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海外取引先との英文メールを要点整理して返信案まで作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

海外の仕入先や物流業者から届いた英文メールを入力に、スレッド全体の要点、相手が求めていること、こちらが返すべき事項の一覧を日本語で受け取ります。続けて、社内の用語集と定型表現に沿った英文の返信案を作らせます。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Google Apps Script/Make/Microsoft Copilot/n8n/Power Automate
対象業界
商社/宿泊/物流/製造
対象部門
物流/購買
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
必須
現在工数
70h/月
AI導入後
24.5h/月
想定削減
65%
年間削減
546h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 仕入先やフォワーダーから英文メールが届く(返信の連鎖で10通を超えるスレッドもある)
  2. 担当者がスレッドを上から読み、経緯を追う
  3. 分からない語を辞書で引く。業界特有の略語は過去のメールを検索して用例を探す
  4. 何を聞かれているのか、いつまでに何を返すのかを整理する
  5. 社内の関係者(発注担当、品質、経理)に確認が必要なら転送して待つ
  6. 返信を英語で組み立てる。過去の似たメールを探して文面を流用する
  7. 英語に自信がない場合、英語のできる担当者に見てもらってから送る
導入後(After)
  1. 英文メールが届く
  2. 【自動または手動】 スレッド全体の要点を日本語で出す(経緯・最新の依頼・期限)
  3. 【自動または手動】 こちらが返すべき事項を箇条書きで並べる
  4. 担当者が要点を読み、数量・納期・価格・型番を原文で確認する
  5. 社内確認が必要な事項があれば関係者へ確認する
  6. 【自動または手動】 用語集と定型表現に沿った英文の返信案を作らせる
  7. 担当者が返信案を読み、事実関係と数値を直して送信する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 仕入先やフォワーダーから英文メールが届く(返信の連鎖で10通を超えるスレッドもある)
  2. 担当者がスレッドを上から読み、経緯を追う
  3. 分からない語を辞書で引く。業界特有の略語は過去のメールを検索して用例を探す
  4. 何を聞かれているのか、いつまでに何を返すのかを整理する
  5. 社内の関係者(発注担当、品質、経理)に確認が必要なら転送して待つ
  6. 返信を英語で組み立てる。過去の似たメールを探して文面を流用する
  7. 英語に自信がない場合、英語のできる担当者に見てもらってから送る

問題は4つあります。

(a)英語のできる人に集まる。 4名のうち安心して任せられるのが1名という状態になりがちです。その1名が休むと、海外とのやり取りが止まります。

(b)スレッドが長いと経緯を追うのに時間がかかる。 引用の入れ子が深くなり、どれが最新の依頼か分からなくなります。すでに回答した事項を再度聞き返して、相手を待たせることが起きます。

(c)時差で1往復に1日かかる。 相手の営業時間が日本の夜のため、返信が半日遅れると1往復が2日になります。読み解きに時間をかけて返信が翌日になると、それだけで納期回答が1日遅れます。

(d)表現が担当者ごとに違う。 催促のメールが、人によって丁寧すぎたり直截すぎたりします。取引先から見た会社の顔が、担当者によって変わります。

  1. 英文メールが届く
  2. 【自動または手動】 スレッド全体の要点を日本語で出す(経緯・最新の依頼・期限)
  3. 【自動または手動】 こちらが返すべき事項を箇条書きで並べる
  4. 【人】 担当者が要点を読み、数量・納期・価格・型番を原文で確認する
  5. 【人】 社内確認が必要な事項があれば関係者へ確認する
  6. 【自動または手動】 用語集と定型表現に沿った英文の返信案を作らせる
  7. 【人】 担当者が返信案を読み、事実関係と数値を直して送信する

自動化されるのは「読み解く」「経緯を追う」「英文を組む」の3つです。残るのは「内容が正しいか」と「この条件で返してよいか」の判断です。

最小構成では2・3・6が手動(Outlook上のボタン操作、または生成AIの画面に貼る)になります。半自動化すると、メールが届いた時点で要点と返信案が下書きとして用意されている状態になります。

02今回想定するシステム構成

構成図
海外の仕入先 / フォワーダー
   │
   ▼ 英文メール
Outlook(Microsoft 365)
   │
   ├──▶ Summary by Copilot ── スレッドの要点を出す
   │
   ├──▶ 用語集(型番・社内用語・定型表現)を参照
   │
   └──▶ Draft with Copilot ── 英文の返信案を作る
   │
   ▼【人が確認】数量・納期・価格・型番を原文と照合して送信
   │
   ▼(半自動化する場合)
Power Automate ── 指定の送信元からのメールを検知して
                  要点と返信案を下書きとして用意しておく
役割想定する製品代替候補
生成AIMicrosoft Copilot(Outlook)Claude、ChatGPT、Gemini
連携Power AutomateMake、n8n、Google Apps Script
用語集の保管SharePointのリスト共有フォルダの文書

すでに Microsoft 365 を使っているなら、Outlook の Copilot から試すのが一番早いです。 別のツールを立てる必要がありません。Copilot のライセンスがない場合は、生成AIの画面にメール本文を貼る形で同じことができます。この場合、社外へ出す情報の扱いだけ先に確認してください。

Copilot in Outlook では、スレッドを選んで「Summary by Copilot」を押すと要点がまとめられ、番号付きの出典から該当メールへ飛べます。返信は、本文で / を入力して「Draft with Copilot」を選び、指示を書くと下書きが作られます。日本語は Microsoft 365 Copilot の対応言語に含まれています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

最小構成では、担当者がメールを開いたときが起点です。 自動化はしません。Outlook でスレッドを選び、要点を出させ、返信案を作らせます。仕組みを作る必要がないので、その日から始められます。

半自動化する場合は、Power Automate の Office 365 Outlook コネクタの「新しいメールが届いたとき(V3)」トリガーを使い、指定した送信元ドメインからのメールに絞り込みます。処理の結果は「Draft an email message」アクションで下書きとして置きます。下書きに置くだけにしてください。 自動送信は入れません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
英文メールのスレッド引用を含む往復の全文Outlook
用語集型番、品目名、社内用語、取引先ごとの呼び方SharePointのリスト
定型表現集催促、謝意、納期の再確認、書類の不備指摘の言い回しSharePointのリスト
発注情報発注番号、品目、数量、希望納期発注システム
過去の良い返信例3〜5通Outlookの送信済みアイテム
Step3

データの取得方法を決める

メール本文: Copilot in Outlook を使う場合、スレッドはその場で参照されるため、こちらで取り出す必要がありません。生成AIの画面を使う場合は、スレッド全体をコピーして貼ります。引用部分を削らずに貼ってください。 経緯が消えると、すでに回答した事項を聞き返す返信案ができます。

用語集: これがこの構成の中心です。1行1語で、英語表記・日本語表記・注意点を持ちます。

英語表記日本語表記注意点
lead time生産リードタイム出荷までの日数。輸送日数は含まない
ETD / ETA出港予定日/入港予定日予定であり確定ではない。社内には「予定」と明記して伝える
MOQ最小発注数量数量の交渉時は必ず原文の数字を確認する
back order入荷待ち「欠品」と訳すと社内で誤解される

注意点の列が効きます。 訳せるかどうかではなく、社内で誤解される語を先に潰すための列です。取引先ごとに同じ語を違う意味で使う場合は、取引先名の列も足してください。

定型表現集: 催促のメールを、社内の基準でどの程度の強さにするかを決めて文例を持ちます。ここを決めておかないと、AIが作る英文の丁寧さが毎回変わります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 引用の整理 … 長いスレッドでは署名と免責文が何度も繰り返されます。要点を出す前に落とすと、読み取りが安定します
  2. 添付の扱いを決める … 注文請書や船積書類のPDFが付いていることがあります。Outlook の新しいバージョンでは、PDF・Word・PowerPoint の添付があるときに「Summarize a file」を選べます。ただし添付の数値を返信案の根拠にする場合は、必ず原本を開いて確認してください
  3. 機密の判定 … 価格表や未公開の仕様が本文に含まれることがあります。外部サービスへ貼る運用の場合、この判定を担当者が行う手順にしてください
  4. 取引先の特定 … 送信元ドメインから取引先を特定し、その取引先の用語集を選びます
  5. 発注番号の抽出 … 本文にある発注番号で発注情報を引き、数量と納期の現況を手元に用意します
Step5

AIに処理させる

処理内容
スレッドの要点整理経緯、最新の依頼、期限を日本語で並べる
返すべき事項の洗い出し相手が答えを待っている項目を箇条書きにする
未回答の検出過去にこちらが答えていない事項を拾う
英文返信案の作成用語集と定型表現に沿った英文を作る
訳の注意点の提示訳が揺れやすい語、原文で確認すべき数値を指摘させる

させないこと: 数量・納期・価格の決定、条件の約束、こちらの都合の代弁。返信案には「社内確認が必要な箇所」を空欄として残させ、担当者が埋める形にします。空欄のまま送れない形にするのが安全です。

Step6

指示内容を固定する

Outlook の Draft with Copilot に入れる指示、または生成AIの画面に貼る指示です。

海外の仕入先とのメールスレッドです。次の2つを作ってください。

【1】日本語での要点整理
- 経緯を古い順に3〜5行
- 相手が最新のメールで求めていること
- 期限(書かれていなければ「記載なし」)
- こちらが返すべき事項の箇条書き
- 過去にこちらが答えていない事項

【2】英文の返信案
- 下の用語集の英語表記を使ってください。
- 下の定型表現集の言い回しを使ってください。
- 数量・納期・価格・型番は、私が確認するまで [要確認: 内容] の形で
  空欄にしてください。勝手に数字を入れないでください。
- 相手が書いていないことを、こちらの約束として書かないでください。
- 訳が揺れやすい語があれば、返信案の後に「原文で確認してほしい箇所」
  として列挙してください。

【用語集】
{glossary}

【定型表現集】
{phrases}

【スレッド】
{thread}

「[要確認: 内容] の形で空欄にする」が要です。 数字を入れさせると、もっともらしい数字が入ります。空欄なら、埋めないまま送ることができません。

Step7

出力形式を固定する

最小構成では、画面に表示される文章がそのまま出力です。JSONにする必要はありません。ただし、表示の順番は固定してください。

■ 経緯
 (古い順に3〜5行)

■ 相手が求めていること
■ 期限
■ こちらが返すべき事項
■ 未回答の事項

―――――――――――――――
■ 英文返信案
 ([要確認: ...] を含む)

■ 原文で確認してほしい箇所

半自動化して下書きに置く場合は、日本語の要点をメール本文の冒頭にコメント行として置き、その下に英文の返信案を置きます。担当者は要点を読み、数値を埋め、コメント行を削って送信します。コメント行を消さないと送れないようにしておくと、確認の抜けが減ります。

Step8

システムへ連携する

最小構成では連携しません。Outlook の中だけで完結します。

半自動化する場合の連携先は2つです。

連携先内容
OutlookOffice 365 Outlook コネクタの「Draft an email message」で下書きを作る
発注システム発注番号で数量と納期の現況を引く。APIの有無は製品によって異なります

発注システムとの連携は、無くても成立します。数量と納期を担当者が手元で確認する前提なので、自動で引けなくても工数はほとんど変わりません。 ここに実装工数をかける必要はありません。

Step9

人が確認する

全件、担当者が確認して送信します。自動送信は作りません。

理由は、メールの内容が取引条件になるためです。「納期は4週間で承知しました」と返信すれば、それが約束になります。誤訳による約束は、後から取り消すのに取引先との交渉が必要です。

確認を速くするための設計は次のとおりです。

  • 日本語の要点と英文返信案を同じ画面に上下で並べる
  • [要確認: ...] を目立つ形にする(残っていれば送信しない合図になる)
  • 「原文で確認してほしい箇所」を返信案の直後に置く
  • 数量・納期・価格・型番は、原文の該当行を引用として添える

英語が読めない担当者でも、引用された原文の数字と返信案の数字を見比べることはできます。 ここが属人化を解く要点です。訳の良し悪しを判断できなくても、数字の一致は誰でも確かめられます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
スレッドが長すぎて要点がずれる直近3往復に絞って要点を出させる。全文は担当者が見る
数値が返信案に勝手に入る[要確認: ...] の形を指示に明記する。入っていたら消す
相手が英語の母語話者でなく文法が崩れている要点整理の段階で「解釈が複数ありうる箇所」を挙げさせる
契約や法的な通知が含まれるこの構成の対象外。 法務へ回す
価格改定の通知要点整理までは使う。返信は購買責任者の判断を経る
添付の書類に数値がある原本を開いて確認する。要約だけを根拠にしない
用語集にない略語が出た訳さず原文のまま残させ、用語集への追加を担当者が判断する
機密情報が本文にある外部サービスへ貼る運用の場合、担当者が判断して使わない
時差で深夜に届く半自動化して下書きを用意しておく。送信は営業時間内に人が行う
生成AIの契約が無い部署最小構成が成立しない。ライセンスの手配が先
Step11

記録を残す

★1の構成なので、仕組みとしてのログは作りません。その代わり、次の2つを運用で残してください。

  • 用語集に追加した語と、追加した理由 … これが資産になります。半年で100語たまれば、返信案の質が変わります
  • 返信案をどの程度直したか … 担当者に月1回、直した箇所の傾向を聞きます。「定型表現はそのまま使えるが、納期の言い回しは毎回直している」と分かれば、定型表現集に足す対象が決まります

Outlook の送信済みアイテムが、実質のログになります。良い返信は、次のプロンプトの例として使えます。 送信済みから3〜5通を選んで、プロンプトの参考例として添えてください。

04実装レベルの3段階

最小構成:Outlook の Copilot、または生成AIの画面で要点整理と返信案を作る / 読み解きと返信案の作成
半自動化:指定送信元のメールを検知し、要点と返信案を下書きとして用意しておく / 上記+着手前の準備
本格構成:上記+発注情報の自動参照+未回答事項の追跡+用語集の運用 / 確認と送信以外

最小構成の時点で、10分が4分程度になります。 この構成の効果はほぼ最小構成で出ます。半自動化の価値は工数ではなく、時差のある相手への返信が朝いちばんに出せることです。 1往復が2日から1日になる効果は、工数の数字には表れません。 本格構成まで作る必要があるのは、未回答事項の追跡を仕組みにしたい場合だけです。ここは月に数件の取りこぼしを防ぐための実装なので、その数件がいくらの機会損失かを先に見積もってください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
420 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3.5 分
現在  420件 × 10分 ÷ 60 = 70 時間/月
導入後 420件 × 3.5分 ÷ 60 = 24.5 時間/月
月間削減時間
45.5h
削減率
65%
年間削減時間
546h
年間金額換算(時間単価3,000円)
164万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 海外の仕入先や物流業者と英文メールで日常的にやり取りしていて、月300通以上になる企業。英語で読み書きできる担当者が限られていて、その人にメールが集まっている状態。取り扱う品目の型番や社内用語が決まっていて、用語集にできること。既に生成AIまたは Microsoft 365 Copilot を契約していること。
向いていない
  1. 英語に堪能な担当者が複数いて、翻訳に時間を取られていない場合。やり取りが契約交渉や法的な通知が中心で、訳の一語で意味が変わる文書が主体の場合。月30通程度で、辞書を引く時間が業務として認識されていない規模。取引先とのやり取りがEDIやポータルに移行済みで、メール自体が少ない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 直近の英文メールのスレッドを10本選ぶ(短いものと長いものを混ぜる)
  2. 用語集を20語だけ作る(英語表記・日本語表記・注意点の3列)
  3. Outlook でスレッドを選び、Summary by Copilot で要点を出す
  4. 上記のプロンプトを使って、英文の返信案を作らせる
  5. 10本のうち、返信案が「数値を直すだけで送れる」状態だったのが何本かを数える

この検証は1日で終わります。 新しい仕組みを作らないので、試すこと自体の費用がほぼかかりません。

判断の目安は次のとおりです。

数値を直すだけで送れた本数判断
7本以上すぐ運用に入れる。用語集を増やしていく
4〜6本用語集と定型表現集が不足している。20語から60語に増やして測り直す
3本以下やり取りの中身が定型化していない可能性が高い。要点整理だけを使う運用に絞る

要点整理だけでも効果は出ます。 読む3分と辞書を引く2分が減るだけで、1件10分が6分程度になります。返信案が使えなくても、ここで止める必要はありません。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
返信案に架空の数値が入る[要確認: ...] の形を指示に明記し、残っていたら送らない運用にする
用語集を作らずに始めて訳が揺れる20語からでよいので先に作る。注意点の列を必ず書く
丁寧すぎる英文になる定型表現集に社内基準の文例を置く。「催促は2回目からこの強さ」まで決める
長いスレッドで経緯がずれる直近3往復に絞る。全文は担当者が見る
添付の数値を要約だけで信じる原本を開いて確認する手順を明記する
「back order」を「欠品」と訳して社内が混乱する用語集の注意点の列で潰す。訳の正しさより社内での通じ方を優先する
機密情報を外部サービスへ貼ってしまうCopilot を使うか、貼ってよい情報の範囲を先に文書化する
自動送信を作りたくなる作らない。メールの内容が取引条件になる
用語集が更新されず古くなる追加の判断を担当者に委ね、月1回見直す時間を取る
効果が工数に表れず評価されない1往復が何日から何日になったかを別に測る。速さがこの構成の主な効果です

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 取引先名、発注品目と数量、仕入価格、納期、出荷情報。仕入価格と発注数量は、取引先との秘密保持の対象になることがあります。

  1. 外部AIへの入力可否 … メール本文をそのまま外部サービスへ貼る場合、仕入価格が含まれます。Microsoft 365 Copilot のように自社のテナント内で処理される構成と、生成AIの画面に貼る構成では、情報の出方が違います。どちらを使うかを情報管理規程に照らして決めてください
  2. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。仕入条件は再利用されて困る情報です
  3. 取引先との契約 … 秘密保持契約で、情報の取扱いに第三者のサービスを使うことが制限されている場合があります。主要な仕入先との契約を確認してください
  4. 自動実行してよい範囲 … 返信の自動送信は行いません。下書きの自動作成までにとどめます。運用が安定してもここは変えません
  5. 誤送信 … 下書きを自動で作る構成にすると、宛先が入った状態の下書きが増えます。送信前に宛先を確認する手順を残してください
  6. 翻訳の責任 … AIの訳を根拠に約束が成立した場合、責任は自社にあります。数量・納期・価格・型番を原文で確認する手順を、運用ルールとして文書化してください

誤りが起きた場合のリスクは、誤った納期や数量の約束、価格の誤認、そして出荷書類の不備を見落としたことによる通関の遅れです。いずれも取引先との交渉で戻すことになります。送信済みアイテムが記録として残るので、後から追跡はできます。

10まず何から始めるか

1日目:用語集を20語作る

直近1か月の英文メールから、辞書を引いた語と社内で誤解された語を20語拾い、英語表記・日本語表記・注意点の3列で書きます。注意点の列を必ず埋めてください。 ここがこの構成の価値の大半です。

2〜3日目:10本のスレッドで試す

Outlook の Copilot で要点整理を出し、上記のプロンプトで返信案を作らせます。数値を直すだけで送れたのが何本かを数えます。7本以上なら運用に入れます。

1〜2週目:担当者4名で使う

4名全員が同じ用語集とプロンプトを使う状態にします。10分が何分になったかを実測し、あわせて1往復にかかる日数を記録してください。工数より、この日数のほうが業務に効きます。

1か月目以降: 用語集と定型表現集を増やします。そのうえで、朝いちばんに下書きが用意されている状態が欲しいと判断できたら、Power Automate での半自動化に進みます。先に半自動化を作らないでください。 用語集が育っていない状態で自動化すると、直す前提の下書きが毎朝たまるだけになります。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-11/最終更新:2026-09-11
確認した内容情報源確認日
Outlook で会話を選び「Summary by Copilot」を選ぶとスレッドの要点がまとめられ、番号付きの出典から該当メールへ飛べること。新しい Outlook では PDF・Word・PowerPoint の添付がある場合に「Summarize a file」を選べることMicrosoft Support: Summarize an email thread with Copilot in Outlook2026-09-11
本文で / を入力して「Draft with Copilot」を選び、指示を書くとスレッドの文脈をふまえた下書きが作られること。Microsoft 365 Copilot(業務向け)のライセンスが対象であることMicrosoft Support: Draft an email message with Copilot in Outlook2026-09-11
Microsoft 365 Copilot の対応言語に日本語が含まれること。対応言語はUIで選べる言語より少なく、未対応の言語ではエラーが返ることMicrosoft Support: Supported languages for Microsoft 365 Copilot2026-09-11
Office 365 Outlook コネクタに「新しいメールが届いたとき(V3)」トリガーと「Draft an email message」アクションがあること(半自動化する場合に使う)Microsoft Learn: Office 365 Outlook connector2026-09-11

発注システムからの数量・納期の取得方法(APIの有無)は製品によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 メール本文を外部の生成AIサービスへ入力してよいかどうかは、自社の情報管理規程と主要取引先との秘密保持契約によって変わります。法務に確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

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