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各部署から集まるメモ・写真の説明・イベントの記録から毎月の社内報の記事を下書きし、表記ルールと個人情報の載せ方の点検まで済ませる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

各部署から投稿フォームで集まるメモ・写真の説明・イベントの記録から、毎月の社内報の記事を下書きします。下書きには、社内の表記ルールに合わない箇所と、個人の情報の載せ方で確かめるべき箇所の一覧を添えます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
その他/小売/建設/物流/製造
対象部門
総務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
67%
年間削減
240h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 毎月1日に、各部署の担当者へ材料の提出を依頼するメールを送る
  2. 15日の締切までに、メールに添付されたメモと写真が届く
  3. 広報担当が材料を読み、足りない情報を部署の担当者に問い合わせる
  4. 記事の見出し・リード文・本文・写真の説明文を書き起こす
  5. 表記ルールの一覧を見ながら、書いた記事を読み直して直す
  6. 登場する人の名前・写真・家族や健康の話について、載せてよいかを部署に確かめる
  7. 総務部長の確認を経て、SharePoint のニュースと印刷版に載せる
導入後(After)
  1. 人各部署の担当者が、Microsoft Forms の投稿フォームで材料を出す(題材、メモ、写真のファイル名と説明、登場する人と掲載の了承の有無)
  2. 自動投稿のたびに Power Automate が回答を取り、SharePoint のリストに1行として載せる
  3. 自動同じタイミングで、Azure OpenAI に材料と表記ルールと点検の決まりを渡し、下書きと点検の結果をJSONで受け取る
  4. 自動下書きと点検の結果をリストの同じ行に書き戻し、広報担当に通知する
  5. 人広報担当が、点検の一覧の「個人の情報」と「材料に無い内容」を先に見て、部署に確かめることを決める
  6. 人下書きを直し、表記の指摘を受け入れるか決める
  7. 人総務部長の確認を経て、SharePoint のニュースと印刷版に載せる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 毎月1日に、各部署の担当者へ材料の提出を依頼するメールを送る
  2. 15日の締切までに、メールに添付されたメモと写真が届く
  3. 広報担当が材料を読み、足りない情報を部署の担当者に問い合わせる
  4. 記事の見出し・リード文・本文・写真の説明文を書き起こす
  5. 表記ルールの一覧を見ながら、書いた記事を読み直して直す
  6. 登場する人の名前・写真・家族や健康の話について、載せてよいかを部署に確かめる
  7. 総務部長の確認を経て、SharePoint のニュースと印刷版に載せる

(a)材料から記事にするまでが長い。 3行のメモから400字の記事を書くには、何があったのか、誰が関わったのか、なぜ載せるのかを読み取って組み立てる必要があります。1本書くのに30〜40分かかり、30本で広報担当2名の月の半分近くが消えます。

(b)表記が担当者で揺れる。 「1か月」「一ヶ月」「1カ月」、「第一工場」「第1工場」、「田中課長」「課長 田中」。一覧を見ながら直しても、30本を読み終えるころには最初の記事のルールを忘れています。

(c)載せてはいけない情報を見落とす。 「産休から復帰した〇〇さん」「お子さんの入学式で休んだ〇〇さん」「手術を終えて職場に戻った〇〇さん」。部署の担当者は善意で書いてきますが、本人が載せてよいと言ったかは分かりません。 載った後に本人から申し出があり、ページを差し替えたことが過去にありました。

(d)材料の提出がメールでばらばらに届く。 添付ファイルの名前もばらばらで、どの写真がどの記事のものか、了承を取ったかどうかが、メールの本文を読み直さないと分かりません。

  1. 【人】 各部署の担当者が、Microsoft Forms の投稿フォームで材料を出す(題材、メモ、写真のファイル名と説明、登場する人と掲載の了承の有無)
  2. 【自動】 投稿のたびに Power Automate が回答を取り、SharePoint のリストに1行として載せる
  3. 【自動】 同じタイミングで、Azure OpenAI に材料と表記ルールと点検の決まりを渡し、下書きと点検の結果をJSONで受け取る
  4. 【自動】 下書きと点検の結果をリストの同じ行に書き戻し、広報担当に通知する
  5. 【人】 広報担当が、点検の一覧の「個人の情報」と「材料に無い内容」を先に見て、部署に確かめることを決める
  6. 【人】 下書きを直し、表記の指摘を受け入れるか決める
  7. 【人】 総務部長の確認を経て、SharePoint のニュースと印刷版に載せる

3番目を投稿のたびに動かすのが、この構成の要です。 締切の15日にまとめて30本を処理するのではなく、投稿が届いた日に下書きと点検の結果が出ます。 個人の情報の確認が必要な記事は、締切より前に部署へ問い合わせられます。第3章の(c)で起きていた「返事が来ないまま締切」が減ります。

5番目で個人の情報を先に見るのは、時間がかかるのがそこだからです。 表記の直しは広報担当の手元で終わりますが、個人の情報の確認は部署と本人を待ちます。 待つものから先に出します。

02今回想定するシステム構成

構成図
各部署の担当者
   │  投稿フォームで材料を出す
   ▼【トリガー】When a new response is submitted
Power Automate
   ├──▶ Get response details(回答の中身を取る)
   ├──▶ SharePoint のリスト「社内報_投稿」に1行作る
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)── JSON モード
   │   ① 見出し・リード文・本文・写真の説明文の下書き
   │   ② 表記ルールに合わない箇所
   │   ③ 個人の情報の点検(名前・家族・健康・社外の人)
   │   ④ 材料に無い内容を書いた箇所
   ▼
Power Automate ── JSON を読み、了承の無い人の名前を規則で照らす
   ▼
SharePoint のリストへ書き戻し ──【広報担当が確認・修正】
   ▼
総務部長の確認 → SharePoint のニュース/印刷版
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude、Gemini
連携Power Automate(Microsoft Forms と SharePoint と Azure OpenAI のコネクタ)Make、n8n
投稿の受付Microsoft FormsGoogle フォーム
下書きの置き場SharePoint のリストMicrosoft Lists

新しく足すのは、投稿フォームと Power Automate のフロー、Azure OpenAI の利用です。 SharePoint のニュースと印刷版の作り方は変えません。下書きはリストに置き、広報担当が直してからページに写します。

投稿の受け取りは、Microsoft Forms のコネクタで行います。 「When a new response is submitted」のトリガーで回答の通知を受け、通知に含まれる回答のIDを「Get response details」に渡して中身を取ります。このコネクタは組織のアカウントでのみ動くとされています。グループで作ったフォームはドロップダウンに出ないため、フォームのIDを手で入れます。

Azure OpenAI の呼び出しは、Power Automate の Azure OpenAI コネクタで行います。 このコネクタは Power Automate ではプレミアムの区分で、「Creates a completion for the chat message」の操作で応答を作ります。メッセージの内容に画像は使えないとされているため、写真そのものはAIに渡さず、部署の担当者が書いた写真の説明を材料にします。 応答の形式は、操作の引数で json_object を指定する JSON モードにします。JSON モードは正しいJSONを返すことを保証しますが、決めた欄がそろうことまでは保証しないので、欄の検査はフローの側で行います。

土台は Microsoft Foundry で提供される Azure OpenAI のモデルです。 入力と出力は他の顧客やモデルの提供元に提供されず、許可や指示なしに基盤モデルの学習に使われないとされています。社内報の材料は社内の情報なので、この点を情報システム部と確かめてから始めます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

投稿フォームに回答が届いたときに、1本ずつ動かします。 締切日にまとめて動かす作りにはしません。

起点頻度中身
投稿フォームへの回答回答のたび材料をリストに載せ、下書きと点検の結果を書き戻す
投稿の修正部署が再投稿したとき同じ題材の行を更新し、下書きを作り直す
締切の前日毎月14日の定時個人の情報の確認が終わっていない記事の一覧を、広報担当と部署に送る

3行目の締切の前日の知らせは、点検の結果を使った仕組みです。 「了承の確認待ち」の記事が残っていれば、部署の担当者に1通で知らせます。第3章の(c)の「返事が来ないまま締切」を、締切の前日に一度だけ拾い直します。

再投稿は、題材のIDで同じ行を探して更新します。 新しい行を作ると、同じ記事の下書きが2本並び、古い版の点検の結果を見て判断することになります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
投稿の材料部署、題材、日時と場所、メモ、写真のファイル名と説明、記事にしたい理由投稿フォーム
登場する人名前、所属、掲載の了承の有無(了承済み・確認中・了承なし)投稿フォーム
表記ルール数字、日付、部署名と拠点名の正式名称、役職の書き方、製品名、社名、敬称広報担当が持つ一覧
個人の情報の決まり載せない情報、了承が要る情報、社外の人の扱い総務部が作る決まり
過去の記事同じ種類の記事(改善発表、展示会、表彰など)の掲載例を2〜3本SharePoint のニュース

質を決めるのは、2行目の「掲載の了承の有無」です。 投稿フォームで登場する人を1人ずつ書かせ、了承の有無を選ばせます。ここが空欄だと、点検の結果は「確かめてください」としか言えません。 フォームの設問を必須にします。

個人の情報の決まりは、この構成を始める前に総務部で作ります。 例えば、病気や療養の話、家族の話、出産や育児の話、住所や私生活の話は本人の了承がある場合だけ載せる、取引先の担当者の名前は載せない、退職した人の写真は載せない、です。決まりが無いまま点検させても、AIは基準を持てません。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
投稿の回答Microsoft Forms「When a new response is submitted」で通知を受け、「Get response details」で中身を取る
表記ルールと決まりSharePoint のファイルフローの中で毎回読み、指示に差し込む
過去の記事SharePoint のリスト題材の種類で絞って2〜3本を取る
写真SharePoint のフォルダAIには渡さない。ファイル名と説明だけを使う

写真のファイルは、部署の担当者が SharePoint の記事ごとのフォルダに置き、フォームにはファイル名を書いてもらいます。 フォームの回答とファイルを、ファイル名で結びます。写真をAIに渡さないのは、コネクタが画像を扱わないことに加え、写った人の顔をAIに読ませる必要がないからです。

過去の記事は、文体と長さの見本として渡します。 渡さないと、AIは新聞記事のような硬い文体か、広告のような明るすぎる文体のどちらかに寄ります。自社の社内報の調子を、例で伝えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 必須の欄を確かめる … 題材、日時、メモ、登場する人の了承の有無が空なら、AIに渡さず、部署の担当者に差し戻しのメールを送ります
  2. 登場する人の一覧を作る … 了承済み・確認中・了承なしの3つに分け、指示に添えます
  3. メモの長さを確かめる … 5,000字を超えるメモ(議事録の全文など)は、そのままではなく要点を書いてもらうよう差し戻します
  4. 表記ルールと決まりを差し込む … 毎回、最新の一覧をファイルから読みます
  5. 過去の記事を選ぶ … 題材の種類(改善発表、展示会、表彰、地域活動、サークル)で絞ります

1番目の差し戻しが、第3章の(d)への答えです。 メールで届いていた材料は、何が足りないかを広報担当が読んで気づくものでした。フォームの必須の欄と、フローの検査で、足りない材料が下書きの前に戻ります。

2番目の一覧は、AIの点検とは別にフローの規則でも使います。 下書きの本文に「了承なし」の人の名前が入っていたら、AIの点検の結果にかかわらず、フローが印を付けます。 名前の照合は文字列の一致なので、AIに任せる必要がありません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、下書きを書くことと、3種類の点検の結果を返すことです。

返すもの中身判断できないときの扱い
下書き見出し(25字以内)、リード文(60字前後)、本文(300〜500字)、写真の説明文材料が足りなければ、足りないことを本文に書かず missing_info に書く
表記の指摘表記ルールに合わない箇所と、ルールに沿った書き方ルールに無い表記は指摘しない
個人の情報の点検名前・家族・健康・出産育児・住所私生活・社外の人に触れた箇所迷ったら挙げる
材料に無い内容本文のうち、材料に書かれていない内容を補った箇所補った箇所はすべて挙げる

4行目が、この構成でいちばん大事な欄です。 「参加者は熱心に耳を傾けていました」「今後の活躍が期待されます」。AIは材料に無い描写を自然に足します。 社内報では無害に見えますが、「熱心に」と書かれた本人がその場にいなかったら、記事は事実と違います。 補った箇所を返させ、広報担当が残すか消すかを決めます。

表記の指摘は、AIに直させずに挙げさせます。 下書きの本文は、表記ルールに沿って書かせますが、材料の側の表記(部署の担当者が書いた文の引用)は直しません。 引用の中の表記を直すと、誰かの発言を書き換えることになります。

させないこと理由
掲載してよいかの判断載せるかを決めるのは広報担当と総務部長
了承の有無の推測フォームの回答だけを使う。本文から推測しない
写真に写った人の特定写真はAIに渡さない
材料に無い数字・日付・人名の追加事実が違う記事になる
引用の書き換え発言者の言葉を変えない
Step6

指示内容を固定する

システムメッセージ:

あなたは製造業の総務部で、毎月の社内報の記事を下書きする担当です。
部署から届いた材料だけを使って記事を書き、点検の結果を添えてください。
出力は指定したJSONの形だけにしてください。

【書き方】
- 見出しは25字以内、リード文は60字前後、本文は300〜500字にしてください。
- 文体は【過去の記事】に合わせてください。
- 表記は【表記ルール】に沿って書いてください。
- 部署の担当者や登場する人の言葉をかぎかっこで引用するときは、
  材料に書かれたとおりに写し、表記を直さないでください。

【厳守事項】
- 材料に書かれていない数字・日付・人名・場所を書かないでください。
- 材料に無い描写や評価(雰囲気、気持ち、今後への期待など)を本文に
  書いた場合は、その文を added_content にすべて写してください。
- 材料が足りず記事にできない点は、本文に書かず missing_info に書いてください。
- 【登場する人】で consent が none の人の名前を本文と写真の説明文に
  書かないでください。pending の人は書いてよいですが、personal_checks に
  必ず挙げてください。
- 写真の説明文は、材料の写真の説明に書かれた人の並びだけを使ってください。

【点検】
- notation_issues … 本文と見出しのうち【表記ルール】に合わない箇所を、
  該当の文字列と、ルールに沿った書き方の組で挙げてください。
  ルールに無いものは挙げないでください。引用の中は挙げないでください。
- personal_checks … 次に触れた箇所をすべて挙げ、該当する種類を付けてください。
  name(人名)/family(家族)/health(病気・けが・療養・通院)/
  childcare(妊娠・出産・育児・介護)/private(住所・私生活・趣味の詳細)/
  outside(社外の人・取引先・顧客)
  迷ったら挙げてください。
- 掲載してよいかどうかは書かないでください。

【表記ルール】{notation_rules}
【個人の情報の決まり】{personal_rules}
【過去の記事】{examples}

ユーザーメッセージ:

【部署】{department}
【題材の種類】{topic_type}
【日時と場所】{date_place}
【メモ】{memo}
【写真の説明】{photo_captions}
【登場する人】{people_with_consent}
【記事にしたい理由】{reason}

「材料に無い描写を書いたら added_content に写す」は、書くなと禁じるより効きます。 禁じても足されることがあり、足されたことが分からなくなります。書いた場合に申告させると、広報担当は申告された文だけを見れば済みます。

了承の扱いを3つに分けて書くのも同じ理由です。 none は書かせない、pending は書いてよいが必ず挙げさせる。「確認中」の人を一律に外すと、了承が取れた後に下書きを書き直すことになります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "post_id": "",
  "headline": "",
  "lead": "",
  "body": "",
  "photo_captions": [""],
  "missing_info": [""],
  "added_content": [""],
  "notation_issues": [
    { "found": "", "suggested": "", "rule": "" }
  ],
  "personal_checks": [
    { "text": "", "type": "name | family | health | childcare | private | outside", "person": "" }
  ]
}

コネクタの JSON モードは、決めた欄がそろうことまでは保証しません。 そこで Power Automate の「JSON の解析」でこの形を当て、欄が欠けていれば下書きを作り直し、2回続けて欠ければ広報担当に「下書き失敗」として知らせます。

JSONで受ける理由は3つです。 1つ目は、下書きと点検の結果をリストの別の列に入れられることです。広報担当は一覧で personal_checks の件数を見て、確認の順を決められます。2つ目は、added_content の文を本文の中で探して、リストの表示で色を付けられることです。 3つ目は、フローの規則で照らせることです。

フローの規則扱い
本文・写真の説明文に「了承なし」の人の名前がある「掲載不可の名前あり」の印を付け、AIの点検の結果より先に出す
personal_checks に health・childcare・family がある「本人確認」の印を付け、部署の担当者に確認の依頼を下書きする
personal_checks に outside がある「社外の人」の印を付ける
missing_info が空でない部署の担当者への問い合わせを下書きする
added_content が空でない広報担当の確認の一覧に件数を出す

1行目は、AIが指示を守ったかを規則で確かめる工程です。 「了承なしの人を書かない」と指示していても、材料のメモにその人の名前が何度も出てくると、本文に入ることがあります。 名前の文字列で照らせば、確実に拾えます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft FormsForms コネクタのトリガーと「Get response details」投稿の材料を取る
SharePoint のリストSharePoint コネクタ投稿の行を作り、下書きと点検の結果を書き戻す
Azure OpenAIAzure OpenAI コネクタ(プレミアム)「Creates a completion for the chat message」下書きと点検の結果を作る
Outlookメールの送信(下書きの作成)部署への差し戻し・問い合わせ・締切前日の知らせ
SharePoint のニュース人の手で写す確認を経た記事だけを載せる

SharePoint のニュースのページには、自動で書き込みません。 下書きはリストに置き、広報担当が直して総務部長が確認したものだけを、人がページに写します。AIの下書きが確認を経ずに全社に出る経路を作りません。

部署への問い合わせのメールは、送る前に広報担当が目を通します。 本人に関わる確認(療養の話を載せてよいか)は、聞き方を誤ると本人の負担になります。文面は下書きまでにして、送るのは人です。

Step9

人が確認する

広報担当が、投稿のたびに次の順で見ます。

  1. 「掲載不可の名前あり」の印 … その名前を消すか、部署に了承を取り直してもらうかを決めます
  2. 「本人確認」の印と personal_checks … 健康・育児・家族の話を載せてよいか、部署の担当者を通じて本人に確かめます。了承が取れなければ、その部分を消します
  3. missing_info … 部署への問い合わせを送るか、その点に触れずに記事にするかを決めます
  4. added_content … 補われた文を、残すか消すか決めます。事実と確かめられない描写は消します
  5. notation_issues … 表記の指摘を受け入れて本文を直します
  6. 全体を読む … 見出しとリード文が記事の中身に合っているかを見ます

総務部長の確認は、月に1回、全記事をまとめて行います。 広報担当が直した後の記事と、personal_checks に何が挙がり、どう扱ったかの一覧を並べて見ます。部長が見るのは記事の出来よりも、個人の情報の扱いが決まりどおりだったかです。

目標は、30本をならして1本20分です。 個人の情報に触れない記事(展示会、改善発表)は数分の手直しで済み、本人確認の要る記事は確認のやり取りに時間がかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
必須の欄が空のまま投稿されたAIに渡さず、部署の担当者に差し戻しのメールを送る
メモが長すぎる(議事録の全文など)要点を書いてもらうよう差し戻す
JSONの欄が欠けて返る作り直し、2回続けば「下書き失敗」として広報担当に知らせる
コンテンツのフィルターで応答が止まる材料の表現(事故・けがの描写など)を広報担当が確かめ、手で書く
同じ題材が2回投稿される題材のIDで同じ行を更新し、古い下書きを残さない
了承が「確認中」のまま締切の前日になる締切前日の知らせで部署に1通送る。当日も取れなければ名前を外す
写真のファイルがフォルダに無い写真の説明だけで下書きを作り、「写真未着」の印を付ける
社外の人(取引先・顧客)の名前がある「社外の人」の印を付け、名前を外すか、取引先の了承を取るかを決める

4行目のコンテンツのフィルターは、工場の社内報では意外と起きます。 安全活動の記事で、過去の労働災害の描写がメモに書かれていることがあります。フィルターで止まった記事は、AIで書き直そうとせず、広報担当が手で書きます。

Step11

記録を残す

  • 投稿フォームの回答と、そのときの登場する人と了承の有無
  • Azure OpenAI に渡した指示(表記ルールと決まりの版を含む)と、返ってきたJSONの全文
  • フローの規則が付けた印(掲載不可の名前、本人確認、社外の人)
  • 広報担当が personal_checks と added_content をどう扱ったか(残した・消した・確認した)
  • 部署に送った問い合わせと、返ってきた答え
  • 掲載した記事の最終版と、下書きとの差分

4つ目の記録が、この構成でいちばん大事なログです。 載った後に本人から申し出があったとき、誰が、いつ、どの了承を根拠に載せたかを示せます。 了承は投稿フォームの回答に残っているので、記事と結んで保存します。

最後の差分は、下書きの質を測るためです。 本文の大半が書き直されている題材の種類があれば、過去の記事の見本か、表記ルールの渡し方を見直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:材料と一覧をAIの画面に貼り、下書きと点検の一覧を作らせる / 1本ごとの下書きと点検
半自動化:上記+投稿フォームと Power Automate で、投稿のたびに下書きと点検の結果をリストに書き戻す。規則で了承の無い名前を照らす / 投稿の受付から下書き・点検まで
本格構成:上記+部署への問い合わせ・締切前日の知らせ・総務部長の確認の一覧の作成までつなぐ / 受付から確認の一覧まで

本記事の想定は半自動化です。 投稿フォームで材料と了承の有無がそろい、下書きと点検の結果が投稿の日に出る。1本60分が20分になるのは、この段階です。 本格構成で減るのは、問い合わせと確認のやり取りの手間です。 ただし、部署への問い合わせの文面は本人に関わるものがあり、下書きまでにする方針は変えません。 自動化の範囲を広げても、送るのは人です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
20 分
現在  30件 × 60分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 30件 × 20分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
20h
削減率
67%
年間削減時間
240h
年間金額換算(時間単価3,000円)
72万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 従業員が数百人から数千人で、拠点や工場が複数あり、毎月の社内報を総務や広報の1〜2名で作っている会社。各部署から届く材料が箇条書きのメモや一言の写真の説明で、記事の形にするまでに時間がかかっている場合。社内の表記ルールの一覧があるのに、担当者が替わるたびに守られ方が変わる場合。Microsoft 365 を使っており、Power Automate のプレミアムのコネクタを使える場合。
向いていない
  1. 社内報が年に数回で、毎月の作業になっていない場合。記事の大半が経営者のメッセージや取材記事で、部署からの材料をまとめる形になっていない場合。社内の表記ルールや、従業員の情報を社内報に載せるときの決まりが何も無い場合(先に決まりを作る作業が要ります)。なお、どの記事を載せるか、個人の情報を載せてよいかという判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の社内報から、部署の材料とできあがった記事の組を10本選ぶ(個人の事情が書かれた記事を必ず2〜3本入れる)
  2. 表記ルールの一覧と、個人の情報の決まり(無ければ箇条書きで5行)を用意する
  3. 社内で利用が認められているAIサービスの画面に、材料と一覧と決まりを貼り付ける
  4. 「この材料だけを使って、社内報の記事を400字で書いてください。材料に無い描写を書いた場合はその文を最後に一覧にしてください。表記ルールに合わない箇所と、人名・家族・健康・育児に触れた箇所を一覧にしてください」と指示する
  5. 出てきた下書きと点検の一覧を、先月できあがった記事と比べる

10本で、2つのことを確かめます。 材料から記事の形に起こせるか、個人の事情に触れた箇所を漏らさず挙げられるかです。

出てきた内容判断
記事の形になり、個人の事情も挙がった投稿フォームとフローの作成に進む
材料に無い描写が多く、申告もされない指示の書き方で直る。構成は有効
先月の記事に、載せてよいか分からない個人の事情が見つかった個人の情報の決まりを先に作る。 AIの問題ではない

3行目が出たら、この構成の本当の効き目が見えたということです。 先月まで人の目で見ていた記事に、決まりが無いまま載っていた個人の事情があることが分かります。 決まりを作るきっかけになります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
材料に無い描写が本文に混ざる補った文を added_content に申告させ、本文の中で色を付ける
了承なしの人の名前が本文に入る指示に加え、フローの規則で名前の文字列を照らす
写真の内容をAIに確かめさせようとするコネクタはメッセージに画像を使えない。写真の説明を材料にする
JSONの欄が欠けるJSON モードは欄の存在を保証しない。「JSON の解析」で当てて作り直す
引用の中の表記まで直す引用は直さないと指示し、指摘からも外す
表記ルールに無い表記まで指摘されるルールに無いものは挙げないと指示する
グループで作ったフォームがトリガーに出ないフォームのIDを手で入れる
個人の情報の決まりが無いまま始める決まりを先に作る。 決まりが無いと点検の基準が無い
部署への確認のメールが自動で送られる本人に関わる確認は下書きまでにして、人が送る
安全活動の記事でフィルターに止まるAIで書き直さず、広報担当が手で書く

上の2行が、この構成の信頼を決めます。 材料に無い描写と、了承の無い名前。どちらも、載った後に気づくと記事を差し替えるしかない失敗です。 AIの申告とフローの規則の2重で拾います。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 従業員の名前・所属・写真の説明、そして材料に含まれうる家族・健康・育児・私生活の話、取引先の担当者の名前です。

  1. 社内報への掲載を、従業員の情報の利用目的に含める … 個人情報保護委員会のガイドラインは、利用目的をできる限り具体的に特定すること、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱う場合はあらかじめ本人の同意を得ることを示しています。社内報への掲載が就業規則や従業員への通知の利用目的に入っているかを、人事部と確かめます
  2. 病気や障害の話は特に慎重に扱う … ガイドラインは、本人の病歴や心身の機能の障害、健康診断の結果などを含む情報を要配慮個人情報とし、取得や第三者提供に原則として本人の同意が要るとしています。療養や通院の話は、本人の了承が確認できた場合だけ載せる決まりにします
  3. AIに掲載の判断をさせない … 点検の一覧は確認の入口にすぎません。載せるかを決めるのは広報担当と総務部長です
  4. 写真をAIに渡さない … 写った人の顔をAIに読ませる必要はありません。写真の説明だけを材料にします
  5. 入力と出力の扱いを確かめる … Azure OpenAI の入力と出力は、許可なく基盤モデルの学習に使われないとされています。社内の情報区分に照らして、社内報の材料を渡してよいかを情報システム部と決めます
  6. 社外の人の名前を載せない … 取引先の担当者や顧客の名前は、相手の了承が無い限り外す決まりにします

誤りが起きた場合のリスクは、本人が望まない情報が全社に載ることと、事実と違う記事が載ることの2つです。 前者は了承の扱いから、後者は材料に無い描写から起きます。どちらも載った後には取り消せないので、載せる前の2重の点検で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:個人の情報の決まりを作る

総務部と人事部で、社内報に載せない情報、本人の了承がある場合だけ載せる情報、社外の人の扱いを決めます。社内報への掲載が、従業員の情報の利用目的に入っているかもここで確かめます。

2週目:10本で試す

先月の材料と記事の組を10本選び、社内で利用が認められているAIサービスで下書きと点検の一覧を作らせます。材料に無い描写を申告できるか、個人の事情に触れた箇所を挙げられるかを見ます。

3週目:投稿フォームを作る

題材、日時と場所、メモ、写真のファイル名と説明、登場する人と掲載の了承の有無を必須の設問にします。翌月の材料の提出から、メールではなくフォームに切り替えることを各部署に知らせます。

4週目:フローを作る

フォームの回答をリストに載せ、Azure OpenAI で下書きと点検の結果を作って書き戻し、了承の無い名前を規則で照らすところまで作ります。この月は、従来どおり広報担当も記事を書き、下書きと比べます。

2か月目: 下書きを使って社内報を作り、締切前日の知らせを足します。3か月目以降: 1本60分が何分になったかを実測し、表記ルールと見本の記事を見直します。投稿フォームから出た下書きを直すだけで、個人の情報の点検の記録とともに毎月の社内報が出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Microsoft Forms コネクタのトリガー「When a new response is submitted」と操作「Get response details」、通知に含まれる回答のIDを使って中身を取ること。組織のアカウントでのみ動くこと。グループのフォームはドロップダウンに出ずフォームIDを手で入れることMicrosoft Learn: Microsoft Forms コネクタ2026-10-13
Azure OpenAI コネクタが Power Automate ではプレミアムの区分であること。操作「Creates a completion for the chat message」と、応答の形式に json_object(JSON モード)を指定できること。メッセージの内容に画像を使えないことMicrosoft Learn: Azure OpenAI コネクタ2026-10-13
入力と出力が他の顧客やモデルの提供元に提供されず、許可なく基盤モデルの学習に使われないことMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-13
利用目的をできる限り具体的に特定すること(3-1-1)、利用目的の達成に必要な範囲を超える取扱いにはあらかじめ本人の同意が要ること(3-1-3)、病歴・心身の機能の障害・健康診断の結果などを含む情報が要配慮個人情報にあたり、取得や第三者提供に原則として本人の同意が要ること(2-3)個人情報保護委員会: 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)2026-10-13

社内報にどの情報を載せるか、本人の了承をどう取るかは、自社の就業規則と人事部・総務部の決まりで決めてください。 本記事はガイドラインと製品の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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