インフィード広告はバナーと何が違うか|枠に合わせた作り方

インフィード広告は、バナーの置き場所を記事の間に移したものだ。この理解のまま入稿すると、まず成果は出ません。業界団体の定義では、インフィード広告は記事やコンテンツと一体感のあるデザインと形式で設置された誘導枠とされています。置き場所が違うのではなく、枠の性質そのものが違います。「バナーの画像をそのまま入れたら、クリックは出るのに問い合わせが来ない」「表示は伸びたのに、来た人が最初の画面で帰っていく」。——法人向けの商材で配信を始めた会社から、最初の1か月に決まって上がる報告です。これは画像の出来の問題ではありません。本当は、周りの記事と同じ形をとる枠に、周りの記事と違う形のものを入れているから起きるずれです。この記事では、バナーとの構造上の違いから、見出しと1枚目の作り方、誤タップの扱い、遷移先の合わせ方、法人向けの商材での向き不向きまでを、入稿前の確認項目まで含めて整理します。
カメ先生インフィード広告は、バナーを記事の間に置き直しただけだと思われがちなんだ。でも定義の上では、周りの記事と同じ見た目と形式をとる誘導枠のことを指している。同じ形をとるという一点から、作り方も、見られ方も、測り方も変わってくるんだよ。
カメ子同じ形をとると、作り方のどこが変わるのでしょうか。
カメ先生画像で足を止めさせる設計が効かなくなる。周りに溶けることが利点なのだから、目立たせるほど自分でその利点を消すことになるんだ。代わりに効くのは見出しの言葉と、押した先の最初の画面が見出しと合っているかどうか。この2つが成果のほとんどを決める。
カメ子バナーは画像で足を止め、インフィードは見出しと遷移先で合わせる。同じ広告でも、力を入れる場所が入れ替わるということですね。
- 業界団体の定義では、インフィード広告は記事と一体感のある形式で設置された誘導枠。枠だけで完結せず、遷移先まで含めて1本として作る
- 目立たせる設計は枠の利点を打ち消す。効くのは見出しの言葉と、押した先の1画面目が見出しと合っているかどうか
- 広告であることの表記は消せない。業界の規定に加え、令和5年10月施行の告示によって法令の側からも求められている
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「バナーを記事の間に置いたもの」という理解でつまずく
インフィード広告を始めるとき、いちばん多い入り方は、すでに作ってあるバナーの画像を流用して入稿することです。指定の比率に合わせて切り直し、見出しの欄には既存のキャッチコピーを入れる。これで配信は始まりますし、表示もクリックも出ます。数字の上では動いているように見えるので、最初の1週間はどこにも異常が見えません。つまずきが表に出るのはその先で、押した人が遷移先の1画面目でほとんど帰ってしまう、という形で現れます。クリック率だけを追っていると、むしろ好調に見えてしまうのが厄介なところです。
原因は画像の出来ではありません。バナーが置かれるのは、読者が「ここは広告の枠だ」と見分けられる場所です。ページの上端や横の帯など、本文の外側に固定された区画で、読者はそこを広告として見るか、はじめから視界に入れないかのどちらかで通り過ぎます。一方、インフィード広告が置かれるのは記事の列の中です。読者は記事を選ぶつもりの目で、上から順に見出しを読んでいます。目的の違う目に、同じ絵を出している。ずれはここで生まれます。
だから、直す順番もバナーとは変わります。画像を作り直す前に、見出しの言葉と、押した先の最初の画面を見ます。周りの記事と同じ形をとる枠では、選ばれ方も周りの記事と同じになるため、読者は絵より先に言葉を読んでいるからです。手を入れる順番を間違えると、画像を5案作っても数字が動かない、という時間の使い方になります。見出しは1本あたり20文字前後で書き直せるので、画像の差し替えより手数が少なく、効いたかどうかも早く分かります。最初に触るのは、いちばん短くて、いちばん効くところです。
業界団体の定義では、何と書かれているか
言葉の意味を先に固めます。日本インタラクティブ広告協会が2015年3月18日に公表したネイティブ広告に関するガイドラインは、3つの文書で構成されています。既存の掲載基準ガイドラインの一部改定、ネイティブ広告に関する推奨規定、そしてネイティブ広告の定義と用語解説です。このうち定義の文書に、ネイティブ広告とは「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告」と書かれています。形式が同じであること、そして読む体験を妨げないこと。この2つが定義の中身です。
インフィード広告は、そのネイティブ広告の一種として定義されています。原文では「ネイティブ広告の一種で、記事・コンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットで設置された誘導枠」です。ここで効いてくるのは「誘導枠」という語です。枠の中に広告の全部が入っているのではなく、枠は別の場所へ連れて行くための入口だ、と定義の側が言っています。バナーは枠の中で言い切ってしまうこともできますが、インフィードの枠は構造として言い切れません。
この差は、作るものの数に直結します。バナーなら画像1枚で完結させられる場面がありますが、インフィード広告は枠と遷移先を合わせて1つの広告として作らないと成立しません。制作の見積もりを取るときも、画像の本数だけで数えると必ず足りなくなります。枠の見出し、枠の画像、遷移先の1画面目。この3つがそろって初めて1本です。枠だけ発注して、遷移先は既存のページを使い回す進め方が、いちばん多い失敗の入口です。
下位区分が3つある。どれを指しているかで作るものが変わる
同じ定義の文書は、インフィード広告をさらに3つに分けています。媒体内誘導型、外部コンテンツ誘導型、フィード内表示型です。会議で「インフィードをやろう」と言うとき、この3つのどれを指しているかが決まらないまま話が進むことがよくあります。誘導する先が違えば、作る素材も、審査の通し方も、成果の測り方も変わります。最初にここを決めておかないと、素材を作り始めてから戻ることになります。
| 下位区分 | 定義上の誘導先 | 実務で作るもの | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 媒体内誘導型 | 媒体社が制作したコンテンツ(例としてタイアップ広告など) | 媒体側と組んだ記事と、その入口になる見出しと画像 | 名前を知られていない会社が、媒体の信頼を借りて読まれたいとき |
| 外部コンテンツ誘導型 | 媒体やプラットフォームの外に設置される外部コンテンツ(例としてランディングページなど) | 自社の遷移先を1本と、枠の見出しと画像 | 資料の請求やセミナーの申し込みなど、自社側で受け止めたいとき |
| フィード内表示型 | 枠の中にコンテンツを表示する(例として動画コンテンツなど) | 枠の中で完結する短い動画か画像 | 認知だけを取りにいくとき。押させることを前提にしないとき |
実務でいちばん多く使われるのは、真ん中の外部コンテンツ誘導型です。自社のページに連れてくる形なので、受け止め方を自分で設計できます。ただし、媒体の記事の列から自社のページへ移る瞬間に、見た目も文体も一度切り替わります。この切り替わりが急なほど帰られます。上の媒体内誘導型は切り替わりが起きにくい代わりに、媒体側の制作が入るので、費用も期間も別の見積もりになります。同じ「インフィード」という言葉で、進め方がまるで違うものが並んでいます。
選び方の目安を1つ置きます。その配信で受け取りたいものが、名前と連絡先なのか、名前を覚えてもらうことなのかを先に決めることです。名前と連絡先が要るなら外部コンテンツ誘導型しか選べません。覚えてもらうだけでよいなら、フィード内表示型のほうが、そもそも押させることを前提にしないぶん、誤タップの問題が起きません。受け取りたいものが決まっていないと、3つの真ん中で中途半端なものができあがります。
バナーとの違いを、4つの層に分けて並べる
違いを一言で言えば「周りと同じ形をとるかどうか」ですが、実務ではもう少し分けたほうが手が動きます。置かれ方、見られ方、作るもの、測り方の4層で並べます。上から下へ、違いが順に波及していく構造になっているのが要点です。置かれ方が違うから見られ方が変わり、見られ方が違うから作るものが変わり、作るものが違うから測り方が変わります。どこか1層だけをバナーのまま残すと、そこで話がかみ合わなくなります。
| 層 | バナー | インフィード広告 | そこから来る違い |
|---|---|---|---|
| 置かれ方 | 本文の外側にある固定された区画に埋め込まれる | 記事の列の中に、周りと同じ形で差し込まれる | 読者が広告だと身構えるかどうかが変わる |
| 見られ方 | 広告として見るか、視界に入れないかの二択になりやすい | 記事を選ぶ目で、まず見出しから読まれる | 効く要素が、画像から言葉へ移る |
| 作るもの | 画像1枚で完結させられる場面がある | 枠の見出し、枠の画像、遷移先の1画面目の3点で1組 | 制作の見積もりの単位が変わる |
| 測り方 | 表示とクリックで足りることが多い | 押した先の1画面目の離脱まで見ないと判断できない | クリック率が高いほど良い、が成り立たなくなる |
4層のうち、いちばん見落とされるのが最後の測り方です。バナーの運用では、クリック率が上がったことは素直に良い知らせでした。インフィードでは違います。周りに溶かすほどクリック率は上がり、同時に誤タップも増えるので、クリック率だけが上がっている状態は、良い知らせとは限りません。同じ名前の指標が、枠の性質が変わっただけで意味を変えます。運用の担当者が交代したときに、この読み方が引き継がれず、数字の見方だけがバナー時代のまま持ち込まれる事故が起きます。
逆に、バナーのほうが向いている場面もあります。すでに名前を知られている商材の再訪を促す用途、期間が決まっている告知、価格や条件を1枚で言い切りたい場面です。これらは読者に「広告だ」と分かって見てもらったほうが速い種類の伝達です。どちらが優れているかではなく、伝えたいものが1枚で言い切れる形かどうかで選びます。なお、配信の仕組みや費用の決まり方、検索広告との使い分けについては、ここでは扱いません。
見出しが主役になる。画像は主役ではない
記事の列の中では、読者は見出しを読んで押すものを選んでいます。同じ列に並ぶ以上、選ばれ方も同じです。だから、インフィード広告でいちばん時間をかけるのは見出しの言葉になります。バナーの制作では画像に大半の時間を使うのが普通ですが、ここでは配分が逆になります。見出しを10本書いてから、そのうち3本に合わせて画像を作るくらいの順番が実務的です。画像から始めると、絵に合う言葉を後から探すことになり、遷移先との距離が開きます。
見出しの書き方には型があります。誰の、何についての話かを先頭に置くこと。数字を入れるなら具体の数字にすること。そして、押した先に本当にあるものだけを言うことです。「業務が変わる」「今すぐ確認」のような、どの商材にも当てはまる言葉は、記事の列の中では素通りされます。周りに並んでいる記事の見出しが、たいてい具体的な話をしているからです。抽象的な言葉ほど広告らしく見え、広告らしく見えるほど、周りに溶けるという枠の利点が消えていきます。
削り方にも順番があります。案を書いたら、まず押した先の1画面目に対応する文があるかどうかで削ります。対応する文が見つからない案は、書き手が勢いで作った約束なので、残すと誤タップと離脱の両方を増やします。次に、20文字前後という器に収まるかで削ります。器に収める作業を後回しにすると、言いたいことを2つ詰め込んで、結局どちらも伝わらない見出しができます。削る基準を「良さそうかどうか」にしないのが要点です。
1枚目の画像は、止めるためではなく合うために作る
バナーの画像は、流し読みの目を止めるために作ります。強い色、大きな文字、太い枠線。インフィードでは、この作り方がそのまま逆に効きます。周りの記事の並びの中で1つだけ色が強い区画は、読者から見て明らかに広告の区画です。目立たせるほど、周りと同じ形をとるという枠の利点を自分で消していることになります。狙うのは目を引くことではなく、列の中で違和感なく並ぶことです。
具体的な作り方は3つです。1つ目は、画像の中に文字を焼き込みすぎないこと。見出しは枠の側に別のテキストとして表示されるので、画像にも同じことを書くと二重になり、そこだけ広告らしくなります。2つ目は、主役を中央寄りに置くこと。媒体や掲載面によって表示される比率が違い、端が切られる前提で作る必要があるからです。3つ目は、写っているものを1つに絞ること。列の中では小さく表示されるので、要素が多いと何の絵なのか判別できなくなります。
会社のロゴをどう扱うかは、よく迷うところです。結論から言えば、画像の中でロゴを大きく主張する必要はありません。多くの媒体では、広告主体者の表記が枠の側に別の欄として表示されるからです。画像の中でも名乗り、枠の側でも名乗ると、同じ情報が2回出るぶん、本題に使える面積が減ります。ただし、主体者の表記そのものを省いてよいという話ではありません。そこは次の項目で扱う、消してはいけない部分です。
入稿の枠が、作れるものを先に決めている
見出しに何文字使えるかは、媒体の入稿規定で決まっています。国内大手のポータルが提供する運用型ディスプレイ広告のインフィードの枠では、まとめられている規定として、見出しが20文字以内、説明文が90文字以内で推奨は38文字、広告主体者の表記が20文字以内、表示するURLが29文字以内、リンク先のURLが1024文字以内、といった値が挙げられています。画像は横1200・縦628のピクセル、または縦横とも300のピクセル。ロゴは縦横とも180のピクセル。容量は3メガバイト以下です。
- この数値は2026年3月時点でまとめられたもの。媒体の入稿規定は改定されるので、出す前に必ず公式のヘルプで確認する
- 掲載される面によって、同じ媒体でも使える比率や文字数が変わる場合がある
- 他の媒体では文字数も比率も別の値になる。1つの媒体の規定を全部に当てはめない
この数字を眺めると、作れるものの形が先に決まっていることが分かります。見出しの20文字は、日本語なら1文にもなりません。説明文の推奨が90文字ではなく38文字とされているのは、端末の画面幅で省略される前の長さの目安だからです。つまり、実際に読まれるのは見出しの20文字と、その後の40文字弱。この60文字で、誰に向けた何の話かということと、押した先に何があるかということの、両方を言い切る必要があります。
だから、原稿を先に長く書いて後から削る進め方は合いません。器を先に置いて、その中で書きます。手順にすると次の5段階です。
枠より先に、押した先の最初の画面に何が書いてあるかを確定させる。ここが決まっていないと、見出しは書けても約束が守れない。順番を入れ替えると、後で遷移先を作り直すことになる
1画面目に実際に書かれている語だけを抜く。抜けなかった語は、見出しでも使わないと決める。この一手で、遷移先に無い約束が入り込む道が閉じる
最初から20文字で書く。長く書いてから削ると、削った跡に意味の通らない語が残り、読み手に引っかかる見出しになる
見出しで言い切れなかった条件を入れる。誰向けか、費用がかからないか、所要時間はどれくらいか。全部は入らないので、押す判断にいちばん効く1つに絞る
後から足す前提にすると抜ける。空欄のまま出さない。ここが抜けたまま配信されると、差し替えではなく取り下げになる
広告表記は消すものではない。2つの側から求められている
周りに溶かす枠なので、「広告」と書くと効果が落ちるのではないか、という相談が必ず出ます。答えははっきりしています。消せません。先の協会のガイドラインは、もともと広告であることの明示と広告主体者の明示を規定しており、ネイティブ広告にも同じルールを適用することを明確にしたものです。表記については、消費者が認識しやすいように、端末の特性を考慮し、文字の大きさ、文字や背景の色、表示する位置などに留意する、と書かれています。書けばよいのではなく、気づける形で書けと求められているのが要点です。
米国の先行例のほうが、条件を細かく書いています。米国の業界団体が2013年12月4日に公表した指針は、その広告枠に料金が支払われたことが分かる文言を使うこと、閲覧しているデバイスやページの文脈の中で消費者が気づく十分な大きさで、見てはっきり分かるものにすることを、必須の条件として挙げています。米国の連邦取引委員会は2015年12月に指針を2本出し、表記はネイティブ広告の見出しの直前、あるいは真上に置くべきで、最も目立つ要素が画像や図表である場合はその上に置くべきだとしています。さらに、押した後に現れるページでも、消費者が最初に目にするだろう箇所のできるだけ近くに置くべきだと書いています。
日本では、法令の側からも求められる形になりました。令和5年10月1日に施行された告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」がそれです。広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示が対象で、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった表記により、事業者の表示であることを判別できるようにすることが求められます。周りに溶かす設計と、広告だと分かる表記は、両立させるものであって、どちらかを選ぶものではありません。
誤タップは、費用より先に指標を汚す
周りと同じ形をとる以上、記事だと思って押されることが起きます。協会の資料自身が、この枠組みを整えた背景として、記事だと思って読んだら広告だった、つまり騙されたというネガティブな体験を挙げています。つまり誤タップは、運用の失敗による副作用ではなく、この枠が構造として抱えている性質です。設計で減らすものであって、なくせるものではないという前提から始めます。ここを取り違えると、ゼロにしようとして枠の利点まで捨てることになります。
実務で怖いのは、費用の無駄よりも、数字の読み違えのほうです。誤タップが増えると、クリック率は上がり、1クリックあたりの単価は下がります。表面的には、安く多く集まっているように見えます。ここで予算を増やすと、増やした分だけ誤タップを買い増すことになります。クリックの数と質が逆に動く区間があるのがこの枠の特徴で、バナーの運用の感覚のまま判断すると、いちばん悪い方向に踏み込みます。
見分け方は単純です。クリック率と、遷移先の1画面目での離脱を必ず並べて見ます。クリック率だけが上がり、離脱も同時に上がっているなら、枠に溶かしすぎている合図です。減らし方も決まっていて、見出しの先頭に、商材の種類を表す語を1つ入れるだけで変わります。「調査レポート」「セミナー」「見積もり」のような語です。入れるとクリック率は下がりますが、下がった分は本来押すはずのなかった人です。下がったことを失敗として扱わない、という決めごとを配信の前に共有しておきます。
遷移先の一致。見出しで言ったものが最初の画面にあるか
定義が誘導枠である以上、押した先まで含めて1本の広告です。ところが制作の現場では、枠だけを新しく作り、遷移先は既にあるページを使い回すことが起こります。これをやると、見出しで言った言葉が最初の画面のどこにも出てこない状態になります。読者からすると、押した理由が着地点にありません。離脱は迷いではなく、確認の失敗です。自分が何を押したのかを確かめられないから帰ります。
そろえ方は3つあります。1つ目は語をそろえること。見出しに使った名詞を、遷移先の最初の見出しにそのまま使います。言い換えた時点で、読者の中の照合は一度切れます。2つ目は絵をそろえること。枠の画像と遷移先の1画面目の画像を同じ絵柄にします。同じ写真をそのまま使ってしまってよい場面もあります。3つ目は約束の粒度をそろえることです。「資料」と書いたなら最初の画面に資料の表紙があり、「30分の相談」と書いたなら最初の画面に30分と書いてあります。粒度がずれるほど、読者は自分で照らし合わせる手間を負わされます。
作る本数の比率も決めておきます。遷移先を1本作って、そこに合う見出しを5本作るのが順番で、逆にすると合いません。見出しを先に量産すると、遷移先で受け止められない約束が必ず混ざり、後から遷移先を直す作業が発生します。なお、会社案内のトップページを遷移先にする形が向かない理由は別の記事の範囲なので、ここでは扱いません。1本のページに1つの受け止め方だけを置く、という原則だけ確認しておきます。
法人向けの商材で、向く場面と向かない場面
向くのは、まだ言葉を知らない層に、課題の言葉で当てにいく場面です。調査をまとめた資料、業務の手順をまとめた資料、セミナーの告知。いずれも読み物として成立する材料があり、記事の列の中に並んでも浮きません。法人向けの商材は検討の期間が長く、名前を知る段階と選ぶ段階が離れています。知る段階を担う配信面としては、記事の列に並ぶという性質がそのまま筋の通った選択になります。
向かないのは、今まさに買う相手を探す用途です。フィードを流し見している人は、その瞬間に買うつもりで見ていません。指名で探している相手や、決裁の直前にいる相手に当てにいくなら、それは検索の側の役割で、使い分けは別の記事で扱っています。もう1つ向かないのは、説明に前提知識が要る商材です。20文字と40文字弱で説明できないものを無理に押し込むと、抽象的な言葉しか残らず、誤タップだけが増えていきます。
判断の目安を1つに絞るなら、その商材について、売り込み抜きで読める材料を1本用意できるかどうかです。用意できないなら、枠に合う入口が作れません。入口が作れないまま配信を始めると、広告らしい見出しで記事の列に割り込むことになり、いちばん嫌われる形になります。材料が先で、配信は後です。順番を逆にした案件は、たいてい3か月目に出す素材が尽きて止まります。
法人向けでは、測る場所をクリックより先にずらす
法人向けの配信では、押した人がその日に決めることはまずありません。だから、クリックの数だけで良し悪しを決められません。見る場所を1つ先にずらします。順番としては、遷移先の1画面目にとどまったか、次の画面に進んだか、受け取り口まで到達したか、の3段です。クリックは通過点であって、成果の代わりにはなりません。この3段を分けて見ると、直すべき場所が枠なのか遷移先なのかも同時に分かります。
記録の取り方にも約束が要ります。見出しの単位で分けて残すことです。枠の見出しは短いので、語を少し変えただけの案がいくつも並走します。まとめて集計すると、どの言い方が効いたのかが消えます。見出しを差し替えたら日付と版を付けて、遷移先の数字と対にして残す形にしておくと、3か月後に「なぜこの言い方に落ち着いたのか」を説明できます。説明できない運用は、担当が代わった時点でゼロに戻ります。
期間の決め方も先に置きます。判断を急ぐと、たまたま良かった見出しを正解として固定してしまいます。逆に長く回しすぎると、合わない見出しに費用を払い続けます。実務では、止める条件を配信の前に文章で書いておくのが確実です。1画面目の離脱がどこを超えたら止めるのか、受け取り口までの到達が何件出るまで待つのか。数字を先に書いておけば、走り出した後の情に流されません。
やってはいけない見出しと画像の型
周りに溶かす枠は、悪く使いやすい枠でもあります。短期の数字だけを見れば、記事のふりをするほど押されます。ただし、押された分だけ遷移先で帰られ、媒体の審査でも止まり、法令の側の問題にもなります。次の型は、どれも一度は現場で提案されるものですが、採用しない前提でチーム内に共有しておきます。
- 記事の見出しをそのまま真似て、広告主体者が分からない書き方にする——業界の規定でも法令でも、明示が求められている
- 「続きはこちら」とだけ書いて、何の続きなのかを書かない——押した人の大半が想定と違う場所に着く
- 画像の中に矢印や再生の印を描いて、押せる部品に見せかける——押しても何も起きないので、体験としていちばん悪い
- 遷移先に無い数字や条件を見出しに書く——約束の不一致は、離脱ではなく不信として残る
- 周りの記事の色や書体に寄せたうえで、広告の表記だけ薄い色にする——気づける形で書くという条件を外している
- 見出しで煽って、遷移先の1画面目で言い訳をする——押した人に自分の判断を否定させることになる
- 表示を増やすために配信面を広げ、記事の列ではない場所にも同じ素材を出す——枠に合わせて作った素材が、合わない場所で使われる
7つに共通しているのは、枠が周りに溶けることを、隠すために使っている点です。この枠の利点は、記事を選ぶ目に、記事と同じ距離で読んでもらえることでした。隠す方向に使うと、読んでもらえた瞬間に裏切ることになります。裏切りは1回で効きます。同じ媒体で再び同じ会社の名前を見たとき、読者はもう押しません。短期の数字を上げる方法と、翌月以降を壊す方法は、この枠ではほぼ同じものです。
入稿前に見る項目
審査に出す前の確認項目をまとめます。ここに挙げたものは、どれも出した後では直しにくいか、直すのに審査をやり直す必要があるものです。1本目の配信では全部を通し、2本目以降は変更した箇所に関わる項目だけを見ます。チェックする人は、その素材を作った人以外にするのが原則です。作った本人は、自分が省略した前提を頭の中で補って読んでしまうからです。
- 見出しが20文字前後の器に収まっているか。長く書いて削った跡が残っていないか
- 見出しに使った名詞が、遷移先の1画面目に実際に書かれているか
- 説明文が、端末の画面幅で省略される前の長さに収まっているか
- 広告であることの表記が入っていて、背景に埋もれない色と大きさになっているか
- 広告主体者の表記が入っているか。空欄のまま出そうとしていないか
- 画像に文字を焼き込みすぎていないか。枠の見出しと二重になっていないか
- 画像の主役が中央寄りにあり、端が切られても意味が通るか
- 画像の容量とピクセル数が、媒体の規定の範囲に入っているか
- 遷移先の1画面目に、見出しで言った約束を受け止める要素があるか
- 遷移先のページが、1つの受け止め方だけを置いた作りになっているか
- 止める条件と見る指標を、配信の前に文章で決めてあるか
この11項目のうち、後から直すのがいちばん高くつくのは9番目です。遷移先を直す作業は、枠の素材を差し替えるのと違って、社内の承認と制作の両方が動きます。だから、遷移先を先に確定してから枠を作る、という順番をここまで繰り返してきました。順番を守っていれば、この項目は確認するだけで済みます。守っていなければ、配信を止めて作り直すことになります。
逆に、配信を止めてまで直さなくてよい項目もあります。画像の絵柄の好みや、見出しの語尾の揺れです。これらは次の差し替えのときに直せば足ります。止めて直すものと、次で直すものを分けておくと、確認が重くならずに続きます。全部を同じ重さで扱うと、忙しくなった週から確認そのものが省かれるようになります。
AIをどこまで使い、どこで人が止めるか
この枠の作業には、AIが向いている部分がはっきりあります。1つ目は見出しの案出しです。20文字という器と、遷移先の1画面目の文章を渡したうえで、案をまとめて出させます。2つ目は、見出しに使った名詞が遷移先に存在するかどうかの照合です。3つ目は、広告の表記と主体者の表記の欄が埋まっているかという、形式的な確認です。いずれも量が多くて単調で、正解の形が決まっている作業です。
使わない場所も決めておきます。その表現を出してよいかどうかの最終判断はAIにさせません。表示に関する法令の観点も、媒体ごとの審査基準も、業界ごとの慣行も、当てはめには文脈が要ります。案を出させるときは、必ず根拠を併記させます。この見出しは遷移先のどの文の言い換えなのか、を1行で書かせる形です。書けない案は、遷移先に無い約束をしているので、その場で捨てます。この1手だけで、誇張した案は自然に落ちていきます。
人が確認する範囲も、始める前に決めます。案の全部を人が読むのではなく、採用候補に残した案だけを2人で読む形にすれば、量は現実的なところに収まります。逆に、確認の範囲を決めないまま生成の量だけを増やすと、誰にも読まれないまま入稿される案が混ざります。生成の量を増やす前に、人が読む枠を決めるのが順番です。枠を決めずに量だけ増やした運用は、審査で止まる回数が増えて、結局は遅くなります。
まとめ
インフィード広告は、バナーの置き場所を記事の間に移したものではありません。業界団体の定義では、記事やコンテンツと一体感のあるデザインと形式で設置された誘導枠とされています。周りと同じ形をとる枠であること、そして枠だけで完結せず遷移先まで含めて1本であること。この2つが、作り方の違いをすべて生んでいます。下位区分も3つあり、媒体内誘導型か、外部コンテンツ誘導型か、フィード内表示型かで、作る素材も測り方も変わります。
作るものの中心は、画像から言葉へ移ります。読者は記事を選ぶ目で見出しを読んでいるので、見出しを10本書いてから画像を作る、という順番になります。器も先に決まっていて、見出しは20文字前後、説明文は端末の画面幅で省略される前の長さに収める必要があります。長く書いてから削るのではなく、最初から器の中で書きます。画像は目を止めるためではなく、列の中で浮かないために作ります。
消してはいけないものもあります。広告であることの表記と、広告主体者の表記です。協会のガイドラインは、消費者が認識しやすいように文字の大きさや色や位置に留意することを求めています。米国の連邦取引委員会の指針は、表記を見出しの直前あるいは真上に置くべきで、押した後のページでも最初に目にするだろう箇所の近くに置くべきだとしています。日本でも、令和5年10月1日に施行された告示によって、法令の側から求められる形になりました。
誤タップはこの枠の性質であって、なくせません。減らす設計をしたうえで、クリック率と遷移先の1画面目の離脱を必ず並べて見ます。法人向けの商材では、売り込み抜きで読める材料を1本用意できるかどうかが向き不向きの分かれ目で、材料が先、配信が後です。AIは見出しの案出しと語の照合に効きますが、出してよいかどうかの判断は人が持ちます。この枠で問われているのは広告の作り方ではなく、記事の列に並ぶ資格を先に用意できているかどうかです。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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