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毎月のセキュリティ更新を当てていない端末の一覧から、利用者ごとに理由の候補と手順を添えた案内文を作って送り、未対応を追う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

月例のセキュリティ更新が期限までに入っていない端末の一覧から、利用者ごとに「なぜ入っていないと考えられるか」と「何をすればよいか」を添えた案内文を作って送り、翌週以降の一覧で直ったかを確かめて、直らない端末を追います。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/医療/建設/製造/金融
対象部門
情報システム
対象業務
台帳・マスタ管理/書類作成
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
18h/月
AI導入後
4h/月
想定削減
78%
年間削減
168h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当者が Intune の管理センターで品質更新の状態レポートを開き、「Not up to date」の端末を絞り込んでCSVに書き出す
  2. 端末ごとに主な利用者を確かめる。分からない端末は Intune の端末の画面で調べる
  3. 最終チェックインの日時やエラーコードを見て、理由の見当をつける
  4. 利用者に、端末名と、再起動などの対処を書いたメールを送る
  5. 送った相手と日付を手元の表に書く
  6. 1週間後にもう一度レポートを見て、直っていない端末の利用者に再度連絡する
導入後(After)
  1. 人担当者が品質更新の状態レポートをCSVに書き出し、決まった様式のブックの表に貼って SharePoint に置く
  2. 自動ファイルの作成をきっかけにフローが動き、表から「Not up to date」の行を読み込む
  3. 自動端末ごとに、最終チェックインの日時・インストール済みの更新・エラーコードから、対応表の規則で理由の候補を選ぶ
  4. 自動主な利用者ごとに端末をまとめ、理由の候補と手順集の該当部分をプロンプトに渡して案内文を作る
  5. 自動確認が要る案内(主な利用者が空、エラーコードが対応表に無い、など)だけを担当者の承認に回す
  6. 自動それ以外の案内を利用者へ送り、追跡のリストに送った日と回数を書く
  7. 自動翌週の一覧で直った端末を閉じ、直っていない端末の利用者に2回目の案内を送る
  8. 人3回目でも直らない端末は、担当者が利用者に直接連絡するか、端末を預かる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当者が Intune の管理センターで品質更新の状態レポートを開き、「Not up to date」の端末を絞り込んでCSVに書き出す
  2. 端末ごとに主な利用者を確かめる。分からない端末は Intune の端末の画面で調べる
  3. 最終チェックインの日時やエラーコードを見て、理由の見当をつける
  4. 利用者に、端末名と、再起動などの対処を書いたメールを送る
  5. 送った相手と日付を手元の表に書く
  6. 1週間後にもう一度レポートを見て、直っていない端末の利用者に再度連絡する

(a)「更新してください」では直らない。 何をすればよいかが書かれていない連絡は、利用者にとって「何かやれと言われたが、何をすればよいか分からない」ものです。直らない端末の多くは、利用者がやり方を知らないか、すでにやったつもりでいます。

(b)3番目が担当者の経験に頼っている。 エラーコードを見て手順を思い出せるのは、経験の長い1人だけです。もう1人が担当すると、どの端末にも同じ定型文を送ることになります。

(c)何回連絡したかが追えない。 手元の表は担当者ごとに分かれていて、3回連絡しても直らない端末が、上長への連絡に上がらないまま翌月に持ち越されます。 翌月にはまた新しい更新が出て、同じ端末が2か月分遅れます。

(d)連絡が月の半ばに集中する。 120台分を2人で書くと数日かかり、その間に期限からさらに日が経ちます。連絡が遅れるほど、更新が入っていない期間が延びます。

  1. 【人】 担当者が品質更新の状態レポートをCSVに書き出し、決まった様式のブックの表に貼って SharePoint に置く
  2. 【自動】 ファイルの作成をきっかけにフローが動き、表から「Not up to date」の行を読み込む
  3. 【自動】 端末ごとに、最終チェックインの日時・インストール済みの更新・エラーコードから、対応表の規則で理由の候補を選ぶ
  4. 【自動】 主な利用者ごとに端末をまとめ、理由の候補と手順集の該当部分をプロンプトに渡して案内文を作る
  5. 【自動】 確認が要る案内(主な利用者が空、エラーコードが対応表に無い、など)だけを担当者の承認に回す
  6. 【自動】 それ以外の案内を利用者へ送り、追跡のリストに送った日と回数を書く
  7. 【自動】 翌週の一覧で直った端末を閉じ、直っていない端末の利用者に2回目の案内を送る
  8. 【人】 3回目でも直らない端末は、担当者が利用者に直接連絡するか、端末を預かる

5番目が、この設計の分かれ目です。 全部の案内を人が見ると、作る時間は減っても確認の時間が残ります。対応表で理由が決まった案内はそのまま送り、決まらなかったものだけを人が見ます。

3番目を規則で決めているのも意図してのことです。 理由の候補をAIに推測させると、もっともらしい理由が案内に書かれ、利用者は書かれたとおりに動いて、直らないまま「やりました」と答えます。

02今回想定するシステム構成

構成図
Intune 管理センター ── Windows Autopatch の品質更新の状態レポート
   │  担当者が「Export devices」でCSVに書き出し、様式のブックの表へ貼る
   ▼【トリガー】SharePoint のライブラリへのファイルの作成
Power Automate(クラウド フロー)
   ├──▶ 表に存在する行を一覧表示(UpdateStatus が Not up to date の行)
   ├──▶ 対応表の規則で理由の候補を選ぶ(最終チェックイン・エラーコード・インストール済みの更新)
   ├──▶ 主な利用者(UPN)ごとに端末をまとめる
   ▼
AI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」、JSON 出力)
   │   利用者ごとの案内文(件名・本文・手順・期限)
   ▼
Power Automate ── 確認が要るものだけ承認へ/それ以外を Teams または Outlook で送る
   ▼
追跡のリスト(SharePoint)── 端末・利用者・送付日・回数・状態
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー)Make、n8n
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude API
更新状態の取得Microsoft Intune(Windows Autopatch の品質更新の状態レポート)Microsoft Graph の exportJobs による書き出し
保管SharePoint のライブラリ(書き出した一覧)とリスト(追跡)Dataverse
通知Microsoft Teams のチャット、Outlook のメール―

新しく足すのは、フローと、対応表と手順集と追跡のリストです。 Intune と Autopatch の設定には触れません。この構成は更新を配る仕組みではなく、配っても入らなかった端末の利用者に連絡する仕組みです。

一覧の元は、Windows Autopatch の品質更新の状態レポートです。 Microsoft のページでは、このレポートがすべての Intune の端末について、端末ごとの現在の更新状態を示すとされ、Intune 管理センターの Reports > Windows Autopatch > Windows quality updates の Reports タブから開けます。「Export devices」でCSVに書き出せ、データは4時間ごとに更新されるとされています。

更新状態の値は3つです。 「Up to date」は最新の月例セキュリティ更新が入っている、「In progress」は導入中で準拠の期間内にある、「Not up to date」は最新の月例セキュリティ更新が無く、準拠の期日を過ぎている状態とされています。連絡の対象は「Not up to date」だけにします。 「In progress」の端末に連絡すると、待てば入る端末の利用者を急かすことになります。

Autopatch を使えるライセンスは決まっています。 前提条件のページでは、Microsoft 365 Business Premium、Windows 10/11 Enterprise E3 または E5(Microsoft 365 F3、E3、E5 に含まれる)などが挙げられ、品質更新のレポートはこれらで使えるとされています。Microsoft Entra ID P1 または P2 と Intune も必要です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

SharePoint のライブラリに、その月の一覧のブックが置かれたことを起点にします。 担当者が書き出すタイミングは、自社の更新リングの準拠の期日を過ぎた翌営業日と決めておきます。期日の前に書き出すと、「In progress」の端末が多く、まだ入っていないだけの端末まで対象に見えます。

2回目以降の案内も、同じ形で起こします。 1週間後に担当者がもう一度書き出して置くと、フローが追跡のリストと突き合わせ、直った端末を閉じて、直っていない端末だけに案内を送ります。フローは「その月の何回目の書き出しか」をファイル名の日付と追跡のリストから判断します。

書き出しを自動にする方法もあります。Intune のレポートは Microsoft Graph の exportJobs(deviceManagement/reports/exportJobs)で書き出せるとされ、品質更新に関するレポートとして QualityUpdateDeviceStatusByPolicy が挙がっています。ただしベータ版の API で、アプリの登録と、端末の管理情報を読む権限(DeviceManagementManagedDevices.Read.All)の設定が要ります。この構成ではまず手で書き出し、運用が回ってから自動化を検討します(第9章)。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
品質更新の状態の一覧端末名、更新状態、準拠の期日、対象の更新、インストール済みの更新、Intune の最終チェックイン時刻、主な利用者の UPN、16進のエラーコードAutopatch のレポートを書き出したCSV
対応表条件(最終チェックインの経過日数、エラーコード、インストール済みの更新の遅れ)と、理由の候補・手順の番号情報システムが作るブック
手順集手順の番号ごとの、利用者向けの操作の説明(再起動、ディスクの空きの確保、社内ネットワークへの接続など)情報システムが作る文書
追跡のリスト端末ごとの、案内を送った日・回数・状態SharePoint のリスト

一覧の列のうち、いくつかは既定の列ではありません。 「Intune last check-in time」「Primary user UPN」「Hex error code」はオプションの列で、レポートの画面で列を足してから書き出します。また、エラーコードやクライアントの状態などの補足の列は、すべての端末に表示されるとは限らず、値が入らないこともあるとされています。エラーコードが空の端末は「理由が分からない」として扱います。

質を決めるのは、対応表と手順集です。 「再起動してください」の一行でも、どこを押せば再起動の予約ができるのか、保存していないファイルはどうするのかまで書いた手順集があれば、案内文はその手順を引くだけで済みます。

Step3

データの取得方法を決める

書き出したCSVは、決まった様式のブックの表に貼ってから置きます。 Power Automate の Excel Online (Business) コネクタは .xlsx などのブックの表を読むもので、CSVのままでは読めません。

取るものどこからどのアクションで
一覧の行様式のブックの表「テーブルに存在する行を一覧表示する」。フィルター クエリで UpdateStatus eq 'Not up to date'
対応表情報システムのブック同上(条件の行を全件)
手順集SharePoint のライブラリのテキスト「ファイル コンテンツの取得」
追跡の履歴SharePoint のリスト端末名で絞って取得

様式のブックの表の見出しは英数字にします。 コネクタのフィルター クエリ・並べ替え・列の選択のパラメーターでは英数字の列名のみがサポートされるとされています。レポートの列名は「Update status」のように空白を含むので、様式の側で UpdateStatus LastCheckIn PrimaryUserUPN HexErrorCode のような見出しにし、その下に値だけを貼ります。

改ページの設定を必ずオンにします。 このアクションは既定で最大256行を返し、すべての行を取得するには改ページ位置をオンにする必要があるとされています。月120台なら収まりますが、更新の不具合が出た月は数百台になることがあり、そのときに一部の端末だけに案内が届くことになります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 対象の絞り込み … 更新状態が「Not up to date」の行だけを残します
  2. 主な利用者の確認 … UPN が空の行は、案内文を作らずに担当者へ回します。共用端末や会議室の端末に多い型です
  3. 最終チェックインの経過日数の計算 … 書き出した日から何日前かを出します
  4. インストール済みの更新の遅れの判定 … 対象の更新とインストール済みの更新を比べ、2か月以上遅れている端末に印を付けます
  5. 理由の候補の選択 … 対応表の条件を上から順に当て、最初に当たった行の理由と手順の番号を付けます
  6. 利用者ごとのまとめ … 同じ UPN の端末を1つにまとめ、1人に1通の案内にします
  7. 回数の確認 … 追跡のリストから、その端末に今月何回目の案内かを引きます

5番目の対応表の例です。

条件理由の候補手順
最終チェックインが14日以上前端末を長く起動していない、または社外で使っていないP-01 起動して社内ネットワークかVPNに接続
エラーコードが対応表にあるものそのコードの原因(ディスクの空き不足など)コードごとの手順
エラーコードが対応表に無いもの不明担当者が確認
インストール済みの更新が2か月以上遅れ更新が止まっているP-05 担当者による点検
上のどれにも当たらない再起動の先延ばしの可能性P-02 再起動の手順

3行目と4行目は、利用者に操作を頼まず担当者が見る行です。 原因の分からない端末に再起動を頼んでも直らず、利用者の手間と、直らなかったという問い合わせだけが増えます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、規則で決まった理由の候補と手順を、利用者向けの案内文にまとめることだけです。

案内文に入れるもの中身
冒頭何の連絡か(月例のセキュリティ更新が入っていない端末がある)
端末ごとの段落端末名、準拠の期日、理由の候補、手順
期限いつまでに何をしてほしいか
問い合わせ先手順どおりにしても直らないときの連絡先
回数に応じた一文2回目なら前回の案内日、3回目なら担当者から連絡する旨

同じ利用者が2台持っていて、理由が違うことがあります。 1台はしばらく起動していない、もう1台は再起動待ち、という場合です。端末ごとに段落を分け、手順を混ぜないようにさせます。

させないこと理由
理由の候補を新しく考える対応表に無い理由が案内に載ると、利用者は根拠のない操作をする
手順を書き換える・付け足す手順集の内容が社内の正しい操作。言い換えると手順が変わる
期限を決める期限はフローが準拠の期日と回数から決める
「セキュリティ事故につながる」などの脅す表現利用者が萎縮し、問い合わせが増えるだけ

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 案内文を作らせると、「念のためディスクのクリーンアップも行ってください」のように手順集に無い操作を親切に足します。 手順は番号で渡し、本文は手順集の文をそのまま入れるように指示します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは情報システム部の担当者として、月例のセキュリティ更新が
入っていない端末の利用者に送る案内文を作ります。

【守ること】
- 理由の候補と手順は、【端末ごとの情報】に書かれたものだけを使ってください。
  新しい理由を考えたり、手順を足したりしないでください。
- 手順の本文は【手順集】の該当する番号の文をそのまま入れてください。
  言い換えたり、要約したりしないでください。
- 理由は「〜の可能性があります」と書き、断定しないでください。
- 端末が複数あるときは、端末ごとに段落を分けてください。
- 期限は【期限】の日付をそのまま使ってください。
- 回数が2のときは前回の案内日に触れ、3のときは
  「担当者からご連絡します」と書いてください。
- 不安をあおる表現、命令口調を使わないでください。
- 件名は40字以内、本文は400字程度を目安にしてください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【利用者の表示名】{display_name}
【端末ごとの情報】{devices}
   (端末名、準拠の期日、理由の候補、手順の番号の組)
【手順集】{procedures}
【期限】{due_date}
【回数】{notice_count}
【前回の案内日】{previous_date}
【問い合わせ先】{contact}

「手順集の文をそのまま入れる」を明記しないと、手順が要約されます。 「設定から更新を確認して再起動してください」のように短くされると、どの画面のどこを押すかという、利用者がいちばん知りたい部分が消えます。

「理由は可能性として書く」を入れているのは、規則で選んだ理由も推定だからです。 最終チェックインが古い端末も、実際には別の理由で止まっていることがあります。

Step7

出力形式を固定する

プロンプトの出力を JSON にし、形式を「カスタム」で固定します。 JSON の例を編集すると形式は Custom になり、保存すると形式がロックされ、フローではその形式が使われるとされています。

{
  "upn": "",
  "subject": "",
  "body": "",
  "devices": [
    { "device_name": "", "reason_id": "", "procedure_id": "", "included": "yes | no" }
  ],
  "uses_only_given_procedures": "yes | no"
}

1つ目の理由は、devices で漏れを確かめられることです。 入力に渡した端末がすべて included: yes で返っているかをフローが確かめ、1台でも欠けていれば送らずに担当者へ回します。 本文だけを受け取ると、2台目の段落が抜けていても気づけません。

2つ目は、uses_only_given_procedures を後段の点検に使えることです。 AIの自己申告なのでそのまま信じはしませんが、no と返ってきたものは必ず人に回す、という安全側の使い方をします。

送るかどうかの判断は、フローが規則で行います。

条件扱い
UPN が空、理由が「不明」、手順が「担当者が確認」のいずれか案内を作らず担当者へ
devices に欠けがある、または uses_only_given_procedures が no承認へ
3回目案内文は作るが、担当者の承認を経て送る
それ以外そのまま送る
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
様式のブックSharePoint のトリガーと Excel Online (Business) のアクション書き出した一覧の表を読む
AI Builder のプロンプト「プロンプトを実行する」利用者ごとの案内文を JSON で返す
担当者承認「開始してテキストの承認を待機」確認が要る案内だけ、推奨テキストを直して応答する
利用者Teams のチャット、または Outlook のメール案内を送る
追跡のリストSharePoint のアクション端末ごとの送付日・回数・状態を書く

承認には「開始してテキストの承認を待機」を使います。 Microsoft のページでは、プロンプトの後にこのアクションを置き、推奨テキストに生成されたテキストを入れると、レビュー担当者が承認の画面でテキストを確認し、必要に応じて編集して応答できる手順が示されています。

利用者への送付は、Teams のチャットを基本にします。 Microsoft のページの手順には、Teams の「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」アクションで、投稿者にフロー ボット、投稿先にフロー ボットでチャットするを選び、受信者のメール アドレスを指定してメッセージを送る例があります。メールより目に留まりやすく、利用者が返信しやすいのが理由です。ただし、フロー ボットとのチャットは担当者個人との会話ではないので、本文の最後に問い合わせ先のチャンネルかアドレスを必ず書きます。 3回目の案内と、Teams を使っていない利用者には Outlook のメールで送ります。

追跡のリストの列は、端末名・UPN・対象の更新・回数・最終送付日・状態の6つで足ります。 状態は「案内済み」「利用者対応済み・未解決」「解決」「担当者対応」の4つにします。フローが書くのは「案内済み」と「解決」だけで、残りの2つは担当者が書きます。どこまでが自動で、どこからが人の判断かが、状態の列を見れば分かるようにするためです。

様式のブックには書き込みません。 追跡はリストの側で行います。Excel のファイルは、コネクタを最後に使ってから最大6分間ロックされる場合があるとされ、担当者が開いて貼り直す作業とぶつかります。

Step9

人が確認する

人が見るのは、規則で「確認が要る」と決まった案内だけです。 運用を始めて最初の1か月だけは、全件を承認に回します。

  1. 最初の1か月は全件を読む … 手順が要約されていないか、端末が抜けていないか、言い回しが社内の調子に合っているかを見ます
  2. 2か月目からは確認が要るものだけ … UPN が空、理由が不明、3回目の案内などです
  3. 3回目の案内の前に端末を確かめる … 利用者に3回頼んでも直らない端末は、利用者の操作ではなく端末側に原因があることが多いので、担当者が Intune の端末の画面で状態を見ます
  4. 対応表に無いエラーコードを記録する … 担当者が原因を調べたら、対応表と手順集に足します

3番目で端末を見るときは、一覧の補足の列を手がかりにします。 クライアントの状態やサービスの状態は Windows Update から提供される値で、値が入っていれば、更新がどの段階で止まっているかの見当がつきます。 ただし、補足の列はすべての端末に表示されるとは限らないとされているので、値が空でも異常とは限りません。 空のときは、端末の利用者に画面を見せてもらうほうが早く分かります。

4番目が、この運用を育てる作業です。 対応表に無いコードが出るたびに人が調べ、表に足していくと、人に回る件数が月を追って減っていきます。

目標は、120件をならして1件2分です。 大半は送るだけで、人が開くのは2割前後という想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
書き出したCSVの列が様式と合わない列を足し忘れていることが多い。フローを止め、担当者に足りない列を知らせる
表の見出しに空白や記号が入っているフィルター クエリが通らない。様式の見出しを英数字に戻す
256行を超えて一部しか読まれない改ページの設定をオンにする
主な利用者の UPN が空共用端末として担当者へ
利用者が退職している案内を送らず、端末の回収の手続きへ回す
エラーコードが空、または補足の列の値が無い「理由不明」として担当者へ
案内を送った後に「やったが直らない」と返信が来る追跡のリストの状態を「利用者対応済み・未解決」にし、担当者が端末を見る
プロンプトの呼び出しが失敗するその利用者には固定の定型文を送る。 連絡そのものは止めない

最後の行が大事です。 案内文が作れないときに連絡を止めると、更新の入っていない期間がそのまま延びます。AIは文面を良くするためのもので、連絡を送ることの条件にはしません。

Step11

記録を残す

  • 毎回書き出した一覧のブック(日付ごと。上書きしない)
  • 端末ごとに選ばれた理由の候補と手順の番号、そのとき使った対応表の版
  • 送った案内文の全文、送付日、送付の経路(Teams/メール)
  • 承認に回った案内と、担当者が直した内容
  • 端末ごとの回数と、直った日(翌週の一覧で「Up to date」になった日)
  • 理由の候補ごとの、案内の後に直った割合

最後の行で、対応表の当たり外れが分かります。 「再起動の先延ばし」と判定した端末が案内の後に直っていれば、その判定は合っています。直らない端末が多い理由は、対応表の条件か手順集のどちらかを見直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:一覧と手順集を手でAIの画面に渡し、案内文を作る / 1人ごとの案内文の作成
半自動化:上記+様式のブックを起点にフローを動かし、規則で理由を選び、案内を送り、追跡のリストに書く / 理由の選択・案内文・送付・2回目の案内・追跡
本格構成:上記+Microsoft Graph の exportJobs でレポートの書き出しも自動にし、期日の翌日に自動で動かす / 書き出しから追跡までの全体

本記事の想定は半自動化です。 1件9分が2分になる見込みは、この段階を前提にしています。 本格構成の書き出しの自動化は、急がなくて構いません。 月に数回、担当者が書き出して貼る作業は数分です。exportJobs はベータ版の API で、アプリの登録と、端末の管理情報を読む権限が要ります。 権限の範囲を情報システムの責任者と決めてから進めます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
9 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  120件 × 9分 ÷ 60 = 18 時間/月
導入後 120件 × 2分 ÷ 60 = 4 時間/月
月間削減時間
14h
削減率
78%
年間削減時間
168h
年間金額換算(時間単価3,500円)
59万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. Windows の端末を数百台から数千台、Microsoft Intune で管理しており、月例のセキュリティ更新が期限までに入らない端末が毎月数十台から百台以上出る企業。情報システムの担当が少人数で、未適用の利用者への連絡を一人ずつ手で書いている場合。Windows Autopatch の対象となるライセンス(Microsoft 365 Business Premium、E3/E5 など)をすでに持っている場合。
向いていない
  1. 端末が数十台で、未適用の端末が毎月数台しか出ない場合。端末を Intune で管理しておらず、更新の状態を一覧で取り出せない場合。利用者に何も知らせずに強制的に再起動させる運用で足りている場合。サーバーや工場の制御端末など、利用者が自分で更新を当てない機器(この構成は利用者への案内を前提にしています)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の品質更新の状態レポートから「Not up to date」の端末を20台選ぶ(最終チェックインが古いもの、エラーコードがあるもの、どちらも無いものを混ぜる)
  2. 対応表の最初の版を作る。条件は5行程度で足ります
  3. 手順集の最初の版を作る。再起動と、社内ネットワークへの接続の2つだけで始めます
  4. Copilot Chat などの手元のAIの画面に、端末の情報と手順集を渡し、「手順集の文を言い換えずに入れて、利用者向けの案内文を作ってください」と指示する
  5. 出てきた文面を、情報システムの2人と、端末に詳しくない社員1人に読んでもらう

5番目で、端末に詳しくない人に読んでもらうことが大事です。 情報システムの担当者には分かる言葉でも、利用者には通じないことがあります。 通じなければ、直すのはプロンプトではなく手順集の書き方です。

出てきた内容判断
手順集の文がそのまま入り、利用者が読んで操作できたフローの構築に進む
手順が要約されている指示の書き方で直る。構成は有効
利用者が読んでも何をすればよいか分からない手順集が先。 AIの問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「In progress」の端末にまで案内が届く対象を「Not up to date」だけに絞る。期日の前に書き出さない
UPN やエラーコードの列が無いオプションの列を足してから書き出す。様式に手順を書いておく
フィルター クエリでエラーになる表の見出しを英数字にする
一部の端末にしか案内が届かない改ページの設定をオンにする。既定は256行まで
手順が要約されて利用者が操作できない「手順集の文をそのまま入れる」と明記する
手順集に無い操作が足されるuses_only_given_procedures が no のものは人に回す
2台持ちの利用者の片方が案内から抜けるdevices の欠けをフローで確かめる
退職者や共用端末に案内が送られるUPN の有無と在籍の確認を前処理に入れる
対応表に無いエラーコードがいつまでも人に回る調べた結果を毎月対応表に足す
3回目でも直らない端末が翌月に持ち越される3回目は担当者が端末を見る、と運用で決める

上の4行は、どれもデータの読み込みの問題です。 AIの案内文がどれほど良くても、対象の端末が正しく読み込まれていなければ届きません。 運用の最初の月は、レポートの「Not up to date」の台数と、案内を送った端末の台数が合うかを必ず数えてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 端末名、利用者の UPN と表示名、更新の状態、エラーコード、最終チェックインの時刻です。

  1. プロンプトに渡すのは案内に要る項目だけにする … シリアル番号や Entra の端末 ID は案内に要りません。一覧の表から必要な列だけを選んで渡します
  2. 未適用の一覧を広く共有しない … どの端末にどの更新が入っていないかは、攻撃する側にとっても役に立つ情報です。 様式のブックを置くライブラリは、情報システムだけが見られる場所にします
  3. 案内文に端末の弱点を詳しく書かない … 「この端末は○月分の更新が入っていないため脆弱です」のような書き方は避け、何をすればよいかだけを書きます
  4. Graph で自動化するときは権限を最小にする … レポートの書き出しに要るのは端末の管理情報を読む権限です。書き込みの権限は付けません
  5. 最終チェックインの時刻を勤怠の管理に使わない … 端末を何日起動していないかは、働き方の監視に使えてしまう情報です。 この構成の目的は更新の適用だけで、それ以外に使わないことを社内に示します
  6. プロンプトの地域と使用制限を確かめる … AI Builder のプロンプトは一部の地域に限定され、使用制限の対象になる場合があるとされています

誤りが起きた場合のリスクは、直すべき端末に案内が届かないことと、根拠のない手順で利用者を動かすことの2つです。 前者は読み込みの漏れで、後者は手順の書き換えで起きます。どちらも、規則とフローの点検で止める設計にしてあります。

10まず何から始めるか

1週目:レポートを書き出して数える

品質更新の状態レポートにオプションの列(最終チェックイン、主な利用者の UPN、エラーコード)を足し、先月分を書き出します。「Not up to date」の端末を、最終チェックインが古いもの、エラーコードがあるもの、どちらも無いものに分けて数えます。 この内訳で、対応表の最初の5行が決まります。

2週目:手順集を作る

再起動と社内ネットワークへの接続の2つについて、画面ごとの手順を書きます。 端末に詳しくない社員に読んでもらい、迷ったところを直します。

3週目:20台で試す

手元のAIの画面で案内文を作り、手順が言い換えられていないかを見ます。実際に5人ほどに送り、直ったかを翌週に確かめます。

4週目:フローをつなぐ

様式のブック、表の読み込み、規則、プロンプト、承認、送付、追跡のリストまでをつなぎます。最初の1か月は全件を承認に回します。

2か月目以降: 確認が要るものだけを承認に回す運用に切り替え、対応表に無いエラーコードを足していきます。期日の翌週に「Not up to date」の端末が案内の前の半分以下になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
品質更新の状態レポートが Intune の全端末について端末ごとの更新状態を示すこと。開き方(Reports > Windows Autopatch > Windows quality updates)。更新状態の値(Up to date/In progress/Not up to date)とその意味。準拠の期日・対象の更新・インストール済みの更新などの既定の列と、Intune の最終チェックイン時刻・主な利用者の UPN・16進のエラーコードなどのオプションの列。補足の列が全端末に表示されるとは限らないこと。「Export devices」でCSVに書き出せること。データが4時間ごとに更新されることMicrosoft Learn: Quality update status report2026-10-07
Windows Autopatch を使えるライセンス(Microsoft 365 Business Premium、Windows Enterprise E3/E5 など)と、品質更新のレポートがこれらで使えること。Microsoft Entra ID P1 または P2 と Intune が必要なことMicrosoft Learn: Windows Autopatch prerequisites2026-10-07
Intune のレポートを Microsoft Graph の exportJobs(ベータ)で CSV または JSON に書き出せること。品質更新のレポート名 QualityUpdateDeviceStatusByPolicy とその列(DeviceName、UPN、PolicyStatus など)。最小の権限が DeviceManagementManagedDevices.Read.All であることMicrosoft Learn: Intune の Graph API で利用できるレポート2026-10-07
「テーブルに存在する行を一覧表示する」が既定で最大256行を返し、全行の取得には改ページの設定が要ること。フィルター クエリ等で英数字の列名のみがサポートされること。対応するファイル形式(.xlsx 等)。ファイルが最大6分間ロックされる場合があることMicrosoft Learn: Excel Online (Business) コネクタ2026-10-07
Power Automate のフローでプロンプトを「プロンプトを実行する」アクションとして使えること。GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限の対象となる場合があること。「開始してテキストの承認を待機」で生成テキストを人が確認・編集できることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-07
プロンプトの出力に JSON を選べ、JSON の例を編集すると Custom になり保存で形式がロックされること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」の案内Microsoft Learn: JSON 出力2026-10-07

更新の期日(準拠の期日)の決め方は、自社の更新リングとポリシーの設定によります。 本記事は Microsoft の公開ドキュメントで確認できた範囲の仕様だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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