【2026年】AIの電力は誰が説明するのか|開示に備える見方

【2026年】AIの電力は誰が説明するのか|開示に備える見方

「取引先の質問状に、AIの利用に伴う電力を書く欄がありました」「1回あたり何ワット時ですか、と聞かれて答えられませんでした」——調達部門から届いた紙を前に、担当者が止まる場面が増えています。この問いに答えられない理由は、担当者の勉強不足ではありません。本当は自社が使うAIの電気は、自社が買っている電気ではないから、自社の請求書をいくら見ても出てこないという、数え方の構造の問題です。しかも公表されている数値は、数える範囲が違えば同じ対象でも大きく変わります。この記事では、どこで電気が使われているのか、自社は何を答えられて何を答えられないのか、答えられない部分をどう書くのかを、課題から順にまとめます。


カメ先生カメ先生

AIの電力って、うちが何ワット使っているかを調べれば答えられると思われがちなんだけど、本当は『うちが買っている電気ではない』ところがほとんどなんだ。


カメ子カメ子

自社の電気の請求書には出てこない、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。使っているのは提供元のデータセンターの電気でね。だから自社が持っているのは、使った量の記録のほうなんだ。


カメ子カメ子

では、質問状には何を書けばいいのでしょう。


この記事のポイント
  • モデルを作る段階と日々使う段階は電気の使われ方が違う。混ぜて語ると比べられなくなる
  • 公表されている値は数える範囲で2倍以上変わる。前提の書かれていない数値は使わない
  • 自社が持っているのは利用の量。そこを測り、答えられない範囲は分からないと書くのが正しい回答

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目次

質問状に「AIの利用に伴う電力」の欄が現れ始めた

取引先から届く質問状は、以前は温室効果ガスの排出量、再生可能エネルギーの比率、削減目標といった全体の項目が中心でした。そこに近年、情報システムやデータセンターに関する欄が加わり、さらにAIの利用に関する欄が現れ始めています。背景には、買う側の企業が自社の数値を積み上げるために、取引先の数値を必要としているという事情があります。

そもそも、なぜ取引先がここまで聞いてくるのか。国内では、温室効果ガスを相当程度多く排出する者に、自らの排出量を算定して国に報告することが義務づけられています。平成18年4月1日から始まった制度です。報告する企業は、自社の外で起きている排出も含めて数えるため、取引先に数字を聞く以外に埋める方法がありません。質問状は、その積み上げ作業の一部として届いています。

困るのは、この欄がしばしば単位あたりの数値を求める形で書かれていることです。1回あたり、1人あたり、1件あたり。こうした聞き方は、自社が電気の使用量を測っている前提で作られています。ところが、AIを使う側の会社は、その電気を測る位置にいません。ここに答えられない構造の原因があります。

この記事では、まず電気がどこで使われているのかを分解し、次に自社が答えられる範囲を確定し、そのうえで答えられない範囲の書き方を決めます。答えられない部分を空欄にせず、答えられない理由を書くことが、この分野では最も現実的な回答になります。

その電気は、自社の電気の請求書には出てこない

数え方の枠組みは、国内では環境省の資料で整理されています。自らの直接の排出が1つ目、他社から供給された電気や熱の使用に伴う間接の排出が2つ目、それ以外の間接の排出、つまり自社の活動に関連する他社の排出が3つ目です。3つ目はさらに15の区分に分かれています。

この枠組みに当てはめると、自社が契約して使うAIサービスの電気は、自社が買った電気ではないので2つ目には入りません。買っているのはサービスであって電気ではないからです。したがって、原則として3つ目、購入した製品やサービスの側に入ります。自社のオフィスの電気メーターを読んでも、この分は出てきません。

例外は、自社の機材でモデルを動かしている場合です。自社の建物の中に置いた機材で動かしていれば、その電気は自社が買っている電気に含まれます。同じ「AIを使う」でも、どこで動いているかで入る場所が変わるので、質問状に答える前に、自社の利用形態を種類ごとに書き出しておく必要があります。

もうひとつ知っておきたいのが、15の区分の中に「調達している電力の上流工程」を扱う区分がある点です。発電に使う燃料を掘り、運び、精製するまでの工程を指します。自社で機材を動かしている分は、電気の使用そのものと、その電気を作るまでの工程が別の区分に分かれるということです。区分をまたぐ話なので、社内で数える担当が分かれている場合は、どちらがどこを持つのかを先に決めておかないと、二重に数えるか、どちらも数えないかのどちらかになります。

モデルを作る段階と、日々使う段階は、別のものとして数える

次に押さえるのが、電気が使われる段階の違いです。モデルを作る段階と、できあがったモデルを日々使う段階では、電気の使われ方がまったく違います。作る段階は、限られた期間に大量の計算を集中して行います。使う段階は、1回あたりは小さいものの、使われ続けるかぎり終わりません。

公表資料を読むときは、その数値がどちらの話なのかを最初に確かめます。作る段階の話をしている資料と、使う段階の話をしている資料を並べても、比べたことになりません。実際、提供元が出している測定の報告は、日々の利用の側だけを対象としていると明記されているものがあります。作る段階の数字は別に扱われています。

自社の立場から見ると、関係が深いのは使う段階です。自社が作ったモデルでなければ、作る段階の電気は自社の利用と直接には結びつきません。ただし質問状の側がそこを区別せずに聞いてくることがあるので、回答の冒頭で「本回答は日々の利用に関するものである」と範囲を書いておく。これだけで、後の食い違いがかなり防げます。

公表されている数値が食い違うのは、数える範囲が違うから

ここがこの記事の核心です。同じサービスの同じ使い方についてでも、公表される数値は数える範囲によって変わります。ある提供元は、自社の測定方法を公開したうえで、範囲の取り方によって結果がどう変わるかを並べて示しました。

狭く数える方法は、実際に計算している演算装置の消費だけを見ます。広く数える方法は、そこに、用意されているが処理していない待機中の機材、支えているホスト側の処理装置と記憶装置、冷却や配電といった施設側の電気までを含めます。同じ中央値が、範囲を広げると2倍以上になるという結果でした。提供元自身が、狭い方法は「よくても楽観的な想定であり、実際の運用の負荷を大きく過小に見積もる」と書いています。

さらに同じ資料には、狭い方法で計算された既存の値の多くは「規模の中での実際の運用効率ではなく、理論上の効率を表している」と書かれています。つまり、公表値どうしが食い違っているのは、どちらかが間違っているからではなく、数えている範囲が違うからです。この違いは、数値だけを抜き出すと消えてしまいます。

だから「1回あたり何ワット時」は、そのまま持ってこられない

以上から、この記事では単位あたりの断定的な数値を書きません。書かない理由は3つあります。1つ目は、いま見たように、数える範囲を明示しないかぎり値が一意に決まらないこと。2つ目は、公表されている値が中央値であって、実際の1回の値ではないこと。中央値は、短い問い合わせから長い出力まで含めた真ん中の値です。

3つ目が、値が短い期間で動くことです。同じ提供元が、12か月のあいだに1回あたりのエネルギーが大きく下がったと公表しています。そのとき提供元は、比較の起点となる月と、測った範囲を必ず添えています。ところが引用する側は数字だけを持っていくため、起点も範囲も落ちる。落ちた瞬間に、その数字は検証できない主張に変わります。

では自社はどう書けばよいのか。答えは、他社の値を借りてこないことです。出典と前提が書かれていない数値は使わない。そして、自社が書けるのは他社の値ではなく、自社の利用の量です。次の節で、そこを分けます。

マーケの現場で量が出るのは、文章より画像と動画

使い方によって量が変わる要素は、大きく4つに整理できます。使っているモデルの大きさ、呼び出す回数、出力の長さ、そして扱うものが文章か画像か動画かです。この4つのうち、マーケの業務でいちばん効くのは最後の1つです。

公表されている測定の報告は、文章のやり取りを対象としたものが中心です。画像や動画の生成は、同じ数値の範囲には入りません。バナーの案を何十枚も出す、短い動画の版を作り分ける、といった作業は、文章の下書きとはまったく違う量になります。マーケ部門は、社内でこの種の使い方をいちばん多く回している部署でもあります。

もうひとつ効くのが、答えの前に検討の過程を長く作らせる使い方です。この設定では、出力の分量そのものが増えます。回数ではなく分量で増える層があることを、利用量を数えるときの区分に入れておきます。回数だけを数えていると、増えているのに気づけません。

測る単位の選び方には、はっきりした落とし穴があります。使っている席の数で数えると、同じ人数のまま使い方だけが重くなった場合に、数字がまったく動きません。席の数は契約の大きさを表すだけで、使った量を表さないからです。実際、画像の生成を始めた月から中身は大きく変わっているのに、席の数だけを報告していて気づかなかった、という形はよくあります。取れるのであれば、呼び出した回数と処理した分量のほうを取ります。

自社が答えられる範囲と、答えられない範囲

ここまでを踏まえて、線を引きます。自社が答えられないのは、1回あたりの電力です。これは、機材を持ち、電気を買い、施設を運用している提供元の側にしかありません。自社がいくら調べても出てこないので、調べる努力の量ではなく、位置の問題として説明します。

一方で、自社がはっきり答えられるものがあります。利用の量です。どのサービスをどれだけ使ったか、月にどれだけの呼び出しがあったか、どの部門がどの用途で使っているか。契約の管理画面や請求の明細から取れる数字は、すべて自社の側にあります。質問状に対しては、この量を答えることが実質的な回答になります。

もう1つ答えられるのが、契約している提供元がどこまで公表しているかです。提供元が測り方を公開しているか、施設の効率を出しているか、電気の由来を示しているか、第三者の確認を受けているか。自社が把握しているのは、提供元の公表状況までであると書けば、それ自体が回答として成立します。

制度の側で動いたこと:2026年4月に施行された新しい措置

この分野は、いま制度の側が動いています。国内では、省エネ・非化石転換法に基づく新たな措置が2026年4月から施行されました。資源エネルギー庁が公表している説明によると、これは従来の規制に加える形の追加措置です。

内容は3つに整理されています。1つ目は見える化で、2026年度に提出する定期報告書から、データセンターに関する項目が追加されました。電気の使用量、施設の効率を表す値、エネルギーの消費原単位などの実績と、今後の目標が加わります。さらに、提出対象となったデータセンターの情報を、提出年度の年度末までに自社のホームページなどで公表することが求められます

2つ目は、新設する施設が満たすべき効率の基準です。もともとベンチマークの制度で、データセンター業の対象事業者には2030年度までに効率の値を1.4以下にする目標が置かれていました。今回さらに、2029年度以降に新設する施設については、稼働開始から2年を経た時点の翌年度以降、1.3以下という基準を満たすことが求められます。基準を満たせない事業者は合理化の計画の作成と提出を求められ、従わない場合は行政上の措置が取られる可能性があると書かれています。

3つ目は対象の拡大です。制度は施設の形を3つに分けています。機材は持たず、置く場所と空調などの付帯設備を貸す形。場所も機材もすべて自社で持つ形。そして、他社から借りた場所に自社の機材を持ち込む形。これまで対象外だった3番目の形も、2026年度の提出から効率の算定と報告の対象に加わりました。自社の機材を借りた場所に置いている企業は、ここに当たる可能性があります。

  • 機材を持たず、場所と付帯設備を貸す形(施設側の事業者)
  • 場所も機材もすべて自社で持つ形(自社で運用している事業者)
  • 借りた場所に自社の機材を持ち込む形(2026年度の提出から報告の対象に加わった)

AIを使う側の企業にとって、この制度の意味は2つあります。1つは、自社が3番目の形に当たらないかを確認する必要があること。もう1つは、これまで問い合わせても出てこなかった施設側の数字が、公表される方向に動き始めたことです。目標や実績を自社の場で公表することが求められるため、契約している事業者の公表の場を見に行けば、以前より確かめられる材料が増えます。

したがって、いま「答えられない」と書いた項目が、次の年度には答えられるようになっている可能性があります。回答の型に、次にいつ見直すかを書き添えておくと、この変化に追随できます。逆に、一度作った回答文をそのまま使い回す運用にしていると、公表された数字が増えても取りに行かないまま、答えられないと書き続けることになります。

施設の効率を表す指標は、何を表していて何を表していないか

いま出てきた「施設の効率を表す値」は、データセンター全体で使ったエネルギーを、機材そのものが使ったエネルギーで割った値です。値が小さいほど、機材以外に使っている電気が少ない、つまり効率が良いことになります。前の節の制度は、この値の報告と公表を求めています。

注意したいのは、この値は施設の効率であって、AIの利用量ではないことです。値が良い施設でも、動かしている機材が多ければ電気の総量は大きくなります。逆に、値が悪くても規模が小さければ総量は小さい。効率の良さと使用量の大きさは、別の話です。

質問状で施設の効率を聞かれた場合、自社が答えられるのは、契約している提供元が公表している値の有無までです。自社の利用分について施設の効率を割り当てて計算する、といったことは、提供元が配分の方法を示していないかぎりできません。ここも、できないことをできないと書く場所になります。

提供元の公表資料で確かめる5項目

提供元の資料を読むときに見るのは、数値そのものではなく、その数値がどう作られたかです。実務で使える確認の項目は5つあります。

  • どこまでの範囲を数えているか(動いている機材だけか、待機中の機材や冷却まで含むか)
  • 対象が作る段階なのか、日々の利用なのか
  • 電気の由来がどう扱われているか(地域の平均で計算しているか、調達の契約を反映しているか)
  • 第三者の確認を受けているか、自社の測定のみか
  • いつ時点の数値で、比較の起点となる時期が書かれているか

3つ目の「電気の由来」は、とくに食い違いが起きやすい項目です。国内外で使われている算定の考え方には、その地域の平均的な電源の構成で計算するやり方と、実際に結んでいる調達の契約を反映して計算するやり方の2通りがあります。環境省の資料も、この2つの考え方の違いが別の指針で整理されていることに触れています。同じ場所で同じだけ電気を使っても、どちらの考え方で計算したかで数値が変わるため、提供元の数値を読むときは、どちらで出しているかを確かめる必要があります。

この5つが書かれていない資料の数値は、社外に出す回答には使えません。書かれていないことを補って解釈しないのが原則です。分からない項目があれば、提供元に問い合わせて回答を記録に残します。問い合わせた事実と、返ってきた内容そのものが、後の回答の根拠になります。

なお、範囲の広い数値のほうが値としては大きくなります。小さい値を選んで載せると、後から範囲を問われたときに説明できなくなります。選ぶ基準は値の大小ではなく、範囲が明示されているかどうかに置いてください。

いま答えられる形:範囲で書く、前提を添える、分からないと書く

回答の書き方は3通りに整理できます。1つ目は範囲で書くこと。単位あたりの値を1点で書けない場合、月の利用量を実数で書き、条件によって幅があることを添えます。2つ目は前提を添えること。どの契約のどの数字から取ったか、いつ時点か、どこまでを含めたかを本文に書きます。

3つ目が、分からないと書くことです。これは手抜きの回答ではありません。単位あたりの電力は提供元の側にしかない情報であり、当社は保有していないと書き、そのうえで自社が保有している利用量を示す。この形は、事実として正確で、後から覆りません。数字を作って埋めるより、はるかに安全です。

実務上は、この3通りを最初に社内で決め、質問状ごとに書き分けないことが大切です。担当者ごとに書き方が変わると、同じ会社から違う回答が出ていくことになります。回答の型を1つ決めて、変えるのは中身の数字だけにする。これが運用として続く形です。

自社が測れるものから測り始める

答えられない部分を正直に書くには、その前提として、答えられる部分を測っていなければなりません。何も測っていないまま「軽微です」と書くのが、この分野でいちばんまずい回答です。根拠を問われた瞬間に崩れます。

STEP1
契約を洗い出す

会社として契約しているAIサービス、部門で契約しているもの、個人が使っているものを一覧にします。請求の明細から拾うと漏れにくくなります。

STEP2
量の単位を決める

呼び出した回数か、処理した分量か、席の数か。サービスごとに取れる単位が違うので、取れる単位をそのまま使います。

STEP3
用途で分ける

文章の下書き、画像の生成、動画の生成、検討を長く行う使い方。量の増え方が違うので、混ぜずに分けて数えます。

STEP4
1か月分をそろえる

まず1か月を通しで取り、翌月と比べます。増減の理由が説明できるかどうかが、測れているかどうかの判定になります。

STEP5
更新の周期を決める

誰がいつ更新するかを決めます。質問状が来てから集め始めると、毎回同じ工数がかかります。

この工程で得られるのは、電力の数値ではなく利用の量です。それでよいのです。電力に換算する係数は、提供元が示さないかぎり自社では作れません。作れないものを作らず、作れるものを確実に持っておく。これが、開示に備えるという言葉の実際の中身になります。

測り始めると、たいてい最初の月に想定と違う結果が出ます。使っていないと思っていた部門がいちばん回していた、無料の枠で始めた仕組みが本番の業務に入り込んでいた、退職した担当者の契約が残っていた。量を測る作業は、契約の棚卸しを兼ねることになります。電力の質問状への備えとして始めた作業が、費用の見直しにそのまま使えるのは、この副産物のためです。

なお、この一覧は情報システム部門だけでは埋まりません。部門ごとに契約している分と、個人が業務で使っている分が抜けるからです。利用部門に聞かないと実態は出てこないので、聞く相手と聞く項目を最初に決めておきます。聞き方は「何を使っているか」ではなく「先月、どの作業に何回使ったか」にすると、答えが具体的になります。

回答の下書きをAIに作らせるときの線

質問状の回答は文量が多く、下書きをAIに作らせたくなる作業です。任せてよい範囲と、任せてはいけない範囲を先に分けておきます。任せてよいのは、質問文の分類、過去の回答からの該当箇所の抽出、社内の言い回しへの整形、抜けている項目の洗い出しです。

任せてはいけないのは、試算と前提の文です。数値の試算をAIに作らせてそのまま出すと、出典のない値が回答書に入ります。長く考える設定を使っても同じで、丁寧な説明が付くぶん、かえって疑われずに通ってしまいます。前提の文と出典は、必ず人が書く。ここは例外を作らないほうが安全です。

運用として置く決めごとは3つです。1つ目は、AIが書いた箇所にはどの資料のどこから取ったかを必ず併記させること。書けない主張はその場で落とせます。2つ目は、人が確認する範囲を作業前に名前で決めること。3つ目は、確認する人を下書きを作った人と分けることです。作った本人には、自分が置いた前提が見えません。

やりがちな失敗

最後に、この分野で実際に起きている失敗の形を挙げます。いずれも、悪意ではなく、答えを埋めようとした結果として起きます。

  • 他社の公表値を自社の値として使う:範囲も時点も違う数字を持ってきてしまい、根拠を問われて説明できない
  • 削減をうたって根拠を出せない:比較の起点も測り方も示さずに「削減した」と書き、確認の質問で止まる
  • 測っていないのに軽微と書く:利用量の記録がないまま程度を評価し、後から量が出てきて訂正になる
  • 作る段階と使う段階を混ぜる:出典の異なる数値を並べて比べ、比較として成り立たない説明になる
  • 空欄で返す:答えられない理由を書かないため、管理していないと受け取られる
  • 担当者ごとに書き方が違う:同じ会社から異なる粒度の回答が出て、取引先の側で整合が取れなくなる

いまから始める確認項目の一覧

着手のために必要なのは、大がかりな調査ではありません。次の項目を、それぞれ担当者の名前と期限を添えて埋めるところから始められます。

確認する項目どこから取るか決めておくこと
契約しているAIサービスの一覧請求の明細、購買の記録部門契約と個人契約も含めるか
サービスごとの利用量管理画面、利用の記録回数か分量か、単位をどれにするか
用途の区分利用部門への聞き取り文章と画像と動画を分けて数えるか
提供元の公表状況提供元の公式資料測り方の範囲が書かれているか
自社の機材で動かしている分情報システム部門自社が買った電気に含まれる分の有無
回答の型過去の質問状への回答答えられない項目の書き方を統一する
更新の周期と担当社内の体制誰がいつ見直すか、名前で決める

この表を埋めた時点で、質問状の大半には答えられるようになります。答えの中身が「分からない」であっても、何が分からないのかを構造として説明できる状態は、数字を1つ書いて済ませた状態より評価されます。

誰が答えるかを、質問状が来る前に決める

最後に体制の話です。この質問状は、部署の隙間に落ちやすい性質を持っています。環境の担当は、AIの利用実態を知りません。情報システムの担当は、開示の作法を知りません。マーケの担当は、いちばん使っているのに、聞かれる立場にいません。結果として、誰も答えられないまま期限が来ます。

決めておくのは3つです。回答の名義を誰にするか。数字を出す担当を誰にするか。判断が要る箇所を誰に上げるか。この3つを紙に書いておくだけで、質問状が来てからの動きが変わります。名義と数字の担当が別なのは普通のことで、分かれていること自体は問題ありません。決まっていないことが問題です。

あわせて、次の更新の時期も決めます。制度の側は動いており、提供元の公表内容も増えていく方向です。いま答えられないことが、半年後には答えられるようになっている可能性があります。半年に一度、提供元の公表資料と自社の利用量を見直す。この周期を決めておけば、次に質問状が来たときの工数は大きく下がります。

まとめ

AIの利用に伴う電力を答えられない原因は、担当者の調査不足ではなく、数え方の構造にあります。使っているのは自社が買った電気ではないため、自社の請求書には出てきません。単位あたりの値は提供元の側にしかなく、しかも公表されている値は、数える範囲を広げるだけで2倍以上変わります。前提を切り離した数字は、持ってきた瞬間に検証できない主張になります。

だから進め方は逆になります。他社の値を探すのではなく、自社が持っている利用の量を測る。提供元の資料は、数値ではなく数え方の範囲を見る。答えられない部分は、答えられない理由を構造として書く。そして、試算をAIに作らせて前提の文まで任せない。制度の側は2026年4月の措置で公表の方向へ動いており、確かめられる材料は今後増えます。いま整えるべきなのは数字ではなく、数字が出てきたときに受け取れる形のほうです。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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