Media > AI活用ユースケース > マーケティング > 問い合わせフォームと資料請求の見込み客を選別して担当へ配る

問い合わせフォームと資料請求の見込み客を選別して担当へ配る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

Webの問い合わせフォームと資料請求の内容を入力に、用件の種別と検討段階の手がかりを取り出し、担当を割り当てて一次返信の下書きまで作ります。インサイドセールスの作業は、1件ずつ調べて振り分けることから、割り当ての結果を確かめて送ることに変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/人材/広告/製造
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/営業フォローが追いつかない
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
53.3h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
70%
年間削減
448h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. フォームの送信通知がSlackとメールに届く
  2. インサイドセールスが内容を開いて読む
  3. 会社名をWebで検索し、業種と規模のあたりをつける
  4. CRMを検索し、既存顧客か、既存の商談があるかを確認する
  5. 営業目的・採用・取材・学生の問い合わせでないかを判断する
  6. 規模と地域から担当営業を決める
  7. 一次返信のメールを送る
  8. CRMにリードとして登録し、担当をアサインする
導入後(After)
  1. フォームが送信される
  2. 自動送信内容を受け取り、処理を開始する
  3. 自動ドメインと会社名で、CRMの既存顧客・既存商談を照合する
  4. 自動企業データベースから、業種・従業員数・所在地を引く
  5. 自動用件の種別を分類する(導入検討/既存顧客の質問/採用/取材・調査/営業目的/その他)
  6. 自動自由記述から、検討段階・課題・希望時期・比較対象の手がかりを取り出す
  7. 自動割り当てルールに沿って担当を決める(ルールはプログラム)
  8. 自動一次返信の下書きを作る
  9. 自動緊急度の高いものをSlackに即時通知する
  10. インサイドセールスが割り当てと返信文を確認し、送信する
  11. 自動CRMにリードを登録し、担当をアサインする
  12. 自動判断に迷ったものを別のキューに出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. フォームの送信通知がSlackとメールに届く
  2. インサイドセールスが内容を開いて読む
  3. 会社名をWebで検索し、業種と規模のあたりをつける
  4. CRMを検索し、既存顧客か、既存の商談があるかを確認する
  5. 営業目的・採用・取材・学生の問い合わせでないかを判断する
  6. 規模と地域から担当営業を決める
  7. 一次返信のメールを送る
  8. CRMにリードとして登録し、担当をアサインする

問題は5つあります。

(a)企業の規模が分からない。 フォームに従業員数の欄を設けても、多くは未入力か概数です。会社名で検索して調べる1.5分が、1件ごとにかかります。

(b)商談にならない問い合わせが3割ある。 営業目的の売り込みが特に多く、これを読む時間が全体の負担になっています。

(c)既存商談との重複に気づかない。 同じ会社の別部署から問い合わせが入ることがあります。既存の商談担当を飛ばして別の営業がアプローチすると、社内で衝突します。

(d)返信が遅れる。 平均で4時間、繁忙期は翌営業日になります。問い合わせフォームから送った側は、その日のうちの返信を期待しています。

(e)判断が人によって違う。 「この内容は商談化しそうか」の見立てが3名でばらばらで、同じような問い合わせが、ある日は大企業担当に、別の日はオンライン完結に回されます。

  1. フォームが送信される
  2. 【自動】 送信内容を受け取り、処理を開始する
  3. 【自動】 ドメインと会社名で、CRMの既存顧客・既存商談を照合する
  4. 【自動】 企業データベースから、業種・従業員数・所在地を引く
  5. 【自動】 用件の種別を分類する(導入検討/既存顧客の質問/採用/取材・調査/営業目的/その他)
  6. 【自動】 自由記述から、検討段階・課題・希望時期・比較対象の手がかりを取り出す
  7. 【自動】 割り当てルールに沿って担当を決める(ルールはプログラム
  8. 【自動】 一次返信の下書きを作る
  9. 【自動】 緊急度の高いものをSlackに即時通知する
  10. 【人】 インサイドセールスが割り当てと返信文を確認し、送信する
  11. 【自動】 CRMにリードを登録し、担当をアサインする
  12. 【自動】 判断に迷ったものを別のキューに出す

自動化されるのは「調べる」「分類する」「読み解く」「振り分ける」「下書く」の5つです。残るのは「この割り当てで合っているか」の確認です。

02今回想定するシステム構成

構成図
Webフォーム(資料請求 / 問い合わせ / ウェビナー / トライアル)
   │
   ▼【トリガー】Webhook(送信と同時)
Make(シナリオ)
   │
   ├──▶ CRM 照合(ドメイン・会社名で既存顧客と既存商談を確認)
   │
   ├──▶ 企業データベース照会(業種 / 従業員数 / 所在地)
   │
   ├──▶ LLM API ── 用件の種別の分類
   │                 + 自由記述から検討段階・課題・時期・比較対象を抽出
   │
   ├──▶ 割り当てルール(規模 × 地域 × 既存商談の有無。プログラムで判定)
   │
   ├──▶ LLM API ── 一次返信の下書き
   │
   ▼
振り分け結果(CRM のリード + Slack 通知)──【担当者が確認して送信】
   │
   ▼
CRM へ登録 + 担当のアサイン
役割想定する製品代替候補
ワークフローMaken8n、Power Automate、Zapier
生成AIClaude APIOpenAI API、Gemini API
フォーム自社サイトのフォームGoogle フォーム、Microsoft Forms
通知SlackMicrosoft Teams

MAツールにリードのスコアリングと振り分けの機能があるなら、まずそれを使ってください。 多くのMAツールは、フォームの項目と行動履歴からスコアを付け、ルールで担当を割り当てる機能を持っています。自前で組む価値があるのは、自由記述の中身を判断に使いたい場合です。 選択肢の入力だけでは、「来期の予算取りのため」といった情報は拾えません。

Make を選んだのは、フォーム送信と同時に処理を始めたいためです。 Make の Webhook は、URLにリクエストが届いた時点でシナリオを実行します。定期的に問い合わせ先を確認する方式のトリガーと違い、待ち時間が発生しません。 速さが価値になるこの業務では、この差が効きます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームが送信されたことを、Webhook で受け取ります。

Make には、URLを作って任意のデータを送れる「カスタムWebhook」があります。自社サイトのフォームの送信先にこのURLを指定すれば、送信と同時にシナリオが動きます。 アプリごとに用意された「インスタントトリガー」も同じ仕組みで、データが届いた時点で実行されます。

定期実行のトリガーを使わないでください。 15分おきに新着を確認する方式にすると、最悪15分の遅れが加わります。この業務では、その15分に意味があります。

Webhook を使うときは、第三者が同じURLに偽のデータを送れる点に注意してください。フォーム側で署名を付けるか、Webhook の直後に「そのデータが自社のフォームから来たものか」を検証する処理を入れます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
フォームの送信内容会社名、氏名、メールアドレス、電話番号、自由記述、選択項目、送信元ページWebフォーム
行動履歴送信前に見たページ、資料のダウンロード履歴、ウェビナーの参加履歴MAツール
既存顧客・既存商談会社名、ドメイン、契約状況、進行中の商談と担当者CRM
企業情報業種、従業員数、所在地、法人番号企業データベース(外部)
担当の割り当てルール規模 × 地域 × 製品 × 既存商談の有無営業企画(文書化が必要
除外リスト営業目的で繰り返し送ってくるドメイン、競合のドメイン運用で蓄積
過去の振り分け実績過去の問い合わせと、実際にどう振り分けたか、商談化したかCRM

「企業情報は外部から引く」ことを設計の前提にしてください。 会社名をLLMに渡して「この会社の従業員数は」と聞いてはいけません。実在する会社でも数字は当てになりませんし、実在しない会社名でももっともらしい答えが返ります。

企業データベースが使えない場合は、「規模不明」として扱い、人が判断するほうが安全です。

Step3

データの取得方法を決める

フォームの送信内容: Webhook のペイロードとして受け取ります。自由記述欄を必ず設けてください。 選択式だけのフォームにすると入力の負担は減りますが、検討段階を読み取る手がかりが失われます。

CRM の照合: メールアドレスのドメインで引くのが確実です。会社名の表記ゆれ(「(株)」「株式会社」「カタカナ表記」)で引くと当たりません。フリーメールのドメインは照合対象から外します。

企業情報: 企業データベースのAPIを、法人名またはドメインで照会します。ヒットしない場合は「不明」として扱います。

過去の振り分け実績: 分類の精度を測るために使います。過去1年分の「問い合わせ内容 → 振り分け先 → 商談化したか」の一覧があると、割り当てルールの妥当性を検証できます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 重複の検出 … 同じ人が短時間に複数のフォームを送ることがあります。メールアドレスで15分以内の重複をまとめます
  2. フリーメールの判別 … 法人ドメインかフリーメールかを判定します。フリーメールだから除外するのではなく、企業情報の照合方法を変えます
  3. 除外リストの適用 … 営業目的で繰り返し送ってくるドメインを、分類の前に弾きます。LLMに毎回読ませる必要はありません
  4. 自由記述の長さの判定 … 空欄または10文字未満の記述は、検討段階の手がかりになりません。「情報なし」として扱います
  5. 個人情報の分離 … 氏名・電話番号は、LLMに渡す必要がありません。会社名・ドメイン・自由記述・選択項目だけを渡します
Step5

AIに処理させる

割り当てのルールはプログラムで判定します。 「従業員1,000名以上かつ関東は大企業担当のAさん」といったルールは、条件分岐で書けます。LLMに判断させると、ルールを変えたときに挙動が読めなくなります。

LLMにさせること:

処理内容
用件の種別の分類導入検討/既存顧客の質問/採用/取材・調査/営業目的/その他
検討段階の抽出情報収集/比較検討/稟議中/すぐ導入したい/時期未定
課題の抽出自由記述に書かれた困りごと
希望時期の抽出「来期」「4月から」「未定」
比較対象の抽出「他社と比較中」と書かれている場合、その社名
決裁の手がかり「上長に相談中」「予算は確保済み」といった記述
一次返信の下書き種別と検討段階に応じた文面

LLMに企業の属性を推測させないでください。 「株式会社◯◯」という会社名から業種や規模を推測させると、それらしい答えが返ります。根拠がありません。 企業情報は必ず外部のデータベースか自社のCRMから引き、引けなければ「不明」とします。

同じ理由で、「商談化しそうか」の点数付けもLLMにさせないでください。 点数は、抽出した項目(検討段階、規模、既存取引の有無、行動履歴)から、プログラムで計算します。そうすれば、なぜその点数になったかが説明できます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは、問い合わせの内容を読み取る担当者です。
フォームに入力された内容だけから、用件の種別と検討段階を判定してください。

【厳守事項】
- 会社名から、業種・従業員数・事業内容を推測しないでください。
  これらは別の経路で取得済み、または不明として扱います。
  あなたの知識にある企業情報を答えに含めないでください。
- 自由記述に書かれていないことを補わないでください。
  検討段階が読み取れない場合は "unknown" としてください。
  「おそらく情報収集段階」と推測しないでください。
- 用件の種別は、下記の6つからのみ選んでください。
  新しい種別を作らないでください。判断できない場合は "other" とし、
  reason に判断できなかった理由を書いてください。
- 商談化の見込みを点数で答えないでください。
  点数は別途計算します。
- 比較対象として社名が書かれている場合のみ competitors に入れてください。
  「他社と比較」とだけ書かれている場合は、社名を挙げないでください。
- 自由記述に個人的な事情(転職の相談、苦情の内容など)が書かれている場合、
  内容を転記せず、needs_human を true にしてください。

【用件の種別(6つ)】
purchase_consideration(導入検討)/ existing_customer(既存顧客の質問)/
recruiting(採用に関する問い合わせ)/ research(取材・調査・学生)/
sales_pitch(営業目的の売り込み)/ other(その他)

【フォームの内容】
送信元ページ: {source_page}
フォームの種類: {form_type}
会社名: {company_name}
メールドメイン: {email_domain}(フリーメール: {is_freemail})
選択項目: {select_fields}
自由記述: {free_text}

【CRMの照合結果】
既存顧客: {is_existing_customer}
進行中の商談: {open_opportunities}

【企業データベースの照会結果】
業種: {industry} / 従業員数: {employee_count} / 所在地: {location}
(「不明」の場合はそのまま「不明」として扱ってください)

「あなたの知識にある企業情報を答えに含めないでください」の1行が重要です。 これを書かないと、有名企業については学習内容から答え、無名の企業については推測で答えます。どちらも根拠として使えません。

「商談化の見込みを点数で答えない」も外せません。 点数は営業の行動を左右します。なぜその点数かを説明できない仕組みにすると、営業が結果を信用しなくなります。

Step7

出力形式を固定する

{
  "submission_id": "",
  "received_at": "",
  "inquiry_type": "purchase_consideration | existing_customer | recruiting | research | sales_pitch | other",
  "inquiry_type_confidence": "high | medium | low",
  "extracted": {
    "stage": "information_gathering | comparing | internal_approval | ready_to_buy | unknown",
    "issues": [],
    "desired_timing": "",
    "competitors": [],
    "decision_hints": [],
    "quoted_text": ""
  },
  "company_info": {
    "source": "crm | company_db | unknown",
    "industry": "",
    "employee_count": null,
    "location": ""
  },
  "existing_relationship": {
    "is_customer": false,
    "open_opportunity": false,
    "owner": ""
  },
  "needs_human": false,
  "reason": ""
}

割り当て(プログラム)の出力:

{
  "submission_id": "",
  "assigned_to": "",
  "assignment_rule": "",
  "priority": "urgent | high | normal | low",
  "priority_basis": [],
  "route": "inside_sales | direct_to_owner | online_self_serve | no_action",
  "suppressed": false,
  "suppression_reason": ""
}

quoted_text(自由記述の該当部分)を残します。 「比較検討段階と判定した」とだけ言われても、担当者は確かめられません。根拠となった一文が添えられていれば、目で確認できます。

company_info.source を持つのは、企業情報がどこから来たかを明示するためです。unknown の場合、規模による振り分けは効きません。その事実を隠さないことが重要です。

priority_basis に、優先度を高くした理由を配列で入れます。 「進行中の商談がある」「従業員1,000名以上」「『すぐに導入したい』の記述」といった根拠が並びます。

なお、Claude API には出力をJSONスキーマに沿わせる構造化出力の機能があります(2026-09-15時点ではベータ機能として提供)。件数が多く後段が機械処理なので、利用できると安全です。

Step8

システムへ連携する

つなぐ先内容
WebフォームWebhook で送信内容を受け取る
CRM(読み取り)既存顧客・既存商談を照合する
企業データベース(読み取り)業種・従業員数・所在地を引く
Slack優先度の高いものを即時通知する
CRM(書き込み)リードを登録し、担当をアサインする
メール一次返信を送る(下書きを人が確認してから

一次返信の自動送信は、種別によって分けてください。

種別返信
資料請求(自動返信で資料URLを送るだけ)自動送信でよい
導入検討の問い合わせ下書きを人が確認して送る
既存顧客の質問担当営業へ転送し、下書きを添える
営業目的の売り込み返信しない(またはテンプレート)

導入検討の問い合わせに自動返信だけを送るのは、機会損失になります。 内容に触れた返信のほうが、その後の反応が違います。

Step9

人が確認する

全件を人が見ます。ただし見る深さを分けます。

区分条件確認
即時対応priority: urgent(既存商談あり/「すぐ導入したい」の記述)Slack通知を見て、その場で対応する
通常確認inquiry_type: purchase_consideration かつ confidence: high割り当てと返信文を見て送信する
要判断confidence: medium/lowneeds_human: truecompany_info.source: unknown内容を読んで、割り当てを決める
一括処理sales_pitchresearchまとめて確認し、必要なら除外リストに追加する

sales_pitch と判定されたものも、必ず一度は人が見てください。 自動で捨てる設計にすると、誤判定で本当の見込み客を失います。 1日10件程度なら、一覧で流し見る運用で足ります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
企業データベースにヒットしないunknown として人が判断する。推測で規模を埋めない
フリーメールで会社名も未入力規模による振り分けができない。インサイドセールスが確認の連絡をする
既存商談がある会社から別部署の問い合わせ商談担当に通知する。 別の営業を自動でアサインしない
既存顧客からのサポート依頼サポート窓口へ転送する。営業には回さない
同じ人が短時間に複数送信15分以内の重複をまとめる
自由記述が空欄検討段階を unknown とする。選択項目と行動履歴で振り分ける
個人的な事情が書かれている内容を転記せず、人が読む
苦情・クレームが書かれている優先度を上げて人に回す。自動返信を送らない
競合からの問い合わせ除外リストのドメインで弾く。リストは運用で育てる
Webhookに偽のデータが送られるフォーム側の署名を検証する。異常な送信元は弾く
LLMのAPIが失敗する分類なしでインサイドセールスのキューに入れる。 問い合わせを取りこぼさないことを最優先にする
判定が誤って sales_pitch になった一括確認の一覧に出す。誤判定を記録して改善材料にする
Step11

記録を残す

  • フォームの送信内容(原本)
  • 分類結果と、quoted_text(根拠となった記述)
  • 企業情報の取得元(CRM/企業DB/不明)
  • 割り当て結果と priority_basis
  • 人が割り当てを変更した内容と、その理由
  • 一次返信の内容と送信日時
  • その後の商談化・受注の結果

最後の2つを突き合わせると、割り当てルールの妥当性が検証できます。 「オンライン完結に回した問い合わせのうち、あとから大型商談になったものが何件あるか」が分かれば、規模の境界値を見直す根拠になります。

受信から返信までの時間を必ず記録してください。 この構成の目的は工数削減より速さなので、そこを測らないと効果が分かりません。

04実装レベルの3段階

最小構成:問い合わせ内容を生成AIに貼り、種別と検討段階を判定させる / 分類
半自動化:Webhook で受け取り、CRM照合・企業情報照会・分類・抽出・割り当てまでを自動化し、担当者が確認して返信する / 照合・分類・割り当て・下書き
本格構成:上記+優先度の高いものの即時通知+CRMへの自動登録+商談化結果との突合によるルールの見直し / 送信と判断以外のすべて

半自動化で4分が1.5分程度になります。 調査の1.5分と判断の0.5分が消えるためです。本格構成にすると1.2分程度ですが、本格構成の価値は時間より「優先度の高い問い合わせに即時に反応できること」にあります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
800 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1.2 分
現在  800件 × 4分 ÷ 60 = 53.3 時間/月
導入後 800件 × 1.2分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
37.3h
削減率
70%
年間削減時間
448h
年間金額換算(時間単価3,000円)
134万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. Webからの問い合わせ・資料請求が月200件以上あり、内容を見て担当へ振り分ける運用がある企業。フォームの入力内容に自由記述欄があること。既存顧客・既存商談のデータが参照できること。
向いていない
  1. 問い合わせが月30件未満で、担当者が全件を見られる場合。すべての問い合わせを同じ担当が対応していて、振り分けの必要がない場合。フォームの項目が完全に選択式で、自由記述がない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 過去1か月の問い合わせ100件を、フォームの内容つきで書き出す
  2. 生成AIに1件ずつ渡し、用件の種別と検討段階を判定させる
  3. インサイドセールスが実際にどう扱ったかと比べる

見るのは次の4点です。

見る点判断
営業目的の売り込みを正しく分類できたかできれば、それだけで3割の負担が減る
検討段階が、自由記述から読み取れたか読み取れれば、優先度の判定に使える
企業の規模や業種を推測していないか推測していたら、プロンプトを強める。ここが最重要
根拠となった記述(quoted_text)が出ているか出ていなければ、担当者が確認できない

3番目を必ず確かめてください。 「この会社は従業員300名程度と思われます」と書かれていたら、その構成は危険です。担当者がその数字を信じて振り分けます。

あわせて、現在の「受信から返信までの時間」を測っておいてください。 導入後の比較対象がないと、効果が説明できません。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
LLMが企業の規模や業種を推測するプロンプトで明確に禁止する。company_info.sourceunknown なのに値が入っていないか機械的に検査する
商談化の見込みをLLMに点数化させる点数はプログラムで計算する。根拠を priority_basis に残す
定期実行のトリガーを使って返信が遅れるWebhook を使う。速さがこの業務の価値
会社名で CRM を照合して当たらないメールドメインで引く。会社名は表記ゆれが多い
フリーメールを一律で低優先にする規模の照合ができないだけで、見込みが低いとは限らない。人が見る
営業目的の問い合わせを自動で捨てる一覧に出して人が流し見る。誤判定で見込み客を失う
既存商談があるのに別の営業をアサインするCRM照合を割り当ての最優先条件にする
Webhookに偽のデータが送られる署名の検証、または送信元の確認処理を入れる
APIが失敗して問い合わせが消える失敗時はキューに入れる。取りこぼさないことを最優先
自由記述欄をフォームから削ってしまう残す。検討段階を読み取る唯一の手がかり
返信時間を測っていない受信と送信の時刻を記録する。測らないと効果が説明できない

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 問い合わせ者の氏名・所属・メールアドレス・電話番号、自由記述の内容、企業情報。個人情報を扱います。

  1. LLMに渡す情報の最小化 … 分類と検討段階の読み取りに、氏名と電話番号は不要です。会社名・ドメイン・自由記述・選択項目だけを渡してください
  2. 自由記述に含まれる個人的な事情 … 転職相談、苦情、健康に関する記述が混ざることがあります。内容を転記させず、人が読む対象として印を付けるだけにしてください
  3. 利用目的の範囲 … フォームで取得した個人情報は、プライバシーポリシーに記載した利用目的の範囲で扱う必要があります。「AIによる分類・振り分けに利用する」ことが現在の記載に収まるかを、法務に確認してください
  4. 外部AIへの入力可否 … 問い合わせ内容には、相手企業の課題や検討状況が書かれています。自社の情報管理規程とプライバシーポリシーを確認してください
  5. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  6. 企業データベースの利用条件 … 照会したデータの保存と二次利用の範囲は、契約で定められています。CRMに取り込んでよいかを確認してください
  7. 自動実行してよい範囲 … 分類・割り当て・下書きまでです。導入検討の問い合わせへの返信、営業目的と判定したものの削除は、人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、見込み客の取りこぼしと、既存商談への二重アプローチです。前者は機会損失、後者は取引先からの信頼の低下につながります。判定の根拠を残し、後から追跡できる状態にしてください。

10まず何から始めるか

1週目:現在の数字を測る

過去1か月の問い合わせについて、次を数えます。

  • 用件の種別ごとの件数(特に営業目的が何件か)
  • 受信から一次返信までの時間の平均と最大
  • 振り分け先ごとの商談化率

この3つが、導入後の比較対象になります。 特に2番目を測っていない企業が多いので、必ず測ってください。

2週目:割り当てルールを1枚にする

規模・地域・製品・既存商談の有無から、担当が決まる表を作ります。現在は3名の頭の中にあります。 書き出すと、境界が曖昧な箇所(「500名前後はどちらか」)が見つかります。そこを決めるのが、この週の目的です。

3週目:100件で分類を試す

過去の問い合わせ100件を生成AIに判定させ、実際の扱いと比べます。企業情報を推測していないかを必ず確かめてください。

4週目:Webhook でつなぐ

フォームの送信をWebhookで受け取り、CRM照合と分類までを動かします。まず通知だけを出す形にして、振り分けは従来どおり人が行います。 1週間動かして、分類の精度を実測します。

2か月目以降: 割り当てと一次返信の下書きを追加します。並行して、人が割り当てを変更した記録を集め、ルールの境界値を見直します。商談化の結果と突き合わせるのは、3か月分たまってからです。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-15/最終更新:2026-09-15
確認した内容情報源確認日
Make のWebhookが、外部のアプリやサービスからHTTPでデータを受け取るURLを作れること。Webhookを受け取った時点でシナリオを実行し、定期的に問い合わせる方式のトリガーと異なること。フィルタやルーターと組み合わせられることMake Help Center: Webhooks2026-09-15
Make のインスタントトリガーが、データが届いた時点で実行されること。Webhookを使うにはインスタントトリガーを作成してWebhookに紐づける必要があることMake Developer Hub: Instant trigger (webhook)2026-09-15
Claude API に、出力をJSONスキーマに沿わせる構造化出力の機能があること(2026-09-15時点ではベータ機能)Claude Platform Docs: Structured outputs2026-09-15

企業データベースの提供内容・料金体系・データの二次利用の可否は、サービスによって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 フォームで取得した個人情報をAIによる分類に用いることが、自社のプライバシーポリシーに記載した利用目的の範囲に収まるかは、法務部門に確認してください。CRMへの書き込み方式は製品によって異なります。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。受注率への効果は、根拠がないため数値化していません。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0093)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次