Media > AI活用ユースケース > 品質管理 > 1か月の訪問の記録から主治医に出す訪問看護報告書の下書きをClaudeで作り、病状の変化と記録の欠けを看護師が確かめる

1か月の訪問の記録から主治医に出す訪問看護報告書の下書きをClaudeで作り、病状の変化と記録の欠けを看護師が確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

利用者ごとに1か月分の訪問の記録を Claude に渡し、主治医に出す訪問看護報告書の「病状の経過」「看護の内容」「特記すべき事項」の下書きを作ります。あわせて、病状の変化と記録の欠けを一覧にし、担当の看護師が確かめてから送ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Power Automate
対象業界
介護/医療
対象部門
品質管理
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
45h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
60%
年間削減
324h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 月が変わったら、看護師が担当の利用者ごとに記録ソフトで前月の訪問の記録を開く
  2. 訪問日を数え、暦に○や◇の印を付ける。特別指示や緊急の訪問は請求ソフトの実績と見比べる
  3. 記録を1回分ずつ読み、病状とADLの変化を拾って「病状の経過」を書く
  4. 実施した処置・ケア・指導を拾って「看護・リハビリテーションの内容」を書く
  5. 家族の介護の状況と、主治医に伝えたいことを「家庭での介護の状況」「特記すべき事項」に書く
  6. 衛生材料の使用量を数えて書く
  7. 管理者が目を通し、印を押して主治医へFAXか郵送で送る
導入後(After)
  1. 人事務が月の初めに、記録ソフトから前月の訪問の記録と訪問の実績をCSVで書き出し、所定のフォルダに置く
  2. 自動利用者ごとに記録を分け、氏名・住所などを仮の番号に置き換える
  3. 自動訪問の実績から、暦の印(○◇△◎□)と訪問の回数をプログラムで作る
  4. 自動衛生材料の使用量、バイタルの最小・最大と月初・月末の値を集計で出す
  5. 自動記録の欠け(訪問日に記録が無い、バイタルの欄が空など)を規則で拾う
  6. 自動Claude API が、病状の経過・看護の内容・家庭での介護の状況・特記すべき事項の下書きと、病状の変化の候補を、根拠の訪問日付きで返す
  7. 自動根拠の訪問日が実際の記録にあるかを照合し、報告書の様式に流し込んで担当の看護師に知らせる
  8. 人看護師が病状の変化の候補と記録の欠けを先に確かめ、下書きを直す
  9. 人管理者が目を通して印を押し、主治医へ送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 月が変わったら、看護師が担当の利用者ごとに記録ソフトで前月の訪問の記録を開く
  2. 訪問日を数え、暦に○や◇の印を付ける。特別指示や緊急の訪問は請求ソフトの実績と見比べる
  3. 記録を1回分ずつ読み、病状とADLの変化を拾って「病状の経過」を書く
  4. 実施した処置・ケア・指導を拾って「看護・リハビリテーションの内容」を書く
  5. 家族の介護の状況と、主治医に伝えたいことを「家庭での介護の状況」「特記すべき事項」に書く
  6. 衛生材料の使用量を数えて書く
  7. 管理者が目を通し、印を押して主治医へFAXか郵送で送る

(a)月の初めに集中し、書く時間がない。 1件30分でも、9人分で4時間半です。訪問の予定は月の初めも変わらないので、報告書は夕方の残業で書くことになります。 遅れると、主治医への報告が月の半ばにずれ込みます。

(b)書きぶりが看護師ごとに違う。 ある看護師は箇条書きで3行、別の看護師は文章で半ページ書きます。主治医から見ると、同じステーションの報告書なのに、どこに何が書かれているかが利用者ごとに違います。 管理者が直したくても、7番目で全件を読み直す時間はありません。

(c)記録の書き漏れが、報告書を書くときに見つかる。 3番目で読み返していると、バイタルの欄が空の回、処置をしたのに衛生材料の記録が無い回が出てきます。訪問した看護師に確かめようとしても、2週間以上前の訪問を正確に覚えている人はいません。

(d)変化の拾い方が、読む人によって違う。 1か月分を読むと、少しずつ進んだ変化は見落としやすくなります。 月の初めと終わりで体重が3kg減っていても、毎回の記録には「食欲やや低下」としか書かれていないことがあります。

  1. 【人】 事務が月の初めに、記録ソフトから前月の訪問の記録と訪問の実績をCSVで書き出し、所定のフォルダに置く
  2. 【自動】 利用者ごとに記録を分け、氏名・住所などを仮の番号に置き換える
  3. 【自動】 訪問の実績から、暦の印(○◇△◎□)と訪問の回数をプログラムで作る
  4. 【自動】 衛生材料の使用量、バイタルの最小・最大と月初・月末の値を集計で出す
  5. 【自動】 記録の欠け(訪問日に記録が無い、バイタルの欄が空など)を規則で拾う
  6. 【自動】 Claude API が、病状の経過・看護の内容・家庭での介護の状況・特記すべき事項の下書きと、病状の変化の候補を、根拠の訪問日付きで返す
  7. 【自動】 根拠の訪問日が実際の記録にあるかを照合し、報告書の様式に流し込んで担当の看護師に知らせる
  8. 【人】 看護師が病状の変化の候補と記録の欠けを先に確かめ、下書きを直す
  9. 【人】 管理者が目を通して印を押し、主治医へ送る

8番目が、この設計の分かれ目です。 看護師が最初に見るのは、下書きの文章ではなく病状の変化の候補と記録の欠けの一覧です。変化の候補が本当に変化か、主治医に伝えるべきかは看護師が決めます。ここを飛ばして文章だけを読むと、整った文章に引っぱられて、変化の見落としに気づけません。

3〜5番目をAIに任せないのも、意図してのことです。 暦の印は算定と結びつく情報で、1つの誤りが報告書と請求の食い違いになります。 実績のデータから機械的に作れるものは、機械的に作ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
訪問看護の記録ソフト(訪問ごとの記録・訪問の実績)
   │  事務が月の初めにCSVで書き出す
   ▼【トリガー】所定のフォルダへの保存
Google Apps Script
   ├──▶ 利用者ごとに分割、氏名・住所を仮の番号に置き換え
   ├──▶ 暦の印・訪問回数・衛生材料の集計(AIを使わない)
   ├──▶ 記録の欠けの検出(AIを使わない)
   ▼
Claude API ── 構造化出力でJSON
   │   ① 病状の経過    ② 看護・リハビリテーションの内容
   │   ③ 家庭での介護の状況    ④ 特記すべき事項
   │   ⑤ 病状の変化の候補(いずれも根拠の訪問日付き)
   ▼
Google Apps Script ── 根拠の訪問日の照合、様式への流し込み
   ▼
【担当の看護師が確かめて直す → 管理者が確かめる】
   ▼
主治医へ送付(FAX・郵送。この構成からは送らない)
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(1か月分の記録の要約と、病状の変化の候補の作成。構造化出力)OpenAI API、Gemini API
連携Google Apps Script(分割、仮番号への置き換え、集計、欠けの検出、照合)Power Automate、Make
保管ステーションの共有ドライブ(書き出したCSV、下書き、ログ)SharePoint、Box
記録の本体既存の訪問看護の記録ソフト各社の記録ソフト

記録ソフトは新しく足すものではありません。 使うのは月ごとの書き出しだけで、この構成から記録ソフトへは書き込みません。 下書きを直した最終版の報告書は、看護師が記録ソフトの報告書の画面に貼るか、様式のファイルとして保存します。

様式の土台は、厚生労働省の記載要領です。 令和8年の通知では、報告書の「病状の経過」の欄には利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等を、「看護・リハビリテーションの内容」の欄には実施した指定訪問看護の内容を具体的に、「家庭での介護の状況」の欄には家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等を必要に応じて記入すること、「特記すべき事項」にはそれ以外に主治医に報告する必要のある事項を記入することとされています。AIに書かせる欄と、その欄に書く中身は、ここから決めます。

記録の側の決まりも同じ通知にあります。 訪問ごとに記入する記録書Ⅱには、訪問年月日、訪問時間(実際の開始時刻及び終了時刻)、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等を記入することとされています。記録の欠けを拾う規則は、この項目の並びで作ります。

AIの側の土台は、Claude API の構造化出力です。 output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを渡すと、応答がスキーマに沿ったJSONになります。公式の説明では、数値の範囲(minimum、maximum)はスキーマに書けません。バイタルの値の範囲の点検は、プログラムの側で行います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

事務が前月分のCSVを所定のフォルダに置いたことを起点にします。 記録ソフトの書き出しは月の初めに1回、前月の最終日の訪問の記録が入力し終わってから行います。月末の夜の訪問の記録が翌朝に入力されることがあるため、書き出しは月が変わって2日目の朝にします。

Google Apps Script の時間主導型トリガーで毎朝フォルダを確かめ、新しいCSVがあれば、利用者ごとに順に処理します。 90人分を一度に処理せず、主治医ごとにまとめて看護師に知らせます。主治医ごとにそろえると、同じ医師宛ての報告書を同じ日に送れます。

月の途中で記録を直したときは、その利用者の分だけをもう一度動かせるようにします。フォルダに利用者の番号だけを書いたファイルを置くと、その利用者を再処理する作りです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
訪問ごとの記録訪問年月日、開始・終了時刻、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリの内容、家族の様子記録ソフトの書き出し
訪問の実績訪問日、職種、特別訪問看護指示書による訪問、1日2回以上の訪問、長時間訪問看護加算、緊急の訪問記録ソフトまたは請求ソフトの書き出し
訪問看護計画書看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容記録ソフトの書き出し
指示書の要点指示期間、主たる傷病名、指示の内容記録ソフトの書き出し
前月の報告書前月に主治医へ送った特記すべき事項共有ドライブの最終版
集計の結果暦の印、訪問回数、衛生材料の使用量、バイタルの最小・最大・月初・月末Google Apps Script の計算

質を決めるのは、いちばん上の記録の自由記述の欄です。 「著変なし」だけの回が続くと、下書きも「著変なし」になります。AIは記録に無いことを書けません。 これは欠点ではなく、記録の書き方を見直す手がかりになります。

前月の報告書は、継続して見ている事項を拾うために渡します。 前月に「褥瘡の大きさを継続して観察」と書いたのに、今月の記録にその記載が無ければ、それ自体を記録の欠けとして出します。

計画書の目標は、看護の内容を書く順序を決めるために渡します。 目標と関係する内容から書かせると、主治医が計画書と見比べやすくなります。

Step3

データの取得方法を決める

記録ソフトの月ごとの書き出しを使います。CSVで書き出せない項目は、PDFの書き出しを使わず、その項目を入力から外します。 PDFを読ませると、表の崩れで別の日の記録が混ざることがあります。

取るものどこから何に使うか
訪問ごとの記録記録ソフトのCSV要約の材料
訪問の実績記録ソフトまたは請求ソフトのCSV暦の印と回数。AIには渡さない
計画書の目標と課題記録ソフトのCSV看護の内容の並べ方
指示書の要点記録ソフトのCSV指示の内容と実施の対応
前月の特記事項共有ドライブの前月の最終版継続観察の事項の確認

訪問の実績はAIに渡しません。 暦の印と回数はプログラムで作って様式に流し込み、Claude には「この月の訪問は何回」という値だけを渡します。実績の生のデータを渡すと、回数を数え直して食い違う値を文章に書くことがあります。

1人分の入力は、訪問が12回でも数千字に収まります。長い入力を分割する必要はなく、1人1回の呼び出しで済みます。 1日2回訪問した日の記録は2件のまま渡し、同じ日の別の訪問として区別できるよう、開始時刻を添えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 利用者ごとの分割 … CSVを利用者の番号で分けます
  2. 仮の番号への置き換え … 氏名、住所、電話番号、家族の名前を仮の番号に置き換えます。記録の自由記述に書かれた家族の名前も、名前の一覧で置き換えます
  3. 暦の印と回数 … 実績から、○◇△◎□の印を日ごとに付けます。1日に2回以上訪問した日の◎は、同じ日の実績の件数で決めます
  4. 衛生材料の集計 … 処置に使った衛生材料の名称、交換の頻度、1か月の使用量を集計します
  5. バイタルの集計 … 体温・血圧・脈拍・SpO2・体重の最小・最大と、月初と月末の値を出します
  6. 記録の欠けの検出 … 実績のある訪問日に記録が無い、開始・終了時刻が空、バイタルの欄が空、処置があるのに衛生材料の記録が無い、を拾います
  7. 訪問が1回だけの月の判定 … 継続して訪問している利用者で、その月に1回しか訪問しなかった場合は、記録書Ⅱの複写を報告書としてよいとされているため、Claude を呼ばずに印を付けて看護師に返します

5番目の集計を、AIに渡す材料にするのが大事です。 第3章の(d)の「少しずつ進んだ変化」は、1回ずつの記録からは見えにくく、月初と月末の値を並べると見えます。 その差を言葉にするのはAIですが、差を出すのはプログラムです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、1か月分の記録を4つの欄の下書きにまとめ、病状の変化の候補を拾い、すべての文に根拠の訪問日を付けることです。

欄書く中身根拠の付け方
病状の経過病状とADLの月の流れ。集計で出たバイタルの差変化を書いた訪問日
看護・リハビリテーションの内容実施した処置・ケア・指導・リハビリ。計画書の目標の順実施した訪問日(代表の日)
家庭での介護の状況家族の介護の実施状況、健康状態、療養環境記載のあった訪問日
特記すべき事項上の欄以外に主治医に伝える必要がありそうな事項の候補記載のあった訪問日
病状の変化の候補拾い方
新しく出た症状月の前半に無く、後半に記録された症状
増えた・減った集計で出たバイタルの差、記録の「増加」「減少」
出来事転倒、受診、入院、救急搬送、服薬の変更
前月からの継続事項前月の特記事項について、今月の記録での様子(記載が無いことも含む)
させないこと理由
病状の評価(改善・悪化・安定)看護師が判断する。記録にその言葉があるときだけ写す
主治医に報告すべきかの判断特記事項は「候補」まで。決めるのは看護師
暦の印・回数・衛生材料の量前処理でプログラムが作る
記録に無い処置やケアの記載計画書にあっても、記録に無ければ書かない
診断名や原因の推測「むくみが増えた」は書くが、「心不全の悪化」とは書かない

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 計画書に「服薬の確認」とあると、記録に無い月でも「服薬の確認を行った」と書きます。計画書を渡すのは並べ方を決めるためで、内容の材料ではないことを指示で明記します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは訪問看護ステーションで、主治医に出す月ごとの訪問看護報告書の
下書きを作る担当です。下書きは担当の看護師が確かめて直します。

【書く欄】
- condition_course(病状の経過)……病状とADLの、月の中での流れ
- care_content(看護・リハビリテーションの内容)……実施した処置・ケア・指導・リハビリ
- family_care(家庭での介護の状況)……家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境
- special_notes(特記すべき事項の候補)……上の欄以外で、主治医に伝える必要がありそうな事項

【厳守事項】
- 訪問の記録に書かれていることだけを使ってください。
  計画書は書く順序を決めるためのもので、内容の材料にしないでください。
  計画書にあっても、記録に無い処置やケアは書かないでください。
- すべての文に、根拠にした記録の訪問日を evidence_dates に入れてください。
  根拠の訪問日を示せない文は書かないでください。
- 「改善」「悪化」「安定」「良好」などの評価の言葉は、記録にその言葉がある場合だけ使い、
  そのときは記録の言葉をそのまま使ってください。
- 診断名や、症状の原因を推測して書かないでください。
- 訪問回数、暦の印、衛生材料の量は書かないでください。別の仕組みで記入します。
- バイタルの値の差は、【集計の結果】の値だけを使ってください。自分で計算し直さないでください。
- 病状の変化の候補は changes に入れてください。主治医に報告すべきかは書かないでください。
- 前月の特記事項のそれぞれについて、今月の記録での様子を carry_over に書いてください。
  今月の記録に記載が無ければ、status を not_recorded にしてください。
- 記録が少なく欄が書けないときは、その欄を空にして reason に理由を書いてください。

【この月の訪問回数】{visit_count}
【集計の結果】{computed_stats}
【計画書の目標と課題】{care_plan}
【指示の要点】{order_summary}
【前月の特記事項】{previous_notes}
【訪問ごとの記録】{visit_records}

「根拠の訪問日を示せない文は書かない」を明記しないと、まとめの1文が入ります。 「全体として在宅療養を継続できている」のような、どの記録にも書かれていない総括です。主治医が読むと評価に見えるので、根拠の無い文そのものを禁じます。

「計画書は内容の材料にしない」を最初の厳守事項に置くのも同じ理由です。 計画書と記録の両方を渡すと、Claude は両方を材料として扱います。役割の違いを言葉で書かないと、計画どおりに実施したという報告書ができあがります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "patient_ref": "",
  "month": "",
  "sections": [
    {
      "field": "condition_course | care_content | family_care | special_notes",
      "sentences": [
        { "text": "", "evidence_dates": [] }
      ],
      "reason": ""
    }
  ],
  "changes": [
    { "type": "new_symptom | increase | decrease | event",
      "description": "", "first_seen": "", "evidence_dates": [] }
  ],
  "carry_over": [
    { "previous_note": "", "status": "recorded | not_recorded", "summary": "", "evidence_dates": [] }
  ]
}

1つ目の理由は、文ごとに根拠を照合できることです。 Google Apps Script が evidence_dates の日付を実績の訪問日と突き合わせ、訪問の無い日付を根拠にした文に印を付けます。 印の付いた文は、看護師の画面で色を変えて表示します。

照合の結果扱い
根拠の日付がすべて訪問日そのまま下書きへ
訪問の無い日付が含まれる文に印を付け、看護師が確かめる
evidence_dates が空下書きから外し、ログに残す

2つ目は、文章と変化の候補を分けて持てることです。 看護師の画面では、changes と carry_over の not_recorded、前処理で拾った記録の欠けを一番上に並べ、下書きの文章はその下に置きます。第5章の8番目の順序を、画面の並びで守らせます。

3つ目は、欄ごとの空欄の理由が残ることです。 「家庭での介護の状況」が空で reason に「家族に関する記載なし」とあれば、看護師はそれが本当に無かったのか、書き漏れなのかを考えるきっかけになります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
所定のフォルダGoogle Apps Script の時間主導型トリガー新しいCSVを見つける
Claude APIMessages API の呼び出し1人1回、4つの欄と変化の候補。構造化出力
報告書の様式共有ドライブの様式のファイル暦の印・回数・衛生材料と、下書きを流し込む
担当の看護師主治医ごとにまとめた通知下書きの場所と、変化の候補・欠けの件数
仮の番号の対照表ステーション内の別の場所流し込むときに氏名へ戻す

氏名に戻すのは、様式に流し込むときだけです。 Claude に渡すのは仮の番号の記録で、返ってきた下書きに氏名を入れるのは、ステーションの中の処理です。 対照表は、Claude を呼ぶ処理とは別の場所に置きます。

主治医へは、この構成から送りません。 FAXも郵送も、管理者が印を押した後に人が送ります。送り先を誤ると、別の利用者の病状を別の医師に送ることになり、取り返しがつきません。

Step9

人が確認する

  1. 変化の候補と記録の欠けを先に見る … 担当の看護師が、changes、carry_over の not_recorded、記録の欠けの一覧を確かめます。変化の候補を特記事項に書くかどうかは、ここで決めます
  2. 記録の欠けを埋める … 訪問した看護師に確かめ、記録ソフトの記録を直します。直したら、その利用者を再処理します
  3. 下書きを直す … 印の付いた文を確かめ、評価の言葉と主治医への依頼を看護師が書き足します
  4. 管理者が確かめる … 書きぶりと、特記事項の書き方を見ます

1番目を省かないでください。 下書きの文章は、記録をよくまとめているほど読みやすく、読みやすい文章ほど、書かれていない変化に気づきにくくなります。 変化の候補を先に見ておくと、文章の中で何が足りないかが分かります。

目標は、看護師の確認を1件10分にすることです。 そこに管理者の2分を足して12分です。記録の欠けが多い利用者は10分を超えます。 その月は時間がかかっても、欠けの理由を記録の書き方に返すと、翌月から短くなります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
その月の訪問が1回だけ記録書Ⅱの複写を報告書としてよいとされている。Claude を呼ばずに看護師へ
月の途中で入院・終了した訪問のあった期間だけで作り、changes に出来事として出す
実績のある日に記録が無い記録の欠けとして一覧に出し、その日を根拠にした文を作らせない
記録が「著変なし」だけ欄を空にして reason に書かせる。総括の文で埋めない
記録に家族の名前が残っていた置き換えの一覧に足し、その利用者を再処理する
理学療法士等の訪問がある看護の内容と分けて、リハビリの内容として書かせる
精神科訪問看護の利用者様式が別のため、この構成の対象外にして看護師が従来どおり書く
応答がスキーマに合わない1回だけ再実行し、だめなら「下書きなし」で看護師に知らせる
CSVの列が変わった処理を止めて事務に知らせる。記録ソフトの更新の後に起きやすい

7行目は、範囲を決めておくための行です。 精神科訪問看護報告書は、家族等との関係やGAF尺度の欄があり、別紙様式3・4を標準とするとされています。 最初から対象を広げず、通常の報告書で安定してから考えます。

Step11

記録を残す

  • 書き出したCSVと、利用者ごとに分けて置き換えた入力の全文
  • Claude が返したJSONの全文
  • 照合の結果(印を付けた文と、外した文)
  • 看護師が直した後の最終版と、下書きとの差分
  • 記録の欠けとして出した項目と、埋めたかどうか
  • 主治医へ送った日と、送り先

4つ目の差分が、いちばん役に立つ記録です。 看護師がどの欄のどの文を直したかを月ごとに見ると、指示の書き方で直る誤りと、記録の書き方で直る誤りが分かれて見えます。 前者はプロンプトを、後者は記録の書き方の申し合わせを直します。

保存の期間と場所は、ステーションの記録の保存の決まりに合わせます。 入力の全文は病状を含む記録そのものなので、下書きの作業が終わったら、共有ドライブの作業用の場所から記録の保存場所へ移すか、消すかを決めておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:伏せた記録をAIサービスの画面に貼り、下書きと変化の候補を出させる / 1人ごとの下書き
半自動化:上記+CSVの書き出しから、分割・置き換え・集計・欠けの検出・API の呼び出し・照合・様式への流し込みまで / 報告書の下書きと点検の一覧の作成
本格構成:上記+記録ソフトの API で記録を直接取り、最終版を記録ソフトへ戻す / 書き出しと貼り付けの手作業まで

最小構成では、暦の印と衛生材料の集計が手作業のまま残ります。 下書きを確かめるための段階です。 半自動化で、1件30分が12分になり、この段階が本記事の想定です。 暦の印・集計・欠けの検出・下書きが自動になり、看護師が確かめる時間と管理者の確認が残ります。本格構成は、記録ソフトが外部からの読み書きの手段を公開している場合に限られます。 公開していない記録ソフトでは、CSVの書き出しのままで十分です。 段階を飛ばさないでください。 最小構成の5人で、変化の候補に何が出るかを看護師が見ておくと、半自動化の画面で何を一番上に置くべきかが決まります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
90 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  90件 × 30分 ÷ 60 = 45 時間/月
導入後 90件 × 12分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
27h
削減率
60%
年間削減時間
324h
年間金額換算(時間単価3,000円)
97万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 利用者が数十人から百人ほどいて、月末から月初に看護師が報告書を一人ずつ書いている訪問看護ステーション。訪問の記録を訪問看護の記録ソフトやタブレットで入力していて、月ごとにCSVかPDFで書き出せる場合。報告書の書きぶりが看護師ごとに違い、管理者が直す時間がとれていない場合。訪問の記録の書き漏れが、報告書を書く段になって見つかることが多い場合。
向いていない
  1. 訪問の記録が紙の手書きだけで、データとして取り出せない場合。利用者が十数人で、報告書を書く時間そのものが小さい場合。報告書を看護師が読まずにそのまま主治医へ送る運用を考えている場合(この構成は看護師の確認を前提にしています)。なお、病状の評価と主治医への報告の要否の判断は看護師の業務であり、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の報告書を出した利用者から5人を選ぶ(状態が変わった人と、変わらなかった人を両方入れる)
  2. その5人の1か月分の訪問の記録を、氏名・住所・家族の名前を伏せた形で書き出す
  3. 法人として契約しているAIサービスの画面に、1人分の記録を貼る
  4. 「この記録だけを使って、病状の経過・看護の内容・家庭での介護の状況・特記すべき事項の候補を書いてください。すべての文に根拠の訪問日を付けてください。記録に無いことと、評価の言葉は書かないでください。病状の変化の候補は別に一覧にしてください」と指示する
  5. 出てきた下書きを、先月実際に送った報告書と並べて比べる

比べるときに見るのは、文章の上手さではありません。 実際の報告書に書かれていた変化が、変化の候補に出ているかを最初に見ます。

出てきた内容判断
実際の報告書の変化が候補に出たGoogle Apps Script での連携に進む
記録に無い処置や総括の文が入った指示の書き方で直る。構成は有効
記録が短く、ほとんど書けなかった記録の書き方が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、報告書を書くたびに看護師が記憶で補っていた部分があると分かったということです。 記録の自由記述に何を書くかの申し合わせを決めてから、同じ5人で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
記録に無い処置が書かれる計画書は並べ方のためと明記する。 根拠の日付の照合で拾う
根拠の無い総括の文が入る根拠の訪問日を示せない文を禁じ、空の文は外す
評価の言葉が勝手に入る記録にある言葉だけを写させる
回数や暦の印が実績と食い違うAIに書かせない。 プログラムで作って流し込む
少しずつ進んだ変化を拾わない月初と月末の集計を渡す
前月の継続事項が抜ける前月の特記事項を渡し、not_recorded を出させる
記録の中の家族の名前が残る置き換えの一覧を育てる。残っていたら再処理
月末の訪問の記録が入っていない書き出しを月が変わって2日目の朝にする
記録ソフトの更新で列が変わる列の名前を確かめ、違えば止める
看護師が文章だけを読んで送る変化の候補と欠けを画面の一番上に置く
精神科の利用者に通常の様式を使う対象外として最初から外す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「記録に無いことを書く」という同じ失敗で、主治医から見ると、実施していない看護や、していない評価が報告されたことになります。 根拠の訪問日という機械で確かめられる手がかりを、すべての文に付けておくことで止めます。

下から2行目も、早く効いてきます。 下書きの質が上がるほど、看護師は文章を読んで終わりにしがちです。確認の順序を、画面の並びで決めてしまいます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 利用者の病状、バイタル、処置の内容、家族の介護の状況です。病歴や診療の記録に当たる情報で、取り扱いにもっとも注意が要る種類の個人情報です。

  1. 医療・介護の個人情報のガイダンスに沿う … 個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)は、訪問看護ステーションを対象の事業者に含めています。 診療録等の診療記録や介護関係記録に記載された病歴などは要配慮個人情報に当たるとされ、個人データの取扱いを委託する場合は、委託先に対する必要かつ適切な監督が求められています。 外部のAIを使う前に、委託として扱うかを含めて、法人として整理します
  2. 氏名と住所を外へ出さない … 仮の番号に置き換えてから渡し、対照表はステーションの中に置きます。自由記述に残る家族の名前は、置き換えの一覧を育てて減らします
  3. APIのデータの扱いを確かめておく … Claude API の公式の説明では、会話の内容は既定では保持されない一方、Covered Models に指定されたモデルは30日の保持が必要とされ、Files API と Batch 処理はゼロデータ保持(ZDR)の対象外です。この構成は Messages API で直接渡し、Files API と Batch 処理を使いません。 使うモデルが保持を要するかも確かめます
  4. 主治医へ自動で送らない … 送り先の誤りは、別の利用者の病状を別の医師に伝えることになります。送信は、管理者が印を押した後に人が行います
  5. 下書きを評価として扱わない … 下書きは記録をまとめたものにすぎず、病状の評価と主治医への報告の要否は看護師が決めます。 急な変化があれば、報告書を待たずに主治医へ連絡する従来の運用は変えません
  6. 個人の端末とAIサービスの個人契約を使わない … 最小構成で試すときも、法人として契約し、入力が学習に使われない設定を確かめたサービスを使います

誤りが起きた場合のリスクは、記録に無いことが報告されることと、記録にある変化が報告されないことの2つです。 前者は根拠の照合で、後者は変化の候補を先に見る順序で防ぎます。どちらも、看護師が確かめる前提があって初めて効きます。

10まず何から始めるか

1週目:置き換える名前の一覧を作る

利用者、家族、ケアマネジャー、主治医の名前を一覧にします。記録の自由記述に出てくる呼び方(「長女」「お嫁さん」など)は置き換えなくてよいかも、あわせて決めます。

2週目:5人で試す

先月の報告書を出した利用者から、状態が変わった人を含めて5人を選び、伏せた記録で下書きを作らせます。実際の報告書に書いた変化が、変化の候補に出ているかを最優先で見ます。

3週目:記録の書き方を申し合わせる

試した結果、記録が短くて書けなかった欄があれば、訪問の記録の自由記述に何を書くかをステーションで申し合わせます。報告書のためではなく、翌月の自分が読み返せる記録にするための申し合わせです。

4週目:CSVから下書きまでをつなぐ

記録ソフトのCSVを分割・置き換え・集計して、Claude API の下書きを様式に流し込むところまで作ります。この時点では、看護師1〜2名の担当分だけで回します。

2か月目: 根拠の日付の照合と記録の欠けの一覧を足し、全員の担当分に広げます。3か月目以降: 看護師が直した差分を月ごとに見て、指示と記録の申し合わせを直します。下書きの修正が評価の言葉と主治医への依頼の書き足しだけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日保医発0327第10号)が令和8年6月1日から適用され、令和6年の通知が令和8年5月31日限りで廃止されること。報告書の訪問日の暦で、看護職員の訪問日を○、理学療法士等を◇、特別訪問看護指示書に基づく訪問を△、1日に2回以上の訪問を◎、長時間訪問看護加算の日を□で囲むこと。「病状の経過」「看護・リハビリテーションの内容」「家庭での介護の状況」「衛生材料等の使用量および使用状況」「情報提供」「特記すべき事項」の各欄の記入内容。当該月に1回しか訪問しなかった場合に記録書Ⅱの複写を報告書としてよいこと。記録書Ⅱの記入事項。精神疾患を有する者等には別紙様式3・4を標準とすること厚生労働省: 訪問看護計画書等の記載要領等について(保医発0327第10号)2026-10-15
ガイダンスが令和8年4月に一部改正されていること。訪問看護ステーションが対象の事業者に含まれること。診療記録や介護関係記録に記載された病歴などが要配慮個人情報に当たること。個人データの取扱いを委託する場合に委託先の必要かつ適切な監督が求められること個人情報保護委員会: 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス2026-10-15
構造化出力を output_config.format に type: "json_schema" で指定すること。数値の範囲(minimum、maximum)が使えないことClaude Docs: Structured outputs2026-10-15
会話の内容が既定では保持されないこと。Covered Models は30日の保持が必要でZDRの対象外であること。Files API と Batch 処理がZDRの対象外であることClaude Docs: API and data retention2026-10-15

病状の評価と主治医への報告の要否は、看護師が判断してください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1611)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次