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運送会社から届く配送の遅延・事故・不在の連絡メールを種類で仕分け、荷主ごとに影響のある出荷をまとめて担当へ知らせる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

運送会社から届く遅延・事故・不在などの連絡メールを種類で仕分け、送り状番号や届け先の地域から出荷実績を引いて、どの荷主のどの出荷に影響があるかをまとめます。荷主の担当者には、自分の荷主に関係する連絡だけが届きます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Gemini
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
EC/小売/物流/製造
対象部門
カスタマーサポート/物流
対象業務
分類・仕分け/情報検索
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
64h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
63%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 運送会社からの連絡が、出荷の窓口の共用の受信箱に届く
  2. 窓口の担当がメールを開き、遅延か事故か不在かを読み取る
  3. 送り状番号を1つずつ出荷実績のリストで検索し、荷主・出荷番号・届け先・品目を確かめる
  4. 地域単位の連絡なら、出荷日と届け先の都道府県で出荷実績を絞り込み、荷主ごとに数える
  5. 荷主の担当へ、Teamsで連絡の要点と出荷の一覧を書いて知らせる
  6. 運送会社が指示を求めている連絡(再配達の日時、返送か保管か)は、荷主の担当に判断を頼み、回答を運送会社へ返す
  7. 荷主の担当が、荷主へ報告する
導入後(After)
  1. 自動共用の受信箱に、登録した運送会社のアドレスからメールが届くとフローが動く
  2. 自動本文と、PDF・画像の添付をAI Builder のプロンプトに渡し、種類と送り状番号・地域・日付・指示の要否をJSONで受け取る
  3. 自動送り状番号があれば、出荷実績のリストで1件ずつ引き、荷主・出荷番号・届け先・品目を足す
  4. 自動地域単位の連絡なら、運送会社・出荷日・届け先の都道府県で出荷実績を絞り込み、荷主ごとに件数と一覧を作る
  5. 自動連絡の記録のリストに、荷主ごと・出荷ごとに1行ずつ書く
  6. 自動事故・破損と指示を求める連絡は、その場で荷主の担当のチャネルへ投稿する
  7. 自動遅延と不在は、1日2回、荷主ごとのまとめにして投稿する
  8. 人荷主の担当が投稿を見て、荷主へ報告し、指示が要るものは運送会社へ回答する
  9. 人窓口の担当が、仕分けられなかった連絡と、出荷実績で見つからなかった送り状番号を処理する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 運送会社からの連絡が、出荷の窓口の共用の受信箱に届く
  2. 窓口の担当がメールを開き、遅延か事故か不在かを読み取る
  3. 送り状番号を1つずつ出荷実績のリストで検索し、荷主・出荷番号・届け先・品目を確かめる
  4. 地域単位の連絡なら、出荷日と届け先の都道府県で出荷実績を絞り込み、荷主ごとに数える
  5. 荷主の担当へ、Teamsで連絡の要点と出荷の一覧を書いて知らせる
  6. 運送会社が指示を求めている連絡(再配達の日時、返送か保管か)は、荷主の担当に判断を頼み、回答を運送会社へ返す
  7. 荷主の担当が、荷主へ報告する

(a)送り状番号で出荷を探すのに時間がかかります。 1通に5件、10件と送り状番号が並ぶ連絡では、1件ずつ検索して荷主を書き出すだけで数分かかります。 番号の打ち間違いで見つからず、もう一度探すこともあります。

(b)地域単位の連絡は、影響する出荷が分かりません。 「九州宛ての配達が1日程度遅れる見込み」とだけ書かれた連絡では、どの荷主のどの出荷が該当するかを、出荷実績を絞り込んで作るしかありません。 台風の日はこの連絡が何通も届き、窓口が手一杯になります。

(c)急ぐ連絡が埋もれます。 事故・破損の連絡や、「保管期限が明日までです。返送か再配達かをご指示ください」という連絡は、返事が遅れると荷物が送り主に戻ってしまいます。 遅延の連絡と同じ受信箱に同じように並んでいるため、読む順番が届いた順のままです。

(d)荷主への報告が、届け先からの問い合わせより遅れます。 窓口が手一杯の日ほど荷主の担当へ伝わるのが遅れ、荷主が届け先から「届かない」と言われてから、こちらに問い合わせてくることがあります。

  1. 【自動】 共用の受信箱に、登録した運送会社のアドレスからメールが届くとフローが動く
  2. 【自動】 本文と、PDF・画像の添付をAI Builder のプロンプトに渡し、種類と送り状番号・地域・日付・指示の要否をJSONで受け取る
  3. 【自動】 送り状番号があれば、出荷実績のリストで1件ずつ引き、荷主・出荷番号・届け先・品目を足す
  4. 【自動】 地域単位の連絡なら、運送会社・出荷日・届け先の都道府県で出荷実績を絞り込み、荷主ごとに件数と一覧を作る
  5. 【自動】 連絡の記録のリストに、荷主ごと・出荷ごとに1行ずつ書く
  6. 【自動】 事故・破損と指示を求める連絡は、その場で荷主の担当のチャネルへ投稿する
  7. 【自動】 遅延と不在は、1日2回、荷主ごとのまとめにして投稿する
  8. 【人】 荷主の担当が投稿を見て、荷主へ報告し、指示が要るものは運送会社へ回答する
  9. 【人】 窓口の担当が、仕分けられなかった連絡と、出荷実績で見つからなかった送り状番号を処理する

8番目の荷主への報告は、人が行います。 荷主への報告の書き方や、届け先へ誰が連絡するかは、荷主との取り決めによって違います。この構成が渡すのは、どの荷主のどの出荷に何が起きたかの一覧までです。

6番目と7番目で急ぎ方を分けているのが、この構成の要です。 種類の仕分けはAIが行い、どの種類をその場で流し、どの種類をまとめに回すかは規則で決めます。 規則は荷主との取り決めに合わせて後から変えられます。

02今回想定するシステム構成

構成図
運送会社4社からの連絡(本文/PDF・画像の添付)
   │
   ▼【トリガー】共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)
Power Automate(クラウド フロー)
   ├──▶ 添付ファイルの取得 (V2)
   ├──▶ AI Builder のプロンプト(プロンプトを実行する)
   │       種類の仕分け/送り状番号・地域・日付・指示の要否
   ├──▶ SharePoint:出荷実績を引く(アイテムを取得)
   │       送り状番号で1件ずつ/地域単位は出荷日と都道府県で絞る
   ├──▶ SharePoint:連絡の記録に書く(項目を作成する)
   ▼
急ぐ種類 ──▶ Teams:荷主の担当のチャネルへその場で投稿
   ▼
Power Automate(繰り返し:毎日11時と16時)
   └──▶ 遅延・不在を荷主ごとにまとめて Teams へ投稿
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(プロンプトを実行する、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Gemini
保管SharePoint のリスト(出荷実績・運送会社の一覧・荷主の一覧・連絡の記録)Dataverse
受付と通知Office 365 Outlook の共用の受信箱、Microsoft Teams の荷主ごとのチャネル―

新しく足すのは、2本のフローと、連絡の記録のリストです。 出荷実績のリストは今あるものを使います。運送会社には何も変えてもらいません。 4社の連絡の書き方をそろえてもらうことはできないので、書き方の違いはプロンプトの側で吸収します。

受信は Office 365 Outlook コネクタの「共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)」で行います。 このトリガーは、フローの接続に使うアカウントに共用の受信箱へのアクセス許可が要り、メッセージの合計サイズが Exchange の管理者の設定した制限か50MBの小さいほうを超えるメールは飛ばされるとされています。差出人のフィルターに運送会社のアドレスを並べて、運送会社以外のメールでは動かないようにします。

AIは、Power Automate の中から AI Builder のプロンプトを呼びます。 「プロンプトを実行する」アクションで作っておいたプロンプトを選び、前のアクションの内容を入力に渡します。プロンプトは Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限の対象になる場合があるとされています。添付は「画像またはドキュメント」の入力で渡し、対応するファイルの種類は PNG、JPG、JPEG、PDF です。

出力は JSON で固定します。 JSON の例を書き換えて形式を「カスタム」にすると、プロンプトをもう一度テストしても形式は更新されず、保存した形式がフローでもそのまま使われます。 種類の値で投稿の急ぎ方を分けるので、形式の固定は必須です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

連絡を受ける入口は、共用の受信箱へのメールの着信です。 「共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)」の「元のメールボックス アドレス」に共用の受信箱を、差出人に運送会社4社の連絡用のアドレスをセミコロンで区切って入れます。 運送会社の担当者が個人のアドレスから送ってくることもあるので、差出人の一覧は運送会社の一覧のリストと合わせて保守します。

「添付ファイルを含める」は「いいえ」にします。 公式ドキュメントでは、添付を含める設定にすると添付のダウンロードを待ってタイムアウトが起きる可能性があるとされ、「添付ファイルの取得 (V2)」で別に取る回避策が示されています。事故の報告書は写真入りのPDFで大きくなりがちなので、最初からこの形にします。

まとめの投稿は、別のフローにします。 「繰り返し」トリガーで頻度を週にすると、実行する曜日と時刻を複数指定でき、タイム ゾーンも選べます。月曜から土曜の11時と16時に動かし、連絡の記録のリストから「まとめ待ち」の行を荷主ごとに集めて投稿します。11時は午前の配達の結果が、16時は午後の再配達の調整が間に合う時刻として置いています。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
連絡のメール差出人、件名、受信日時、本文共有メールボックスのトリガー
添付事故の報告書、遅延の対象の一覧(PDF・画像)添付ファイルの取得 (V2)
出荷実績送り状番号、運送会社、出荷日、荷主、出荷番号、届け先の都道府県、品目SharePoint のリスト(倉庫管理システムから毎日取り込み)
運送会社の一覧運送会社のコード、連絡用のアドレス、送り状番号の桁数と形SharePoint のリスト
荷主の一覧荷主のコード、担当者、Teams のチャネル、急ぎで知らせる種類SharePoint のリスト

質を決めるのは、運送会社の一覧に持たせる送り状番号の形です。 運送会社ごとに送り状番号の桁数と形は決まっています。AIが抜き出した番号がその形に合わなければ、読み違いか、運送会社の社内の番号を拾ったかのどちらかです。形の確認はフローの側で行います。

荷主の一覧に「急ぎで知らせる種類」を持たせるのは、荷主ごとに求めが違うからです。 ある荷主は事故だけをすぐ知りたく、別の荷主は不在の持ち戻りもすぐに知りたい。取り決めを一覧に持たせれば、フローを直さずに荷主ごとの急ぎ方を変えられます。

Step3

データの取得方法を決める

本文はトリガーの出力から、添付は「添付ファイルの取得 (V2)」で取ります。出荷実績は SharePoint の「アイテムを取得」で引きます。

取るものどこから条件
1件の出荷出荷実績(アイテムを取得)フィルター クエリで送り状番号と運送会社を指定
地域単位の出荷の一覧出荷実績(アイテムを取得)運送会社、出荷日の範囲、届け先の都道府県
荷主の担当とチャネル荷主の一覧荷主のコード
送り状番号の形運送会社の一覧運送会社のコード

「アイテムを取得」のフィルター クエリは、返すエントリを OData のフィルターで絞るものです。 送り状番号は運送会社とあわせて指定します。運送会社が違えば同じ番号が別の荷物を指すことがありうるからです。

地域単位の連絡では、出荷日の範囲を広めに取ります。 「本日お届け予定の九州宛て」とあれば、宅配便なら前日と前々日の出荷が該当します。範囲は運送会社と地域ごとに一覧に持たせ、絞り込みの条件そのものを連絡の記録に残します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 差出人の確認 … 運送会社の一覧にあるアドレスかを確かめ、運送会社のコードを決めます
  2. 本文の整形 … 過去のやり取りの引用部分と署名を落とします。運送会社の署名に並ぶ営業所の住所を、届け先の地域として拾わせないためです
  3. 添付の仕分け … PDF・PNG・JPG・JPEG はプロンプトへ渡し、それ以外の形式は窓口に回します
  4. 大きさの確認 … 添付の合計が25MB未満、ドキュメントが50ページ未満かを確かめます
  5. 同じ連絡の再送の確認 … 同じ運送会社から同じ件名のメールが短い間に二度届いたら、2通目は記録だけにして投稿しません
  6. 続報の確認 … 件名に「続報」「第2報」とあれば、同じ件の前の記録を探して結び付けます

2番目を省くと、地域単位の連絡で絞り込みを誤ります。 署名に「福岡営業所」とあると、AIはそれを影響のある地域として拾うことがあります。影響の地域は本文の中だけから取らせます。

6番目は、台風の日に効きます。 運送会社は状況が変わるたびに続報を送ってきます。続報ごとに荷主の担当へ同じ一覧を流すと、どれが最新かが分からなくなります。 続報は前の記録を上書きし、変わった点だけを投稿します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、連絡を7つの種類のどれかに仕分け、送り状番号・地域・日付・指示の要否を抜き出し、根拠の文を写すことだけです。

種類中身既定の急ぎ方
accident事故・破損・紛失・誤配その場で投稿
instruction_needed保管期限・返送か再配達か・住所の確認など、指示を求めているその場で投稿
address_issue住所不明・受取拒否・転居その場で投稿
area_disruption天候や災害、交通の規制による地域単位の集荷・配達の見合わせや遅れその場で投稿
delay個別の荷物の遅れまとめ
absent不在の持ち戻り・再配達の予定まとめ
other上のどれにも当たらない、または判断できない窓口へ

種類の判断に迷ったときは、other にさせます。 迷った連絡を delay に寄せると、事故だったものがまとめに回り、半日遅れて荷主に伝わります。 窓口に回る件数が少し増えても、急ぐ連絡を遅らせないほうを選びます。

instruction_needed を別の種類にしているのが、この仕分けの要です。 不在の連絡でも、保管期限が迫って指示を求めているものは急ぎます。1通の連絡が「不在」でもあり「指示を求めている」でもあるときは、instruction_needed を優先させ、期限の日付を抜き出させます。

させないこと理由
荷主の特定送り状番号から出荷実績で引く
影響する出荷の推定地域と日付から出荷実績を絞り込む
責任や補償の判断運送会社との取り決めと、人の確認で決める
運送会社への回答荷主の担当が荷主に確かめてから行う
送り状番号の補完桁を補ったり、似た番号に直したりしない

2行目がいちばん大事です。 「九州宛て」と書かれた連絡から、AIに「影響のある出荷」を挙げさせると、それらしい出荷を挙げてしまいます。 AIが抜き出すのは地域と日付までで、影響する出荷は出荷実績の絞り込みで決めます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは物流センターの出荷の窓口で、運送会社から届いた連絡を
仕分ける担当です。メール本文と添付だけを見て判断してください。
推測で埋めないでください。

【種類(category)】次のどれか1つを選んでください。
accident ........... 事故・破損・紛失・誤配
instruction_needed . 保管期限・返送か再配達か・住所の確認など、
                     こちらに指示を求めている
address_issue ...... 住所不明・受取拒否・転居
area_disruption .... 天候・災害・交通規制による地域単位の
                     集荷・配達の見合わせや遅れ
delay .............. 個別の荷物の遅れ
absent ............. 不在の持ち戻り・再配達の予定
other .............. 上のどれにも当たらない、または判断できない

【厳守事項】
- 迷ったときは other にしてください。delay に寄せないでください。
- 指示を求める文があれば、他の種類に当たっても instruction_needed に
  してください。指示の期限が書かれていれば deadline に写してください。
- 送り状番号は、本文と添付に書かれたものを書かれたまま全部写して
  ください。桁を補ったり、似た番号に直したりしないでください。
- 地域単位の連絡では、影響のある都道府県と、対象となる出荷日・
  お届け予定日を書かれたまま写してください。書かれていなければ
  空にしてください。署名の営業所の住所を地域として拾わないでください。
- 影響のある荷主や出荷を推定して書かないでください。
- 事故の責任や補償について判断を書かないでください。
- evidence には、種類の判断に使った文をそのまま写してください。
- 運送会社からの連絡でない、または配送の連絡でないメールなら、
  category を other にし、note に理由を書いてください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【運送会社】{carrier_name}
【受信日時】{received_at}
【件名】{subject}
【本文】{body}
【添付】{attachment}

「迷ったら other」を2回書いているのは、AIが多い種類に寄せる癖を持つからです。 運送会社からの連絡の大半は遅延と不在なので、少し変わった文面も遅延に見えます。 寄せる先を other に決めておけば、迷った連絡は窓口の人の目に入ります。

最後の1行は、公式ドキュメントの対処に沿ったものです。 プロンプトのテストで「JSON を生成できませんでした」が出るのは、モデルが JSON をマークダウンなどで囲むためで、この指示を足すことで解決できる場合があるとされています。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 AI Builder の JSON 出力はキーの無い配列を形式として持てないとされているので、送り状番号もキーを持つオブジェクトの配列にします。

{
  "category": "accident | instruction_needed | address_issue | area_disruption | delay | absent | other",
  "tracking_numbers": [ { "no": "" } ],
  "areas": [ { "prefecture": "" } ],
  "ship_date_text": "",
  "delivery_date_text": "",
  "deadline": "",
  "carrier_next_action": "",
  "evidence": "",
  "note": ""
}

1つ目の理由は、category の値で投稿の急ぎ方を分けられることです。 フローは category と荷主の一覧の「急ぎで知らせる種類」を見比べ、その場で投稿するか、まとめに回すかを条件で決めます。

2つ目は、送り状番号と地域で、出荷実績の引き方を切り替えられることです。 tracking_numbers があれば1件ずつ引き、無くて areas があれば地域で絞り込みます。どちらも無ければ荷主を特定できないので、窓口に回します。

フローは引いた結果を荷主ごとにまとめ、次の形で投稿します。

種類運送会社送り状番号出荷番号届け先品目運送会社の次の動き期限
指示を求めている宅配A社1234-5678-9012S-10233大阪府衣料 2箱保管中。返送か再配達かの指示待ち10/9
地域の遅れ宅配A社(12件)一覧のリンク福岡県・熊本県―1日程度の遅れの見込み―

地域単位の連絡は、件数と一覧へのリンクだけを投稿します。 Teams の投稿はメッセージの大きさが約28KBに制限され、超えると「要求エンティティが大きすぎます」のエラーで失敗するとされています。台風の日は1つの荷主で何十件にもなるので、一覧は連絡の記録のリストの絞り込みのビューへのリンクで渡します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共用の受信箱Office 365 Outlook(共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)、添付ファイルの取得 (V2))連絡のメールと添付を受ける
AI Builder のプロンプトプロンプトを実行する種類と送り状番号・地域・日付をJSONで受け取る
出荷実績・各一覧SharePoint(アイテムを取得)荷主と出荷の引き当て
連絡の記録SharePoint(項目を作成する、項目を更新する)荷主ごと・出荷ごとに1行。担当の対応状況も持つ
荷主の担当Teams(チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する)急ぐ連絡はその場で、他は1日2回のまとめで投稿

運送会社への返信は、この構成からは送りません。 指示を求める連絡への回答は、荷主の担当が荷主に確かめてから行います。自動で「承知しました」と返すと、運送会社は指示が来るものと待ってしまいます。

連絡の記録には、荷主の担当が対応の状況を書き込みます。 「荷主へ報告済み」「運送会社へ回答済み」の欄を持たせ、指示を求める連絡で期限の前日になっても回答済みにならないものは、まとめの投稿の先頭に再掲します。

Step9

人が確認する

荷主の担当は、投稿された連絡を見て、荷主への報告と運送会社への回答を行います。 窓口の担当は、AIとフローが処理しきれなかったものを受け持ちます。

  1. 窓口:other の連絡を読む … 種類を決め直し、記録に書き足します
  2. 窓口:出荷実績で見つからなかった送り状番号を確かめる … 読み違いか、取り込み前の当日の出荷かを見ます
  3. 荷主の担当:その場の投稿を先に見る … 事故と指示を求める連絡は、期限と運送会社の次の動きを先に読みます
  4. 荷主の担当:まとめの投稿を見て、荷主へ報告する … 地域単位の連絡は、一覧のリンクから荷主へ渡す一覧を作ります

1番目で決め直した種類は、記録に残します。 どの文面がどの種類に誤って仕分けられたかが、プロンプトに足す注意の材料になります。

目標は、480件をならして1件3分です。 窓口の処理と荷主の担当の確認を合わせた時間で、送り状番号を1件ずつ検索する時間は入っていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
送り状番号が出荷実績にない当日の出荷で取り込み前の可能性。翌朝の取り込みの後に再照合し、なお無ければ窓口へ
送り状番号の形が運送会社の形と合わない引き当てずに窓口へ。似た番号で探さない
送り状番号も地域も書かれていない荷主を特定できないので窓口へ
地域単位の連絡で該当の出荷が0件「該当なし」として記録し、投稿はしない
1通に複数の荷主の出荷が混ざる荷主ごとに分けて、それぞれの担当へ投稿する
添付がPDF・画像以外の形式プロンプトに渡さず、窓口へ
続報が届く前の記録に結び付けて上書きし、変わった点だけを投稿
投稿が大きさの上限を超える一覧をリンクに切り替える
プロンプトが失敗する・形が合わない窓口へ回し、本文のリンクを投稿する

上から2行は、運用の最初に多く出ます。 1行目は出荷実績の取り込みの時刻の問題で、取り込みを1日2回に増やすと減ります。 2行目は、運送会社の一覧の送り状番号の形が実際と合っていないことが多く、最初の1か月で形を直していきます。

Step11

記録を残す

  • 元のメールのIDと受信日時、運送会社
  • プロンプトが返したJSONの全文
  • 引き当てに使った条件(送り状番号、または運送会社・出荷日の範囲・都道府県)と、引き当てた出荷
  • 投稿した日時、投稿したチャネル、その場かまとめか
  • 荷主への報告と、運送会社への回答の日時
  • 窓口が決め直した種類と、その理由

5つ目は、荷主との約束を守れているかを測る記録です。 事故の連絡を受けてから荷主へ報告するまでの時間を、荷主ごとに月に1度数えます。

6つ目は、仕分けの見直しの材料です。 同じ運送会社の同じ型の文面が毎回 other に回るなら、その運送会社の書き方をプロンプトに例として足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:本文と添付を手でAIの画面に貼り、種類を仕分けて抜き出させる / 種類の仕分けと抜き出し
半自動化:上記+着信でフローが動き、出荷実績を引いて荷主ごとにまとめ、急ぎ方を分けて投稿する / 仕分けから荷主の担当への連絡まで
本格構成:上記+荷主への報告の文面の下書きと、荷主の受け付けの窓口への連携まで行う / 荷主への報告の下準備まで

最小構成では、出荷実績を引く作業が手作業のまま残ります。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件8分が3分になり、この段階が本記事の想定です。 送り状番号の検索と地域の絞り込みがなくなり、窓口の例外の処理と、荷主の担当の確認が残ります。 本格構成は荷主ごとの報告の取り決めに合わせる段階で、荷主の数だけ文面と渡し先の設計が要ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  480件 × 8分 ÷ 60 = 64 時間/月
導入後 480件 × 3分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
63%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価2,800円)
134万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の荷主の出荷を預かり、複数の運送会社を使い分けている物流センター(3PL)や、自社の物流部門。運送会社からの遅延・事故・不在の連絡がメールで共用の受信箱に届き、窓口の担当が送り状番号で出荷実績を探して荷主ごとの担当へ連絡している場合。荷主への報告が遅れて、荷主の側が先に届け先から問い合わせを受けたことがある場合。出荷実績を毎日SharePointのリストなどに取り込める場合。
向いていない
  1. 荷主が1社で、運送会社も1社の場合。運送会社の配送状況をAPIで取得でき、遅延を自社で見張る仕組みがすでにある場合(その場合は見張りの仕組みのほうが早く拾えます)。運送会社への補償の請求や、事故の責任の判断を自動化したい場合(この構成は仕分けて知らせるまでで、責任や補償は判断しません)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の連絡から30件を選ぶ(事故、指示を求める連絡、地域単位の連絡を必ず入れる)
  2. 1件ずつ、本文と添付を手元のAIの画面に貼り、第7章の7つの種類の説明とあわせて「種類を1つ選び、送り状番号・地域・日付・指示の期限を書かれたまま抜き出し、根拠の文を写してください。迷ったら other にしてください」と指示する
  3. 出てきた種類を、当時の窓口の扱いと突き合わせる
  4. 地域単位の連絡は、抜き出した地域と日付で出荷実績を手で絞り込み、当時の荷主への連絡と比べる
出てきた内容判断
当時の扱いと同じ種類に仕分けられたフローを組む段階に進む
指示を求める不在の連絡が absent になった指示の書き方で直る。構成は有効
署名の営業所を地域として拾った前処理で署名を落とす
地域の絞り込みで当時より多くの出荷が出た当時の連絡漏れか、出荷日の範囲の取りすぎ。 どちらかを確かめる

4行目が出たら、絞り込みの範囲を見直す材料になります。 当時の連絡が少なかったなら、荷主へ伝わっていない出荷があったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
迷った連絡が delay に寄る迷ったら other と指示し、窓口の目に入れる
影響する出荷をAIが挙げてしまう地域と日付の抜き出しまでにし、出荷実績で絞り込む
署名の営業所を影響の地域として拾う前処理で署名を落とし、本文の中だけから取らせる
送り状番号を似た番号に直す補完を禁じ、運送会社ごとの形で確かめる
当日の出荷が見つからない取り込みの後に再照合する
地域単位の投稿が大きすぎて失敗する約28KBの上限。件数とリンクで渡す
続報のたびに同じ一覧が流れる前の記録に結び付け、変わった点だけを投稿する
添付のダウンロードでタイムアウトする「添付ファイルを含める」を「いいえ」にし、添付ファイルの取得 (V2) で取る
運送会社へ自動で受領の返信をする返さない。 指示は荷主の担当が確かめてから
全部をその場で投稿する担当の通知が鳴りっぱなしになる。種類で急ぎ方を分ける

上の2行が、この構成の分かれ目です。 1行目は急ぐ連絡を遅らせる失敗、2行目はありもしない影響を荷主へ伝える失敗です。どちらも、AIに任せる範囲を仕分けと抜き出しに絞ることで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 送り状番号、届け先の都道府県、品目、荷主の名前、運送会社からの連絡の本文です。連絡の本文と事故の報告書には、届け先の個人の名前や住所、電話番号が書かれていることがあります。

  1. 荷主との取り決めを確かめる … 荷主の出荷の情報と届け先の情報を、AI Builder のプロンプトで処理してよいかを、荷主との契約に照らして確かめてから始めます
  2. AIに渡す範囲を絞る … 仕分けに届け先の個人の名前や電話番号は要りません。本文の中の電話番号を前処理で伏せることを検討します
  3. 荷主の間で情報を混ぜない … 投稿は荷主ごとのチャネルへ分けます。1通に複数の荷主の出荷が混ざる連絡を、そのまま1つのチャネルへ流さないでください
  4. 責任と補償の判断を自動にしない … 事故の連絡は仕分けて知らせるまでで、運送会社と荷主の間の責任や補償の判断は、取り決めに沿って人が行います
  5. プロンプトを使える地域を確かめる … 機能は一部の地域に限定されているとされています

誤りが起きた場合のリスクは、急ぐ連絡がまとめに回って遅れることと、ある荷主の出荷の情報が別の荷主の担当に届くことの2つです。 前者は「迷ったら other」で、後者は荷主の特定を出荷実績で行うことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:2つの一覧を作る

運送会社の一覧(連絡用のアドレス、送り状番号の形)と、荷主の一覧(担当、チャネル、急ぎで知らせる種類)を作ります。急ぎで知らせる種類は、連絡の多い上位5社の荷主と先に取り決めます。

2週目:30件で試す

先月の連絡から30件を選び、手元のAIの画面で仕分けと抜き出しをさせます。指示を求める不在の連絡と、地域単位の連絡がどう扱われるかを最優先で見ます。

3週目:仕分けと引き当てまでを組む

Power Automate で着信をきっかけにプロンプトを呼び、出荷実績を引いて連絡の記録に書くところまで作ります。この時点では投稿しません。 窓口は今までどおり手で処理し、記録と見比べます。

4週目:その場の投稿を始める

事故と指示を求める連絡だけを、上位5社の荷主の担当へその場で投稿します。まとめの投稿はまだ始めず、その場の投稿の外れが無いかを見ます。

2か月目: 1日2回のまとめの投稿を足し、残りの荷主に広げます。3か月目以降: 1件8分が何分になったかと、事故の連絡から荷主への報告までの時間を荷主ごとに数えます。窓口に回る other の件数が落ち着き、荷主ごとの急ぎ方の取り決めが一覧にそろった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
「共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)」にメールボックスへのアクセス許可が要り、合計サイズが Exchange 管理者の制限か50MBの小さいほうを超えるメールは飛ばされること。元のメールボックス アドレス・差出人・件名フィルター・添付ファイルを含めるの設定があること。添付を含めるとタイムアウトしうること、「添付ファイルの取得 (V2)」で取る回避策Microsoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-10-07
フローに「プロンプトを実行する」アクションを足して作成済みのプロンプトを選べること。Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限の対象になる場合があることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-07
プロンプトの画像またはドキュメントの入力が PNG・JPG・JPEG・PDF に対応し、合計25MB未満、50ページ未満であることMicrosoft Learn: プロンプトに入力を追加する2026-10-07
プロンプトの出力を JSON にでき、カスタムの形式にすると保存した形式がフローで使われること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」の対処。キーの無い配列の形式がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-07
SharePoint コネクタの「アイテムを取得」が OData のフィルター クエリで返すエントリを絞れること。「項目を作成する」「項目を更新する」があることMicrosoft Learn: SharePoint コネクタ2026-10-07
「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」があり、投稿のメッセージの大きさが約28KBに制限され、超えると「要求エンティティが大きすぎます」のエラーで失敗することMicrosoft Learn: Microsoft Teams コネクタ2026-10-07
「繰り返し」トリガーで頻度を週にすると、実行する曜日と時刻を複数指定でき、タイム ゾーンを選べることMicrosoft Learn: スケジュールに従ってクラウド フローを実行する2026-10-07

種類ごとの急ぎ方と、まとめの時刻は本記事のモデル条件です。 実際の値は荷主との取り決めに合わせてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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