エージェントループを設計する方法|止める場所を決める

「動かしてみたら、いつまでも終わらないんです」「同じところを何度もやり直しているように見えます」——エージェントを試した部署から届く声です。感覚の問題ではありません。複数のエージェントで組んだ仕組みの失敗を1,642件の実行記録から分類した研究では、14に分けた失敗の型のうち上位に同じ手順の繰り返しが15.7%、終了条件を分かっていないが12.4%と並びました。つまり回り続けることは例外的な不具合ではなく、繰り返しを前提にした構造から出てくる既定の症状です。この記事では、エージェントループという繰り返しの構造そのものを分解し、どこで区切って止めるかの設計を見ていきます。
カメ先生エージェントが止まらないのは暴走しているからだと思われがちなんだけど、本当は「止まる条件が書かれていない」だけなんだ。
カメ子止める指示を入れ忘れた、ということですか。
カメ先生入れ忘れというより、書ける形になっていないことが多いね。「いい感じになったら終わり」は条件にならないから、機械の側は回り続けるしかない。
カメ子終わりの形を先に決めておかないと、そもそも区切れないんですね。
- エージェントループは観察・計画・実行・検証が繰り返される構造。繰り返せることが利点で、そのまま弱点になる
- 止まらない、同じ失敗を繰り返す、費用が膨らむは別々の不具合ではない。手応えの経路に上限が無いという1つの原因から出る
- 決めるのは4つ。終わりの形、繰り返しの上限、人が割り込む地点、1周ごとに残す記録
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場面:400件の名刺が、3日間回り続けた
1つの場面を置いて、最後まで追います。展示会で集めた名刺が400件。これを企業の公開情報から業種と規模で補い、優先度を付けて営業に渡す作業をエージェントに任せました。1件ごとに、公開情報を探す、読む、足りなければ別の情報源を探す、埋まったら台帳に書く、という流れです。人が1件ずつ調べると1件5分、400件で2日弱かかる仕事です。
金曜の夕方に走らせて、月曜の朝に見に行きました。台帳に埋まっていたのは112件でした。残りは処理中のままで、実行の記録を開くと、同じ企業について同じ検索を何十回も繰り返している跡がありました。しかも1件だけではなく、規模が公開されていない小規模の会社では、ほぼすべてが同じ形になっていました。
費用は想定を大きく超えていました。ただ、この案件で本当に痛かったのは費用ではありません。書き込みの部分が繰り返しの内側にあったため、同じ会社の行が台帳に重複して登録されていたのです。営業に渡す前に人が気づいたので事故にはなりませんでしたが、止まらなかったこと自体より、止まらないあいだに外へ出た書き込みのほうが厄介でした。以下ではこの3日間を材料に、構造から順に見ていきます。
エージェントループとは、何が繰り返されているのか
エージェントループは、4つの動きが1周として繰り返される構造を指します。いまの状態を観察する、次に何をするか計画する、道具を使って実行する、結果が目的に近づいたかを検証する。検証の結果が足りなければ、その情報を持って観察に戻ります。名刺の例なら、埋まっていない欄を見る、どこを探すか決める、検索して読む、欄が埋まったかを見る、の繰り返しです。この4つのどこか1つを省くと、繰り返しは制御できなくなります。
2024年12月に公表された設計指針は、この構造をこう説明しています。実行中は1周ごとに環境から手応えを取ることが決定的に重要で、道具を呼んだ結果や実行の結果を見て進み具合を判断する。区切りや行き詰まりでは人の判断のために一旦止まる。仕事は完了で終わるのが普通だが、制御を保つために繰り返しの上限のような停止条件を入れるのも一般的だと書かれています。
押さえておきたいのは、決めた道筋を順に実行する自動化との違いです。決めた道筋なら、1周で終わるか、何周するかが書いた側に分かっています。エージェントループでは何周するかを実行中に機械の側が決めるので、書いた側は周回数を知りません。だから「何周までか」と「どうなったら終わりか」を別に与える必要が出てきます。
繰り返す設計は2022年からある。変わったのは回数のほう
この構造自体は新しくありません。2022年10月に提案され2023年の国際会議で発表された方式が、考えることと道具を使うことを交互に置く形を示しました。考えた記録が計画を組み立て、追いかけ、更新し、例外に対処するのを助け、道具を使う側が外の情報源とやり取りする。屋内作業を模した課題と買い物の課題では、既存の手法を絶対値で34ポイントと10ポイント上回りました。
変わったのは構造ではなく回数です。当時は数周から十数周を回す前提でしたが、いまは1つの仕事で数百周が普通に起きます。周回数が2桁増えると、1周あたりでは無視できた小さな癖が、費用と事故として表に出てきます。名刺の例で同じ検索が何十回も走ったのは、1周あたりの動作が誤っていたからではなく、誤りが打ち切られなかったからです。
広く使われている開発の枠組みの公式文書を見ると、繰り返しの上限は既定で1,000段に設定されていて、超えると例外を投げて止まります。この数字の読み方が大事です。1,000段は安全に止めるための値ではなく、暴走を最後に受け止めるための値です。既定値のまま出すと、上限に当たる前に費用の側が先に尽きます。自分の仕事に合った上限は、自分で置き直すものだと考えてください。
症状1:終わらない。終了条件が書かれていないから
1つ目の症状です。先の分類研究で「終了条件を分かっていない」は12.4%を占めました。これは機械が終わり方を忘れたという話ではなく、終わりが判定できる形で与えられていないという話です。名刺の例では「業種と規模が埋まったら次へ」と伝えていましたが、公開情報に規模が出ていない会社では、この条件は永遠に満たされません。
2026年7月に公表された研究は、この現象に名前を付けています。手応えが返ってくる経路に有効な上限が無いとき、呼び出し、道具の実行、流れの遷移、エージェント間の受け渡しが繰り返される。原因の所在についての指摘が実務では重要です。書いた処理だけでなく、使った開発の枠組みの決まりごと、実行中に返る観測、終了の仕組みの組み合わせから生じるとされています。つまり自分の書いた分を読み直しても、止まるかどうかは分かりません。
同じ研究は、公開されている6,549件のエージェント関連プロジェクトを機械的に解析し、74件を指摘、手作業の確認で68件が本物、47プロジェクトにまたがる止まらない経路を確認したと報告しています。的中率は91.9%です。世に出ているものの中にも、止まらない経路は普通に残っているということです。自社の1本目に無いと考える理由はありません。
症状2:同じ手を繰り返す。前の周が残っていないから
2つ目は、同じ手順を何度も踏む症状です。分類研究では15.7%で、14の型のうち最大でした。名刺の例がまさにこれで、同じ企業について同じ検索語を繰り返していました。人であれば「この会社は公開していない」と1回で判断して次に行きますが、機械の側にはその判断が残っていません。
残らない理由は2つあります。1つは、前の周で何を試して何が空振りだったかが次の周に渡っていないこと。分類研究では「やり取りの履歴を失う」が2.80%、「やり取りの初期化」が2.20%と、直接の型としては小さい割合です。もう1つが大きくて、試した記録は渡っているのに、次の計画がそれを使っていない場合です。関連する型として「考えたことと実際の手が合わない」が13.2%を占めています。
対処は記録の側にあります。1周ごとに「試したこと」と「その結果」を短く残し、次の周の計画にその一覧を必ず渡します。そのうえで、同じ道具を同じ値で2回呼ぼうとしたら止める、という判定を機械的に入れます。同一の呼び出しの2回目を検知して打ち切るだけで、繰り返しの大半は止まります。判断をAIに任せず、単純な突き合わせで処理する部分です。
症状3:早すぎる終了。止まったのに終わっていない
3つ目は逆向きの症状です。回り続けるのを嫌って上限を厳しくすると、途中で打ち切られたものが「完了」として扱われます。分類研究では「早すぎる終了」が6.20%。名刺の例でも、上限を下げた2回目の実行では、業種だけ埋まって規模が空欄の行が「処理済み」として台帳に入りました。
ここで押さえるべきは、止まったことと終わったことは別だという区別です。止まった理由には少なくとも3種類あります。条件を満たして終わった、上限に当たって切られた、途中で失敗して抜けた。この3つを同じ「完了」に丸めると、後工程は空欄を含む行を正しいものとして受け取ります。名刺の例で営業に渡っていたら、規模の分からない会社が優先度の高い側に混ざっていました。
だから終了の理由を必ず記録に残し、それぞれの後始末を決めます。条件を満たした場合は台帳へ、上限で切られた場合は途中の結果を残したまま人の待ち行列へ、失敗の場合は台帳に書かずに理由つきで戻す。検証に関わる型としては、検証が誤り9.10%、検証がないか不完全8.20%、早すぎる終了6.20%が挙がっています。足すと2割を超えます。確かめる側の設計を省くと、失敗の4分の1近くがここに集まります。
直す効き目も測られています。同じ研究では、既存の仕組みに対して役割の書き方を直しただけで成功率が9.4ポイント上がり、上位の目標に照らして出来上がりを確かめる工程を足したところ15.6ポイント上がりました。どちらもAIを差し替えたわけではなく、書き方と確かめ方を変えただけです。終わりの判定を作り込む工数は、周回数を増やす費用よりはるかに安く済みます。
症状4:費用が膨らむ。回数と質は比例しない
4つ目は費用です。周回数を増やせば品質が上がるという前提を、まず疑ってください。2026年6月25日に公表された研究は、複数の文書をまたいで答えを組み立てる問題集の60問を題材に、6周を固定で回す方式を基準に置きました。基準の消費は1問あたり11,070トークンです。
これに対し、答えの内容が収束したかを見て打ち切る方式は、同等の品質のままトークンを38%削減しました。品質の差は情報量の指標で0.004ほど下がっただけで、統計的な差とは言えない範囲です。周回数を3回に固定した変種では53%の削減。さらに、最初にできた1稿をそのまま返す方式では86%の削減で、品質はわずかに上でした。著者はこの題材では繰り返しが品質を上げず、わずかに下げていると書いています。
1つの題材での結果なので、あらゆる仕事で繰り返しが無駄だという話ではありません。読み方はこうです。繰り返しの回数は、品質のために増やすものではなく、収束しないときの保険として持つもの。名刺の例で言えば、2周で埋まる会社が大半で、5周かけても埋まらない会社は10周かけても埋まりません。上限を6周に置くより、収束していないことを見て2周で切るほうが、費用も質も良くなります。
4つの症状と、構造上の原因を1枚で見る
ここまでの4つを並べます。見てほしいのは、原因の列がどれも「決めていなかったもの」であることです。腕の問題でも系統の問題でもありません。分類研究の著者自身が、失敗はAIの限界だけでなく設計の問題から出ていると書いています。
| 症状 | 構造上の原因 | 設計で置くもの | 決めなかった場合に起きること |
|---|---|---|---|
| 終わらない | 終わりが判定できる形で与えられていない | 出来上がりの形で書いた終了条件 | 上限に当たるまで回り、外部への書き込みが繰り返される |
| 同じ手を繰り返す | 前の周で試したことが次の計画に使われない | 試した一覧の持ち回りと、同一呼び出しの検知 | 1件あたりの費用が数十倍になり、処理件数が伸びない |
| 早すぎる終了 | 止まったことと終わったことを区別していない | 終了の理由の記録と、理由ごとの後始末 | 空欄を含む結果が完了として後工程に流れる |
| 費用が膨らむ | 回数を増やせば質が上がると想定している | 収束の判定と、費用と時間の上限 | 請求で初めて気づき、原因の周回が特定できない |
表の右端が、決裁の材料になります。設計を省いた分は費用や事故として後から必ず請求されるので、着手前に4つを埋める工数は追加費用ではなく前払いです。以下の4章で、置くものの具体を順に決めていきます。
区切り1:終わりを、出来上がりの形で書く
最初に決めるのは終わりの形です。「十分な情報が集まったら」「精度が上がったら」は条件になりません。判定できるのは、成果物の形で書いたものだけです。名刺の例なら「業種の欄と規模の欄の両方に値が入り、値の出どころとして参照した公開情報の場所が1つ以上記録されている」まで書きます。
そのうえで、満たせない場合の終わりも必ず書きます。ここが抜けるのがいちばん多い落とし穴です。「3つの情報源を見ても規模が見つからない場合は、規模の欄を不明として確定し、次へ進む」。不明を正当な結末として認めておかないと、機械は不明を認められずに回り続けます。人の仕事では暗黙に済ませている判断を、明示に変える作業です。
書く量の目安を言うと、1つの仕事について終わりの条件は3行から5行に収まります。満たしたときの形、満たせないときの形、そして途中で明らかに前提が崩れたときの形。3つ目は「対象の会社が既に台帳にある場合は処理せず終わる」のような条件で、重複の登録はこの1行を書くかどうかで決まります。
区切り2:上限は回数だけでなく、費用と時間にも置く
2つ目は上限です。回数だけで置くと、1周が重い仕事では効きません。回数、費用、時間の3つを並べて置きます。1件あたりの周回数、1回の実行で使える費用、1回の実行にかけてよい時間。名刺の例なら、1件6周まで、400件で使う費用の上限、実行は6時間まで、という形です。3つのどれかに当たったら止まります。
上限の値は勘で決めず、小さく測って決めます。20件だけ流し、1件が埋まるまでの周回数の分布を見ます。多くが2周から3周で、少数が上限に張り付いているはずです。この張り付いている側は、周回数を増やしても埋まりません。上限は成功する件の周回数の分布から決め、外れ値に合わせて上げないのが原則です。
そして、上限に当たったときの既定の動きを必ず決めます。決めていない場合の既定は、多くの枠組みでは例外を投げて止まるだけです。それでは途中の結果が失われます。決めておくのは3つで、途中の結果を残すか捨てるか、人の待ち行列に入れるか、そして通知するか。上限の8割に達した時点で通知する仕組みを入れておくと、請求で気づく事故はなくなります。
区切り3:人が割り込む地点は、時間ではなく成果物で決める
3つ目は人が入る場所です。2024年12月の設計指針は、区切りや行き詰まりで人の判断のために一旦止まることを構造の一部として挙げています。ここで多いのが「1時間ごとに確認する」という置き方です。時間で置くと、確認したときに何を見ればよいかが決まりません。
置き方は成果物で決めます。名刺の例では3か所に絞りました。最初の20件が埋まった時点で1回、優先度を付ける規則ができた時点で1回、台帳に書き込む直前に1回。3か所目、つまり外部へ書き込む直前は、1本目のあいだは必ず人を挟みます。取り消せない操作の前に人を置くという原則で、これは自律の度合いを上げても最後まで残します。
挟んだ人が見る材料も決めます。全件を見るのではなく、機械が「不明」と判定した件と、上限に当たった件だけを見ます。1本目で20件のうち3件から5件がここに入るので、確認は10分で終わります。人が確認する範囲を先に狭く決めておかないと、確認は必ず全件の見直しに膨らみます。この範囲は運用の文書に書いて残します。
区切り4:進んでいないことを、機械が判定できるようにする
4つ目が収束の判定です。上限は最後の受け皿で、本来はその前に「進んでいないから止める」で切りたい。判定の材料は3つ用意できます。1周前と比べて成果物が変わっていないか、同じ道具を同じ値で呼んでいないか、そして残っている空欄が減っていないか。どれも単純な突き合わせで、AIに判断させる必要はありません。
先の2026年6月の研究が示したのはここです。採点役を別に立てずに内容の収束だけを見て打ち切る方式で、品質を落とさずトークンを38%削減できました。理想的に打ち切れた場合の上限は、実用的などの方式よりも情報量の指標で0.115ほど高いところにあります。つまり打ち切りの判定を良くする余地は、まだかなり残っているということです。
実務では欲張らず、2回連続で成果物が変わらなければ止める、という単純な規則から始めます。名刺の例では、2周続けて空欄が減らなければ不明として確定する規則にしました。これで1件あたりの平均周回数が下がり、処理件数が上がります。回り続ける件を早く諦めさせることが、全体の処理量を増やす一番の手でした。
1周ごとに、何を残すか
最後に記録です。ここで残すのは、後から原因を追うための詳細な記録ではなく、繰り返しを区切るために必要な最小限です。1周ごとに残す項目は5つで足ります。周回番号、その周で使った道具と渡した値、返ってきた結果の要点、残っている空欄の数、そこまでの累積の費用。
この5つがあると、3つのことが同時にできるようになります。同じ呼び出しの2回目を検知できる、空欄の数が減っていないことを判定できる、費用の上限に対する残りが分かる。区切りの設計は、記録の項目が決まった時点でほぼ決まります。逆に記録を後から足そうとすると、判定の仕組みも作り直しになります。
- 記録は1周ごとに書き出す。実行が終わってから一括で書くと、止まらなかった実行の記録が残らない
- 渡した値には社外に出せない情報が入ることがある。残す項目を決める段階で、伏せる欄を先に決めておく
- 累積の費用は件数ではなく実行単位で持つ。件数で持つと、1件が重い場合に気づけない
- 終了の理由は自由記述にしない。条件達成、上限到達、失敗、前提崩れの4種類に固定する
止め方を決める順番と、やってはいけない止め方
ここまでの4つを、着手前に決める順番として並べます。上から順に埋めれば、1本目の設計としては足ります。所要は関係者3人で半日から1日です。
満たしたときの形、満たせないときの形、前提が崩れたときの形。不明を正当な結末として認める行を必ず入れます。ここが抜けると以降の上限がすべて後追いになります。
成功した件の周回数の分布を取り、その上側に上限を置きます。上限に張り付いた件は、周回数を増やしても埋まりません。ここで測らずに上限を決めると、たいてい大きすぎる値になります。
どれか1つに当たったら止まる形にします。あわせて、上限の8割で通知する設定を入れます。既定値をそのまま使わないことがここの要点です。
途中の結果を残すか捨てるか、人の待ち行列に入れるか。決めていない場合の既定は「例外で止まって途中の結果が消える」なので、必ず上書きします。
2周続けて成果物が変わらない、同じ道具を同じ値で2回呼んだ、空欄が減らない。1つだけ選んで入れます。複数入れるのは2本目からで十分です。
最初のまとまりができた時点、規則が決まった時点、外部へ書き込む直前。取り消せない操作の前は、自律の度合いを上げても最後まで人を残します。
周回番号、道具と渡した値、結果の要点、残りの空欄数、累積費用。これが揃って初めて、上の判定が機械的に動きます。
- 「よい結果が出るまで」を終了条件にする。判定できないので、上限に当たるまで回る
- 上限を大きめに取って様子を見る。既定の1,000段のような値は、止めるための値ではない
- 止まったことを終わったことと同じに扱う。空欄を含む結果が完了として後工程に流れる
- 外部への書き込みを繰り返しの内側に置く。同じメールを何度も送る、同じ案件を何度も起票する事故になる
- 費用の上限を置かず、月末の請求で気づく。どの周回で膨らんだかを後から特定できない
- 確認を1時間ごとのように時間で挟む。何を見るかが決まらず、確認が形だけになる
- 止めるかどうかの判定をAIに書かせる。判定は突き合わせで足りる部分で、判断させる必要がない
よくある質問
繰り返しの上限は何回に置けばよいですか
一般解はありません。20件から30件を小さく流し、成功した件の周回数の分布を見て、その上側に置きます。多くの仕事では2周から6周の範囲に収まります。上限に張り付いた件に合わせて値を上げると、費用だけが増えて成功件数は変わりません。既定値が1,000段のような枠組みもありますが、それは暴走を最後に受け止める値なので、実務の上限としては使いません。
回数を増やせば品質は上がりますか
上がらない場合があります。複数の文書をまたいで答えを組み立てる60問を題材にした2026年6月の研究では、6周固定に対して収束を見て打ち切る方式が同等の品質でトークンを38%削減し、最初の1稿を返すだけの方式では86%削減で品質がわずかに上でした。1つの題材の結果なので一般化はできませんが、少なくとも回数と品質が単純に比例するという前提は置けません。自社の題材で20件測るのが確実です。
止まったかどうかは、どうやって気づけばよいですか
気づく仕組みを先に入れます。上限の8割に達した時点の通知、一定時間ごとの累積費用の通知、そして人の待ち行列に入った件数の通知。この3つだけで、当日のうちに気づけます。実行の記録を人が見に行く運用は、1本目のうちは持ちません。名刺の例で月曜まで気づかなかったのは、通知を1つも入れていなかったからです。
複数のエージェントに分ければ、繰り返しは減りますか
減るとは限りません。分類研究には、受け渡しの側で起きる型が並んでいます。話が本題からずれるが7.40%、相手に確認を求めないが6.80%、相手の入力を無視するが1.90%です。分けると受け渡しの回数が増え、これらの型が新たに出ます。分ける前に、1体で終わりの形と上限を書き切れているかを確かめてください。書けていないまま分けると、止まらない場所が増えるだけです。
まとめ
エージェントループは、観察と計画と実行と検証が繰り返される構造です。何周するかを実行中に機械の側が決めるので、書いた側は周回数を知りません。だから終わりの形と上限を別に与える必要があり、これを省いた分が、止まらない、同じ手を繰り返す、早すぎる終了、費用が膨らむという4つの症状として出てきます。
実測もこの読みを支えています。1,642件の実行記録の分類では、同じ手順の繰り返しが15.7%、終了条件を分かっていないが12.4%、検証そのものが誤りが9.10%。研究者自身が、失敗はAIの限界だけでなく設計の問題から出ていると書いています。公開されている6,549件のプロジェクトを調べた2026年7月の研究でも、止まらない経路が47プロジェクトで確認されています。設計で直せる場所だということです。
決めることは4つに絞れます。終わりを出来上がりの形で書き、不明を正当な結末として認める。上限を回数と費用と時間の3つで置き、当たったときの動きを決める。人が割り込む地点を成果物で3か所に置き、取り消せない操作の前は必ず残す。そして1周ごとに5項目を記録する。冒頭の400件も、2周続けて空欄が減らなければ不明として確定する規則を1行入れただけで、翌週は6時間で全件が埋まりました。回り続ける件を早く諦めさせることが、AIに任せる量を増やす唯一の道です。止める場所を決めるのは、AIを信用しないことではなく、任せられる範囲を先に確定させる作業だと考えてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
