SEO診断は何を見ればよい?|任せる範囲と見る順番

「サイト診断の道具にかけたら指摘が数百件出てきました。上から順に直すわけにもいかず、そのまま止まっています」「外部にSEO診断を依頼して分厚いレポートが届いたのですが、何が重くて何が軽いのかが読み取れません」。——診断を一度でも回したことのある担当者なら、どちらかは通った道ではないでしょうか。診断の道具は年々賢くなり、拾ってくれる項目も増えました。それでも手が動かないのは、担当者の決断が遅いからではありません。本当は、診断を始める前に、どの面を見るのかと、どこから先は人が決めるのかを分けていないことが原因です。この記事では、SEO診断で見る面の分け方、先に見ないと後の判定がずれる項目、生成AIに任せてよい作業と任せてはいけない判断、そして外部から届いたレポートの読み方までを整理します。
カメ先生SEO診断というと、道具にかけて出てきた指摘を上から直していく作業だと思われがちですが、順序が逆です。先に見る面を決めておかないと、出てきたものは優先順位のない一覧にしかなりません。
カメ子重要度は道具の側が付けてくれるのではないのですか。
カメ先生道具が付けているのは、一般的なサイトでの重さです。同じ指摘でも、そのサイトが先月たくさんのページを消したのか、何もしていないのに増えたのかで、意味が正反対になります。その文脈は道具の側にありません。
カメ子指摘の件数と、直す価値の大きさは、まったく別のものだということですか。
- 診断は指摘を集める作業ではなく、見る面を先に分ける作業。届いているか・読めているか・応えているか・速いか・壊れていないか、の5面に分けてから道具にかける
- 件数の多い指摘ほど直す価値が低いことがある。大量に削除した直後に404が増えるのは正常な帰結で、調べる価値があるのは説明のつかない増え方のほう
- 正規URLの指定・索引の登録状況・計測の欠損は先に見る。この3つがずれていると、あとに続く判定が全部ずれる。AIに任せてよいのは収集と整理まで、直す順番と統合や削除の可否は人が持つ
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「指摘が数百件出た」のあとで、手が止まる
診断を回すこと自体は、もう難しい作業ではありません。サイト全体を巡回する道具にかければ、数分から数時間で、応答の状態、題名や説明文の重複、見出しの階層、リンク切れ、画像の代替テキストの欠落までが一覧で出てきます。無料の範囲でもかなりのところまで見えます。止まるのはそのあとです。
止まり方には型があります。よく見かけるのは3つで、件数の多い順に並べて上から着手してしまう、全部直し終えてから効果を測ろうとして着手そのものが先送りになる、そして直す手を持っているのが別部門で、指摘を渡した時点で止まる、という形です。どれも診断の精度ではなく、診断のあとの扱い方でつまずいています。
さらに厄介なのは、道具を替えると指摘の数が変わることです。数え方が違うだけなのに、社内では「前より悪くなった」と受け取られます。ここで道具の比較検討が始まると、サイトは1ミリも変わらないまま数週間が過ぎます。必要なのは、より賢い道具ではありません。
必要なのは、道具にかける前に、自分たちが何を見ようとしているのかを面で決めておくことです。面が決まっていれば、出てきた数百件は面ごとの箱に落ちます。箱に落ちた時点で、同じ原因から出ている指摘は束になり、件数は一気に減ります。順番の議論ができるのは、束になってからです。
件数の多い指摘ほど、直す価値が低いことがある
診断の結果を読むときに、最初に外しておきたい思い込みがあります。件数の多さと、直したときの効き目は比例しないということです。むしろ件数がとても多い指摘は、そのサイトでは正常な状態を映しているだけのことがあります。
いちばん分かりやすいのが、見つからないページを示す404の件数です。先月、古いお知らせを数百ページまとめて消したとします。翌週に診断をかければ、404は数百件並びます。これは事故ではなく、削除という判断の当然の結果です。2025年11月に報じられた検索エンジン側の技術解説でも、まさにこの例が挙げられています。たくさんのコンテンツを削除したのなら404が多く出るのは当然で、問題ではなく正常な帰結だ、という説明です。
同じ解説では、逆の見方も示されています。調べる価値があるのは、説明のつかない404の増加のほうだ、というものです。何も消していない、移転もしていない、それなのに先月から見つからないページが増えている。件数は少なくても、こちらは原因が分かっていません。原因が分かっていないものだけが、調べる対象になります。
そして、その解説はこうも述べています。ツールを盲目的に追わないでほしい、その指摘が対象のサイトにとって意味があるかを確かめ、効果が最大になるよう優先順位をつける時間を取ってほしい、と。裏を返すと、意味があるかどうかの判定は道具の側では終わらず、必ず発注側や担当者の手元に残るということです。診断を外に出しても、この部分だけは戻ってきます。
逆の例も覚えておくと役に立ちます。件数が1件でも重いものがあります。サイト全体に効く1行の指定が間違っていて、すべてのページが同じ版を正しい住所として指している、といった状態です。道具の出力では1行ですが、影響はサイトの全ページに及びます。件数は重さの目安になりません。
診断が一覧で終わるのは、面を分けずに集めているから
なぜ診断の結果は、優先順位のない一覧という形で届くのでしょうか。原因は道具の作り方にあります。サイトを巡回する道具は、ページを1つずつ取得して、そのページの属性を列として記録していきます。応答の番号、題名、説明文、見出しの数、内部リンクの数、画像の数。出てくるのは行と列でできた表です。
この作り方には、面という考え方が入りません。だから1つの設定ミスから派生した100個の症状が、100行の指摘として並びます。たとえば、商品の絞り込み画面がすべて別々の住所として扱われている状態では、重複した題名、重複した説明文、薄い内容、索引に入らないページ、といった指摘が別々の項目として同時に立ちます。原因は1つです。
面を先に決めていれば、この100行は「届いているか」の面に落ちて1つの束になります。束の単位で見れば、直す先も1か所です。ところが面を決めずにレポートをそのまま社内に配ると、行単位で作業依頼に変換され、100件の作業が生まれます。作業の数を増やしているのは診断の道具ではなく、束ねずに配った側です。
日本語で配られているチェック項目の一覧も、多くは項目の並びで書かれています。2026年7月に公開された解説記事では、クローラー対策、インデックス対策、ページ体験、という3つの区分に項目が並べられていました。区分があるだけでも読みやすくなりますが、区分は目次であって、自社の症状を束ねる箱にはなりません。箱は自分で作る必要があります。
- 一覧をそのまま作業依頼に変えない。まず原因ごとに束ねてから配る
- 束ねる作業は、道具ではなく人が持つ。道具は同じ原因かどうかを知らない
- 束ねた結果、指摘が10分の1になることは珍しくない。減った分が優先順位の余地になる
見る面を5つに分ける
では、どう分けるか。検索の公式な解説では、技術面の話題が5つの区分に整理されています。巡回と索引の制御、サイトの理解を助けること、ガイドラインに従うこと、利用者の体験を整えること、検索結果での見え方を制御すること、の5つです(公式ページの最終更新は2025年12月)。これは作り手向けの区分なので、事業側の担当者が使うには言い換えたほうが通ります。
実務で使いやすいのは、問いの形にした5つの面です。届いているか、読めているか、応えているか、速いか、壊れていないか。どれも自社のサイトについて、その場で口に出せる問いになっています。口に出せる問いになっていることが大事で、そうでないと社内の会話に乗りません。
| 見る面 | この面が答える問い | 壊れているときに最初に出ること |
|---|---|---|
| 届いているか | 検索エンジンがページを取得でき、索引に入っているか | 順位の話にすら上がらない。表示回数がほぼゼロ |
| 読めているか | ページの構造と表現から、内容が読み取れる形になっているか | 狙っていない語で拾われる。題名と中身がずれる |
| 応えているか | 来た人の知りたいことに、そのページが答えているか | 表示は出るのにクリックされない。すぐ戻られる |
| 速いか | 開いてから操作できるまでが、待てる長さに収まっているか | スマートフォンだけ数字が落ちる。離脱が偏る |
| 壊れていないか | 応答と転送が正しく、行き止まりや回り道がないか | 特定の経路からだけ数字が消える。問い合わせが減る |
この5つは順番ではなく、面です。順番は後ろのセクションで別に決めます。面と順番を混ぜると、「速いかを見るのは5番目だから後回しでよい」という誤読が起きます。面は同時に存在していて、そのうちどこから確かめるかが順番という関係です。
面に落とせない指摘が出てきたときは、いったん脇に置きます。5面のどこにも入らないものは、たいてい道具の一般的なチェックリストの未達項目で、そのサイトの症状ではありません。脇に置いた数を数えておくと、その道具が自社の規模や作りに合っているかの目安にもなります。
面ごとに、機械が数えられるものと人にしか決められないもの
面を分けたら、次に面ごとに線を引きます。同じ面の中にも、機械が数えられることと、人にしか決められないことが必ず両方あります。この線を引かずに進めると、道具の出力を判断そのものだと扱ってしまい、あとで戻せない失敗につながります。
届いているか、の面で言えば、機械が数えられるのは、索引に登録されているページの数、取得できたページと取得できなかったページ、応答の番号の内訳です。一方でそもそも索引に入れたいページなのかどうかは、機械には決められません。会員向けの画面や検索結果の画面のように、入っていないことが正しいページがあるからです。
読めているか、の面では、見出しの階層が飛んでいないか、題名が重複していないか、代替テキストが空でないかは機械が数えます。しかしその見出しが中身を表しているか、その代替テキストが画像の内容を説明しているかは、読まないと判定できません。埋まっていることと、意味が通っていることは別です。
応えているか、の面は、線がいちばんはっきりします。機械にできるのは、同じ語を狙っていそうなページの候補を並べるところまでです。そのページが検索意図に合っているかの最終判定は、人が持ちます。判定を誤ると統合や削除に進んでしまい、戻すのに何か月もかかります。
速いか、壊れていないか、の2面も同じです。計測値を出すのも、リンク切れや転送の連鎖を数えるのも機械の仕事です。どのページの速さを先に上げるか、消したページの行き先をどこにするかは、事業側の判断です。まとめると、機械が答えられるのは「そうなっているか」まで。「そうであるべきか」には答えられない、という一言に収まります。
先に見ないと、あとの判定が全部ずれる3項目
面を分けても、見る順番を間違えると結果が読めなくなります。とくに、先に確かめておかないと、あとに続く判定がまとめてずれる項目が3つあります。正規URLの指定、索引の登録状況、計測の欠損です。
正規URLの指定がずれていると、重複に関する指摘がすべて疑わしくなります。重複していると出ているのは本当に重複なのか、それとも同じページを複数の住所から見ているだけなのかが区別できません。この区別が付かないまま統合や削除に進むのが、いちばん高く付く失敗です。
索引の登録状況を先に見ないと、順位や表示回数の議論が空回りします。索引に入っていないページは、順位が低いのではなく土俵の外にいます。入っていないページの順位を上げる話をしても、打ち手は1つも出てきません。まず入っているかどうかを分けてから、入っているものだけを順位の話に回します。
計測の欠損は、いちばん見落とされます。同意を取る前に計測が止まる設定になっている、別のドメインに移動した時点で経路が切れている、計測の記述が二重に入っていて件数が水増しされている。どれも効果がなかったという判定を、根こそぎひっくり返す種類の欠損です。診断で改善の効果を語る前に、数字が取れている範囲を先に確かめます。
この3つに共通しているのは、どれも「直す」対象ではなく「前提を確かめる」対象だということです。直すかどうかを決める前の、地面の確認にあたります。地面を確かめずに積み上げた診断結果は、あとで全部積み直しになります。
正規URLの指定は、命令ではなく合図
3項目の筆頭に置いた正規URLについて、もう少し踏み込みます。多くの診断では、指定があるかどうかだけが確認されます。しかしそれでは足りません。公式の解説(最終更新は2026年7月)では、指定しなかった場合には検索エンジン側が「利用者に見せるのに客観的に最も良い版」を選ぶ、と書かれています。つまり選ぶ主体は向こう側にあります。
さらに、正規の版を伝える手段には強さの差があると説明されています。転送は強い合図、指定のリンク注記も強い合図、サイトマップへの掲載は弱い合図、という並びです。加えて、暗号化された接続のほうが優先されること、言語の対応関係のまとまりに出てくる住所も材料になることが挙げられています。指定は命令ではなく、正規化に影響する信号のひとつとして扱われるという位置づけです。
ここから、診断で見るべきことが変わります。見るのは指定の有無ではなく、自社が指定した版と、検索エンジンが実際に選んだ版が一致しているかです。一致していなければ、こちらの意図は通っていません。個別の住所を調べる公式の道具では、こちらの指定と向こうの選択が別々に表示されるので、そこを突き合わせます。
一致していないときに次に見る場所は、だいたい3つに絞れます。転送が別の版を指している、サイトマップに別の版が載っている、内部リンクの大半が別の版を向いている。どれも弱い合図と強い合図が食い違っている状態で、向こう側は強いほうを採ります。診断としては、ここまで特定できれば十分です。
なお、直し方の手順そのものはこの記事の範囲外にします。診断で大切なのは、食い違いが起きている住所の一覧と、その本数を出すところまでです。本数が分かれば、それが1か所の設定で直る話なのか、ページごとに個別に見る話なのかが判断できます。
診断の前に手元にそろえる項目一覧
診断を外に出すにせよ、自社で回すにせよ、着手前にそろえておく情報があります。そろっていないと、出てきた指摘の半分が「それは仕様です」で終わり、確認のやり取りだけで2週間が消えます。次の9項目を、道具にかける前に紙にしておきます。
- 自社サイトの正しい住所の一覧。サブドメイン、言語版、旧ドメインの残りまで含める
- 索引に入れたくないページの範囲。会員向け、検索結果、入力の途中の画面など
- 問い合わせにつながっている入口ページの一覧と、そのページの目的
- 直近12か月の大きな変更の履歴。移転、大量の削除、設計の変更、計測の入れ替え
- 計測の設定と、集計から除外している通信の一覧。社内からの閲覧を除いているかなど
- クローラーが取得できない領域。認証の内側、入力後にしか出ない画面
- 診断の道具や外部の会社に渡す権限の範囲。誰が承認するか
- 直す手を持っている部門と、その部門の着手までの標準的な待ち時間
- 前回の診断の指摘と、直したもの・直さないと決めたもの・その理由
この中で効き目が大きいのは、4つめの変更の履歴です。前のセクションで見たとおり、同じ指摘でも履歴があるかないかで意味が正反対になります。履歴が無い状態で診断すると、正常な帰結まで異常として上がってきて、そこを潰す作業に時間が流れます。
9つめの直さないと決めた理由も、そろえておくと後の負担が軽くなります。理由が残っていないと、半年後の診断で同じ指摘が新しいもののように上がってきて、同じ議論をもう一度やります。診断の回数が増えるほど、この積み残しが効いてきます。
見る順番を5工程に並べる
前提がそろったら、順番に通します。面は5つありますが、通す順番は面の並びとは一致しません。前提になっているものから先に確かめる、という並びにします。各工程には、次に進んでよい状態を書いておきます。
住所の一覧、変更の履歴、計測の設定を確認します。出口は、診断の対象にする住所の範囲が1枚の紙で説明できる状態です。ここが曖昧なまま巡回をかけると、対象外の領域の指摘が大量に混ざります。
索引に登録されているページ数と、登録されていないページの理由の内訳を確認します。出口は、登録されていないページが意図どおりのものと意図しないものに分かれている状態です。意図どおりのものは、ここで対象から外します。
こちらの指定と、検索エンジン側の選択を主要な入口ページについて照合します。出口は、食い違っている住所の本数が出ている状態です。ここまでで、次の工程の重複に関する指摘が読める状態になります。
応答の内訳、転送の連鎖、行き止まりを確認します。出口は、説明のつく壊れ方と、説明のつかない壊れ方が分かれている状態です。変更の履歴と突き合わせれば、この仕分けは短時間で終わります。
ここで初めて、ページの中身に関わる3面に入ります。出口は、面ごとに束になった指摘と、その束が問い合わせにつながる入口ページに掛かっているかどうかの印です。印の付いた束だけが、次の議論に進みます。
この順番にする理由は1つで、後ろの工程の判定が、前の工程の結果を前提にしているからです。届いていないページの中身を読み込んでも打ち手は出ません。正規の版が食い違ったまま重複を数えても、数字は意味を持ちません。順番を守れば、手戻りはほとんど起きません。
生成AIに読ませてよいもの、読ませても答えが出ないもの
ここからが分担の話です。生成AIは診断の道具を置き換えるものではありませんが、診断の前後にある地味な作業をかなり引き取ってくれます。効くのは、大量の行を整理する場面と、言い換える場面です。
- 巡回結果の一覧の要約。数千行の表から、面ごとの件数と代表的な行を抜き出させる
- 見出しの構造の確認。階層の飛びや、同じ階層に並んでいない箇所を洗い出させる
- 重複の候補の列挙。同じ語を狙っていそうなページの組み合わせを並べさせる
- 変更の履歴と指摘の突き合わせ。削除や移転の時期に近い指摘に印を付けさせる
- 指摘の言い換え。技術的な表現を、直す部門に伝わる言葉に書き直させる
逆に、読ませても答えが出ない種類の問いもあります。実測値を渡さずに「このページは速いか」と聞くこと、検索結果の現在の並びを前提にした問い、そしてそのサイトの事情を渡さずに重要度を聞くことです。材料を渡していない問いには、一般論しか返ってきません。返ってきた一般論は、もっともらしい分だけ厄介です。
とくに注意したいのは、AIがそのサイトでは正常な状態まで指摘として返してくることです。削除直後の404が正常な帰結であるのと同じ構図で、AIは一般的な望ましい状態を基準に答えます。だから入力には、面の定義と、直近の変更の履歴と、索引に入れたくないページの範囲を必ず添えます。添えるかどうかで出力の質が変わります。
使い方として現実的なのは、巡回の道具の出力をそのまま渡し、面ごとに仕分けさせて件数を出させるという形です。仕分けの基準はこちらが渡します。仕分けの結果が正しいかは抜き取りで確かめます。全件を確かめる必要はありませんが、面ごとに数行ずつは必ず開きます。
AIに判断させない範囲を、作業名で引く
線の引き方でいちばん失敗するのは、「重要な判断は人がやる」という書き方です。これは線になりません。重要かどうかを判断するところから曖昧なので、忙しくなった週に静かに溶けます。線は作業の名前で引きます。名前で引けば、その作業をしているときに気づけます。
| 工程 | AIに任せてよい作業 | 人が決めること |
|---|---|---|
| 収集 | 巡回結果の整形、重複行の除去、面ごとの仕分け | 巡回の対象範囲と、除外する領域 |
| 整理 | 数千行の要約、原因ごとに束ねる候補の提案 | 束ね方を採るかどうかの採否 |
| 判定 | 差が大きい箇所の抽出、候補の列挙 | 直す順番、統合や削除の可否、検索意図が合っているかの最終判定 |
| 報告 | 説明文の下書き、用語の言い換え | 誰に何をいつまでに約束するか |
この表で覚えておきたいのは、判定の行です。直す順番、統合や削除の可否、検索意図が合っているかの最終判定。この3つは、外れたときに戻すのが難しい種類の作業です。統合したページを分け直すのも、消したページを復活させるのも、消す作業の何倍も手間がかかります。
戻せない作業には、もう1つ条件を足します。AIの出力だけを根拠にして実行しない、というものです。根拠つきで出させたとしても、実行の前に人が現物のページを開きます。開く手間は1件あたり数分で、統合や削除の対象は多くても数十件です。ここを省くために自動化を入れる利益は、ほとんどありません。
逆に、収集と整理は遠慮なく任せてよい領域です。ここを人がやっている限り、診断は年に1回の大仕事のままで、頻度を上げられません。頻度を上げるために任せ、戻せない場所で止まる。この形が、いまのところ現実的な分担です。
根拠を書かせる。指摘に必ず添えさせる3点
AIに指摘を出させるときは、指摘だけを受け取らないようにします。必ず根拠を添えさせます。添えさせる項目は3つで、どれも短く書けるものです。
- どの住所を見たか。ページの住所をそのまま書かせる
- そのページのどの記述を見てそう言ったか。見出しの文言、指定の記述、応答の番号など、実際に読んだ箇所を引かせる
- この判断が外れる条件。どういう事情があればこの指摘が不要になるかを1行で書かせる
3つめが効きます。外れる条件を書かせると、一般論で書かれた指摘は自分から崩れます。たとえば「内部リンクが不足しています」という指摘に、外れる条件として「そのページが検索からの入口ではなく、案内の中継として置かれている場合」と書かれていれば、確かめるべき1点がその場で決まります。
根拠を添えさせない運用は、確かめる手間を指摘の件数だけ増やします。100件の指摘に対して、それぞれ自分でページを開いて確かめることになり、現実には誰も確かめません。確かめない指摘は、直すか直さないかの判断ができないので、そのまま積み上がります。根拠を添えさせるのは丁寧さの話ではなく、確かめる作業を現実的な量に収めるための設計です。
- 根拠なしの指摘。「見出しの構成が最適化されていません」だけで、どのページのどの見出しかが無い
- 住所のない指摘。「一部のページで」「多くのページで」と書かれ、実際の件数と対象が特定できない
- 確かめようのない指摘。「検索意図とずれています」とだけ書かれ、どの検索語と比べたのかが無い
- 出典が自分の出力になっている指摘。前に自分が出した要約を根拠として引いている
最後の型は見落としやすいので補足します。長いやり取りの途中でAIに要約させ、その要約をもとに次の指摘を出させると、元のデータから離れていきます。根拠は必ず、巡回結果か実際のページのどちらかに戻る形にします。戻れない指摘は、いったん保留にして構いません。
外部の診断レポートを読む。満点の指摘と、売上に効く指摘
外部に診断を依頼した場合、届くレポートには性格の違う2種類の指摘が混ざっています。分けて読めるようになると、レポートの厚みに圧倒されなくなります。
1つめは、満点を目指す指摘です。一般的なチェックリストに対して未達になっている項目で、件数が多く、書きやすく、直しても入口の数はあまり動きません。説明文の長さ、画像の代替テキスト、見出しの階層。どれも整っているに越したことはありませんが、事業の数字とのつながりは細いです。
2つめは、売上に効く指摘です。問い合わせにつながっている入口ページについて、届く・読める・応える のどれかが実際に壊れているもの。件数は少なく、1つか2つのこともあります。レポートの分量では埋もれますが、動くのはこちらです。
見分けるときは、3つの質問を当てます。その指摘は、いま人が来ている入口ページに掛かっているか。直したあとに何の数字が動くと書かれているか。そのサイトの直近の変更を踏まえた書き方になっているか。3つめに答えられていないレポートは、どのサイトに出しても同じ内容です。
点数が付いている場合の扱いも決めておきます。公式の資料には、外部のSEOが第三者のツールを使う場合、検索エンジン側は第三者のSEOツールを評価も推奨もしていない、という注意が明記されています(最終更新は2026年6月)。つまり点数は道具ごとの計算式であって、検索側が使っている数字ではありません。点数の解釈は、受け取った側の仕事として残ります。
同じ公式の資料には、外部に依頼するときの警告サインも並んでいます。1位を保証すると言う、検索エンジンと特別な関係があると説明する、手法を秘密にする、優先的に登録できると宣伝する、といったものです。診断の提案書にこの言い回しがあれば、中身を読む前に確認が要ります。
見積りの範囲と、渡す権限
診断を外に出すときのすれ違いは、ほとんどが範囲の認識違いです。発注側は直るところまでを期待し、受注側は見つけるところまでを見積もっている、という食い違いが典型です。防ぐには、見積りを4段に分けて書いてもらいます。
1段目・見つける……巡回と確認を行い、指摘を一覧にする段。確かめることは、対象にする住所の範囲、巡回する上限のページ数、根拠の書き方の3つ。
2段目・決める……指摘を束ね、直す順番と方針を決める段。確かめることは、束ね方の基準、順番を決める物差し、誰が決裁するか。
3段目・直す……実際にサイトやページに手を入れる段。確かめることは、自社の実装部門との分担と、作業の受け渡しの形。
4段目・確かめる……直ったかどうかを再確認する段。確かめることは、再診断の時期、追加費用の有無、比較に使う数字。
4段のうち、契約に含まれるのがどこまでかを明記してもらいます。とくに4段目の再確認が入っていない見積りは多いので、初回の診断の時点で、いつ再診断するのか、その費用は含まれるのかを聞いておきます。ここを決めていないと、直したあとに確かめる人がいなくなります。
権限の渡し方も先に決めます。公式の資料では、計測の画面の権限は最初は閲覧のみを渡すことが勧められています。編集や所有者の権限は、必要になった時点で、期間を区切って渡します。診断の段階では、閲覧だけで足りることがほとんどです。
契約の前に聞いておくことも、公式の資料に並んでいます。実務で効くものを選ぶなら、これまでの実績を見せられるか、サイトに加える変更をすべて説明してくれるか、こちらの事業と競合と顧客を理解しようとしているか、の3つです。3つめに関心が薄い相手からは、どのサイトにも出せるレポートが届きます。
- 見積りは4段に分けて出してもらう。含まれる段を契約書に書く
- 再診断の時期と費用を、初回の契約時に決めておく
- 計測画面の権限は最初は閲覧のみ。編集や所有者の権限は期間を区切る
- 契約終了時に、権限の取り消しと、根拠データの引き渡しを行う段取りを決めておく
診断の周期と、毎回更新する台帳
診断は1回で終わる仕事ではありませんが、頻度を上げれば良くなるものでもありません。周期は、サイトが変わる速さに合わせて決めます。更新がほとんど無いサイトを毎月診断しても、同じ指摘が同じ件数で出るだけです。
実務で回しやすいのは、3段構えです。5面すべてを見る全面の診断は年に1回か2回。届いているか・壊れていないかの2面だけを見る軽い確認は月に1回。そして、移転や大量公開や設計の変更といった大きな変更の前後は、周期に関係なく都度。この3段なら、担当者1人でも回ります。
周期より大事なのが台帳です。診断のたびに更新する記録で、次の9つの欄を持たせます。ここが無いと、診断は毎回ゼロから始まります。
- 指摘の内容と、どの面に属するか
- 根拠(見た住所と、実際に読んだ記述)
- 自社にとって正常か異常かの判定
- 判定した人と、判定した日付
- 直すか、直さないか
- 直さないと決めた場合の理由
- 直した場合の実施日と、誰が実施したか
- 次に見るときに確かめること
- 関連する変更の履歴(削除・移転・設計の変更など)
この9欄のうち、抜けやすくて効き目が大きいのが直さないと決めた理由です。理由が残っていれば、次の診断で同じ指摘が出てきたときに、開いた瞬間に片付きます。残っていなければ、また調べ直して、また同じ結論に到達します。1回あたり数十分の差が、指摘の件数だけ積み上がります。
台帳の置き場所は、表計算のファイルかCSVで十分です。診断の道具の中に持たせない理由は単純で、道具を替えた瞬間に、それまでの判定の履歴が消えるからです。道具は数年で替わります。判定の履歴は事業の資産なので、道具の外に置きます。
やってしまいがちな進め方
最後に、診断でよくあるつまずき方を5つ並べます。どれも道具の性能ではなく、進め方の問題です。
- 点数の改善を目的にする。点数は道具ごとの計算式で、検索側が使っている数字ではない。上がっても入口の数は動かないことがある
- 全部の指摘を一度に直す。効いたのがどれか分からなくなり、次の診断でまた同じ議論をやり直すことになる
- 件数の多い順に着手する。直前の大量削除が原因なら、見るべきは一覧ではなく変更の履歴のほう
- 道具を替えて件数を比べる。数え方が違うだけで、増減は改善でも悪化でもない
- 直さないと決めたことを記録しない。半年後の診断で、同じ指摘が新しいもののように復活する
直し方も1行ずつ書いておきます。点数ではなく、問い合わせにつながる入口ページの数を目標に置く。直す順番を決めて、束ごとに直して、束ごとに数字を見る。件数の多い指摘は、まず変更の履歴と突き合わせる。道具は替えてよいが、比べるのは件数ではなく面ごとの束の数にする。そして台帳に理由を残す。
もう1つ、社内の進め方で気をつけたいことがあります。診断の結果をそのまま経営層に見せないことです。数百件の指摘の一覧は、伝わるのが「できていない」という印象だけになります。見せるのは、面ごとの束の数と、問い合わせにつながる入口ページに掛かっている束、そしてその束を直すと何が動くと見ているか、の3点で足ります。
まとめ
SEO診断は、指摘を集める作業ではありません。見る面を先に5つに分け、面ごとに機械が数えられるものと人にしか決められないものの線を引いてから、道具にかける作業です。面は、届いているか、読めているか、応えているか、速いか、壊れていないか。順番は面の並びとは別に決め、前提をそろえる、届いているかを見る、正規URLの指定と選択を突き合わせる、壊れていないかを見る、中身の3面を見る、の5工程で通します。件数の多さは重さの目安になりません。たくさん削除した直後に見つからないページが増えるのは正常な帰結で、調べる価値があるのは説明のつかない増え方のほうです。正規URLの指定は命令ではなく合図なので、指定の有無ではなく、指定と検索エンジンの選択が一致しているかまで見ます。
分担の線は、作業の名前で引きます。巡回結果の整形、面ごとの仕分け、要約、束ねる候補の提案、説明文の下書きまでは任せられます。直す順番、統合や削除の可否、検索意図が合っているかの最終判定は人が持ちます。指摘には必ず、見た住所、実際に読んだ記述、この判断が外れる条件の3点を添えさせます。外部から届くレポートは、満点を目指す指摘と売上に効く指摘に分けて読み、点数は道具ごとの計算式として扱います。見積りは、見つける・決める・直す・確かめる の4段に分けて範囲を確かめ、権限は最初は閲覧のみを渡します。そして台帳に、判定と、直さないと決めた理由を残す。次の診断が軽くなるかどうかは、ここで決まります。まずは自社の入口ページを10本選び、5つの面で1周させてみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI×SEOに取り組む前に、社内のAI導入環境から整えませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
