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各部門の月次KPIの実績を集め、目標との差が大きい項目について説明文の下書きを作り、部門長の承認に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

各部門が入力した月次 KPI の実績から、目標との差が基準を超えた項目を拾い、差の数値と部門の理由のメモだけを根拠に説明文を下書きします。下書きは部門長の承認に回し、直された文面を記録します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
EC/IT・SaaS/人材
対象部門
経営企画
対象業務
書類作成/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
60%
年間削減
216h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 各部門が月初の5営業日目までに、SharePoint のリストに KPI の実績と理由のメモを入力する
  2. 経営企画がリストを書き出し、目標との差と達成率を表計算で計算する
  3. 差が基準を超えた項目を拾い、部門の理由のメモを読む
  4. メモを経営会議の書き方の説明文に書き直す。足りない点があれば部門の担当に Teams で聞く
  5. 説明文を部門長に送り、直してもらう
  6. 直された文面を資料に貼り、経営会議の前日までにまとめる
導入後(After)
  1. 人各部門が月初の5営業日目までに、SharePoint のリストに KPI の実績と理由のメモを入力する
  2. 人経営企画が入力の締めを確かめ、フローを手動で起動する
  3. 自動フローがその月の項目を取り出し、目標との差・前月との差・達成率を式で計算する
  4. 自動項目ごとの基準と良い向きから、説明が要る項目を決める
  5. 自動説明が要る項目ごとに、AIが差の数値と部門のメモだけから説明文を下書きし、メモに無い点を「要確認」として挙げる
  6. 自動下書きを部門長に承認の依頼として送る
  7. 人部門長が下書きを直して承認する。「要確認」の点は書き足すか、空のまま理由を書く
  8. 自動承認された文面と、直す前の下書きを KPI のリストに書き戻す
  9. 人経営企画が承認された文面を資料に並べ、項目をまたいで読み直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 各部門が月初の5営業日目までに、SharePoint のリストに KPI の実績と理由のメモを入力する
  2. 経営企画がリストを書き出し、目標との差と達成率を表計算で計算する
  3. 差が基準を超えた項目を拾い、部門の理由のメモを読む
  4. メモを経営会議の書き方の説明文に書き直す。足りない点があれば部門の担当に Teams で聞く
  5. 説明文を部門長に送り、直してもらう
  6. 直された文面を資料に貼り、経営会議の前日までにまとめる

(a)一言のメモを説明文にするのに時間がかかる。 「大口1件の解約」から「新規の MRR は目標を下回りました。主な要因は大口の顧客1社の解約です」と書くのは、経営企画の仕事になっています。メモが短いほど、経営企画が足す言葉が増えます。

(b)足した言葉が部門長に直される。 経営企画が補った「競合への乗り換え」が、部門長の見立てと違えば直されます。往復のたびに1〜2日かかり、経営会議の前日に集中します。

(c)数字の向きの取り違えに気づくのが遅い。 「上がった」「下がった」「良化」「悪化」は、KPI によって良い向きが違います。解約率や一次回答までの時間は、下がるほうが良い項目です。メモの向きの取り違えが、そのまま説明文に入ることがあります。

(d)説明の書き方が担当で違う。 経営企画の2名のどちらが書いたかで、説明の長さも、要因を何個挙げるかも違います。経営陣が項目をまたいで読み比べにくい資料になります。

  1. 【人】 各部門が月初の5営業日目までに、SharePoint のリストに KPI の実績と理由のメモを入力する
  2. 【人】 経営企画が入力の締めを確かめ、フローを手動で起動する
  3. 【自動】 フローがその月の項目を取り出し、目標との差・前月との差・達成率を式で計算する
  4. 【自動】 項目ごとの基準と良い向きから、説明が要る項目を決める
  5. 【自動】 説明が要る項目ごとに、AIが差の数値と部門のメモだけから説明文を下書きし、メモに無い点を「要確認」として挙げる
  6. 【自動】 下書きを部門長に承認の依頼として送る
  7. 【人】 部門長が下書きを直して承認する。「要確認」の点は書き足すか、空のまま理由を書く
  8. 【自動】 承認された文面と、直す前の下書きを KPI のリストに書き戻す
  9. 【人】 経営企画が承認された文面を資料に並べ、項目をまたいで読み直す

7番目が、この設計の分かれ目です。 説明文の言葉に責任を持つのは部門長です。AIの下書きは、部門長がゼロから書くかわりに直す材料であって、そのまま資料に入るものではありません。

3番目と4番目でAIを使わないのも、意図してのことです。 差の計算と、説明が要るかどうかの判定は、同じ入力から必ず同じ答えが出る式で行います。 AIに渡すのは、その結果です。

02今回想定するシステム構成

構成図
各部門(SharePoint の KPI のリストに実績と理由のメモを入力)
   ▼【トリガー】経営企画が手動で起動(Manually trigger a flow、対象の年月を入力)
Power Automate(クラウドフロー)
   ├──▶ Get items(Filter Query で対象の年月に絞る)
   ├──▶ 式で差・前月との差・達成率を計算
   ├──▶ KPI の定義のリストから、基準と良い向きを引く
   ▼ 説明が要る項目ごとに
AI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)
   │   説明文の下書き/根拠にしたメモの文/要確認の点/向きの食い違い
   ▼
Start and wait for an approval of text(部門長が直して承認)
   ▼
Update item:承認された文面と、直す前の下書きを書き戻す
   ▼
Teams:経営企画のチャネルに、承認の進み具合を知らせる
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウドフロー)Make、n8n、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
連携SharePoint リスト(KPI のリスト・KPI の定義のリスト)Microsoft Lists
通知Microsoft Teams(経営企画のチャネル)Outlook のメール

新しく足すのは、フローとプロンプトと KPI の定義のリストだけです。 部門が実績を入力する KPI のリストは今のまま使い、説明文の下書き・承認された文面・承認者の列を足します。

AIは、AI Builder のプロンプトを Run a prompt で呼びます。 2025年5月から「Create text with GPT using a prompt」の名前が Run a prompt に変わっています。プロンプトの入力には、前の手順の値を入れられます。出力に JSON を選べ、出力の形は Auto detected か Custom で決まり、保存したときの形が実行時にも使われます。 既定のモデルは GPT-4.1 mini で、温度の既定は0です。

人の確認は、Approvals の Start and wait for an approval of text で入れます。 AI Builder の説明で、プロンプトの出力を人が確かめる手順として紹介されている操作で、承認者は文面を直してから応答でき、承認された文面を後の手順で使えます。

データの読み書きは、SharePoint の Get items と Update item で行います。 Get items には OData の条件式で絞る Filter Query と、取り出す件数の Top Count があります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

経営企画が、入力の締めを確かめてから手動で起動します。 起動のときに対象の年月を入力し、フローはその年月の項目だけを扱います。月初の決まった日時に自動で動かすことはしません。 部門の入力が遅れた月に自動で動くと、未入力の項目について「メモがありません」という下書きが部門長に届き、承認の依頼が無駄に増えます。

起動の前に、未入力の部門を確かめます。 KPI のリストを Get items で引き、実績か理由のメモが空の項目を数えて Teams に出す小さなフローを別に用意し、経営企画はその数が0になったのを見てから本体を起動します。 未入力のまま起動したい月は、未入力の項目を飛ばす設定で起動します。

同じ年月で2回起動したときは、すでに下書きのある項目を飛ばします。 下書きの列が空でない項目は対象から外し、承認待ちの依頼が二重に届かないようにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
KPI の実績部門、KPI の名前、年月、目標、実績、理由のメモKPI のリスト(部門が入力)
前月と過去3か月の実績同じ KPI の前の月の実績KPI のリスト
KPI の定義定義、単位、良い向き(上がるほうが良い/下がるほうが良い)、説明が要る差の基準KPI の定義のリスト(経営企画が管理)
承認者部門ごとの部門長KPI の定義のリスト
書き方の決まり経営会議の説明文の長さ・語尾・要因の挙げ方プロンプトの指示に書き込む

質を決めるのは、KPI の定義のリストの「良い向き」の列です。 解約率、一次回答までの時間、1件あたりの獲得の費用は、下がるほうが良い項目です。この列が無いと、フローは差の符号から良化か悪化かを決められず、第3章の(c)がそのまま残ります。

説明が要る差の基準も、KPI ごとに持ちます。 新規の MRR は目標との差が10%、解約率は0.3ポイントのように、率で見る項目とポイントで見る項目があります。 基準を全社で一律にすると、小さな率の KPI が毎月すべて説明の対象になります。

KPI単位良い向き基準の種類基準承認者
新規の MRR千円上がるほうが良い達成率との差10%営業部長
解約率%下がるほうが良い目標との差(ポイント)0.3カスタマーサクセス部長
一次回答までの時間時間下がるほうが良い達成率との差15%サポート部長
応募から面接への移行率%上がるほうが良い目標との差(ポイント)5.0採用部長

この表は経営企画だけが書き換えます。 基準を部門が自分で緩められると、説明の要る項目が月ごとに減っていき、経営会議で見るべき差が資料から消えます。 基準を変えた年月も列に残します。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
対象の年月の項目KPI のリストGet items(Filter Query で年月が一致するもの)
前月と過去3か月の実績KPI のリストGet items(Filter Query で KPI と年月の範囲)
定義・良い向き・基準・承認者KPI の定義のリストGet items(Filter Query で KPI の名前)

Get items の Top Count は、既定ではすべてとされています。 全社で約120項目なので1回で取り出せますが、過去の月のデータが積み上がっても対象の年月で絞るので、取り出す件数は増えません。

計算は、取り出した後にフローの式で行います。 目標との差(実績 − 目標)、達成率(実績 ÷ 目標)、前月との差を項目ごとに計算し、良い向きの列と差の符号から「良化」「悪化」を決めます。 説明が要るかどうかは、差が基準を超えたかどうかで決めます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 未入力の項目を外す … 実績が空の項目は対象にせず、経営企画の一覧に残します
  2. 単位をそろえる … 率は%、金額は千円、時間は時間に、KPI の定義の単位でそろえます
  3. 数値を文字列に直して渡す … 小数の桁を KPI の定義で決め、AIには表示する形の文字列で渡します
  4. 理由のメモの長さを見る … 空のメモ、一言のメモ、長いメモに印を付けます

3番目は、文と表の数字を一致させるためです。 数値のまま渡すと、AIが桁を丸めたり「約」を付けたりします。資料の表に出る形の文字列を渡し、そのまま写させます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、渡された数値と部門のメモだけから説明文を下書きし、メモに無い点を挙げることです。

項目させること判断できないときの扱い
説明文2〜3文で、差の事実→部門のメモにある要因→部門のメモにある対応、の順に書くメモが空なら差の事実だけを書く
根拠の文説明文の要因と対応の根拠にしたメモの文を写す-
要確認の点差のうちメモで説明されていない部分、要因の大きさ、対応の時期など無ければ空
向きの食い違いメモの「良化」「悪化」「上がった」「下がった」が、フローの判定と食い違うか判断できなければ unclear

説明文の順を決めておくのは、第3章の(d)への答えです。 差の事実、要因、対応の順に2〜3文と決めれば、誰が承認しても資料の形がそろいます。

向きの食い違いは、AIに直させずに印だけを付けさせます。 メモに「悪化」と書かれていて、フローの判定が良化なら、どちらが正しいかを部門長が承認のときに確かめます。 AIが黙ってフローの判定に合わせて書き直すと、部門の認識の誤りが資料の外に消えます。

させないこと理由
差の計算や数値の言い換えフローの式で計算し、文字列で渡す
メモに無い要因の推測部門長が経営会議で説明できない
要因ごとの影響の大きさの見積もりメモに数字が無ければ「要確認」にする
施策の提案や目標の見直しの示唆経営陣と部門長が決める
部門や担当者の評価説明文は事実と要因に限る

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 「新規の MRR が目標を下回った」と渡すと、AIは「市場環境の変化」「競合の値下げ」のような、どの月のどの会社にも当てはまる要因を足します。 それらしく見えるので、承認の画面でそのまま通りがちです。

Step6

指示内容を固定する

あなたは経営企画の担当で、経営会議の資料に載せる KPI の説明文の
下書きを書きます。下の数値と、部門が書いた理由のメモだけを使って
ください。推測で要因を足さないでください。

【書き方】
- 2〜3文で書いてください。順は、差の事実、要因、対応です。
- 差の事実には、下の「実績」「目標」「差」「達成率」の文字列を
  そのまま使ってください。数値を丸めたり、言い換えたり、計算したり
  しないでください。
- 要因と対応は、部門のメモに書かれていることだけを書いてください。
  メモに無い要因(市場環境、競合、季節要因など)を足さないでください。
- メモが空の場合は、差の事実だけを書き、要因は書かないでください。
- 語尾は「〜しました」「〜です」にそろえてください。

【要確認の点】
- 差のうちメモで説明されていない部分、要因の影響の大きさ、
  対応の時期が書かれていなければ、open_points に1項目ずつ挙げてください。

【向き】
- この KPI は「{good_direction}」です。フローの判定は「{judgement}」です。
- メモの「良化」「悪化」「上がった」「下がった」などの表現が判定と
  食い違う場合は direction_mismatch を true にし、その文を写してください。
  説明文は判定に合わせて書き直さず、メモの表現も使わないでください。

【厳守事項】
- 施策の提案、目標の見直し、部門や担当者の評価を書かないでください。
- メモに個人の名前があっても、説明文には書かないでください。
- メモに他の KPI のことが書かれていても、この KPI に関係する文だけを
  根拠にしてください。
- evidence に、要因と対応の根拠にしたメモの文をそのまま写してください。
- Don't include JSON markdown in your answer.

【KPI】{kpi_name}({definition}) 【部門】{department}
【実績】{actual} 【目標】{target} 【差】{diff} 【達成率】{rate}
【前月】{prev} 【過去3か月】{trend}
【部門の理由のメモ】{memo}

「メモに無い要因を足さない」に例を添えているのは、例が無いと効きにくいからです。 「市場環境」「競合」「季節要因」は、AIがいちばん足しやすい要因です。名前を挙げて禁じます。

向きが食い違ったときに「メモの表現も使わない」としているのは、承認の画面で部門長に気づいてもらうためです。 説明文からは良化・悪化の語が消え、direction_mismatch の印が承認の依頼の本文に出ます。

Step7

出力形式を固定する

プロンプトの出力は、Custom の JSON 形式として次の例で固定します。

{
  "draft": "新規の MRR は 1,820千円で、目標 2,400千円に対し 580千円下回りました(達成率 75.8%)。部門のメモでは、予定していた大口の顧客2社の契約が翌月にずれたことが挙げられています。契約は翌月の上旬に締結の見込みです。",
  "evidence": [
    { "text": "大口2社の契約が来月にずれ込み" },
    { "text": "来月上旬に締結予定" }
  ],
  "open_points": [
    { "point": "差の 580千円のうち、2社の契約が占める金額" }
  ],
  "direction_mismatch": false,
  "mismatch_text": ""
}

evidence と open_points をキー付きの配列にしているのは、キーの無い配列が定義できないからです。 ["abc", "def"] の形はできず、[{"text": "abc"}] の形にします。

項目に分けて受け取る理由の1つ目は、承認の依頼の本文を組み立てられることです。 承認の Suggested Text には draft だけを入れ、依頼の本文に open_points と direction_mismatch を並べます。 部門長は、何を書き足すべきかを見てから文面を直せます。

2つ目は、open_points の数で経営企画の確認の順を決められることです。 承認された文面でも open_points が残ったまま承認された項目は、経営会議の前に経営企画が部門長に一声かけます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
KPI のリストGet items、Update item実績とメモの取り出し、下書き・承認された文面・承認者の書き戻し
KPI の定義のリストGet items定義・良い向き・基準・承認者の参照
AI BuilderRun a prompt説明文の下書き
ApprovalsStart and wait for an approval of text部門長の確認と修正
Microsoft TeamsPost message in a chat or channel承認の進み具合の知らせ

承認された文面と、直す前の下書きの両方を書き戻します。 KPI のリストに「下書き」「承認された文面」「承認者」「承認の日時」の列を持たせ、どこが直されたかを後から比べられるようにします。

KPI のリストに足す列は次のとおりです。

列入れるもの書く人
差・達成率・判定フローが計算した文字列と、良化/悪化フロー
下書きAIが返した draftフロー
要確認の点open_points を改行でつないだものフロー
向きの食い違いdirection_mismatch と mismatch_textフロー
承認された文面承認の応答で直された文面フロー(承認の結果から)
承認者・承認の日時・却下の理由承認の応答フロー(承認の結果から)

部門が書く列と、フローが書く列を分けます。 部門の入力の画面からは、フローが書く列を隠しておき、部門が下書きの列を直接書き換えて、承認を通らない文面が資料に入ることを防ぎます。

承認の依頼は、項目ごとに部門長へ出します。 1部門で10項目あれば10件の依頼が届きます。ループの中で承認を待つ作りにすると、前の項目の承認が返るまで次の依頼が出ない形になりうるので、項目ごとに別のフローを起動するなど、依頼を並べて出せる作りを利用環境に合わせて設計します。

Teams への知らせは、経営企画の標準のチャネルに出します。 投稿できるメッセージは約28KBまでで、プライベートチャネルには投稿できないとされています。進み具合は「承認済み 42/60」のような件数だけを出し、説明文の本文は載せません。

Step9

人が確認する

  1. 部門長が下書きを直して承認する … 要因と対応が部門の認識と合っているか、open_points を書き足すかを決めます
  2. 向きの食い違いの印を確かめる … direction_mismatch が true の項目は、メモと判定のどちらが正しいかを確かめます
  3. 却下された項目 … 部門長が却下すると、経営企画に戻り、部門の担当と話して書き直します
  4. 経営企画の読み直し … 承認された文面を資料に並べ、項目をまたいで重複や矛盾が無いかを見ます

2番目を省かないでください。 向きの取り違えは、経営会議で経営陣が最初に気づく誤りで、資料全体の信頼を下げます。

目標は、60件をならして1件12分です。 経営企画の時間として、起動、却下された項目の書き直し、open_points の残った項目の声かけ、資料への並べ直しを含めています。部門長が承認に使う時間は、Before の往復にも含めていないので、After にも入れていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
理由のメモが空差の事実だけの下書きを作り、open_points に「要因の記載なし」
実績が未入力対象から外し、経営企画の一覧に残す
目標が0や空で達成率が計算できない達成率を「-」として渡し、差だけで書かせる
JSON が作れないエラー「Don't include JSON markdown in your answer」を指示に足す
部門長が承認しないまま経営会議の前日になる前日の朝に経営企画が下書きのまま資料に入れ、「部門長の確認前」と明記する
同じ年月で2回起動される下書きのある項目を飛ばす
部門長が長期の不在定義のリストの代理の承認者の列を使う。代理が承認したことを記録に残す
メモが長く、複数の KPI のことが混ざるその KPI に関係する文だけを根拠にさせ、open_points に「他の KPI の記載あり」
メモに個人の名前が書かれている前処理で落とさず、下書きに個人の名前を出さないよう指示する。承認の画面で部門長が確かめる
KPI の定義が変わった月定義のリストに変更の年月を持ち、前月との比較を「定義変更のため比較なし」とする

最後の行は、SaaS の会社でよく起きます。 解約率の分母を「月初の契約数」から「月中の平均」に変えた月に、前月との差をそのまま渡すと、定義の変更による差を要因として書きます。

Step11

記録を残す

  • フローの実行ごとの対象の年月と、起動した人
  • 項目ごとに渡した数値の文字列と、部門のメモの全文
  • AIが返した JSON の全文(draft、evidence、open_points、direction_mismatch)
  • 承認された文面と、直す前の下書き
  • 承認者、承認の日時、却下の理由

4つ目が、プロンプトを育てる材料です。 下書きと承認された文面を月に一度見比べ、部門長が毎回消している言い回し、毎回足している情報を拾って指示に反映します。

04実装レベルの3段階

最小構成:プロンプトビルダーのテストの画面に値を貼り、下書きさせる / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+手動の起動で、差の計算・対象の判定・下書き・部門長の承認・書き戻しまでを行う / 計算、下書き、承認の依頼、記録
本格構成:上記+承認された文面から経営会議の資料のひな形への差し込み、未入力の部門への督促、四半期のまとめの下書き / 資料の作成までの流れ

半自動化で、1件30分が12分になり、この段階が本記事の想定です。 計算、書き直し、往復が自動になり、残るのは却下された項目と open_points の残った項目の手当てと、資料への並べ直しです。本格構成で減るのは、資料への貼り付けと、督促の手間です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を2〜3か月回すと、部門長が毎回直す言い回しと、open_points が出やすい KPI が分かります。部門のメモの書き方の手引きを先に直すほうが、資料の自動化より効きます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  60件 × 30分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 60件 × 12分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
18h
削減率
60%
年間削減時間
216h
年間金額換算(時間単価5,000円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 部門ごとに10〜20個の KPI を持ち、毎月の経営会議の前に経営企画が目標との差の説明を各部門から集めてまとめている SaaS・人材サービス・EC の会社。部門から届く理由のメモが箇条書きや一言で、経営企画が説明文に書き直して部門長に確かめてもらう往復に毎月数十時間かかっている場合。Microsoft 365(SharePoint、Teams、Power Automate)を使っている場合。
向いていない
  1. KPI が全社で十数個に限られ、経営企画の1名が数時間でまとめられる場合。KPI の実績と説明をすでに経営管理の仕組みで部門長が直接書き込んでいる場合。なお、差の原因が何か、目標を見直すか、施策をどう変えるかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の説明が要った項目から20件を選ぶ(うち数件は、メモが一言のもの、メモが空のもの、向きを取り違えたメモのものを入れる)
  2. 項目ごとに、実績・目標・差・達成率の文字列と、部門のメモを並べる
  3. Power Automate のプロンプトビルダーのテストの画面に、指示と1件ずつの値を貼り付ける
  4. 出てきた下書きを、当時部門長が承認した文面と突き合わせる

20件は必ずやってください。 フローを組む前に、「メモに無い要因を足さずに書けるか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の承認された文面に近い下書きが出たフローの組み立てに進む
市場環境や競合など、メモに無い要因が足される禁じる要因の例を指示に足す。構成は有効
当時の文面にあってメモに無い要因が多い経営企画が補っていた要因。 部門長に承認されていたかを確かめる

3行目が出るのは珍しくありません。 経営企画が補った要因のうち、部門長がそのまま通したものは、部門長も確かめていなかった可能性があります。 この構成では、その部分が「要確認」として部門長に戻ります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
メモに無い要因が足される足しやすい要因を名前で挙げて禁じる
説明文の数字が表とずれる差の計算はフローで行い、表示する形の文字列で渡す
良化と悪化を取り違える定義のリストに良い向きの列を持つ
メモの向きの誤りが黙って直される直させずに direction_mismatch の印を付ける
未入力の月に無駄な承認の依頼が届く自動で起動せず、締めを確かめて手動で起動する
承認の依頼が1件ずつしか出ない項目ごとに子のフローを起動する
JSON の形がテストのたびに変わるCustom で保存する
キーの無い配列で JSON の形が作れない[{"text": ""}] のようにキー付きにする
定義を変えた月に差が要因として書かれる定義の変更の年月を持ち、比較をしない
部門が下書きの列を直接書き換える部門の入力の画面からフローが書く列を隠す
説明の要る項目が月ごとに減っていく基準は経営企画だけが変え、変えた年月を残す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、経営会議の資料に部門が認めていない言葉や数字が載る誤りです。要因はメモから、数字はフローから、向きは定義からという3つを守れば、運用に乗ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 部門ごとの KPI の目標と実績、売上や解約に関わる数値、部門の理由のメモです。メモには、大口の顧客の社名、解約の理由、採用の状況が書かれることがあります。

  1. AIに渡す項目を絞る … 渡すのは、その項目の数値の文字列と部門のメモだけにします。他の部門の項目や、全社の売上の合計は渡しません
  2. モデルが処理される地域を確かめる … 日本では GPT-4.1 mini は GA (cross-geo) とされ、cross-geo のモデルは地域外でデータを処理する場合があるとされています。顧客の社名を含むメモを扱うので、社内の情報の取扱いの決まりに照らして、使ってよいかを先に決めます
  3. 説明文の責任を部門長に置く … 承認されたものだけを記録に残し、下書きのまま資料に入れる場合は「部門長の確認前」と明記します
  4. 評価に使わない … 説明文は差の事実と要因を書くもので、部門や担当者の評価の材料にしないことを、KPI の運用の決まりに書いておきます
  5. KPI のリストの閲覧範囲を絞る … 部門は自部門の項目、経営企画と経営陣は全項目、という権限にします

誤りが起きた場合のリスクは、部門が認めていない要因が経営会議の資料に載ることと、表と文の数字が食い違うことの2つです。 前者は要因の推測を許すと起き、後者は計算をAIに任せると起きます。要因はメモから、数字はフローから、と分けて守ります。

10まず何から始めるか

1週目:KPI の定義のリストを作る

全社の約120項目について、定義・単位・良い向き・説明が要る差の基準・承認者を1つのリストにします。良い向きの列は、各部門に確かめてから埋めます。

2週目:20件で試す

先月の項目から20件を選び、プロンプトビルダーで下書きさせます。当時承認された文面と突き合わせ、メモに無い要因が足されていないかを最優先で見ます。

3週目:差の計算と対象の判定をつなぐ

手動の起動から Get items、式の計算、対象の判定までを作り、表計算で計算していた結果と1か月分を突き合わせます。

4週目:下書きと承認をつなぐ

プロンプトと承認、書き戻しを足します。最初の1か月は、経営企画の1名だけを承認者にして、部門長に回す前に下書きの質を見ます。

2か月目: 部門長への承認を始め、直された件数と open_points の件数を数えます。3か月目以降: 部門のメモの書き方の手引きを直し、open_points が減って、経営会議の前の数日に経営企画がほかの仕事に戻れるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
2025年5月から Create text with GPT using a prompt の名前が Run a prompt になったこと。プロンプトの入力に前の手順の値を入れられること。Manually trigger a flow から作れること。Start and wait for an approval of text で人が出力を確かめ、直して応答でき、承認された文面を後の手順で使えることMicrosoft Learn: Use your prompt in Power Automate2026-10-14
出力に JSON を選べ、Auto detected と Custom があり、保存時の形が実行時に使われること。キーの無い配列は定義できないこと。JSON が作れないときに「Don't include JSON markdown in your answer」を足すよう案内されていることMicrosoft Learn: JSON output2026-10-14
既定のモデルが GPT-4.1 mini(Mini)で、温度の既定が0であること。Power Automate でプロンプトを使うとプロンプトビルダーのクレジットを消費し、AI Builder のクレジットが先に使われることMicrosoft Learn: Change the model version and settings2026-10-14
日本で GPT-4.1 mini が GA (cross-geo) であり、cross-geo のモデルは地域外でデータを処理する場合があることMicrosoft Learn: Prompt model availability by region2026-10-14
Get items、Update item があり、Get items に Filter Query(OData の条件式)と Top Count(既定はすべて)があることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-14
Post message in a chat or channel があること。メッセージの上限が約28KBであること。プライベートチャネルへの投稿ができないことMicrosoft Learn: Microsoft Teams connector2026-10-14

差の原因、目標の見直し、施策の変更は、部門長と経営陣が判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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