ナレッジグラフがAIの精度を変える理由|関係で持つという設計

ナレッジグラフがAIの精度を変える理由|関係で持つという設計

「社内の資料は全部読み込ませたのに、答えが的を外す」「情報を足すほど、かえって精度が落ちる気がする」——AIを社内の情報につないだ会社から、決まって出てくる相談です。対処として選ばれるのは、たいてい資料の追加と指示文の書き直しです。ところが、この2つでは直らない種類の外れ方があります。これは情報の量が足りないという問題ではありません。本当は、情報を文章のまとまりとして持っているために、複数の情報をまたいで辿る問いに答えられないという問題です。この記事では、社内の情報を対象と関係の形で持ち直す設計、いわゆるナレッジグラフを、答えられない問いの見分け方から作る工程、向かない場合までを整理します。


カメ先生カメ先生

AIの精度は渡す情報の量で決まると思われがちなんだけど、本当は情報の持ち方で決まる部分が大きいんだ。


カメ子カメ子

同じ情報でも、持ち方を変えると答えが変わるということですか。


カメ先生カメ先生

変わるよ。保険の業務を題材にした検証では、業務のデータベースにそのまま問うと正解は16%だった。同じ中身を対象と関係の形に組み直して問うと54%になった。


カメ子カメ子

3倍以上ですね。組み直すと、何ができるようになるのでしょうか。


この記事のポイント
  • 精度を左右するのは情報の量ではなく持ち方。同じ中身でも、関係の形にすると答えられる問いが増える
  • 文章のまとまりでは答えられない問いは5つ。またいで辿る、数える、無いことを確かめる、最新版を判定する、範囲で絞る
  • 全社から作ると必ず途中で止まる。1つの業務に絞り、名前をそろえる工程に時間を配る

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目次

「資料は全部入れたのに、答えが的を外す」

相談の内容を、ひとつの場面に整理してみます。BtoB向けの機器を扱う会社で、製品資料、価格表、過去の提案書、問い合わせの記録をまとめてAIに読ませました。単純な問いにはよく答えます。「この製品の保証期間は」「この機能はどの版から使えるか」。ところが業務で本当に聞きたい問いになると外します。「この顧客が使っている構成で、来年の保守終了に当たる部品はどれか」のような問いです。

担当者はまず情報を足します。資料を追加し、指示文を書き直し、読み込ませる範囲を広げます。それでも同じ問いは外れ続けます。ここで気付きたいのは、足りていないのは情報ではないということです。答えるために必要な事実は、すでに全部読み込まれています。

外れる理由は、問いの形にあります。この問いに答えるには、顧客から導入した構成へ、構成から含まれる部品へ、部品から保守終了日へ、と順に辿る必要があります。4回です。文章のまとまりとして持っている情報では、この辿りができません。関係をまたいで辿る問いは、文章を何本読ませても答えが出てきません。読ませる量を増やすと、手前の1段だけを答えて残りを飛ばす形の外れ方が増えます。

同じ中身でも、持ち方を変えると正解率が変わった

持ち方が精度に効くことは、比較の形で確かめられています。2023年11月に公表された検証では、保険分野の業務データ構造を題材に、報告から指標までを求める企業らしい問いを用意しました。当時の主要なモデルに、業務のデータベースへ直接問わせた場合の正解は16%でした。

同じ中身を、対象と関係の形に組み直してから問わせると、正解は54%まで上がりました。3倍を超える差です。増やしたのは情報ではなく、情報と情報の間の関係の記述だけです。持ち方を変えるだけで、答えられる問いの範囲が変わります。この検証は、その後に国際会議の場でも報告されています。

補足として、2026年に公表された別の比較では、業務の意味づけを整えた層を通した問い合わせの正解が98.2%、生のデータベースへ文章から組み立てて問う形では90%と報告されています。題材によって数字の高低は動きますが、向きは一致しています。効くのは読み込ませた情報の量ではなく、意味づけの作り込みのほうだということです。

ナレッジグラフとは、対象と関係で持つこと

ナレッジグラフとは、情報を「対象」と「その間の関係」の形で持つ持ち方です。知識グラフとも呼ばれ、どちらも同じものを指します。対象は、人、製品、顧客、部門、用語、案件のように名前で指せるものです。関係は対象どうしのつながりで、「この製品はこの部品を含む」「この顧客はこの製品を導入している」のように書きます。

記述の単位は3つ組です。何が、どういう関係で、何とつながっているか。この3つで1本になります。文章のまとまりで持つ場合と並べてみると、違いがはっきりします。

同じ情報文章のまとまりとして持つ対象と関係として持つ
顧客の導入状況提案書と議事録の文中に書かれている顧客と製品を「導入している」でつなぐ
製品の構成仕様書の表に並んでいる製品と部品を「含む」でつなぐ
用語の言い換え用語集の1行として並んでいる用語と用語を「同じものを指す」でつなぐ
担当の割り当て議事録の出席者欄に名前がある人と案件を「担当している」でつなぐ
版の新旧資料の表紙に日付が入っている資料と資料を「置き換えた」でつなぐ

表を見ると、右側は左側に無かった事実を足していないと分かります。同じ内容です。違うのは読み取る側が辿れる形になっているかだけです。文章のままでも人は読めば辿れますが、それは人が頭の中で関係を組み立てているからです。関係を先に書き出しておけば、その組み立てを毎回やらせる必要がなくなります。

文章のまま渡すと答えられない5つの問い

どんな問いが答えられないのかを先に押さえておくと、作るかどうかの判断がしやすくなります。実務では5つに絞れます。

問いの種類問いの例文章のままだとどうなるか
またいで辿るこの顧客の構成で、来年の保守終了に当たる部品はどれか手前の1段だけ答えて、残りを飛ばす
数えるこの機能を使っている顧客は何社か見つけた文章の中に現れた数だけを答える
無いことを確かめるこの製品が対応していない環境はどれか書かれていない条件を、無いものとして言い切る
最新版を判定するいま有効な価格表はどれか古い版と新しい版の内容を混ぜて答える
範囲で絞るこの業種の顧客だけで、更新が近い案件はどれか業種の絞り込みが途中で抜け落ちる

2つ目の「数える」は見落とされがちです。件数を尋ねると、読み込んだ文章の中に現れた数を答えます。全体を数え上げているわけではありません。関係の形で持っていれば、つながっている先を数えるだけなので、件数がそのまま出ます。4つ目の「最新版を判定する」も同じで、資料と資料を「置き換えた」でつないでおけば、たどり着く先は必ず1つになります。

3つ目の「無いことを確かめる」は、実務での影響がとくに大きい種類です。書かれていないことは、存在しないことと同じではありません。文章のまとまりからは、この2つを区別できません。対象と関係を一覧として持っていれば、一覧に無いことを根拠に「無い」と答えられます。逆に言えば、この5つが業務に出てこないなら、関係の形に組み直す必要はありません。ここが投資判断の分かれ目です。

実例:問い合わせ票を関係で持ち直した結果

効果が測られた例があります。大手の企業向け情報サービスの利用者対応の部門で、過去の問い合わせ票を材料にした支援の仕組みを作りました。最初は票を平文のまとまりとして扱っていました。ところがこの扱いでは、票の中の構造と、票どうしの関係の両方が失われます。

票の中には、症状、原因、対処、影響範囲といった役割の違う情報が並んでいます。票どうしにも、同じ原因から起きた別の案件、前の案件の続き、といった関係があります。そこで、1件の票を項目ごとに分け、票どうしを関係でつなぐ形に組み直しました。問いが来たら、対応する部分だけを取り出して答えます。担当を2群に無作為に分けて約6か月運用したところ、1件あたりの解決までの時間の中央値が28.6%短くなりました。2024年の国際会議で報告されています。

この例で参考になるのは、材料を増やしていない点です。使ったのは以前から蓄積されていた同じ票で、変えたのは持ち方だけでした。加えて、票という単位が業務の中で最初から決まっていたことも効いています。対象の切り方が既に決まっている情報は、関係の形に組み直しやすいのです。自社で手を付ける範囲を選ぶときの目印になります。

同じ事例では、もう1つの数字も報告されています。問いに関係する部分を取り出す精度の指標で、票を平文のまとまりとして扱う従来のやり方に比べて77.6%改善したとされています。解決までの時間が短くなったのは、答えの文章がうまくなったからではなく、その手前で選び出す材料が正しくなった結果です。ここは投資の説明のときに効きます。関係の形で持つことは、答えを作る工程ではなく、材料を選ぶ工程に効く打ち手だと言えます。

先に決めること1:何を対象にするか

ここから作る側の話に入ります。最初に決めるのは、何を対象として立てるかです。ここを外すと後の工程が全部やり直しになります。判断が必要になるのは、対象として立てるか、属性として持たせるかの線引きです。

例を出します。「担当者」を対象として立てれば、人と案件を「担当している」でつなげます。すると「この人が担当した案件」と「この案件を担当した人」の両方から辿れます。属性として案件の中に文字で持たせると、辿れるのは案件からの一方向だけになります。逆に、色や重量のように、それ自体から逆に辿る用途がないものは属性で足ります。

判断の基準は1つです。その項目から逆に辿る問いが、業務に出てくるかどうか。出てくるなら対象、出てこないなら属性です。この線引きは、業務を知っている人でないと決められません。技術の担当だけで決めると、動くけれど使えない形が出来上がります。実務では、業務の担当と一緒に、対象の候補を10個ほど並べて仕分ける会を1時間持つのが早いです。仕分けの結果は、理由まで文章で残します。

先に決めること2:名前をそろえる

次が名前の統一です。工程としては地味ですが、ここが最大の詰まり所だと繰り返し報告されています。実務者からは、もっとも骨が折れて、もっとも人手が足りなくなる工程だと言われる部分です。作業そのものは単純なのに、判断に業務の知識が要るため、道具では片付きません。

何が起きるかというと、同じものが別の名前で入ってきます。会社名の表記の揺れ、製品名に版が付くか付かないか、部署名の略、人名の姓だけの表記。これらを同じ対象として1つに寄せる作業が必要になります。寄せる規則は業務ごとに違うので、汎用の道具では決められません。進めるときの注意を並べます。

  • 寄せる前に、寄せた記録を残す。後から別物だったと分かったときに戻せる
  • 自動で寄せてよいのは表記の揺れだけ。別の会社か同じ会社かの判断は人がやる
  • 同じ名前で別の対象がある場合を先に洗う。同姓の担当者、同名の製品
  • 外部から入ってくる名前は、社内の呼び方に寄せる列を1つ持たせる
  • 寄せ方の規則を文章で残す。担当が変わると、そこから崩れる

実務での進め方は、完璧を目指さないことです。件数の多い上位から寄せ、残りは別名の一覧として持つ。上位2割を寄せるだけで、辿れる問いの大半が通るようになります。残った表記は、見つけたときに一覧へ足す運用にします。最初から全部そろえようとすると、この工程で止まって公開に至りません

先に決めること3:関係の種類を絞る

3つ目は関係の種類です。関係はいくらでも作れます。「含む」「導入している」「担当している」「置き換えた」「同じものを指す」「必要とする」「対応していない」。作れるだけ作ると、同じ意味の関係が2つできて、どちらを辿ればよいか決まらなくなります。

目安として、1つの業務なら10種類から15種類で足ります。新しく増やす前に、既にある種類で書けないかを必ず確かめます。判断の手順は3つです。

  1. 逆向きの言い方を1つに決める:「含む」と「含まれる」を両方作らない。向きは片方だけ持ち、逆から辿るのは読む側の処理にする
  2. 似た関係を統合する:「使っている」「導入している」「契約している」は、業務で区別が要るときだけ分ける
  3. 時間で変わる関係に日付を付ける:担当や契約は入れ替わる。関係そのものに開始と終了を持たせておく

3つ目は後から足すのが難しい項目です。日付のない関係は、3年前の担当者がいまの担当として残り続けます。絞り込みの効果は、使い始めてから出ます。種類が少ないほど、問いを関係の並びに置き換えるのが簡単になります。関係の種類を増やすことは、答えられる問いを増やすことと同じではありません。むしろ辿る道が枝分かれして、答えが安定しなくなります。

作る工程と期間の目安

工程は5つに整理できます。1つの業務に絞った場合の期間の目安を添えます。全社を対象にすると、この何倍にもなります。

STEP1
範囲を決める(1週から2週)

どの業務のどの問いに答えるかを1つ決め、材料の在りかを一覧にします。ここで欲張ると、あとの工程が全部伸びます。答えたい問いを文章で書き出せない業務は、この段階で外します。

STEP2
対象と関係の設計を書く(2週から4週)

対象の種類、関係の種類、用語の呼び方を、文章と図で決めます。業務の担当が入っていない設計は、この段階で必ず作り直しになります。決めた理由も一緒に残します。

STEP3
対象と関係を取り出す(1週から3週)

資料や記録から対象と関係を抜き出します。この工程はいまの生成AIで大きく短縮できる部分です。ただし出てきたものは、確定ではなく候補として扱います。

STEP4
名前を寄せる(2週から4週)

同じものを1つに寄せます。件数の多い順に手を付け、寄せた記録を残します。時間の配分を誤る例がもっとも多い工程で、ここを削ると後で全部戻ってきます。

STEP5
確かめて使い始める(1週から2週)

設計どおりの形になっているかを機械で点検し、そのうえで人が抜き取りで中身を見ます。ここを通っていない関係は本番に入れません。

合計すると、1つの業務で6週から12週が目安です。この期間を短くする確実な手は、範囲を狭めることだけです。工程を飛ばして短くすると、後の工程で戻ってきます。とくに4番目を飛ばすと、辿れない対象が散らばった状態になります。

期間の配分も見ておく価値があります。抜き出す工程が1週から3週で、名前を寄せる工程が2週から4週です。いちばん時間がかかるのは、抜き出す作業ではなく、そろえる作業です。ここが「道具を入れれば済む」という見立てが外れる理由になります。見積りを取るときは、名前を寄せる工程に何人日を置いているかを必ず確かめます。

どこまで自動で作れて、どこから人が決めるか

抜き出す工程は自動化が進みました。資料を渡して対象と関係の候補を出させる作業は、いまの生成AIで安く済みます。専門の分野に絞った報告では、対象の抜き出しの正しさが0.94前後に達したものもあります。ここは任せてよい部分です。

  • 文章から対象と関係の候補を挙げさせる:出てきたものは候補として扱う
  • 表記の揺れの候補を並べさせる:同一かどうかの判定は人がやる
  • 設計に無い関係が出てきたら印を付けさせる:設計を見直す材料になる
  • 件数の多い対象から順に並べさせる:手を付ける順番がそのまま決まる
  • つながっていない対象を挙げさせる:関係の抜けを洗い出せる

一方で、関係を推測させると、事実でない線が混ざります。実際によく混ざる誤りを並べます。どれも、出来上がった形を見ただけでは正しそうに見えるのが厄介な点です。

  • 同じ文書に出てきただけの2つをつなぐ:同じページに載っていることは、関係があることではない
  • 似た名前を同じ対象にまとめる:版の違う製品や、同名の別会社が1つになる
  • 時期の違う事実を現在の関係として書く:3年前の担当者が、いまの担当として残る
  • 推測した関係を、確定した関係と同じ形で書く:後から根拠を確かめられなくなる
  • 否定を落とす:「対応していない」が「対応している」として入る
  • 一般論を自社の事実として書く:世の中の相場が、自社の実績として混ざる

対策は3つに絞れます。1つ目は、AIが出したものを候補の欄に入れ、人が確認した分だけを本番の欄へ移すことです。2つ目は、出どころを必ず持たせることです。どの資料の何ページから作った関係かを残します。3つ目が、確認する範囲を先に決めることです。全件見るのは続かないので、件数の多い上位の対象は全件、それ以外は抜き取りという線を引きます。否定の関係だけは件数に関わらず全件見る、という決め方も有効です。

小さく始める範囲の決め方

失敗の型は、ほぼ1つに集約されます。全社の情報を対象に、設計から始めることです。この進め方では、データを入れる前に設計が終わらず、そのまま放置されます。先に業務を1つ選び、その業務の問いから設計するのが、繰り返し推奨されている直し方です。

最初の範囲は、次の条件で選ぶと外れません。5つとも当てはまる業務が社内にあるはずです。

  • 問いが具体的に書ける業務:答えたい問いを10個、文章で書き出せるか
  • 対象の単位が既に決まっている情報:案件、製品、票のように業務で単位が固まっている
  • 用語の一覧がすでにある:用語集や型番の一覧が、形はどうあれ存在する
  • 更新の頻度が月単位以下:日々書き換わる情報は、後の段階に回す
  • 読む人が決まっている:使う部門が1つに決まっていると、設計の判断が速い

具体的には、1つの業務の用語と製品から始めるのが最も軽いです。用語と用語を「同じものを指す」でつなぎ、製品と部品を「含む」でつなぐ。この2種類だけでも、社内の呼び方の違いで答えが外れる問題は、かなりの部分が消えます。そこから顧客と案件へ広げます。

広げる判断には条件を付けます。前の範囲で問いが通るようになってから次へ進むことです。通っていない状態で範囲を足すと、原因が2つ以上重なって切り分けられなくなります。範囲を足すときは、対象の種類を1つずつ増やします。関係の種類と対象の種類を同時に増やすと、設計の見直しが追いつきません。

向かないのは、この3つ

関係の形に組み直すのが向かない情報もあります。無理に作ると、かけた労力に見合いません。実務で判断が必要になるのは3つです。

1つ目は、関係が定まらない情報です。読み物や意見のように、対象どうしのつながりが人によって変わるものは、線を引いた時点で誰かの解釈になります。2つ目は、更新が速すぎる情報です。1日に何度も書き換わる在庫や価格は、関係を作るより元の記録に問い合わせるほうが速く、正確です。関係の形で持つなら、更新の仕組みまで一緒に作ることになり、費用の性質が変わります。

3つ目は、辿る問いが出てこない場合です。1段で答えが出る問いばかりなら、文章のまとまりを渡す形で十分です。元が取れるのは、複数の情報をまたいで辿る問いがあるか、同じ形を複数の用途で使い回す場合に限られます。この見極めを飛ばして作ると、出来上がった後で使う人がいない状態になります。判断の順序は決まっていて、問いの一覧を書く、辿る段数を数える、2段以上のものが半分を超えたら着手するです。

精度が上がったかを、どう測るか

作る前に測り方を決めます。ここを決めていないと、作った後に「良くなった気がする」で終わります。測り方そのものは簡単で、答えたい問いを先に一覧にしておくだけです。

着手前に用意する、測るための材料
  • 問いの一覧:業務で実際に聞かれる問いを20問。うち半分は2段以上辿るもの
  • 正解:各問いの答えを人が確定させ、根拠になる資料の場所も書いておく
  • いまの成績:組み直す前の状態で何問通るかを測る。ここを測り忘れる例が多い
  • 辿れたかの記録:合っているかだけでなく、どの関係を通って答えたかを残す
  • 答えられなかった理由:対象が無い、関係が無い、名前が寄っていないのどれかに分類する

この一覧があると、上がった下がったの議論が止まります。20問のうち何問通ったかで比べれば、判断は数分で済みます。加えて、答えられなかった理由を3つに分類しておくと、次に手を付ける工程がそのまま決まります。対象が無いなら抜き出しの範囲、関係が無いなら設計、名前が寄っていないなら統一の工程です。

測る頻度は、月に一度で足ります。範囲を広げたときと、材料を足したときは必ず測り直します。同じ20問を使い続けるのが要点です。問いを入れ替えると、前と比べられなくなります。問いが古くなったら、20問のうち5問だけを入れ替え、残りは据え置きます。この作法にしておくと、半年後にも同じ物差しで説明できます。

よくある質問

ナレッジグラフと知識グラフは違うものですか

同じものです。日本語で書くか外来語のまま書くかの違いで、指している中身は変わりません。社内の資料でどちらかにそろえておくと、検索したときの取りこぼしが減ります。関連する言葉として、対象の種類や関係の種類をあらかじめ定めた設計そのものを別の名前で呼ぶ場合もありますが、実務では「対象」「関係」「設計」の3語で説明が通ります。

用語集や台帳があれば、それで十分ではないですか

一覧は1段だけを持つ形なので、辿る問いには答えられません。ただし出発点としては有効です。用語集は「同じものを指す」の関係に、製品の台帳は「含む」の関係に、ほぼそのまま置き換えられます。すでに一覧がある会社は、設計の工程を短くできます。まず手元の一覧が何と何の関係を表しているかを書き出してみてください。

作った後の運用は誰が持つのですか

2つに分けます。対象と関係が業務の実態に合っているかは業務の担当が持ち、仕組みの維持は情報システムの担当が持ちます。加えて、名前の寄せ方の規則については持ち主を1人決めます。ここが決まっていないと、担当が変わった時点で表記が分かれ始めます。四半期に一度、寄せられていない表記の件数を見るところまで決めておくと崩れません。

途中で設計を変えられますか

関係の種類を足すのは比較的簡単です。既にある関係を消さずに追加できます。一方で、属性として持っていたものを対象に格上げする変更は、作り直しに近い作業になります。だからこそ、最初に対象の線引きを決める会に時間を使う価値があります。迷ったら対象として立てるほうが、後の変更は軽く済みます

作らずに済ませる方法はありますか

あります。業務の問いが1段で答えられるものばかりなら、文章のまとまりを渡す形で十分です。判断の材料は問いの一覧です。実際に聞かれる問いを20個書き出し、それぞれ何段辿る必要があるかを数えてください。2段以上が半分に届かないなら、いま作る必要はありません。半年後にもう一度数え直せば足ります。

まとめ

社内の情報をAIにつないでも答えが的を外すとき、原因は情報の量ではなく持ち方にあることが多いです。文章のまとまりとして持っている限り、複数の情報をまたいで辿る問いには答えが出ません。対象と関係の形で持ち直すのがナレッジグラフで、同じ中身のまま答えられる問いが増えます。保険の業務を題材にした検証では、業務のデータベースへ直接問うと正解16%、対象と関係の形に組み直すと54%でした。過去の問い合わせ票を、票の中の構造と票どうしの関係に組み直した事例では、約6か月の運用で1件あたりの解決時間の中央値が28.6%短くなっています。文章のままでは答えられない問いは5つで、またいで辿る、数える、無いことを確かめる、最新版を判定する、範囲で絞るです。作る側で先に決めるのは3つで、対象として立てるか属性にするかの線引き、名前の統一、関係の種類を10から15に絞ること。工程は5つで1つの業務なら6週から12週が目安ですが、時間がかかるのは抜き出しではなく名前をそろえる工程です。抜き出しはAIに任せられますが、同じ文書に出てきただけの2つをつなぐ、否定を落とす、といった誤りが混ざるので、候補と確定を分け、上位は全件、否定は全件で人が見ます。関係が定まらない情報、更新が速すぎる情報、辿る問いが出てこない場合は作りません。まずは業務で実際に聞かれる問いを20個書き出し、それぞれ何段辿るかを数えてみてください。2段以上が半分を超えるかどうかが、着手の判断そのものになります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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