【2026年】法人サイト制作の進め方|AIで速くなる工程

【2026年】法人サイト制作の進め方|AIで速くなる工程

制作期間の目安を調べると、10ページから20ページ程度の会社サイトで2か月から3か月、30ページから50ページの本格的なものなら4か月から6か月という数字が並びます。ところが、日程が崩れる原因として実務の解説記事が最初に挙げているのは、制作側の作業量ではなく社内での意思決定の遅れです。発注する側から見ると、これは制作会社を選び直しても解決しない種類の問題だということを意味します。次に多いのが原稿や写真といった素材の準備不足、その次が修正回数の増加と承認手続きの複雑さ。3つとも、動かせるのは頼んだ側だけです。ここにAIを入れると速くなる工程と、入れても速くならない工程がはっきり分かれます。この記事では、着手から公開までを9つの工程に分け、各工程で発注側が決めること、AIで縮む場所と縮まない場所を切り分けて整理します。


カメ先生カメ先生

サイト制作の日程って、制作会社の腕で決まると思われがちなんだ。でも実際に長さを決めているのは、発注した側が決める速さのほうなんだよ。


カメ子カメ子

作る側ではなく、頼む側で決まるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。工程表に並んでいるのは作業日数なんだけど、実際に伸びるのは承認を待っている期間なんだ。役員会が月に1回なら、承認の要る決めごとは月に1回しか通らない。


カメ子カメ子

作業の日数より先に、決める日を工程表に書いておくということですね。


この記事のポイント
  • 日程が崩れる最大の原因は制作側の作業量ではなく社内の意思決定。工程表は作業日数ではなく決裁の日から組む
  • AIで速くなるのは案出し・下書き・突き合わせ。合意形成、実在事例の掲載許諾、数値の裏取りは速くならない
  • 各工程で発注側が決めることを先に一覧にする。渡し方が見積もりの精度と手戻りの量を決める

コンテンツ制作にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

日程が崩れるのは、作る速さが足りないからではない

制作会社から届く見積もりには、工程ごとの作業日数が並んでいます。企画に何週間、デザインに何週間、実装に何週間。この数字だけを見ていると、日程を縮めたければ作業を速い会社に頼めばよい、という結論になります。ところが実際に日程が崩れるとき、伸びているのはその作業日数ではありません。伸びているのは、作業と作業のあいだにある待ち時間です

待ち時間の中身は3つに分かれます。決めるための会議が先にしか取れない時間、原稿や写真がそろうのを待つ時間、そして修正の往復です。ページ数が15から30へ増えれば、それだけで3週間から6週間が積み増しになるという目安も示されています。増やす判断をしたのは発注側であって、制作側ではありません。ここを取り違えたまま次の会社に頼み直しても、同じ場所で止まります。

だから工程表の作り方を変えます。作業日数を積み上げてから最後に公開日を置くのではなく、決裁の日を先に押さえて、その隙間に入る作業を並べる。承認が要る決めごとを洗い出し、それぞれがどの会議に載るのかを書き込む。この順で組むと、そもそも無理な日程が引かれなくなります。最初に引いた線が守れないと分かった時点で、後工程の品質から削られていくのが実務です。

規模別の費用と、工程別の週数の目安を先に置く

進め方を考える前に、自社の案件がどの規模帯にあるのかを置いておきます。規模帯が違えば、決めるべきことの数も、関わる部署の数も変わるからです。見積もりを集計して公開している媒体の数字を並べると、おおむね次のようになります。金額はあくまで目安で、母集団や年によって動きます。

規模ページ数の目安期間の目安初期費用の目安公開後の月額
名刺代わり5ページ前後1週間から1か月無料から10万円ほぼ発生しない
小規模10ページ前後2週間から2か月10万円から50万円1万円以下
中規模10ページから20ページ1か月から3か月50万円から100万円1万円以下
大規模20ページから40ページ2か月から4か月100万円から300万円1万円から10万円
大規模・機能あり40ページ以上4か月以上300万円以上10万円から30万円

同じ集計では平均が95.6万円、中央値が50万円という数字も示されています。平均と中央値が倍近く開いているのは、少数の高額案件が平均を引き上げているためで、多くの会社が実際に払っている額は中央値のほうに近いと読むのが妥当です。自社の想定額が平均だけを見て組まれていないかは、稟議を書く前に確かめておく価値があります。

次に、工程ごとの所要期間の目安を並べます。これは制作側の作業に必要な期間で、承認待ちの時間は含まれていません。自社の工程表と突き合わせるときは、各工程のあいだに決裁のための期間を足して読んでください。括弧の中は、発注側の事情で伸びやすい要因です。

  1. 企画と要件定義:2週間から4週間。初期の聞き取りに1週間、構成案と画面の骨組みに1週間から2週間(目的と指標が絞れず、関係部署の合意が取れないと伸びる)
  2. 情報設計の承認:企画の工程に含まれる。構成案の提示と修正(絵の無い状態での承認をためらい、決裁が先送りになると伸びる)
  3. デザイン:3週間から6週間。方針に1週間、最初の1画面に1週間から2週間、下層への展開に2週間から3週間(決裁者が複数いる、修正回数に上限が無いと伸びる)
  4. 開発と組み込み:4週間から8週間。画面の記述に2週間から4週間、管理画面の構築に1週間から3週間(原稿と写真がそろわず、実装が空欄のまま進むと伸びる)
  5. 検証と公開準備:1週間から2週間。総合確認に3日から5日、公開作業に1日(合格基準が無く、検収が要望出しの場になると伸びる)

合計すると、作業側だけで10週間から20週間、つまり2か月半から5か月ほどです。ところが実際の案件は、これに決裁待ちと素材待ちが乗ります。公開日から逆算するときは、作業側の目安に1.3倍から1.5倍を掛けて置くと現実に近づきます。掛け率が大きくなるのは、関係部署が多い会社と、決裁の会議が月に1回しかない会社です。

金額についてもう1つ、進め方と切り離して先に片づけておくべき論点があります。制作費をその年の費用として落とすのか、資産として計上して数年に分けるのかという会計上の扱いです。これは見積書の内訳の書き方で分かれるため、見積もりを取る前に経理と方針を合わせておくと、稟議の差し戻しが減ります。進め方の話とは別に、そこだけ独立して押さえてください。

全体の流れ。着手から公開までを9つの工程で置く

進め方の全体像を先に置きます。会社によって呼び名は違いますが、決めることの中身はおおむね次の9工程に収まります。重要なのは工程の名前ではなく、各工程の終わりに発注側が何を確定させるかです。ここが曖昧なまま次へ進むと、後工程で必ず戻ってきます。

STEP1
目的と指標を1つに絞る

何のために作り直すのかを1文で書き、達成を測る指標を1つだけ選ぶ。複数並べた時点で優先順位の争いが後工程に持ち越される

STEP2
現状を棚卸しする

いま何ページあり、どれが見られていて、どれが1年間ほとんど見られていないかを数える。残す・作り直す・捨てるの3つに仕分ける

STEP3
要件と優先順位を決める

やることと同じ量の分量で、やらないことを書く。予算と期間が動いたときにどこから削るかまで、この時点で決めておく

STEP4
情報設計を決める

ページの並びではなく、訪問者がどの入口から入って何にたどり着くかの経路を決める。ここが後戻りすると全工程がやり直しになる

STEP5
原稿を作る

誰が書き、誰が確認し、いつまでに出すかを部署ごとに割り当てる。9工程の中でここが最も詰まる

STEP6
デザインを決める

見た目の好みではなく、決め方を先に決める。誰が決裁者か、修正は何回までか、参考例は何を共有したか

STEP7
実装する

技術と法令の条件を着手前に渡しておく。公開直前に追加すると、実装のやり直しになる

STEP8
検収する

何をもって合格とするかを、実装が始まる前に書いておく。見た目の印象ではなく、確認できる形の項目にする

STEP9
公開後の運用に引き渡す

誰が何を更新するのか、最初の3か月に何をするのかを契約に入れる。入れないと公開の翌月から更新が止まる

この9工程のうち、AIで目に見えて縮むのは2番目、3番目、5番目、8番目です。逆に1番目、6番目、9番目はほとんど縮みません。理由は後の節で分けて説明しますが、縮まない工程が日程の骨になっているという構造だけ、先に頭に入れておいてください。

工程1と2:目的を1つに絞り、いまの中身を棚卸しする

最初の工程でやることは、目的を1文にすることと、その達成を測る指標を1つだけ選ぶことです。実務では「問い合わせを増やす」「採用の応募を増やす」「会社の信頼感を高める」が同時に並ぶことがよくあります。3つとも正しい目的ですが、3つ並べた時点で、後工程のあらゆる判断が誰の意見が強いかで決まるようになります。トップページの主役を何にするか、事例と採用情報のどちらを上に置くかで、必ず割れます。

指標も1つに絞ります。複数持つと、公開後に結果を評価できなくなるからです。問い合わせ件数を主指標に置いたなら、滞在時間や表示回数は参考値として扱い、意思決定の根拠には使わない。ここを決めておくと、公開後3か月の会議が「どの数字を見るか」の議論から始まらずに済みます。

2番目の棚卸しは、ページを数える作業ではありません。1年間ほとんど見られていないページを特定する作業です。多くの会社サイトでは、閲覧の大半が数十ページに集中し、残りは年に数回しか開かれません。それを移設対象に含めるかどうかで、原稿の量も期間も費用も変わります。棚卸しの結果は、残す・作り直す・捨てるの3つに仕分けて、捨てる判断をした理由まで1行で残しておきます。

工程3:要件と優先順位。やらないことを同じ分量で書く

要件をまとめる段階で多くの会社が作るのは、ほしい機能の一覧です。検索機能、事例の絞り込み、資料のダウンロード、多言語対応。ここで抜けるのが、予算や期間が足りなくなったときに、どれから削るのかという順番です。削る順番を書いていない要件一覧は、実質的に全部が最優先という意味になり、後半で必ず揉めます。

実務で効く書き方は単純です。要件を3段に分けます。無いと公開できないもの、公開後3か月以内に足せばよいもの、当面やらないと決めたもの。3段目を書くのが最も重要で、ここに書いた項目は、以後の会議で蒸し返されたときに参照できます。やらないと決めた記録が無いと、同じ議論を毎月やり直すことになります

この段階で提案依頼書の形にまとめておくと、複数社に声をかけたときの比較基準がそろいます。目的、対象範囲、必須要件、日程の制約、社内の体制、予算の幅。この6項目が書いてあれば、返ってくる提案の粒度が合い、金額の差が何から来ているのかを読めるようになります。逆に口頭の説明だけで見積もりを取ると、各社が想定した範囲がばらばらになり、安い提案が実は範囲を狭く読んでいただけということが起こります。

工程4:情報設計。ページの並びではなく、探し方を決める

情報設計というと、サイトマップを作る作業だと思われがちです。実際に決めているのは、訪問者がどの入口から入り、何を確かめて、どこで問い合わせるかという経路です。会社サイトの場合、トップページから順に見る人は少数で、多くは検索結果から個別のページへ直接入ってきます。つまり、どのページも入口になり得るという前提で設計する必要があります。

経路を決めるときは、訪問者の種類ごとに分けて考えます。会社の規模や実績を確かめに来た見込み客、技術的な条件を確かめに来た情報システム部門、取引条件を確かめに来た調達部門、そして採用の応募者。それぞれが最初に見るページと、次に見たいページは違います。この経路を3本ほど紙に書き出しておくと、ページの並びは自然に決まります。

情報設計は、9工程の中で後戻りの被害が最も大きい工程です。デザインが1画面できてから構成を変えると、その画面のやり直しだけでなく、下層ページの展開も原稿の割り当ても組み直しになります。だからこの工程の承認は、絵ができる前に取ります。文字だけの構成案で承認を取るのは決裁者にとって想像しづらい作業ですが、ここを飛ばした分は必ず後で払うことになります。

工程5:原稿。9工程の中で日程がいちばん詰まる場所

原稿が詰まる理由は、書く作業が難しいからではありません。書ける人が本業を持っていて、書く時間が業務時間として確保されていないからです。事業部に「自部門のページの原稿をお願いします」と依頼書を回し、返ってこないまま2か月が過ぎる。これは会社サイトの制作で最も多く見る詰まり方です。

対策は3つあります。1つ目は、部署ごとに書く人と確認する人を名前で決めること。役職で決めると誰も自分のことだと思いません。2つ目は、白紙から書かせないこと。既存ページの文章と、伝えたい要点を並べた下書きを先に渡し、直す作業に変える。3つ目は、締め切りを1回ではなく2回置くこと。素案の締め切りと確定の締め切りを分けると、素案の段階で方向のずれに気づけます。

ここはAIが最も効く工程でもあります。既存ページの文章から要点を抜き出す、決めた構成に沿って初稿を組む、部署をまたいだ表記のゆれを洗い出す。どれも量が多くて判断の幅が狭い作業です。ただし実在する取引先の名前や導入事例、金額や実績の数字は、AIの出力から取ってはいけません。この2種類は必ず一次資料に当たり、掲載の許諾まで取ります。

工程6:デザイン。中身を決める前に、決め方を決める

デザインの工程が長引くとき、原因のほとんどは「誰が決めるのか」が決まっていないことです。最初の1画面を見た瞬間から社内の関係者が意見を出し始め、方向の違う要望が同時に届く。制作会社は全部を反映しようとして案が薄まり、また意見が出る。この往復に入ると、3週間の予定が2か月になります。

先に決めておく項目は4つです。最終決裁者を1人にすること、意見を集める範囲を決めること、修正の回数に上限を置くこと、参考例を3件から5件そろえて共有すること。修正回数の上限は、実務では最初の1画面で2回程度が目安として置かれます。上限を決めておくと、意見を出す側も「これが最後の1回だ」という前提で優先順位を付けるようになります。

参考例の共有は、言葉での説明よりはるかに早く伝わります。ただし「格好いい」ではなく、どこが良いのかを言葉にして添えます。余白の取り方なのか、写真の使い方なのか、情報の詰め方なのか。良いと思った理由が言語化されていない参考例は、かえって認識のずれを生みます。AIに複数案の下書きを出させることはできますが、どれを選ぶかの判断と、その理由を1行で残す仕事は人の側に残ります。

工程7:実装。技術と法令の条件は、着手前にまとめて渡す

実装が始まってから追加される条件は、ほぼすべてやり直しにつながります。だから技術と法令の条件は、着手前に一覧で渡します。渡す内容は3種類です。動作環境の条件、アクセシビリティの水準、そして外部への情報送信に関する表示です。

アクセシビリティについては、法令の位置づけを正確に押さえておきます。2024年4月に施行された改正障害者差別解消法で、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました。ただし、ウェブアクセシビリティ対応そのものは環境の整備にあたり、努力義務という位置づけです。日本産業規格のウェブアクセシビリティ規格は2016年版が現行で、達成基準は知覚可能・操作可能・理解可能・堅牢の4原則に分類され、レベルA が25項目、レベルAA が13項目、合わせて38項目です。民間事業者はレベルAA を目標に置くのが一般的な整理とされています。

もう1つが、外部への情報送信に関する表示です。2023年6月16日に施行された改正電気通信事業法で、利用者の端末に記録された情報を外部へ送信させる通信について、公表などの対応が求められるようになりました。公表する内容は3つ、送信される利用者情報の内容、送信先の名称、利用目的です。対応方法は通知、公表、同意取得、拒否できる措置の4通りが挙げられています。対象となる事業の類型は限られているため、自社の会社サイトが該当するかは法務部門に確認してください。解析用の記述を後から足す運用にすると、この表示の更新が漏れます。

工程8:検収。何をもって合格とするかを、実装前に書く

検収でよく起きるのは、確認する側が見た瞬間の印象で意見を言い、制作側が「それは要件に入っていません」と返す形の対立です。原因は単純で、合格の基準が実装前に書かれていないからです。基準が無いと、検収は品質確認ではなく、最後の要望を出す場になります。

実装が始まる前に、確認できる形で書いておく項目は次のとおりです。どれも見た瞬間の印象ではなく、その場で確かめられる形にしてあるのが要点です。

  • 決めた経路のとおりに、3種類の訪問者が目的のページまで到達できる
  • 問い合わせの入力欄で、入力を誤ったときに何が悪いのかが画面に出る
  • 画面の幅を狭くしたときに、文字が重ならず読める
  • 画像に代替の説明文が入っている。装飾だけの画像には入れない
  • 外部への情報送信に関する表示が、公開時点の実態と一致している
  • 旧サイトのページから、新しい対応するページへ転送される設定が入っている
  • 管理画面から、担当者が実際に1ページ作って公開できる

最後の項目は特に飛ばされます。公開後に更新できるかどうかは、検収の場で担当者に実際に1ページ作らせてみないと分かりません。ここで操作が難しいと分かれば、公開前に手順書を作る時間が取れます。公開してから気づくと、更新が止まったまま1年が過ぎます

工程9:公開後の運用。最初の3か月分を契約に書き込む

公開は終わりではなく、運用の開始日です。ところが多くの契約は公開日で切れており、翌月から誰も更新しない状態になります。避けるには、契約の段階で最初の3か月に何をするかを書いておきます。書く内容は、更新の担当者、月あたりの更新可能な回数、不具合が出たときの連絡先と対応の期限、そして3か月後に何を見て評価するかの4つです。

公開直後に必ずやることも決めておきます。表示の崩れがないかを複数の環境で確認する、問い合わせが実際に届くかを送信して確かめる、検索エンジンに新しい構成を伝える、そして流入の変化を毎週記録する。特に問い合わせの到達確認は、公開当日に実際の送信で確かめます。設定の不備で数週間分の問い合わせが届いていなかった、という事故は珍しくありません。

作り直しの場合は、もう1つ論点があります。既存ページの検索評価をどう引き継ぐかです。旧いページと新しいページの対応表を作り、転送の設定を入れ、公開後しばらくは順位の変動を見守る。これは工程としては実装と公開後の運用にまたがりますが、進め方の話とは別に、独立した手順として押さえるべき領域です。ここを軽く見ると、公開した瞬間に検索からの流入が半減します。

AIで速くなる工程と、速くならない工程

ここが、この記事でいちばん伝えたい切り分けです。AIを入れて目に見えて縮むのは、量が多くて、判断の幅が狭い作業です。逆に、社内の人間関係と責任が絡む作業はまったく縮みません。この2つを混ぜたまま日程を組むと、縮む前提で引いた線が守れなくなります。

工程AIで縮むか具体的に任せられること
現状の棚卸し縮む既存ページの一覧化、見られていないページの抽出、内容の重なりの検出
要件の言語化縮む口頭で出た要望を要件の文に整える。抜けている観点を挙げさせる
情報設計の候補出しやや縮む訪問者の種類ごとの経路案を複数出す。採用するのは人
原稿大きく縮む既存文章の要約、構成に沿った初稿、表記ゆれと重複の検出
デザインほぼ縮まない参考例の整理程度。決め方と決裁は人の作業
検収前の確認縮む合格基準の一覧と実物の突き合わせ、抜け漏れの指摘
社内の合意形成縮まない会議の日程と決裁の回数が制約。AIでは動かせない
事例の掲載許諾縮まない相手企業への依頼と回答待ちの時間がそのまま残る
数値の裏取り縮まない一次資料の確認と社内承認が必要。出力をそのまま使えない

表の下3行が、日程の骨です。合意形成、掲載許諾、数値の裏取り。この3つは相手のある作業で、こちらの処理速度では短くなりません。取引先に事例掲載を依頼して回答が来るまでの2週間は、AIを何台並べても2週間のままです。だから工程表では、この3つを最初に置いて、並行して進む作業をその周りに配置します。

AIに渡してはいけない判断と、根拠の書かせ方

渡してはいけない判断は3つあります。掲載してよい情報かどうかの判断、事例と数値が事実かどうかの確認、そして公開してよいかどうかの最終判断です。理由は能力の問題ではありません。この3つは、間違えたときに会社が責任を負う種類の判断で、判断した人の名前が残っていないと成立しないからです。

原稿の工程で最も多い事故は、実在しない実績や、社内で確認されていない数字が初稿に混ざり、そのまま公開まで通ってしまうことです。防ぎ方は2つあります。1つは、数字と固有名詞を含む文には、必ず出どころを併記させること。出どころの無い数字は、その時点で削る対象にします。もう1つは、人が確認する範囲を先に決めることです。全文を人が読み直すのは現実的ではないので、数字・固有名詞・法令に触れる記述の3種類に限って、必ず人が一次資料に当たると決めます。

確認の担当も先に決めます。書いた人が確認すると、書いた前提で読むため誤りに気づけません。書いた人とは別の人が、出どころの資料を開いて突き合わせるという形にします。人数が足りない場合は、日を空けてから読むだけでも効果があります。この一手間を省いた原稿が公開されると、訂正のコストは制作費より高くつきます。

制作会社への渡し方。文章で渡すか、画面の一覧で渡すか

同じ内容でも、渡し方によって返ってくる見積もりの精度が変わります。実務で使われるのは2つの形です。1つは文章の依頼書で、目的と要件と制約を文で書きます。もう1つは画面の一覧で、必要なページを行に並べ、各ページに何を載せるかを列に書きます。

文章で渡すのは、まだ構成が固まっていない段階に向いています。制作会社の提案の幅が広がり、想定していなかった構成案が出てくることがあります。一方で、範囲の読み方が各社でばらつくため、金額の比較がしづらくなります。画面の一覧で渡すのは、構成がほぼ固まっている段階に向いています。ページ数が確定するため見積もりの精度が上がり、各社の金額差が単価の差として読めるようになります

  • 最初の1社目には文章で渡して提案の幅を見る。2社目以降の相見積もりは画面の一覧で条件をそろえる、という使い分けが実務では機能する
  • 画面の一覧には、各ページの原稿を誰が書くかの列を必ず足す。ここが空欄のまま発注すると、原稿の工程で必ず止まる
  • 既存サイトからの流用と新規作成を、ページごとに区別して書く。流用と書いてあるページの原稿確認を省くと、古い情報がそのまま公開される
  • 写真の撮影が必要かどうかも一覧に入れる。撮影は日程が相手都合で決まるため、後から足すと1か月単位で伸びる
  • 管理画面から自社で作れるページと、制作会社に依頼するページを分けて書く。分けないと運用開始後の費用が読めない

どちらの形で渡す場合も、共通して書いておくことがあります。公開の希望日と、その日が動かせるかどうかです。展示会や決算発表に合わせて動かせない日であれば、制作会社は逆算して工程を組みます。動かせるなら、品質を優先した工程が組めます。ここを言わずに希望日だけ伝えると、間に合わせるために検収の期間から削られます。

よくある質問

作り直しをすると、検索順位は落ちますか

何もしなければ落ちる可能性が高く、手順を踏めば維持できます。落ちる理由は、検索エンジンの評価がページの住所ごとに積み上がっているためで、住所が変わると評価の引き継ぎが必要になるからです。旧いページと新しいページの対応表を作り、転送の設定を入れるのが基本の手順です。公開後は数週間の変動を見守ります。これは進め方とは独立した専門領域なので、実装の見積もりに含まれているかどうかを発注前に確認してください

公開までの期間を短くする方法はありますか

最も効くのは、着手前に原稿と写真をそろえておくことです。次に効くのは、決裁者を1人にして修正回数の上限を決めること。この2つで、実務では数週間単位の短縮が見込めます。逆に、作業を速い会社に頼み替えても、待ち時間は短くなりません。ページ数を減らすのも有効です。1年間ほとんど見られていないページを移設対象から外すだけで、原稿の工程が大きく軽くなります。

制作費は費用として処理できますか、資産になりますか

見積書の内訳の書き方によって分かれます。単純な情報掲載のための制作か、機能を伴う仕組みの構築かで扱いが変わるため、見積もりを取る前に経理と方針を合わせておくのが安全です。稟議を書いてから経理に止められると、金額の再交渉から始まります。会計処理そのものは進め方とは別の論点なので、担当を分けて並行で進めてください。

原稿をAIに全部書かせてもよいですか

初稿を組ませるところまでは有効です。ただし、数字・固有名詞・法令に触れる記述の3種類は、必ず人が一次資料に当たって確認します。取引先の事例を載せる場合は、原稿の確認とは別に、相手企業からの掲載許諾を書面で取ります。この許諾の取得は相手の都合で日数が決まるため、原稿の工程が始まる前に依頼を出しておきます

提案依頼書は必ず作るべきですか

複数社に声をかけるなら作る価値があります。目的、対象範囲、必須要件、日程の制約、社内の体制、予算の幅の6項目が書いてあれば、各社の提案の粒度がそろい、金額差が何から来ているのかを読めます。1社に決め打ちで頼む場合でも、この6項目を文章にしておくと、社内の合意形成が先に済むという副次的な効果があります。

よくある失敗の型

最後に、実際に起きる失敗を並べます。どれも進行の途中では気づきにくく、後半になって日程と品質の両方を削る形で表面化します。

  • 目的を3つ並べたまま着手する——後工程のあらゆる判断が、誰の意見が強いかで決まるようになる
  • 作業日数だけで工程表を引く——決裁が月1回しか通らない制約が入っておらず、最初の線が守れなくなる
  • 絵ができてから情報設計を承認する——構成の変更が、デザインと原稿の両方のやり直しに波及する
  • 原稿の担当を役職で決める——誰も自分のことだと思わず、依頼書が回ったまま2か月が過ぎる
  • 修正回数の上限を決めない——意見を出す側が優先順位を付けなくなり、案が薄まって往復が続く
  • 合格基準を書かずに検収へ入る——品質確認ではなく、最後の要望を出す場になる
  • AIの出力に含まれる数字と固有名詞を確認せず公開する——訂正のコストが制作費を上回る
  • 契約を公開日で切る——翌月から更新が止まり、1年後には作り直しの検討が始まる

並べてみると、共通点が見えます。どれも、決めるべきことを決めないまま次の工程へ進んだ結果として起きています。制作会社は決まっていないことを埋めることはできますが、決めることはできません。進め方の設計とは、各工程の終わりに何を確定させるかを先に書いておく作業そのものです。

まとめ

法人サイトの制作は、9つの工程で進みます。目的と指標を1つに絞る、現状を棚卸しする、要件と優先順位を決める、情報設計を決める、原稿を作る、デザインを決める、実装する、検収する、公開後の運用に引き渡す。制作期間の目安は10ページから20ページで2か月から3か月、30ページから50ページで4か月から6か月ですが、実際に日程を決めているのは作業日数ではなく、決裁待ちと素材待ちの時間です。

だから工程表は、作業日数を積み上げるのではなく、決裁の日を先に押さえて組みます。そして各工程の終わりに発注側が何を確定させるかを書いておきます。目的を1文にする、削る順番を書く、絵ができる前に構成を承認する、決裁者を1人にする、合格基準を実装前に書く。この5つを押さえるだけで、後半の手戻りは目に見えて減ります。

AIで速くなるのは、棚卸し、要件の言語化、原稿の初稿、検収前の突き合わせです。速くならないのは、社内の合意形成、実在事例の掲載許諾、数値の裏取りの3つで、これらは相手のある作業だからです。この3つを工程表の先頭に置き、周りに並行作業を配置するのが現実的な組み方になります。そしてAIには、掲載してよいかの判断、事実確認、公開の可否という3つの判断を渡さない。数字と固有名詞には出どころを併記させ、人が一次資料に当たる範囲を先に決めておく。この線引きが、公開後に訂正を出さないための最後の防波堤になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

コンテンツ制作にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次