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大学の教員から届く休講・補講・教室変更の連絡メールを読み取り、科目・日時・教室を学務システムへの登録票にそろえて、学生向けのお知らせの下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

教員から教務の窓口に届く休講・補講・教室変更の連絡メールから、科目・曜日時限・日付・教室を取り出します。時間割と照らして学務システムへの登録票にそろえ、学生向けのお知らせの下書きを作ります。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
教育
対象部門
総務
対象業務
データ入力・転記/書類作成
主な課題
入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
70%
年間削減
504h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 共有メールボックスで連絡のメールを開き、種別(休講・補講・教室変更)と、科目・日付・時限・教室を読む
  2. 学務システムの時間割で、その教員のその曜日時限の科目を探し、科目を特定する
  3. 補講なら、教室の予約表で空きを確かめ、教室を押さえる
  4. 学務システムに休講・補講・教室変更を登録する
  5. 学生ポータルにお知らせを書いて掲載する
  6. 教員に「登録しました」と返信する
導入後(After)
  1. 自動共有メールボックスに連絡のメールが届くと、フローが動く
  2. 自動差出人のアドレスを教員の一覧と照らし、教員を特定する
  3. 自動プロンプトがメールから種別・科目名・曜日時限・日付・教室・補講の方法を取り出す
  4. 自動教員と曜日時限で時間割を引き、科目を候補から1つに絞る
  5. 自動日付と曜日が学年暦で合っているか、授業のある日かを確かめる
  6. 自動補講と教室変更は、教室の予約表で空きを確かめる
  7. 自動登録票(学務システムへの登録の内容)と、学生向けのお知らせの下書きを作る
  8. 人職員が登録票とお知らせを確かめ、学務システムに登録してお知らせを掲載する
  9. 自動教員へ、登録した内容の確認のメールを送る
  10. 自動休講ごとに補講の連絡が来たかを追い、来ていない科目を毎週一覧にする
各工程の詳しい説明を読む
  1. 共有メールボックスで連絡のメールを開き、種別(休講・補講・教室変更)と、科目・日付・時限・教室を読む
  2. 学務システムの時間割で、その教員のその曜日時限の科目を探し、科目を特定する
  3. 補講なら、教室の予約表で空きを確かめ、教室を押さえる
  4. 学務システムに休講・補講・教室変更を登録する
  5. 学生ポータルにお知らせを書いて掲載する
  6. 教員に「登録しました」と返信する

(a)科目を特定するのに時間がかかる。 メールの科目名と時間割の科目名が違う、曜日だけで日付が書かれていない、「来週」が今週の次なのか来月なのか分からない。職員は時間割と学年暦を開いて、1件ずつ読み解いています。

(b)日付と時限の取り違えが起きる。 「10/21(火)」と書かれていても、10月21日が火曜でないことがあります。曜日と日付のどちらが正しいかを確かめずに登録すると、学生は違う日に教室に来ます。

(c)お知らせの掲載が遅れる。 前日の夕方に届いた翌朝の休講の連絡は、職員が帰った後だと、翌朝の掲載では学生が教室に着いた後になります。 1限の休講ほど、遅れの影響が大きくなります。

(d)補講の漏れに気づかない。 休講の連絡は登録されても、後から来るはずの補講の連絡が来ないまま学期が終わることがあります。休講と補講を結びつけた記録が無いので、科目ごとに何回足りないかが分かりません。

  1. 【自動】 共有メールボックスに連絡のメールが届くと、フローが動く
  2. 【自動】 差出人のアドレスを教員の一覧と照らし、教員を特定する
  3. 【自動】 プロンプトがメールから種別・科目名・曜日時限・日付・教室・補講の方法を取り出す
  4. 【自動】 教員と曜日時限で時間割を引き、科目を候補から1つに絞る
  5. 【自動】 日付と曜日が学年暦で合っているか、授業のある日かを確かめる
  6. 【自動】 補講と教室変更は、教室の予約表で空きを確かめる
  7. 【自動】 登録票(学務システムへの登録の内容)と、学生向けのお知らせの下書きを作る
  8. 【人】 職員が登録票とお知らせを確かめ、学務システムに登録してお知らせを掲載する
  9. 【自動】 教員へ、登録した内容の確認のメールを送る
  10. 【自動】 休講ごとに補講の連絡が来たかを追い、来ていない科目を毎週一覧にする

8番目の登録は、職員が行います。 学務システムは成績や出席にもつながる基幹のシステムです。この構成は登録票を作るところまでにし、学務システムには書き込みません。 職員は登録票の値を確かめて、そのまま入力します。

10番目は、第3章の(d)のための仕組みです。 休講の登録票を作った時点で、その科目に「補講の連絡待ち」の印を付け、補講の登録票ができたら印を外します。 印が残っている科目が、補講の漏れの候補です。

02今回想定するシステム構成

構成図
教員(教務課の共有メールボックスへ連絡のメール)
   ▼【トリガー】新しいメールが届いたとき(共有メールボックス)
Power Automate(受付のフロー)
   ├──▶ 差出人と教員の一覧の照合
   ├──▶ AI Builder のプロンプト:種別・科目・日時・教室の取り出し(JSON)
   ├──▶ 時間割(SharePoint のリスト)で科目を絞る
   ├──▶ 学年暦で日付と曜日、授業のある日かを確かめる
   ├──▶ 教室の予約表で空きを確かめる
   ├──▶ 登録票と、学生向けのお知らせの下書き(定型の文に差し込み)
   └──▶ 職員の確認の待ち行列(Teams へ通知)
【職員が確かめて、学務システムに登録・お知らせを掲載】
   ▼
教員への確認のメール/補講の連絡待ちの追跡(毎週)
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
受信と返信Office 365 Outlook(共有メールボックス)―
保管SharePoint のリスト(時間割、学年暦、教室の予約表の写し、登録票)Dataverse
通知Microsoft Teams―

学務システムには、直接つなぎません。 学務システムの製品はさまざまで、外から書き込む仕組みがあるとは限りません。時間割と学年暦は学期の初めと変更のたびに出力し、SharePoint のリストに置きます。 教室の予約表も、予約の仕組みから毎日写しを出力して置きます。

取り出しには、AI Builder のプロンプトを使います。 公式ドキュメントでは、Power Automate のフローに「プロンプトを実行する」アクションとして追加でき、Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで実行され、一部の地域に限定され、使用制限の対象となる場合があるとされています。

メールの受信には、Office 365 Outlook コネクタのトリガー「新しいメールが届いたとき (V3)」を使います。 公式ドキュメントでは、共有メールボックスのアドレスを指定して監視でき、まれにトリガーが起動するまで最大1時間かかることがあるとされています。翌朝1限の休講のように急ぐ連絡への備えは、第7章で扱います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

教務課の共有メールボックスに、連絡のメールが届いたことを起点にします。 トリガーの「元のメールボックス アドレス」に共有メールボックスを入れ、フォルダーは「授業の変更」用に分けます。 教員に案内する宛先を1つにし、件名に「休講」「補講」「教室変更」のいずれかを入れてもらうよう頼んでおくと、受信の規則で振り分けられます。

件名の決まりを守らない連絡も、同じフォルダーに入れます。 件名で振り分けられなかったメールは、本文に「休講」「補講」「教室」などの語があるかを受信の規則で見て、同じフォルダーへ移します。 振り分けの漏れは、毎朝の未処理の件数で気づけるようにします。

急ぐ連絡には、別の目印を付けます。 トリガーは最大1時間遅れることがあるとされているので、翌日の授業についての連絡は、取り出しの後に「至急」の印を付け、職員の Teams に別の通知で知らせます。 夜間に届いたものは、翌朝の始業の前に職員が最初に見る一覧の先頭に置きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
連絡のメール差出人、件名、本文、受信日時共有メールボックス
教員の一覧教員番号、氏名、メールアドレス(大学のものと、届け出た個人のもの)SharePoint のリスト
時間割科目コード、科目名、別名、担当教員、曜日時限、教室、開講期間SharePoint のリスト(学務システムから出力)
学年暦日付ごとの授業の有無、曜日の振替、試験期間SharePoint のリスト
教室の予約表教室、日付、時限、予約の有無SharePoint のリスト(予約の仕組みから毎日出力)

質を決めるのは、時間割の「別名」の列です。 非常勤講師が使う科目の呼び方(「月曜の英語」「Reading II」)を、科目ごとに別名として足していきます。別名があれば、科目名が違っても教員と曜日時限で1つに絞れます。 最初は空で始め、職員が照合で直した記録から足します。

学年暦の「曜日の振替」も欠かせません。 祝日に授業を行う日や、月曜の授業を別の曜日に行う日があります。日付から曜日を計算するだけでは、その日にどの曜日の時間割で授業があるかは決まりません。

Step3

データの取得方法を決める

メールはトリガーの出力から本文を取ります。教員は、差出人のアドレスで教員の一覧を引いて特定します。非常勤講師は大学のアドレスを使わないことがあるので、届け出た個人のアドレスも一覧に持たせます。

取るものどう引くか何に使うか
教員差出人のアドレスで教員の一覧を引く時間割を絞る鍵
時間割の候補教員番号と、取り出した曜日時限で絞る科目の特定
学年暦取り出した日付で引く曜日の一致、授業の有無、振替
教室の空き補講の日付・時限と教室で引く補講と教室変更の可否

科目の特定は、次の順で行います。

順条件結果
1教員と曜日時限で、時間割の科目が1つだけその科目に決める
2複数あるとき、科目名か別名が取り出した科目名と一致するものが1つその科目に決める
3それでも複数、または0needs_staff。候補を並べて職員へ

この表を、フローの条件分岐で書きます。 生成AIに「どの科目か」を決めさせず、取り出した文字と時間割のデータの一致で決めます。 一致しなければ人に回すだけで、近いものを選びません。

学年暦との照合は、次の4つを順に見ます。

見るもの合わないとき
書かれた曜日と、日付の曜日が一致するかneeds_teacher(どちらの日かを聞く)
その日が授業のある日か(祝日・試験期間・休業期間でないか)休講なら対象外の印、補講なら needs_teacher
振替の日なら、その日に行う曜日の時間割と一致するかneeds_staff(振替の扱いを職員が決める)
科目の開講期間の中かneeds_teacher(前期・後期の取り違えを確かめる)

2行目で、休講の対象の日がもともと授業の無い日なら、登録は要りません。 教員が学年暦を見ずに「来週の月曜は休講」と書き、その月曜が祝日だったという連絡は珍しくありません。登録票を作らず、教員に「その日は授業の無い日です」と返すだけで済みます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 差出人の確認 … 教員の一覧で引けるかを見ます。引けなければ、事務の職員や学生からの連絡の可能性があるので人へ
  2. 本文の掃除 … 署名、引用の履歴を落とします。返信の連なりの中に過去の連絡が残っていると、古い日付を取り出してしまうためです
  3. 受信日の付与 … 「来週の火曜」「明日」を日付に直す手がかりとして、受信日時をプロンプトに渡します
  4. 1通に複数の連絡 … 休講と補講、複数の科目を1通で知らせるものは、プロンプトで連絡ごとに分けて返させます
  5. 重複の確認 … 同じ教員・同じ科目・同じ日付の連絡が直近にあれば、訂正の連絡かどうかを人が確かめます

2番目を軽く見ないでください。 「先日お送りした10/14の休講に加えて」のように、過去の連絡を引用して新しい連絡を書く教員は多くいます。 引用の部分を落とさないと、10/14の休講がもう一度登録されます。

Step5

AIに処理させる

生成AIの仕事は、メールに書かれていることを連絡ごとに取り出すことだけです。

項目中身書かれていないとき
kindcancel(休講)/makeup(補講)/room_change(教室変更)決められなければ空にして人へ
course_textメールに書かれた科目名(そのまま)空
weekday_period曜日と時限空
date対象の日付(YYYY-MM-DD)「来週の火曜」などは受信日から直し、date_basis に元の書き方を残す
room補講・変更後の教室(そのまま)空
makeup_method対面/オンライン/課題空
related_cancel_date補講の場合、どの休講の分かが書かれていればその日付空

させないことも決めています。

させないこと理由
科目の特定時間割との一致でフローが決める
曜日と日付の食い違いの解消どちらが正しいかは教員に聞く
書かれていない教室・時限の補完「いつもの教室」を推測しない
休講の理由の書き写し学生へのお知らせにも記録にも要らない
補講が要るかどうかの判断教務の決まりと教員が決める

曜日と日付の食い違いは、取り出しではなく照合で見つけます。 生成AIには書かれた曜日と日付をそれぞれそのまま取り出させ、学年暦と照らして合わなければ、フローが「教員に確認」の印を付けます。 どちらかに直させると、直したほうが正しいとは限らないからです。

Step6

指示内容を固定する

あなたは大学の教務課で、教員から届いた授業の変更の連絡を読む立場です。
渡されたメールの本文だけを読み、連絡ごとに次の項目を取り出してください。

【取り出す項目】
- kind:cancel(休講)/ makeup(補講)/ room_change(教室変更)
- course_text:書かれた科目名をそのまま
- weekday:書かれた曜日(月〜土)。書かれていなければ空
- period:書かれた時限(数字)。書かれていなければ空
- date:対象の日付(YYYY-MM-DD)
- date_basis:日付の元の書き方(例:「10/21(火)」「来週の火曜」)
- room:書かれた教室をそのまま
- makeup_method:in_person / online / assignment
- related_cancel_date:補講の場合、どの休講の分かが書かれていればその日付

【厳守事項】
- 書かれていない項目は空にしてください。推測で埋めないでください。
- 「来週」「明日」などは、受信日 {received_date} を基準に日付に直し、date_basis に元の書き方を残してください。
- 曜日と日付が両方書かれている場合は、それぞれ書かれたとおりに取り出し、
  食い違っていても直さないでください。
- 「いつもの教室」「同じ教室」と書かれている場合は、room を空にし、room_note に元の書き方を写してください。
- 引用された過去のメールの部分からは取り出さないでください。
- 休講の理由(出張、体調など)は書かないでください。
- 1通に複数の連絡がある場合は、連絡ごとに分けてください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【受信日】{received_date}
【メールの本文】{mail_body}

「食い違っていても直さない」を明記しないと、モデルは親切に直します。 「10/21(火)」で10月21日が水曜なら、どちらかに合わせた日付を返しがちです。直された日付は、もっともらしいぶん、職員の目をすり抜けます。 食い違いのまま返させ、照合の側で拾います。

「同じ教室」を空にさせるのも、同じ考えです。 補講の「同じ教室」は、元の授業の教室のことですが、その教室が補講の時限に空いているとは限りません。 空にしておけば、フローが時間割の教室を引き、空きを確かめる流れに乗ります。

学生向けのお知らせは、生成AIに書かせません。 種別ごとの定型の文を用意し、登録票の値を差し込みます。「【休講】{科目名}({曜日}{時限}限・{担当教員}){日付}の授業は休講です。補講の日程は決まりしだいお知らせします。」理由を書く欄を最初から持たないので、教員の事情が学生に出ることもありません。

種別お知らせの定型(差し込む値)
休講科目名、曜日時限、担当教員、日付。「補講の日程は決まりしだいお知らせします」
補講科目名、担当教員、補講の日付と時限、教室、方法(対面/オンライン/課題)、どの休講の分か
教室変更科目名、曜日時限、日付(その回だけか、以降ずっとか)、変更前と変更後の教室

補講のお知らせに「どの休講の分か」を入れるのは、学生が自分の時間割と照らせるようにするためです。 補講の時限に別の授業がある学生は、どの回の補講かが分かれば教員に相談できます。

Step7

出力形式を固定する

プロンプトの出力は、JSON のカスタム形式で固定します。 公式ドキュメントでは、JSON の例を更新すると形式がカスタムになり、保存すると形式がロックされるとされています。フィールド キーの無い配列はサポートされないので、連絡の配列は要素ごとにキーを持たせます。フローは、これに照合の結果を足して登録票を作ります。

{
  "mail_id": "KYOMU-20261007-0158",
  "teacher_no": "T30412",
  "notices": [
    { "kind": "cancel", "course_text": "統計学", "weekday": "火", "period": "2",
      "date": "2026-10-20", "date_basis": "来週の火曜", "room": "", "room_note": "",
      "makeup_method": "", "related_cancel_date": "" }
  ],
  "match": {
    "course_code": "B2041", "course_name": "統計学I", "rule": "teacher_and_period_unique",
    "calendar_ok": true, "class_day": true, "room_free": null
  },
  "status": "ready",
  "urgent": false
}

1つ目の理由は、取り出した値と照合の結果を分けて持てることです。 notices は生成AIが埋め、match はフローが埋めます。職員が誤りを見つけたとき、取り出しの誤りか照合の誤りかがすぐ分かります。

2つ目は、match.rule で科目をどう決めたかが残ることです。 「教員と曜日時限で1つ」「別名で一致」「職員が選んだ」。別名で決まった件が多い教員は、別名の登録が効いているということです。

3つ目は、status で職員の待ち行列を作れることです。 ready(そのまま登録できる)、needs_teacher(教員に確認)、needs_staff(職員が科目や教室を決める)に分け、ready から順に片付けます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有メールボックスOffice 365 Outlook のトリガーと送信連絡の受信、教員への確認のメール
時間割・学年暦・教室SharePoint コネクタ照合と空きの確認
AI Builder「プロンプトを実行する」アクション取り出し
職員Teams の通知と SharePoint のビュー確認の待ち行列、至急の知らせ
学務システム(連携しない)職員が登録票の値を入力する

教員への確認のメールは、職員が学務システムに登録した後に送ります。 登録票の値(科目名、日付、時限、教室)をそのまま書き、「この内容で登録しました。違っていればお知らせください」と添えます。教員の目で、最後にもう一度確かめてもらう形です。

needs_teacher の問い合わせは、定型の文で作ります。 「10/21(火)とありますが、10月21日は水曜日です。どちらの日の授業でしょうか」。何が食い違っているかを具体的に書くと、教員の返事が1回で済みます。

Step9

人が確認する

職員は、すべての登録票を確かめてから学務システムに入力します。 見るところは決めておきます。

  1. 至急の印の付いたものを最初に見る … 翌日の授業の変更です。掲載が遅れると、学生が教室に来てしまいます
  2. ready の値を元のメールと見比べる … 科目名・日付・時限を、メールの文で確かめます
  3. needs_staff で科目や教室を決める … 候補から選び、選んだ結果を時間割の別名に足すかを決めます
  4. お知らせの下書きを読み、そのまま掲載する … 文を書き換えるのは、定型に収まらない連絡のときだけです

目標は、360件をならして1件3分です。 ready は元のメールと見比べて入力するだけで1〜2分、needs_staff と needs_teacher に時間を残せます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
差出人で教員が引けない人へ。代理の連絡(学科の事務からなど)か、なりすましかを確かめる
科目が1つに絞れないneeds_staff。候補を並べて職員が選ぶ
曜日と日付が食い違うneeds_teacher。食い違いを具体的に書いて教員に聞く
授業の無い日(祝日・試験期間)の補講needs_teacher。学年暦を添えて日程の見直しを頼む
補講の教室が空いていないneeds_staff。空いている教室の候補を添えて職員が手配する
「いつもの教室」で補講時間割の教室を引き、空きを確かめる
1通に複数の連絡連絡ごとに分けて登録票を作る
過去の連絡の訂正重複の印を付け、元の登録票を職員が直す
オンラインの補講教室の確認を飛ばし、お知らせに受講の方法の案内の欄を出す
学期の終わりまで補講の連絡が来ない毎週の一覧に載せ、教務の決まりに沿って教員に確かめる

最後の行は、知らせるだけの仕組みです。 補講が要るかどうか、課題で代えてよいかは、教務の決まりと教員が決めることです。 この構成は、休講と補講の数の差を見えるようにするところまでを受け持ちます。

Step11

記録を残す

  • 連絡のメールのIDと受信日時、差出人
  • プロンプトの出力(notices)と、照合の結果(match、status)
  • そのとき使った時間割・学年暦の版
  • 職員が直した値と、選んだ候補
  • 学務システムへの登録日時と、お知らせの掲載日時
  • 教員への確認のメールの送信日時と、教員からの訂正の有無
  • 科目ごとの休講と補講の結びつき

最後の記録が、学期の終わりにいちばん役に立ちます。 科目ごとに、休講が何回あり、補講がどの回の分として行われたか。第2章の授業の期間の考え方に照らして、予定した回数の授業が行われたかを、教務課が科目ごとに説明できます。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元のAIサービスにメールを貼り、連絡ごとの項目を取り出させる / 取り出しの確かめ
半自動化:上記+Power Automate で連絡を受け、取り出した値と時間割の候補を一覧に書き出す / メールを読む作業と、科目の候補の提示
本格構成:上記+学年暦と教室の照合、登録票とお知らせの下書き、教員への確認、補講の追跡 / 受付から登録票とお知らせの下書きまで

最小構成では件数はさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件10分が6分程度になります。 科目の候補は出ますが、学年暦と教室の確認、お知らせを書く作業が残ります。本格構成で3分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、照合で1つに絞れない教員と、別名が要る科目が分かります。別名と学年暦の振替をそろえてから本格構成に進むほうが、needs_staff が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  360件 × 10分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 360件 × 3分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
42h
削減率
70%
年間削減時間
504h
年間金額換算(時間単価2,800円)
141万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 専任と非常勤の教員が数百名いて、休講・補講・教室変更の連絡が教務の窓口にメールで毎月数百件届く大学・短期大学。教務の職員が1件ずつメールを読み、時間割と照らして科目を特定し、学務システムへの登録と学生向けポータルへのお知らせの掲載を手で行っている場合。Microsoft 365 と Power Automate を使える場合。
向いていない
  1. 教員が数十名の小さな学校で、連絡が月に数件の場合。教員が自分で学務システムに休講・補講を登録する仕組みが定着している場合。連絡がメールではなく電話と紙で届き、文として残らない場合。なお、補講の要否や、休講の扱いを成績・出席にどう反映するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の連絡のメールから30件を選ぶ(非常勤講師のもの、1通に複数の連絡があるもの、日付の書き方が曖昧なものを入れる)
  2. 30件それぞれについて、当時登録した科目・日付・時限・教室を書き出す
  3. 手元のAIサービスに、メールの本文(教員の氏名を伏せたもの)と受信日を貼る
  4. 「このメールから、休講・補講・教室変更の連絡ごとに、科目名・曜日・時限・日付・教室を取り出してください。書かれていない項目は空にし、曜日と日付が食い違っていても直さないでください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の登録と突き合わせる

30件は必ずやってください。 フローを組む前に、取り出しが当時の職員の読み方と合うかを確かめます。

出てきた内容判断
当時の登録と同じ値が取り出せたフローに進む
食い違う曜日と日付を、どちらかに直した指示の書き方で直る。構成は有効
科目名が時間割の名前とほとんど一致しない別名の列を作るのが先。 AIの問題ではない

3行目は、非常勤講師の連絡で起きやすい結果です。 当時職員がどう読み替えたかを書き出し、時間割の別名として最初に足しておきます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
曜日と日付の食い違いを、生成AIが直してしまう直させない。 照合で拾って教員に聞く
引用された過去の連絡から日付を取り出す前処理で引用を落とし、指示にも書く
科目名が時間割と一致せず絞れない時間割に別名の列を持たせ、直した記録から足す
生成AIに科目を決めさせてしまう科目の特定は時間割との一致でフローが行う
祝日の振替を考えずに曜日を決める学年暦に振替の列を持たせる
「同じ教室」の補講で空きを確かめない時間割の教室を引き、空きを確かめる
翌朝の休講の掲載が遅れる至急の印を付けて別に通知し、朝の一覧の先頭に置く
お知らせに休講の理由が出てしまう定型の文に理由の欄を持たせない
非常勤講師の個人のアドレスで教員が引けない届け出た個人のアドレスを教員の一覧に持たせる
訂正の連絡で二重に登録される重複の印を付け、元の登録票を直す
他の大学の授業の話を取り込んでしまう時間割に無い曜日時限なら needs_staff。近い科目に当てない
教室変更が「その回だけ」か「以降ずっと」か分からない書かれていなければ教員に聞く。以降ずっとなら時間割の変更として扱う
学務システムへの書き込みを自動にしたくなる登録は職員が行う
補講の要否まで自動で判断したくなる数の差を見せるまでにし、判断は教務の決まりで

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、取り出しの段で「正しそうな値」を作ってしまうという同じ形をしています。書かれたとおりに取り出させ、正しいかどうかは時間割と学年暦で確かめる、という分け方を最初から守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 教員の氏名とメールアドレス(非常勤講師の個人のアドレスを含む)、担当科目と時間割、教室の予約、そしてメールに書かれた休講の理由(出張・体調・家庭の事情など)です。学生の個人の情報は扱いません。

  1. 休講の理由を広げない … 取り出しの対象から外し、お知らせにも登録票にも載せません。理由は元のメールだけに残します
  2. 非常勤講師の個人のアドレスの扱いを決める … 教員の一覧に持たせる目的(差出人の照合)を限り、見られる人を教務課に絞ります
  3. AI Builder の地域を確かめる … 公式ドキュメントでは、プロンプトは一部の地域に限定されるとされています。メールの本文がどこで処理されるかを、導入の前に確かめます
  4. なりすましの連絡に備える … 教員の一覧で引けない差出人の連絡は自動で進めません。休講のお知らせは学生全員に届くので、偽の休講が掲載される被害は大きくなります
  5. この構成は、補講の要否や授業の扱いの判断を代替しません … 休講の回数をどこまで許すか、補講を課題で代えてよいかは、教務の決まりと教員が決めることです
  6. 学生向けのお知らせは職員が掲載する … 掲載は職員の確認の後に限り、自動で学生へ送る経路を作りません

誤りが起きた場合のリスクは、誤った日時や教室を学生に知らせることと、補講の漏れに気づかないことの2つです。 前者は取り出しで値を直させると起き、後者は休講と補講を結びつけないと起きます。どちらも、照合と追跡をフローに持たせることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:時間割と学年暦を置く

学務システムから今の学期の時間割を、学年暦を振替の日も含めて出力し、SharePoint のリストに置きます。 教員の一覧に、非常勤講師の個人のアドレスを足します。

2週目:30件で試す

先月の連絡から30件を選び、手元のAIサービスで取り出させます。曜日と日付の食い違いを直していないか、引用の部分から取り出していないかを最優先で見ます。

3週目:別名と連絡の案内を整える

30件の結果から、時間割と一致しなかった科目名を別名として足します。教員に、宛先と件名の決まり(「休講」「補講」「教室変更」を入れる)を案内します。

4週目:受付から照合までをつなぐ

Power Automate で共有メールボックスを見張り、取り出した値と科目の候補を一覧に書き出すところまで作ります。この時点ではお知らせの下書きを作らず、科目の特定の精度だけを見ます。

2か月目: 学年暦と教室の照合、登録票とお知らせの下書き、教員への確認のメールを足します。3か月目以降: 補講の追跡を足し、1件10分が何分になったかを実測します。学期の終わりに、科目ごとの休講と補講の対応を一覧で出せた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
大学設置基準 第二十二条「一年間の授業を行う期間は、三十五週にわたることを原則とする」。第二十三条「各授業科目の授業は、十分な教育効果を上げることができるよう、八週、十週、十五週その他の大学が定める適切な期間を単位として行うものとする」(e-Gov 法令API で条文を取得して確認)e-Gov 法令API: 大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)2026-10-07
トリガー「新しいメールが届いたとき (V3)」で共有メールボックスのアドレス、フォルダー、件名フィルターなどを指定できること。まれに起動まで最大1時間かかることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-10-07
「プロンプトを実行する」アクションでプロンプトを使えること。AI Builder が Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで実行され、一部の地域に限定され、使用制限の対象となる場合があることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-07
JSON の例を更新すると形式がカスタムになり、保存すると形式がロックされること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」の対処。フィールド キーの無い配列がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-07

休講の回数の扱い、補講を課題で代えてよいか、お知らせの掲載の期限は、自校の学則と教務の決まりで決めてください。 学務システムとの自動の連携は、本記事では扱っていません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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