AI研修は内製か外部委託か|発注前に見る7項目

AI研修は内製か外部委託か|発注前に見る7項目

生成AIを活用する方針を定めている企業は、日本では約50%です。米国は84.8%、ドイツは76.4%、中国は92.8%と、開きがあります(総務省の令和7年版情報通信白書、2024年度調査)。方針が決まると次に出てくるのが研修の話で、「社内でやるべきか、外に頼むべきか」「3社から見積りを取ったが、何をどう比べればいいのか分からない」という2つの相談がほぼ必ず並びます。——迷いが消えないのは、比べる項目が揃っていないからです。AI研修の発注は、良い講師を探す作業ではありません。本当は受講後に何ができるようになっていればよいかを、発注する側が先に文章にする作業です。この記事では、内製と外部委託の分かれ目、外部に頼むときに見る7項目、費用の考え方、効果の確かめ方を整理します。


カメ先生カメ先生

AI研修を外に頼むかどうかは予算の話だと思われがちなんだけど、実際は社内に業務で使い込んだ人がいるかどうかで、ほとんど決まってしまうんだ。


カメ子カメ子

詳しい人が社内にいれば、内製できるということですか。


カメ先生カメ先生

詳しいだけだと足りなくてね。自分の担当業務で毎日使っていて、うまくいかない型まで知っている人。その人が1年で何時間出せるかまで見て決める。


カメ子カメ子

知っているかどうかだけでなく、時間を出せるかどうかも条件なんですね。


この記事のポイント
  • 分かれ目は費用ではない。業務で使い込んだ人が社内にいて、その人の時間を確保できるかで決まる
  • 外部に頼むときに見るのは7項目。講師の実務・自社の実物の持ち込み・教材の更新・持ち帰る成果物・人が確認する範囲・効果の測り方・契約条件
  • 効果は受講直後の満足度では測れない。30日後と90日後に、業務側の数字で見る

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目次

「内製か外部委託か」で止まるのは、比べる項目が揃っていないから

この相談が長引く会社には共通点があります。内製と外部委託を、費用の多い少ないで比べようとしていることです。外部の見積りには金額が書いてあり、内製には金額が書かれていないので、比べると必ず内製が安く見えます。そして半年後、教材が古いまま誰も更新できず、止まります。

そもそもこの問いは、二択の前に順番があります。先に決めるのは受講後の状態、つまり「研修が終わったとき、受講者が何をできるようになっていればよいか」です。ここが1行で書けていれば、内製でも外部でも判断がつきます。書けていないと、外部の提案書を読んでも、良し悪しではなく好き嫌いで選ぶことになります

受講後の状態は、抽象的に書かないでください。「生成AIを理解している」では判定できません。自分の担当業務のうち、指定した3つの作業を、決められた手順で生成AIを使って処理でき、出てきたものを人が確認する範囲を説明できる。この程度の粒度まで落として初めて、研修の中身と講師に求める条件が決まります。

この記事では、研修の中身をどう設計するかには踏み込みません。決めるのは発注側の判断材料、つまり内製か外部かをどこで分けるか、外部に頼むなら何を確かめるか、費用をどう見るか、効果をどう確かめるかの4つです。

受講者の出発点は、同じ社内でも大きく割れている

研修の形を決める前に、受ける側の実態を数字で押さえておきます。総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本の個人の生成AIサービス利用経験は2024年度で26.7%でした。前年度の9.1%から約3倍に増えていますが、米国68.8%、ドイツ59.2%、中国81.2%と比べると低い水準です。

重要なのは年代別の内訳です。同じ調査で、20代は44.7%、30代は23.8%、40代は29.6%、50代は19.9%、60代は15.5%。20代と60代でおよそ3倍の開きがあります。同じ会議室に座らせて同じ内容を話すと、片方には退屈で、もう片方には速すぎる、という状態が構造的に起きます。

企業側の方針も割れています。日本企業のうち、積極的に活用する方針が23.7%、領域を限定して利用する方針が26.0%で、合わせて約50%。一方で方針を明確に定めていないが31.8%、わからないが14.2%、利用を禁止しているが4.3%です。大企業に絞ると方針を定めている比率は約56%、中小企業では約34%になります。

この数字が発注の判断に効いてくるのは、受講者の層をひとつに揃えられない会社ほど、外部に頼む値打ちが上がるからです。層ごとに内容を変えるには、教材が複数本必要になります。1本を社内で作るのと、3本を作って回すのとでは、必要な工数がまるで違います。

分かれ目は費用ではない。使い込んだ人の時間が取れるか

内製が成立するかどうかは、知識の有無ではなく時間の確保で決まります。社内に生成AIに詳しい人がいる会社は珍しくありません。ただ、その人はたいてい別の本業を持っていて、研修のために年間で何十時間も出せるとは限りません。

必要な工数は、教える時間だけではありません。教材を作る時間、演習の題材を集める時間、受講者からの質問に答える時間、そして3か月ごとに内容を見直す時間です。生成AIの道具は仕様の変化が速いので、半年前の画面の説明がそのまま使えないことがあります。教える時間より、更新の時間のほうが読みにくく、そして止まりやすい部分です。

もうひとつの条件が人数です。担当が1人だと、その人が異動や休職で抜けた時点で研修が止まります。最低でも2人、教える役と教材を持つ役を分けて置くほうが続きます。1人に集めたほうが速いのは事実ですが、速さと続きやすさは別の話です。

費用が判断材料にならないと言い切るのは乱暴に聞こえるかもしれません。ただ、内製の費用は人件費として既に払われている分に紛れているだけで、消えているのではなく、見えないところで本業から引かれています。比べるなら、金額ではなく時間で比べてください。

内製が成り立つかを、4つの問いで判定する

判定の手順を決めておきます。順に答えて、2つ以上で詰まったら外部に頼む前提で進めるのが現実的です。所要は関係者2人から3人で1時間です。

STEP1
問い1:担当業務で毎日使っている人が、2人以上いるか

研修を受けたことがある人ではなく、自分の仕事で毎日使っている人です。うまくいかない型を知っているかどうかが、演習の質を決めます。人数を2人としているのは、抜けたときに止めないためです。

STEP2
問い2:その人が、年間で何時間を研修に出せるか

教える時間だけでなく、教材の作成、質問対応、更新を含めて見積もります。上長の承認を取って、業務の予定に入れられるかまで確認します。ここが口約束のままだと、まず確保されません

STEP3
問い3:教材を3か月ごとに見直す担当が決まっているか

作る担当と更新する担当は分けて置きます。作った人が更新まで持つと、本業が忙しくなった四半期に止まります。止まった教材は、半年で使いものにならなくなります。

STEP4
問い4:受講者の層ごとに、内容を変えられるか

既に使っている層と、触ったことがない層を同じ内容で扱うと、どちらにも刺さりません。層ごとに教材を用意できるかを、工数の側から確かめます。

4つとも通るなら、内製で問題ありません。1つでも詰まったところが、外部に頼むべき部分です。全部を外に出す必要はなく、教材だけ外から買う、講師だけ呼ぶ、更新だけ委託する、という切り方もできます。

外部に頼んでも、社内でしか用意できないものが3つある

発注しても外部が用意できないものがあります。ここを外部任せにすると、当日は盛り上がるのに翌週から誰も使わない、という結果になります。3つあります。

1つ目は演習に使う自社の実物です。実際の商談メール、実際の仕様書、実際の問い合わせ。これがないと、演習は一般的な題材になり、受講者は自分の業務に置き換える作業を持ち帰ることになります。持ち帰った作業は、たいてい行われません。

2つ目は使ってよい範囲の線引きです。どの情報を入力してよいか、どの成果物は人が確認してから出すか。これは社内の規程と業務の実態から決まるもので、外部の講師には決められません。線が引かれていない状態で研修をすると、受講者は「便利そうだが、うちで使っていいのか分からない」という状態のまま帰ります。

3つ目は受講後に使う場面の割り当てです。研修の翌週から、どの業務のどの工程で使うかを決めておく作業です。ここが空白だと、覚えた手順を試す機会が来ません。外部に頼めるのは教え方であって、使う場面を作ることではありません

この3つは、発注の前に社内で片づけておきます。逆に、これが揃っていれば、外部の研修は自社向けの内容に寄せやすくなり、提案の質も上がります。

発注前に見る7項目と、見積り依頼に入れる質問文

ここからが本題です。外部に頼むと決めた場合に、契約の前に確かめる項目を7つに絞りました。並べ方には理由があって、上の項目ほど後から変更できません。講師の実務経験は契約後に増やせませんが、契約条件は交渉できます。

項目何を見るか見積り依頼にそのまま入れる一文
1 講師の実務教える人自身が業務で使っているか講師ご自身が直近3か月に業務で使った具体例を、2件お書きください
2 自社の実物演習に自社の資料を持ち込めるか、守秘をどう扱うか演習に当社の実資料を使う場合の取り扱いと、持ち込みの可否をご記載ください
3 教材の更新更新の頻度と、更新分の費用の持ち方教材の更新頻度と、次回実施時に最新版が提供されるかをご記載ください
4 持ち帰る成果物受講後に手元に何が残るか受講者が当日持ち帰る成果物を、名称と分量でご記載ください
5 確認する範囲人が確認する範囲を扱うかAIに任せず人が確認する範囲を扱う時間を、何分確保するかご記載ください
6 効果の測り方測る方法を契約前に出せるか受講30日後と90日後に測る項目と、測定方法をご提案ください
7 契約条件最低催行・欠席・録画・権利最低催行人数、欠席者の扱い、録画の社内利用可否、教材の権利をご記載ください

この7つを見積り依頼に入れると、返ってくる提案の質が目に見えて変わります。質問に答えられない事業者が自然に外れるからです。金額だけで比べていたときは横並びに見えた3社が、この7項目では明確に差がつきます。

  • 提案書の見た目と実績社数だけで選ぶ。自社と同じ業種の実績があっても、講師が同じとは限らない
  • 金額の安い順に並べて上から検討する。教材の更新が別料金かどうかで、2年目の総額は逆転する
  • 受講者数だけを条件にして発注する。層を分けない一律の内容になり、両端の受講者に届かない
  • 効果の測り方を発注後に相談する。測る項目を後から決めると、受講前の状態が記録されていない
  • 録画の扱いを確認しないまま契約する。社内展開に使えず、欠席者のために再実施が必要になる

項目1 講師が自分の業務で使っているかを、実例で確かめる

最初の項目が、いちばん差が出ます。生成AIの研修は参入が容易で、資料を読み込めば教えることはできてしまいます。ただ、受講者が実際につまずくのは、教科書に載っていない部分です。指示を出しても意図どおりに返ってこない、出てきた文章が事実と違う、社内の言い回しに直すのに時間がかかる。

確かめ方は単純で、直近3か月に自分の業務で使った具体例を2件書いてもらうことです。良い回答には、うまくいかなかった過程が入っています。成功例だけが並ぶ回答は、実務ではなく事例集から書いています

もうひとつ見るのは、道具の版が古くないかです。半年前の画面や機能名で説明されている資料が混ざっていたら、更新が止まっている合図です。生成AIの道具は仕様の変化が速いので、教材の鮮度が、そのまま講師の実務量を映します

なお、講師が複数人いる場合は、当日担当する人の実例を求めてください。提案時に出てくる人と当日来る人が違うのは珍しくありません。誰が教えるかを契約書に書くところまでやると確実です。

項目2 演習に自社の実物を持ち込めるか、守秘をどう扱うか

演習の題材が自社のものかどうかで、翌週の使われ方が変わります。一般的な題材で練習すると、受講者は自分の業務に置き換える手間を持ち帰ることになり、その手間は多くの場合そこで止まります。

持ち込みには、守秘の整理が要ります。確認するのは3つです。資料を事前に渡すのか当日だけ画面に出すのか、講師側の端末に残るのか、研修後に破棄する手順があるのか。ここが曖昧なまま実資料を使うと、後から情報管理の側で問題になります。

実資料を出せない場合の代替も聞いておきます。数字と固有名詞だけを差し替えた自社形式の題材を作れるか、という質問です。形式が自社のものであれば、内容が架空でも実務への距離はかなり縮みます。完全な実物か一般的な題材かの二択にせず、形式だけ自社に合わせる選択肢を持っておくと、守秘と実効性の両方が立ちます。

持ち込みを前提にすると、発注側の準備も増えます。誰がどの資料を選ぶか、事前にどこまで伏せるか。この準備を研修の1週間前に始めると間に合いません。発注の時点で担当と期限を決めておきます。

項目3 教材の更新の頻度と、更新分の費用の持ち方

2年目に効いてくるのがこの項目です。生成AIの道具は仕様が変わるので、教材は放っておくと古くなります。確かめるのは頻度と費用の2点で、次に実施するときに最新版が提供されるのか、それとも改訂版として別料金になるのかを明記してもらいます。

金額の比較が逆転しやすいのがここです。初回の見積りが安い事業者が、更新を都度の追加費用にしている場合、2回目と3回目を含めた総額では高くなることがあります。比べるのは1回分ではなく、2年で何回実施するかを置いた総額にしてください。

更新の中身も聞きます。画面の写しを差し替えるだけなのか、演習の題材や確認の観点まで見直すのか。前者だけの更新だと、見た目は新しくなっても、教えている考え方は据え置きのままになります。

内製と併用する場合は、教材の権利がどうなるかも項目7と合わせて確認します。社内で改変してよいのか、そのまま使うことしか認められないのか。改変が認められていないと、自社の業務に寄せた版を作れません

項目4 受講後に、手元に何が残るか

研修の翌週に使われるかどうかは、持ち帰るものが物として存在するかで大きく変わります。確認するのは、受講者が当日持ち帰る成果物の名称と分量です。「資料一式」では判定できません。

使われるものは、だいたい共通しています。自分の業務で使う指示文の型が数本、出てきたものを確認するときの観点の一覧、そして今週試す作業を書いた1枚。逆に、講義資料の写しだけが残る研修は、翌週に開かれません。

成果物は、受講者が当日に自分で作る形にしてもらうのが確実です。配られた型は自分の業務に合わないことが多く、作る過程で自分の業務に当てはめる作業が終わっていることに意味があります。演習の時間配分がここに効いてきます。

持ち帰ったものを、翌週どこに置くかも決めておきます。個人の手元だけに残ると共有されません。部署の共有の場所に集める、月に1回だけ見直す。置き場所と見直しの日を決めるところまでが、発注側の仕事です。

項目5 人が確認する範囲を、研修の中で扱うか

この項目を入れる理由は、AIを万能に教える研修が実在するからです。できることを並べて終わる内容は当日の満足度が高くなりますが、受講者はどこから先を人が確認すべきかを知らないまま業務に戻ります

扱ってほしいのは3点です。生成されたものが事実と違いうること、根拠を書かせる指示の出し方、そして人が確認する範囲を業務ごとにどう決めるか。この時間を何分取るかを、見積り依頼で数字として答えてもらいます。0分と答える事業者は、その時点で判断がつきます。

扱い方にも幅があります。注意事項として口頭で触れるだけの形と、演習の中で誤りを含む出力を実際に見せて、どこを人が見るかを手を動かして決める形。後者のほうが定着しますが、時間を使います。半日の研修なら30分程度をここに割いても、業務に戻ってからの事故が減るぶん割に合います

なお、線引きそのものは社内で決めるものです(前の章の3つ目)。研修に求めるのは、線を引く考え方と、線の内側で作業する手順を教えることです。研修で線を引いてもらおうとすると、自社の実態に合わない一般的な線が残ります。

項目6 効果の測り方を、契約前に出してもらえるか

測り方を後から相談すると、必ず遅れます。受講前の状態が記録されていないので、比べる相手がいなくなるからです。受講30日後と90日後に測る項目と、その測り方を、契約前に提案として出してもらいます

良い提案には、業務側の数字が入っています。対象業務にかかっている時間、作り直しの回数、人が確認して差し戻した件数。逆に、受講直後のアンケートの満足度と理解度だけを出してくる提案は、測っているのは研修の出来であって、業務が変わったかどうかではありません

測る対象の業務は、発注側が指定します。ここを事業者任せにすると、測りやすい業務が選ばれます。研修の前に、対象業務の現状の数字を1回取っておくところまでが発注側の準備です。取っていないと、後からどれだけ精緻に測っても比較になりません。

測定の負荷も確認します。受講者に毎週記録を付けさせる方式は、3週目で止まります。既に業務で取っている数字から拾える形か、月に1回15分で終わる形かを見てください。

項目7 最低催行・欠席・録画・権利の4つを、契約の前に決める

最後は契約条件です。ここは交渉できる部分なので、優先度としては下に置きますが、決めずに進めると後で必ず揉めます。確認するのは4つです。

1つ目は最低催行人数。集まらなかった場合に中止なのか、少人数でも実施するのか、金額が変わるのか。2つ目は欠席者の扱いで、次回に振り替えられるか、録画で代替するか、追加費用が出るか。大きな組織ほど当日の欠席は出ます。

3つ目は録画の社内利用です。撮ってよいか、社内のどこまで配ってよいか、いつまで残してよいか。ここが確認されていないと、欠席者のために再実施が必要になり、その分の費用がかかります。4つ目は教材の権利で、改変してよいか、次年度に社内で使ってよいか。

この4つは、金額そのものより総額への影響が大きい項目です。2回目の実施が必要になるかどうかで、年間の費用は簡単に1.5倍になります。見積りの単価を1割削る交渉より、ここを詰めるほうが効きます。

費用は受講料だけでは決まらない

費用の考え方を整理します。外部委託の費用は見積りに書いてありますが、比べるべきなのは2年間の総額です。初回の実施費、2回目以降の実施費、教材の更新費、欠席者への対応費、そして効果測定にかかる社内工数。この5つを並べると、単価の順位はしばしば入れ替わります。

内製の費用は見積りに現れません。現れないだけで消えてはいないので、時間で見積もります。教材の作成、講師役の準備と実施、質問対応、3か月ごとの更新。これを担当者の時間単価で置き換えると、1本の教材を1年間まわす費用の輪郭が見えます。ここを出さずに比べると、内製は必ず安く見えます。

公的な支援を使う選択肢もあります。厚生労働省の人材開発支援助成金には、事業展開などに伴って新たな分野で必要になる知識と技能を習得させる訓練を対象にしたコースがあります。ただし注意点があって、訓練計画の届出が支給申請の前提になっているため、発注してから申請しようとすると間に合いません。使うかどうかは、事業者を選ぶ段階で決めておく必要があります。

助成の要件と金額は年度ごとに見直されます。詳細は実施年度の要領で確認してください。ここで押さえておきたいのは金額ではなく、手続きの順番が発注の日程を縛るという事実のほうです。

  • 外部の見積りは1回分ではなく、2年間に何回実施するかを置いた総額で比べる
  • 内製の費用は人件費に紛れて見えないだけ。時間で見積もると比較できる
  • 助成の活用を検討するなら、訓練計画の届出の時期を発注の日程に先に組み込む
  • 効果測定にかかる社内工数も費用に含める。測らない前提の見積りは安く見えるだけ

効果は、受講直後・30日後・90日後で見るものが変わる

最後に効果の確かめ方です。時点によって、見えるものと見えないものが違います。ここを混ぜると「満足度は高いのに業務が変わらない」という報告になります。

受講直後に見えるのは、研修そのものの出来です。分かりやすかったか、演習の時間は足りたか、持ち帰る成果物が作れたか。この時点で業務への効果を聞いても、答えは受講者の期待値でしかありません。次回の内容を直すための材料として使います。

30日後に見るのは、行動が変わったかです。対象に指定した業務で、実際に使ったか、何回使ったか、途中でやめたならどこで止まったか。ここで止まる理由の多くは、能力ではなく使ってよい範囲が分からない、使う場面が業務の中で決まっていないのどちらかです。研修の質の問題ではないので、研修をやり直しても解決しません。

90日後に見るのが業務側の数字です。対象業務にかかる時間、作り直しの回数、差し戻しの件数。ここまで来て初めて、投じた費用に見合ったかを議論できます。受講者数と満足度を成果として報告し続けると、2年目の予算の根拠が作れなくなります

測るときの原則を1つだけ。受講前の数字を取ってから研修を実施する。当たり前に見えて、実際にはほとんど守られていません。受講後に「以前より速くなった気がする」を集めても、根拠にはなりません。

よくある質問

全社員に一律で受けさせるべきですか

一律にすると、両端の受講者に届きません。国の調査でも、生成AIの利用経験は20代44.7%に対して60代15.5%と3倍近い開きがあります。同じ内容を同じ速度で話すと、片方には退屈で、片方には速すぎる状態が構造的に起こります。最低でも、既に使っている層とほとんど触っていない層の2つに分けてください。分けられない場合は、外部に頼む値打ちが上がります。層ごとに教材を用意する工数が、内製では確保しにくいからです。

内製と外部委託を混ぜる形はありますか

あります。よくあるのは、最初の1回を外部に頼み、2回目以降を社内で回す形です。ただし条件があって、教材を改変してよい契約になっていること、そして更新の担当が社内で決まっていることの2つです。この2つが欠けたまま切り替えると、古い教材を配り続ける状態になります。逆に、教材だけを外から買って講師は社内、という切り方もできます。内製の判定で詰まった項目だけを外に出すのが基本の考え方です。

外部に頼めば、社内に知見は残りませんか

残るかどうかは契約と準備で決まります。教材を改変してよい条件になっているか、演習に自社の実物を使ったか、講師と一緒に社内の担当が立ち会ったか。この3つが揃っていれば、2回目からは社内の比重を上げられます。逆に、当日に外部の講師が話して終わる形にすると、残るのは受講者の記憶だけです。知見を残したいなら、発注の時点でその条件を書き込んでおく必要があります。

研修をやったのに使われません。もう一度やるべきですか

やり直す前に、止まっている場所を確かめてください。30日後の確認で多いのは、使ってよい範囲が分からない、使う場面が業務の工程に入っていない、の2つです。どちらも研修の質の問題ではないので、同じ研修をもう一度やっても変わりません。先に社内で線を引き、業務の手順書に使う場面を1行入れる。そのうえで、残った部分だけを追加の研修で扱うほうが、費用も時間も少なく済みます。

まとめ

AI研修を内製にするか外部に頼むかは、費用では決まりません。決めるのは、業務で使い込んだ人が社内に2人以上いて、その人の時間を年間で確保でき、教材を3か月ごとに更新でき、受講者の層ごとに内容を変えられるかの4点です。1つでも詰まったところが、外に出すべき部分になります。

外部に頼むと決めたら、7項目を見積り依頼にそのまま入れます。講師自身の直近の実務例、自社の実資料を演習に持ち込めるかと守秘の扱い、教材の更新頻度と費用の持ち方、当日持ち帰る成果物の名称と分量、人が確認する範囲に割く時間、受講30日後と90日後の測り方、そして最低催行と欠席と録画と権利の契約条件。金額だけを並べていたときは横並びに見えた提案が、この7項目では明確に差がつきます。

発注しても外部が用意できないものが3つある、という点も忘れないでください。演習に使う自社の実物、使ってよい範囲の線引き、そして受講後に使う場面の割り当てです。これが空白のまま研修を実施すると、当日の満足度は高くても翌週から誰も使いません。

効果は時点で分けて見ます。受講直後は研修そのものの出来、30日後は行動が変わったか、90日後に業務側の数字。受講前の数字を取ってから実施する、という手順を守るだけで、2年目の予算の根拠が作れるようになります。生成AIを活用する方針を定めた企業が日本で約50%まで来ているいま、差がつくのは方針の有無ではなく、決めた後に何をどう発注したかのほうです。研修は買って終わる商品ではなく、社内で使う場面を用意して初めて成果になる投資だと考えてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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