社内ポータルは作っても使われない|入口から作り直す順番

社内ポータルは作っても使われない|入口から作り直す順番

「社内ポータルを刷新したのに、3か月で誰も開かなくなりました」「トップページの更新が半年前で止まっていて、置いてある情報が今も正しいのか分からないと言われます」。——刷新の翌年に呼ばれる打ち合わせは、ほぼこの話から入ります。どちらもポータルの作りが悪かったという話として持ち込まれます。ですが、開かれなくなった経緯を1つずつほどいていくと、画面の設計にたどり着くことはほとんどありません。社内ポータルが使われなくなるのは、出来が悪いからではなく、そこが入口である理由が社内に1つも残っていないからです。この記事では、入口が入口でなくなる構造を5つに分けたうえで、置くものを役割から逆算して決める方法、生成AIによる検索と要約をどこに置きどこには置かないか、そして作り直す順番までを整理します。数値は2026年9月1日の時点で公開されている公式資料を取り直して確かめたものです。


カメ先生カメ先生

社内ポータルが使われないと聞くと、画面が古いせいだと思われがちなんだ。でも本当のところは、置き場の問題ではなくてね。そこを通らないと仕事が終わらない、という理由が1つも残っていないほうが多い。申請も検索も相談もチャットの中で片づくなら、ポータルは通り道から静かに外れていくんだよ。


カメ子カメ子

見た目を新しくしても、通る理由がなければ変わらないということですか。


カメ先生カメ先生

そうだね。それともう一つ、開かれない会社にはほぼ共通する特徴がある。情報の持ち主が部署名で書かれているんだ。総務課、情報システム部、というふうにね。人名で書かれていないと、古くなった記事を誰も落とせない。落とせないから増える。増えるから探せない。探せないから開かれない。この順番で回っていくんだよ。


カメ子カメ子

更新が止まるのは担当者の怠慢ではなく、持ち主の書き方の問題なのですね。入口を作り直すなら、画面より先に決めておくことがありそうです。


この記事のポイント
  • 開かれなくなる原因は画面ではない。更新の担い手・情報の持ち主・入口の数・探す速さ・権限の5つに分けて見る
  • 置くものは全部載せにしない。役割ごとに、その人が今日必要とするものから逆算して並び順を作る
  • 生成AIは検索の入口・要約・申請の下書きまで。規程や人事の判断を断定させず、根拠を示せない答えは返させない

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目次

「作れば使われる」という前提を、まず外す

ポータル改修の相談は、たいてい画面の話から始まります。見出しが多すぎる、配色が古い、携帯端末で崩れる。どれも事実ではありますが、開かれない理由のなかでは小さいほうです。総務省の令和8年版情報通信白書によると、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた企業の割合は、日本で86.4%まで上がりました。2024年度の企業向け調査に比べて大幅に上昇した、と白書は書いています。道具はもう社内に入っているのです。

それでも社内の情報が引けないのは、道具ではなく置き場の側に理由があります。同じ白書で、生成AIによる業務変革などに関する組織的な取組を尋ねた設問では、日本で「組織的な取組はない」と答えた割合が27.0%と約3割に上り、米国・ドイツ・中国に比べて顕著に高い結果でした。さらに環境整備の設問では、他の3か国で「生成AIに社内データを学習させたり、生成AIが参照可能なデータベースを構築したりしている」との回答が5割を超えたのに対し、日本は大幅に低いと明記されています。使う人は増えたが、社内の情報を機械が読める形に置き直す工事のほうは進んでいない。これがいまの標準的な状態です。

この前提に立つと、ポータルの位置づけが変わります。ポータルは情報を並べておく棚ではなく、業務の通り道です。通り道であるなら、評価すべきは見た目ではなくそこを通らないと仕事が終わらない状態になっているかのほうです。作り直すときに最初に決めるのは配色でも階層でもなく、どの仕事の通り道にするのか、という一点になります。

開かれなくなる構造は、5つに分けられる

「使われていない」は状態の名前であって、原因の名前ではありません。原因を分けずに改修すると、画面だけが新しくなって半年後に同じ状態へ戻ります。実際に相談を分解していくと、原因は次の5つのどれか、あるいはその組み合わせに収まります。

  • 更新の担い手がいない。更新が誰かの余力で回っている
  • 情報の持ち主が決まっていない。部署名で書かれていて、人名で書かれていない
  • 入口が複数ある。ポータル・チャット・共有ドライブ・メール・業務システムが横並びになっている
  • 探す速さが、隣の人に聞く速さに負けている
  • 権限で見える範囲が人ごとに違う。同じ場所を開いても中身がそろわない

この5つは、打ち手がそれぞれ違います。1つ目と2つ目は運用の設計、3つ目は業務の導線、4つ目は検索と生成AI、5つ目は権限の実装です。1つの改修で全部を直そうとすると、どれも中途半端になります。逆に、5つのうち自社に効いているものが2つだと分かれば、投じる費用も期間も一気に小さくなります。以下、1つずつ見ていきます。

更新の担い手が、兼務のまま置かれている

運用側の実態を、公開されている調査で確かめます。株式会社サイト・パブリスが2024年12月16日から17日にかけて、社内ポータルサイトを運用している担当者110名に実施した「社内ポータルサイト運用状況に関する実態調査」では、担当者の8割以上が「運用時間の削減」を求めるという結果が公表されています。運用における主要課題の第1位は「カスタマイズのしにくさ」でした。設問ごとの細かい内訳は資料請求後の資料にのみ掲載されているため、ここではこの2点だけを引きます。

この2点だけでも、現場で起きていることは見えます。ポータルの更新は、専任の仕事として設計されていることがほとんどありません。総務や情報システムの誰かが、本来の業務の合間に手を入れています。だから更新に手間がかかる作りになっているほど、更新は後回しになり、後回しになった分だけ情報が古びます。カスタマイズのしにくさが第1位に来るのは、見た目を凝りたいからではなく、直したいときにすぐ直せないと更新そのものが止まるからです。

対策の方向は2つです。1つは更新の作業量を物理的に減らすこと。入力欄を減らし、様式を1種類にし、掲載の判断を要する項目をなくします。もう1つは、更新を余力の仕事から外すこと。担当者の業務時間のうち何時間をポータルに充てるかを、上長が数字で決めます。時間を割り当てずに更新頻度だけを目標にすると、必ず未達で終わります

情報の持ち主が、部署名で書かれている

2つ目の構造は、持ち主の書き方です。多くのポータルでは、記事の末尾に「問い合わせ先:総務課」と書かれています。部署名は異動があっても変わらないので、一見すると安全な書き方に見えます。ですが実際には、部署名で書かれた記事は誰も落とせません。落とす判断をする人が特定できないからです。

落とせない記事は積み上がります。積み上がった結果、検索したときに古い記事と新しい記事が並び、どちらが生きているのか読み手には分かりません。すると読み手はポータルの情報を信じなくなり、結局は人に聞きに行きます。開かれなくなる直接の引き金は、たいていここです。情報の量ではなく、生きているかどうかが分からないことのほうが致命的なのです。

直し方は単純で、持ち主を人名で書きます。記事ごとに1人。異動のときは、引き継ぎ表に「担当した記事の一覧」を必ず入れます。そして持ち主が決まらない情報は、そもそもポータルに置かないという原則を先に立てます。置き場に困った資料の逃げ場にしてしまうと、入口はすぐ倉庫になります。倉庫は毎日開く場所ではありません。

入口が複数あると、どれも入口ではなくなる

3つ目は導線です。いまの職場には、情報にたどり着く経路が並列で存在します。ポータル、チャット、共有ドライブ、メールの過去のやり取り、業務システムの中の告知、そして紙の掲示。どれも一定の情報を持っていて、どれも完全ではありません。この状態では、探す人は毎回「どこを見ればよいか」から考えることになります。

  • 新しいポータルを作ったが、旧サイトも当面は残す、と決めて2年たっている
  • 重要な連絡はチャットで流し、ポータルには後から転記する運用にしている
  • 部署ごとに独自のページを作ってよいことにして、入口が部署の数だけ増えた
  • 全社共通の告知が、メールとポータルの両方に同じ文面で流れている

誤解されやすいのですが、入口を1つにするとは、置き場を1つにまとめることではありません。共有ドライブも業務システムもそのままでよいのです。決めるべきは、探し始める場所を1つにすること。ポータルから辿れば必ずそこに着く、という状態を作ることです。逆に言えば、ポータルに載っていない経路を残したまま新しい入口を作っても、経路が1本増えるだけになります。

実務では、旧サイトの停止日を先に決めるのが効きます。停止日が決まると、旧サイトにしかない情報の棚卸しが自然に進みます。停止日を決めずに並行運用を始めた組織は、ほぼ例外なく並行のまま数年が過ぎます。並行運用の期限は、作り直しの計画に必ず日付で書き込みます

探す速さが、隣の人に聞く速さに負けている

4つ目は速さの比較です。人は最短の経路を選びます。ポータルで探すと3分かかり、隣の席の先輩に聞けば30秒で答えが返るなら、聞くほうが合理的です。個人としては正しい選択ですが、組織としては、聞かれた側の時間が毎回消えています。しかも聞かれた側が答えた内容は記録に残らないので、次に同じことを聞かれてもまた30秒が消えます。

なぜ探すのに時間がかかるのか。キヤノンITソリューションズが2025年4月に公開した技術レポートは、自社の状況をこう書いています。文書を管理しているシステムにキーワード検索の仕組みは備わっていたが、「適切な検索キーワードが思いつかない場合など、必要な文書を見つけるまでに多くの時間を費やすことが少なくありませんでした」。検索できないのではなく、検索に入れる言葉が分からない。これが探す速さを落としている実体です。

この負けは、数の面でも確かめられます。令和8年版情報通信白書の業務類型別の集計では、日本で生成AIの活用が回答された割合は「議事録・メール作成補助」が約7割で最も高く、次に「営業・販売」で約6割、「社内ヘルプデスク」で約5割と続きました。すでに2社に1社が社内の問い合わせ対応にAIを当てているということです。効果の実感が最も高かったのは議事録とメールの補助で約7割。社内ヘルプデスクは、使われている割に効果の実感がそこまで高くない領域だと読めます。置いただけでは効かない、という裏返しでもあります。

権限で見える範囲が人ごとに違う

5つ目は権限です。ポータルは全員が同じ画面を見ていると思われがちですが、実際には人によって見える範囲が違います。人事情報、原価、契約、監査の指摘事項。見えてよい人と見えてはいけない人が分かれる情報は、どの会社にもあります。

問題は、見える範囲の違いが読み手に説明されていないことです。同僚から「ポータルのここに置いてある」と言われて開いたら何もない。このとき読み手は、自分に権限がないのだと理解せず、ポータルの情報が当てにならないと理解します。1回でもこの体験をすると、次からは最初から人に聞くようになります。権限の設計は、機密を守るためだけでなく、入口の信用を守るための設計でもあるのです。

実務としては、見えない情報の存在自体は見せる、という設計が有効です。題名と持ち主だけを出し、本文は権限のある人だけが開ける。こうすると、探している人は「ここにあるが自分は見られない」と分かり、誰に頼めばよいかも同時に分かります。何も出さないより、あることだけを出したほうが、入口としては機能します

置くものは、役割ごとに今日必要なものから逆算する

ここから対策に移ります。まず何を置くか。全部載せは最も避けたい選択です。理由を数で置いてみます。全社の規程・様式・手順書・告知を素直に並べると、中規模の会社でも200を超える項目になります。1画面に無理なく収まる項目は、見出しを含めて20前後です。つまり残りの180は2階層目より下に沈み、目に入りません。一方で、1人が1日に開く項目はせいぜい3つから5つです。

この差を埋める方法が、役割からの逆算です。営業、製造、管理部門、新入社員というように役割を3つから5つに絞り、それぞれについて「その役割の人が今日開く可能性があるもの」を5つだけ挙げます。役割ごとに5つなら、5役割でも25項目。1画面に十分収まります。残りは検索から辿れれば足ります。並べる順番を役割で変えるだけで、入口の密度は劇的に下がります。

逆算をするときは、部署に聞くのではなく、直近の問い合わせ記録から拾います。部署に聞くと「うちは全部必要です」という答えが返ってきます。実際に聞かれた質問を月単位で並べれば、上位に来る5つは自然に決まります。置くものは意見で決めず、聞かれた回数で決めます

生成AIを置いてよいのは、検索の入口・要約・申請の下書きの3つ

次に、生成AIをどこに置くか。置き場所を無限に広げると管理できなくなるので、最初は3つに限定するのが現実的です。1つ目は検索の入口。自然な言葉で聞くと、関連する社内文書を挙げ、そこへのリンクを返す。前の章で見た「検索に入れる言葉が思いつかない」という壁を、ここで消します。

2つ目は要約です。就業規則や購買の手順書のように長い文書について、質問に該当する部分だけを短くして見せます。ここで外せない条件が1つあります。要約と一緒に、必ず原文の該当箇所へのリンクを出すこと。要約だけを表示すると、読み手は原文を開かなくなり、後で条件の但し書きを見落とします。3つ目は申請の下書きです。経費精算や稟議の様式に、過去の記載例と入力内容を当てはめて下書きを作る。提出はあくまで人が確認してから行います。

この3つに共通するのは、AIが出しているのは答えではなく、答えのある場所と下書きだという点です。判断は人が持ったままです。範囲をここに切っておくと、導入時の説明も、事故が起きたときの切り分けも簡単になります。広げるのは、この3つが定着してからで十分です。

置いてはいけないのは、規程と人事の断定

置いてはいけない場所も、同じくらいはっきり決めます。第一に、規程の解釈を断定させないこと。「この費用は経費で精算できますか」に対して「できます」と答えさせてはいけません。返すべきは、該当する規程の条文と、判断する部署の名前です。第二に、人事の判断を代行させないこと。評価、処遇、休職、懲戒に関わる問いに、AIが結論を出す形にしてはいけません。

第三に、根拠を示せない答えを返させないことです。参照した社内文書が見つからないときは、それらしい文章を作らせずに「該当する文書が見つかりません」で止め、問い合わせ先を出します。技術的には、参照した文書の題名と更新日を回答の下に必ず並べ、参照が0件なら回答を生成しない設定にします。回答を作れることと、回答してよいことは別です。

  • 規程・人事・法務・安全に関わる問いは、AIの回答対象から外すか、必ず出典と担当部署を併記する
  • 参照した社内文書が0件のときは回答を作らせず、問い合わせ先を返す
  • 更新日が古い文書を参照したときは、その旨を回答の中で明示する
  • 人が確認する範囲を、公開の前に文書で決めておく。運用が始まってからでは決まらない

答えの精度は、AIではなく文書の側で決まる

ここが、この記事で最も強調したい点です。キヤノンITソリューションズは、社員向けサポートセンターで試験運用を行い、実際の問い合わせをそのままシステムに入力して評価しました。合計228件を評価した結果、有用と評価されたのは「全体の約3分の1にとどまりました」と報告されています。

重要なのは、うまくいかなかった原因の内訳です。同レポートによると、文書の不備や不足が46%、検索精度の低さが42%を占め、生成AIの精度が問題だったケースは12%にとどまりました。つまり、答えが出ない原因の9割近くは、AIの外側にあったということです。具体例も挙げられています。社員が使うパソコンの修理を依頼する手順の文書には、問い合わせ先も送付先も書かれていたが、「修理に出して返送されるまでの期間」が書かれておらず、その質問に答えられなかった、というものです。

この一例が示しているのは、社内文書が「手続きを説明する側の論理」で書かれていて、「聞く側が知りたいこと」で書かれていないという構造です。入口を作り直すという作業の実体は、画面を作ることではなく、聞かれている問いに対して文書を書き足すことです。同レポートも「技術の導入だけでは不十分」「生成AIは手段であり、目的ではない」と結んでいます。

権限は、答えを作る前に効かせる

生成AIを社内検索に載せるとき、実装で最も外せないのが権限の扱いです。先ほどのキヤノンITソリューションズの事例では、構築時に3点のカスタマイズを行ったと明記されています。社員が回答に評価を付けられる仕組みの追加、社内認証基盤との連携による一度の認証で入れる仕組み、そして「ユーザーが閲覧を許可されている文書のみから回答を行う仕組みの導入」です。

3つ目の書き方に注目してください。閲覧を許可されている文書「のみから」回答する、とあります。回答を作ってから見せてよいかを判定するのではなく、参照できる文書の範囲を先に絞ってから回答を作るという順番です。後から消す設計にすると、要約された文章のなかに機密の断片が残ります。要約は元の文の形を保たないので、消し漏れの検知も難しくなります。

運用上は、権限の追随も決めておきます。異動や退職で権限が変わったとき、参照範囲がいつ更新されるか。日次なのか、即時なのか。ここを曖昧にしたまま公開すると、異動直後の数日間だけ前の部署の文書が引ける状態が生まれます。権限は設計するだけでなく、変わったときにどう追いつくかまでを決めて初めて設計です

更新が止まらない運用の作り方

入口を作り直しても、半年で元に戻る組織があります。違いは運用の設計です。押さえる点は3つあります。1つ目は、前に述べたとおり持ち主を人名で書くこと。2つ目は、古い記事の落とし方を仕組みに埋めること。3つ目は、更新のきっかけを業務側に置くことです。

落とし方は、掲載期限で機械的に処理します。記事を作るときに必ず期限を入れ、期限が来たら自動で公開から外して持ち主に通知する。持ち主が延長すれば残り、放置すれば消える。消えることを既定にしておくと、生きている情報だけが残ります。人が判断して消す運用は、必ず後回しになって機能しません。

更新のきっかけは、ポータル側の予定表ではなく業務側の事象に紐づけます。規程改定、組織変更、料金改定、システムの入れ替え。この4つが起きたら、関連する記事の持ち主に更新の依頼が飛ぶようにします。加えて、キヤノンITソリューションズが指摘しているように、対話形式の記録は「ユーザーの意図を把握しやすく」なり、フィードバックが集まりやすいという利点があります。答えられなかった質問の一覧を、そのまま次に書く文書の一覧として使う。これが最も無駄のない更新の回し方です。

使われているかは、訪問数では測れない

測り方を変えないと、改善の方向がずれます。訪問数や閲覧数は、入口の指標としては弱い数字です。毎朝の起動時に自動で開く設定にすれば、訪問数はいくらでも増えます。増えたところで、探し物が見つかったかどうかは分かりません。

代わりに見るのは3つです。1つ目は探し直しの回数。同じ人が同じ日に、似た語で3回以上検索していたら、1回目で見つかっていないということです。2つ目は聞かれた回数の減り方。ヘルプデスクや総務への同種の問い合わせが月に何件から何件になったか。3つ目は答えが出なかった質問の件数。参照0件で終わった質問は、そのまま書き足すべき文書の候補になります。

この3つは、いずれも「探す人の手間が減ったか」を見ています。訪問数は増えても手間が減っていないことがありますが、探し直しが減れば手間は確実に減っています。測る対象を訪問から手間に移すと、次に何を直せばよいかが自動的に出てきます

作り直す順番。いきなり全面刷新しない

最後に順番です。全面刷新から入ると、費用も期間も膨らみ、しかも作り直した後に同じ問題が再発します。小さく始めて、効いたところから広げます。

STEP1
いま何を聞かれているかを数える

直近3か月のヘルプデスクと総務への問い合わせを、質問文のまま一覧にします。分類はまだしません。件数の多い順に並べるだけで、置くべきものと書き足すべき文書が見えます。ここに1週間かけます。

STEP2
入口を1つに決め、期限を書く

探し始める場所を1つに決めます。同時に、旧サイトや部署ページの停止日を日付で決めます。中身の移行はこの後で構いません。決めるのは日付です。

STEP3
役割を3つに絞り、並び順を作る

全役割を扱わず、まず3つに絞ります。役割ごとに、上位5項目だけを前面に出します。他は検索から辿れれば足ります。

STEP4
持ち主を人名で書き、掲載期限を入れる

既存の記事すべてに人名と期限を入れます。持ち主が決まらない記事は、この時点で公開から外します。ここで量が3割から5割減るのが普通です。

STEP5
検索の入口に生成AIを載せる

参照範囲を権限で絞ったうえで、検索の入口だけに載せます。回答には必ず参照元の題名と更新日を出し、参照0件なら回答を作らせません。

STEP6
答えられなかった質問から文書を書き足す

月に一度、参照0件で終わった質問を集めて、上位10件について文書を書き足します。ここまで来て初めて、要約と申請の下書きへ範囲を広げます。

この順番の要点は、4段目までが画面の作業ではないことです。数えて、決めて、名前を書いて、期限を入れる。ここまでを飛ばして5段目から始めると、精度が出ない理由が分からないまま費用だけがかかります。

実務仕様:入口を作り直すときに決める項目

最後に、稟議や要件定義の場で埋めるべき項目を一覧にします。ここが空欄のまま発注すると、作った後に必ず揉めます。

決める項目決める内容決めないと起きること
入口探し始める場所を1つ。旧経路の停止日を日付で並行運用が数年続き、経路が1本増えるだけになる
置くもの役割3から5つ、役割ごとに上位5項目全部載せになり、2階層目より下が誰にも見られない
持ち主記事ごとに人名1人。異動時の引き継ぎ表に記載古い記事を誰も落とせず、生きている情報が埋もれる
権限参照範囲を回答生成の前に絞る。変更の反映は日次か即時か要約のなかに機密の断片が残る。異動直後に前部署の文書が引ける
更新掲載期限と自動の公開停止。更新の引き金を業務側の事象に紐づける更新が余力の仕事になり、半年で止まる
AIの範囲検索の入口・要約・申請の下書きの3つ。規程と人事の断定は対象外断定した答えが根拠なしに配られ、後から取り消せない
測り方探し直しの回数・聞かれた回数の減り方・参照0件の件数訪問数だけが増えて、手間が減ったかどうかが分からない

この表は、そのまま受入検査の項目にもなります。納品時に7行すべてについて「決まっている」と言えるかを確認してください。1行でも空欄が残っていれば、その行が半年後の不具合になります

まとめ

社内ポータルが開かれなくなるのは、画面が古いからではありません。更新の担い手がいない、持ち主が部署名で書かれている、入口が複数ある、探す速さが人に聞く速さに負けている、権限で見える範囲が違う。この5つのどれかが効いています。原因を分けずに刷新しても、半年で同じ状態に戻ります。

置くものは全部載せにせず、役割ごとに今日必要なものから逆算します。生成AIは検索の入口・要約・申請の下書きの3つに限り、規程や人事の判断は断定させず、根拠を示せないときは答えを作らせません。答えの精度はAIではなく文書の側で決まるという実測がある以上、作り直すという作業の中心は、聞かれている問いに文書を書き足すことになります。測り方を訪問数から探し直しの回数へ移し、持ち主を人名で書き、掲載期限で古い記事が自動的に落ちるようにする。この順番で進めれば、入口は入口のまま保てます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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