退職者と選考辞退者へのヒアリングをAIとの対話で行い、理由を集計する
退職者と選考辞退者に、決めた設問に沿ってAIとの対話で答えてもらい、回答を分類して月次で集計します。人事の作業は、1人ずつ面談して記録することから、集まった回答を読んで改善につなげることに変わります。
- 利用ツール
- Azure OpenAI Service/ChatGPT/Claude/Gemini/Make/Microsoft Copilot/n8n/Power Automate
- 対象業界
- IT・SaaS/人材/小売/飲食
- 対象部門
- 人事/採用
- 対象業務
- 記録・議事録作成/集計・分析
- 主な課題
- データ分析に時間がかかる/属人化している/引き継ぎができていない
- AIで行う処理
- 対話
- 主な効果
- 判断支援/品質標準化/属人化解消
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- SaaS追加(小)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 退職の申し出を受ける
- 人事が退職面談の日程を調整する
- 退職日までに面談を実施する
- 人事が聞き取りながらメモを取る
- 面談後にメモを清書する
- 人事システムに退職理由の区分を入力する
- 月末にExcelへ転記して集計する
- 選考辞退者については、辞退の連絡のみを記録する
- 退職の申し出、または選考辞退の連絡を受ける
- 自動対象者にヒアリングの案内を送る(回答は任意であることを明記する)
- 人対象者が、都合のよい時間に対話で回答する
- 自動決めた設問に沿って質問する
- 自動答えにくい設問は飛ばせるようにする
- 自動抽象的な回答には、決めた範囲で1回だけ掘り下げる
- 自動回答を、社内の区分に分類する
- 自動分類しきれない回答を「その他」として分ける
- 人人事が、対話の記録を読んで内容を確かめる
- 人希望者には、人事が改めて面談する
- 自動月次で集計し、部門別・在籍年数別・選考段階別の傾向を出す
- 人人事と経営が、集計結果を読んで改善を検討する
各工程の詳しい説明を読む
- 退職の申し出を受ける
- 人事が退職面談の日程を調整する
- 退職日までに面談を実施する
- 人事が聞き取りながらメモを取る
- 面談後にメモを清書する
- 人事システムに退職理由の区分を入力する
- 月末にExcelへ転記して集計する
- 選考辞退者については、辞退の連絡のみを記録する
問題は5つあります。
(a)本音が出ない。 人事に対して、上司や職場の問題を直接は言いにくい状況です。「一身上の都合」が最も多い区分になります。
(b)聞き方が人によって違う。 担当者によって、突っ込んで聞く項目が違います。集計しても比較になりません。
(c)退職日までに実施できないことがある。 引き継ぎで忙しく、面談が流れることがあります。
(d)選考辞退者には聞けていない。 採用の課題(選考が長い、面接官の対応、条件の提示の遅さ)がまったく見えていません。
(e)集計が月末にまとめて発生する。 Excelへの転記が手作業で、傾向を見る前に力尽きます。
- 退職の申し出、または選考辞退の連絡を受ける
- 【自動】 対象者にヒアリングの案内を送る(回答は任意であることを明記する)
- 【人】 対象者が、都合のよい時間に対話で回答する
- 【自動】 決めた設問に沿って質問する
- 【自動】 答えにくい設問は飛ばせるようにする
- 【自動】 抽象的な回答には、決めた範囲で1回だけ掘り下げる
- 【自動】 回答を、社内の区分に分類する
- 【自動】 分類しきれない回答を「その他」として分ける
- 【人】 人事が、対話の記録を読んで内容を確かめる
- 【人】 希望者には、人事が改めて面談する
- 【自動】 月次で集計し、部門別・在籍年数別・選考段階別の傾向を出す
- 【人】 人事と経営が、集計結果を読んで改善を検討する
自動化されるのは「聞き取り」「分類」「集計」の3つです。残るのは「読んで解釈すること」と「改善すること」です。
5番目と10番目が、この構成が成り立つための条件です。 答えたくないことは飛ばせて、話したい人は人と話せる。どちらも用意しないと、形だけの仕組みになります。
02今回想定するシステム構成
退職の申し出/選考辞退の連絡 │ ▼ 人事システム・採用管理システム(対象者の特定) │ ▼ ヒアリングの案内(メール/Teams)──【回答は任意】 │ ▼ Microsoft Copilot Studio のエージェント(Teams の1対1チャット) │ ├──▶ 決めた設問に沿った聞き取り ├──▶ 答えにくい設問はスキップ └──▶ 1回だけの掘り下げ │ ▼ 対話の記録 ──【人事が読む】──【希望者には人が面談】 │ ▼ Claude API(回答の分類・要点の抽出) │ ▼ 月次の集計(部門別・在籍年数別・選考段階別) │ ▼ 人事・経営への報告
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 生成AI | Microsoft Copilot Studio(対話) | Claude、ChatGPT、Gemini |
| 集計 | Claude API(回答の分類・集計) | ChatGPT、Gemini、Azure OpenAI Service |
| 連携 | Power Automate(案内の送付と集計の起動) | Make、n8n |
| 台帳 | SharePoint リスト | Excel、人事システム |
| 通知 | Teams | メール |
最小構成では、対話の仕組みは要りません。 設問票をメールで送り、返ってきた回答を生成AIのプロジェクトに集めて分類させるところから始められます。ここが★2の理由です。
退職者アンケートのSaaSと比べてください。 設問のひな形、匿名化、ベンチマークとの比較を提供する製品があります。自前で組む価値があるのは、選考辞退者まで同じ枠組みで扱いたい場合と、自社の区分で集計したい場合です。
退職者は在職中に回答することになる点に注意してください。 退職後はアカウントが使えません。Teams で行うなら、最終出社日までに回答してもらう設計にしてください。 退職後にも聞きたい場合は、個人のメールアドレスへ送るWebフォーム形式にする必要があります。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
退職の申し出が人事システムに登録されたとき、または選考辞退が採用管理システムに記録されたときが起点です。
退職者については、最終出社日の2週間前に案内を送ります。直前だと引き継ぎで手一杯です。
選考辞退者については、辞退の連絡を受けた当日に送ります。日が経つほど回答率が下がります。
半自動化では、次を追加します。
- 回答がないまま期限が近づいたら、1回だけ再案内する
- 月末に集計を自動で作る
再案内は1回までにしてください。 何度も送ると、「答えさせられている」と受け取られます。 回答は任意です。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 設問の一覧 | 何を、どの順で聞くか | 人事(新しく作る) |
| 回答の区分 | 退職理由・辞退理由の分類の体系 | 人事(新しく作る) |
| 対象者の属性 | 部門、職種、在籍年数、雇用区分(氏名は使わない) | 人事システム |
| 選考の情報 | 応募職種、辞退した選考段階、応募からの経過日数 | 採用管理システム |
| 過去の集計 | 前月までの分類結果 | SharePoint リスト |
「設問の一覧」を先に作ってください。
聞く順番が結果を左右します。最初に重い質問をすると、そこで離脱します。
| 順 | 設問の例 | 意図 |
|---|---|---|
| 1 | 退職(辞退)を考え始めたのはいつ頃ですか | 事実から入る。答えやすい |
| 2 | きっかけになった出来事はありましたか | 具体から聞く |
| 3 | 決め手になったことを教えてください | 中心の設問 |
| 4 | 会社が変えていれば、結果は変わったと思いますか | 改善の手がかり |
| 5 | 職場の環境について、感じていたことはありますか | 答えたくなければ飛ばせる |
| 6 | 他に伝えたいことはありますか | 自由記述 |
| 7 | 人事と直接話したいことはありますか | 面談への導線 |
「答えたくなければ飛ばせる」ことを、設問ごとに明示してください。 飛ばせない設問があると、そこで対話全体が終わります。
「回答の区分」は人事が作ります。AIに作らせないでください。 自社の課題に合った粒度でなければ、集計しても使えません。
データの取得方法を決める
対話の実施: Microsoft Copilot Studio でエージェントを作り、Teams の1対1のチャットとして提供します。
Copilot Studio のエージェントを Teams で使えるようにするには、少なくとも1回はエージェントを公開(発行)したうえで、Teams と Microsoft 365 Copilot のチャネルに接続します。 提供の方法は3通りあります。
| 方法 | 対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| インストールリンクを共有する | 共有したユーザー | Teams のモバイルアプリでは使えない |
| Teams アプリストアの「Power Platform で構築する」に表示する | 共有ユーザーのみ | 組織全体には出ない |
| 管理者の承認を得て「組織用に構築」に表示する | 組織内の全員 | 管理者の承認が必要 |
モバイルで回答してもらうなら、アプリストアへの掲載が必要です。 インストールリンクは Teams のモバイルアプリでは使えません。退職を考えている人が、会社のPCの前でこれに答えるとは限りません。 ここは設計の分かれ目です。
1対1のチャットで提供してください。 Teams のグループチャットやチャネルでは、SharePoint などエンドユーザー認証を必要とするナレッジソースを使えません。 これは意図しないデータの漏えいを防ぐための設計上の制限です。そもそもこの用途でグループチャットに置く理由はありません。
組織外の個人が使えないよう、セキュリティ設定を有効にしてください。 社内従業員向けのエージェントでは必須です。
回答の分類: 対話の記録を Claude API に渡し、社内の区分に分類させます。対話とは別の処理として分けてください。 対話の最中に分類させると、分類を意識した応答になります。
最小構成では、Claude のプロジェクトを使います。 プロジェクトに設問票と区分の定義をアップロードしておけば、そのプロジェクト内の会話で読ませられます。回答を貼って分類させるだけで始められます。
AIへ渡す前に整形する
- 氏名の除去 … 対話の記録から氏名を外します。分類には不要です
- 属性の付与 … 部門、職種、在籍年数、雇用区分を付けます
- 選考情報の付与 … 辞退者には、辞退した選考段階と経過日数を付けます
- 少人数部門のまとめ … 在籍3名以下の部門は、上位の組織単位にまとめます
- 個人が特定される記述の確認 … 「私の担当していた◯◯の案件で」のような記述に印を付けます
4番目と5番目が、この構成でもっとも重要な前処理です。
「匿名で集計します」と案内しておきながら、部門別の集計で1人しかいない部門の欄に回答が並べば、匿名ではありません。 集計の単位を先に決めてください。「3名未満の区分は表示しない」を原則にしてください。
AIに処理させる
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| 聞き取り | 設問の一覧に沿って質問する |
| スキップの受け付け | 答えたくない設問を飛ばす |
| 1回だけの掘り下げ | 抽象的な回答に、決めた範囲で聞き返す |
| 回答の分類 | 社内の区分に当てはめる |
| 分類外の切り分け | 当てはまらない回答を「その他」として残す |
| 要点の抽出 | 自由記述から要点を取り出す |
| 月次の集計 | 区分別・属性別に集計する |
AIに次のことをさせないでください。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 引き止め・翻意の説得 | ヒアリングの場を交渉に使わない。信頼が崩れる |
| 特定の個人への評価・批判の誘導 | 「上司の誰が問題でしたか」と聞かない |
| 回答者の感情の判定 | 「不満度:高」のような点数化をしない |
| 退職理由の断定 | 本人が言っていない理由を推定しない |
| 会社の説明・反論 | 「それは制度上こうなっています」と返さない |
| 回答の評価 | 「貴重なご意見です」以上の評価をしない |
| 2回以上の掘り下げ | 追及されていると感じさせる |
「引き止めをさせない」ことが、この構成で最も重要な制約です。 ヒアリングの場で説得が始まれば、次からは誰も本当のことを話しません。 一度失った信頼は戻りません。
「特定の個人への評価を誘導しない」も必ず入れてください。 「上司の対応に問題がありましたか」と聞けば、名指しの回答が集まります。 その記録の扱いは、人事にとって非常に難しいものになります。設問は「職場の環境について感じていたこと」までにとどめてください。
「2回以上掘り下げない」を必ず指定してください。 掘り下げは1回までです。それ以上は尋問になります。
指示内容を固定する
対話側(Copilot Studio のエージェントへの指示):
あなたは、退職または選考辞退の理由を聞き取る担当者です。
設問の一覧に沿って、1問ずつ質問してください。
【厳守事項】
- 引き止めや翻意の説得をしないでください。
「考え直す余地はありませんか」と聞かないでください。
- 会社の説明や反論をしないでください。
「その制度はこういう理由で」と返さないでください。
- 特定の個人について聞かないでください。
「誰が」「どの上司が」と尋ねないでください。
相手が個人名を挙げた場合も、それ以上は掘り下げないでください。
- 回答を評価しないでください。
「素晴らしいご意見です」「それは問題ですね」と返さないでください。
受け止めたことだけを短く返してください。
- 「答えたくない」「次へ」と言われたら、理由を聞かずに次の設問へ進んでください。
- 掘り下げは、1つの設問につき1回までにしてください。
抽象的な回答でも、2回以上は聞き返さないでください。
- 相手の感情を推し量った発言をしないでください。
「おつらかったですね」と書かないでください。
- 途中でやめたいと言われたら、そこで終了してください。
最後まで答えるよう促さないでください。
- 最後に必ず、人事と直接話したいかを尋ねてください。
【設問の一覧】
{question_list}
【最初のメッセージ】
この聞き取りは任意です。答えたくない質問は「次へ」とお伝えください。
いつでも終了できます。内容は職場の改善のために集計され、
個人が特定される形では共有されません。
分類側(Claude API への指示):
あなたは、退職・辞退の理由を分類する担当者です。
対話の記録を、社内の区分に当てはめてください。
【厳守事項】
- 本人が述べていない理由を推定しないでください。
述べられた内容だけから分類してください。
- 区分に当てはまらない回答は、"その他" にし、
unclassified に原文をそのまま入れてください。
近い区分に寄せないでください。
- 感情や不満の度合いを点数化しないでください。
- 個人名・チーム名が含まれる記述は、
contains_identifiable を true にしてください。
内容を書き換えないでください。
- 分類の根拠として、対話のどの発言を見たかを
quoted_text に入れてください。
【回答の区分】
{category_definitions}
【対話の記録】
{transcript}
分ける理由は、対話と分類で求めるふるまいが逆だからです。 対話では評価も判定もしません。分類では区分に当てはめます。同じ指示で両方をやらせると、対話の最中に分類が漏れます。
出力形式を固定する
対話の記録は、設問ごとに分けて保存します。
{
"response_id": "",
"type": "退職 | 選考辞退",
"attributes": {
"department_group": "",
"job_family": "",
"tenure_band": "",
"employment_type": "",
"selection_stage": ""
},
"answers": [
{
"question_id": "",
"answered": true,
"skipped": false,
"text": "",
"follow_up_used": false
}
],
"completed": true,
"aborted_at": "",
"wants_hr_meeting": false
}
分類の出力:
{
"response_id": "",
"primary_category": "",
"secondary_categories": [],
"unclassified": [],
"key_points": [],
"quoted_text": "",
"contains_identifiable": false,
"confidence": "high | medium | low"
}
skipped と aborted_at を必ず記録してください。 どの設問で飛ばされたか、どこでやめられたかは、設問そのものの評価に使えます。 特定の設問で離脱が集中していれば、その設問が悪いということです。
wants_hr_meeting は、人が対応すべき唯一の即時項目です。 ここが true のものは、その日のうちに人事へ通知してください。
contains_identifiable が true のものは、集計から外すのではなく、閲覧範囲を絞って残します。 内容を書き換えないでください。書き換えると、何があったか分からなくなります。
点数や総合スコアは持たせません。 「不満度」のような数字があると、人はその数字だけを見ます。
システムへ連携する
最小構成では連携はありません。設問票をメールで送り、回答を生成AIのプロジェクトで分類します。
半自動化では、次をつなぎます。
| つなぐ先 | 内容 |
|---|---|
| 人事システム(読み取り) | 退職の申し出、対象者の属性 |
| 採用管理システム(読み取り) | 選考辞退、辞退した選考段階 |
| Teams | ヒアリングの案内、対話の実施 |
| SharePoint リスト | 対話の記録、分類結果の保存 |
| Teams(通知) | wants_hr_meeting の即時通知 |
人事システムへ退職理由を自動で書き込まないでください。 人事システムの退職理由は、会社としての公式な記録です。本人の申告と、このヒアリングの結果は別のものです。混ぜないでください。
上長への自動共有を絶対に行わないでください。 「あなたの部下がこう答えました」という通知は、この仕組みを一度で終わらせます。
人が確認する
対話の記録の確認は、必ず人事が行います。
| 順 | 確認する点 | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | wants_hr_meeting: true | 人事(当日中に連絡する) |
| 2 | ハラスメント・違法行為をうかがわせる記述 | 人事(別の手順へ回す) |
| 3 | contains_identifiable: true | 人事(閲覧範囲を絞る) |
| 4 | unclassified(区分に当てはまらない回答) | 人事(区分の見直しの材料) |
| 5 | aborted_at が記録されているもの | 人事(設問の見直しの材料) |
| 6 | 月次の集計結果 | 人事・経営 |
2番目を必ず設計に入れてください。 ハラスメント、安全衛生上の問題、違法行為をうかがわせる記述が出た場合、これは集計の対象ではありません。 社内の通報窓口の手順へ回してください。「毎月の集計に含めて終わり」にしてはいけません。
この点は、対象者にも事前に伝えてください。 「重大な内容については、別の手順で対応することがあります」と案内に書いておかないと、匿名だと信じて話した内容が扱われることになります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 回答がない | 再案内は1回まで。任意であることを守る |
| 途中でやめられた | そこまでを記録する。促さない |
| 全設問が飛ばされた | 記録として残す。「回答なし」も情報 |
| ハラスメントの記述が出た | 集計に回さない。通報窓口の手順へ |
| 個人名が挙がった | contains_identifiable。閲覧範囲を絞る |
| 少人数の部門で個人が特定される | 3名未満の区分は集計に表示しない |
| 区分に当てはまらない回答 | unclassified。近い区分に寄せない |
| 退職後にアカウントが使えない | 最終出社日までに実施する。または個人メール+Webフォーム |
| モバイルから回答したい | インストールリンクでは不可。アプリストアへの掲載が必要 |
| Teams のレート制限に当たる | 応答を簡潔にする。 Teams はエージェントにレート制限を適用する |
| エージェントの再公開後にエラーが出る | Teams が旧バージョンを保持していることがある。再公開・チャネルの入れ直しで解消する |
| 回答者が対話をやり直したい | 「やり直す」で新しい会話を始められる |
| 感情的な記述が続く | 評価も慰めもしない。 受け止めて次へ進む |
記録を残す
- 対話の記録(設問ごと、氏名を除いたもの)
- 飛ばされた設問、途中終了した位置
- 分類結果と、その根拠となる発言
- 人事が分類を修正した内容と、修正前後
wants_hr_meetingへの対応記録- 月次の集計結果
- 設問と区分の変更履歴
設問と区分の変更履歴を必ず残してください。 設問を変えれば、集計の連続性は切れます。「いつ設問を変えたか」が分からないと、傾向の変化が設問の変化なのか実態の変化なのか判断できません。
保存期間を定めてください。 退職者の対話記録を無期限に残す理由はありません。集計に必要な期間(例:3年)を定め、原文はその後に削除する設計にしてください。
閲覧範囲を限定してください。 人事の担当者と、指定された責任者だけが読める状態にします。部門長が読める設計にしないでください。
04実装レベルの3段階
半自動化で効果の大半が出ます。 45分が14分程度になります。本格構成で12分ですが、本格構成の価値は時間より「選考辞退者まで同じ枠組みで扱えること」にあります。
05工数削減シミュレーション
導入後 60件 × 12分 ÷ 60 = 12 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 退職者と選考辞退者を合わせて月30件以上あり、人事が個別に面談または聞き取りをしている企業。離職率または内定辞退率の改善を課題として認識していること。Microsoft 365 または同等のグループウェアを全社で使っていること。
- 退職者が年に数名で、人事が全員と直接話せている場合。ヒアリングの結果を受けて改善する体制がない場合(集計しても使われない)。従業員数が少なく、回答から個人が特定されてしまう規模の場合。
07最小構成で試す方法
- 設問を7問作る(答えにくい設問は後半に、飛ばせることを明記)
- 回答の区分を10〜15個作る
- 直近3か月の退職者・辞退者に、メールで設問票を送る(任意)
- 返ってきた回答を生成AIのプロジェクトに集め、区分に分類させる
見るのは次の4点です。
| 見る点 | 判断 |
|---|---|
| 回答率 | メールで何割が返るか。ここが低ければ対話にしても同じ |
| どの設問で止まるか | 止まる設問は、順番か聞き方を変える |
| 「その他」の割合 | 3割を超えるなら、区分が実態に合っていない |
| 分類が推測になっていないか | 本人が言っていない理由が付いていたら、プロンプトを強める |
1のステップ(設問作り)が、この試行でもっとも重要です。 そして、この構成をやめても残る資産です。
あわせて、次の2つの数字を出してください。
- 現在、退職面談を実施できている割合
- 選考辞退者のうち、理由が分かっている割合
6の数字が、この構成でいちばん伸びる部分です。 現在ほぼゼロのはずです。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| AIが引き止めを始める | プロンプトで禁止する。信頼が一度で崩れる。最重要 |
| 上長に共有してしまう | 設計として共有しない。周知もする |
| 個人が特定される集計 | 3名未満の区分は表示しない |
| 掘り下げが2回以上になる | 1回までに制限する。尋問になる |
| 答えたくない設問を飛ばせない | 飛ばせるようにする。飛ばせないと対話全体が止まる |
| 重い設問が最初に来る | 事実から入る順番にする |
| ハラスメントの記述を集計に混ぜる | 通報窓口の手順へ回す |
| 退職後にアカウントが使えない | 最終出社日までに実施する |
| モバイルから回答できない | インストールリンクはモバイル非対応。 アプリストアに掲載する |
| Teams のレート制限に当たる | 応答を簡潔にする |
| 再公開後にエラーが出る | 再公開とチャネルの入れ直しで解消する |
| 「その他」が3割を超える | 区分が実態に合っていない。見直す |
| 集計しても改善されない | 読む人と改善する人を先に決める |
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 退職・辞退の理由、職場についての記述、部門・在籍年数などの属性。氏名は分類・集計の段階では扱いません。
- 任意であることの明示 … 回答は任意です。「回答しないと不利益がある」と受け取られない案内文にしてください。 再案内は1回までにします
- 上長への非共有 … 設計として共有せず、そのことを対象者に明示してください。 ここが崩れると仕組みが終わります
- 匿名性の担保 … 部門・在籍年数で個人が特定される規模では、匿名になりません。3名未満の区分は表示しないを原則にしてください
- Teams とのデータ共有 … Microsoft のドキュメントには、エージェントを Teams に追加すると、エージェントの内容やユーザーのチャット内容など一部のデータが Teams と共有され、組織のコンプライアンスや地理的・地域的な境界の外に出る可能性があると明記されています。情報システム部門と確認してください
- 組織外からのアクセスの遮断 … 社内向けのエージェントでは、組織外の個人が使えないようセキュリティ設定を有効にしてください
- 個人情報の外部送信 … 対話の記録には職場についての記述が含まれます。個人情報保護委員会は、個人データを含むプロンプトの入力について、応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合に個人情報保護法違反となる可能性があると注意喚起しています。 学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選んでください
- 重大な内容の扱い … ハラスメント・違法行為をうかがわせる記述は、集計ではなく通報窓口の手順へ回してください。 その可能性を案内文に書いてください
- 人事評価への不使用 … 記録を在職者の評価に使わないでください。言及された側の評価にも使わないでください
- 保存期間と閲覧範囲 … 期間を定め、人事の担当者と指定された責任者だけが読める状態にしてください
- 自動実行してよい範囲 … 案内の送付、聞き取り、分類、集計までです。内容の解釈、面談の実施、改善の決定は、必ず人が行います
誤りが起きた場合のリスクは、信頼の喪失です。上長に伝わった、引き止めに使われた、評価に反映された——このいずれか一度で、以後は誰も本当のことを話しません。 そして、話されなくなったことには気づけません。 回答率と「その他」の割合を、継続して見てください。
10まず何から始めるか
1週目:運用の取り決めを決める
技術より先に、次を文書で決めてください。
- 回答は任意であること
- 上長には共有しないこと
- 人事評価に使わないこと
- 保存期間と閲覧できる範囲
- 3名未満の区分は集計に表示しないこと
- 重大な内容は通報窓口の手順へ回すこと
これを決めずに始めないでください。 後から決めると、最初の回答者の信頼を裏切ることになります。
2週目:設問を7問作る
事実から入り、答えにくい設問は後半に置きます。すべての設問を飛ばせるようにしてください。 最後に「人事と話したいか」を必ず入れます。
3週目:回答の区分を作る
10〜15個から始めます。現在のExcelの集計表にある区分を出発点にしてください。 実態に合っていなければ、「その他」が多くなって分かります。
4週目:メールで試す
直近3か月の退職者・辞退者に設問票を送ります。回答率と、どの設問で止まるかを見てください。 回答を生成AIで分類し、「その他」の割合を測ります。
2か月目:Teams のエージェントにする
Copilot Studio でエージェントを作り、公開してから Teams チャネルに接続します。モバイルから回答してもらうなら、アプリストアへの掲載(管理者の承認)が必要です。 情報システム部門と先に調整してください。
3か月目以降: 人事システム・採用管理システムとの連携と、月次集計の自動化を追加します。45分が何分になるかを実測し、あわせて回答率と、選考辞退者の理由が分かる割合を追ってください。 時間より、辞退理由が見えるようになることのほうが採用に効きます。
あわせて、集計結果を誰が読み、誰が改善を決めるかを決めてください。 これが決まっていないと、集計だけが毎月積み上がります。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Copilot Studio のエージェントを Teams で使えるようにするには、少なくとも1回の公開のうえで「Teams と Microsoft 365 Copilot」チャネルに接続する必要があること。提供方法にインストールリンクの共有、Teams アプリストアの「Power Platform で構築する」への表示(共有ユーザーのみ)、管理者の承認を得て「組織用に構築」へ表示する方法があること。インストールリンクは Teams のモバイルアプリでは使えず、モバイル利用にはアプリストアへの表示が必要なこと。Teams のグループチャットとチャネルでは、SharePoint などエンドユーザー認証を必要とするナレッジソースを使えず、1対1チャットのみでサポートされること。Teams がエージェントにレート制限を適用すること。エージェントを Teams に追加すると一部のデータが Teams と共有され、組織のコンプライアンスや地理的・地域的な境界の外に出る可能性があること。組織外の個人の利用を防ぐにはセキュリティ設定を有効にすること。再公開後に旧バージョンが使われて SystemError が出る場合があり、再公開やチャネルの入れ直しで解消すること | Microsoft Learn:Teams と Microsoft 365 Copilot のエージェントを接続して構成する | 2026-09-18 |
| 個人情報取扱事業者が個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反する可能性があること | 個人情報保護委員会:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について | 2026-09-18 |
| Claude のプロジェクトに参照用の文書をアップロードして、そのプロジェクト内の会話で読ませられること | Claude Help Center: What are projects? | 2026-09-18 |
従業員から退職・辞退の理由を聞き取り、記録する仕組みです。 目的・保存期間・閲覧範囲・任意であることを、実施前に対象者へ明示してください。 就業規則や労使協定での取り決め、個人情報の利用目的の特定について、社内の労務担当および社会保険労務士・弁護士に確認してください。ハラスメントや違法行為をうかがわせる記述が出た場合は、集計の対象とせず、社内の通報窓口の手順に従って対応してください。 公益通報者保護法の対象となる場合があります。記録を在職者の人事評価に用いないこと、上長へ共有しないことを、文書で明示することを強く勧めます。 従業員数が少ない組織や少人数の部門では、属性だけで個人が特定されます。集計の単位は事前に決めてください。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。回答率と本音の出方は、自社で実測してください。
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