自社調査で報道に取り上げられる5工程|数字を作らない設計

自社調査で報道に取り上げられる5工程|数字を作らない設計

「調査をして出したのに、どこにも取り上げられませんでした」「そもそも何人に聞けば記事にしてもらえるのですか」——自社で調べた数字を出したあと、社内から届く質問はだいたいこの二つに集まります。ここで見落とされやすいのは、取り上げられないことよりも重い結果が待っている場合があることです。消費者庁が2024年9月26日に公表した「No.1表示に関する実態調査報告書」は、令和5年度の措置命令44事業者のうち13事業者がNo.1表示に関わるものだったと記しています。記事にされる調査とそうでない調査を分けているのは、人数の多さではありません。本当は問いの立て方と、答えが動かない聞き方ができているかどうかです。この記事では、5つの工程に沿って、数字を作らずに報道につなげる設計をまとめます。


カメ先生カメ先生

調査を報道につなげる話はね、何人に聞いたかで決まると思われがちなんだけど、本当は『何を明らかにする調査なのか』が先に決まっているかどうかなんだ。


カメ子カメ子

人数を増やしても、記事にはならないということですか。


カメ先生カメ先生

人数は結論を支える最低限の条件でしかない。記者が知りたいのは、その数字が世の中の何を説明しているのか。説明できない数字は、何人分あっても使われないんだ。


カメ子カメ子

問いを決めるというのは、仮説を先に持っておくことと同じでしょうか。


この記事のポイント
  • 報道につながるかどうかは人数ではなく問いで決まる。世の中の関心と重なり、比べられる形になっているかを先に確かめる
  • 数字を出した瞬間、それは広告の根拠になる。誘導になる聞き方や途中での打ち切りは、報道価値と法的な裏づけを同時に壊す
  • 生成AIには設問案・分類・骨組みまで。数字と結論は人が原典に戻って確かめる

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目次

「うちの調査です」で終わる資料は、何が足りないのか

配信したのに一件も掲載されなかった調査には、共通する形があります。自社製品の利用者だけに聞いている。結論が自社の主張と一致しすぎている。比べる相手がいない。そして、いつ・誰に・何人に聞いたのかが書かれていない。この四つのどれかが当てはまると、受け取った側は使いにくくなります。

記者の立場から見ると、理由ははっきりしています。記事に数字を書くなら、出典を添えなければなりません。そのとき必要なのは、調査した主体、調査の時期、対象の条件、有効な回答数、調査の方法です。これらが揃っていない資料は、そのまま引用できないため、内容が面白くても手が止まります。取り上げられる形とは、出典として一行で書ける形のことです

逆に言えば、掲載の可否は原稿の巧拙よりも前の段階、調査を設計した時点でほぼ決まっています。配信したあとに工夫できる余地は、思われているほど大きくありません。だからこの記事は、文面の書き方ではなく、調査そのものの設計に絞って進めます。

記事にされる調査に共通する3つの条件

掲載された調査を並べると、三つの条件のどれかを満たしています。第一に、世の中の関心と重なっていること。制度の変更、季節の行事、社会で議論になっている話題と時期が合っていると、記者は自分の記事の材料として使えます。第二に、数字が新しいこと。同じ問いを扱った公的な統計がまだない領域か、あっても数年前のものしかない領域であれば、価値が出ます。

第三に、比べられることです。全体の数字だけでは記事になりません。業種別、規模別、役職別、あるいは前年との差。並べた瞬間に差が見えると、そこが見出しになります。この三つ目が、設計の段階で一番よく抜けます。比べる軸を先に決めておかないと、集計してから「分けられない」と気づくことになります。

よく挙げられる「意外性」は、四つ目の条件ではありません。意外性は作るものではなく、条件を満たした設計の結果として出てくるものです。意外な結果を先に決めてしまうと、そこへ向けて設問が歪みます。次の章で見るとおり、その歪みは報道価値だけでなく、法的な裏づけまで壊します。

数字を出した瞬間、それは広告の根拠になる

自社調査の数字を広告や資料に載せた時点で、その数字は表示の裏づけになります。景品表示法(昭和37年法律第134号)第5条第1号は、商品やサービスの内容について、実際のものより著しく優良であると示す表示を禁じています。そして第7条第2項により、消費者庁長官は表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、求められた事業者が資料を出さないときは、その表示は第5条第1号に該当するものとみなされます。

何をもって合理的な根拠とするかは、「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針——不実証広告規制に関する指針——」に示されています。平成15年10月28日に公正取引委員会が定め、平成28年4月1日に消費者庁が一部を改正したものです。この指針は、根拠と認められるための要件を二つ挙げています。提出資料が客観的に実証された内容のものであること、そして表示された効果や性能と、資料によって実証された内容が適切に対応していることです。

客観的に実証された内容とは、試験や調査によって得られた結果か、専門家や専門機関の見解、学術文献のいずれかを指します。自主調査は前者に当たり得ますが、方法に要件が付きます。同じ指針は、試験や調査は学術界または産業界において一般的に認められた方法か、関連分野の専門家多数が認める方法で実施する必要があるとし、そうした方法が存在しない場合には、社会通念上および経験則上妥当と認められる方法で実施する必要があると書いています。外部の調査機関でなくても、この方法を満たしていれば自社の調査を根拠にできます。裏を返せば、方法を満たしていなければ、外部に委託しても根拠にはなりません。

5工程の全体像

設計を工程に分けると、どこで壊れたのかが後から追えるようになります。五つの工程は前に戻れません。設問を書き始めてから問いを変えると、対象の条件が合わなくなるからです。順番どおりに進めてください。

STEP1
問いを決める

何を明らかにする調査なのかを一文で書きます。自社の主張を確かめる文ではなく、まだ分かっていないことを尋ねる文にします。この一文が書けないうちは、次に進みません。

STEP2
対象と人数を決める

誰に聞けばその問いに答えられるかを決め、比べる軸ごとに何人必要かを積み上げます。先に人数を決めてから対象を探すと、答えられない相手に聞くことになります。

STEP3
設問を書く

聞き方で答えが動きます。選択肢の並び、前の設問の影響、二つのことを同時に尋ねていないか。書いたあと、必ず第三者に読ませて意図が透けていないかを確かめます。

STEP4
集計して読む

集計する前に読み方の約束を決めます。どの群とどの群を比べるか、何ポイント差から言及するか、無回答をどう扱うか。決めてから数字を見ます。

STEP5
出し方を決める

出す先を選ぶ前に、出せる形になっているかを確かめます。設問文の全文、単純集計、対象の条件。この三つが揃っていれば、問い合わせに答えられます。

この五つのうち、外部に委託しても自社でしか決められないのは第1工程です。残りの四つは相談しながら進められますが、問いだけは丸投げできません。問いを委託先に任せた調査は、たいてい当たり障りのない結果になります。

工程1:問いを決める

問いを立てるときの起点は、「何が言いたいか」ではなく「何がまだ分かっていないか」です。自社の主張を確かめるための調査は、確かめる前に結論が決まっているため、設問が誘導に寄ります。そして誘導に寄った設問は、記者にも読者にもすぐ見抜かれます。

使いやすい問いの型は三つあります。「増えているのか、減っているのか」を尋ねる型。「実際に決めているのは誰か」を尋ねる型。「やめた理由は何か」を尋ねる型です。いずれも答えが二通り以上あり、どちらの答えが出ても記事になるという共通点があります。片方の答えしか使えない問いは、設計の時点ですでに偏っています

問いを決めたら、公開前に一度だけ確かめてください。その問いに対する答えが、自社の売り上げに都合よく働く形になっていないか。都合よく働くこと自体は問題ではありませんが、都合のよい答えしか出ない設計になっていないかは別の話です。この確認を工程1でしておくと、あとの工程での修正がほとんど不要になります。

工程2:対象と人数を決める

誰に聞くかは、言いたい結論から逆算して決めます。全国の会社員の話をしたいのに自社の顧客だけに聞けば、結論と対象が対応しません。先に挙げた指針は、体験談やモニターの意見を根拠にする場合について、無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し、作為が生じないように考慮して行うなど、統計的に客観性が十分に確保されている必要があるとしています。

同じ指針は、認められない集め方も具体的に挙げています。自社の従業員やその家族など、販売する商品に利害関係を持つ人の体験談を集める調査。積極的に体験談を送ってくる利用者だけを母体にした調査。広い地域で売る商品なのに、一部の地域の少数のモニターだけで実施した統計調査。いずれも統計的に客観性が確保されたものとはいえないと明記されています。

  • 自社の会員名簿だけに配信し、全国の傾向として発表する
  • 回答してくれた人に自社製品の割引を付け、好意的な層だけが集まる状態にする
  • 業種別に語りたいのに、業種ごとの回答者が数名しかいない
  • 回収が伸びないので、途中から対象の条件を緩めて人数だけ埋める
  • 目標の数字に届いた時点で回収を止める

人数について、指針は一律の数を示していません。商品や表示の特性、影響の範囲と程度によって異なるため個別の事案ごとに判断するとしたうえで、少なくとも、学問上または関連する専門分野において客観的な実証に耐える程度のものである必要がある、と書いています。実務では、全体の傾向だけを言うのか、業種や規模で分けて言うのかで必要な人数が変わります。分けて言うなら、分けたあとの各群で読める人数を先に積み上げてください。

工程3:設問を書く

五つの工程で最も壊れやすいのがここです。同じことを尋ねているつもりでも、聞き方を変えると答えは動きます。動かし方には型があり、代表的なものが四つあります。前置きで答えを誘導する。一つの設問で二つのことを同時に尋ねる。前の設問が後の設問の答えを引っ張る。そして、選択肢の並び順で選ばれやすさが変わることです。

四つ目については、行政の資料にも例があります。消費者庁の実態調査は、調査が公平な方法で実施されていない例として、「おすすめしたい」商品を選択させる場面で、自社商品を選択肢の最上位に固定して誘導するやり方を挙げています。選択肢の順番は、回答者ごとに入れ替えるのが基本です。並び順を固定したまま出した数字は、社内で説明できても外では通りません

設問を書き終えたら、事情を知らない人に読ませてください。確かめるのは正しさではなく、どの答えを期待しているかが透けて見えないかです。透けて見える設問は、回答者が意図を汲んで答えるため、集まった数字が実態から離れます。この確認は十分で終わりますが、省くと工程4以降で取り返しがつきません。

工程4:集計して読む

集計に入る前に、読み方の約束を決めておきます。どの群とどの群を比べるのか、何ポイント差から差があると言うのか、「どちらとも言えない」と無回答をどう扱うのか。数字を見てから決めると、都合のよい読み方に寄ります。これは意図の有無に関係なく起きる現象なので、手順として先に決めておくしかありません。

分けすぎないことも大切です。業種と規模と役職で分けると、群の数はすぐ二桁になり、各群の人数は一桁になります。そこで出た差は、偶然の揺れと区別が付きません。分ける軸は、工程1で決めた問いに直接効くものだけに絞ってください。

分母の扱いも要注意です。無回答や「どちらとも言えない」を分母から外すと、数字は跳ね上がります。外すこと自体が禁じられているわけではありませんが、外したのなら、外したと書く必要があります。先の実態調査は、集計段階の作為の例として、目標とする割合に達した時点で調査を終了することを挙げています。回収を止める判断も、集計と同じく設計の一部です。

工程5:出し方を決める

出す先を選ぶ前に、出せる形になっているかを確かめます。必要なのは三つ。設問文の全文、単純集計の一覧、対象の条件です。この三つが手元にあれば、問い合わせが来たときに即答できます。逆に、集計表しか持っていない状態で発表すると、「その設問はどう聞いたのか」という一言で止まります。

読み手が根拠を確かめられるようにしておくことも勧められています。消費者庁の実態調査は、一般消費者が表示の根拠となる情報を確認できるようにすることが望ましいとし、その例として表示物に調査方法の概要を直接記載すること、それが難しい場合はQRコードで確認できるようにすることを挙げています。報道向けの資料でも考え方は同じで、調査の概要ページを用意し、そこへ辿れるようにしておくと確認が早く済みます。

  • 制度の施行や年度の切り替えに合わせると、記者が記事の枠を取りやすい
  • 同じ日に公的統計の公表が重なると埋もれる。公表予定は事前に確認しておく
  • 文面の作り方や配信先の選び方は別の主題。ここでは出す前に揃える材料に絞っている

誘導になる聞き方を、悪い例で覚える

誘導は、悪意がなくても入ります。自社の課題意識をそのまま文にすると、たいてい誘導になります。実際に起きやすい形を並べます。いずれも、書いた本人には自然な日本語に見えるのが厄介なところです。

  • 「多くの企業が課題としている◯◯について、あなたの会社でも課題だと感じますか」と、前置きで答えを示してから尋ねる
  • 「◯◯は非効率で時間もかかると言われますが、改善したいと思いますか」と、評価を含んだ言葉で尋ねる
  • 「◯◯の導入と運用の負担について、負担を感じますか」と、導入と運用という別のことを一つの設問で尋ねる
  • 満足度を尋ねる直前に自社の受賞歴を見せてから、満足度を尋ねる
  • 選択肢を「非常に良い・良い・普通・やや悪い」と、良い側に厚く並べる

最後の例は見落とされがちです。選択肢の数が左右で揃っていないと、回答は厚いほうへ寄ります。五段階なら中央を挟んで二つずつ、四段階なら中央を置かずに二つずつ。この対称性を崩すときは、崩す理由を説明できる状態にしておいてください。

なお、実態調査が「イメージ調査」と呼んで問題視した形も、設問の作り方の問題です。調査対象の商品と競合のウェブサイトを閲覧させ、見た印象で「顧客満足度が高いと思うものを選んでください」と尋ねる調査は、利用者の満足度を測っていません。尋ねているのは、ウェブサイトを見た印象です。測っているものと言いたいことがずれると、設問がどれだけ丁寧でも根拠になりません。

誰にいつ何人に聞いたかを必ず併記する

発表資料に併記する項目は決まっています。書けないなら、その調査は出さないほうが安全です。書かずに出した数字は、後から問われたときに補えません。

併記する項目書き方の例書けないと起きること
調査主体自社名。委託した場合は委託先の名称も誰の都合で作られた数字か判断できない
調査時期何年何月何日から何日まで古い数字が現在の話として引用される
調査対象どの立場の人に、どんな条件で絞ったか自社の顧客の数字が全体の話に見える
有効回答数実際に集計に使った人数。群別に語るなら群ごとの人数も属性別の数字が何人分なのか分からない
調査方法インターネット調査、電話、郵送、会場など集まり方の偏りが読めない
設問文実際に見せた文と選択肢。全文を別ページに置く誘導の有無を確かめられない

この六つのうち、実務で抜けやすいのは群別の人数設問文です。群別の人数は、全体の回答数だけを書いて済ませてしまいがちです。設問文は、資料が長くなるという理由で省かれます。どちらも、省いた瞬間に検証できない数字になります

業界団体の側にも規範があります。日本マーケティング・リサーチ協会は「マーケティング・リサーチ綱領」を定めており、2025年9月26日に改訂、その解説編も2026年4月1日に改訂されています。委託先を選ぶときは、こうした規範に従っているかを確かめる材料の一つにできます。

「満足度No.1」に踏み込む前に確かめる4点

自主調査の延長で、順位を打ち出したくなる場面があります。ここは線を引くべきところです。消費者庁の実態調査は、No.1表示等が合理的な根拠に基づくと認められるためには四つを満たすことが必要だと示しています。比較対象となる商品やサービスが適切に選定されていること。調査対象者が適切に選定されていること。調査が公平な方法で実施されていること。そして、表示内容と調査結果が適切に対応していることです。

一つ目については、「No.1」を訴求する以上、原則として主要な競合を比較対象とする必要があるとされています。市場の主要なものが比較対象から抜けている状態で順位を出せば、それだけで問題になります。二つ目は、表示から読み取れる対象と実際の対象が一致しているかという話です。「顧客満足度」と書けば、読み手は実際の利用者に聞いたと受け取ります。イメージ調査であることを注記しても、表示と調査結果が対応していない事実は変わらないと、報告書は明記しています。

報告書のヒアリングからは、現場の実像も見えます。調査を根拠に順位を出していた広告主の多くが、設問の項目や比較対象を把握していませんでした。理由として挙がったのは「調査会社を信頼していた」「他社も同じ調査会社を使っていたので問題ないと思った」というものです。一つの表現あたり十万円から数十万円という価格の手軽さも、確認を省く方向に働いていました。景品表示法第22条第1項は、事業者が講ずべき管理上の措置を求めています。表示の根拠となる情報を確認し、社内で共有し、後から確認できるようにしておくことは、その措置の一部です。

ここまで厳しく見られる理由は、同じ報告書の消費者調査から読み取れます。消費者庁は広告物からNo.1表示等を368件集め、そのサンプルを使って消費者1,000名にウェブアンケートを実施しました。新しい商品を買うときにNo.1表示が購入の意思決定に「かなり影響する」または「やや影響する」と答えた人は、およそ5割です。そのうえで、4割を超える人が「実際の利用者に調査をしていると思う」と答えていました。読み手は、表示の裏で誰にどう聞いたのかを推測しながら数字を受け取っています。

同じ調査では、「医師の90パーセントが推奨」のような割合の表示もNo.1表示に近いものとして扱われています。こちらも購入の意思決定に影響すると答えた人がおよそ5割で、そのうち約半数が「医師の知見による専門的な根拠や裏付けがある」「商品の品質に関する客観的なデータを元に調査を行っている」と受け取っていました。出す側が意図していない読み取られ方が、これだけ起きているということです。自主調査の数字は、書いた文よりも読み手が補った意味のほうで効いてしまう。順位や割合に踏み込むなら、補われる意味まで含めて設計を確かめてください。

生成AIに任せてよい範囲と、人が原典に戻る場所

この五工程で生成AIが効くのは、下ごしらえと下書きです。設問案の洗い出し、同じ主題の既存調査の探索、自由記述の一次分類、集計表からの説明文の骨組み、発表後に来そうな質問の想定。どれも量が多く、人が最初から作ると時間がかかるところです。

任せてはいけないのは、数字と結論です。集計表を渡さずに「この調査結果をまとめて」と頼むと、もっともらしい数字が出てきます。自由記述の分類も、分類の定義を人が先に決めなければ、同じデータでも群の大きさが変わります。対象者の条件を決めさせるのも危険で、AIは統計上きれいな条件を答えますが、自社が言いたい結論と対応しているかは判断できません。

運用に落とすなら、三つを先に決めます。第一に、根拠を書かせること。出した数字がどの設問のどの選択肢から来ているかを、必ず併記させます。第二に、人が確認する範囲を先に決めること。数字の転記、群の定義、結論の一文。この三か所は必ず人が原典に戻ります。第三に、AIに判断させないこと。どの数字を見出しにするかは、法的な裏づけと報道価値の両方が関わる判断です。AIが出した見出し案は候補であって、採否の判断そのものではありません

出したあとに資産へ変える

発表して終わりにすると、費用が一回で消えます。調査は、出したあとの使い方で価値が何倍にもなります。第一の使い道は自社の記事です。発表資料は全体像を一枚で見せますが、設問ごとに分解すれば、それぞれが独立した記事になります。設問が二十あれば、掘り下げる価値のあるものは五つか六つは残ります。

第二の使い道は営業の資料です。自社の主張を裏づける数字として使えますが、そのときも出典の表記をそのまま持っていってください。資料の中で数字だけが独り歩きすると、商談の場で対象や時期を問われたときに答えられなくなります。

第三の使い道は、翌年以降の定点です。同じ問いを同じ設問で繰り返せば、二回目からは前年との差という新しい材料が手に入ります。定点にするなら、初回の設計時点で「変えない設問」と「毎年入れ替える設問」を分けておいてください。後から分けようとすると、比べられる設問が一つも残っていない、という事態になります。

よくある質問

何人に聞けば記事にしてもらえますか

人数の下限を決めている公的な基準はありません。先に触れた指針も、サンプル数は商品や表示の特性、影響の範囲と程度によって異なるため個別に判断するとしています。実務で目安になるのは、語りたい単位ごとに読める人数があるかです。全体の傾向だけを語るのか、業種別に語るのか、規模別に語るのか。分けて語るつもりなら、分けたあとの各群で人数を積み上げてください。全体で千人いても、語りたい業種が二十人しかいなければ、その業種の話はできません。

調査会社に頼まないと取り上げてもらえませんか

委託が条件になっているわけではありません。指針は、試験や調査を行った機関が表示を行った事業者と関係のない第三者であれば一般的に客観的だとしたうえで、認められた方法で実施されている限り、その事業者が行った調査でも根拠として提出できるとしています。判断されているのは委託の有無ではなく方法です。ただし、委託すれば安全という思い込みは危険で、実態調査のヒアリングでは、委託先に任せきりで設問を把握していない例が多く見られました。

自社の利用者だけに聞いた調査は使えませんか

使える場面と使えない場面があります。「自社の利用者に聞いたところ、こういう傾向が見られた」と、対象を明示して語る分には問題ありません。使えないのは、その数字を市場全体の傾向として語るときです。指針も、利害関係を持つ人や、自発的に体験談を送ってくる利用者だけを母体にした調査は統計的に客観性が確保されたものとはいえないとしています。対象を明示すれば、範囲の狭い調査にも使い道はあります。

同じ調査を毎年出し続けてもよいですか

むしろ推奨されます。同じ問いを同じ設問で続けると、二回目以降は前年との差という材料が毎年手に入ります。注意点は二つです。設問を変えないこと。そして、対象の条件も変えないことです。どちらかを変えると、前年との差が実態の変化なのか設計の変化なのか分からなくなります。新しく聞きたいことは、既存の設問を書き換えるのではなく、追加の設問として足してください。

まとめ

自社調査が報道につながるかどうかは、人数ではなく設計で決まります。分かれ目は、世の中の関心と重なる問いを立てているか、比べられる軸を先に決めているか、そして誰にいつ何人に聞いたかを書ける状態になっているかです。数字を出した瞬間、それは広告の根拠になります。合理的な根拠と認められるには、資料が客観的に実証された内容であることと、言いたいことと実証された内容が対応していることの両方が要ります。誘導になる聞き方も、目標に届いた時点での打ち切りも、この二つを同時に壊します。生成AIには設問案の洗い出しと分類の下ごしらえを任せ、数字と結論は人が原典に戻って確かめる。五つの工程を順番どおりに進め、書けない項目が一つでも残るなら出さない。この線を守るだけで、調査は一回きりの発表から、毎年積み上がる資産に変わります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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