顧客インタビューを分析する5工程|声を施策に変える

顧客インタビューの扱いが、この数年で変わりました。以前は分析に時間がかかりすぎて、実施しても報告書が出るまでに機会を逃すことが多かった領域です。文字起こしと分類の工程が短縮できるようになり、聞いた内容を施策に反映するまでの時間が縮みました。30人の発言録で手作業20時間だった分析が、AIの処理と検証を含めて計5時間になったという事例が報告されています。ただし短縮できるのは工程の一部で、判断は人の側に残ります。この記事では、インタビューを施策に落とす5工程と、各工程で人が持つべき判断を整理します。
カメ先生顧客インタビューを5件やったそうだが、その後どうするつもりだい。
カメ子気になった発言を抜き出して、報告書にまとめようと思っています。
カメ先生気になった発言だけを拾うと、自分が最初から思っていた話に寄る。全部の発言を切り出して、機械的に並べるところから始めるんだ。
カメ子選んでから分析すると、答えを先に決めていることになりますね。
- 文字起こし、切り出し、ラベル付け、グルーピング、施策への接続の5工程で進める
- 定性データは多数決で判断しない。件数の割合ではなく、発言の背景と文脈で読む
- AIに任せるのは分類の下地まで。正解率を10〜20パーセントの抜き取りで検証し、原文に戻って確認する
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インタビューの位置づけが変わった
まず、なぜいま定性の分析を扱う価値があるのかを押さえます。手順の話に入る前に、前提の変化を共有しておく必要があります。
従来の課題は、分析の工数でした。定性調査で最も時間が必要になるのはインタビュー後の分析工程であり、特に報告書の作成に多くの時間が必要になるという指摘があります。実施の負荷より分析の負荷が問題でした。
その結果、実施しても分析が追いつかず、録音が残ったまま活用されない状態が生まれます。インタビューをしたのに施策が変わらないという状況は、聞き方ではなく分析の詰まりから起きます。
文字起こしと分類の工程が短縮できるようになり、この詰まりが緩みました。前述の事例では、化粧品企業で従来4日つまり32時間かかっていた作業が6時間になり、削減率81パーセントという数字が挙げられています。
ただし短縮されたのは工程の一部です。切り出しの判断、ラベルの設計、施策への接続は人の作業として残ります。ここを飛ばすと、要約が出ただけで施策は変わりません。
社内での位置づけも変わります。分析が数時間で終わるなら、四半期に1度の調査ではなく、施策を検討するたびに数件聞くという使い方ができます。大がかりな調査として構えるより、日常の判断材料として回すほうが実務に合います。
扱う件数も変わります。分析の負荷が下がると、実施できる件数が増え、少数の声に振られにくくなるという副次的な効果があります。
5工程の全体像
インタビューを施策に落とす流れを5工程で示します。順序を守ることが要点で、途中を飛ばすと結論が最初の思い込みに寄ります。
音声を文字にし、話し言葉の乱れを整えます。固有名詞と数値は原文と突き合わせます。
意味の単位で発言を分割します。気になった箇所だけを選ばず、全体を機械的に切ります。
切り出した発言に分類のラベルを付けます。定義と具体例を書いたコードブックを先に用意します。
ラベルを大きな単位にまとめ、上位の概念に抽象化します。ここで論点が見えてきます。
グループごとに、どの施策のどこを変えるかを紐づけます。原文の引用を必ず添えます。
解説されている定性分析の流れも同じ構造です。書き起こしたテキストを切片に分割してラベルを付け、そのラベルを再度グルーピングしてより大きな単位でラベルを付けるという2段階の整理が示されています。
この5工程で最も飛ばされやすいのが2番目です。気になった発言だけを拾う進め方は、分析ではなく引用の選択になります。最初に持っていた仮説を裏づける発言だけが残ります。
5番目も抜けやすい工程です。論点が見えたところで報告書を書いて終わると、施策は変わりません。どの画面のどの文言を変えるかまで落としてください。
工程の間に区切りを入れるのも有効です。切り出しが終わった時点で一度止め、ラベルの設計に入る前に切片の一覧を眺めます。切り出しながらラベルを考えると、思いついた分類に合わせて切り方そのものが寄っていきます。
工程の所要時間の配分も決めておきます。1番目と3番目は機械の支援で短縮できるが、2番目と5番目は人の時間を確保する必要があるという前提です。
工程1:文字起こしを整える
最初の工程は文字起こしです。ここでの精度が、後の全工程に影響します。雑に済ませると、分析の途中で原文に戻る回数が増えます。
音声から文字にする作業自体は、自動の書き起こしで足ります。解説でも、発言をまとめた発言録の作成に自動の文字起こしツールを活用することが勧められています。
整える対象は2つです。1つは話し言葉の乱れで、言い直しや相槌を削ります。もう1つは固有名詞と数値で、社名や製品名の誤変換は必ず発生するため原文と突き合わせます。
整えるときに削ってはいけないものがあります。言いよどみ、間、言い換えの繰り返しは、確信度の低さを示す情報です。読みやすさのために全部消すと、後で温度が読めなくなります。
発言者の識別も残します。複数名のインタビューでは、誰の発言かが分からなくなると役職や立場による違いが読めません。行の先頭に識別子を付けてください。
書き起こしの精度は、録音の条件で決まります。複数名が同時に話す場面や、オンラインの音声が途切れる場面では誤変換が増えます。録音の段階で話す人を分ける進行にするか、要点だけでもその場でメモを取っておくと後の手間が減ります。
原本の音声は必ず保管します。文字起こしを直した後でも、判断に迷ったら音声に戻れる状態を保つことが分析の前提になります。
工程2:発言を切り出す
2番目は、整えた文字起こしを意味の単位に分割する工程です。ここが分析の起点で、最も飛ばされやすい工程でもあります。
切り出しの単位は、1つの主張が完結する範囲です。1文が長ければ分割し、2文で1つの主張なら束ねます。単位が揺れると、後のラベル付けで同じ内容が別の扱いになります。
全体を切ることが重要です。気になった箇所だけを抜き出すと、抜き出した時点で結論が決まっています。関心の薄い発言も切り出しておくと、後で別の論点として立ち上がることがあります。
切り出した発言には出所を付けます。誰の発言か、インタビューの何分ごろか、どの質問への回答か。この3つがあれば、後から原文に戻るのが数秒で済みます。
量の目安としては、1時間のインタビューで100から200の切片になります。これより極端に少ない場合は、単位が大きすぎて論点が埋もれている可能性があります。
切り出した一覧は、発言の順序を崩さずに保管します。並べ替えたくなりますが、元の順序には話の流れという情報が入っています。並べ替えは別の列で行い、元の順序が分かる番号を必ず残しておいてください。
この工程は機械に任せにくい部分です。どこで主張が切り替わるかの判断には文脈の理解が必要で、量が多くても人が見る価値がある工程になります。
工程3:ラベルを付ける
3番目は、切り出した発言に分類のラベルを付ける工程です。この作業をコーディングと呼びます。
解説では、コーディングによってインタビューの発言をコードで分類し、パターンやテーマ、概念をつかみやすくすると整理されています。ラベルは分析の道具であり、結論ではありません。
ラベルは先に設計します。思いつくままに付けると、同じ内容に別のラベルが付き、後でまとめられません。名称と定義を先に決めたうえで作業に入ります。
既存の手法も参考になります。データに番号や色を設定して構造で整理するアフターコーディング、付箋やカードに書いてグループに分けるKJ法、出来事と心の声と価値のカードを作るKA法が挙げられています。
1つの発言に複数のラベルを付けても構いません。1発言1ラベルに強制すると、複数の論点を含む発言が片方だけで扱われます。重複を許す設計にしてください。
ラベルの数にも目安があります。1つの調査で20から40程度に収まると扱いやすく、100を超えると束ねる作業が別の分析になります。多くなりすぎたら、上位の分類を先に作ってその下に整理し直す判断をしてください。
作業の一貫性が要点です。複数人でラベルを付ける場合は、最初の10件を一緒に付けて基準をそろえる工程を入れてください。
工程4:グルーピングする
4番目は、付けたラベルを大きな単位にまとめる工程です。ここで論点が見えてきます。
まとめ方は2段階です。まず同じことを言っているラベルを束ね、次にその束に上位の名前を付けます。解説でも、ラベルを再度グルーピングしてより大きな単位でラベルを付ける流れが示されています。
束ねる基準は、発言の意味の近さです。言葉が同じでも意味が違う発言は分けます。逆に、違う言葉で同じことを言っている発言は同じ束に入れます。ここは表面の語ではなく内容で判断します。
グループの名前は、発言の言葉を使います。社内の用語に置き換えると、その時点で解釈が入り、原文とのつながりが切れます。顧客の言葉のまま残してください。
件数の集計には注意が必要です。解説では定量的な分析を避けることが強調されており、多数決や割合をもとに分析してはならないと明記されています。件数は参考情報にとどめます。
束ねた結果には、名前だけでなく発言者の数も添えます。同じ人が繰り返し言った1つの論点と、5人が別々に言った論点では扱いが変わります。件数で優劣を決めるわけではありませんが、広がりの情報は施策の順序を考える材料になります。
この作業は手を動かす形が向いています。付箋やカードを並べる方法が古くから使われているのは、位置を動かしながら関係を考えられるためです。画面上で行う場合も、自由に動かせる形式を選ぶほうが発見が増えます。
グループの数は絞りすぎないでください。3つにまとめると分かりやすくなるが、まとめる過程で落ちた論点が施策の種になることがあるためです。
工程5:施策に接続する
5番目は、見えた論点をどの施策のどこに反映するかを決める工程です。ここまで来ないと、分析は報告書で止まります。
接続の形は表にします。グループの名前、代表的な発言の引用、示唆、変える対象、担当、期限の6列を並べる形です。この表があれば、分析の結果が作業に変わります。
変える対象は具体的に書きます。サービス紹介ページの冒頭の文言、資料請求フォームの項目、営業資料の3枚目。コミュニケーションを改善するという書き方では、誰も動けません。
引用を必ず添えます。示唆だけを書くと、読んだ人が背景を確認できず、判断の根拠が担当者の解釈に依存します。原文の引用があれば、他の人が別の示唆を読み取ることもできます。
優先順位も表の中で決めます。すべての論点に着手するのは無理なので、影響の大きさと着手の容易さで並べます。着手しない論点も表に残してください。
変えない判断も記録します。論点として挙がったが今回は着手しないという記録が残っていれば、次に同じ声が出たときに2回目として扱えます。記録がないと、毎回はじめての指摘として同じ議論が繰り返されます。
実施した結果も同じ表に追記します。変更の前後の数字を同じ表に残すと、次のインタビューの設計に使えるためです。
何件聞けば足りるのか
インタビューの件数は、実務でよく議論になる点です。結論としては、対象の絞り方で必要な件数が変わります。
考え方の軸は、新しい発見が出なくなる状態です。同じ属性の相手に聞き続けて、これまでに出ていない論点が出なくなったら、その属性については情報が足りたと判断できます。
BtoBでは、属性の幅が問題になります。業種、規模、役職、導入の時期で見え方が変わるため、1つの属性で数件では判断できません。属性ごとに件数を確保する設計が必要です。
実務的な進め方は、少数から始めて追加する形です。5件聞いて分析し、論点が固まらなければ属性を変えて追加する。最初から30件を計画すると、途中で聞き方を直せません。
件数を増やしても解決しないこともあります。聞く相手の選び方が偏っていれば、件数を倍にしても同じ偏りが強まるだけです。既存顧客だけに聞くと、失注の理由は出てきません。
依頼の経路も件数の質に影響します。営業経由で紹介してもらう形だと、関係の良い顧客に偏ります。サポートへの問い合わせ履歴から選ぶ、解約した企業に依頼するなど、経路を複数持つと属性の偏りが減ります。
属性の設計は、聞く前に決めておきます。分析の段階で属性が足りないと気づいても、追加の依頼から実施までには時間がかかります。業種、規模、役職、導入の時期の4つで表を作り、空欄が偏らないように依頼してください。
件数の記録は残します。どの属性に何件聞いたかを表で持つと、次に聞くべき相手が決まるため、分析の表と同じ場所に置いてください。
事実と解釈を分ける
定性分析で最も事故が起きやすいのが、事実と解釈の混在です。分けて書く習慣が、分析の信頼を決めます。
事実は、相手が言ったことと、実際に起きた出来事です。解釈は、その発言から分析者が読み取った意味です。この2つを同じ文に混ぜると、後から検証できません。
書き分けの方法は単純です。表の列を分けます。発言の列には原文をそのまま入れ、示唆の列に読み取った内容を書きます。同じセルに混ぜないという運用で足ります。
混在が起きる典型は、要約の段階です。操作が難しいという発言を、使い勝手に不満があると要約すると、発言の範囲を超えた一般化が入ります。どの操作かが落ちています。
解釈には確信度も添えます。複数の発言で裏づけがある示唆と、1件の発言からの推測は、扱いを分ける必要があります。表に確信度の列を足すだけで区別できます。
第三者に読んでもらう確認も有効です。分析していない人に表を見せて、示唆が発言から読み取れるかを確かめます。読み取れないと言われた箇所は、解釈が飛んでいるか、引用が足りていないかのどちらかです。
報告書の様式にも反映します。発言、示唆、確信度の3列を最初から用意しておけば、書く段階で自然に分かれます。様式がないと、読みやすさを優先して1つの文にまとめてしまい、後から分けられなくなります。
報告の場でも分けて話します。これは発言、ここからは私の読み取りと言い分けるだけで、議論の質が変わるようになります。
コードブックの作り方
ラベルの設計を文書にしたものをコードブックと呼びます。これを先に作るかどうかで、分析の再現性が変わります。
| 項目 | 書く内容 | 省略したときに起きること |
|---|---|---|
| 名称 | ラベルの短い名前 | 似た名前が増え、後でまとめられない |
| 定義 | どういう発言を含めるか | 担当者ごとに解釈が分かれる |
| 具体例 | 実際の発言を2〜3件 | 境界の判断がその場の感覚になる |
| 除外例 | 含めない発言の例 | 対象が広がり、ラベルが機能しなくなる |
| 上位の分類 | どのグループに属するか | グルーピングの工程で作業が重複する |
この表の4行目が要点です。除外例を書いておかないと、ラベルの範囲が作業のうちに広がり、最後には何でも入る箱になります。含めない例を先に決めてください。
コードブックは分析の途中で更新します。想定していなかった発言が出たら、新しいラベルを追加し、定義と具体例を書き足します。更新した日付を残しておくと後から追えます。
複数人で作業する場合は必須の道具になります。コードブックがないまま分担すると、同じ発言に別のラベルが付き、統合の作業でやり直しになります。
コードブックは短いほうが使われます。1つのラベルにつき3行程度に収め、全体で1画面に収まる分量を目安にしてください。詳細に書き込むほど正確になりますが、作業中に参照されなくなれば意味がありません。
次のインタビューでも使えます。一度作ったコードブックは資産になり、2回目以降の分析は初回より短い時間で終わるためです。
生成AIに任せる範囲と精度の検証
分類の工程は機械の支援と相性が良い領域です。ただし丸ごと任せる形では実務に耐えません。任せる範囲と検証の方法を決めます。
報告されている進め方は5段階です。コードブックの作成、指示の設計と5から10件でのテスト、対象者や質問ごとに分けたバッチ処理、精度の検証、修正と再処理という流れが示されています。
検証の方法は抜き取りです。全体の10から20パーセントを抜き取って人が確認するという手順が挙げられています。全件を確認するなら、任せる意味が薄れます。
判断の基準も示されています。正解率が80パーセント以上であれば実務で利用できる水準で、70パーセント未満なら指示の見直しが必要とされ、事例では84パーセントが報告されています。
修正は2から3回のサイクルで進めるとされています。1回で目標の精度に届くことは少ないため、テストと修正を繰り返す時間を計画に入れてください。
任せる工程を広げる順序もあります。最初から全工程を渡すのではなく、まず文字起こしの整形だけを任せ、精度を確かめてからラベル付けの下地に広げる形です。工程ごとに確認しながら進めると、どこで誤りが入るかを把握できます。
誤りには傾向があります。肯定的な表現が否定的に誤分類される傾向が指摘されており、検証ではこの方向を重点的に見ると効率が上がります。
原文に戻る運用
分析の途中で要約された文章だけを見るようになると、判断が原文から離れます。戻る仕組みを工程に組み込みます。
戻る必要が生じるのは3つの場面です。ラベルの境界に迷ったとき、示唆を書くとき、社内で反論が出たとき。いずれも数秒で原文に戻れる状態が必要です。
そのために、切り出しの段階で出所を付けておきます。発言者、インタビューの経過時間、質問の番号。この3つがあれば、音声と文字起こしの該当箇所にすぐ到達できます。
要約に依存する危険は、具体的に3つあります。都合の良い方向への一般化、言い回しの平板化、そして原文にない引用の出現。3つ目は特に確認が必要です。
引用は必ず突き合わせます。報告書に載せる引用は、文字起こしの該当箇所をコピーして貼る運用にしてください。手で打ち直すと、無意識に整えてしまいます。
戻る手間を下げる工夫として、切片の一覧に音声の再生位置を書く方法があります。経過時間の列を1つ持っておけば、該当箇所にすぐ移動できます。この1列があるかないかで、確認に戻る回数そのものが変わります。
丸投げの危険も指摘されています。出力をそのまま採用すると微妙なニュアンスの誤認識が残り、文脈の誤読が提案の誤りにつながるという点です。
少数意見の扱い
定性データでは、1件しか出なかった意見の扱いが判断を分けます。件数で切り捨てる運用は、定性分析の前提と合いません。
前提として、定性データは多数決で扱わないという原則があります。解説でも、多数決や割合をもとに分析してはならないと明記されています。1件でも捨てない姿勢が出発点になります。
では何で判断するかというと、発言の背景です。その1件が、まだ聞けていない層を代表している可能性があるかどうか。属性の表と照らして考えます。
特に注意すべきは、失注や解約に関わる声です。件数は少なくても、意思決定に直結した理由であれば影響は大きくなります。件数の少なさと重要度は別の軸です。
扱いを決める方法として、保留の箱を作る運用があります。いま施策にしないが捨てない論点を一覧に残し、次のインタビューで確認する対象にします。
重みづけの考え方も持っておきます。同じ1件でも、決裁者の発言と担当者の発言では影響の範囲が違います。役職と関与の度合いを切片の一覧に持っておけば、件数以外の軸で重要度を判断できます。
保留にした論点は、次の調査の質問に変えます。1件しか出なかった声について、別の相手にも当てはまるかを確かめる質問を用意しておく形です。こうすると、少数意見が放置されずに検証の対象として回り続けます。
記録が判断の質を決めます。捨てた論点を残していないと、同じ声が2回目に出たときも1件目として扱ってしまうためです。
社内共有の形
分析の結果をどう共有するかで、施策に反映されるかどうかが決まります。報告書の形式を決めておきます。
共有の単位は、論点です。インタビューごとに報告するのではなく、グループごとにまとめて出します。相手ごとの報告は情報の羅列になり、判断につながりません。
必ず原文の引用を添えます。示唆だけを書くと、読んだ人が背景を確認できず、分析者の解釈を信じるしかなくなります。引用があれば別の読み取りも可能になります。
引用の載せ方には配慮が必要です。社名や個人が特定できる情報は、取材時の合意の範囲で扱います。社内共有までは可という条件だった内容を、外部の資料に転記しないでください。
量は絞ります。論点を10個並べた報告書より、3つに絞って施策まで書いた資料のほうが動きます。残りの7つは一覧として添付する形で足ります。
口頭で伝える場面の準備もします。論点ごとに30秒で説明できる要約を用意しておくと、会議の時間が短くても伝わります。資料を読み上げる形にすると質問に答える時間がなくなり、施策の担当が決まらないまま終わります。
共有した後の追跡も決めておきます。絞った3つの論点が実際に施策として着手されたかを、1か月後に確認する予定を先に入れる形です。確認の予定がないと、共有の場では合意されたのに誰も動かないまま次の調査に進みます。
共有の場も設計します。営業と開発が同席する場で共有すると、その場で施策の担当が決まるため、報告の送付だけで終えないでください。
よくある失敗パターン
顧客インタビューの分析で見られる失敗を挙げます。いずれも工程を飛ばしたことから起きています。
- 気になった発言だけを抜き出す:最初の仮説を裏づける引用が集まり、分析ではなく確認になります
- 件数の多い意見を優先する:定性データを多数決で扱うことになり、少数の重要な声が落ちます
- 要約だけを読んで示唆を書く:都合の良い一般化と平板化が入り、原文にない引用も混ざります
- 報告書で終える:論点は見えても変える対象と担当が決まらず、施策は動きません
1つ目が最も多い失敗です。抜き出す作業自体が判断であり、抜き出した時点で結論が決まっています。全体を切り出してから見る順序を守ってください。
3つ目は検証の設計で防げます。抜き取りで正解率を確認し、引用は必ず文字起こしからコピーする運用にすれば、大半は起きません。
4つに共通するのは時間の配分です。インタビューの実施までに労力を使い切り、分析に確保した時間が短いという状態が背景にあります。実施の計画を立てる時点で、分析と共有の時間を同じ枠として押さえてください。
4つ目は、報告書の様式で防ぎます。変える対象、担当、期限の3列を様式に入れておけば、空欄のまま提出しにくくなります。空欄が残るなら、その論点は着手しないと明示してください。
- 原本の音声は必ず保管する。文字起こしを整えた後も、判断に迷えば音声に戻る
- コードブックは分析の途中で更新し、更新日を残す。次回の分析でそのまま使える資産になる
まとめ
顧客インタビューの分析は、文字起こしを整える、発言を切り出す、ラベルを付ける、グルーピングする、施策に接続するの5工程で進めます。飛ばされやすいのは2番目と5番目で、気になった発言だけを拾うと分析ではなく仮説の確認になり、報告書で終えると施策は動きません。
件数は属性ごとに確保し、新しい論点が出なくなるまで追加する考え方で進めます。定性データは多数決で扱わないため、件数の少ない声も背景で判断します。生成AIに任せられるのは分類の下地までで、抜き取りによる精度の検証と、原文に戻る運用が前提になります。
まずは手元の録音から1件を選び、全体を意味の単位で切り出してみてください。切片が100を超えたところで、自分が最初に注目していた論点以外が見えてきます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
