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損害保険会社の査定担当が、火災保険の風災・水災の事故で、査定マニュアルと本社の照会回答を引き、支払の判断の根拠を探す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

火災保険の風災・水災などの事故を査定する担当者が疑問を入れると、契約の始期に効く約款、いまの査定マニュアル、本社の照会回答、災害ごとの特別な取扱いから、条文と手順を引用して返します。支払の可否は担当者と決裁者が決めます。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
保険/金融
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
内容確認・チェック/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
判断支援/品質標準化/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
150h/月
AI導入後
60h/月
想定削減
60%
年間削減
1,080h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 査定担当が査定システムで事案を開き、契約の商品・始期・事故日・事故の種類・建物の所在の地域を読む
  2. 始期に効く版の約款PDFを開き、支払事由と支払わない場合の条文を探す
  3. 査定マニュアルで、その損害の確かめ方(写真、見積りの見方、経年劣化との見分け)の節を探す
  4. 本社の照会回答集を表計算で検索し、同じ論点の回答が無いかを探す
  5. 大きな災害の事故なら、災害ごとの取扱いの通達で、期間と地域に当たるかを確かめる
  6. 自分で判断できない論点は、本社の支払管理部門への照会を書く
  7. 根拠を査定メモに書き、査定を進める
導入後(After)
  1. 人査定担当が査定システムの事案の画面から検索の欄を開き、疑問を文で入れる
  2. 自動中継プログラムが、事案の番号から商品・始期・事故日・事故の種類・地域・災害の識別子を読む
  3. 自動中継プログラムが、文書の種類ごとに日付と災害と地域の絞り込みを作り、Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドを呼ぶ
  4. 自動返った引用から、引用された文書の審査の区分を確かめ、`self`(拠点で判断)/`review`(本社の審査へ)を付ける
  5. 人担当者が引用を読み、原文を開いて確かめ、根拠を査定メモに写す
  6. 人`review` の論点は、引用を付けて本社の支払管理部門へ照会する
  7. 人同じ事案で続けて聞くときは、同じ会話の中で次の疑問を入れる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 査定担当が査定システムで事案を開き、契約の商品・始期・事故日・事故の種類・建物の所在の地域を読む
  2. 始期に効く版の約款PDFを開き、支払事由と支払わない場合の条文を探す
  3. 査定マニュアルで、その損害の確かめ方(写真、見積りの見方、経年劣化との見分け)の節を探す
  4. 本社の照会回答集を表計算で検索し、同じ論点の回答が無いかを探す
  5. 大きな災害の事故なら、災害ごとの取扱いの通達で、期間と地域に当たるかを確かめる
  6. 自分で判断できない論点は、本社の支払管理部門への照会を書く
  7. 根拠を査定メモに書き、査定を進める

(a)4種類の文書が別々の場所にある。 約款はPDF、マニュアルは別のPDF、照会回答は表計算、特別な取扱いは通達。1つの論点に4か所を開くあいだ、契約者への連絡が止まります。 大きな災害のあとは事案が一度に増え、この時間がそのまま支払の遅れになります。

(b)照会回答が見つからない、または古い。 照会回答集は件数が多く、言葉が違うと検索に当たりません。見つかっても、その後マニュアルに取り込まれたものや、本社が取り消したものが混ざっていて、いまも効いているかが分かりません。

(c)本社に回す線が担当者ごとに違う。 経年劣化との見分けが難しい事案を、慣れた担当は自分で決め、新しい担当は何でも照会します。前者は拠点の権限を越えた判断になりうり、後者は本社の回答待ちで支払が遅れます。

(d)根拠の書き方がそろわない。 査定メモに「マニュアルどおり」としか書かない担当と、条文の番号まで書く担当がいます。後から苦情や照会が来たときに、どの根拠で判断したかを追えない事案が残ります。

  1. 【人】 査定担当が査定システムの事案の画面から検索の欄を開き、疑問を文で入れる
  2. 【自動】 中継プログラムが、事案の番号から商品・始期・事故日・事故の種類・地域・災害の識別子を読む
  3. 【自動】 中継プログラムが、文書の種類ごとに日付と災害と地域の絞り込みを作り、Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドを呼ぶ
  4. 【自動】 返った引用から、引用された文書の審査の区分を確かめ、self(拠点で判断)/review(本社の審査へ)を付ける
  5. 【人】 担当者が引用を読み、原文を開いて確かめ、根拠を査定メモに写す
  6. 【人】 review の論点は、引用を付けて本社の支払管理部門へ照会する
  7. 【人】 同じ事案で続けて聞くときは、同じ会話の中で次の疑問を入れる

4番目が、この設計の分かれ目です。 答えの文が「支払の対象と考えられます」と書いていても、引用した節が本社の審査の区分なら本社へ回ります。 線を引くのは、文書に付けたメタデータと中継プログラムの照合です。

7番目で、同じ事案の続きの質問を1つの会話にします。 「その場合、写真は何枚要るか」のような質問は、前の質問の文脈が無いと検索できません。

02今回想定するシステム構成

構成図
約款(商品・版)  査定マニュアル  照会回答集  災害ごとの取扱い
   │  文書の種類・効力の期間・災害の識別子・地域・審査の区分を付ける
   ▼
Cloud Storage ── メタデータ(JSON Lines)
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── データストア(レイアウト パーサー)
   │   doc_kind/product/effective_from/effective_to/disaster_id/
   │   prefecture/status/review
   ▼
査定システムの事案の画面 ──【トリガー】担当者が疑問を入れる
   ▼
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 事案の項目から日付・災害・地域の絞り込みを作る
   ├──▶ answer メソッド(事案ごとの会話、マニュアルを上に寄せる)
   └──▶ 引用した文書の審査の区分で self / review
   ▼
担当者の画面(引用と原文へのリンク)  /  本社への照会の下書き
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、査定システム・検索・照会の下書きをつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(約款・マニュアル・照会回答・通達の写しとメタデータ、疑問と答えの記録)─

査定システムからは事案の項目を読むだけで、査定メモにも支払の欄にも書き込みません。 根拠を写すのは担当者です。検索の画面は査定の部門の中だけで使い、代理店や営業の部門からは使えないようにします。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 公式のドキュメントでは、answer メソッドを質問のたびに呼ぶことで続けての質問に答えられ、会話(session)は質問と答えの組をアプリに保存し、60日より古いものは既定で自動的に削除されます。 検索の指定には絞り込みの filter と並べ替えの boostSpec を書け、回答の生成の指定には引用を付ける includeCitations(既定は無効)と、答え方を指示する promptSpec.preamble があります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、査定担当が事案の画面から疑問を入れたことです。 検索の欄は事案の画面に置き、事案の番号を持ったまま中継プログラムを呼びます。 担当者が日付や商品を打ち込む欄は作りません。

査定システムの項目使い道
商品・約款の版約款の絞り込み
保険始期約款の版を選ぶ
事故日災害ごとの取扱いの期間を選ぶ
事故の種類(風災・雹災・雪災・水災・落雷など)検索の文、マニュアルの節の絞り込み
建物の所在の都道府県災害ごとの取扱いの地域を選ぶ
災害の識別子本社が大きな災害に付けた番号。付いていない事案もある

事故日が空、または事故の種類が「調査中」の事案では、約款とマニュアルだけを検索し、災害ごとの取扱いは引きません。 画面に「事故日が確定していないため、災害ごとの取扱いは確かめていません」と出します。

もう一つのトリガーは、文書の更新です。 約款の改定、マニュアルの改訂、照会回答の追加や取り消し、災害ごとの取扱いの発出のたびに、本社がメタデータを書きます。前の版は消さず、終わりの日か status を書いて残します。 取り込みは毎晩です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
疑問担当者が入れた文事案の画面
事案の項目上の表の6項目(契約者の名前・住所の番地・電話は渡さない)査定システム
約款支払事由、支払わない場合、損害の額の決め方。商品ごと・版ごと本社の約款の原本(PDF)
査定マニュアル損害の確かめ方、写真と見積りの見方、経年劣化との見分け、必要書類本社のマニュアル(PDF)
照会回答拠点からの照会の要旨、本社の回答、根拠、回答の日、状態照会回答集から1件ずつ作る
災害ごとの取扱い災害の名前と識別子、対象の地域、事故日の期間、特別な確かめ方本社の通達

質を決めるのは、照会回答の status です。 照会回答は、本社がマニュアルに取り込んだ後もそのまま残り、取り消したものも消されていないことが多いはずです。「有効」(active)、「マニュアルに反映済み」(merged)、「取り消し」(withdrawn)を1件ずつ付けます。 取り消したものは検索の対象から外し、反映済みのものはマニュアルより下に置きます。

もう一つは、文書ごとの review(本社の審査が要るか)です。 マニュアルの節のうち、支払わない場合の当てはめ、経年劣化や欠陥との見分け、故意や不正の疑いの扱いなどは、拠点だけで決めず本社の審査に回すと社内で決めておき、その節に review: true を付けます。

Step3

データの取得方法を決める

約款は商品ごと・版ごとに章で分け、マニュアルは節ごと、照会回答と通達は1件ずつファイルにして Cloud Storage に置きます。メタデータは JSON Lines で、1行ごとに id、structData、content(mimeType と uri)を書きます。

{"id":"qa-2025-0412","structData":{"doc_kind":"hq_reply",
 "product":["home_fire"],"peril":["wind"],"status":"active",
 "review":true,"answered_date":"2025-09-03T00:00:00Z",
 "effective_from":"2025-09-03T00:00:00Z",
 "effective_to":"2099-12-31T23:59:59Z"},
 "content":{"mimeType":"application/pdf","uri":"gs://claims-docs/qa-2025-0412.pdf"}}

災害ごとの取扱いには disaster_id、対象の都道府県の prefecture、事故日の期間を書きます。事案のたびに、中継プログラムが絞り込みの条件を作ります。 公式の構文では、文字の項目は ANY() で列挙した値との完全一致を見られ、NOT を前に付けて否定でき、日時の項目は ISO 8601 の文字列と比べられます。項目は索引可能にしておく必要があります。

product: ANY("home_fire") AND NOT status: ANY("withdrawn")
AND (
 (doc_kind: ANY("policy") AND effective_from <= "2024-06-01T00:00:00Z"
  AND effective_to >= "2024-06-01T00:00:00Z")
 OR
 (doc_kind: ANY("manual","hq_reply") AND effective_from <= "2026-10-15T00:00:00Z"
  AND effective_to >= "2026-10-15T00:00:00Z")
 OR
 (doc_kind: ANY("disaster_rule") AND disaster_id: ANY("T2609")
  AND prefecture: ANY("kochi")
  AND effective_from <= "2026-09-21T00:00:00Z"
  AND effective_to >= "2026-09-21T00:00:00Z")
)

約款は保険始期、マニュアルと照会回答は照会した日、災害ごとの取扱いは事故日です。 災害の識別子が付いていない事案では、3つ目の括弧を外します。

並べ替えは boostSpec で行います。 公式では、conditionBoostSpecs の条件に −1〜1 の値を付けて上げ下げでき、日時の項目の経過で上げ下げする指定(FRESHNESS)もあります。

"boostSpec": {"conditionBoostSpecs": [
  {"condition": "doc_kind: ANY(\"policy\",\"manual\")", "boost": 0.1},
  {"condition": "status: ANY(\"merged\")", "boost": -0.1}
]}

約款とマニュアルを上に、マニュアルに反映済みの照会回答を下に寄せます。 同じ内容がマニュアルにあるなら、根拠はマニュアルの節にしたいからです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 約款とマニュアルを章と節で分ける … 節の番号と見出しを本文に残し、支払事由・支払わない場合・損害の額の決め方を別のファイルにします
  2. 照会回答を1件ずつ文書にする … 照会した拠点・担当者・契約者の名前・住所を外し、照会の要旨、回答、根拠の条文、回答の日、status、review を書きます
  3. 災害ごとの取扱いに期間と地域を付ける … 通達の本文から、災害の識別子、都道府県、事故日の始まりと終わりを書きます。市区町村で区切る取扱いは、市区町村の一覧も本文に残します
  4. 疑問の文を整える … 担当者の文から、契約者の名前、番地、電話番号の形の文字を見つけたら外し、記録に印を付けます
  5. 事案の項目を検索の文に付ける … 事故の種類と商品を、疑問の文の先頭に付けます

2番目で拠点と担当者まで外すのは、照会回答が「どの拠点がこの判断をしたか」として読まれないようにするためです。 根拠として要るのは、回答の中身と条文だけです。

3番目で市区町村の一覧を本文に残すのは、都道府県の絞り込みだけでは足りない取扱いがあるからです。 都道府県で絞って引いた後、担当者が本文の一覧で事案の所在を確かめます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、絞り込まれた約款・マニュアル・照会回答・災害ごとの取扱いの中から、疑問に関わる条文と手順を探し、本文のまま引用して並べることです。

させること中身
約款の条文を示す支払事由・支払わない場合・損害の額の決め方の条文を、約款の版と条の番号を付けて
マニュアルの手順を示す損害の確かめ方、必要な写真と書類、見分けの観点を、節の番号を付けて
照会回答を示す同じ論点の本社の回答を、回答の日と状態を付けて
災害ごとの取扱いを示す当たる取扱いがあれば、災害の名前と期間と地域を付けて
足りない事実を挙げる根拠に当てはめるために確かめる事実(被害の時期、雨の吹き込みの経路、修理の履歴など)
させないこと理由
支払う・支払わないの結論担当者と決裁権限を持つ職員が決める
損害の額や保険金の計算見積りと約款の計算の規則で別に行う
経年劣化か災害かの認定写真と現地の確認で担当者が決める
取り消された回答や前の版の約款を使う根拠にならない
本社に回すかの判断文書の review で中継プログラムが決める

3つ目がいちばん起きやすい失敗です。 マニュアルの見分けの観点(さびの有無、割れ口の色など)を引用した後、AIは疑問の文に書かれた様子から「経年劣化と考えられます」と書き足したがります。 その一文は、写真を見ていない者の結論です。

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session事案ごとに1つ同じ事案の続きの質問に答える
userPseudoId担当者の仮の識別子名前や社員番号を入れない
filter上の3つの日付・災害・地域・状態効いている文書だけを引く
boostSpec約款とマニュアルを上、反映済みの回答を下根拠をマニュアルの節に寄せる
includeCitations有効条文と手順に出典を付ける(既定は無効)
ignoreLowRelevantContent有効関係の薄い文書で答えない
groundingSpec.filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い答えを出さない

公式では、userPseudoId は128文字までの仮名の識別子で、個人を特定できる情報を入れてはならないとされています。担当者の社員番号から作った別の値を使います。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの promptSpec.preamble に、次の指示を入れます。中継プログラムは、商品、事故の種類、保険始期、事故日、災害の名前を疑問の文の先頭に付けます。

あなたは損害保険会社の査定担当の調べものを手伝う立場です。
読むのは火災保険の自然災害の事故を査定している担当者で、
答えを査定メモに写す前に、必ず原文を開いて確かめます。

【前提】
検索の対象は、保険始期に効く版の約款、いま効いている査定
マニュアルと本社の照会回答、事故日と地域に当たる災害ごとの
取扱いだけです。取り消された照会回答は含まれていません。

【答え方】
1. 疑問に関わる約款の条文を、約款の版と条の番号を付けて引用する
2. 損害の確かめ方を、査定マニュアルの節の番号を付けて引用する
3. 同じ論点の本社の照会回答があれば、回答の日を付けて引用する
4. 災害ごとの取扱いが当たれば、災害の名前・期間・地域を書く
5. 根拠に当てはめるために、担当者が確かめる事実を3つまで挙げる

【厳守事項】
- 「お支払いの対象です」「お支払いできません」「免責です」
  と結論を書かないでください。
- 経年劣化か、災害による損害かを判断しないでください。
  見分けの観点を引用するところまでにしてください。
- 損害の額、保険金の額、免責の金額を計算しないでください。
- 検索結果に無い条文、別の版の約款で答えないでください。
- 一般的な保険の考え方で補わないでください。
- 照会回答だけが根拠のときは、「照会回答による」と書き、
  マニュアルの節が見つからなかったことを書いてください。
- 契約者や関係者の名前を書かないでください。
- 根拠が見つからないときは、
  「該当する条文と手順を確認できませんでした」とだけ書いてください。

「照会回答だけが根拠のとき」を分けて書かせるのは、照会回答がその事案の事情を見た個別の回答だからです。 マニュアルに無い論点で照会回答だけが根拠なら、今回の事案に同じように当てはまるかを、担当者が本社に確かめる必要があります。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの返り値と事案の項目を、中継プログラムが次の形にまとめます。

{
  "claim_id": "",
  "session": "",
  "question": "",
  "policy_version": "",
  "disaster_id": "",
  "answer_text": "",
  "citations": [ { "doc_kind": "policy | manual | hq_reply | disaster_rule",
                   "title": "", "section": "", "status": "active | merged",
                   "review": false, "quote": "", "uri": "" } ],
  "facts_to_check": [],
  "route": "self | review",
  "route_reasons": [],
  "skipped": ""
}

引用は references から取ります。review と status は文書の structData から中継プログラムが写し、AIの文からは読み取りません。 引用の位置(startIndex/endIndex)は UTF-8 のバイト数なので、日本語の文を文字数で切るとずれます。

route_reasons立てる条件
review_section引用した文書に review: true のものがある
reply_only根拠が照会回答だけで、約款かマニュアルの節が無い
conclusion_words答えに「お支払いの対象です」「免責です」などの語がある
no_disaster_rule災害の識別子が付いているのに、取扱いが引かれなかった
skippedanswerSkippedReasons が返った

review_section と reply_only は本社の審査へ回ります。 conclusion_words は語を消して担当者に戻し、no_disaster_rule は地域と期間の登録を本社に確かめ、skipped は担当者が文書を開きます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
査定システム事案の番号で読み出し事案の6項目を読む。書き込まない
Agent Searchanswer メソッド(事案ごとの会話)条文と手順の引用
担当者の画面中継プログラムが表示引用、原文へのリンク、route
本社の支払管理部門照会の下書きを作るreview の論点に、引用と事案の項目を付ける
照会回答集本社が回答を書いた後に追加翌晩に取り込む

本社への照会の下書きには、引用と route_reasons を付けます。 本社の担当者は、拠点がどの条文を見て迷ったかから読み始められます。

Step9

人が確認する

根拠を当てはめて判断するのはいつも査定担当で、支払と不払いを決めるのは決裁権限を持つ職員です。

  1. 版を確かめる … policy_version が保険始期に効く版かを見ます
  2. 原文を開く … 引用の前後の文を読み、条文の但し書きや例外を確かめます
  3. 事実を確かめる … facts_to_check を、写真・見積り・契約者への聞き取りで確かめます
  4. review は本社へ回す … 契約者には「本社で確認しています」と伝えます

2番目を省かないでください。 約款の支払わない場合の条文には但し書きが付くことが多く、引用が但し書きの手前で切れていると、反対の意味に読めます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
事故日が空、事故の種類が調査中約款とマニュアルだけを検索し、災害ごとの取扱いは確かめていないと表示
保険始期に効く版の約款が無い検索せず担当者へ。版の登録漏れを本社に知らせる
災害の識別子があるのに取扱いが引かれないno_disaster_rule。地域と期間の登録を本社に確かめる
1つの事案に複数の事故の種類(風と雨)種類ごとに分けて検索し、厳しいほうの route を取る
疑問の文に契約者の名前が入っていた外して検索し、記録に印を付ける
答えに結論の語が出た語を消し、conclusion_words で担当者へ
検索の呼び出しが失敗した担当者が従来どおり文書を開く
Step11

記録を残す

  • 事案の番号、疑問の文(外した語の印を含む)、担当者の仮の識別子、会話の識別子
  • 選ばれた約款の版、絞り込みの条件、boostSpec と preamble の版
  • answer メソッドの返り値の全文(answerText、citations、references、answerSkippedReasons)
  • route と route_reasons、本社への照会と回答

会話は既定で60日より古いものが自動的に削除されるので、査定の根拠として残すものは自社の保管先に写します。 苦情や訴訟は事故から長く経ってから来ることがあるためです。

04実装レベルの3段階

最小構成:約款の章とマニュアルの節を手元のAIサービスに貼り、論点を1件ずつ入れる / 条文と手順を探して引用する
半自動化:上記+約款・マニュアル・照会回答・災害ごとの取扱いをデータストアに取り込み、担当者が検索の画面で日付を選んで使う / 版と状態で絞った検索と引用
本格構成:上記+事案の画面から呼び、事案の項目で日付・災害・地域を自動で絞り、事案ごとの会話と本社への振り分けまで行う / 疑問の入力から根拠の一覧、本社への照会の下書きまで

最小構成は確かめるための段階で、件数はさばけません。 半自動化で、10分が6分程度になります。 探す時間は減りますが、日付と災害を担当者が選ぶ手間と、本社に回すかを担当者が決める手間が残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、3つの日付の選び分けと、本社への振り分けが自動になることです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
12 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  900件 × 10分 ÷ 60 = 150 時間/月
導入後 900件 × 4分 ÷ 60 = 60 時間/月
月間削減時間
90h
削減率
60%
年間削減時間
1,080h
年間金額換算(時間単価3,600円)
389万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 火災保険・住宅の保険の自然災害の事故を、損害サービス拠点ごとに査定担当が受け持っている損害保険会社。約款が改定を重ね、契約の始期によって見る版が違う場合。本社の支払管理部門への照会と回答が積み上がっているが、探せずに担当者の記憶や先輩への質問に頼っている場合。大きな災害のたびに、期間と地域を限った特別な取扱いが出る場合。
向いていない
  1. 年間の事故の件数が少なく、担当者が約款とマニュアルを覚えていられる場合。保険金の支払の可否や金額をAIに決めさせたい場合(この構成は約款の条文と査定の手順を示すだけで、判断と決裁は査定担当と決裁権限を持つ職員が行います)。代理店や契約者が自分で検索して支払の見込みを知る仕組みにしたい場合(査定の部門の中だけで使う前提です)。

07最小構成で試す方法

  1. 事故の多い商品の、いまの版と1つ前の版の約款の支払事由と支払わない場合の章、査定マニュアルの風災・水災の節を集める
  2. 過去3か月の事案から、担当者が本社に照会した論点20件と、拠点で判断した論点10件を拾う
  3. 手元のAIサービスに約款の章とマニュアルの節を貼り、第7章の指示を貼って、保険始期を添えて1件ずつ入れる
  4. 出てきた条文を、当時の査定メモの根拠と本社の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ条文と節を引用した検索基盤への取り込みに進む
「経年劣化と考えられます」と書いた指示で直るか試す。直らなければ結論の語の照合を最初から作る
前の版の約款の条文を引いた版を章ごとに分けて貼り直す。本番では日付の絞り込みで防ぐ

照会した論点の20件で、本社の回答と同じ根拠が引けるかが要です。 引けない論点は、マニュアルに書かれていない論点です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
新しい約款の条文を古い契約に当てる約款は保険始期で絞る。担当者に日付を入れさせない
取り消された照会回答が引かれるstatus を付け、withdrawn を絞り込みで外す
期間の終わった災害ごとの取扱いで査定する事故日と地域で絞る。識別子があるのに引けなければ印を付ける
「経年劣化と考えられます」と書かれる認定を禁じ、結論の語を照合で消す
照会回答だけを根拠に判断が広まるreply_only で本社へ回す
但し書きの手前で引用が切れる担当者が原文の前後を読む。章の分け方を見直す
契約者の名前が検索の文に入る前処理で外し、記録に印を付ける
会話が60日で消え、根拠が追えない返り値の全文を自社の保管先に写す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「どの日付で文書を選ぶか」の誤りで、事案の項目から機械的に選ぶことで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 約款・査定マニュアル・照会回答・通達(保険会社の内部の文書)、事案の項目(商品、事故日、事故の種類、建物の地域)、担当者が入れた疑問の文です。契約者の名前・住所・電話は検索に渡しません。

  1. 支払の判断を代わらない … 金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」は2026年6月1日から適用の改正で、支払査定基準や支払事務の手続を定めたマニュアル・規程に基づいて適切に査定が行われる態勢や、高度な法的判断・医学的判断を要するものは支払部門や支払管理部門の担当者だけで判断せず法務部門・医師等の意見を聞く態勢を着眼点に挙げています。この構成が出すのは、マニュアルと約款のどこに根拠があるかまでです
  2. 査定の部門の外から使わせない … 同じ改正では、支払管理部門や支払部門が、営業部門や、保険金請求者・保険代理店などの第三者からの不適切な介入に影響されずに判断する態勢が求められています。検索の画面は査定の部門だけが使い、代理店や営業からは使えないようにします
  3. 照会回答から個人と拠点を外す … 過去の事案の契約者がほかの事案の引用に出ないよう、取り込みの前に外します
  4. データの置き場所を確かめる … 公式では、データストアの場所は global・us・eu で、日本のリージョンはありません。内部の文書と事案の記録をどこに置くかを、社内の規程と合わせて確かめてください
  5. マニュアルの見直しにつなげる … 同じ改正は、マニュアルや支払査定基準を、苦情・判例動向・不正請求事案の調査結果などで把握した課題を踏まえて見直すことも求めています。reply_only が続く論点は、マニュアルに書き足す候補として本社へ届けます

誤りが起きた場合のリスクは、別の版の約款や取り消された回答を根拠に、支払うべきものを支払わない、または支払わないものを支払うことです。 日付と状態を事案の項目とメタデータで決め、AIの文では動かさない設計にします。

10まず何から始めるか

1週目:照会回答集の棚卸しを始める

過去2年の照会回答から、件数の多い風災・水災の論点を100件選び、status と review を本社と決めます。迷うものは review: true にします。

2週目:30件で試す

手元のAIサービスに約款の章とマニュアルの節を貼り、照会した論点20件と拠点で判断した論点10件を入れます。結論の語を書いていないか、前の版の約款を引いていないかを最優先で見ます。

3週目:約款の版と災害ごとの取扱いを整える

約款を商品・版ごとに章で分け、効力の期間を付けます。過去1年の災害ごとの取扱いの通達に、識別子・都道府県・期間を付けます。

4週目:データストアを作り、2つの拠点で使う

文書を取り込み、担当者が検索の画面で日付を選んで使う運用を始めます。本社に照会した論点が、検索で同じ根拠に当たるかを毎日見ます。

2か月目: 事案の画面からの呼び出し、日付・災害・地域の自動の絞り込み、事案ごとの会話、本社への振り分けを作ります。3か月目以降: ほかの拠点と商品に広げます。照会回答が出るたびに status と review が付き、reply_only の論点が毎月マニュアルに書き足されている状態になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-23
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドを質問のたびに呼ぶことで続けての質問に答えられ、会話(session)が質問と答えの組としてアプリに保存されること、60日より古い会話が既定で自動的に削除されること。userPseudoId が128文字までの仮名の識別子で、個人を特定できる情報を含めてはならないこと。includeCitations(既定は false)、ignoreLowRelevantContent、promptSpec.preamble、groundingSpec の filteringLevel、answerSkippedReasons。引用の startIndex/endIndex が UTF-8 のバイト単位であることGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-15
絞り込みの ANY() が列挙した値との完全一致を見ること、NOT による否定、AND/OR と括弧での組み合わせ、日時の項目を ISO 8601 の文字列と比べられること、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter custom search for structured or unstructured data2026-10-15
conditionBoostSpecs の条件と −1〜1 の値で上げ下げできること、日時の項目による FRESHNESS の指定Google Cloud: Boost search results2026-10-15
データストアの場所が global・us・eu で、日本のリージョンが無いことGoogle Cloud: Locations2026-10-15
「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正のパブリックコメントの結果が2026年3月30日に公表され、改正後の監督指針が2026年6月1日から適用されること金融庁: 「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について2026-10-15
改正後のⅡ-4-4-3「保険金等支払管理態勢」で、支払管理部門・支払部門が営業部門や保険金請求者・保険代理店等の第三者からの不適切な介入に影響されずに判断する態勢、マニュアル・支払査定基準を苦情・判例動向・保険金等不正請求事案の調査結果等を踏まえて見直す方策、支払査定基準や支払事務の手続を規定したマニュアル・規程等に基づく支払査定、高度な法的判断又は医学的判断を要するものは支払部門や支払管理部門の担当者のみで判断せず法務部門・医師等の意見を聞く態勢が着眼点とされていること金融庁: 「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(新旧対照表)2026-10-15

支払の可否、損害の認定、本社の審査に回す範囲は、各社の約款・支払査定基準・決裁の規程に従ってください。 本記事は Google Cloud の公式ドキュメントと金融庁の公表資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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