テキストマイニングとは何か?|書かれた声を数で見る

テキストマイニングとは何か?|書かれた声を数で見る

「顧客の声は集めているのですが、報告書に載るのは読んだ人の印象なんです」「アンケートは調査部門、問い合わせは支援部門、レビューは営業がそれぞれ見ていて、全体としてどうなのかを誰も言えません」。顧客の声を扱う部門から、この2つはほぼ必ず同じ会議で出てきます。テキストマイニングは、文章をAIに読ませて要約する技術ではありません。本当は、別々の場所にある文章を同じ規則で数え、比べられる1つの表にする作業です。読んだ印象は人によって変わりますが、同じ規則で数えた結果は誰が数えても同じになります。だから前の月とも、別の場所とも比べられる。この記事では、集める、そろえる、分ける、読む、報告するという5つの工程に沿って、何をどこまでAIに任せられるのかを整理します。


カメ先生カメ先生

顧客の声の分析というと、文章をAIに読ませて要約させることだと思われがちなんだ。でも中心にあるのは、要約ではなく数える作業のほうなんだよ。


カメ子カメ子

読ませるのではなく、数えることが中心なんですか。


カメ先生カメ先生

数えるほうが先に来るんだ。要約は読み手の印象に近くて、同じ文章でも出てくる言葉が毎回変わる。同じ規則で数えた結果なら誰が見ても同じになるから、先月とも、別の窓口とも並べて比べられるんだ。


カメ子カメ子

印象を言葉で語る代わりに、数えた結果を並べて差を見るということですね。


この記事のポイント
  • テキストマイニングは要約する技術ではなく、散らばった文章を同じ規則で数えて比べられる形にする作業
  • 集める・そろえる・分ける・読む・報告するの5工程で、時間の大半はそろえる工程に消える
  • 分類と要約はAIに任せられるが、何を課題と見なすかの判断と原文の確認は人が持つ

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目次

テキストマイニングとは何か。読むのをやめて数える作業

テキストマイニングは、文章データを単語やフレーズの単位に分解し、出現の頻度や語どうしの関連を集計することで、書かれている内容の傾向を把握する手法です。2026年8月に公開された国内の解説では、アンケートや投稿といった文章から顧客の本音や兆しを把握する手法、と説明されています。肝心なのは、読む作業と数える作業を分けている点です

読む作業は、1件ずつの事情が分かる代わりに、全体がどうなっているかを言えません。数える作業は、全体を言える代わりに、1件ずつの事情が消えます。実務ではどちらも必要で、順番があります。先に数えて全体の形をつかみ、次に多かったところの原文を読む。この順で進めると、読む量が現実的な範囲に収まります。逆順にすると、目についた数件の印象が全体の結論として報告されます。

生成AIの要約との違いも、ここで整理しておきます。同じ解説では、生成AIは大量の文章の要約が得意な一方で、指示の書き方や実行した時点によって結果が変わりやすいと整理されています。対してテキストマイニングは集計の規則が明示されているため再現性が高く、定点観測や経年の比較に向く。単発で全体像をつかむなら前者、毎月同じ物差しで追うなら後者、という使い分けになります。

用語のミニ解説。この記事に出てくる言葉

この記事では、書かれた声を数で見るための語を先に決めておきます。同じ「分析」という一語が、数を数えることを指す人と、内容を読み取ることを指す人で食い違うためです。以降は、どちらの意味で使っているかが分かる書き方に統一します。

  • 形態素解析……文章を意味を持つ最小の単位まで切り分ける処理。日本語は語と語の間に空白がないため、この処理を通さないと数えられない
  • 表記ゆれ……同じものを別の書き方で書いた状態。スマホとスマフォとスマートフォン、全角と半角、大文字と小文字などが典型
  • ストップワード……する、こと、ある、といった、どの文にも現れるため数えても意味を持たない語。集計から外す対象
  • 共起……2つの語が同じ文や同じ回答の中に一緒に現れること。語のつながりから背景の文脈を読む手がかりになる
  • センチメント分析(好意か不満かの判定)……1文ずつを肯定、否定、どちらでもない、に分ける処理
  • トピックモデル(話題のまとまりの推定)……大量の文章がどんな話題の集まりでできているかを自動で推定し、想定していなかった論点を見つける処理

この中で会議が止まりやすいのは、2番目の表記ゆれです。同じ不満が3つの書き方に分かれると、集計上は3つの小さな項目になり、上位に出てきません。件数を根拠に優先順位を決める場面で、これは結論を反転させます。工程の説明に入る前に、この語だけは覚えておいてください。

声は5つの場所に散らばっている。1つの表に載せる意味

顧客の文章は、1か所にまとまっていません。アンケートの自由記述、問い合わせの記録、レビューや口コミ、商談メモや日報、そしてSNSの投稿。多くの会社では、この5つが別々の部門の手元にあり、別々の様式で保存されています。分析の相談が「アンケートを分析したい」から始まるのは、単にそこが一番取り出しやすいからです。

ところが、1種類だけを分析しても、出てくるのはその場所の傾向だけです。同じ不満が、場所によって違う言葉で現れるからです。問い合わせでは「操作方法が分からない」、レビューでは「使いにくい」、商談メモでは「現場が動かない」と書かれる。語だけを見ていると、この3つは別の話題として数えられます。逆に、区分をそろえて並べれば同じ1つの話題です。

横断させる本当の意味は、影響の広さを測れることにあります。1か所にしか出ていない声と、5か所すべてに出ている声では、同じ件数でも重みが違います。前者はその窓口の事情である可能性が高く、後者は製品や体験そのものの問題である可能性が高い。この判定は、1つの場所を深く読んでも絶対に出てきません。複数の出どころを同じ表に載せて初めて出ます。

全体の流れ。集める・そろえる・分ける・読む・報告する

工程を5つに分けます。順番に意味があり、前の工程の手抜きは後ろで必ず表面化します。特に2番目でつまずくと、以降の数字がすべて信用できなくなります。

STEP1
集める

出どころごとに何が取り出せるかを確かめる。本文だけでなく、日付、出どころ、相手の属性を必ず一緒に持ってくる。ここを落とすと、後から比べる軸が作れない

STEP2
そろえる

表記ゆれを寄せ、あいさつや定型文を落とし、自社の製品名や業界の用語を辞書に登録する。同じ規則を文書に書いて残し、翌月も同じ規則で処理できるようにする

STEP3
分ける

1件ずつに分類の札を付ける。ここでAIを使う。付けた札には必ず原文の識別子を残し、数字から原文へ戻れる状態にしておく

STEP4
読む

頻度、共起、好意か不満かの判定、話題のまとまりの推定を使い分ける。手法から入らず、答えたい問いを先に決めてから手法を選ぶ

STEP5
報告する

件数だけでなく、分母、期間、出どころの内訳、原文の抜粋をそろえて出す。最後に誰が何をいつまでにやるかまで書く

時間の配分は直感と食い違います。実務では、そろえる工程が全体の時間の大半を占めます。分析そのものは、規則さえ決まっていれば短時間で終わります。にもかかわらず計画では分析に時間を割り当ててしまい、前処理が終わらないまま報告期限が来る。最初の1回は、そろえる工程だけで想定の数倍かかる前提で日程を引いてください。

工程1 集める。出どころごとの癖を先に把握する

集める段階でやるべきことは、量を確保することではありません。それぞれの場所がどんな癖を持った文章なのかを、先に把握しておくことです。癖を知らずに混ぜると、場所ごとの違いが顧客の違いに見えてしまいます。

出どころ書かれ方の癖本文と一緒に取る項目向いている問い
アンケートの自由記述設問の言い方に引っ張られる設問文、回答日、回答者の属性設計した論点への評価
問い合わせの記録困っている時点の言葉で短い受付日、対象の製品、対応の区分つまずいている場所の特定
レビューや口コミ他人に読まれる前提で整っている評価点、投稿日、購入からの期間選ばれる理由と外れる理由
商談メモや日報書いた担当者の解釈が混ざる商談日、進み具合、相手の役職決裁が止まる理由
SNSの投稿短く断定的で文脈が省かれる投稿日、反応の数急に増えた話題の察知
電話窓口の記録話し言葉で冗長、要約が入る通話日、通話時間、対応者同じ質問が繰り返される箇所

表の3列目が、実務でいちばん忘れられます。本文だけを抜き出して分析にかけると、いつの声か、どこから来た声かが失われ、どの月に増えたのか、どの窓口で強いのかを後から言えなくなります。取り出しの依頼を出す時点で、この列を指定してください。後から足そうとすると、元の場所に戻って照合し直す作業が発生します。

もう1つ、集める前に決めておくことがあります。氏名、連絡先、取引先の名前の扱いです。問い合わせや商談メモの本文には、これらが自然に紛れ込みます。取り込む前に落とす手順を決め、誰がその処理を実施したかを記録に残します。社外のツールへ送る場合はもちろん、社内で扱う場合も、閲覧できる範囲が広がる時点で同じ判断が必要になります。

工程2 そろえる。表記ゆれを寄せて辞書を整える

そろえる工程の中心は2つです。表記ゆれを寄せることと、辞書に語を登録することです。表記ゆれには型があります。書き方そのものが違うもの、全角と半角の違い、大文字と小文字の違い、送り仮名の違い。前の2つは機械的に処理でき、後ろの2つは判断が要ります。

辞書に登録するのは、自社の製品名、機能の呼び名、業界の用語、社内で使われる略称です。登録しないと、形態素解析が語を途中で切ってしまい、別々の語として数えられます。典型的な失敗として、辞書が整っていないために固有名詞が割れる、という型が挙げられています。製品名が割れると、その製品への言及がどこにも現れなくなります。数えた結果を見て「うちの製品の話が出てこない」と感じたら、まずここを疑ってください。

辞書は一度作って終わりではありません。製品名が変わり、新しい略称が現れ、他社の名前も増えます。更新する担当と、更新した記録の残し方を先に決めます。ツールの比較記事でも、辞書の登録と更新の工数が現場を圧迫する点が従来型の弱点として挙げられています。AIに寄せる候補を出させることはできますが、承認は人が行い、寄せた組み合わせの一覧を残してください。自動で寄せきらせると、名前の似た別の製品への声が1つに統合されても気づけません。

ノイズを落とす。あいさつ・定型文・自社名の扱い

そろえる工程のもう半分が、数えても意味を持たない語を落とす作業です。落とす対象は決まっています。あいさつの定型句、署名や注意書き、記号やアドレス、設問文がそのまま写り込んだ部分、そして自社名です。自社名は全件に現れるため、残すと必ず上位を占め、上位の一覧が何も語らなくなります。

ただし、落としすぎにも落とし穴があります。自社名を機械的に削ると「御社の対応が丁寧だった」という文の主語が消え、誰の話なのかが分からなくなります。落とす前に、落とす対象ごとの件数と実例を数件ずつ確認してください。想定より多い場合は、規則が広すぎます。前処理の解説でも、ノイズ除去を省くことと同じくらい、雑に処理することが結果を歪める要因として扱われています。

そして、落とす規則は必ず文書に残します。翌月に違う規則で処理すると、増減が処理の違いなのか声の変化なのか区別できなくなります。定点観測に向く手法だと言われるのは、規則が固定されている場合に限った話です。規則の版と、いつからその版を使っているかを、報告書の脚注に書いておくと後で助かります。

工程3 分ける。分類はAIに任せ、原文を必ず残す

分ける工程には2つのやり方があります。先に区分を決めてから1件ずつ割り当てる方法と、似た文章を機械にまとめさせてから、できたまとまりに名前を付ける方法です。前者は既存の論点に沿って数えられ、後者は想定していなかった論点を見つけられます。実務では両方を回し、後者で見つかった論点を前者の区分に追加していきます

AIに任せられるのは、1件ずつを区分へ割り当てる作業、長い文章を短くまとめる作業、そして複数の言い回しを1つの表現に寄せる候補を出す作業です。ここは量が多く判断の幅が狭いため、人が手で処理する意味が薄い工程です。代わりに絶対に守るのは、分類結果に原文の識別子を必ず付けることです。数字だけの表になった瞬間、その数字が正しいかを確かめる手段が消えます。

加えて、抜き取りの確認を工程に組み込みます。分類した件数のうち何割かを人が読み、区分が定義どおりかを見ます。最初の1、2回は多めに、判定が安定してきたら減らします。ここで食い違いが出る原因のほとんどは、AIの性能ではなく区分の定義の曖昧さです。区分は1つずつ、含むものと含まないものを1文で書いてください。定義が書けない区分は、人が読んでも判定できません。

工程4 読む。4つの読み方は答えられる問いが違う

読む工程では、手法を選ぶ前に問いを決めます。何が多いかを知りたいのか、なぜそう言われているのかを知りたいのか、いつから増えたのかを知りたいのか。問いによって使う読み方が変わり、同じデータでも出てくる結論が変わります。

読み方していること答えられる問い答えられない問い
頻度を数える語や区分の出現数を集計する何が多く言われているかなぜそう言われているか
共起を見る同じ文に現れる語の組を拾うどの話題と結びついているかどちらが原因でどちらが結果か
好意か不満かの判定1文ずつを肯定と否定に分けるどの区分で不満が濃いか不満の中身が具体的に何か
話題のまとまりの推定似た文章を自動でまとめる想定外の論点が立っていないかそのまとまりが重要かどうか
月ごとに並べる同じ区分の件数を時系列で置くいつから増えたか増えた原因が何か
出どころ別に並べる場所ごとに同じ区分を集計するどこで強く出ている声か顧客全体でどうか

表の右端の列が、報告書の書き方を決めます。答えられない問いに答えてしまうことが、この分野で最も多い事故です。頻度の一覧を見せながら理由を語り、共起の図を見せながら因果を語る。図が説得力を持つぶん、聞き手は疑いません。典型的な失敗として、語の大きさを描いた図を作った時点で満足してしまう型が挙げられています。

頻度そのものにも注意が要ります。多いことと重要なことは別です。ツールの比較記事では、件数の少ない意見が埋もれ、わずかな数でも本質を突いた指摘を取りこぼす点が弱点として挙げられています。件数の軸と、金額や解約への近さという軸を、別々に持って並べてください。件数だけで並べると、金額の大きい少数の顧客の声が一覧の下に沈みます。

好意か不満かの判定を信じすぎない

好意か不満かの判定は、報告書で最も使われ、最も外れます。原因は日本語の性質です。皮肉や曖昧な表現が多く、文脈によって同じ語の意味が反転します。解説記事では、良い意味でも悪い意味でも使われる語の例が挙げられています。二重否定も同じで、「使えなくはない」は肯定に見えて実態は不満です。

語の出現頻度を集計する従来型の道具には、構造的な限界もあります。「品質が良い」と「品質が悪い」が、同じ語として集計されてしまうという指摘です。品質という語が上位に来たとき、それが称賛なのか不満なのかは、語の一覧を見ても分かりません。文全体の意味をとらえる型の道具は、前後の文脈から意図を解釈するため、この点では有利です。ただし判定の理由が見えにくく、なぜその判定になったかを説明しづらくなります。

実務の作法は1つです。判定結果を報告に載せる前に、肯定と判定された文と否定と判定された文から、それぞれ無作為に何件かを読みます。外れる型が見つかったら、その型を除外の規則として書き足します。判定を過信することは、この分野の典型的な失敗としてはっきり名指しされています。数字を出す側が、その数字の外れ方を把握していること。これが載せてよい条件です。

件数の偏り。声を出す人は偏るという前提

集めた文章は、顧客の縮図ではありません。声を出す人は偏ります。強い不満を持った人と、強い満足を感じた人が書き、中間の大多数は何も書かない。加えて、場所ごとにも偏ります。アンケートは答えた人の声、問い合わせは困った人の声、レビューは書く動機があった人の声です。同じ会社の顧客でも、集まる層が違います。

だから、報告で言えることには線があります。言えるのは「寄せられた声のうち、この話題が何件」までです。「顧客の何割がこう思っている」とは言えません。この線を越えた瞬間、報告は推測になります。母集団の割合を知りたいのなら、対象を無作為に選ぶ形の調査を別に立てる必要があります。テキストマイニングと標本調査は、代わりになりません。

件数の目安についても、公開されている整理があります。顧客の声の分析を扱う解説では、一般に数千件以上あると偏りが小さく傾向をつかみやすいが、製品単位の深掘りであれば数百件でも示唆を得られる場合がある、とされています。同じ記事は、重要なのは量よりも、対象の場所が目的に合っているかと前処理が適切かだ、とも述べています。逆に数件から数十件しかないなら、数えるより全部読むほうが確実です。件数不足のまま一般化することは、典型的な失敗として挙げられています。

工程5 報告する。数と原文をセットで出す

報告に必ず入れる項目は4つです。分母、期間、出どころの内訳、そして原文の抜粋。この4つがそろっていない報告は、受け取った側が判断に使えません。特に分母は落ちやすく、「この不満が42件」とだけ書かれた資料は、多いのか少ないのか誰にも分かりません。

出どころ別の内訳を並べる意味は、最初のほうで触れたとおりです。1つの窓口だけで強く出ている話題なのか、5つすべてに出ている話題なのかで、打ち手の相手が変わります。前者は窓口の運用の問題、後者は製品や体験そのものの問題である可能性が高い。同じ件数でも、対応する部署が変わるということです。表の1行に内訳の列を足すだけで、この判断ができるようになります。

最後に、報告を渡して終わりにしないための仕掛けを入れます。ある解説では、大量に収集して分析したものの、結果が分かりづらく共有されなかったために施策へ反映されなかった、という失敗例が紹介されています。原因は、レポートが分析する人の間だけで完結したことだと整理されていました。報告の末尾に、誰が何をいつまでに検討するかを書く欄を作ってください。空欄で提出されたなら、その報告は問いが立っていなかったということです。

AIに任せてよいことと、任せてはいけないこと

ここまでの工程で、AIが担うのは集める、そろえる、分ける、要約するという範囲でした。任せてはいけない範囲を、失敗の形で並べます。どれも実際に起きる型です。

  • AIに課題の優先順位を決めさせる——重み付けには事業側の事情が入る。件数だけで並ぶと、金額の大きい少数の声が一覧の下に沈む
  • 分類結果だけを受け取り、原文の識別子を残さない——数字の裏付けを確認できず、間違いに気づけないまま報告が回る
  • 表記ゆれを全自動で寄せきらせる——名前の似た別の製品への声が1つに統合されても、誰も気づけない
  • 好意か不満かの判定をそのまま報告に載せる——皮肉と二重否定で外れる。肯定と否定の両方から抜き取って読む手順を挟む
  • 前処理の規則を文書に残さない——翌月に同じ規則で数えられず、増減が処理の違いなのか声の変化なのか区別できなくなる
  • 声の件数を顧客全体の割合として報告する——書いた人だけの分布であり、顧客全体の分布ではない
  • 個人名や取引先名を落とさずに外部の道具へ送る——取り込む前に落とす手順と、実施した記録を先に決めておく

並べると共通点が見えます。どれも、判断を数字や道具に肩代わりさせたことから起きています。数えるのは道具の仕事です。何を課題と見なし、どれを先に手当てするかは人の仕事です。この線を工程表に書き込んでおくと、担当が替わっても崩れません。ツールの比較記事でも、分析結果の解釈には対象分野の専門知識が要ることと、相関があることが原因と結果を示すわけではないことが、導入時の注意として挙げられています。

道具の選び方。2つの型と費用の目安

道具は大きく2つの型に分かれます。語の出現頻度を集計する従来型と、文や文章全体の意味をとらえる型です。2026年7月に更新された比較記事の整理では、両者の違いは4点に集約されています。二重否定や皮肉の扱い、辞書設定の手間、判定の精度、そして報告の自動生成です。

  • 従来型が強いのは、集計の規則が明示されていて再現性が高いこと。毎月同じ物差しで追う用途に向く
  • 従来型の弱点は、辞書の登録と更新に手間がかかること、頻度だけでは理由が見えないこと、複数の場所のデータを統合しにくいこと
  • 文脈をとらえる型が強いのは、前後の文脈から意図を解釈できること、辞書の手動設定がほぼ要らないこと、要約や報告を自動で作れること
  • 文脈をとらえる型の弱点は、判定の理由が見えにくいこと。なぜその区分になったかを説明できないと、社内で数字が通らない場面がある

費用は幅があります。同じ比較記事で公開されている範囲では、無料で使えるものから、初期費用20万円で月額12万円から、識別子ごとに月額25万円から、といった価格帯まで並んでいます。多くは要問い合わせで、公開されている数字も提供する側の情報である点は割り引いて見てください。無料で使えるものには、研究や教育の場面で広く使われてきた分析ソフトや、利用登録だけで試せるものがあります。

選ぶ前にやることが1つあります。手元の数百件を、表計算で区分ごとに数えてみることです。それで答えが出る問いなら、道具は要りません。数えてみて、表記ゆれが多すぎる、出どころをまたいで比べられない、月ごとの追跡が手作業では回らない、といった具体的な行き詰まりが出てから選ぶ。この順にすると、機能の一覧ではなく自社の詰まりで選べます。

始める前の確認表

最後に、着手前に埋める項目をまとめます。社内で進める場合も、調査会社に委託する場合も、確認する内容はほぼ同じです。埋まらない項目が上のほうに残っているなら、まだ始める時期ではありません。

  • 答えたい問いが1文で書かれている。何が多いかではなく、何を決めるために見るのかが書かれている
  • 集める場所が決まっていて、それぞれの持ち主と保存先と取り出し方が分かっている
  • 本文と一緒に、日付、出どころ、相手の属性を持ってこられる
  • 氏名、連絡先、取引先の名前を取り込む前に落とす手順と、実施した記録の残し方が決まっている
  • 表記ゆれを寄せる規則と、辞書を更新する担当が決まっている
  • 落とす語の一覧が文書になっていて、規則の版が分かるようになっている
  • 分類の区分が1つずつ1文で定義され、結果に原文の識別子が付く
  • 分類結果を人が抜き取って読む割合と頻度が決まっている
  • 報告の形式に、分母、期間、出どころの内訳、原文の抜粋の4つが入っている
  • 顧客全体の割合としては語らない、という線が関係者の間で共有されている

この10項目のうち、1番目と2番目が埋まらないまま着手すると、ほぼ確実に絵だけが出て結論が出ません。典型的な失敗として、目的が複数あって絞れていない状態が最初に挙げられているのは、そのためです。問いが1つに絞れないときは、いちばん近い期日に判断が必要な問いを選んでください。残りは次の回に回せます。

まとめ

テキストマイニングは、文章を要約する技術ではありません。別々の場所にある文章を同じ規則で数え、比べられる1つの表にする作業です。読む作業と数える作業を分け、先に数えて全体の形をつかみ、多かったところの原文を読む。この順番にすることで、読む量が現実的な範囲に収まり、報告が読んだ人の印象から数えた結果へ移ります。

工程は5つです。集める段階では、本文だけでなく日付と出どころと属性を一緒に取り、場所ごとの書かれ方の癖を先に把握します。そろえる段階では、表記ゆれを寄せ、自社の製品名や業界の用語を辞書に登録し、あいさつや定型文を落とします。この工程が時間の大半を占めます。分ける段階では、分類をAIに任せつつ原文の識別子を必ず残し、抜き取って人が読む手順を組み込みます。読む段階では、頻度、共起、好意か不満かの判定、話題のまとまりの推定を、答えたい問いに合わせて選び分けます。報告する段階では、分母、期間、出どころの内訳、原文の抜粋の4つをそろえます。

そして、越えてはいけない線が2本あります。1本目は、集めた声は顧客の縮図ではないという線です。言えるのは寄せられた声の中で何件までで、顧客の何割とは言えません。2本目は、何を課題と見なすかの判断は人が持つという線です。数えるのは道具の仕事で、優先順位を決めるのは事業の判断です。この2本を報告の形式に組み込めば、書かれた声は印象ではなく、来月も同じ物差しで比べられる数字になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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