検索されない商材はどう売る?|需要を作るBtoBの布石

新サービスのサイトが完成し、いざ集客だとキーワードプランナーを開く。ところが、カテゴリ名の月間検索数は「0〜10」。競合の記事も比較サイトも見当たらず、リスティング広告を設定しようにも入札するキーワードがない——検索されない商材を任されたマーケティング担当者が、最初に立ち尽くす場面です。しかし検索されないことは、需要がないことを意味しません。課題を抱えた企業は確かに存在するのに、解決手段の名前をまだ誰も知らないだけ。この状態で必要なのは、検索需要を刈り取る施策ではなく、需要そのものを作り出す布石です。本記事では、認知ゼロの商材が「課題の言葉で見つけてもらい、名前を覚えてもらい、検討を支援し、最後は指名される」に至るまでの需要創出シナリオを段階で描き、課題起点キーワードの見つけ方、カテゴリ名を作るか既存カテゴリに乗るかの判断、成果の測り方までを解説します。
カメ先生検索されない商材の担当になったら、まず前提を変える必要があるんだ。検索という行動は、解決手段の存在を知っている人にしか起こせない。カテゴリごと新しい商材には、刈り取るべき検索需要がそもそも存在しないんだよ。
カメ子まさにうちの新サービスのことです…。キーワードプランナーで調べたら、カテゴリ名の検索数が月0〜10件でした。SEOの計画が最初の一歩から成り立ちません。
カメ先生そこで軸になるのが需要創出、デマンドジェネレーションの考え方だ。海外の調査では、BtoBの買い手は営業に会う前に購買検討の6割前後を済ませるとも言われている。顧客が先に触れるその情報を、課題の言葉で用意しておく側に回るんだ。
カメ子検索されるのを待つのではなく、需要そのものを作る布石を打つんですね。まずは商談の議事録を読み返して、お客さまが実際に使っている課題の言葉を集めるところから始めます。
- 検索されない=需要がない、ではない。解決手段が知られていないだけで課題は存在する。刈り取り型のSEO・リスティングは前提から機能しない
- 需要創出は「課題の言葉で見つけてもらう→名前と用途を覚えてもらう→検討を支援する→指名される」の4段階で布石を打つ
- 課題起点キーワードは商談議事録や問い合わせ文面など社内の8つの情報源から発掘できる。言葉の抽出と下ごしらえはAIが得意
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「検索されない商材」とはどういう状態か
検索されない商材とは、商材そのものの名前はもちろん、商材が属するカテゴリを表す言葉すら検索されていない状態の商材を指します。まったく新しい業務支援SaaS、ニッチな製造装置、従来にない切り口のコンサルティングサービスなどが典型です。キーワードプランナーで調べるとカテゴリ名の月間検索数が1桁か「10未満」と表示され、指名検索は当然ゼロ。既存のBtoB商材でも、市場の立ち上げ期にはほぼ例外なくこの段階を通ります。
ここで押さえたいのは、検索という行動の性質です。人が検索するのは「解決手段が存在すること」をすでに知っているときで、知らないものは検索のしようがありません。つまり検索数ゼロは需要ゼロの証明ではなく、課題と解決手段がまだ結びついていないことの証明です。請求書処理に毎月何十時間も費やしている会社は、自動化ツールのカテゴリ名を知らなくても、課題そのものは切実に抱えています。この「課題はあるが手段を知らない」層こそ、検索されない商材の本当の市場です。
なぜ王道のSEO・リスティングが空振りするのか
SEOと検索連動型広告は、どちらもすでに存在する検索需要を刈り取る装置です。検索する人がいなければ、どれだけ上位表示されても流入はゼロ、広告も表示機会がないので予算が消化されないか、無関係な語で消化されるかのどちらかです。SEO支援会社のLANYも、BtoBはBtoCに比べてキーワード数も検索ボリュームも少なく、ツールで機械的に抽出する方法が成果に結びつきにくい領域だと指摘しています。新カテゴリ商材はその極端なケースといえます。
それでも多くの企業が、立ち上げ期にSEO会社の一般的なプランへ発注してしまいます。納品されるのは検索ボリューム表とよくある記事構成案ですが、肝心の検索需要がないため、半年経っても流入は数十件。ここで「コンテンツマーケは効かない」と結論づけてしまうのが最悪の展開です。実際には施策が悪いのではなく、刈り取る需要がない市場で刈り取り装置を動かしていただけ。順番を変えれば、コンテンツは需要を作る側の主力になります。
発想の転換:需要を「刈り取る」から「作る」へ
軸になる考え方がデマンドジェネレーション(需要創出)です。BtoBマーケティングの文脈では、見込み顧客との接点創出(リードジェネレーション)、継続的な関係構築(リードナーチャリング)、営業に渡す見込み客の選別(リードクオリフィケーション)までを一気通貫で設計する活動を指します。単発の施策ではなく、認知ゼロの相手が顧客になるまでの道のり全体を仕組みにする発想です。
この設計が特に重要なのは、BtoBの買い手が営業に会う前に検討を進めてしまうからです。海外の調査を引いた国内の解説では、購買検討の6割前後は営業との初回接触前に終わっていると紹介されています。検索されない商材の場合、買い手が事前に触れられる情報は世の中にほぼ存在しません。裏を返せば、課題の解説から解決手段の選び方まで自社が最初に情報を置いた分だけ、検討の土俵を自社で設計できるということです。先行者が情報の空白を埋める効果は、成熟市場のSEOで1位を取るより大きくなり得ます。
なお、需要創出は「広告で認知を買うこと」と同義ではありません。認知は入口にすぎず、獲得した接点を商談可能な状態まで育てる中間工程と、営業へ引き渡す基準まで含めて初めて仕組みとして機能します。立ち上げ期はどうしても入口の施策に目が行きがちですが、出口までの設計を先に描いておくと、接点が増え始めた後の渋滞を防げます。
需要創出シナリオの全体像:4つの段階
検索されない商材の需要創出は、次の4段階のシナリオで設計します。BtoBの検討期間は半年から2年に及ぶことも珍しくないため、各段階は同時並行で走らせつつ、成果の刈り取りは長期戦を覚悟してください。
商材名ではなく、顧客がすでに使っている課題の言葉で接点を作ります。課題起点の記事・資料・広告が入口です。
展示会・広告・PRで「この課題ならこの名前」という結びつきを作ります。その場で売ることより、記憶に残ることが目的です。
比較サイトが存在しない市場では、選び方ガイドや費用相場など判断材料を自社から提供し、検討の伴走者になります。
社名・製品名での検索や紹介が発生する状態がゴールです。指名検索数が需要創出の進捗を測る計器になります。
以降のセクションで、各段階を実務の粒度に分解します。重要なのは順序です。多くの企業は段階3や4の施策(機能比較・導入事例)から作り始めますが、認知ゼロの相手には届きません。最初に作るべきは、課題の言葉との接点です。
段階1:課題の言葉で見つけてもらう
検索されない商材でも、顧客の課題は検索されていることがよくあります。たとえば請求書の自動化ツールなら「請求書 手作業 ミス 多い」「月末 経理 残業」、製造業向けの検品装置なら「目視検査 属人化」のような言葉です。こうした課題キーワードは検索ボリュームこそ小さいものの、検索した人は課題の当事者そのものです。LANYは、検索ボリュームのないキーワードの中にコンバージョンにつながる「お宝キーワード」が眠っていると指摘しています。数十件の検索でも、その全員が見込み客なら十分に投資対象です。
課題起点の記事を書くときの構成は「課題の共感と言語化→原因の整理→解決の選択肢を並べる→選択肢の1つとして自社の手法を紹介」が基本形です。いきなり製品を売り込むのではなく、読者がまだ名前を知らない解決手段を、課題の延長線上で自然に紹介するのがポイントです。読者はこの記事で初めて「こういう解決策が存在するのか」を知ります。その瞬間こそが、需要が生まれる瞬間です。
タイトルにも顧客の言い回しを残します。たとえば次のような形です。
- 「請求書の手作業ミスが減らない」原因は工程にある——経理の月末を軽くする見直し方
- 目視検査が属人化する本当の理由と、熟練者の目を仕組みに変える方法
- 展示会の名刺が商談にならないのはなぜか。フォロー設計から見直す
いずれも製品名を出さず、課題の言葉から始まっている点が共通です。タイトルの冒頭に顧客の言葉が入っているかを公開前のチェック項目にしてください。社内レビューで「製品名を入れるべきでは」という声が出たら、この記事の読者はまだ製品名を知らない、という前提を思い出す合図です。
課題起点キーワードの見つけ方:社内に眠る8つの情報源
では、顧客が使う課題の言葉はどこで手に入るのか。検索ツールには載っていないので、社内から掘り出します。LANYが挙げる顧客課題の情報源は次の8つです。
- 問い合わせフォームの文面(見込み客が自分の言葉で書いた要望)
- 商談の議事録・録画(課題の言い回しと比較の観点がそのまま残る)
- カスタマーサポートへの相談内容(導入後に見える潜在課題)
- 受注理由・失注理由(何が刺さり、何が伝わらなかったか)
- 顧客アンケートの自由記述
- セミナー・ウェビナーの質疑応答
- 導入事例の取材コメント(顧客が自社を選んだ理由)
- SNSやレビューサイトのコメント
集めた言葉は、顧客の言い回しのまま使うことが鉄則です。社内では「帳票電子化ソリューション」と呼んでいても、顧客が「請求書のハンコをなくしたい」と言っているなら、コンテンツの見出しに載せるべきは後者です。社内用語への翻訳は、せっかく拾った接点の言葉を捨てる行為だと心得てください。
段階2:名前と用途を覚えてもらう——展示会・広告・PRの役割分担
課題起点の受け皿ができたら、検索の外で認知を作るプッシュ型チャネルの出番です。検索されない商材では、待ちの施策だけでは接点が発生しないため、プッシュが先、検索は受け皿という順序になります。主要チャネルの役割は次のとおりです。
| チャネル | 果たす役割 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 展示会・イベント | 課題が言語化されていない層にデモと対話で直接説明できる。その場で需要を掘り起こせる | リード獲得と市場の反応確認を一気に行いたい時期 |
| 運用型広告(SNS・動画・ディスプレイ) | 検索の外にいる対象者に課題を気づかせ、カテゴリの存在を刷り込む | 継続的な認知形成。課題訴求クリエイティブとの組み合わせ |
| PR・プレスリリース・業界メディア | 第三者の言葉で新しいカテゴリを説明してもらい、信頼と初期の指名検索を作る | サービス発表・調査リリース・事例公開のタイミング |
使い分けの軸は「その場で刈り取るか、記憶に残すか」です。展示会は名刺というリードが手に入りますが、獲得した接点の大半はまだ検討前の段階です。広告とPRは効果が数字に出るまで時間がかかります。どのチャネルも、この課題といえばこの名前、という結びつきを頭の中に作る仕事だと割り切り、単月のリード単価だけで良し悪しを判定しないことが、立ち上げ期を乗り切る要点です。
クリエイティブも課題の言葉で統一します。運用型広告のバナーや動画は、製品写真より「毎月の請求書処理、まだ手作業ですか」のような課題の問いかけのほうが機能しやすく、展示会の小間の看板も製品名より課題コピーのほうが足を止めます。PRでは製品発表だけでなく業界課題の調査リリース(自社アンケート結果の公表など)が有効です。メディアは無名の新製品よりも「業界の◯割が△△に困っている」という事実のほうを取り上げやすく、課題の言語化そのものが記事になって広がっていきます。
段階3:比較サイトがない世界での検討支援
成熟したカテゴリなら、検討者は比較サイトやまとめ記事で候補を絞り込めます。検索されない商材の市場にはそれがありません。これは不利なようで、実は大きな機会です。検討者は判断材料に飢えているため、選定基準を最初に言語化した企業の土俵で検討が進むからです。「◯◯の選び方」「導入費用の相場と内訳」「導入前に確認すべき10項目」といったコンテンツを自社で用意し、営業資料にも同じ基準を載せます。
このとき欠かせないのが誠実さです。自社が全項目で勝つ比較表は、検討者にすぐ見抜かれます。自社が不得意な条件(小規模企業には過剰、特定業種は対象外など)も正直に書くことで、基準そのものの信頼性が生まれ、結果として条件の合う商談の質が上がります。比較サイトの不在は、審判のいない試合ではなく、ルールブックを最初に書く権利だと考えてください。
作った選定基準は、マーケティングと営業で同じものを使うことも重要です。サイトの選び方ガイドと営業の提案書で基準が食い違うと、検討者は不信感を抱きます。逆に、商談で「サイトに公開しているチェックリストに沿ってご説明します」と展開できれば、コンテンツが営業の説明時間を短縮する道具になります。コンテンツと商談の一貫性は、比較サイトのない市場で信頼を積み上げる近道です。
段階4:指名される状態を作る
需要創出のゴールは、カテゴリ名ですらなく社名・製品名で検索される状態です。展示会で名前を見た人、記事を読んだ人、同僚から聞いた人は、興味を持つとまず指名で検索します。Search Consoleで自社名・製品名を含むクエリの表示回数を月次で追えば、認知形成の進捗が数字で見えます。検索されない商材のマーケティングで、もっとも早く動き始める計器がこの指名検索数です。
指名を増やす具体的な布石は、名前に接触する機会の総量を増やすことに尽きます。導入事例の公開(顧客の実名と数字が入ったもの)、業界メディアへの寄稿や登壇、調査データの発表などは、どれも第三者の場に自社名を置く施策です。特に導入事例は「同業他社がもう使っている」という、新カテゴリ最大の不安(前例のなさ)を打ち消す材料になるため、初期顧客には多少の値引きと引き換えにでも事例化の許諾を取りにいく価値があります。
指名検索の計測には少しだけ設計が要ります。Search Consoleで社名・製品名とその表記ゆれ(カナ・ローマ字・略称)をフィルタに登録し、月次の表示回数を定点観測してください。展示会出展や広告配信の翌月に山ができていれば、施策と認知の因果を推定できます。社名が一般名詞と重なる場合は、製品名や「社名+サービス名」の複合語で追うと精度が上がります。
カテゴリ名を「作る」か、既存カテゴリに「乗る」かの判断
需要創出の途中で必ず直面するのが、この商材を何と名乗るかの判断です。道は2つあります。1つは独自のカテゴリ名を作って市場ごと立ち上げる道。ブランディングの解説では、まったく新しい市場を創るイノベーション型と、既存の技術や価値を定義し直して新市場を作る再定義型があると整理されています。アクションカメラのGoProが「自分の目線の映像を撮る」という新しい用途を創造した例のように、成功すれば市場の代名詞になれますが、言葉の啓蒙に時間と資金がかかります。
もう1つは近い既存カテゴリに乗る道です。既存カテゴリの検索需要(「MAツール」「検品装置」など)に相乗りし、「従来の◯◯との違い」で差別化を語ります。立ち上がりは速い一方、既存の物差しで比較されて埋没するリスクを負います。判断の目安はシンプルで、既存カテゴリの言葉で自社価値の8割を説明できるなら乗る、致命的な誤解を生むなら作るです。作る場合も、当面は「◯◯(既存カテゴリ)の新しい形」のように既存の言葉を橋渡しに使う折衷が現実的です。
どちらの道を選ぶにしても、決めた名前は社内で徹底的に統一してください。サイトでは新カテゴリ名、営業資料では既存カテゴリ名、展示会ではまた別の説明——と呼び方が割れていると、ただでさえ認知のない市場で記憶の蓄積が分散します。名前を決めたら、サイト・営業資料・メール署名・登壇プロフィールまで一斉に揃える。地味ですが、呼称の統一は費用ゼロでできる認知施策です。
教育コンテンツで市場を耕す:ウェビナーと事例の使い方
段階1から4を支える基盤が教育コンテンツです。まずウェビナーは、テーマ設定を間違えなければ立ち上げ期の主力になります。鉄則は製品名ではなく課題名で集客すること。「◯◯(製品)のご紹介」では誰も来ませんが、「月末の経理残業を半減させた3社の実務」なら課題の当事者が集まります。本編で課題の構造を解説し、解決手段の1つとして自社を紹介する構成にすれば、参加者は売り込みではなく学びとして受け取ります。
そして獲得した接点は、ナーチャリングで温め続けます。BtoBの検討期間は半年から2年。今日の参加者が予算を持つのは来期かもしれません。月1回のメールマガジン、事例の定期公開、四半期ごとのウェビナーといった接点を絶やさない仕組みを先に作っておくと、リードが検討期に入った瞬間に思い出してもらえます。ここを怠ると、せっかく耕した畑を、後から参入した競合が刈り取ることになります。
ナーチャリングの中身も、売り込みではなく教育で設計します。定期メールで送るのは製品ニュースではなく、課題の解説記事・事例・チェックリストといった相手の仕事に役立つ情報が基本です。そのうえで、開封やクリックの動きが強まったリードにだけ電話やフォローの声かけをする、という温度の見極めをセットにすると、限られた営業リソースを検討期に入った相手へ集中できます。
成果をどう測るか:検索ボリュームがないときのKPI
検索されない商材では、検索順位や自然検索流入を主要KPIに置けません。母数が存在しないからです。代わりに追うべきは需要が生まれた兆候で、具体的には指名検索の表示回数・直接流入とブックマーク的な再訪・展示会やウェビナーの接点数・商談化率、そして商談での「どこで当社を知りましたか」の回答分布です。特に最後のヒアリングは、計測ツールに残らない口コミや社内共有といった見えない経路を拾える唯一の手段なので、営業のヒアリング項目に必ず入れてください。
数字の目線も変える必要があります。成熟市場のように月間数千セッションは狙えませんが、課題起点記事が月に30人の当事者を連れてきて、そのうち3人がウェビナーに来るなら、それは立派に機能している状態です。量ではなく、課題の当事者にどれだけ濃く届いたかで施策を評価する。この物差しの転換を関係者と合意しておかないと、立ち上げ期の施策はすべて「数字が小さい」の一言で打ち切られてしまいます。
目標値の置き方にも工夫が要ります。前例のない市場では業界ベンチマークが存在しないため、最初の四半期は計測して自社の基準値を作ることそのものを目標にします。2四半期目以降は「指名検索の表示回数を前期比で伸ばす」「ウェビナーからの商談化率を維持しながら参加数を増やす」のように、自社の基準値からの伸び率で設定する。絶対値ではなく伸びで語ると、小さな数字でも進捗が正当に評価され、社内の支持を保ちやすくなります。
立ち上げ期の落とし穴
検索されない商材のマーケティングで繰り返される失敗には、はっきりしたパターンがあります。共通するのは、成熟市場向けの常識を認知ゼロの市場にそのまま持ち込んでしまうことです。施策の名前は同じでも、前提が違えば設計も評価もすべて変わります。着手前に次のNG集を確認してください。
- 検索需要がないのに、検索ボリューム前提のSEOプランに予算を投じる(半年後に流入ゼロで施策全体が不信任になる)
- 製品名でウェビナーや広告を打ち、集客ゼロを「需要がない」と誤読する
- 課題の言葉を社内用語に翻訳してしまい、顧客の検索・共感と噛み合わなくなる
- 3か月で成果を求めて認知施策を打ち切り、翌年また認知ゼロからやり直す
- 検討期間が長い商材では、施策の評価サイクルを最低でも2四半期単位に設定してから始めると、途中打ち切りを防ぎやすい
- 競合が現れたら市場が立ち上がった証拠。独占が崩れる不安より、カテゴリの検索需要が生まれる利益のほうが大きい
- 既存顧客への「どうやって探したか」ヒアリングは、次の顧客がたどる経路の予告編として最優先で行う
AIの使いどころ:顧客の言葉の発掘と下ごしらえ
需要創出の実務でもっとも時間を食うのは、散らばった顧客の言葉を集めて整理する工程です。ここは生成AIの得意分野で、商談の文字起こしや問い合わせ文面を渡せば、課題表現の抽出とグルーピングを短時間でこなします。プロンプトの例を挙げます。
あなたはBtoBマーケティングの調査担当です。
以下は商談の文字起こしです。
1. 顧客が自分の課題を語った箇所を、原文の言い回しのまま抜き出してください。
2. 抜き出した表現を課題テーマごとにグループ化してください。
3. 各グループについて、課題の当事者が検索しそうな語句の候補を3つずつ挙げてください。
※固有名詞は伏せ字のまま扱ってください。
---
(ここに文字起こしを貼り付け)
抽出した課題表現は、記事の見出し案、広告コピー案、ウェビナーのタイトル案へと展開できます。ここでもAIには量出しと言い換えを任せ、どの課題を優先するか、どの言葉が実際の顧客に響くかの判断は人が行います。AIが挙げた検索語句の候補は、キーワードプランナーやSearch Consoleで実在を確かめてから使うと、机上の空論を防げます。商談データを扱う際は、社名・個人名を伏せてから渡すことも忘れないでください。
もう1つの使い道が、検討支援コンテンツの下ごしらえです。失注理由や商談での質問をAIに渡し「検討者が不安に感じている点」を列挙させれば、選び方ガイドやチェックリストに載せるべき項目の抜け漏れを点検できます。ウェビナーの質疑応答の文字起こしから次回テーマの候補を出させる、事例インタビューの録音から顧客自身の言葉で語られた導入効果を抜き出させる、といった応用も、すべて顧客の言葉の資産化という同じ幹から伸びる枝です。
小さく始める90日プラン
最後に、明日から動ける形に落とします。最初の30日は仕込みです。8つの情報源から顧客の言葉を集めてAIで整理し、課題キーワードのリストを作る。並行して既存顧客か初期の見込み客5社に「どんな言葉で探したか・何が決め手だったか」をヒアリングします。次の30日で、課題起点の記事を3本と選び方ガイドを1本公開し、課題テーマのウェビナーを1回開催。最後の30日で指名検索とリードの計測基盤を整え、数字を見ながら展示会や広告など投資の大きいチャネルの判断をします。
90日で商談が積み上がることは期待しないでください。この期間のゴールは、課題の言葉の資産化・受け皿コンテンツの初期セット・計測の土台という3点セットを作り切ることです。ここまでできていれば、以降のチャネル投資は当てずっぽうではなくなります。逆にこの土台を飛ばしてチャネル投資から入ると、届けるべき言葉も測る計器もないまま予算だけが消えていきます。
体制の目安は、専任1名に営業の兼務協力が付く規模で十分です。工数が最もかかるのは記事とガイドの執筆ですが、下書きにAIを使えば1本あたりの負荷は大きく下がります。外部パートナーに制作を任せる場合でも、8つの情報源の整理と顧客ヒアリングだけは社内で行ってください。顧客の言葉という一次情報は外注できません。ここを手放すと、どれだけ整った成果物が届いても、誰にも刺さらないコンテンツになります。
まとめ
検索されない商材は、検索需要の刈り取りという常識が通用しない代わりに、情報の空白を最初に埋めた企業が検討の土俵を設計できる市場です。課題の言葉で見つけてもらい、展示会・広告・PRで名前と用途を覚えてもらい、選定基準を自ら提示して検討を支え、指名される状態を作る——この4段階のシナリオを、指名検索数という計器で確かめながら回していきます。課題の言葉は社内の商談議事録や問い合わせにすでに眠っており、その発掘と整理はAIが引き受けてくれます。需要は待つものではなく、布石を打って育てるもの。カテゴリが立ち上がったとき、市場の代名詞の座に一番近いのは、最初に耕し始めた会社です。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
