AIのプレビュー機能は全員に開かない|先行版に入れる人の線

「新しいAIの機能を早く試したいので、部署の全員を先行版に入れてほしい」「どうせ数か月で正式版になるのだから、今から業務に組み込んでおけば得をする」。AIの先行版の案内が届くたびに、情シスやAI導入の担当者のもとには、こうした声が寄せられます。どちらの声も、先行版を少し早く届く正式版とみなしている点で、同じ前提に立っています。けれども、先行版は早く届く正式版ではありません。本当は、正式版とは別の条件で動き、止まることも変わることも織り込まれた試験の場です。この記事では、マイクロソフトとグーグルの公式の管理者向けページで確かめた条件をもとに、誰を先行版に入れるか、入れた人にどんなルールを渡すか、機能が終わったときと正式版になったときにどう動くかを整理します。
カメ先生先行版というと、正式版を少し早く使える特典のように思われがちなんだ。でも本当は、提供する側が機能を試して、使った人の声を集めるための枠なんだよ。
カメ子早く使えることが目的なのではなく、試される側に回る、ということですか。
カメ先生そう。だから適用される条件も正式版とは違うし、機能が予告なく入れ替わることも前提になっている。全員に開くかどうかは、その条件を誰が引き受けられるかで決まるんだ。
カメ子開くかどうかより、誰を入れるかのほうが本題なんですね。
- マイクロソフトの先行の枠(フロンティア)も、グーグルの先行の枠(ジェミニのベータ、旧称アルファ)も、管理者が開くまで閉じている
- 開くと一般提供前の条件が加わり、機能は予告なく追加・削除される。先行版は業務の本線に組み込まない
- 入れる人・入れてよい情報の区分・終わったときの手順は人が決める。AIには機能一覧の要約までを任せ、根拠のページを示させる
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先行版は「早く届く正式版」ではない
マイクロソフトは、先行の枠(フロンティア)を、一般提供の前の試験的な、新しく出てきたAIの機能に参加できる仕組みとして案内しています。組織が登録すると、正式な提供の前の機能を試して意見を返し、機能の形づくりに加わることができる、という説明です。グーグルの管理者向けヘルプも、ジェミニの先行の枠を、一般提供の前の機能を使える枠として位置づけています。
両社の説明に共通するのは、先行版が意見を集めるための段階として置かれていることです。正式版のように、機能の形や使える範囲が固まったものとしては扱われていません。マイクロソフトのエージェントの管理製品の先行版については、公式の説明に、先行版の機能の支援をいつでも取りやめる権利を持つと書かれ、製品の評価には使わないよう求めています。
呼び名が変わることも、この段階の特徴です。グーグルの管理者向けヘルプでは、ジェミニの先行の枠はもともとアルファと呼ばれていましたが、現在はベータに改められています。改称の理由は、この段階にある機能の規模と品質を反映するため、と説明されています。社内の案内や申請の書式に古い呼び名が残っていないかも、見直しておきたい点です。呼び名が違うと、社員が検索しても管理者向けのページにたどり着けず、古い説明を読んだまま問い合わせてくることがあります。
つまり、先行版を開くかどうかは、便利な機能を早めに配るかどうかの判断ではありません。正式版とは違う約束のもとで、試験の相手を引き受けるかどうかの判断です。この前提に立つと、全員に開くという選択肢が、なぜ最初から外れるのかが見えてきます。
2社の先行の枠は、どちらも既定で閉じている
マイクロソフトの情シス向けの案内によると、先行の枠はマイクロソフト365の管理センターで管理者が有効にします。選べる範囲は、アクセスなし(既定)、すべてのユーザー、特定のユーザーのグループの3つです。先行の枠は会社の契約の単位で管理され、コパイロットのライセンスを持つ利用者だけが、アプリの先行機能を使えます。
一部のエージェントは、使えるようにするときに、最新の請求情報の登録と契約条件への同意が必要になるとも書かれています。先行の枠に入れた時点で、別の契約の手続きが加わる場合があるということです。なお、日本語の案内ページには、グループ単位の割り当ては近日公開予定と書かれた箇所もあるため、自社の管理画面で実際に選べる単位を確かめてから計画を立てます。
グーグルの管理者向けヘルプでは、ジェミニの先行の枠は既定でオフで、オンにできるのは管理者だけです。対象は、個々の利用者、グループ、組織部門の単位で選べます。設定の変更にはジェミニの設定を扱う管理者権限が必要で、使える先行機能は契約の種類ごとに異なります。
2社とも、既定の状態では誰も先行版に入っていないことが出発点です。社員から「先行版が使えるらしい」と声が上がったときは、まず自社の管理画面で現在の設定を確かめます。誰かが以前に有効にしていたなら、その経緯と対象者を記録に残してから、この記事の手順で見直します。
開くと、正式版とは別の条件が加わる
グーグルの管理者向けヘルプは、先行の枠の機能を有効にすると、ワークスペースのサービス固有の条件のうち、一般提供前の提供に関する条件(6.1(b)を除く)と、生成AIのサービスに関する節が適用されることに同意したことになる、と書いています。開く操作そのものが、条件への同意を兼ねているわけです。
一方で、データの扱いについては、クラウドのデータ処理の補遺に基づく保護の義務も適用され、先行の枠の機能にもワークスペースの各サービスと同じ水準のデータ保護が及ぶ、と説明されています。データの保護が同じでも、提供の約束まで同じとは限らない点を、分けて理解しておく必要があります。
マイクロソフトのエージェントの管理製品の先行版については、顧客契約にあるプレビューの免責の条項が適用されると、公式の説明にあります。先行版に特化したサービスの品質保証、つまり稼働の約束は無いとも明記されています。先行版で動かしたものが止まっても、正式版と同じ扱いは期待できないということです。
条件の細かな読み方は、法務と一緒に原文で確かめます。担当者が押さえておくべきなのは、開くボタンを押すことが、契約の条件を変える行為でもあるという点です。だからこそ、開く判断を情シスの担当者ひとりの裁量に置かず、承認の手続きに載せておきます。
先行版と正式版で違う条件の表
両社の公式の説明から、先行版と正式版で扱いが変わる条件を並べると、次のようになります。正式版の側は一般的な扱いとして書いており、細かな条件は自社の契約書と管理画面で確かめてください。
| 条件 | 先行版(先行の枠) | 正式版 | 社内で決めること |
|---|---|---|---|
| 既定の状態 | 2社とも、管理者が開くまで閉じている | 製品によっては既定で使える状態で届く | 開く人と承認の手順 |
| 適用される条件 | 一般提供前の条件や、プレビューの免責の条項が加わる | 通常の契約の条件 | 法務の確認を通すか |
| 機能の続き方 | 定期的に追加・削除される | 契約と提供元の方針に沿って変わる | 止まったときの代わりの手順 |
| 稼働の約束 | 先行版に特化した保証は無い、と明記された製品がある | 契約に定めた保証が適用される | 本線に組み込まない線 |
| データの保護 | グーグルは各サービスと同じ水準と説明している | 契約どおり | 入れてよい情報の区分 |
| 使える人 | 管理者が選んだ利用者・グループ・組織部門 | ライセンスの割り当てどおり | 名簿と見直しの周期 |
表の右端の列が、この記事で扱う範囲です。条件の違いを知ったうえで、社内で決めることを1つずつ見ていきます。どの行も、AIの側では決められず、人が引き受ける判断だという点が共通しています。
表のうち、社内でいちばん見落とされやすいのは使える人の行です。先行版に入れた人が異動や退職で名簿から外れても、グループの設定を直さない限り、先行版の機能は使えるままです。反対に、新しく入った人が同じグループに加わると、ルールを受け取らないまま先行版を使い始めます。名簿と管理画面の対応は、後の節で見る見直しの周期で必ず照らし合わせます。
正式版になった機能が、既定で有効のまま届くことへの備えは、業務ソフトのAI機能が勝手に有効になる原因を扱った別の記事で整理しています。ここでは、管理者が自分から開くかどうかを選ぶ、先行版の側に絞って進めます。
機能は予告なく入れ替わる
グーグルの管理者向けヘルプには、先行の枠の機能は定期的に追加されたり削除されたりし、ページはその時点で支援されている機能に合わせて更新される、と書かれています。昨日まで使えた機能が、今日はなくなっていることが、仕組みとして想定されているわけです。
マイクロソフトのエージェントの管理製品の先行版でも、先行版と一般提供では機能の成熟度が違うため、使い勝手が異なると説明されています。先行版で覚えた操作や画面が、正式版でそのまま残る保証はありません。先行版を前提に作った手順書は、正式版では書き直しになることがあります。
設定の変更が、すぐに反映されない場合もあります。同じ説明の中で、設定を変えてから反映まで最大で1時間ほどかかることがあると書かれています。開いた直後に「使えない」という問い合わせが来ても、すぐに不具合と決めつけず、反映を待つよう案内しておくと混乱が減ります。
こうした性質を踏まえると、先行版は、なくなっても困らない使い方に限るのが基本の線になります。どの機能が今使えるかは、管理者向けのページで定期的に確かめ、社内の一覧を更新する担当を決めておきます。担当が決まっていないと、一覧は開いた日の状態のまま古びていきます。
全員に開くと、何が起きるか
全員を先行の枠に入れるのは、設定としてはいちばん簡単です。しかし、試験の相手を全社員にするということは、機能が止まったときに困る人も全社員になるということです。全員に開いた会社で起きがちなことを並べます。
- 部署ごとに先行版の機能を業務の手順に組み込み、機能が消えた日に作業が止まる
- どの機能を誰が使っているのか、情シスが把握できなくなる
- 「前は使えたのに」という問い合わせが、機能の入れ替わりのたびに集中する
- 扱いが固まっていない機能に、顧客の情報や社外秘の資料が入る
- 試した結果を書いて返す人がいないため、社内の判断に何も残らない
どれも、機能の良し悪しではなく、試験の場を全員の業務の場と重ねたことから起きます。特に最初の項目は、気づいたときには手順書や引き継ぎの資料にまで先行版の機能が書き込まれていて、元に戻すのに手間がかかります。
逆に、入れる人を絞っておけば、機能が止まっても影響は数人の試しの作業にとどまります。入れる人を絞ることが、そのまま止まったときの被害を小さくする備えになると考えると、全員に開かない理由を社内にも説明しやすくなります。
違いは問い合わせの窓口にも表れます。絞っていれば、先行版についての質問は名簿の人からしか来ないので、入れた人との定例の場で受け止められます。全員に開くと、全社の問い合わせ窓口が、提供元でも扱いが固まっていない機能の質問を受けることになり、答えられない問い合わせが窓口に積み上がります。
入れる人の条件1:本線の業務を先行版に預けない人
先行の枠に入れる人を選ぶとき、最初に見るのは、その人の業務が先行版に頼らずに回るかどうかです。締め切りのある顧客対応や、月末の集計のように止められない仕事を毎日回している人は、先行版の機能が止まったときの影響が大きくなります。
向いているのは、新しい機能を試す時間を業務の中で確保できる人です。たとえば、社内のAI推進の担当、情シスでAIの設定を扱う人、研修の教材を作る人などが候補になります。試した結果を正式版の展開の準備に生かせる立場の人だと、先行版に入れる意味がはっきりします。
反対に、役職が高いから、使いたいと強く言ったから、という理由で入れると、先行版が業務の本線に入り込みやすくなります。役員が先行版の機能で作った資料を会議に出し始めると、周りも同じ機能を使わざるを得なくなるからです。
候補を挙げるときは、名前と一緒に、その人が先行版で試すことを1行で書いてもらいます。試すことが1行で書けない人は、まだ入れる段階ではないと判断してかまいません。1行の中身は、あとで報告を読むときの物差しにもなります。
入れる人の条件2:試した結果を書いて返せる人
先行の枠は、提供する側が意見を集める段階です。社内でも同じで、入れた人が何を試し、何がうまくいき、何が危なかったかを書いて返してくれなければ、先行版に入れた意味が社内に残りません。
そこで、入れる条件に、月に1回、試した結果を決まった形で報告することを含めます。報告の欄は、試した機能、試した業務、うまくいった点、誤りや危なさ、正式版で広げるときの注意、の5つ程度で十分です。報告の形を先に決めておくと、人によって書く中身がばらつきません。
報告のまとめにはAIを使ってかまいません。複数の人の報告を読ませて、共通して出た注意点を一覧にさせると、展開の判断の材料が早くそろいます。ただし、どの機能を広げるか、止めるかの判断はAIに任せないようにします。AIには、どの報告のどの記述から注意点を拾ったのか根拠を書かせ、人が元の報告を読み直します。
報告が2回続けて出てこない人は、名簿から外す候補にします。外すことを罰のように扱わず、試す時間が取れない時期だったと受け止めて別の人と入れ替えるほうが、先行の枠は健全に回ります。入れ替えの基準も、入れる前に本人へ伝えておきます。
入れる人を決める5つの手順
入れる人を決める流れを手順にまとめます。最初の1回はこの順で進め、以後は見直しの周期ごとに同じ流れを回します。
先行版で何を確かめたいのかを、正式版の展開の準備、研修の教材づくり、業務への合い方の確認などから選び、1つか2つに絞ります。
各部署から、試すことを1行で書ける人を推薦してもらいます。人数は最初は少なく、数人から十数人を目安にします。
管理画面で選べる単位を確かめ、先行版の専用のグループを作ります。既存の部署のグループをそのまま使うと、異動で人が知らないうちに増えます。
情シスの責任者と、条件の確認を担う法務の承認をもらってから、管理画面で対象を指定して開きます。開いた日と対象を記録します。
入れた人に、扱ってよい情報の区分、本線に組み込まないルール、報告の形を1枚にまとめて渡します。
3つ目の手順で専用のグループを作るのは、先行版に入っている人を、いつでも一覧で確かめられるようにするためです。部署の単位で開くと、異動してきた人が知らないうちに先行版に入り、ルールを受け取っていない利用者が生まれます。
開いた日と対象の記録は、後で機能が終わったときや正式版になったときの判断にも使います。記録の置き場所は、AIの導入を管理している台帳と同じ場所にしておくと、別の担当者が引き継いだときにも探しやすくなります。
2つ目の手順で推薦を部署に任せるときは、推薦の理由も1行で添えてもらいます。理由が本人の希望だけなら、前の2つの節の条件に当てはまるかを、情シスが本人と話して確かめます。希望者を断る場合も、次の見直しで入れる道があると伝えておくと、私用の契約で先に試す動きを抑えられます。
入れた人に扱わせない情報の区分
グーグルは、先行の枠の機能にも各サービスと同じ水準のデータ保護が及ぶと説明しています。それでも、先行版に入れてよい情報の区分は、社内で別に決めておきます。適用される条件が正式版と違う以上、同じ扱いにしてよいかは、自社で判断すべきことだからです。
区分の決め方は単純で構いません。公開済みの情報、社内向けの一般的な資料、顧客や取引先の情報、人事や経営の情報の4段に分け、先行版では最初の2段までに限る、といった線が引きやすい形です。
顧客の名簿、見積りや契約の資料、人事評価、公表前の決算の情報は、先行版では扱わせません。試したい機能がこうした情報を前提にしているなら、架空のデータや公開済みの資料で代わりに試してもらいます。試す相手が架空のデータでも、機能の向き不向きは十分に見えてきます。
先行版に入れてよい情報の区分は、人が決めて、人が見直すようにします。AIに区分を判断させると、資料の中身だけを見て振り分けてしまい、取引先との約束や社内の事情が反映されません。区分の一覧の下書きまではAIに任せてもかまいませんが、確定は情報管理の責任者が行います。
入れた人のルール:業務の本線に組み込まない
入れた人に渡すルールの中心は、先行版の機能を業務の本線に組み込まないことです。具体的には、手順書や引き継ぎの資料に先行版の機能を前提とした手順を書かないこと、顧客に出す成果物を先行版だけで仕上げないこと、の2つを守ってもらいます。
先行版で作ったものは、下書きとして扱い、正式版か人の手で仕上げる、という線にすると分かりやすくなります。たとえば、先行版で会議の要約を作ったなら、配る前に正式版の機能か人の手で確かめ直してから共有します。
他の仕組みとのつなぎ込みにも注意します。先行版のエージェントを、定期的に動く自動の処理や、ほかの業務システムにつなぐと、機能が止まったときに気づかないまま処理が止まります。つなぐ場合は情シスの承認を必須にします。
ルールを渡すときは、読んだことの確認も取ります。1枚を送って終わりにせず、先行版を開く日の前に15分ほどの説明の場を設け、扱ってよい情報の区分と本線に組み込まないルールを、具体的な業務の例で伝えます。例があると、どこまでが試しで、どこからが本線なのかの境目を、本人が自分で判断しやすくなります。
- 先行版で試すこと(1行)と、試す期間
- 扱ってよい情報の区分(公開済みと社内の一般資料まで、など)
- 手順書・引き継ぎ資料・顧客への成果物に先行版を使わないこと
- 自動の処理や他の業務システムにつなぐときは承認を取ること
- 月1回の報告の形と、報告が続かないときは入れ替えること
- 個別の先行機能の任せ方、たとえばコパイロットのコワークで任せる仕事と開く範囲は、別の記事で整理しています。ここでは、どの機能にも共通する先行版のルールに絞っています
- ルールは1枚に収めます。長い規程にすると読まれず、守られません
私用の契約で先行版に入っている社員への線
マイクロソフトの先行の枠は、会社の契約だけのものではありません。公式の案内によると、個人向けの契約(プロ、プレミアム、パーソナル、ファミリー)の利用者は、自分で先行の枠に参加できます。会社が先行の枠を閉じていても、社員が私用の契約で先行版を使っていることがありうるわけです。
この場合に問題になるのは、会社の資料を私用の先行版に持ち込むことです。会社の管理が及ばない契約で、正式版とは条件の違う機能に社内の情報が入ると、情シスには何が起きたかを確かめる手段がありません。
対策は、先行版のための特別なルールではなく、私用の契約のAIに業務の情報を入れないという既存のルールを、先行版にも当てはまると明記することです。社員向けの案内に、私用の契約で先行版を使っていても業務の資料は入れない、と一文を足しておきます。会社の先行の枠に入れた人にも、私用の契約との取り違えが起きないよう、会社の契約でサインインしているかを確かめる手順を1つ添えます。
社員から「私用の先行版で便利な機能を見つけた」と声が上がったら、それは会社の先行の枠で試す候補として受け止めます。禁止だけで終わらせず、会社の先行の枠で試す道を用意しておくと、私用の契約への持ち込みが減ります。
機能が終わったとき:止まっても困らない状態を保つ
先行版の機能は、正式版にならずに終わることもあります。終わったときに慌てないためには、入れた人の手元に、その機能がなくても同じ仕事ができる手順が残っていることが前提です。本線に組み込まないルールは、この日のためにあります。
機能が消えたと分かったら、まず報告の記録から、その機能を使っていた人と業務を洗い出します。専用のグループと開いた日の記録があれば、影響の範囲はすぐに分かります。記録がないと、影響の範囲を調べるだけで数日かかることになります。
次に、その機能で作ったものが残っていないかを確かめます。先行版で作った下書きや設定、エージェントの定義などは、機能と一緒に使えなくなることがあります。残したいものは、機能が使えるうちに別の形で書き出してもらいます。たとえば先行版のエージェントに覚えさせた手順は、指示の文面を文書に写しておけば、正式版や別の道具で組み直すときの材料になります。
使っているAIそのものが終わるときの備えは、提供の終了に備える別の記事で整理しています。先行版の場合は、終わることが最初から想定されているぶん、書き出しと代わりの手順を、入れた日から用意しておくのが違いです。
正式版になったとき:先行版の判断を引き継がない
先行版の機能が正式版になったら、先行版での扱いをそのまま全社に広げたくなります。しかし、正式版になった時点で、適用される条件や使える人、場合によっては料金の扱いが変わりえます。先行版で決めた線は先行の枠の条件を前提にした判断なので、正式版では改めて判断し直します。
見直すのは、誰に開くか、入れてよい情報の区分、既定の設定の3つです。正式版では、情報の区分を先行版より広げてよい場合もあれば、全社に開く前に研修が必要な場合もあります。先行版で試した人の報告が、ここで判断の材料になります。
正式版になった機能の中には、管理者が何もしなくても使える状態で届くものがあります。先行版に入っていなかった部署にも、ある日から機能が現れることになるので、正式版になる告知を受け取ったら、展開の計画を先に立てておきます。
先行版で試した人を、正式版の展開で社内の案内役にするのも有効です。先に試した人の経験を、展開の手引きに変えると、先行の枠に入れた意味が全社に届きます。試した人の報告は、そのまま手引きの下書きになります。
名簿と見直しの周期を回す
先行の枠は、開いて終わりではありません。入っている機能が入れ替わり、入れた人の業務も変わるので、名簿と設定を定期的に見直します。周期は四半期に1回を目安にすると、機能の入れ替わりにも追いつきやすくなります。大きな機能の追加が告知された月は、周期を待たずに臨時で見直します。
見直しで確かめるのは、管理画面の設定と名簿が一致しているか、報告が出ているか、先行の枠に今ある機能の一覧、入れてよい情報の区分に変更が要るか、の4点です。管理画面と名簿がずれていたら、管理画面を正として名簿を直し、ずれた経緯を記録します。
今ある機能の一覧づくりには、AIを使えます。管理者向けのページを読ませて、前回からの追加と削除を一覧にさせると手間が省けます。そのときは、どのページのどの記述から拾ったかを書かせ、人が元のページで確かめます。AIの要約だけを見て、機能の有無を判断しないようにします。
見直しの結果、先行版で試す目的が果たされていれば、先行の枠を閉じるのも1つの判断です。開く判断と同じ重さで、閉じる判断も記録すると、次に誰かが開こうとしたときの参考になります。
まとめ
AIの先行版は、少し早く届く正式版ではなく、正式版とは違う条件で動く試験の場です。マイクロソフトの先行の枠も、グーグルのジェミニの先行の枠も、管理者が開くまで閉じていて、開くと一般提供前の条件が加わり、機能は予告なく入れ替わります。だからこそ全員には開かず、本線の業務を預けずに試せて、結果を書いて返せる人に絞ります。入れた人には、扱ってよい情報の区分と、本線に組み込まないルールを1枚で渡し、機能が終わったときの書き出しと、正式版になったときの判断のし直しまでを先に決めておきましょう。機能の一覧や報告のまとめはAIに手伝わせても、誰を入れるか、何を入れてよいかは人が決める。この線を守れば、先行版は社内の学びの場として役に立ちます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
