AIで見込み客を格付けしてよい?|プロファイリングの線引き

AIで見込み客を格付けしてよい?|プロファイリングの線引き

「見込み客に点数を付けて、確度の高い順に営業へ渡したい」「行動の記録からAIに人物像を推し量らせたいが、法的に大丈夫なのか分からない」——AIを使った見込み客の格付けを検討しはじめた部署で、決まって同時に出てくる二つの声です。日本の個人情報保護法には、プロファイリングそのものを名指しで禁じる条文はありません。だからこれは、やってよいか悪いかを決める話ではありません。本当は、集めるときに何と書いたかで、あとから何ができるかが決まるという順序の話です。この記事では、行動の記録から人物像を推し量る処理がどこまで進められるのかを、集めるとき・使うとき・本人から求められたときの3つの場面に分けて整理します。


カメ先生カメ先生

プロファイリングというと、AIが人を勝手に格付けする怖い技術だと思われがちなんだけど、法律の側から見ると、まず問われるのは分析そのものより『何のために集めたか』なんだ。


カメ子カメ子

集めた時点の書き方が、あとの分析まで縛るということですか。


カメ先生カメ先生

そう。日本の法律にはプロファイリングを名指しで禁じる条文がない。かわりに、利用目的をできる限り特定しなさいという規定が、そのまま効いてくる。


カメ子カメ子

禁じられていないのに、書き方の順番で決まってしまうのは意外です。


この記事のポイント
  • 推し量って作った点数も、本人にたどり着ける形で持っているなら個人データとして扱われる
  • 分析することを利用目的に書いていなければ、あとから始めるには通知・公表か同意が要る
  • 点数で人の扱いを自動で変えない。根拠を残し、人が覆せる道を残しておく

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目次

プロファイリングという言葉が指している範囲

プロファイリングは、日本の法律の条文に出てくる言葉ではありません。実務では、申告された属性だけでなく、閲覧・資料請求・開封・来訪といった行動の記録を材料にして、その人の関心や検討の度合いを推し量る処理を広く指しています。見込み客に点数を付ける、業種と役職から関心分野を推定する、離れそうな相手を先に見つける。呼び名は違っても、材料が個人の記録で、出てくるのが個人についての評価であれば、扱いは同じ土俵に乗ります。

押さえておきたいのは、名指しの禁止がない代わりに、既にある一般の規定がひととおり効いてくるという構造です。利用目的をできる限り特定すること(法第17条)、特定した目的の達成に必要な範囲を超えて扱わないこと(法第18条)、違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法で利用しないこと(法第19条)。この3つが、分析の入口・範囲・出口にそれぞれ対応します。

そのため、社内で「プロファイリングをやってよいか」と問うと議論が空回りします。問い方を変えて、「この分析は、公開している利用目的のどこに収まるのか」「収まらないなら何をすれば収まるのか」と聞くと、法務と現場の話が初めてかみ合います。可否の議論ではなく、収め方の議論に移すのが最初の一歩です。

推し量って作った情報も個人データとして扱われる

見落とされやすいのが、推定して作り出した情報の扱いです。行動の記録から算出した点数や、推し量った関心の分類は、こちらが計算して作ったものだから自由に使える、と考えてしまいがちです。しかし、その点数が特定の個人と結び付いた形で管理されているなら、それは本人に関する情報であり、個人データとして扱われます。氏名の欄に書かれた情報だけが個人情報ではありません。

具体的には、顧客管理の台帳に「確度の高低」や「関心分野は物流」といった欄が増えるだけで、その欄も開示や訂正、利用停止の対象になり得ます。作った側の意図ではなく、本人にたどり着ける形で持っているかどうかで決まるためです。加えて、点数の材料にした行動の記録そのものも、同じ台帳の中では個人データです。点数だけを消しても、材料が残っていれば説明を求められます。

この点は、外部のツールで計算させている場合も変わりません。計算をどこで行ったかではなく、結果を誰の情報として持っているかを見ます。分析用の基盤に切り出して集計しているから対象外、という整理は通りません。設計の初めに、点数と、その根拠になった項目を、どの単位で保存するのかを決めておくと、後の請求対応が軽くなります。

利用目的の書き方で、できることが決まる

実際に可否を分けるのは、取得のときに書いた利用目的の文面です。法第17条第1項は、個人情報を取り扱うにあたって利用目的をできる限り特定しなければならないと定めています。個人情報保護委員会が公表している通則編のガイドラインは、本人から得た情報から本人に関する行動・関心等の情報を分析する場合について、どのような取扱いが行われているかを本人が予測・想定できる程度に利用目的を特定しなければならないとしています。

同じガイドラインには、書き方の事例も置かれています。「取得した閲覧履歴や購買履歴等の情報を分析して、趣味・嗜好に応じた新商品・サービスに関する広告のために利用いたします」、「取得した行動履歴等の情報を分析し、信用スコアを算出した上で、当該スコアを第三者へ提供いたします」といった形です。読み取れるのは2点。分析すること自体を書く。分析した結果を何に使うかも書く。自社の文面がこの2点を満たしているかを、まず確かめます。同じガイドラインは、本人が、自らの個人情報がどのように取り扱われることとなるかを利用目的から合理的に予測・想定できないような場合には、できる限り利用目的を特定したことにはならない、とも述べています。抽象的に広く書いておけば安全、という発想は逆に働きます

よくあるのが、「お問い合わせへの対応のため」「サービスのご案内のため」で止まっている文面です。案内を送るとは書いてあっても、行動の記録を分析して確度を推し量るとは書いていない。この状態のまま格付けを始めると、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えた取扱い(法第18条第1項)にあたるおそれが出ます。始める前に読み返すべきは、社内の設計書ではなく、公開しているプライバシーポリシーと、申込の欄に添えた一行です。

あとから分析を足せるのか

文面が足りていないと分かったときの次の問いは、今から書き足せばよいのか、です。法第17条第2項は、利用目的を変更する場合、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないと定めています。何でも足せるわけではなく、本人が通常予期し得ると客観的に認められる範囲で線が引かれます。

実務の道は3つです。関連性の範囲に収まると整理できるなら、変更した利用目的を本人に通知するか公表する。収まらないなら、あらためて本人の同意を取る。どちらも重いなら、対象を新しく取得する分だけに絞り、過去に集めた記録は分析に回さない。実際に多いのは3つめで、切り替え日を決め、それ以前の記録には点数を付けない運用にします。

取得時に書いてある内容分析を始められるか必要な手当て
分析することと、その使い道まで書いてある書いた範囲の中なら始められる材料の項目が範囲を超えていないか定期に確認
案内の送付までしか書いていないそのままでは始められない関連性の範囲か整理し、変更を通知または公表
関連性の範囲に収まらない使い方をしたい同意なしには始められない同意を取り直すか、新規取得分だけに絞る
結果を他社へ渡す予定がある渡すことまで書いていないと不可提供することを含めて目的を特定し直す

どの道を通るにせよ、いつから、どの範囲の記録を、何のために分析しているのかを書いた記録を残すことが後々効きます。担当者が変わったあとで、なぜこの点数が付いているのかを誰も説明できなくなるのが、この領域でいちばんよくある詰まり方です。

集めるときに本人へ伝えること

法第21条第1項は、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知するか公表しなければならないと定めています。さらに同条第2項は、契約書などの書面によって直接本人から取得する場合に、あらかじめ利用目的を明示することを求めています。資料請求の欄やセミナー申込の欄は、この直接取得にあたります。

つまり、入力欄のすぐそばに何と書いてあるかが、そのまま法的な明示になるということです。長い規約の奥に分析の記載を埋めておいて、入力欄には何も添えない作りは、明示したことになりにくい。実務では、欄の下に一行で用途を書き、詳細な文面へのリンクを添える形が扱いやすく、後から証跡も残せます。

  • 名刺交換・展示会の名簿・電話での聞き取りなど、取得の経路ごとに添えた文面が違うことが多い
  • 経路ごとの文面と、いつからその文面になったかを一覧にしておく
  • 文面を変えた日より前に取得した記録には、旧文面の範囲しかかからないと考えて扱う
  • 外部の名簿を買って足す場合は、その名簿がどの目的で集められたかを確かめてから混ぜる

経路ごとの文面がばらばらだと、どの記録にどこまでの説明が付いているのか分からなくなります。分析の対象範囲を決める作業は、結局この一覧を作る作業とほぼ同じです。台帳に「取得経路」と「取得日」の欄がない状態では、分析の範囲を正しく切れません

触れてはいけない領域を先に決める

法第2条第3項は、人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴など、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報を、要配慮個人情報と定めています。そして法第20条第2項は、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはならないと定めています。オプトアウトによる第三者提供も認められていません。

ここで実務が迷うのが推定の扱いです。個人情報保護委員会が公表しているガイドラインの質疑応答集は、購買履歴や購読している刊行物から信条を推知させるにとどまる情報について、その情報だけでは個人的な信条なのか単に情報の収集や教養を目的としたものなのか判断が困難である、という理由で、要配慮個人情報には当たらないという整理を示しています。推定にとどまる限り、要配慮個人情報を取得したことにはならないという考え方です。

ただし、当たらないことと、やってよいことは別です。健康や信条に近づく推定は、外れたときの不利益が大きく、当たったときも本人の反発を招きます。次のような設計は、法の条文に触れる前に、事業の側が持ちません。

  • 治療や通院に関わる資料の閲覧記録から、健康状態を推し量る欄を作る
  • 特定の団体の記事を読んだことをもって、思想や信条らしき分類に振り分ける
  • 氏名や地名から国籍や出身を推定し、案内の出し分けに使う
  • 推定した属性を、本人に見せられない名前の欄で保存する

そして、この領域に近づかないことは、注意書きではなく設計で担保できます。分析に渡す項目からあらかじめ外す。モデルに与えない。出力の分類名に置かない。禁止領域を運用ルールの文章で守ろうとすると、担当者が変わった時点で崩れます。

不適正な利用という歯止め

法第19条は、個人情報取扱事業者は、違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならないと定めています。通則編のガイドラインは、ここでいう違法または不当な行為を、法令違反の行為と、直ちに法令違反とはならないものの社会通念上適正とは認められない行為の両方を指すものとして説明しています。

格付けの文脈でこの条文が効いてくるのは、点数の使い道が本人の不利益に直結する場面です。分析そのものは利用目的の範囲に収まっていても、出てきた点数を根拠に一部の相手だけ不利な条件を出す、といった使い方をすると、今度は利用の方法の側が問われます。分析してよいかと、その結果をどう使ってよいかは、別々に判断する必要があります。

実務での置き換えは単純です。点数の使い道を書き出し、それぞれについて、本人に説明して角が立たないかを先に確かめる。営業の訪問順を決める、案内の頻度を変えるといった使い方は説明しやすい側です。断る理由にする、条件を変える根拠にするといった使い方は、説明が難しくなる側に入ります。説明しにくい使い道が1つでも混ざっていたら、その使い道だけを外すのが早い解決です。

本人から求められたときに何を出すか

法第33条は、本人が保有個人データの開示を請求できることを定めています。開示の方法は本人が指示することができ、電磁的記録の提供による方法も選べます。法第34条は訂正・追加・削除の請求を、法第35条は利用停止・消去・第三者提供の停止の請求を定めています。格付けをしている企業にとって、これは点数と、その材料として保存している記録が、請求の対象になり得ることを意味します。

何を出すのかは、3つに分けて考えると迷いません。保有している点数そのもの、点数の材料として保有している行動の記録、そして点数の出し方です。前の2つは保有個人データとして開示の対象になり得ます。最後の1つは本人に関する情報ではなく自社の処理の説明なので、開示請求とは性質が違います。ただし何も説明しないと苦情になりやすいため、どんな種類の情報を材料にしているかは、公表する文面の側に書いておくのが穏当です。

請求の範囲があいまいなときは、法第32条第2項が使えます。事業者は、対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を本人に求めることができ、同時に、本人が容易かつ的確に請求できるよう、特定に資する情報の提供その他本人の利便を考慮した適切な措置をとらなければならないとされています。絞ってくださいと頼めるが、絞りやすくする側の手当ても要る、という組み合わせです。なお開示は遅滞なく行う必要があり、この遅滞なくとは、理由のない滞りを生じさせることなく、という趣旨だと説明されています。検索や集約に手間がかかることは、遅らせてよい理由にはなりません。

STEP1
請求の対象を特定する

どの期間の、どの種類の情報かを確かめます。特定に必要な事項の提示を求めつつ、自社側からも項目の一覧を示して選んでもらうと早く進みます。

STEP2
台帳で保有の有無を確かめる

点数・材料になった記録・取得経路の3点を、同じ本人の単位で引けるかを確認します。ここで引けない設計だと、この工程で止まります。

STEP3
出す範囲と方法を決める

本人が指示した方法で出せるかを確認します。第三者の権利利益を害するおそれがある部分など、出さない部分があるなら理由を整理します。

STEP4
記録を残して回答する

いつ・誰が・どの範囲を出したかを残します。同じ本人から次の請求が来たときに、前回との差分で答えられるようにしておきます。

外の会社の識別子と突き合わせるとき

自社の記録だけで完結しているうちは、話は自社の利用目的の中に収まります。外の会社が持つ識別子と突き合わせて行動の範囲を広げようとすると、手続きが一段増えます。法第31条は個人関連情報の第三者提供について定めており、提供先が個人データとして取得することが想定されるときに、本人の同意が得られていることを確認するなどの対応を求めています。

分かれ目は、渡す側と受け取る側で、その情報が個人データになるかどうかが変わる点にあります。渡す側では誰のものか分からない識別子でも、受け取る側で自社の顧客と結び付くなら、その時点で個人データになります。手続きの要否は、渡す側の状態ではなく、受け取った側でどうなるかで決まる。ここを取り違えると、確認の工程ごと飛ばしてしまいます。

詳しい手順は別の記事に譲りますが、入口として確かめるのは3つです。誰から誰へ渡るのか。渡った先で個人データになるのか。その同意はどの文面で取れているのか。この3つが即答できないうちは、外部との突合を含む設計に進まないのが安全です。広告の配信先を広げる話と、分析の材料を増やす話は、社内では同じ会議で出てきますが、確かめる項目はまったく別だと考えてください。

生成AIに分析させるときに増える注意

点数の設計や、行動の記録の要約に生成AIを使う場面が増えました。個人情報保護委員会は令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しており、個人情報取扱事業者に向けて2点を挙げています。ひとつは、個人情報を含む指示文を入力する場合には、特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること

もうひとつは、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを含む指示文を入力し、その個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある、という指摘です。同じ資料は手当てまで書いています。そのような入力を行う場合には、サービスを提供する事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。実務では、使う設定と規約を確かめ、学習に使われない構成であることを記録に残すところまでを手順にします。

あわせて同じ資料は、応答結果に不正確な内容の個人情報が含まれるリスクがあると述べています。文章が確率的な相関関係に基づいて生成されるためです。生成AIが返した人物像は、それらしく見えても根拠のない記述が混じり得る。要約を点数の材料に混ぜるのであれば、元の記録に戻って確かめられる形にしておかないと、開示を求められたときに答えられなくなります。

AIに判断させない範囲を先に決める

ここまでの決まりを、道具の側の設計に落とします。出発点は、精度を上げる話ではなく、AIに何を決めさせないかを先に書き出すことです。この線を引いてから作ると、あとで法務の確認が入っても大きな作り直しになりません。

線の引き方は3つの問いで足ります。第一に、この出力は人の扱いをその場で変えるのか、人が見る材料に留まるのか。第二に、出力の根拠として、どの記録を参照したかを残せるのか。第三に、出力が間違っていたとき、誰がどうやって直すのか。第一が「その場で変える」で、第二が残せず、第三の道がないなら、その組み合わせは作らないと決めます。

  • 点数は営業の並び順を決める材料に使い、断る判断そのものには使わない
  • 点数に寄与した項目を、点数と同じ場所に一緒に保存する
  • 担当者が点数を上書きでき、上書きした理由を一行残せる欄を持つ
  • 生成AIの要約は下書き扱いにし、元の記録に戻れる参照を必ず付ける
  • 分析に渡さない項目の一覧を、モデルの手前の処理で機械的に落とす

この5つは、どれも高度な技術を要しません。にもかかわらず抜けやすいのは、作っている最中は精度の話に関心が集中するからです。設計の最初の会議で、この一覧を先に配ってしまうのが現実的な対策になります。

点数を人の扱いに直結させない

前の節の第一の問いを、もう少し詳しく見ます。点数で扱いを自動的に変える設計は、実装が楽な分、あとから止めにくくなります。厄介なのは、自動で変わる仕組みは、誰も意思決定をしていないように見えるため、説明を求められたときに答える人がいなくなる点です。

具体例で分けます。点数が高い順に営業へ配るという使い方は、順番が変わるだけで、低い相手の扱いが悪くなるわけではありません。一方、点数が一定を下回った相手には案内を送らない、資料を出さないという使い方は、本人から見れば明確な不利益です。同じ点数でも、使い道によって説明の重さがまったく変わります

扱いを変える前に置く2つの関門

ひとつめは、点数は候補を並べるところまでで止め、外す判断は人がすること。ふたつめは、外したときに理由を一行だけ残すこと。この2つがあるだけで、後から問い合わせが来たときに答えられる状態になります。逆に、この2つがない仕組みは、精度がどれだけ高くても運用の側で持ちません。

人を挟むと遅くなる、という反論はよく出ます。ただ、挟むのは全件ではなく、扱いが不利に変わる分岐のところだけです。上位から順に当たる部分は自動のままでかまいません。関門を置く場所を絞れば、速度と説明のどちらも捨てずに済みます。

誰が承認し、何を記録に残すか

設計が固まったら、運用の側を決めます。決めるのは3つ。誰が設計を承認するか、記録に何を残すか、いつ見直すか。ここを空けたまま走ると、担当者が変わった時点で誰も説明できなくなり、結局その仕組みを止めることになります。

承認は、マーケ部門だけで完結させないのが要点です。利用目的の文面は個人情報の担当や法務が持ち、点数の材料になる項目は情報システムが持ち、使い道は営業が持つ。3者のうち1つでも見ていない状態で本番に出すと、後から必ず手戻りが出ます。決裁の書式に「分析する項目」「使い道」「触れない領域」の3欄を足すだけでも、この確認は成立します。

残す記録主に持つ部署更新する場面
利用目的の文面と、公開した日個人情報の担当・法務文面を変えたとき
分析に渡す項目の一覧情報システム項目を足したとき・落としたとき
点数の使い道と、承認した人マーケ・営業使い道を増やしたとき
本人からの請求と、出した範囲問い合わせの窓口請求を受けたつど

表にすると当たり前に見えますが、実際にこの4つがそろっている会社は多くありません。とくに抜けるのが2行目です。項目は現場で静かに増えていくため、増やした事実がどこにも残らないのです。

見直しの周期と、やめる基準

最後に、続けるか止めるかの物差しです。この種の仕組みは、一度作ると惰性で回り続けます。やめる基準を、始めるときに一緒に決めておくのが、いちばん確実な歯止めになります。

見直しの引き金は2つ置きます。点数の材料が増えたときと、使い道が変わったとき。加えて、少なくとも年に1回、公開している利用目的の文面と、実際に走っている処理を突き合わせます。文面は何年も変えていないのに、材料になる項目だけが静かに増えている——これが、最も起きやすいずれ方です。

やめる基準は、次のどれかに当てはまったら、まず新しい記録への点数付けを止める、という形で書いておきます。本人からの問い合わせに、点数の材料を説明できなかった。触れないと決めた領域に近い項目が、いつのまにか入り込んでいた。点数と実際の結果の関係が説明できなくなった。止めてから原因を確かめる順序にしておくと、判断が遅れません

よくある質問

プロファイリングは日本では禁止されているのですか

名指しで禁じる条文はありません。ただし、利用目的の特定(法第17条)、目的の範囲を超えた取扱いの禁止(法第18条)、不適正な利用の禁止(法第19条)といった一般の規定が、そのままかかります。禁止されていないから自由、という整理にはなりません。

自社で計算した点数も、本人に開示しなければなりませんか

その点数を特定の個人と結び付いた形で保有しているなら、保有個人データとして開示(法第33条)の対象になり得ます。計算式そのものは本人に関する情報ではないので性質が違いますが、どんな種類の情報を材料にしているかは、公表する文面の側で説明しておくのが穏当です。

個人が特定できない行動データだけなら自由に分析してよいですか

自社の中で誰のものか分からない状態を保てているなら、扱いは軽くなります。ただし、他社の識別子と突き合わせて本人にたどり着ける状態にした時点で扱いが変わります。渡す側でどうかではなく、受け取った側でどうなるかを見る必要があります(法第31条)。

生成AIに顧客の記録を渡して人物像を作らせてよいですか

個人情報保護委員会の注意喚起は、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることの確認と、その個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われないこと、たとえば機械学習に利用されないことの確認を求めています。加えて、応答には不正確な内容が含まれ得るため、元の記録に戻って確かめられる形にしておく必要があります。

まとめ

行動の記録から人物像を推し量る処理は、禁じられてはいません。決まっているのは順序のほうです。集めるときに分析することと使い道を書き、範囲を超えないように使い、求められたら出せる形で持つ。この3点が満たせていれば、点数を付けること自体が問題になる場面はほとんどありません。逆に、文面が「ご案内のため」で止まったまま格付けだけが動いている状態は、精度がどれだけ高くても止める理由になります。まずは、公開しているプライバシーポリシーと、申込の欄に添えた一行を読み返すところから始めてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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