つの区間のどこに手を打つかです。

接点の置き直しは、棚卸しから始める

いきなり新しい施策を足すと、既存の接点と役割が重なって効果が読めなくなります。先にやるのは棚卸しです。いま自社にある接点が、買い手のどの段階に効いているのかを割り振り、空いている段階を見つける。次の順で進めると、二か月ほどで最初の一手が決まります。

STEP1
直近の受注案件で、最初に知った場面を聞き直す

受注が決まった相手に、自社の名前を最初に見た場面と、候補に入れた理由を聞きます。憶測で埋めず、五件でよいので実際の言葉を集めます。

STEP2
いまある接点を三つの段階に割り振る

展示会、ウェビナー、資料、事例、既存顧客からの紹介、営業の訪問。ひとつずつ、候補が挙がる前か、挙がる場面か、絞り込みの場面かに置きます。

STEP3
空いている段階を一つだけ選ぶ

三つとも埋めようとせず、最も薄い段階を一つ選びます。多くの会社では、候補が挙がる前の段階が空いています。

STEP4
その段階に置く接点を一つ作り、三か月動かす

新しい形式に飛びつかず、既にある資産の置き場所を変えるところから始めます。三か月は評価せずに続けます。

この棚卸しで頻繁に見つかるのが、接点が絞り込みの段階に偏っているという偏りです。事例集も比較資料も見積もりも、すべて候補に入った後で効くものです。候補に入る前に読まれるものが一つもないまま、候補が減ったと嘆いている状態は珍しくありません。聞き取りの結果は、そのまま社内を説得する材料になります。

段階1:候補が挙がる前に置く接点

最初の段階に置くのは、課題の言葉を渡す接点です。商品の話をする場ではありません。同じ立場の人が何に困っていて、それをどう分類したのかを共有する場です。具体的には、業界別の勉強会、既存顧客と見込み客を混ぜた小規模な意見交換、業界団体や専門誌との共同企画、そして既存の取引先を経由した紹介がここに入ります。この段階の成果は受注ではなく、想起されることです

紹介と既存取引先の重みは、数字にも表れています。196名への調査では、発注先探しで最初に使う手段として既存の取引先や営業からの提案が18.4%、知人や同業者の紹介が10.7%を占め、複数回答では既存の取引先が50.0%、知人の紹介が46.4%まで上がりました。AIの話題に隠れがちですが、人づての経路は依然として太いままです。この経路は検索やAIの外側にあるため、他社の露出が増えても薄まりません。

落とし穴は、この段階の接点を売上で評価してしまうことです。想起の獲得は、半年から一年遅れて数字になります。四半期ごとに費用対効果を問われる形にすると、続きません。評価するなら、指名の問い合わせが増えたか、初回の商談で自社の名前を知っていた相手の割合が増えたかを見ます。先行する接点は、先行する指標で測る。ここを混ぜると、効いている施策から先に止めることになります。

段階2:候補が挙がる場面に置く接点

次の段階は、候補の一覧に名前が載るかどうかです。買い手はここで検索とAIと人づてを併用しています。売り手にできるのは、名前が出てくる場所の数を増やすことです。自社のサイトだけに情報がある状態は、この段階では弱くなります。業界メディアへの寄稿、公開されている導入事例、第三者が運営する比較の場、共同でのウェビナー。いずれも、自社以外の場所に自社の名前を置く行為です。

AI経由の発見が新規の入口として機能していることは、先ほどの数字が示しています。知らなかった企業をAI経由で見つけた人が82.3%、そのうち実際に発注まで至ったのが21.1%です。一方で、AIが推薦した企業への信頼感が高まると答えた人は59.7%、不信感を持つ人は3.1%でした。推薦されること自体が、一定の信用として働いています。ただしこれは、名前が出た場合の話です。

ここで気をつけたいのは、AI向けの特別な細工に走らないことです。買い手が最初に使う手段は依然として検索が48.0%で最多であり、AI検索は9.7%です。既存の露出を維持したうえで、置き場所を足すのが順序になります。また、名前が挙がる場所を増やす作業は、営業が担当先に事例掲載の許可を取るところから始まります。新しい予算より先に、既存顧客との関係のなかで動かせる部分が残っていることが多いはずです。

段階3:絞り込みと稟議の場面に置く接点

三つ目は、確かめに来た人が着地する場所です。裏取りをする人が98.0%、そのうち公式サイトを見る人が70.7%という数字は、この場所の重要度を示しています。ここで求められているのは、飾られた表現ではなく、確認できる事実です。1,573名への調査で情報源としての信頼度が最も高かったのは、価格や追加費用や契約条件が明瞭であることで60.6%でした。次いで担当者からの個別の説明が59.8%、導入事例が57.0%と続きます。

売り手への期待として挙がった項目も具体的です。資料の中で価格の目安を示してほしいが42.9%、営業の場で自社の状況に合わせた提案をしてほしいが37.1%、導入後の支援窓口を明確にしてほしいが35.3%。いずれも、問い合わせる前に知りたい情報です。問い合わせないと分からない設計は、この段階の買い手をふるい落とします。価格を出せない事情がある場合でも、何によって金額が変わるのかという構造だけは示せます。

あわせて置きたいのが、短時間で相談できる場です。買い手の側は稟議の資料を作るために、自社の条件に当てはまるかどうかだけを確かめたい場面があります。三十分の相談枠や、質問への文書での回答窓口があるだけで、確認のために正式な商談を申し込む必要がなくなります。接触の敷居を下げることは、値引きよりも先に検討できる打ち手です

三つの段階を一枚に並べる

ここまでの内容を、段階ごとに整理します。表の右端は、その接点が効き始めたときに最初に動く兆しです。売上より手前の変化を見ておくと、続けるかどうかの判断が早くなります。

段階買い手の状態置く接点の例効き始めの兆し
候補が挙がる前課題がまだ言葉になっていない勉強会、共同企画、既存顧客経由の紹介指名の問い合わせ、初回商談での認知
候補が挙がる場面名前を集めて一覧にしている他社の場への露出、公開事例、第三者の比較の場新規の相手からの接触、社名の言及
絞り込みと稟議条件を確かめて社内を通そうとしている価格の構造、契約条件、短時間の相談枠商談の初回で条件の質問が出る

三つを同時に埋める必要はありません。自社が最も薄い段階から順に、一つずつ埋めるのが現実的です。多くの企業は三段目が厚く、一段目が空いています。逆に、認知が広い企業では三段目の情報整備が遅れていることがあります。棚卸しの結果次第で、着手する場所は変わります。

段階をまたいで同じ素材を使い回せる点も、覚えておくと予算の議論が楽になります。たとえば一件の導入事例は、一段目では勉強会で語る材料になり、二段目では他社の場に載せる露出になり、三段目では稟議の資料に添える裏づけになります。新しい形式を増やすより、いまある素材の置き場所を増やすほうが早く効きます。制作費の稟議が通らないという相談の多くは、素材が足りないのではなく、置き場所が一か所に固まっていることが原因です。

AIがまとめた情報は、実は信頼されていない

ここで見落としたくない対照があります。同じ1,573名への調査で、情報源としての信頼度を十項目で聞いたところ、生成AIがまとめた情報は37.8%で最下位でした。使われている割合は高いのに、信頼されている度合いは低い。この二つは矛盾していません。買い手はAIを、答えを得るためではなく、探す範囲を狭めるために使っているからです。

この構造は、売り手にとって重要な意味を持ちます。AIは候補を絞る道具として使われ、決め手には使われていません。決め手として挙がったのは、価格や契約条件の明瞭さ、担当者からの個別の説明、導入事例でした。つまり、最終的な判断の材料は依然として人が提供するものです。接点を前倒しする話は、営業の役割が減るという話ではありません。営業が効く場面が、より後ろに凝縮されるという話です

だからこそ、前段で候補に入り、後段で人が決め手を渡す、という二段構えが要ります。前段だけを整えても、確認の段階で答えられなければ落ちます。後段だけを磨いても、候補に入らなければ出番が来ません。どちらか一方に寄せる議論になりがちですが、実際の買い手はその両方を順に通っています。自社の弱いほうから直すのが早道です。

見えない区間を、誰が持つのか

接点を前倒しすると、責任の所在が曖昧になりがちです。従来、問い合わせより手前はマーケティング、後ろは営業という切り分けが多く使われてきました。ところが買い手の工程を並べると、問い合わせの手前に五つの工程が並んでいます。切り分けの線を、問い合わせではなく買い手の工程に合わせて引き直す必要があります。

実務的には、三つの段階それぞれに担当を割り当てるのが分かりやすい形です。候補が挙がる前の段階は、既存顧客との関係を持つ営業と、企画を作るマーケティングの共同。候補が挙がる場面は、露出の設計を担うマーケティング。絞り込みと稟議の場面は、情報の整備をマーケティング、個別の対応を営業。こう置くと、どの段階が空いているかを月次で確認できます。

あわせて、営業から前段へ情報を返す道を作ります。商談の冒頭で、相手がどこで自社を知り、何と比べ、どんな比較表を持っていたかを聞き取り、記録に残す。この記録が、次にどの段階へ接点を足すかの判断材料になります。見えない区間は、商談の最初の五分で部分的に見えるようになります。ここを聞かずに進めると、いつまでも推測で施策を決めることになります。

接点の置き直しでやりがちな失敗

最後に、この組み替えを進めるときに起きやすいつまずきを挙げておきます。どれも真面目に取り組んだ結果として起きるもので、順番を間違えたことが原因です。

  • AI向けの対策だけを新設する:最初の手段は依然として検索が48.0%で最多。既存の入口を細らせると総量が減る
  • 接点を三つとも同時に作る:どれも中途半端になり、どの段階が効いたのか判別できなくなる
  • 前段の接点を四半期の売上で評価する:想起は遅れて数字になるため、効いている施策から先に止まる
  • 問い合わせないと何も分からない設計を残す:裏取りに来た98.0%の買い手が、確認できないまま離脱する
  • 営業の商談記録を残さない:見えない区間の情報が入らず、施策が推測で決まり続ける

五つに共通するのは、買い手の工程ではなく自社の都合で区切っていることです。買い手は、課題を言葉にし、候補を集め、違いを整理し、確かめ、社内を通し、そのうえで連絡してきます。この順番は部署の分け方とは無関係に進みます。自社の区切りを買い手の工程に合わせ直すだけで、打ち手の優先順位はかなり整理されます。

AIに任せる範囲と、人が決める範囲

接点を組み替える作業そのものにも、AIを使う場面が出てきます。ここでも線引きを先に決めておくことをおすすめします。任せてよいのは、商談記録の分類、想定される質問の洗い出し、資料の下書きといった前段の作業です。任せてはいけないのは、どの段階に投資するかの判断と、公開する情報の可否です。判断の材料は作らせても、判断そのものは人が持つという形にします。

特に注意したいのが、AIに自社の評判や比較のされ方を尋ね、その回答を現状の把握として扱うことです。回答は毎回変わりますし、根拠が示されないこともあります。AIの回答を、市場の実態そのものだと受け取らない。参考にするなら、複数回試して共通して出てくる論点だけを拾い、実際の商談記録と突き合わせてから使います。手間はかかりますが、ここを省くと、存在しない課題に予算を割くことになります。

  • 接点を足す前に、既存顧客への聞き取りを五件行い、実際の言葉を集める
  • 前段の接点は、指名の問い合わせや初回商談での認知など、先行する指標で評価する
  • AIに尋ねた自社の見え方は、複数回試して共通する論点だけを参考にする
  • 公開する情報の範囲は、価格の扱いも含めて社内の規程で先に決めておく

よくある質問

接点を前倒しすると、営業の出番が減るのではないですか

減りません。位置が変わります。調査では、情報源としての信頼度の上位に担当者からの個別の説明が59.8%で入っており、生成AIがまとめた情報は37.8%で最下位でした。決め手を渡す役割は、いまも人が担っています。変わるのは、説明を始める地点です。相手がすでに比較表を持っている前提で、前提の確認から入る形になります。商談の初回で何を聞き取るかを設計し直すことが、営業側の主な変更点になります。

三つの段階のうち、どこから手を付けるべきですか

自社で最も薄い段階からです。多くの企業では、候補が挙がる前の段階が空いています。判断するには、直近の受注案件で相手が最初に自社を知った場面を五件ほど聞き取ってみてください。すべてが既存の取引や紹介で埋まっているなら、新規の入口が細い状態です。逆に、初回接触が問い合わせに偏っているなら、確かめに来た人への情報整備が先になります。

AI経由で見つけてもらうために、専用の対策は必要ですか

専用の対策を先に置く必要はありません。買い手が最初に使う手段は従来の検索が48.0%で最多、生成AI検索は9.7%という段階です。ただし複数回答では43.4%が使っており、知らなかった企業を見つけた経験も82.3%にのぼります。取るべき順序は、既存の露出を維持しながら、自社サイト以外に名前が載る場所を増やすことです。特別な細工よりも、置き場所の数のほうが先に効きます。

まとめ

買い手は、営業に会う前に課題を言葉にし、候補を集め、比較表まで作り終えています。接触時点で複数の候補を挙げ終えている人が63.5%という数字は、営業の入口が後ろへずれたことを示しています。だから打ち手は説明の改善ではなく、候補が挙がる前・挙がる場面・絞り込みと稟議の場面という三つの段階への接点の配置です。一方で、生成AIがまとめた情報の信頼度は最下位の37.8%であり、決め手を渡すのは依然として人です。前段で候補に入り、後段で人が決め手を渡す。この二段構えを、自社で最も薄い段階から一つずつ埋めていってください。まずは直近の受注案件で、相手が最初に自社を知った場面を聞き直すところからで十分です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

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