Media > AI活用ユースケース > カスタマーサポート > 居宅介護支援事業所で手書きされるアセスメント票を読み取り、ADL・IADL・生活の状況を介護ソフトの入力項目にそろえて、空欄と前回からの変化を拾う

居宅介護支援事業所で手書きされるアセスメント票を読み取り、ADL・IADL・生活の状況を介護ソフトの入力項目にそろえて、空欄と前回からの変化を拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

ケアマネジャーが利用者の自宅で手書きしたアセスメント票を読み取り、ADL・IADL・生活の状況を介護ソフトの課題分析の入力項目にそろえた案を作ります。標準項目の空欄と、前回のアセスメントから変わった項目を、根拠の記述付きで拾います。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
AIサービス
AWS Textract/Azure AI/Google Document AI
連携・自動化
Python
対象業界
介護/自治体
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック
主な課題
入力作業が多い/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
入力漏れ削減/判断支援/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
60%
年間削減
432h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. ケアマネジャーが利用者の自宅でアセスメント票に記入する
  2. 事業所に戻り、介護ソフトの課題分析の画面を開く
  3. アセスメント票を見ながら、選択欄と自由記述を画面の項目に打ち込む
  4. 前回のアセスメントを介護ソフトで開き、項目ごとに見比べる
  5. 書き漏れの欄に気づいたら、利用者や家族に電話で聞くか、次の訪問で聞く
  6. 課題の分析をまとめ、ケアプランの原案に進む
導入後(After)
  1. 人ケアマネジャーがこれまでどおり自宅でアセスメント票に記入する
  2. 人事業所に戻り、複合機で票をスキャンする
  3. 自動スキャンの PDF が保管先に入ったことをきっかけに処理が動く
  4. 自動読み取りのモデルが、選択欄の状態と自由記述の欄の文字を、信頼度付きで返す
  5. 自動生成AIが、自由記述を介護ソフトの課題分析の入力項目に振り分ける(原文を写したまま)
  6. 自動欄と標準項目の対応表から、空欄の標準項目を拾う
  7. 自動前回のアセスメントのデータと比べ、選択欄の段階が変わった項目と、記述の内容が変わった項目を、根拠の記述付きで並べる
  8. 人ケアマネジャー本人が、入力項目の案と変化の一覧を票の画像と並べて確かめ、直す
  9. 人確かめた案を介護ソフトに反映する
  10. 人空欄の標準項目について、聞き取りの段取りをする
  11. 人変化の一覧を手元に置いて、課題の分析とケアプランの検討に進む
各工程の詳しい説明を読む
  1. ケアマネジャーが利用者の自宅でアセスメント票に記入する
  2. 事業所に戻り、介護ソフトの課題分析の画面を開く
  3. アセスメント票を見ながら、選択欄と自由記述を画面の項目に打ち込む
  4. 前回のアセスメントを介護ソフトで開き、項目ごとに見比べる
  5. 書き漏れの欄に気づいたら、利用者や家族に電話で聞くか、次の訪問で聞く
  6. 課題の分析をまとめ、ケアプランの原案に進む

(a)打ち込み直しに時間がとられる。 4枚の票の自由記述を画面の項目に打ち込むのに、1件で十数分かかります。ケアマネジャーが最も時間を使いたいのは6番のケアプランの検討ですが、その前の転記で時間が削られます。

(b)票の欄と画面の項目が一致していない。 自宅では話の流れで記入するので、健康状態の欄に服薬の話が、生活リズムの欄に排泄の話が書かれることがあります。打ち込むときに、どの項目に入れるかをその都度判断しています。

(c)書き漏れに気づくのが後になる。 標準項目の口腔内の状況や、家族等の状況の欄が空いたまま事業所に戻ることがあります。打ち込みの途中で気づいても、もう一度電話をかけるか、次の訪問まで待つしかありません。

(d)前回との見比べが省かれる。 4番は大事な作業ですが、打ち込みで時間を使った後なので、目立つ変化だけを見て終わりがちです。 歩行が「見守り」から「一部介助」に変わった、といった1段階の変化が見落とされます。

  1. 【人】 ケアマネジャーがこれまでどおり自宅でアセスメント票に記入する
  2. 【人】 事業所に戻り、複合機で票をスキャンする
  3. 【自動】 スキャンの PDF が保管先に入ったことをきっかけに処理が動く
  4. 【自動】 読み取りのモデルが、選択欄の状態と自由記述の欄の文字を、信頼度付きで返す
  5. 【自動】 生成AIが、自由記述を介護ソフトの課題分析の入力項目に振り分ける(原文を写したまま)
  6. 【自動】 欄と標準項目の対応表から、空欄の標準項目を拾う
  7. 【自動】 前回のアセスメントのデータと比べ、選択欄の段階が変わった項目と、記述の内容が変わった項目を、根拠の記述付きで並べる
  8. 【人】 ケアマネジャー本人が、入力項目の案と変化の一覧を票の画像と並べて確かめ、直す
  9. 【人】 確かめた案を介護ソフトに反映する
  10. 【人】 空欄の標準項目について、聞き取りの段取りをする
  11. 【人】 変化の一覧を手元に置いて、課題の分析とケアプランの検討に進む

8番目を、記入したケアマネジャー本人に置くのが、この設計の要です。 票に書いたことの意味を一番よく分かっているのは、話を聞いた本人です。別の職員が確かめると、記述の意味を取り違えたまま介護ソフトに入ります。

7番目で機械が出すのは「変わった」という事実と根拠の記述までです。 歩行が「見守り」から「一部介助」に変わったことは機械が拾えますが、それが一時的なものか、サービスを見直すべき変化かは、ケアマネジャーが判断します。

02今回想定するシステム構成

構成図
ケアマネジャーが自宅で手書きしたアセスメント票(紙・4枚)
   │  事業所の複合機でスキャン
   ▼【トリガー】保管先(Blob Storage)への PDF の保存
Azure Functions(保存を起点に動く処理)
   ▼
Azure AI Document Intelligence(カスタム テンプレート モデル)
   │   ADL・IADL の選択欄の状態、自由記述の欄の文字、信頼度
   ▼
Azure OpenAI ── 自由記述を介護ソフトの入力項目に振り分ける(原文を写す)
   ▼
Azure Functions ── 照合と比較
   │   ① 欄と課題分析標準項目の対応表で空欄を拾う
   │   ② 前回のアセスメントと比べて変化を並べる
   ▼
入力項目の案 + 空欄の一覧 + 変化の一覧
   ▼
【記入したケアマネジャー本人が確認・修正】
   ▼
介護ソフト(取り込み機能、または画面への転記)
役割想定する製品代替候補
OCRAzure AI Document Intelligence(カスタム テンプレート モデル)Google Document AI(Form Parser)、AWS Textract(英文の書類に限る。日本語のアセスメント票には使えない)
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude API
差異計算前回との比較と空欄の照合(Python。Azure Functions で動かす)─
連携Azure Functions(Blob Storage のトリガー)Azure Logic Apps
保管Azure Blob Storage(票の画像と読み取り結果)事業所のファイルサーバー

介護ソフトは、新しく足すものではありません。 入力項目の案を介護ソフトへ入れる方法は、製品が課題分析のデータの取り込み機能(CSV など)を持つかどうかで変わります。 取り込み機能があればその形式で書き出し、無ければ、案を画面の項目の順に並べた一覧を横に置いて転記します。どちらの場合も、介護ソフトへ入れるのはケアマネジャーが確かめた後です。

読み取りの中心は、Azure AI Document Intelligence のカスタム テンプレート モデルです。 公式のページでは、ラベル付けしたキーと値、選択マーク、表、領域、署名を取り出せるモデルで、決まった見た目の様式を持つ文書に向くとされています。事業所のアセスメント票は様式が1つで、ADL・IADL の選択欄が多いので、選択マークを扱えることが決め手になります。手書きの文字の対応言語には日本語が含まれます。

様式を変えると精度が落ちる点に注意します。 公式のページでは、テンプレート モデルは決まった見た目に頼るので、様式が変わると精度が落ち、様式ごとに見本を少なくとも5つ用意してモデルを分けるよう書かれています。票の様式を改訂したら、見本を作り直して学習し直します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

スキャンした PDF が保管先(Azure Blob Storage)に入ったことを起点にします。 ケアマネジャーは訪問から戻ったときに、その日の票をまとめてスキャンします。スキャンから数分で入力項目の案がそろえば、記憶が新しいうちに確かめられます。

起点の仕組みは Azure Functions の Blob Storage のトリガーです。公式のページでは、イベント方式とポーリング方式があり、遅れの小さいイベント方式が推奨され、ポーリング方式は従量課金のプランで最大10分の遅れが出うるとされています。記憶が新しいうちに確かめたいので、イベント方式にします。 ファイル名の先頭に利用者の番号とアセスメントの日付を入れる決まりにします。 介護ソフトの利用者の番号と照らすためで、氏名をファイル名に入れないことも決まりに含めます。

前回のアセスメントのデータは、介護ソフトから書き出したものを使います。 書き出しの方法は製品によるので、利用者ごとの最新の課題分析を、毎晩または必要なときに書き出す段取りを、事業所の介護ソフトの機能に合わせて決めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
アセスメント票の画像スキャンした PDF(4枚)事業所の複合機 → 保管先
読み取り結果ADL・IADL の選択欄の状態、自由記述の欄の文字、信頼度Azure AI Document Intelligence
欄と項目の対応表票の欄 → 介護ソフトの入力項目 → 課題分析標準項目の番号事業所で作る表
前回のアセスメント同じ利用者の直前の課題分析の項目の値介護ソフトの書き出し
アセスメントの理由初回・更新・区分変更・退院など票の選択欄

質を決めるのは、欄と項目の対応表です。 票の「健康状態」の欄が、介護ソフトのどの項目に当たり、課題分析標準項目の何番に当たるかを、1欄ずつ書きます。この表が無いと、空欄を拾うことも、記述を振り分けることもできません。

課題分析標準項目は、令和5年10月16日の介護保険最新情報 Vol.1178 で一部改正されています。 基本情報に関する項目(No.1〜9)と課題分析に関する項目(No.10〜23)の名前と主な内容の例が示されているので、対応表は改正後の項目名で作ります。 たとえば No.13 は「認知機能や判断能力」、No.14 は「コミュニケーションにおける理解と表出の状況」、No.18 は「口腔内の状況」です。

Step3

データの取得方法を決める

読み取りは、Azure Functions からカスタム テンプレート モデルを呼ぶだけです。モデルの学習には、事業所の票で、選択欄に印の付いたもの・付いていないもの、自由記述が多いもの・少ないものを混ぜた見本を使います。

取るものどこから何に使うか
ADL・IADL の選択欄の状態と信頼度選択マークの項目段階の値、前回との比較
自由記述の欄の文字と信頼度ラベル付けした領域の項目入力項目への振り分け
利用者の番号・日付・アセスメントの理由ラベル付けした項目前回のデータとの照合
単語ごとの信頼度ページの単語読めない記述の切り分け

選択欄は「1つの項目に4つの選択マーク」としてラベル付けします。 「歩行」なら、自立・見守り・一部介助・全介助の4つです。公式のページでは、選択マークの項目については、項目の信頼度と選択マークの信頼度をあわせて見ることが全体の確からしさをよく表すとされています。4つのうち2つに印がある、どれにも無い、という状態も、ここで拾います。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ページの確認 … 4枚そろっているか、順番が合っているかを確かめます。欠けていれば人へ回します
  2. 向きと寸法の確認 … 画像は50×50〜10,000×10,000ピクセル、文字の最小の高さは1024×768の画像で12ピクセル(150dpiで約8ポイント)です。自由記述は小さな字で詰めて書かれがちなので、300dpiでそろえます
  3. ファイルの大きさとページ数 … 有料(S0)レベルで500MB、PDF は2,000ページまで、無料(F0)レベルは最初の2ページだけです。試すときに無料のレベルを使うと、3枚目と4枚目が読まれません
  4. 利用者の番号の照合 … ファイル名の利用者の番号が介護ソフトの書き出しにあるかを確かめます
  5. 氏名などの欄の扱い … 生成AIに渡す前に、氏名・住所・電話番号の欄の文字を外します

5番目は、第13章の扱いと対になる前処理です。 振り分けに要るのは自由記述の内容で、氏名や住所は要りません。 読み取りの結果のうち、基本情報の欄は生成AIへ渡さず、介護ソフトの書き出しの値と照らすだけにします。

Step5

AIに処理させる

読み取りのモデルにさせるのは、選択欄の状態と自由記述の文字を返すことだけです。 生成AIにさせるのは、自由記述の文を介護ソフトの入力項目に振り分けることだけです。空欄の照合と前回との比較は、プログラムで行います。

見るもの誰がするか判定の仕方
ADL・IADL の段階読み取りのモデル → 規則4つの選択マークのうち1つだけが選ばれていれば、その段階
自由記述の振り分け生成AI文ごとに、どの入力項目に当たるかを決め、原文を写す
標準項目の空欄規則対応表の標準項目に当たる欄・入力項目が空か
選択欄の変化規則前回の段階と比べて変わったか
記述の変化生成AI → 人前回の記述と今回の記述で内容が変わった項目を、両方の原文付きで並べる

振り分けは「文を移す」だけで、書き換えはさせません。 健康状態の欄に書かれた「血圧の薬を朝夕。飲み忘れあり、娘が週末に確認」を、服薬に関する内容として「健康状態」の項目の服薬の部分に入れるのが振り分けです。「服薬管理に課題あり」と要約させると、ケアマネジャーが聞き取った具体的な状況が消えます。

させないこと理由
課題の分析・ニーズの判断ケアマネジャーの専門の判断。機械は材料を並べるだけ
書かれていない内容の補完空欄を前回の記述で埋めると、今回聞いていないことが記録に残る
記述の要約・言い換え聞き取った具体的な状況が消える
選択欄の段階の推測印が2つ・0個のときに、記述から段階を決めない
変化の意味づけ一時的か、サービスを見直すべきかは人が判断する

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 今回の票で口腔内の状況の欄が空のとき、前回の記述を入れておけば、介護ソフトの画面は埋まります。埋めた瞬間、今回は聞いていないことが「今回のアセスメントの結果」として残ります。 空欄は空欄のまま、空欄の一覧に出します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは居宅介護支援事業所で、ケアマネジャーが手書きしたアセスメント票の記述を、
介護ソフトの課題分析の入力項目に振り分ける補助をします。
渡すのは、票の自由記述の欄から読み取った文字列と、入力項目の一覧だけです。
書かれていることを入力項目に振り分けて写してください。推測で補わないでください。

【入力項目の一覧】{target_items}
(例:health / adl_note / iadl_note / cognition / communication / daily_rhythm /
 excretion / hygiene / oral / eating / social / family / housing / special_notes)

【厳守事項】
- 文の単位で振り分け、原文を original にそのまま写してください。
  要約・言い換え・語尾の整えをしないでください。
- 1つの文が複数の項目に当たる場合は、それぞれの項目に同じ原文を写し、
  multi_assigned を true にしてください。
- どの項目にも当たらない文は unassigned に入れてください。無理に振り分けないでください。
- 読めない文字は「■」に置き換え、unreadable を true にしてください。
  前後から推測して埋めないでください。
- 書かれていない項目は、空の配列のままにしてください。
  一般的な内容や、ありそうな内容で埋めないでください。
- 課題・ニーズ・望ましいサービス・リスクの評価は書かないでください。
- source_field には、その文が書かれていた票の欄の名前を入れてください。

【票の欄ごとの読み取り結果】{fields_text}
【読み取りの信頼度】{fields_confidence}

「どの項目にも当たらない文は無理に振り分けない」を明記しないと、どこかに押し込みます。 雑談の中で聞いた「孫が来月結婚する」を「家族等の状況」に入れるか、記録に残さないかは、ケアマネジャーが決めることです。 unassigned に残しておけば、本人が判断できます。

source_field を残させるのは、確かめを速くするためです。 票のどの欄から来た文かが分かれば、画像の該当箇所をすぐに開けます。

記述の変化の並べ方も、同じ形で指示します。 前回の項目ごとの記述と、今回振り分けた原文を渡し、内容が変わったと読める項目について、両方の原文を並べるだけにさせます。「悪化」「改善」といった評価の言葉は書かせません。

Step7

出力形式を固定する

生成AIの振り分けは、Azure OpenAI の構造化出力で受け取ります。 公式のページでは、response_format に json_schema を指定して strict: true にし、すべての項目を必須にして、オブジェクトに additionalProperties: false を付ける必要があるとされています。読み取りと比較の結果と合わせて、利用者1件ごとに次の形にまとめます。

{
  "assessment_id": "U0217_2026-10-09",
  "user_no": "U0217",
  "reason": "renewal",
  "adl": [
    { "item": "walking", "level": "watch | partial | full | independent | unclear",
      "previous": "watch", "changed": false, "confidence": 0 }
  ],
  "assigned": [
    { "target": "health", "original": "", "source_field": "",
      "multi_assigned": false, "unreadable": false }
  ],
  "unassigned": [ { "original": "", "source_field": "" } ],
  "blank_standard_items": [ { "no": 18, "name": "口腔内の状況" } ],
  "text_changes": [
    { "target": "eating", "previous_original": "", "current_original": "" }
  ],
  "verdict": "ready | check"
}

1つ目の理由は、level に unclear を持てることです。 4つの選択マークのうち2つに印がある、どれにも無い、信頼度が低い、のどれかなら unclear にします。段階を推測で決めずに、ケアマネジャーに選んでもらいます。

2つ目は、blank_standard_items に標準項目の番号と名前を出せることです。 「18番の口腔内の状況の欄が空」と出れば、次の訪問で何を聞けばよいかがそのまま分かります。

3つ目は、text_changes で前回と今回の原文を並べられることです。 評価の言葉を入れず、2つの原文を並べるだけにしておけば、変化の意味を読むのはケアマネジャーのままです。

条件verdict
unclear の項目も、unreadable の文も、unassigned の文も無いready(確かめて反映するだけ)
どれかがあるcheck(画像を見て決める項目がある)
blank_standard_itemsverdict とは別に、聞き取りの段取りの一覧に出す
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
保管先(Blob Storage)Azure Functions のトリガー票の PDF の保存を検知する
Azure AI Document IntelligenceAPI呼び出し選択欄・自由記述・信頼度を返す
Azure OpenAIAPI呼び出し(構造化出力)自由記述の振り分けと、記述の変化の並べ
介護ソフト前回の課題分析の書き出しを読む前回との比較
介護ソフト確かめた案を取り込み機能、または画面への転記で入れる今回の課題分析

介護ソフトへは、確かめる前に入れません。 課題分析のデータはケアプランと給付管理の元になるので、読み取りや振り分けの誤りがそのまま入ると、後の書類まで誤りが広がります。

Step9

人が確認する

記入したケアマネジャー本人が、全件を確かめます。 打ち込みは無くなりますが、確かめを省く設計にはしません。

  1. unclear の選択欄を画像で見て、段階を選ぶ
  2. unassigned と multi_assigned の文を見て、入れる項目を決める
  3. 振り分けの案を票の画像と並べて流し読みする … 原文がそのまま写っているので、読み違いの文字だけを直します
  4. 変化の一覧を見る … 選択欄の段階の変化と記述の変化を、課題の分析の材料として手元に置きます
  5. 空欄の標準項目の聞き取りを段取りする … 電話で聞くか、次の訪問で聞くかを決めます
  6. 確かめた案を介護ソフトに入れる

全件を確かめても時間が減るのは、打ち込みと見比べが無くなるからです。 確かめは「票の画像と案を並べて流し読みし、迷いだけを決める」作業で、画面に1項目ずつ打ち込む作業より短く済みます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
4枚のうち欠けたページがある人へ回し、スキャンし直す
選択欄に印が2つあるunclear。記述から段階を決めない
余白や欄外に書き足しがある領域の外の文字は拾われないことがある。確かめのときに画像で見る
前回のアセスメントが介護ソフトに無い(初回)比較をせず、空欄の照合だけを出す
利用者の番号が介護ソフトの書き出しに無い処理を止めて人へ回す
様式の古い版の票が混ざる読み取りの文書の種類の信頼度が下がる。新しい様式を使ってもらう
読めない文字が多いunreadable の文が多ければ、解像度を上げてスキャンし直す
読み取りや生成AIが応答しない既定で合計5回やり直し、すべて失敗すると webjobs-blobtrigger-poison キューに入る。このキューを「未処理」として本人の一覧に出す

3行目は、手書きの票では必ず起きます。 話の流れで欄の外に書き足すのは自然なことです。確かめのときに画像の全体を一度見ることを、手順に入れておきます。

最後の行は、Azure Functions の仕組みで受けます。 公式のページでは、Blob Storage のトリガーの関数が失敗すると既定で合計5回やり直し、すべて失敗すると上のキューにメッセージが入るとされています。このキューを見ずにいると、スキャンしたのに案が出てこない票が、本人が気づくまで放置されます。 同じファイルを二度処理しないための受領記録(blob receipts)も持つとされているので、読み直したい票は、その記録を消してやり直します。

Step11

記録を残す

  • 票の画像と、スキャンした日時・ケアマネジャー
  • 読み取りの結果の JSON の全文
  • 生成AIの振り分けの結果と、そのとき使った対応表と入力項目の一覧の版
  • ケアマネジャーが直した記録 … 振り分けの先を変えた、段階を選んだ、文字を直した
  • 空欄の標準項目と、聞き取りを終えた日

紙の票は、これまでどおり事業所の決まりで保存します。 この構成の画像と読み取りの結果は、介護ソフトに入れるまでの作業用の写しとして扱い、保存の期間を決めて消します。

04実装レベルの3段階

最小構成:Studio でモデルを学習させ、票を手で読ませ、振り分けを生成AIの画面で試す / 読み取りと振り分けの確からしさの確認
半自動化:上記+保存を起点に自動で読み、振り分け・空欄の照合・前回との比較を出す / 読み取り・振り分け・空欄と変化の一覧
本格構成:上記+確かめた案を介護ソフトの取り込み機能の形式で書き出し、空欄の聞き取りの予定を訪問の予定と結びつける / 介護ソフトへの受け渡しと、聞き取りの段取りまで

半自動化で、1件30分が12分になり、この段階が本記事の想定です。 打ち込みの①と見比べの②が機械に移り、人に残るのは確かめと、迷いの判断と、介護ソフトへの反映です。 本格構成は、介護ソフトが取り込み機能を持つかで決まります。 取り込みができない製品では、確かめた案を見ながらの転記が残ります。それでも、どの項目に何を入れるかを考えずに写すだけになるので、打ち込みより短く済みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  120件 × 30分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 120件 × 12分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
36h
削減率
60%
年間削減時間
432h
年間金額換算(時間単価3,000円)
130万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. ケアマネジャーが利用者の自宅でアセスメント票に手書きで記入し、事業所に戻ってから介護ソフトの課題分析の画面に打ち込み直している居宅介護支援事業所。初回・更新・区分変更・退院などで毎月まとまった件数のアセスメントがあり、打ち込みに時間をとられてケアプランの検討に回す時間が足りない場合。アセスメント票の様式を事業所で決めている場合。
向いていない
  1. アセスメントをタブレットで介護ソフトに直接入力していて、紙の票がほとんど無い場合。ケアマネジャーが1〜2名で、件数が月に数件の場合。Azure のサービスを契約・運用する体制が無く、利用者の情報を外部のサービスで処理することについて事業所の方針が決まっていない場合。なお、利用者の課題の分析とケアプランの内容の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月のアセスメント票から、初回・更新・退院を混ぜて10件分を選ぶ(氏名・住所の欄は試しの前に黒く塗る)
  2. Document Intelligence Studio で、5件分に選択欄・自由記述の領域をラベル付けする
  3. カスタム テンプレート モデルを学習させる
  4. 残りの5件を読ませ、選択欄の段階と自由記述の文字を、介護ソフトに入っている値と見比べる
  5. 自由記述の振り分けを、Azure OpenAI に第7章の指示で試させ、振り分けの先が妥当かをケアマネジャーが見る

4番の見比べは、記入したケアマネジャー本人が行ってください。 読み違いの文字が、意味の取れる読み違いか、まったく別の意味になる読み違いかは、書いた本人でないと分かりません。

出てきた内容判断
選択欄の段階がほぼ合い、記述の読み違いが少ない振り分けと比較の作り込みに進む
選択欄の印が欄からはみ出して読めない様式の選択欄を大きくする
自由記述の読み違いが多い解像度を上げる。詰めて書く欄を広げる
振り分けで要約や言い換えが混ざる指示を直す。原文を写すことを繰り返し書く

2行目と3行目は、様式を直すほうが早く効きます。 自宅で書きやすい様式と、機械が読みやすい様式は、多くの場合同じです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
空欄を前回の記述で埋めてしまう埋めない。 空欄は空欄の一覧に出す
振り分けで要約・言い換えが混ざる原文を写すことを指示に繰り返し書く
選択欄の印が2つあるのに段階が決まるunclear にし、本人に選ばせる
対応表が旧い標準項目の名前のまま介護保険最新情報 Vol.1178 の改正後の項目名で作る
欄外の書き足しが拾われない確かめのときに画像の全体を一度見る
3枚目以降が読まれない無料のレベルは最初の2ページだけ。試すときに注意
別の職員が確かめて意味を取り違える記入したケアマネジャー本人が確かめる
変化の一覧に「悪化」などの評価が入る前回と今回の原文を並べるだけにする
氏名・住所まで生成AIに渡してしまう基本情報の欄は外し、利用者の番号で照らす
介護ソフトに取り込めない製品の機能を先に確かめる。無ければ転記用の一覧にする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「画面を早く埋めたい」という同じ動機から出ています。埋めずに空欄を示し、書き換えずに原文を写す。この2つで、記録が聞き取った事実のままになるかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 利用者の健康状態・既往歴・服薬、ADL・IADL、認知機能、家族等の状況、居住環境、そして特に留意すべき状況(虐待、経済的困窮など)の記述です。

  1. 要配慮個人情報として扱う … 個人情報保護法では、病歴を含む個人情報は要配慮個人情報とされています。アセスメント票の健康状態や既往歴の記述はこれに当たります。外部のサービスで処理することについて、事業所の方針、契約で定めるデータの扱い、利用者への説明を先にそろえてください
  2. 生成AIに渡す範囲を絞る … 氏名・住所・電話番号などの基本情報の欄は渡さず、振り分けに要る自由記述だけを渡します。照合は利用者の番号で行います
  3. 特に留意すべき状況の記述は、確かめを厚くする … 虐待や経済的困窮に関わる記述は、読み違いや振り分けの誤りの影響が大きい情報です。これらの欄に記述がある票は、verdict にかかわらず本人が画像の全体を見る決まりにします
  4. 課題の分析をAIに任せない … 機械が出すのは、空欄と変化と振り分けの案までです。利用者の課題とニーズ、ケアプランの内容は、ケアマネジャーが利用者・家族と話し合って決めることです
  5. 作業用の写しの保存期間を決める … 票の画像と読み取りの結果は、介護ソフトに入れた後に残し続ける必要がありません。保管先の保存期間を決め、期限が来たら消します
  6. 閲覧できる人を限る … 保管先と確認の一覧は、担当のケアマネジャーと管理者だけが見られるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、聞いていないことが記録に残ることと、聞き取った具体的な状況が要約で消えることの2つです。 前者は空欄を前回の記述で埋めると起き、後者は振り分けで言い換えを許すと起きます。どちらも、原文を写し、空欄を空欄のまま示す決まりで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:方針と対応表をそろえる

利用者の情報を外部のサービスで処理することについて、法人の方針、契約で定めるデータの扱い、利用者への説明の仕方を確かめます。あわせて、票の欄 → 介護ソフトの入力項目 → 課題分析標準項目の番号の対応表を、改正後の項目名で作ります。

2週目:10件で試す

氏名・住所を塗った票10件分で、5件をラベル付けして学習させ、残りを読ませます。記入したケアマネジャー本人が、選択欄の段階と記述の読み違いを見ます。

3週目:振り分けの指示を固める

読み取った自由記述を Azure OpenAI に振り分けさせ、要約や言い換えが混ざらないか、どこにも当たらない文を押し込んでいないかを見て、指示を直します。

4週目:保存から一覧までをつなぐ

保存を起点に読み取り、振り分け、空欄の照合、前回との比較を出すところまで作ります。この時点では介護ソフトへの反映はこれまでどおり手で行い、案と見比べます。

2か月目: 案を見ながら介護ソフトに反映する運用に切り替え、本人が直した件数と、空欄の標準項目の件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件30分が何分になったかを実測し、介護ソフトの取り込み機能が使えるかを確かめます。本人の直しがほとんど出なくなり、前回との見比べがケアプランの検討の材料として定着した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
カスタム テンプレート モデルがキーと値・選択マーク・表・領域・署名を取り出し、決まった見た目の文書に向くこと。様式が変わると精度が落ち、様式ごとに見本を5つ以上用意してモデルを分けること。入力の形式、PDF 2,000ページ(無料は最初の2ページ)、S0 で500MB、画像が50×50〜10,000×10,000ピクセル、文字の最小の高さが1024×768で12ピクセルMicrosoft Learn: Custom template document model2026-10-14
カスタム テンプレート モデルの手書きの文字の対応言語に日本語が含まれることMicrosoft Learn: Language support for custom models2026-10-14
選択マークに信頼度が返り、選択マークを含む項目は項目の信頼度と選択マークの信頼度をあわせて見ると全体の確からしさをよく表すこと。信頼度で自動採用か人の確認かを分けられることMicrosoft Learn: Interpret and improve model accuracy and confidence scores2026-10-14
Azure OpenAI の構造化出力が response_format の json_schema と strict: true で指定し、すべての項目を必須にして additionalProperties: false を付ける必要があることMicrosoft Learn: How to use structured outputs with Azure OpenAI2026-10-14
Blob Storage のトリガーにイベント方式とポーリング方式があり、イベント方式が推奨されること。ポーリング方式は従量課金のプランで最大10分の遅れが出うること。失敗時は既定で合計5回やり直し、すべて失敗すると webjobs-blobtrigger-poison キューに入ること。blob receipts で同じファイルを二度処理しないことMicrosoft Learn: Azure Blob storage trigger for Azure Functions2026-10-14
介護保険最新情報 Vol.1178(令和5年10月16日、老認発1016第1号)で「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」が一部改正されたこと。課題分析標準項目が基本情報に関する項目(No.1〜9)と課題分析(アセスメント)に関する項目(No.10〜23)からなり、No.11 がADL、No.12 がIADL、No.13 が認知機能や判断能力、No.14 がコミュニケーションにおける理解と表出の状況、No.18 が口腔内の状況、No.23 がその他留意すべき事項・状況(虐待、経済的困窮など)であること厚生労働省: 介護保険最新情報 Vol.11782026-10-14
要配慮個人情報の定義に病歴が含まれること(個人情報の保護に関する法律 第2条第3項)e-Gov 法令API: 個人情報の保護に関する法律2026-10-14

利用者の情報を外部のサービスで処理することの可否と、アセスメントの記録の扱いは、法人の方針と契約、必要に応じて保険者や専門家に確かめてください。 本記事は Microsoft Learn、厚生労働省、e-Gov 法令API で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1449)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次