Media > AI活用ユースケース > 営業 > 人材派遣会社の営業が派遣先へ毎月送る稼働の報告を勤怠の集計とフォローの記録から下書きし、増員や条件の相談の手がかりを営業担当に示す

人材派遣会社の営業が派遣先へ毎月送る稼働の報告を勤怠の集計とフォローの記録から下書きし、増員や条件の相談の手がかりを営業担当に示す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

派遣先ごとの勤怠の締めが済んだら、勤怠の集計とスタッフのフォローの記録から、派遣先へ送る月次の稼働の報告を下書きします。あわせて、増員や条件の相談につながる手がかりを、営業担当だけが読むメモとして出します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
人材/物流/製造
対象部門
営業
対象業務
書類作成/集計・分析
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 勤怠の担当から締めの連絡を受け、勤怠の管理システムで派遣先ごとの集計を開く
  2. スタッフごとの出勤の日数、労働時間、時間外、遅刻・欠勤を、報告のメールの表に書き写す
  3. 前月の報告を開き、時間外や欠勤が増えたかを見比べる
  4. フォローの記録を開き、そのスタッフの様子を探して、報告に書けそうなことを選ぶ
  5. 派遣先の一覧で契約の終了日を確かめ、来月の予定を書く
  6. 報告のメールを書いて送る
  7. 増員や条件の相談ができそうなことに気づいたら、手帳にメモする
導入後(After)
  1. 人勤怠の担当が、派遣先ごとの締めを済ませ、月次の集計をスプレッドシートに書き出す
  2. 人勤怠の担当が、派遣先の一覧の「勤怠の締め」の欄を「締め済み」に変える
  3. 自動欄が変わったことをきっかけに Zap が動き、その派遣先の今月と前月の集計の行を引く
  4. 自動フォローの記録から、その派遣先のスタッフの、派遣先に伝えてよいと本人が同意した要約だけを引く
  5. 自動AIが、報告の件名と本文、営業向けの相談の手がかりを、別々の項目で返す
  6. 自動担当の営業ごとに分岐し、営業の Gmail に報告の下書きを置く
  7. 自動相談の手がかりを派遣先の一覧に書き、営業に知らせる
  8. 人営業が下書きの数字を集計と見比べ、文面を直して送る
  9. 人営業が相談の手がかりを読み、次の訪問や電話で何を話すかを決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 勤怠の担当から締めの連絡を受け、勤怠の管理システムで派遣先ごとの集計を開く
  2. スタッフごとの出勤の日数、労働時間、時間外、遅刻・欠勤を、報告のメールの表に書き写す
  3. 前月の報告を開き、時間外や欠勤が増えたかを見比べる
  4. フォローの記録を開き、そのスタッフの様子を探して、報告に書けそうなことを選ぶ
  5. 派遣先の一覧で契約の終了日を確かめ、来月の予定を書く
  6. 報告のメールを書いて送る
  7. 増員や条件の相談ができそうなことに気づいたら、手帳にメモする

(a)数字の書き写しに時間を取られる。 1社あたりのスタッフは数名から十数名で、1人ずつ4つ5つの数字を写すだけで10分近くかかります。 写し間違いは派遣先がすぐ気づき、請求の数字まで疑われます。

(b)スタッフの声の扱いが人によって違う。 フォローで聞いた「残業が多くて疲れている」「時給を上げてほしい」を、そのまま報告に書く営業がいます。本人が派遣先に伝えてほしいと言ったのか、営業にだけ話したのかが、記録からは分かりません。

(c)相談のきっかけが数字に埋もれる。 時間外が3か月続けて増えている、欠勤の多いスタッフがいる、契約の終了日が近い、といったことは、集計を見比べれば分かるのに、報告を書くのに精一杯で見比べる余裕がありません。 7番目のメモは、気づいたときにしか書かれません。

(d)忙しい月は報告が遅れる。 150社分を月初の10日ほどで書くため、後回しにされた派遣先には、月の半ばに報告が届きます。

  1. 【人】 勤怠の担当が、派遣先ごとの締めを済ませ、月次の集計をスプレッドシートに書き出す
  2. 【人】 勤怠の担当が、派遣先の一覧の「勤怠の締め」の欄を「締め済み」に変える
  3. 【自動】 欄が変わったことをきっかけに Zap が動き、その派遣先の今月と前月の集計の行を引く
  4. 【自動】 フォローの記録から、その派遣先のスタッフの、派遣先に伝えてよいと本人が同意した要約だけを引く
  5. 【自動】 AIが、報告の件名と本文、営業向けの相談の手がかりを、別々の項目で返す
  6. 【自動】 担当の営業ごとに分岐し、営業の Gmail に報告の下書きを置く
  7. 【自動】 相談の手がかりを派遣先の一覧に書き、営業に知らせる
  8. 【人】 営業が下書きの数字を集計と見比べ、文面を直して送る
  9. 【人】 営業が相談の手がかりを読み、次の訪問や電話で何を話すかを決める

4番目が、この設計の分かれ目です。 フォローの記録の全文をAIに渡すと、営業にだけ話された希望や不満が報告に混ざる経路ができます。同意のある要約だけを、仕組みの側で選んで渡します。 AIに「伝えてよいものだけを選んで」と頼む設計にはしません。

数字の比べ方はスプレッドシートの式で決めます。 前月との差や3か月の推移は、集計のシートで計算した列を渡し、AIには計算させません。 AIが書くのは、計算済みの数字を報告の文に並べることと、決めた条件に当たる手がかりを言葉にすることだけです。

02今回想定するシステム構成

構成図
勤怠の管理システム ──(月次の集計を書き出す)──▶ 勤怠の集計のシート
フォローの記録のシート(本人の同意の欄と、伝えてよい要約の欄を足す)
   │
派遣先の一覧(Zapier Tables:担当の営業・契約の終了日・勤怠の締め)
   ▼【トリガー】「勤怠の締め」の欄が更新されたとき
Zapier の Zap
   ├──▶ Google Sheets:Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)
   │       今月・前月の集計の行(派遣先コードと対象月で引く)
   ├──▶ Google Sheets:Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)
   │       フォローの記録(同意あり・今月の行だけを並べた別シートから)
   ├──▶ AI by Zapier(Analyze and Return Data)
   │       報告の件名・本文/営業向けの相談の手がかり を別の項目で返す
   ├──▶ Paths:担当の営業ごとに分ける
   ├──▶ Gmail:Create Draft(担当の営業のアカウント)
   └──▶ Zapier Tables:相談の手がかりと下書きの日時を書く
   ▼【人】営業が数字を確かめて送る/手がかりから次の一手を決める
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Zapier Tables、Google Sheets、Paths、Gmail)Make、Power Automate、n8n
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
メールGmail(担当の営業のアカウント)Microsoft Outlook

新しく足すのは、Zap と、派遣先の一覧を Zapier Tables に移すことです。 勤怠の管理システムには書き込まず、書き出した集計を読むだけにします。

起点は Zapier Tables の欄の更新です。 欄の名前から Zap を作ると、その欄が変わったときだけ動く Zap ができるとされています。表示(ビュー)の絞り込みに合うレコードだけで動かすこともでき、Zapier Tables のステップはタスクの数に入らないとされています。

集計の行は Google Sheets の Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) で引きます。 列と値を指定して、最大500行を明細(line items)として返す検索です。1社の派遣先のスタッフは多くても数十名なので、上限に当たることはありません。

文面は AI by Zapier の Analyze and Return Data で作ります。 返してほしい項目を名前・型・説明・必須かどうかで決めておくと、その形で値を返します。Professional・Team・Enterprise のプランで使えます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

派遣先の一覧の「勤怠の締め」の欄が「締め済み」に変わったことを起点にします。 欄は勤怠の担当が、締めの作業の最後に変えます。毎月決まった日に一斉に動かす設計にはしません。 派遣先ごとに勤怠の承認の速さが違い、締めは月初の数日に分かれて済むからです。決まった日に動かすと、締めの済んでいない派遣先の、途中の数字で報告ができます。

欄の更新で動くので、1社ごとに1回動きます。 150社を1回の実行で回す必要がなく、繰り返しの仕組みを Zap に持たせずに済みます。

月が替わったら、欄を「未締め」に戻します。 戻すのは、Zapier Tables のレコードを更新する別の小さな Zap で、毎月1日に行います。戻した変更でも欄の更新のトリガーが動くので、Zap の最初で「締め済み」のときだけ続ける条件を置きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
派遣先の情報派遣先コード、会社名、宛先の担当者、担当の営業、契約の終了日、報告の形式の希望派遣先の一覧(Zapier Tables)
今月の集計スタッフ名、出勤の日数、労働時間、時間外、深夜・休日の時間、遅刻・早退・欠勤の回数、有給休暇の取得勤怠の集計のシート
比べるための値前月との差、3か月の時間外の推移、契約の終了日までの日数同じシートの計算の列
スタッフの声派遣先に伝えることに本人が同意した要約だけフォローの記録の、同意ありの行を並べたシート
相談の手がかりの条件「時間外が3か月続けて前月より増えた」「契約の終了日まで60日以内」など指示の中に埋め込む

質を決めるのは、フォローの記録の2つの欄です。 「派遣先に伝えてよいか(本人の同意)」と「派遣先に伝える要約」の欄を足し、コーディネーターがフォローのときに本人に確かめて書きます。営業にだけ話された内容は、元の記録の欄に残り、この Zap からは引かれません。

手がかりの条件は、営業の8名で決めます。 「時間外が増えたら増員の提案」は分かりやすい例ですが、派遣先の繁忙期の時間外を増員の手がかりにすると、季節のたびに同じ提案をすることになります。条件には「前年の同じ月と比べる」なども入れられます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
今月と前月の集計の行Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)。「派遣先コード_対象月」の列で引く報告の数字と比べる材料
スタッフの声Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)。同意ありの行のシートを派遣先コードで引く報告のスタッフの様子
派遣先の情報トリガーで受け取ったレコード宛先、契約の終了日、担当の営業

検索は1つの列と1つの値で行うので、引くための列を作っておきます。 「派遣先コード」と「対象月」をつないだ列を集計のシートに置き、今月と前月で2回引きます。前月の行が無い派遣先(今月から始まった派遣先)は、比べる値を空にします。

スタッフの声は、同意ありの行だけを並べたシートから引きます。 元のフォローの記録のシートに、同意が「あり」で対象月が今月の行だけを並べる式のシートを作ります。Zap に渡る前に、同意の無い行が物理的に除かれている形にしておきます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. スタッフ名の表記をそろえる … 勤怠の管理システムとフォローの記録で、姓と名の間の空白、旧姓をそろえます
  2. 計算の列を用意する … 前月との差、3か月の時間外の推移、契約の終了日までの日数は、シートの式で計算しておきます
  3. 0と空欄を分ける … 時間外が0時間のスタッフと、集計が出ていないスタッフを区別します。空欄は「集計なし」と書いた値にします
  4. 月の途中で入った人と抜けた人に印を付ける … 出勤の日数が少ないのが欠勤のせいなのか、途中の入退のせいなのかを、AIが取り違えないようにします
  5. 派遣先に出す表の列を決める … 深夜・休日の時間を報告に載せるかは派遣先ごとの希望で決め、一覧の「報告の形式の希望」から渡します

4番目を省くと、報告で誤った指摘をします。 月の半ばに入ったスタッフの出勤が10日なのを、AIが「出勤の日数が少ない」と書くことがあります。 印があれば、「今月の15日から就業」と書けます。

Step5

AIに処理させる

させるのは2つです。 1つは、派遣先へ送る報告の件名と本文を、渡した数字とスタッフの声から書くこと。もう1つは、決めた条件に当たる相談の手がかりを、根拠の数字と一緒に営業向けに書くことです。

書くもの中身読む人
報告の件名と本文今月の稼働の概要、スタッフごとの表、スタッフの様子(同意ありの要約)、来月の予定派遣先
相談の手がかり条件の名前、当たったスタッフ、根拠の数字、話を切り出すときの一言の案担当の営業だけ
させないこと理由
数字の計算・合計シートの式で計算した値を写すだけ。AIの計算は確かめられない
同意の無いスタッフの声を書くそもそも渡さない。渡したものも要約から言い換えない
報告に提案・営業の言葉を入れる増員や条件の話は営業が別の機会に切り出す
スタッフの評価を書く「勤務態度が悪い」などは派遣先の評価。派遣元の報告で決めつけない
欠勤や遅刻の理由を推測する理由は本人と営業が確かめる。体調や家庭の事情を書かない

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 時間外が増えていると、報告の本文に「人員の増強をご検討いただければ」と書きがちです。手がかりの項目があるのに、本文にも同じことを書きます。 指示で禁じたうえで、営業の確かめでも見ます。

5行目も外せません。 欠勤が続いたスタッフについて、AIは「体調不良のため」と理由を付けたがります。理由は記録に無く、書けば派遣先がそのスタッフをそう見ます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは人材派遣会社の営業担当の補助です。
派遣先へ送る月次の稼働の報告メールの下書きと、営業担当だけが読む
相談の手がかりを、別々の項目に書いてください。
下の【データ】に書かれていることだけを使い、推測しないでください。

【報告(report_subject / report_body)の決まり】
- 宛先は {client_contact} 様。差出人の署名は書かない。
- 構成:①今月の稼働の概要(人数・出勤の日数の合計・時間外の合計)
  ②スタッフごとの表 ③スタッフの様子 ④来月の予定
- 数字は【集計】の値をそのまま写してください。計算・合計・丸めを
  しないでください。値が「集計なし」のときは「集計なし」と書いてください。
- ③には【スタッフの声】の要約だけを、言い換えずに使ってください。
  無ければ③の見出しごと省いてください。
- 欠勤・遅刻の理由を書かないでください。スタッフを評価する言葉
  (真面目、勤務態度が悪い、など)を書かないでください。
- 増員・追加の派遣・条件の見直し・単価についての提案を、
  報告には一切書かないでください。

【相談の手がかり(hints)の決まり】
- 【手がかりの条件】に当たるものだけを書いてください。
  当たらなければ空の配列にしてください。
- 1件ごとに、条件の名前、当たったスタッフ、根拠の数字(【集計】の
  値をそのまま)、話を切り出すときの一言の案を書いてください。
- 派遣先の事情(繁忙期、予算など)を推測して書かないでください。

【派遣先】{client_name} / 契約の終了日: {contract_end} /
  終了日までの日数: {days_to_end} / 報告の形式の希望: {format_pref}
【集計】{this_month_rows}
【前月との差・3か月の推移】{comparison_rows}
【スタッフの声(本人の同意あり)】{staff_voice}
【手がかりの条件】{hint_rules}

「計算・合計・丸めをしない」を書かないと、合計の行を足します。 AIの足し算は確かめられず、請求の数字と1時間ずれただけで、派遣先は報告全体を疑います。 合計が要るなら、シートの式で計算した合計の列を渡します。

提案の禁止を報告の決まりの側に書き、手がかりの決まりと並べているのは、書く場所を分けるためです。 「書くな」とだけ言うと手がかりも出なくなり、「ここに書け」と「ここには書くな」を対にして渡します。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力の項目として、次の形で受け取ります。

{
  "report_subject": "",
  "report_body": "",
  "hints": [
    { "rule": "", "staff": "", "evidence": "", "opening_line": "" }
  ],
  "missing_data": [""],
  "needs_attention": "none | data_missing | voice_unclear"
}

1つ目の理由は、報告と手がかりが別の項目になることです。 Gmail の下書きにつなぐのは report_subject と report_body だけで、hints は派遣先の一覧と営業への知らせにだけつなぎます。項目のつなぎ方で、手がかりが派遣先に届く経路を無くします。

2つ目は、evidence に根拠の数字が残ることです。 営業は「時間外が3か月続けて増えた」を、数字で確かめてから派遣先に話せます。

3つ目は、missing_data と needs_attention で、下書きを人に回す理由が分かることです。

needs_attention意味扱い
none集計もスタッフの声もそろっている下書きを置く
data_missing集計が無いスタッフがいる、前月の行が無い下書きを置き、営業に知らせる
voice_unclearスタッフの声の要約が報告の文に収まらない下書きを置き、③を営業が書く
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
派遣先の一覧Zapier Tables(欄の更新のトリガー/レコードの更新)締めで Zap を起こし、手がかりと下書きの日時を書く
勤怠の集計のシートGoogle Sheets(Lookup Spreadsheet Rows (Advanced))今月と前月の行を引く
スタッフの声のシートGoogle Sheets(同上)同意ありの要約を引く
AI by ZapierZap のステップ報告と手がかりを返す
PathsZap のステップ担当の営業ごとの分岐
GmailCreate Draft営業のアカウントに下書きを置く

Gmail へは下書きを置くだけで、送りません。 送信の操作は使わず、数字を確かめた営業が送ります。

担当の営業ごとの分岐には Paths を使います。 1つのグループに最大10本の分岐を置けるので、8名の営業はそれぞれ1本に収まります。どの条件にも当たらないときに動くフォールバックを1本置き、担当が空欄の派遣先は営業部長の Gmail に下書きを置きます。

勤怠の管理システムには書き込みません。 報告の数字が間違っていたら、直すのは勤怠の集計の側で、下書きの数字を手で直して送る運用にはしません。 直したら、欄を一度戻して Zap を動かし直します。

Step9

人が確認する

下書きは全件、担当の営業が開いて確かめてから送ります。 目標は1件あたり8分です。

  1. 数字を見比べる … スタッフごとの表を、勤怠の集計のシートと見比べます。合計の行や、書かれていない数字が足されていないかを見ます
  2. スタッフの様子を読む … 同意のある要約だけが、言い換えずに使われているかを見ます
  3. 提案が混ざっていないかを見る … 増員・単価・条件の言葉が本文に無いかを確かめます
  4. 送る … 文面を直して送ります
  5. 手がかりを読む … 根拠の数字を確かめ、次の訪問や電話で話すかを決めます。話さないと決めたものも、理由を一言残します

1番目を省かないでください。 報告の数字は、派遣先が請求書と見比べる数字です。1か所の違いで、請求まで疑われます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
締め済みにした後で勤怠が直された欄を「未締め」に戻してから「締め済み」にし、下書きを作り直す。古い下書きは営業が消す
今月の集計の行が0件下書きを作らず、勤怠の担当と営業に知らせる
前月の行が無い比べる値を空にして下書きを作る。data_missing
スタッフの声の行が0件③を省いた下書きを作る(同意が無いのは普通のこと)
担当の営業が空欄フォールバックで営業部長の Gmail に下書きを置く
1社のスタッフが非常に多いLookup Spreadsheet Rows (Advanced) は最大500行。数十名の派遣先なら上限に当たらない
月初に欄を戻したときにトリガーが動く最初の条件で「締め済み」以外は止める
AIのステップが失敗する一覧に「下書き失敗」と書き、営業に知らせる。欄は「締め済み」のまま

1行目がいちばん起きる例外です。 締めの後に派遣先から打刻の修正が届くことは珍しくありません。古い下書きが営業の Gmail に残ったまま新しい下書きができるので、件名に対象月と作った日時を入れ、新しいほうを送る決まりにします。

Step11

記録を残す

  • 派遣先ごとの、締め済みにした日時と、それをした人
  • 下書きを作った日時と、そのとき引いた集計の行(対象月・行の数)
  • AIの出力の全項目(report_body、hints、missing_data、needs_attention)
  • 営業が送った日時と、下書きから直した箇所の有無
  • 手がかりを話したか、話さなかった理由
  • スタッフの声として使った要約と、その同意を確かめた日

5つ目は、手がかりの条件を見直す材料です。 話さなかった理由が「繁忙期だけの時間外」ばかりなら、条件に前年の同じ月との比較を足します。6つ目は、同意を確かめた日と使った要約を結び付けて残し、後から説明できるようにします。

04実装レベルの3段階

最小構成:1社ずつデータを手でAIの画面に貼り、報告と手がかりを作らせる / 1社ごとの文面の作成
半自動化:上記+締めの欄の更新から Zap が動き、集計とスタッフの声を引いて、営業の Gmail に下書きを置く / 締めから下書きと手がかりまで
本格構成:上記+手がかりを営業の活動の記録に入れ、話した結果と受注の有無を手がかりの条件ごとに集計する / 手がかりの効き目の測定まで

本記事が想定するのは半自動化です。 1件24分が8分になります。数字の書き写しと見比べが無くなり、残るのは数字の確かめと文面の直しです。 本格構成は、手がかりの条件が固まってからにしてください。 条件が営業ごとの好みのままだと、集計しても何が効いたのかが分かりません。半自動化で3か月、話した・話さなかったの記録を残してから進みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
8 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
24 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  150件 × 24分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 150件 × 8分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,500円)
168万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 事務・製造・物流などの派遣先を百社以上持ち、営業が派遣先ごとに毎月の稼働の報告を送っている人材派遣会社。勤怠の集計がスプレッドシートに出せ、スタッフへの定期のフォローの記録が残っている場合。報告の書きぶりが営業ごとにばらばらで、増員や条件の見直しの話を切り出すきっかけを逃していると感じている場合。
向いていない
  1. 派遣先が数社で、営業が毎月訪問して口頭で報告している場合。勤怠の集計が紙のタイムシートのままで、派遣先ごとの数字がデータになっていない場合。スタッフのフォローの記録に、派遣先に伝えてよいかの区別が無く、整える余裕も無い場合。なお、派遣先へどの個人情報を伝えてよいか、契約の条件をどう提案するかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の報告を送った派遣先から10社を選ぶ(スタッフの多い派遣先、今月から始まった派遣先、締めの後に直しが入った派遣先を含める)
  2. その10社の勤怠の集計と、前月との差を、シートの式で計算した表にする
  3. フォローの記録から、本人の同意を確かめられた要約だけを書き出す
  4. 手元のAIサービスの画面に、第7章の指示と1社分のデータを貼り、報告と手がかりを作らせる
  5. 実際に送った報告と並べ、数字が一致しているか、提案が混ざっていないかを見る

10社は必ずやってください。 ワークフローを組む前に、「報告と手がかりを書き分けられるか」を確かめます。

出てきた内容判断
数字が一致し、提案が報告に混ざらないZap の構築に進む
合計の行を足す、本文に増員の話を書く指示の書き方で直る。構成は有効
スタッフの声が1件も使えない同意の欄の運用が先。 AIの問題ではない

3行目は、最初の月には珍しくありません。 フォローのときに同意を確かめる手順が無かったからで、次の月のフォローから同意を聞く運用を始めれば、翌月には使える要約が出てきます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
同意の無いスタッフの声が報告に混ざる同意ありの行だけを並べたシートから引く。 AIに選ばせない
相談の手がかりが報告の本文に入る出力の項目を分け、Gmail には報告の項目だけをつなぐ
合計の行を足して請求とずれる計算を禁じ、合計が要るならシートの式の列を渡す
途中の入退を欠勤のように書く入退の印の列を渡す
欠勤の理由を推測して書く指示で禁じ、営業の確かめでも見る
締めの後の直しで古い下書きが残る件名に対象月と作った日時を入れ、新しいほうを送る
月初に欄を戻すと Zap が動く最初に「締め済み」のときだけ続ける条件を置く
繁忙期のたびに同じ増員の手がかりが出る条件に前年の同じ月との比較を足す
担当が空欄の派遣先の下書きが行方不明Paths のフォールバックで営業部長へ

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「派遣先に届けてはいけないものが届く」失敗で、AIの指示ではなく、データの渡し方と項目のつなぎ方で防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 派遣スタッフの氏名と勤怠の記録(労働時間・時間外・欠勤・有給休暇)、フォローで聞いたスタッフの声、派遣先の会社名と担当者、契約の終了日です。スタッフの個人情報が中心です。

  1. 派遣先に伝える個人情報の範囲を守る … 「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」では、派遣元が派遣先に提供できる派遣労働者の個人情報は、労働者派遣法第35条第1項の各号の通知すべき事項のほかは、業務遂行能力に関する情報に限られるとされ、他の目的を示して本人の同意を得た場合などはこの限りでないとされています。スタッフの声を報告に載せるのは、同意を得た要約だけにします。 どこまでを載せるかは、自社の個人情報の取扱いの規程と照らして決めてください
  2. AIに渡す範囲を絞る … 渡すのは、その派遣先のスタッフの今月と前月の集計と、同意ありの要約だけです。フォローの記録の全文、他の派遣先のデータ、給与の情報は渡しません
  3. 欠勤や体調についての推測を書かせない … 欠勤の理由や健康の状態は、派遣先に伝えてはいけない情報になりえます
  4. 送信を自動にしない … 報告は、派遣先が請求と見比べる数字を含む1通です。送るのは数字を確かめた営業です
  5. AI by Zapier のモデルの選び方を決める … Zapier が用意するモデルを使うか、自社で契約している生成AIのキーを使うかを、情報システムの担当と決めておきます
  6. 指針の改正を追う … 本記事は令和4年改正の版の本文で確かめました。令和8年4月28日に告示された改正(令和8年10月1日から適用)の改正の項目は第二の八と九で、個人情報の項目の文言は、運用の前に最新の告示で確かめてください

誤りが起きた場合のリスクは、派遣先に伝えてはいけないスタッフの情報を伝えることと、報告の数字が請求と食い違うことの2つです。 前者は同意ありの行だけを引く仕組みで、後者は計算をさせないことと営業の見比べで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:フォローの記録に同意の欄を足す

フォローの記録のシートに、「派遣先に伝えてよいか(本人の同意)」と「派遣先に伝える要約」の欄を足します。コーディネーターと営業に、フォローのときに本人に確かめる言い方をそろえてもらいます。

2週目:10社で試す

先月の10社で、手元のAIサービスに報告と手がかりを作らせます。実際に送った報告と数字が一致しているか、提案が本文に混ざっていないかを最優先で見ます。

3週目:集計のシートと手がかりの条件を固める

勤怠の集計に「派遣先コード_対象月」の列と、前月との差・3か月の推移・入退の印の列を足します。手がかりの条件を、営業の8名で5つほどに絞って決めます。

4週目:締めから下書きまでをつなぐ

派遣先の一覧を Zapier Tables に移し、締めの欄の更新から下書きまでを作ります。この時点では、営業部長の Gmail にだけ下書きを置き、担当の営業には回しません。

2か月目: 担当の営業ごとの分岐を足し、全派遣先で下書きを使います。手がかりを話したか、話さなかった理由を毎週見ます。3か月目以降: 1件24分が何分になったかを実測し、同意の無いスタッフの声が報告に載った件数が0のまま、月初の10日のうちに全派遣先へ報告が届く月が続いた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-09/最終更新:2026-10-12
確認した内容情報源確認日
AI by Zapier が Professional・Team・Enterprise で使えること。モデルが Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、新しいステップの既定)と自前のキーから選べること。出力の項目を名前・型・説明・必須で定義できることZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-09
特定の欄が更新されたときだけ動く Zap と、表示の絞り込みに合うレコードだけで動く Zap を作れること。Zapier Tables のステップがタスクに数えられないことZapier: Trigger and continue Zaps from records2026-10-09
Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) が列と値で最大500行を明細として返すこと。Get Many Spreadsheet Rows (Advanced) が最大1,500行を返すことZapier: How to get started with Google Sheets on Zapier2026-10-09
Paths が Professional 以上で使え、1つのグループに最大10本の分岐とフォールバックを置けることZapier: Add branching logic with Paths2026-10-09
Gmail の Create Draft と Send Email があることZapier: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-09
派遣元が派遣先に提供できる派遣労働者の個人情報は、労働者派遣法第35条第1項各号の通知事項のほか業務遂行能力に関する情報に限られ、他の目的を示して本人の同意を得た場合等はこの限りでないこと(第2の11(1)ニ。最終改正 令和4年厚生労働省告示第92号の版)厚生労働省: 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針2026-10-09
令和8年4月28日告示の指針の改正が第二の八・九を改め、令和8年10月1日から適用されること労働政策研究・研修機構: 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件2026-10-09

派遣先へどのスタッフの情報をどこまで伝えるかは、自社の個人情報の取扱いの規程と、必要に応じて社会保険労務士・弁護士と確かめてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1239)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次