AIに数字を渡す前に外れ値を扱う4手順|平均に引っ張られない

「平均を出したら1件だけ桁の違う数字があったので、いったん外して集計しました」「AIに数字をまとめさせたら、ごく一部でしか起きていないことが全体の傾向のように書かれていました」——数字を扱う部署から届く相談は、この2つが両端にあります。どちらも外れ値の話ですが、向きが逆です。前者は外しすぎ、後者は外していません。外れ値は消すものではなく、出どころを確かめてから扱いを決めるものです。桁の違う1件が入力の間違いなら外してよく、実在する大口なら外した時点でその数字は事業の実態を表さなくなります。この記事では、外れ値と異常値の違いから始めて、見つける・出どころを確かめる・分ける・残す形を決めるという4つの手順、平均の代わりに何を見るか、AIに渡したときに少数の大きな値がどう効くか、そして外した事実をどう記録に残すかまでを並べます。
カメ先生外れ値は分析の邪魔者だから取り除く、と言われがちなんだ。でも統計の言葉としては、外れ値と異常値は分けて考えられていてね。外れた理由が分かっているものだけを異常値と呼ぶ、という区別があるんだ。
カメ子理由が分かっているかどうかで、呼び名が変わるということですか。
カメ先生そうなんだ。そして扱いも変わる。入力の間違いだと分かっているなら外してよい。理由が分からないまま外すと、いちばん知りたかった出来事を自分の手で消してしまうことになる。
カメ子外すか残すかを決める前に、確かめる段が挟まるという順番なのでしょうか。
- 外れ値と異常値は別物。外れた理由が分かっているものだけが異常値で、外してよいのはそちら。理由の分からない外れ値を外すと、いちばん知りたかった出来事が消える
- 手順は4つ。見つける、出どころを確かめる、分ける、残す形を決める。見つける物差しは四分位範囲でも標準偏差でもよいが、片側に長く裾を引く数字には当たらない
- AIは外れ値を指摘しない。もっともらしい平均を返す。渡す前に件数と単位をそろえ、外すかどうかの判断は人が持つ
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外れ値を外した時点で、使えなくなる数字がある
数字の中に桁の違う1件があったとき、手のほうが先に動きます。外して平均を出し直す。これが習慣になっている職場は多いのですが、外してよい外れ値と、外した瞬間に数字の意味が変わる外れ値があります。見分けずに外すと、いちばん知りたかった出来事を自分で消すことになります。
典型は大口です。通信会社が公開しているコラム(2026年)では、通常は1人あたり月に100万円前後の売上が立つ営業の組織で、大型の案件を担当している1人だけが1億円だった例が挙げられています。この1件は平均を大きく押し上げます。けれど、その1件は実在する取引です。外せば平均は現場の感覚に近づきますが、その組織が実際に立てた売上の大半が消えます。
この記事で扱う範囲を先に区切ります。差が出たように見えて実は差がない、という判断には入りません。収益の増減をどう動きに分けるかも扱いません。同じ人が別々に数えられてしまう計測のつなぎ方にも入りません。扱うのは、極端な値を見つけてから、誰かに渡すまでの間だけです。
順番は手順に合わせます。外れ値と異常値の違いを押さえる、見つける、出どころをたどる、分ける、残す形を決める。その後に、AIに渡すときの注意と、外した事実の残し方を置きます。1つの数字について型を作るのに、最初は1時間ほどかかります。2つ目からは10分です。
外れ値と異常値は、名前が似ているだけで扱いが違う
統計の学習サイトの解説では、外れ値は「観測された値の中で、真の値の推定値からの残差が異常に大きい観測値」と説明されています。そのうえで、外れ値の中でも、外れ値となった理由があるものを異常値と呼ぶという区別が置かれています。名前が似ているので同じものとして扱われがちですが、ここは分けておく価値があります。
例として挙げられているのは、子どもの平熱を調べていたら風邪で熱を出している子が紛れ込んでいた、という場面です。この子の体温は外れ値であり、かつ理由が分かっているので異常値です。理由が分かっているものだけを外してよい、という線がここで引かれます。
同じ解説では、理由が分からないまま外すのではなく、平均値の代わりに中央値を使う、相関を見るときは順位で見る、検定なら分布の形を前提にしない方法を使う、といった代替が示されています。外すか残すかの二択ではなく、見方のほうを変えるという三つ目の選択肢があります。この三つ目を知っているかどうかで、迷ったときの手が変わります。
実務に落とすときは、言葉を使い分けるところから始めると早く進みます。極端な値が出たときに、これは外れ値なのか異常値なのかを1度聞き合う。理由を言えるなら異常値なので外してよく、言えないなら外れ値なので残す。この一往復を置くだけで、手が先に動いて外してしまう事故は減ります。聞かれた側にも、元の記録まで戻る理由ができます。
4つの手順の全体像
扱い方を手順にします。4つです。順番が大事で、見つける前に外す判断をしない、出どころを確かめる前に分けない。この2つを守るだけで、外しすぎと外さなすぎの両方が減ります。
どの値が極端かを、決めた物差しで機械的に拾う。目で見て選ばない。物差しは四分位範囲を使う方法と、ばらつきの幅を使う方法のどちらかで足りる。この段では外すかどうかを考えない。
拾った値が、どこでどう生まれたかをたどる。元の記録まで戻る。入力の間違いなのか、実在する取引なのか、同じ出来事が二度記録されたのかで、次の判断が変わる。ここを飛ばすと、以降の手順はすべて推測になる。
出どころごとに、外す・残す・別枠で見るの3つに割り当てる。1件ずつ決めるのではなく、出どころの種類ごとに決める。種類ごとに決めておけば、次に同じ値が出たときに迷わない。
残すと決めた値を、どう見せるかを決める。平均のまま出すのか、中央値に切り替えるのか、上下で丸めるのか、別の行に分けるのか。ここまで決めて初めて、人にもAIにも渡せる形になる。
4つのうち、飛ばされやすいのは2段目です。極端な値を拾った時点で、原因の見当はだいたい付きます。見当が付くことと、確かめたことは別です。元の記録まで戻ると、思っていたのと違う理由が出てくることがあります。戻るのにかかるのは、1件あたり数分です。
誰がやるかも先に決めておきます。1段目の見つけるは、集計している人がそのまま続けて構いません。2段目の出どころを確かめるは、元の記録を開ける人が必要です。ここで止まる職場が多いので、誰に聞けば元の記録にたどり着けるかを、手順を作る時点で名前で書いておきます。3段目と4段目は、その数字を使う側と一緒に決めます。使う人が知らないまま丸められた数字は、後で必ず問題になります。
手順1:見つける — 四分位範囲を使う
いちばん広く使われている物差しは、箱ひげ図の外れ値の決め方です。データを小さい順に並べて4等分し、下から4分の1の位置にある値を第一四分位数、4分の3の位置にある値を第三四分位数と呼びます。この2つの差が四分位範囲です。
外れ値の線は、この四分位範囲の1.5倍で引きます。統計の学習サイトの解説では、ひげの下限を第一四分位数から四分位範囲の1.5倍を引いた値、上限を第三四分位数に同じだけ足した値とし、ひげの下端より小さい値と上端より大きい値が外れ値として扱われると説明されています。
なぜ1.5倍なのかという説明も出ています。数学・統計の教室が公開している解説(2025年)では、この線を引くと全体のおよそ99.3%が範囲の中に入り、外れ値として拾われるのは全体の0.7%ほどになるとされています。めったに起きないが見ておく価値がある、という量に収まる倍率だという説明です。
実務での利点は、平均を使わないことです。平均を使う物差しは、外れ値そのものに引っ張られます。極端な値が1件入っているだけで平均が動き、線の位置まで動きます。並べた順番の位置で決める物差しなら、極端な値が何件あっても線は動きません。最初の1本目にはこちらを勧めます。
ばらつきの幅で見る方法と、当たらない場面
もう1つの物差しは、ばらつきの幅を使う方法です。前処理の解説では、平均からの離れ方が標準偏差の2倍から3倍以上になったら外れ値と見るやり方が多いと説明されています。2倍の外に出るのは全体のおよそ4.6%、3倍の外に出るのはおよそ0.3%とされています。
この方法は、左右が同じように広がっている数字にはよく当たります。当たらないのは、片側にだけ長く裾を引いている数字です。1件あたりの受注金額、問い合わせから受注までの日数、処理にかかった時間。これらは小さいほうに壁があり、大きいほうにだけ伸びます。片側に長く伸びる数字にこの物差しを当てると、大きいほうばかりが外れ値として拾われます。
同じ解説では、こうした数字は先に対数に置き換えてから見ることが勧められています。形を整えてから線を引くのか、形に合う線の引き方を選ぶのか、どちらかを先に決めます。両方をやらずに当てると、拾いすぎと見逃しが同時に起きます。
件数が少ないときの注意も1つあります。どちらの物差しも、並べたときの位置やばらつきの幅を元にするので、件数が少ないと線そのものが安定しません。次に触れる検定でも、判定の基準となる値は件数ごとに変わります。20件を下回るようなら、物差しを当てるより全件を目で見るほうが早く、見落としも少なくなります。
検定で決める前に知っておくこと
もう少し厳密にやる方法として、検定があります。よく使われるのはスミルノフ・グラブス検定です。ある解説では、いちばん外れている値について、平均からの差を標準偏差で割った値を求め、有意水準5%で判定すると説明されています。20件のデータなら、この値が2.557より大きければ外れ値と判断する、という例が挙げられています。
別の解説では、この検定はいちばん外れた1件を調べ、外れていれば取り除き、また次に外れた1件を調べる、という繰り返しで使うことが示されています。件数が多いときはトンプソンの検定と同じ結果になる、という説明もあります。どちらを使っても実務上の結論は大きく変わりません。
ただし、検定が答えるのは1つだけです。その値が統計の上で外れているかどうかは答えますが、外してよいかどうかは答えません。外してよいかどうかは、その値がどこから来たかで決まります。だから検定を使っても、次の手順は飛ばせません。ここを取り違えると、厳密な手続きを踏んだのに実態から離れる、という結果になります。
手順2:出どころをたどる
拾った値の出どころは、実務では3つに分かれます。入力の間違い、実在する大きな取引、同じ出来事が二度以上記録されたものです。3つのどれかで、扱いがまったく変わります。
入力の間違いは、いちばん分かりやすい型です。ある解説では、高さの記録に17505センチメートルという値が入っていた例が、明らかな入力ミスとして挙げられています。ありえない値は、外してよい外れ値です。単位の取り違え、桁の打ち間違い、初期値がそのまま残っている行。この型は元の記録を1件開けば確かめられます。
実在する大きな取引は、外してはいけない型です。先ほどの1億円の案件がこれに当たります。実在しているので、外した合計は事業の実態と合わなくなります。この型は外すのではなく、全体の数字とその1件を抜いた数字の両方を出します。両方あれば、どちらの問いにも答えられます。
三つ目は、同じ出来事が二度以上記録されている型です。取り消して入れ直した伝票が両方残っている、連携の途中で同じ行が二度送られている、といった形です。ここで扱うのは記録の重なりだけで、計測の仕組みそのものをつなぎ直す話には入りません。この型は、外す前に元を直します。外すだけにすると、来月も同じ作業が発生します。
手順3:分ける — 外す・残す・別枠で見る
出どころが分かったら、種類ごとに扱いを決めます。1件ずつ決めないことが大事です。種類ごとに決めておけば、次に同じ値が出たときに判断が要りません。表にします。列は、出どころ、扱い、外した場合に起きること、記録に残すことの4つです。
| 出どころ | 扱い | 外した場合に起きること | 記録に残すこと |
|---|---|---|---|
| ありえない値(単位違い・桁の打ち間違い) | 外す。可能なら元の記録を直す | 何も起きない。もともと存在しなかった値 | 外した件数と、なぜありえないと判断したか |
| 同じ出来事の二重の記録 | 元を直したうえで外す | 直さずに外すと、来月も同じ作業が出る | 重なった原因と、いつから重なっていたか |
| 実在する大きな取引 | 残す。全体と、その件を抜いた数字を並べる | 合計が事業の実態と合わなくなる | 抜いた数字を出した理由と、抜いた件の中身 |
| 理由が分からない極端な値 | 残す。平均ではなく中央値で見る | いちばん知りたかった出来事が消えることがある | 確かめた範囲と、確かめられなかった理由 |
| 調べきれない件数の極端な値 | 上下で丸めるか、対数に置き換える | 丸めたことを書かないと、後から元に戻せない | 丸めた位置と、丸めた件数 |
表の4行目を見てください。理由が分からないときの既定の扱いは残すです。外すのを既定にすると、確かめる手間を惜しんだ分だけ数字が実態から離れます。迷ったら残して、見方のほうを変えます。
種類ごとに決めておく利点は、もう1つあります。誰がやっても同じ結果になることです。1件ずつ判断していると、担当者が替わった月から数字の性格が変わります。判断の中身を引き継ぐのは難しいのですが、種類ごとの決めごとなら1枚の紙で引き継げます。
別枠で見る、という扱いだけは中身が伝わりにくいので補います。同じ表の中で行を分けて、大きな取引だけをまとめた行と、それ以外をまとめた行を並べます。合計の行はそのまま残します。こうすると、全体を知りたい人も、ふだんの水準を知りたい人も、同じ表から自分の欲しい数字を取れます。別の表を作って分けると、どちらが正しいのかという話が必ず起きます。
手順4:残す形を決める
残すと決めた値をそのまま平均に入れてしまうと、最初の困りごとに戻ります。残し方は4つあります。中央値に切り替える、上下で丸める、対数に置き換える、別の行に分ける。どれを選ぶかは、その数字を誰が何に使うかで決まります。
中央値に切り替えるのは、代表となる値を1つだけ出したいときです。上下で丸めるのは、大きい側の影響を抑えつつ件数は減らしたくないときです。丸めた位置と件数は必ず書き添えます。書かないと、後で元に戻せません。
対数に置き換えるのは、比較や伸び方を見たいときです。別の行に分けるのは、社外や経営に出すときです。大きな取引を抜いた数字を出すときは、抜いたことと抜いた件数を同じ行に書きます。数字だけを差し替えると、後から見た人には抜いた形跡が残りません。
上下で丸めるという言い方も、中身を決めておく必要があります。よくやるのは、上から数えて決めた位置より外にある値を、その位置の値に置き換えるやり方です。外すわけではないので件数は減らず、大きい側の影響だけが抑えられます。置き換えた位置と件数を書き添えておけば、後から元の値に戻せます。書き忘れると、丸めた後の表だけが残って、元の記録に戻れなくなります。
平均ではなく中央値で見るべき場面
中央値は、並べたときのちょうど真ん中にある値です。極端な値が何件あっても真ん中の位置は動きにくいので、引っ張られにくい代表値として使えます。先ほどの解説でも、理由の分からない外れ値があるときの代替として中央値が挙げられています。
向いているのは、1件あたりの大きさを表す数字です。1件あたりの受注金額、問い合わせ1件あたりの対応時間、1社あたりの利用回数。これらは、少数の大きな取引や長時間の1件で平均が動きます。平均が現場の感覚より高いときは、たいてい中央値のほうが現場に近い数字です。
向いていないのは、合計に意味がある数字です。売上の総額、費用の総額、件数。これらは全部を足すことに意味があるので、中央値に置き換えると使い道がなくなります。代表となる値を中央値にするかどうかは、その数字を足すことに意味があるかで決めます。
両方出しておくのが安全です。平均と中央値を並べて置き、離れているときだけ中身を見ます。離れ方が大きい月は、極端な値が入った月です。この見方をしておくと、外れ値を探しにいかなくても、入った月のほうから知らせてくれます。
AIに渡すと、少数の大きな値が結論を作る
ここまでを済ませずにAIへ数字を渡すと、何が起きるか。先ほどのコラム(2026年)では、外れ値が混ざったまま渡すと平均が大きく歪み、生成AIは問題点を指摘しないまま、もっともらしい答えを返すと指摘されています。
指摘しないことが問題の中心です。数字がおかしいとは書かれません。文章としては整った要約が返ってきて、その中で、実際にはごく一部でしか起きていないことが全体の傾向のように書かれます。返ってきた文章の見た目からは、外れ値に引っ張られたかどうかが分かりません。
同じコラムでは、人が確かめるべき点として、散布図やヒストグラムで一度見たうえで、その値が意思決定に必要かを判断することが挙げられています。絵にして見る段を、渡す前に1回だけ入れます。1つの数字につき数分で済み、これだけで桁の違う値はほぼ全部見つかります。
なお、計算そのものをAIに任せるかどうかは、道具によって事情が違います。文章を作る機能だけで数字を集計させると、途中の計算が合わないことがあります。集計は計算する仕組みの側にやらせ、AIには結果の読み取りを任せる、という分け方のほうが崩れにくくなります。
AIに渡す前にそろえる3つ
渡す前に、3つだけそろえます。件数、単位、欠けている行の扱いです。この3つがそろっていないと、外れ値の話をする前に数字が合いません。
件数は、何件を集計したのかを自分で数えて添えます。単位は、円と千円、分と時間が混ざっていないかを見ます。単位の混在は、そのまま桁の違う外れ値になります。桁が違う値を見つけたら、まず単位を疑います。
欠けている行の扱いは、空のままにするか、0として扱うかを決めて書き添えます。空を0として足すと平均が下がり、0を空として外すと平均が上がります。どちらが正しいかはその数字によりますが、決めずに渡すと道具のもともとの設定で処理され、どちらになったのかが分からなくなります。
渡す形も決めておきます。表のまま渡すのか、こちらで要約してから渡すのかで、外れ値の効き方が変わります。要約してから渡すと、その段階で平均が作られてしまうので、極端な値が混ざっていたことはAIの側に伝わりません。表のまま渡せるなら、そのほうが後から確かめる余地が残ります。件数が多くて渡しきれないときは、代表となる値と一緒に、大きいほうから数件と小さいほうから数件を添えます。
- 外れ値として外した行は、消さずに印を付けて残す(後から件数を戻せる)
- 単位は列の名前に書く(「金額」ではなく「金額(円)」と書くだけで、混在の大半が防げる)
- 欠けている行は、空と0を分けて数えて添える(どちらが何件あるかが分かれば、扱いを後から変えられる)
外すかどうかをAIに決めさせない
外れ値を拾うところまでは任せて構いません。物差しは決まっているので、機械的な作業です。任せないのは、外すかどうかの判断です。理由は2つあります。
1つ目は、出どころがデータの中に書かれていないことです。その1億円が実在する取引なのか、桁の打ち間違いなのかは、元の伝票を見ないと分かりません。AIが見ているのは数字の並びだけです。外れているかどうかは数字から分かりますが、外してよいかどうかは数字の外にあります。
2つ目は、判断の理由が残らないことです。外した事実だけが残り、なぜ外したかが残りません。半年後に同じ値が出たとき、前回と同じ扱いができなくなります。扱いが揺れると、増減の話そのものができなくなります。
その代わり、根拠を書かせる部分は作ります。拾った値を返させるときに、使った物差し、線の位置、拾った件数を一緒に出させます。人が確認する範囲も先に決めます。拾われた件数と、大きいほうから数件の元の記録だけを毎回見る。全部を見直そうとすると続かないので、この2つに絞ります。
外してはいけない外れ値
外してはいけない型を並べます。どれも、見栄えが悪いから外した、という形で起きます。自分の職場で起きそうなものがないかを見てください。
- 全体の売上の4割を作っている1社の取引を、平均から離れているという理由で外した(残りの数字で立てた計画が、事業の規模と合わなくなった)
- 不具合の報告のうち、1件だけ極端に対応時間が長かったものを外した(その1件が、いちばん深刻な事故だった)
- 問い合わせが急増した1日を、いつもと違うという理由で外した(同業他社の障害で流れてきた需要だった)
- 解約した顧客の利用回数が0だったので、欠けている行として外した(解約の兆しがいちばん出ている行だった)
- 試験の結果で、ごく一部にだけ強い反応が出た行を外した(その反応こそが調べたかったことだった)
最後の型については、統計の解説でも同じ趣旨の指摘があります。薬の効き方を調べているときに副作用に当たる値を外してしまえば、副作用のない素晴らしい薬という結論が出てしまう、という例です。外れ値は、そのデータの中でいちばん情報量の多い行であることがあります。
見分ける問いは1つで足ります。その値を外したら、何が言えなくなるか。言えなくなることが、いま知りたかったことなら外しません。言えなくなることが何もないなら、外しても構いません。この問いを、外す前に1度だけ自分に投げます。数秒で終わります。
外した事実を記録に残す
外したことは、必ず記録に残します。理由は3つあります。1つ目、後から件数を戻せるようにするため。2つ目、次に同じ値が出たときに同じ扱いをするため。3つ目、外した数字を見た人が、外したことを知らないまま判断するのを防ぐためです。
残す場所は、集計の結果と同じ場所です。別のファイルに書くと、数字だけが独り歩きします。表の下に3行で足ります。外した件数、外した理由の種類、外さなかった場合の数字。外さなかった場合の数字まで書いておくと、読む人が自分で判断できます。
社外に出す資料では、もう1段丁寧にします。どの範囲を対象にしたか、外した件があるかどうか、外したならその区分を書き添えます。数字を大きく見せるために外したのではない、ということが伝わる形にしておくと、後から質問が来たときに1往復で終わります。
社内で扱いをそろえる
最後に、これを個人の作法で終わらせない方法です。数字ごとに、外れ値の扱いを1枚にしておきます。項目は5つです。
- 使う物差し(四分位範囲の1.5倍か、ばらつきの幅の何倍か)
- 出どころの種類ごとの扱い(外す・残す・別枠で見る)
- 代表となる値を平均にするか中央値にするか
- 丸めるなら、丸める位置と、丸めたことの書き方
- 外した件を記録に残す場所
この1枚があると、担当が替わっても数字の性格が変わりません。引き継ぐのは判断そのものではなく、判断の決めごとのほうです。同じデータから同じ数字が出ることのほうが、正確さより先に効きます。月ごとに扱いが揺れていると、増えたか減ったかの話ができなくなります。
見直しは、新しい数字を1つ足すときに合わせます。定期的に見直す日を決めるより、作業のついでに開くほうが続きます。開いたときに合わなくなっている行があれば直し、直した日を1行足します。
まとめ
外れ値を見つけたときにまずやることは、外すことではありません。どこから来た値かを確かめることです。ありえない値なら外し、実在する大きな取引なら残して分けて見せ、理由が分からないなら残して中央値に切り替える。この分け方を出どころの種類ごとに決めておけば、誰がやっても同じ数字が出ます。AIには拾わせるところまでを任せ、外すかどうかは人が決めて、決めた理由を記録に残します。今日できることを1つ挙げるなら、いま使っている数字の平均と中央値を並べて出してみることです。2つが大きく離れている数字が、最初に手を入れる相手です。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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