watsonxで他社のエージェントも見張る|管理役を置く判断

watsonxで他社のエージェントも見張る|管理役を置く判断

「営業部は別の会社の基盤でエージェントを作り、経理部はまた別の基盤で作っている。全部で何体あるのか誰も答えられない」「1か所で見張れる製品があるなら入れたいが、どこまで任せてよいのかが分からない」。エージェントを部署ごとに作り始めた会社から、こうした声が上がっています。部署が自分で作れるようになったのは前進です。ただ、その分だけ見えない所も増えました。管理役の製品は、エージェントを安全にしてくれる道具ではありません。本当は、散らばったエージェントを見える場所に並べ、人が判断する材料をそろえる道具です。この記事では、watsonxで他社の基盤のエージェントも見張るかを決めるときの判断と、置いた後の運用を整理します。


カメ先生カメ先生

エージェントは、作るより作った後のほうが手がかかるんだ。部署ごとに別の会社の基盤で作ると、どれが動いていて、誰が持ち主で、どれだけ費用がかかっているかを1か所で見られなくなるんだよ。


カメ子カメ子

それを1つの製品で見張れれば、全部解決するんですか。


カメ先生カメ先生

見えるようにはなる。でも見つけられる基盤はまだ限られているし、採点や改善をAIに任せる範囲は、人が先に決めないといけない。管理役は判断を代わりにする役ではなく、判断の材料を集める役なんだね。


カメ子カメ子

見張る製品を入れる前に、何を見て、誰が決めるかを分けておくのが先なんですね。


この記事のポイント
  • アイ・ビー・エムは2026年8月31日、watsonxのオーケストレートで、アマゾンのベッドロック上のエージェントを見つけて取り込む機能を一般提供した。マイクロソフトとグーグルの基盤は9月末の予定と告知している
  • 見張る(一覧・方針・足跡)と、一緒に動かす(協力役として呼ぶ)は別の機能。どちらを求めるかで置き方が変わる
  • 採点役のAIや運用エージェントの結果はそのまま合否や本番の変更にしない。人が確かめる範囲を先に決めてから置く

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目次

部署ごとに別の基盤でエージェントが増えると、何が見えなくなるか

エージェントを作る道具は、いまや複数の会社が出しています。クラウドの大手各社も、業務アプリの会社も、それぞれにエージェントを作る場を用意しています。部署ごとに使い慣れた基盤で作ると、それぞれの管理画面は別々になります。情シスが全体を見ようとすると、基盤の数だけ画面を開き、一覧を手で突き合わせることになります。部署が自分の予算で契約した基盤は、情シスがその存在を知らないこともあります。

見えなくなるものは、主に3つです。どのエージェントが動いているか、誰が持ち主か、どれだけ費用がかかっているか。持ち主の分からないエージェントが、止められないまま動き続けるのがいちばん困る形です。担当者が異動した後に残ったエージェントは、誰も中身を説明できません。

同じような働きのエージェントが、別の部署で重複して作られることもあります。問い合わせの一次回答を、営業部と窓口の部署がそれぞれ別の基盤で作っていた、という形です。答え方がずれると、顧客から見て同じ会社なのに言うことが違う、という状態になります。

こうした問題に対して、複数の会社の基盤をまたいでエージェントを1か所に並べる製品が出てきました。基盤の会社が自社の中を見張る機能とは別に、会社をまたいで並べることを売りにしている点が特徴です。watsonxのオーケストレートもその1つで、2026年8月の更新で他社の基盤のエージェントを見つける機能が加わりました。

2026年8月の更新で、watsonxに何が加わったか

アイ・ビー・エムは2026年9月3日、8月分の更新をまとめて告知しました。中心は、AIゲートウェイと呼ばれる機能です。接続した基盤を走査して、そこで動いているエージェントを一度に見つけ、取り込んで、watsonxで作ったエージェントと同じ管理画面で扱えるようにします。

告知は、この機能の利点として、全体の一覧が見えること、ゲートウェイの段階で方針を効かせられること、重複したエージェントを見つけられること、業務の窓口に直接つなげられることを挙げています。いずれも、散らばったエージェントを並べて見るための機能です。エージェントの中身を書き換える機能ではない点を押さえておくと、期待がずれません。

同じ告知で、評価と改善の機能もいくつか一般提供になりました。自分で書いた基準で採点する採点役のAI(8月31日)、エージェントの実行の足跡を一歩ずつたどれる機能(8月17日)、成績の悪いエージェントを診断して改善する運用のエージェント(8月31日)です。

製品ページでは、エージェントの持ち主・依存関係・動き・費用を全社で見えるようにし、方針と制限を一貫して効かせる、と説明しています。見張る機能と、評価や改善の機能が1つの画面に集まったのが、今回の更新の要点です。

見つけて取り込めるのは、いまはベッドロック上のエージェントだけ

ここで大事なのは、他社の基盤といっても、どこでも見つけられるわけではない点です。告知によると、一般提供になったのはアマゾンのベッドロック上のエージェントの発見と登録です。マイクロソフトのアジュールAIファウンドリーと、グーグルのバーテックスAIは、9月末の予定と書かれています。

この記事を書いている2026年9月29日の時点では、この2つの提供が始まったかを公式で確かめられていません。検討するときは、自社で使っている基盤が一般提供の対象に入っているかを、管理画面と最新の告知で確かめます。予定の段階の機能を前提に計画を組むと、時期がずれたときに全体が止まります。

社内のエージェントがどの基盤で作られているかを先に数えておくと、判断が早くなります。たとえば、10体のうち7体がベッドロック上にあるなら、いま置く意味は大きくなります。逆に、ほとんどが別の基盤なら、対象が広がるのを待つ選択もあります。待つ間は、手作業の台帳で持ち主と費用だけでも一覧にしておくと、対象が広がったときにすぐ取り込めます。

また、見つけた後に取り込むと、どこまでの情報が見えるかも確かめます。名前と持ち主だけなのか、実行の足跡や費用まで見えるのかで、管理役に期待できることが変わります。試用の期間に、1体を取り込んで画面で確かめるのが確実です。

「見張る」と「一緒に動かす」は別の機能

他社のエージェントとの関係には、もう1つの形があります。開発者向けのドキュメントによると、watsonxには外部のエージェントを協力役として呼び出す仕組みがあり、チャット形式の口、エージェント同士の通信の共通規格、セールスフォースのエージェントフォース、マイクロソフトのコパイロットスタジオなどとつなげられます。

ただし同じドキュメントは、外部のエージェントはwatsonxで作ったエージェントの協力役としてだけ使える、と書いています。つまり、他社のエージェントを司令塔にするのではなく、watsonx側のエージェントが仕事を振る相手として使う形です。

この2つは目的が違います。見張るのは、動いているものを並べて、持ち主や費用や成績を確かめるためです。一緒に動かすのは、複数のエージェントに仕事を分けて、1つの業務を進めるためです。「管理役を置く」と言ったとき、どちらを求めているかを先に言葉にすると、社内の議論がかみ合います。

この記事で扱うのは、主に見張る側です。見張るだけなら、他社のエージェントの動き方を変える必要はありません。一緒に動かす設計は、エージェントを何体に分けるかという別の判断になるので、見張る役を置くかどうかとは切り分けて考えます。

管理役を置くと、何が1か所に集まるか

管理役を置いたときに集まるものを具体的に書き出すと、期待しすぎを防げます。製品ページと告知から読み取れるのは、エージェントの一覧、持ち主と依存関係、動きの記録、言語モデルの使った量と費用、実行の足跡、採点の結果です。

一覧が集まると、同じ働きのエージェントが別の部署にあることに気づけます。名前が違っても、呼んでいる道具や答えている問いが同じなら、重複の候補です。告知が利点に挙げる重複の発見は、この一覧があって初めて使えます。見つけた重複をどちらに寄せるかは、両方の持ち主と話して人が決めます。

費用が集まると、どのエージェントが言語モデルを多く呼んでいるかが分かります。部署ごとの請求書を突き合わせなくても、どこに費用が偏っているかを1つの画面で見られます。費用の偏りは、止める候補を探す手がかりになります。

一方で、集まらないものもあります。それぞれのエージェントが何のために作られ、どの業務の誰が使っているかという目的の情報は、画面が自動で埋めてくれるわけではありません。取り込んだ後に、持ち主に書いてもらう欄を用意しておきます。

各社の基盤の管理機能と、どちらを正にするか

エージェントを作る基盤は、それぞれに管理の機能を持っています。管理役を置くと、同じエージェントが元の基盤の画面と管理役の画面の両方に並びます。このとき、一覧としてどちらを正にするかを決めておかないと、2つの一覧の食い違いを誰も直さないまま放置されます。

複数の会社の基盤を使っているなら、一覧の正は管理役に置くほうが自然です。基盤ごとの画面は、そこで作ったエージェントしか映さないからです。反対に、ほぼ1社の基盤で作っているなら、その基盤の管理機能で足りることもあり、管理役を足す理由は薄くなります。

判断の目安は、基盤の数とエージェントの数です。基盤が2つ以上あり、それぞれに数体以上のエージェントがあるなら、管理役を置いて一覧をまとめる意味が出てきます。基盤が1つだけなら、まずその基盤の管理機能を使い切るほうが、費用も手間も小さく済みます。

どちらを正にしても、変更の記録は元の基盤に残ります。管理役の画面で見つけた問題は、元の基盤で直し、直したことを管理役の画面の記録にも書き添える、という往復を決まりにしておきます。

置く前に決めること1:持ち主を1体ごとに決める

管理役を置く前に、取り込むエージェントの持ち主を1体ごとに決めます。作った人ではなく、動きに責任を持つ人です。作った担当者が異動しても、持ち主の部署と役職で決めておけば引き継げます。

持ち主が決まらないエージェントは、取り込む前に止める候補にします。見張る画面に並べても、成績が悪いときに誰に知らせればよいかが分からなければ、並べた意味がありません。

持ち主に書いてもらう項目は、多くしすぎないのがこつです。項目が多いと空欄のまま出され、結局どの欄も信用できなくなります。目的、使う部署、触れるデータの種類、止めてよい条件の4つがあれば、管理役の画面で判断するのに足ります。

  • 目的:何の業務の、どの作業を代わりにするか
  • 使う部署:誰の問いに答え、誰のために動くか
  • 触れるデータ:顧客の情報・社内の数字・個人の情報のどれに触れるか
  • 止めてよい条件:点の下がり方・苦情・費用の増え方のどれで止めるか

持ち主の一覧は、管理役の製品の中だけに置かず、社内の台帳にも写しておきます。製品を替えたときや契約が切れたときに、一覧ごと失わないためです。

置く前に決めること2:管理役に寄せる範囲と、各社の画面に残す範囲

他社の基盤のエージェントを取り込んでも、その基盤の管理画面がなくなるわけではありません。権限の設定や、エージェントの中身の修正は、元の基盤で行うことが多くなります。どの操作を管理役で行い、どの操作を元の基盤で行うかを分けておきます。

おすすめは、管理役では見ることと方針を効かせることに絞り、中身の修正は元の基盤で持ち主が行う形です。管理役の画面で直せる項目があっても、はじめは使わない決まりにしておきます。変更の入口を2つにしないことで、どちらで直したかが分からなくなる事故を防げます。

方針を効かせる範囲も、段階を分けます。はじめは一覧と費用を見るだけにし、慣れてから、ゲートウェイの段階で使ってよいモデルや道具を絞る方針を足します。最初から全部を止められる設定にすると、業務のエージェントが急に動かなくなることがあります。

外部の道具とつなぐ接続の審査は、別の決まりで扱います。管理役の画面で接続の一覧が見えても、どの接続を許すかの判断は、社内の接続の審査の手続きに回します。

採点役のAIの基準は、人が書いて人が確かめる

今回一般提供になった採点役のAIは、使う場面に合わせた評価の基準を、作る段階で自然な文章で書ける機能です。汎用の点数ではなく、その業務で大事な点を採点させられるのが利点だと、告知は説明しています。

基準の文章は、持ち主と業務の担当者が書きます。情シスや販売側に書いてもらうと、業務で本当に困る失敗が基準から抜け落ちます。たとえば問い合わせの一次回答なら、「料金の数字を答えに書かない」「根拠にした資料の名前を示す」のように、観察できる言葉にします。採点役のAIが出した点を、そのまま合否にしないことが前提です。

  • 料金の数字を答えに書いていないか
  • 根拠にした資料の名前を示しているか
  • 答えられない問いに、担当の窓口を案内しているか
  • 顧客の個人の情報を、答えの中に繰り返していないか

採点役のAIの点がどこまで信用できるかは、人の採点と突き合わせて確かめます。はじめの数週間は、同じ答えを人も採点し、ずれが大きい基準を書き直します。ずれが小さくなってから、人の確認を抜き取りに減らします。

採点の結果は、管理役の画面に並びます。点が下がったエージェントを見つけたら、持ち主に知らせるところまでを自動にし、止めるかどうかは持ち主が決める、という線を引いておきます。

実行の足跡を、誰がいつ読むか

実行の足跡をたどる機能は、エージェントが1回の仕事でどの手順を踏み、どの道具を呼び、どこで想定から外れたかを一歩ずつ見せてくれます。告知では、8月17日に一般提供になったとされています。足跡は、採点の点だけでは分からない、途中の手順の失敗を見つけるための記録です。

足跡は、読む人と読む時期を決めないと見られないまま積み上がります。おすすめは、採点役のAIの点が下がったとき、顧客から苦情が入ったとき、費用が急に増えたときの3つを、足跡を読むきっかけにすることです。

読むのは、そのエージェントの持ち主です。持ち主は、エージェントが本来どう動くべきかを知っているので、どこで外れたかにいちばん早く気づけます。情シスは足跡の見方を教え、持ち主が読んでも原因が分からないときに一緒に見る、という分担にすると負担が偏りません。

足跡には、顧客の情報や社内の数字が含まれることがあります。足跡を見られる人を、持ち主と管理者に絞る設定にしておくと、見張るための記録が新しい情報漏れの入口になるのを防げます。

運用のエージェントに任せるのは、診断と改善案まで

今回の更新でいちばん踏み込んだ機能が、エージェントの運用を担うエージェントです。告知によると、動きの記録の分析、試験の例の作成、利用者を模した評価、原因の分析、改善の案づくりまでを行い、成績の悪いエージェントを1つの会話で診断・改善・検証すると説明しています。

便利な反面、告知には、改善を本番に反映する前に人が承認する手順が書かれていません。そのため、自社で線を引く必要があります。運用のエージェントに任せるのは診断と改善案まで、本番への反映は持ち主が承認するという線を、置く前に決めておきます。

  • 変えた箇所:指示の文・呼ぶ道具・使うモデルのどれを、どう変えたか
  • 根拠:どの動きの記録と、どの試験の例で成績が上がったか
  • 影響:変えた後に、答え方や費用がどう変わる見込みか
  • 戻し方:うまくいかなかったとき、元に戻す手順

承認するときは、改善案の理由を上の4点で書かせます。どの試験の例で成績が上がったのか、何を変えたのかを読める形で残させ、持ち主が読んで納得してから反映します。理由が書かれていない改善案は、反映しません。

試験の例をAIが作る点にも注意が要ります。AIが作った試験だけで成績が上がっても、実際の利用者の問いで上がるとは限りません。人が選んだ実際の問いを試験の例に混ぜておきます。

費用の見方:管理役にもお金がかかる

watsonxのオーケストレートの製品ページには、執筆時点で30日間の無料の試用と、3つの段の料金が載っています。いちばん小さい段は月530ドルから、標準の段は月6,360ドルから、上位の段はデータの分離や規制の厳しい環境向けの個別見積もりです。

段製品ページの表示(執筆時点)確かめること
試用30日間無料他社の基盤の発見を試せるか
いちばん小さい段月530ドルから取り込めるエージェントの数と、使える機能
標準の段月6,360ドルから採点役のAIと運用のエージェントが入るか
上位の段個別見積もり(データの分離・規制の厳しい環境向け)提供の形と、データセンターの地域

どの段で他社の基盤のエージェントの発見が使えるかは、告知には書かれていませんでした。使いたい機能がどの段に入っているかは、見積もりの段階で書面で確かめる必要があります。料金は変わることがあるので、契約の直前にも確かめます。表示はドル建てなので、円での請求になるかどうかも合わせて確かめます。

費用を比べるときは、管理役の料金だけでなく、見張られる側の基盤の費用も並べます。管理役を置いて重複したエージェントを止められれば、元の基盤の費用が減ることもあります。試用の期間に、重複がいくつ見つかるかを数えておくと判断の材料になります。

提供の形も確かめます。製品ページは、アイ・ビー・エムのクラウド、アマゾンのクラウドのマーケットプレイス、自社設置に対応すると書いています。どの形で、どの地域のデータセンターを使えるかは、社内の規定と照らし合わせます。

管理役に置く前の確認項目

ここまでの内容を、置く前に確かめる項目の表にまとめます。公式の告知や製品ページで確かめられなかった項目は、見積もりと試用で埋めてください。

確認項目確かめる場所確かめられないときの扱い
自社の基盤が発見の対象に入っているか最新の告知と管理画面対象になるまで手作業の台帳で管理する
取り込んだ後に見える情報の範囲試用で1体を取り込む見える範囲に合わせて期待を下げる
使いたい機能が入る料金の段見積もりの書面段が決まるまで契約しない
日本語の画面と、使えるデータセンターの地域見積もりの書面と試用社内の規定に合わなければ見送る
1体ごとの持ち主社内の台帳持ち主が決まらないものは取り込まず止める候補にする
運用のエージェントの改善を反映する承認者社内の決まり承認者が決まるまで改善案の作成だけにする
足跡を見られる人管理画面の権限の設定持ち主と管理者に絞る

表のうち、下の3行は製品では決まらない、社内で決める項目です。製品の検討と並行して、情シスと各部署の持ち主で決めておくと、試用が終わった時点で判断できます。

表を埋めるときは、確かめた日付と、確かめた文書の名前を横に書いておきます。告知と製品ページは更新されることがあり、同じ項目でも確かめた時期によって答えが変わるからです。日付のない確認の記録は、次の見直しで使えません。

確認の担当も分けておきます。上の4行は情シスが販売側と確かめ、下の3行は各部署の持ち主と情シスが社内で決めます。担当が決まっていない行は、試用が終わっても空欄のまま残りやすいので、表の右端に担当者の名前を書く列を足して使うと抜けが減ります。

  • 発見の対象の基盤・料金・提供の形は、2026年9月29日時点で公式の告知と製品ページを読んだ範囲
  • マイクロソフトとグーグルの基盤の発見は9月末の予定と告知されている。提供の開始は自社の画面で確かめる

置き方の手順:1つの部署から始める

管理役は、いきなり全社のエージェントを取り込むより、1つの部署から始めるほうが確実です。次の手順で進めると、持ち主の負担を確かめながら広げられます。

STEP1
社内のエージェントを数える

基盤ごとに、何体あり、誰が作ったかを手作業で一覧にします。

STEP2
対象の基盤と部署を1つ選ぶ

発見の対象に入っている基盤で、エージェントの多い部署を1つ選びます。

STEP3
持ち主と止める条件を書く

取り込む前に、1体ごとに持ち主と止めてよい条件を決めます。

STEP4
試用で取り込み、見える範囲を確かめる

一覧・費用・足跡・採点が、どこまで画面に出るかを確かめます。

STEP5
承認の線を決めてから広げる

運用のエージェントの改善を誰が承認するかを決め、次の部署に広げます。

最初の部署で、手作業の一覧と管理役の画面の一覧を突き合わせます。数が合わないときは、どちらの一覧に何が欠けているかを1体ずつ確かめます。手作業では見つけられなかったエージェントが出てくれば、管理役を置く意味がはっきりします。

突き合わせの結果は、持ち主のいない分、重複している分、費用の大きい分の3つに分けて記録します。次の部署に広げる前に、この3つをそれぞれどう扱ったかを振り返ると、手順のどこを直すべきかが見えてきます。

広げる順番は、顧客に触れるエージェントの多い部署を先にします。社内の問い合わせだけに答えるエージェントは、後回しにしても影響が小さく済みます。社内向けのエージェントより、止められないときの影響が大きいからです。

つまずきやすい形

管理役を置いた会社で起きやすい失敗を挙げます。多くは、製品の機能ではなく、置く前に決めることを飛ばしたときに起きます。

  • 予定の段階の基盤の対応を前提に全社の計画を組み、時期がずれて計画ごと止まる
  • 持ち主を決めないまま取り込み、成績が下がっても誰にも知らせが届かない
  • 採点役のAIの点をそのまま合否にし、基準の書き方のくせで良いエージェントを止める
  • 運用のエージェントの改善案を承認なしで反映し、どこを変えたか誰も説明できない
  • 管理役と元の基盤の両方で中身を直し、どちらが最新か分からなくなる

どの失敗も、人が決める範囲を先に書いておけば防げます。管理役の画面は、決めた範囲がきちんと守られているかを確かめる場所として使います。

失敗に気づくきっかけも決めておきます。持ち主への知らせが一定の期間に1件も届いていない、承認の記録が空のまま改善が入っている、といった状態は、決まりが守られていない印です。月に1度、知らせと承認の記録を情シスが数えるだけでも、多くの失敗を早く見つけられます。

もう1つ気をつけたいのは、管理役を置いたことで安心してしまうことです。見えるようになっても、見る人がいなければ何も変わりません。週に1度、持ち主と情シスが画面を見る時間を決めておきます。

AIに判断させない範囲と、人が確かめる範囲

管理役の製品には、採点するAIと、改善するAIが入っています。どちらも便利ですが、エージェントを止めるか、本番を変えるかをAIに判断させないことが、置く前に決めるいちばん大事な線です。

AIに任せてよいのは、点をつけること、原因の候補を挙げること、改善の案を書くことまでです。案を出すときは、どの記録をもとにしたかという根拠を必ず書かせます。根拠のない案は、読んでも正しいかを確かめられません。

人が確かめる範囲は、顧客に触れるエージェント、社内の数字や個人の情報に触れるエージェント、費用が急に増えたエージェントの3つを最低限にします。この3つは、採点の点が良くても、持ち主が定期的に足跡を読みます。

管理役を置いた後も、判断の責任は持ち主に残ります。管理役は、人の判断を減らす道具ではなく、人が判断する場面を見逃さないための道具だと位置づけると、置いた後の運用がぶれません。

まとめ

2026年8月、watsonxのオーケストレートに、アマゾンのベッドロック上のエージェントを見つけて取り込む機能が一般提供されました。マイクロソフトとグーグルの基盤は9月末の予定と告知されており、自社の基盤が対象かを画面で確かめる必要があります。管理役を置く前に、見張るのか一緒に動かすのかを言葉にし、1体ごとの持ち主、管理役に寄せる範囲、採点役のAIの基準、運用のエージェントの改善を承認する人を決めましょう。点をつけるのも改善案を書くのもAIに任せられますが、止めるか変えるかは人が決めます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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