研究者からの「この研究に倫理審査が要るか、どの区分で出すか」の質問に、倫理指針と学内の倫理審査規程を根拠にチャットで答え、判断の要るものを事務局へ回す
研究者が「この研究に倫理審査が要るか、どの区分で出すか」をチャットで聞くと、侵襲・介入・使う情報などを選択肢で確かめ、倫理指針と学内規程から区分の候補を根拠付きで返します。判断の要るものは事務局へ回します。
- 生成AI
- Gemini
- AIサービス
- Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
- 連携・自動化
- Python
- 対象業界
- 医療/教育/製造
- 対象部門
- 研究開発
- 対象業務
- 問い合わせ対応/情報検索
- 主な課題
- 判断に時間がかかる/問い合わせが多い/属人化している
- AIで行う処理
- 対話
- 主な効果
- 品質標準化/対応スピード向上/属人化解消
- 導入難易度
- ★★★★☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- RAG・個別開発(大)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 研究者が、研究の概要を書いたメールで事務局に「審査が要るか」「どの区分か」を聞く
- 職員が、対象者・使う情報・測定の内容・介入の有無・共同研究の有無を聞き返す
- 倫理指針の本文とガイダンス、学内規程と申請の手引きを開いて、該当する箇所を探す
- 侵襲の程度や介入かどうかで迷うものは、詳しい職員か委員長に相談する
- 審査の要否と区分の見込みを返信し、使う申請書の様式を案内する
- 判断の要るもの(指針の対象か、軽微な侵襲か)は、委員会の事前相談に回す
- やり取りを、問い合わせの記録の表に書く
- 人研究者が、学内ポータルの倫理審査チャットで質問する(例:「学生に睡眠のアンケートと手首の活動量計を2週間つけてもらう研究。審査は要るか」)
- 自動中継プログラムが、ログインした研究者の所属と身分(教員・研究員・大学院生)を受け取る
- 自動研究の中身を選択肢で聞き返す(目的の分野、対象者、試料の有無、使う情報が既存か新規か、侵襲の有無、介入の有無、多機関共同か、開始の予定日)
- 自動回す条件(すでに開始した、侵襲の程度が分からない、介入か観察か分からない、特別な配慮を要する対象者、外国の機関との共同)に当たれば、答えを作らずに事務局へ回す
- 自動選んだ値から、規則の表で区分の候補(指針の対象外の候補/学内規程の審査/迅速審査の候補/通常審査/一括審査)を決める
- 自動開始の予定日から指針の版を選び、その版と学内規程に絞って、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが根拠付きで説明する
- 人研究者は、根拠の条文と規程のページを確かめてから、申請書の様式を選ぶ
- 人事務局の職員は、回ってきた質問だけを、聞き取り済みの値を見て判断する
各工程の詳しい説明を読む
- 研究者が、研究の概要を書いたメールで事務局に「審査が要るか」「どの区分か」を聞く
- 職員が、対象者・使う情報・測定の内容・介入の有無・共同研究の有無を聞き返す
- 倫理指針の本文とガイダンス、学内規程と申請の手引きを開いて、該当する箇所を探す
- 侵襲の程度や介入かどうかで迷うものは、詳しい職員か委員長に相談する
- 審査の要否と区分の見込みを返信し、使う申請書の様式を案内する
- 判断の要るもの(指針の対象か、軽微な侵襲か)は、委員会の事前相談に回す
- やり取りを、問い合わせの記録の表に書く
(a)聞き返しで日数が過ぎる。 研究者の最初のメールには、測定の内容も、既存の情報か新しく取るのかも書いてありません。聞き返しと返事が二往復すると1週間がたち、委員会の締切に間に合わなくなります。
(b)答えが職員によって違う。 「アンケートだけなら審査は要らない」と答える職員と、「心的外傷に触れる質問なら侵襲に当たりうる」と答える職員がいます。研究者は都合のよい答えを覚えます。
(c)指針の版が並ぶ。 2026年12月1日の施行の前に計画を作り、施行の後に始める研究があります。どちらの版で答えるかを決めずに返すと、同意の手続の説明が食い違います。
(d)判断の要る話が、普通の質問に混ざる。 「データはもう集め始めている」は、審査を受けずに始めてしまったという出来事です。 埋もれると委員長への報告が遅れます。
- 【人】 研究者が、学内ポータルの倫理審査チャットで質問する(例:「学生に睡眠のアンケートと手首の活動量計を2週間つけてもらう研究。審査は要るか」)
- 【自動】 中継プログラムが、ログインした研究者の所属と身分(教員・研究員・大学院生)を受け取る
- 【自動】 研究の中身を選択肢で聞き返す(目的の分野、対象者、試料の有無、使う情報が既存か新規か、侵襲の有無、介入の有無、多機関共同か、開始の予定日)
- 【自動】 回す条件(すでに開始した、侵襲の程度が分からない、介入か観察か分からない、特別な配慮を要する対象者、外国の機関との共同)に当たれば、答えを作らずに事務局へ回す
- 【自動】 選んだ値から、規則の表で区分の候補(指針の対象外の候補/学内規程の審査/迅速審査の候補/通常審査/一括審査)を決める
- 【自動】 開始の予定日から指針の版を選び、その版と学内規程に絞って、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが根拠付きで説明する
- 【人】 研究者は、根拠の条文と規程のページを確かめてから、申請書の様式を選ぶ
- 【人】 事務局の職員は、回ってきた質問だけを、聞き取り済みの値を見て判断する
5番目が、この設計の分かれ目です。 区分の候補は、選択肢の値の組み合わせから中継プログラムの規則で決めます。 「侵襲:なし」「介入:なし」なら迅速審査の候補、「侵襲:あり(軽微を除く)」なら通常審査、という対応を表に書きます。AIに任せると、質問の文の印象から「アンケートなので審査は不要と考えられます」と書き、研究者はそれを事務局の答えとして受け取ります。
「指針の対象外」は候補として示すだけです。 学内規程は対象外と考える研究にも事務局の非該当の確認を求めており、チャットは「非該当の確認の申請へ」までを出します。
02今回想定するシステム構成
学内ポータルの倫理審査チャット(教員・研究員・大学院生) ▼【トリガー】質問の送信(学内の ID 付き) 中継プログラム(Python、Cloud Run) ├──▶ 聞き返しの選択肢(分野・対象者・試料・情報・侵襲・介入・共同・開始日) ├──▶ 区分の規則の表:値の組み合わせ → 区分の候補と申請の様式 ├──▶ 版の表:開始の予定日 → 適用する指針の版 ├──▶ 回す条件 → 事務局の待ち行列(委員会の締切の近い順) ▼ Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド │ データストア:倫理指針(令和5年版・令和8年版)+ガイダンス │ +学内の倫理審査規程・申請の手引き+過去の質疑 │ 絞り込み:doc_type/topic/valid_from/valid_to ▼ 中継プログラム ── 根拠の版と区分の候補が合っているかを確かめる ├──▶ 区分の候補・説明・根拠・申請の様式を返す └──▶ 答えられない・版が合わない → 事務局の待ち行列
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 検索基盤 | Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッド | Azure AI Search、Amazon OpenSearch Service |
| 生成AI | Gemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル) | ─ |
| 連携 | 中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、チャット・規則の表・検索・待ち行列をつなぐ) | Node.js で同じものを書く |
| 認証 | 学内の ID 基盤(Microsoft Entra ID など) | Google の ID |
| 保管 | Cloud Storage(指針・ガイダンス・規程の原本とメタデータ) | ─ |
電子申請の仕組みは、新しく足すものではありません。 チャットは様式の名前とリンクを示すだけです。最初の準備は、学内規程の別表と倫理指針の迅速審査の各号を、選択肢の値の組み合わせの表に起こすことです。
検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、文ごとに出典を付けられます。前のセッションの ID を渡して続けての質問をつなぐことができ、質問の言い換えは既定で有効です。関係の薄い内容しか無いときに回答を作らない設定と、根拠の強さのスコアで回答を落とす設定があります。
根拠の中心は、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針です。 厚生労働省のページに本文・施行通知・ガイダンスが版ごとに並んでいます。令和8年8月27日の一部改正は同年12月1日の施行で、施行通知は、現行の指針の規定で実施中の研究は、個人情報保護関連の法令とガイドラインが守られる場合に限り、従前の例によることができるとしています。 ガイダンスは今後改訂するとされているので、改訂までは新しい版の本文に対応するガイダンスがありません。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
起点は、研究者が学内ポータルの倫理審査チャットに質問を送ったことです。 チャットは学内の ID でログインした教職員と大学院生が使え、所属から、回したときにどの委員会の担当に載せるかを決めます。
最初の質問の後に、選択肢の聞き返しを必ず通します。 研究者が自由に書いた説明だけで答えを作ると、書いていない測定や既存のデータの出どころが抜けます。選択肢の8項目がそろうまで、区分の候補は出しません。 「分からない」を選べるようにし、それも回す値の一つにします。
開始の予定日は必須にします。 2026年11月30日までに始めるか、12月1日以降に始めるかで適用する指針の版が変わります。「未定」なら、両方の版で答えが違う箇所を並べ、事務局への相談を案内します。 別の研究の話は、前の値が残らないよう新しいセッションで始めます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 質問 | 研究者が打った質問の文、選んだ聞き返しの値 | チャット |
| 研究者の情報 | 所属、身分(教員・研究員・大学院生)、指導教員 | 学内の ID 基盤 |
| 倫理指針 | 令和5年3月27日一部改正の版と、令和8年8月27日一部改正の版の本文 | 厚生労働省のページのPDF |
| ガイダンス | 令和6年4月1日の版(改訂されたら追加) | 厚生労働省のページのPDF |
| 施行通知 | 令和8年8月27日の一部改正の趣旨・主な改正点・経過措置 | 厚生労働省のページのPDF |
| 学内規程 | 倫理審査規程、指針の対象外の研究の審査の細則、申請の手引き、様式の一覧 | 学内ポータルのPDF |
| 区分の規則の表 | 選択肢の値の組み合わせごとの区分の候補と申請の様式 | 事務局が作る表 |
| 回す条件の表 | 聞き返す項目と選択肢、答えずに回す値 | 事務局が作る表 |
質を決めるのは、区分の規則の表です。 指針の迅速審査の各号は、①多機関共同研究で全体について審査を受けて適当の意見を得ている場合、②研究計画書の軽微な変更、③侵襲を伴わない研究であって介入を行わないもの、④軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないもの、⑤利益相反に関して確認が必要な研究者等の追加、です。この各号を選択肢の値で表し、学内規程の別表と並べます。 学内規程が指針より厳しく決めている箇所(例えば、大学院生の研究は迅速審査でも指導教員の確認を要するなど)は、規程の側の行を優先します。
研究の仮説や未発表の結果は、この構成に入れません。 区分を答えるのに仮説は要らないので、検索の文には選択肢の値と質問の要点だけを渡します。
データの取得方法を決める
指針・ガイダンス・施行通知・学内規程・過去の質疑は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 文書ごとのメタデータに、文書の種類、話題(適用範囲/用語の定義/審査の区分/一括審査/同意の手続)、適用開始日、適用終了日を持たせます。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 文書の種類(指針/ガイダンス/通知/規程/質疑) | メタデータ | 絞り込みと、根拠の表示の順 |
| 話題 | メタデータ | 質問の種類に合う記載だけに絞る |
| 適用開始日・終了日 | メタデータ | 開始の予定日に効く指針の版だけに絞る |
| 対応する指針の版 | メタデータ(ガイダンスと質疑に付ける) | 旧版向けのガイダンスを新版の答えに混ぜない |
指針は、厚生労働省の「研究に関する指針について」のページから版ごとに取ります。 令和5年版には適用終了日2026-11-30を、令和8年版には適用開始日2026-12-01を付け、新しい版や改訂のガイダンスが載ったかを事務局が月に一度確かめます。
絞り込みの式は、話題と版で書きます。 項目を索引可能にしておけば、topic: ANY("review_type") AND valid_from <= "2026-12-15" AND valid_to >= "2026-12-15" のように、開始の予定日に効く版だけを引けます。日付は ISO 8601 の形式でそろえます。
ガイダンスには「対応する指針の版」を付けます。 令和6年4月1日のガイダンスは令和5年版の本文の解説で、改正後の同意の手続の整理(研究の3つの分類)には対応していません。 新しい版で答えるときは、ガイダンスを除いて本文と学内規程だけで答えます。
AIへ渡す前に整形する
- 指針を項目ごとに分ける … 第2(用語の定義)、第3(適用範囲)、第6(研究計画書に関する手続)、第17(倫理審査委員会の役割・責務等)を見出し付きで取り込みます
- 版の適用開始と終了を付ける … 施行日で区切った日付を書きます
- ガイダンスに対応する版を付ける … 令和6年4月1日の版は令和5年版に対応
- 学内規程を条ごとに分ける … 別表は表のまま取り込みます
- 区分の規則の表を作る … 指針の迅速審査の各号と学内規程の別表を、選択肢の値の組み合わせで書き直します
- 過去の質疑を整える … 研究者の氏名と研究題目を消し、根拠の条と項を書き添えます
- 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、
includeAncestorHeadingsを有効にします
5番目の表の作り方が、この構成でいちばん効きます。 指針は、侵襲を穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって身体又は精神に傷害又は負担が生じることとし、そのうち小さいものを軽微な侵襲としています。 委員会の運用で決まっている例(採血の量、質問紙の内容など)を表の注記に書き、注記に無いものは回す値にします。
7番目は、データストアを作る前に決めます。 分割は作成のあとでは有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 見出しの無い断片はどの項の話か分かりません。分割の大きさは100〜500トークン(既定500)で、PDFの表と見出しを読むためレイアウトパーサーを使います。
AIに処理させる
させるのは、規則の表が出した区分の候補について、その候補に当たる指針の条項と学内規程の条を見つけ、研究者が次に何をすればよいかを根拠付きで短く返すことです。 区分の候補そのものと、何を聞き返すか、何を回すかは、中継プログラムが表で決めます。
| 要素 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 区分の候補の説明 | 規則の表が出した候補が、指針と規程のどの記載に当たるか | 指針、学内規程 |
| 次にすること | 申請の様式、指導教員の確認、事前相談など | 申請の手引き |
| 用語の確認 | 選んだ値に関わる用語の定義(侵襲、介入、既存の情報など) | 指針の第2 |
| 版の注意 | 施行日をまたぐときに変わる手続 | 施行通知、指針 |
answer メソッドの設定は次のようにします。
| 設定 | 値 | 理由 |
|---|---|---|
session | 質問ごとのセッション | 聞き返しと続けての質問をつなぐ |
includeCitations | 有効 | 回答に指針の条項と規程の条を付ける |
ignoreLowRelevantContent | 有効 | 指針と規程に無い話に答えない |
ignoreNonAnswerSeekingQuery | 有効 | あいさつや雑談で検索しない |
ignoreAdversarialQuery | 有効 | 規則をすり抜ける答えを引き出そうとする質問に答えない |
groundingSpec の filteringLevel | FILTERING_LEVEL_HIGH | 根拠の弱い回答を出さない |
filter | 話題、版、文書の種類 | 開始日に効く版と、質問の話題だけにする |
preamble | 下の指示 | 答え方の規則を与える |
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 審査が要らないと言い切る | 指針の対象外かは事務局が非該当の確認で決める |
| 区分の候補を変える | 候補は規則の表で決め、AIの印象で動かさない |
| 侵襲が軽微かどうかの判断 | 委員会の運用と測定の具体で決まる |
| 介入か観察かの判断 | 研究の設計を見て委員会が決める |
| 一般的な研究倫理の知識で補う | 学内規程と違いうる。他の大学の運用とも違う |
1行目がいちばん起きやすい失敗です。 指針の適用範囲には、個人に関する情報に該当しない既存の情報や既に作成されている匿名加工情報のみを用いる研究などを対象としない、と書かれています。モデルはこの項を見つけて「審査は不要です」と書けてしまいます。 答えは「非該当の確認の申請へ」で止めます。
指示内容を固定する
answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。
あなたは大学の倫理審査委員会事務局の職員として、
教員・研究員・大学院生から、倫理審査が要るか、どの区分で申請するかの
質問に答えます。読むのは、研究計画書を書く前の研究者です。短く答えてください。
【前提】
検索の文の最初に、研究の分野、対象者、試料の有無、使う情報(既存か新規か)、
侵襲の有無、介入の有無、多機関共同か、開始の予定日、
適用する指針の版、規則の表が出した区分の候補が並んでいます。
その条件と区分の候補に当たる記載だけを使って答えてください。
【答え方】
1. 最初に、区分の候補をそのまま書いてください。書き換えないでください。
2. 次に、その候補に当たる指針の条項と学内規程の条を書いてください。
3. 研究者が次にすること(申請の様式、指導教員の確認、事前相談)を
申請の手引きの順に書いてください。
4. 開始の予定日が2026年12月1日の前後で手続が変わる場合は、
そのことを1行で書いてください。
【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで答えてください。
一般的な研究倫理の知識や、他の大学の運用で補わないでください。
- 「審査は不要です」「審査を受けなくてよい」と書かないでください。
指針の対象外の候補のときは、
「非該当の確認の申請に進んでください」とだけ書いてください。
- 侵襲が軽微かどうか、介入に当たるかどうかを判断しないでください。
- 区分の候補と違う区分を勧めないでください。
- 研究の仮説や結果に触れないでください。
- 該当する記載が見つからないときは、
「指針と学内規程に該当する記載が見つかりません。事務局へ回します」
とだけ書いてください。
「審査は不要です」と書かない、が、この指示の要です。 対象外の規定を禁じるだけでは、「指針の適用を受けないと考えられます」と書きます。書き方そのものを禁じ、答えを非該当の確認の手続に固定します。
検索の文は、中継プログラムが組み立てます。 「分野:健康科学、対象者:成人、試料:なし、情報:新規、侵襲:なし、介入:なし、多機関共同:なし、開始:2027-01-10、版:令和8年版、候補:迅速審査(第17の3⑴③)。申請の様式を知りたい」のように、値と候補を先に並べ、質問の要点を最後に足します。
出力形式を固定する
answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、チャットと記録に渡します。
{
"inquiry_id": "",
"session_id": "",
"researcher_role": "faculty | researcher | graduate_student",
"conditions": { "field": "medical | health | psychology | social | other", "subjects": "adult | minor | special_care | none", "specimen": false, "data_source": "new | existing | public | anonymized", "invasive": "none | minor | major | unknown", "intervention": "yes | no | unknown", "multi_site": false, "start_date": "" },
"guideline_version": "R5_2023 | R8_2026",
"review_candidate": "out_of_scope_candidate | campus_rule_review | expedited_candidate | full_review | central_review",
"rule_row": "",
"status": "answered | escalated | skipped",
"escalate_reason": "already_started | invasive_unknown | intervention_unknown | special_care | overseas | not_in_rules | version_mismatch | candidate_mismatch | skipped | user_request | none",
"answer_text": "",
"form_name": "",
"refs": [ { "doc_type": "guideline | guidance | notice | campus_rule | qa", "title": "", "section": "", "version": "", "uri": "" } ],
"feedback": "resolved | escalated_after | wrong | none"
}
1つ目の理由は、review_candidate と rule_row を回答の文と分けられることです。 候補は規則の表の行から決まり、回答の文に別の区分の名前が出てきたら candidate_mismatch で回します。
2つ目は、conditions を回答と一緒に残せることです。 事務局へ回すとき選んだ値がそのまま渡るので、職員は聞き返さずに判断に入れます。
3つ目は、guideline_version と refs の版を突き合わせられることです。 合わなければ version_mismatch で回します。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 学内ポータルの倫理審査チャット | 学内向けの画面 | 質問を受け、聞き返しと回答を表示する |
| 学内の ID 基盤 | シングルサインオン | 所属と身分を受け取る |
| 区分の規則の表・版の表 | 中継プログラムの読み取り | 値の組み合わせから候補を、開始日から版を決める |
| Agent Search | answer メソッドの呼び出し | 指針・ガイダンス・規程から回答を作る |
| 事務局の待ち行列 | 書き込み | 回す質問を、値と一緒に、委員会の締切の近い順に載せる |
| 問い合わせの記録 | 書き込み | 質問・値・候補・回答・評価を残す |
電子申請の仕組みには、書き込みません。 チャットの記録を申請に添付させるなら、事前の案内であって審査の結果ではないと明記します。
人が確認する
研究者は、回答を読んだあと、根拠の条文と規程のページを開いて確かめてから様式を選びます。 回答の上には、選んだ値と、適用した指針の版、区分の候補の行を並べて表示します。
- 値が合っているかを見る … 対象者、試料、侵襲、介入、共同研究の値が、計画している研究と合っているかを確かめます
- 版を見る … 開始の予定日と適用した版が合っているかを見ます
- 評価を付ける … 解決した/事務局へ回した/誤りを選びます
1番目を軽く見ないでください。 過去のつらい体験を尋ねる質問紙で「侵襲:なし」を選ぶと、迅速審査の候補が出て委員会で差し戻されます。 選択肢の横に侵襲の定義の文を表示します。
大学院生の質問には、指導教員にも同じ回答を送ります。 回答が大学院生だけで止まると、申請書の指導教員の欄が形だけになります。事務局の職員は、回ってきた質問だけを見ます。 already_started は当日のうちに委員長へ報告します。
目標は、120件をならして1件8分です。 チャットで解決した質問の記録の確認と、回ってきた質問を職員が判断する時間の平均です。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 「すでに開始した」が選ばれる | 答えを作らず already_started で回し、事務局の責任者へ即時に通知する |
| 侵襲・介入が「分からない」 | 答えを作らず invasive_unknown か intervention_unknown で回す |
| 対象者に未成年や特別な配慮を要する者が含まれる | 答えを作らず special_care で回す |
| 外国の機関と共同で行う | 答えを作らず overseas で回す。相手国の基準との関係は事務局が確かめる |
| 開始の予定日が未定 | 両方の版で違う箇所を並べ、相談を案内する |
| 回答の文に候補と違う区分がある | 回答を出さず candidate_mismatch で回す |
| 根拠の版が開始日と合わない | 回答を出さず version_mismatch で回す |
| 改訂ガイダンスが公開された | データストアに取り込み、対応する版を付けるまで新版の答えではガイダンスを除く |
| 検索の呼び出しが失敗する | 「回答を作れませんでした」と表示し、事務局の連絡先を示す |
1行目は、運用の約束として研究者に伝えておきます。 報告できる窓口だと分かっていないと、研究者は「これから始める研究」として質問します。
記録を残す
- 質問の文、選んだ聞き返しの値、日時、所属と身分
- 規則の表が出した区分の候補と、表の行
- 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
- answer メソッドの応答の全文(回答、出典、根拠のスコア、回答しなかった理由)
- 回す・回さないの判定とその理由、事務局が最終的に答えた区分
- そのとき効いていた指針の版、ガイダンスの版、学内規程の版
最後の行は、委員会で差し戻しがあったときに効きます。 「チャットでは迅速審査と言われた」という申出に、当時の値と版と回答を並べ、値の選び方と規則の表のどちらが原因かを分けます。
04実装レベルの3段階
半自動化で、1件20分が13分程度になります。 探す時間は縮みますが、メールの聞き返しと、1名の職員が全件を受ける形が残ります。本格構成で8分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、聞き返しがチャットの選択肢に移り、区分の候補が表から機械的に出るからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で職員が何を聞き返しているかを拾い、選択肢と回す値の元にします。
05工数削減シミュレーション
導入後 120件 × 8分 ÷ 60 = 16 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 医学・看護・健康科学・心理・スポーツ科学などの学部や研究所を持ち、人を対象とする研究の倫理審査委員会と事務局を置いている大学・研究機関。食品・化粧品・医療機器などで人を対象とする試験を行い、社内に倫理審査委員会を置く企業の研究所。研究者から「審査は要るか」「迅速審査で出せるか」「共同研究先の委員会の審査で足りるか」の質問が毎月百件前後届き、答えられる職員が限られている場合。2026年12月1日に施行される倫理指針の改正に合わせて、学内の規程と申請の手引きを見直している場合。
- 人を対象とする研究が年に数件で、事務局の担当者が研究者と直接話して足りる場合。学内の倫理審査規程や申請の手引きが無く、どの研究を審査に出すかを委員長がその都度決めている場合(根拠にする文書が無いので、まず規程と手引きを整えるのが先です)。倫理審査が要るかどうか、どの区分で審査するかをAIに決めさせたい場合(この構成は指針と規程の該当箇所と区分の候補を示すだけで、審査の要否と区分は事務局と倫理審査委員会が決めます)。
07最小構成で試す方法
- 過去半年に事務局に届いた質問から30件を選ぶ(指針の対象外かで迷ったもの、迅速審査か通常審査かで迷ったもの、多機関共同の質問を数件ずつ入れる)
- その30件について、職員がどの条項と規程を見て、どの区分で答えたかを記録から拾う
- 倫理指針の令和5年版と令和8年版の本文、施行通知、学内規程を、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
- 研究の値を並べて貼り、「添付の資料だけを根拠に、この研究に当たる指針の条項と学内規程の条を示してください。審査が要らないとは書かないでください。侵襲が軽微か、介入かは判断しないでください」と指示する
- 出てきた回答を、当時の職員の答えと突き合わせる
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時と同じ条項を根拠に同じ区分の説明が出た | 規則の表の作成とデータストアの構築に進む |
| 「審査は不要」と書いた | 指示の書き方と、候補を規則の表で決める形で直る。構成は有効 |
| 職員の答えが職員ごとに違っていた | 区分の規則の表を委員会で決めるのが先。 検索の問題ではない |
3行目が出ることは珍しくありません。 職員の経験で答えていた区分が、文書の側で決まっていなかったということです。 表を決めて同じ30件で試し直してください。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 「審査は不要です」と書く | 書き方を禁じ、対象外の候補は非該当の確認の手続へ案内する |
| AIが区分の候補を変える | 候補は規則の表で決め、回答の文の区分と照らす |
| 施行日をまたぐ研究に旧版で答える | 開始の予定日を必須にし、版で絞り込む |
| 新版の答えに旧版向けのガイダンスが混ざる | ガイダンスに対応する版を付け、新版では除く |
| 研究者が「侵襲:なし」を選び違える | 選択肢の横に定義の文を表示し、迷ったら「分からない」を選ばせる |
| 大学院生の質問が指導教員に届かない | 同じ回答を指導教員にも送る |
| 見出しの無い断片で答える | 作成時に includeAncestorHeadings を有効にする。後から変えられない |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、指針としては正しい記載を引いているのに、その研究の手続としては誤っているという失敗です。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 倫理指針、ガイダンス、施行通知、学内規程、過去の質疑、研究者の所属と身分、研究者の質問の文です。質問の文には、未発表の研究の内容や、対象者の集め方が書かれることがあります。
- 未発表の研究の内容を入れさせない … 画面に「研究の仮説や結果は書かないでください」と表示し、検索の文には選択肢の値と質問の要点だけを渡します。 研究対象者の個人情報は、どのような形でもチャットに入れさせません
- 審査の要否と区分をAIに決めさせない … 指針は、研究責任者が研究の実施の適否について倫理審査委員会の意見を聴かなければならないとしています。チャットが出すのは候補と根拠までで、要否と区分は事務局と委員会が決めます
- 「すでに開始した」を報告できる窓口にする … 研究者が申告をためらわないよう、チャットの最初の画面にこの選択肢があることを示します
- 指針の版とガイダンスの改訂を追う担当を決める … 施行通知はガイダンスを今後改訂するとしています。改訂が出るまでの期間に新版で答える箇所を、事務局が把握しておきます
誤りが起きた場合のリスクは、審査の要らない研究だと受け取らせて審査を受けずに始めさせることと、版を取り違えて同意の手続を誤って伝えることの2つです。 前者は書き方の禁止と非該当の確認の手続で、後者は開始日による版の絞り込みで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:区分の規則の表と版の表を作る
倫理指針の迅速審査の各号と学内規程の別表を並べ、選択肢の値の組み合わせごとに区分の候補と申請の様式を書きます。 あわせて、令和5年版と令和8年版の適用の区切り(2026年12月1日)と、経過措置の扱いを版の表にします。
2週目:30件で試す
過去半年の質問から30件を選び、手元のAIサービスに指針・通知・学内規程を読み込ませて、値を並べて聞きます。「審査は不要」と書いていないか、版を取り違えていないかを最優先で見ます。
3週目:回す条件の表を決める
「すでに開始した」「侵襲・介入が分からない」「特別な配慮を要する対象者」「外国の機関との共同」を中心に、聞き返す項目と回す値を表にし、倫理審査委員長の承認を取ります。
4週目:データストアを作る
分割と見出しの設定を決めて、指針・ガイダンス・通知・規程・質疑を取り込みます。事務局の職員が検索画面で使い、自分の答えと比べます。
2か月目: 中継プログラムとチャットを作り、一つの学部で試します。回った理由を毎週数えます。3か月目以降: 全学に広げ、1件20分が何分になったかを実測します。事務局に届く質問が、判断の要るものと開始してしまったものだけになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| 倫理指針の本文・新旧対照表・施行通知・ガイダンスが版ごとに掲載されていること。令和8年8月27日一部改正の本文と施行通知、令和5年3月27日一部改正の本文、令和6年4月1日のガイダンスがあること | 厚生労働省: 研究に関する指針について | 2026-10-08 |
| 第2(侵襲の定義と、傷害又は負担が小さいものを軽微な侵襲とすること。介入の定義)。第3の1(適用される研究と、法令の規定により実施される研究、既に学術的な価値が定まり一般に入手可能な試料・情報、個人に関する情報に該当しない既存の情報、既に作成されている匿名加工情報のみを用いる研究を対象としないこと)。第6の2(研究責任者が倫理審査委員会の意見を聴くこと。多機関共同研究で侵襲(軽微を除く)を伴う又は介入を行う研究は一の倫理審査委員会による一括した審査を求めなければならず、その他も原則として一括した審査を求めること)。第17の3(迅速審査の対象の①〜⑤) | 厚生労働省: 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和8年8月27日一部改正) | 2026-10-08 |
| 改正指針を令和8年8月27日に告示し同年12月1日から施行すること。同意の手続を研究の3分類に応じて整理したこと。侵襲・介入研究の多機関共同研究の一括した審査を必須としたこと。実施中の研究は個人情報保護関連の法令とガイドラインが守られる場合に限り従前の例によることができること。ガイダンスを今後改訂すること | 厚生労働省ほか: 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の一部改正について(通知) | 2026-10-08 |
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが前のセッションの ID で続けての質問をつなげ、質問の言い換えが既定で有効なこと。includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreNonAnswerSeekingQuery、ignoreAdversarialQuery、preamble、filter。groundingSpec の filteringLevel に FILTERING_LEVEL_LOW と FILTERING_LEVEL_HIGH があること | Google Cloud: Get answers and follow-ups | 2026-10-08 |
絞り込みの ANY()、項目を索引可能にする必要があること、日付を ISO 8601 で書くこと | Google Cloud: Filter search for structured or unstructured data | 2026-10-08 |
レイアウトパーサーがPDFの表と見出しを検出すること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割はデータストアの作成後に切り替えられないこと | Google Cloud: Parse and chunk documents | 2026-10-08 |
倫理審査の要否と区分は、各機関の倫理審査規程と倫理審査委員会の判断に従ってください。 本記事は厚生労働省のページと Google Cloud のドキュメントで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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