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工程や受入検査で出た不適合の報告を Power Automate で受け、不適合の種類と重大度を分けて担当と処置の期限を決め、似た過去の不適合を添える

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

受入検査と工程で見つかった不適合の報告を受けたその場で、不適合の種類と重大度を分け、処置の担当と期限を決めて台帳に載せます。同じ品番・同じ仕入先の過去の不適合から似たものを選んで添えます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
建設/製造
対象部門
品質管理/購買
対象業務
分類・仕分け/台帳・マスタ管理
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
70%
年間削減
504h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受入検査の担当か工程の班長が、不適合報告をリストに起票する
  2. 品質管理課の受付担当が新しい報告を開き、現象と調べたことを読む
  3. 不適合の種類(寸法・外観・材質・機能・員数・表示など)と重大度を決める
  4. 台帳を品番と仕入先で検索し、似た不適合が過去に無いかを見る
  5. 処置の担当(購買課・製造課・生産技術課)と、処置を決める期限を決める
  6. 台帳の項目を埋め、担当へ Teams で知らせる
  7. 期限が近づいても処置が決まっていないものを、受付担当が気づいたときに催促する
導入後(After)
  1. 人受入検査の担当か工程の班長が、これまでどおり不適合報告を起票する
  2. 自動起票をきっかけにフローが動き、報告の項目と添付の数を取り出す
  3. 自動「出荷済み」「客先で発見」「安全・法規に関わる」のチェックが付いていれば、重大度をAとして先に課長へ知らせる
  4. 自動台帳から同じ品番か同じ仕入先の直近24か月の不適合を引き、候補にする
  5. 自動AIが不適合の種類と影響の区分を選び、根拠の文を写す。候補の中から似たものを最大3件選び、共通点を書く
  6. 自動影響の区分×発見の段階を重大度の表に当てはめ、再発の条件に当たれば是正処置の要否を「要検討」にする
  7. 自動担当表と期限の規則から、処置の担当と期限(暫定処置・処置の決定・是正の要否の判断)を出す
  8. 自動台帳の行を更新し、品質管理課の判定者へ Teams のカードを出す
  9. 人判定者がカードで種類・重大度・似た不適合を確かめ、「確定」か「修正して確定」を押す
  10. 自動確定した内容を台帳に書き戻し、処置の担当へ知らせる。期限の前日と当日に、処置が決まっていなければ知らせる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受入検査の担当か工程の班長が、不適合報告をリストに起票する
  2. 品質管理課の受付担当が新しい報告を開き、現象と調べたことを読む
  3. 不適合の種類(寸法・外観・材質・機能・員数・表示など)と重大度を決める
  4. 台帳を品番と仕入先で検索し、似た不適合が過去に無いかを見る
  5. 処置の担当(購買課・製造課・生産技術課)と、処置を決める期限を決める
  6. 台帳の項目を埋め、担当へ Teams で知らせる
  7. 期限が近づいても処置が決まっていないものを、受付担当が気づいたときに催促する

(a)重大度が人によって違う。 同じ「ねじ穴のピッチがずれている」でも、組付けに支障が出るとみてAにする人と、外観に近いとみてBにする人がいます。重大度の定義は文書にありますが、どの記述がどの定義に当たるかの判断は担当者ごとです。 月末に重大度別の件数を数えても、比べられません。

(b)過去の不適合を探すのに時間がかかる。 台帳は5年分で数千行あり、似た現象かは1行ずつ読まないと分かりません。忙しい日は4番目が省かれ、同じ仕入先の同じ現象が3回目になってから気づくことがあります。

(c)期限が決まらないまま残る。 期限が空欄のまま担当へ回る報告があり、 受入で保留にした部品が倉庫に何週間も残ります。

  1. 【人】 受入検査の担当か工程の班長が、これまでどおり不適合報告を起票する
  2. 【自動】 起票をきっかけにフローが動き、報告の項目と添付の数を取り出す
  3. 【自動】 「出荷済み」「客先で発見」「安全・法規に関わる」のチェックが付いていれば、重大度をAとして先に課長へ知らせる
  4. 【自動】 台帳から同じ品番か同じ仕入先の直近24か月の不適合を引き、候補にする
  5. 【自動】 AIが不適合の種類と影響の区分を選び、根拠の文を写す。候補の中から似たものを最大3件選び、共通点を書く
  6. 【自動】 影響の区分×発見の段階を重大度の表に当てはめ、再発の条件に当たれば是正処置の要否を「要検討」にする
  7. 【自動】 担当表と期限の規則から、処置の担当と期限(暫定処置・処置の決定・是正の要否の判断)を出す
  8. 【自動】 台帳の行を更新し、品質管理課の判定者へ Teams のカードを出す
  9. 【人】 判定者がカードで種類・重大度・似た不適合を確かめ、「確定」か「修正して確定」を押す
  10. 【自動】 確定した内容を台帳に書き戻し、処置の担当へ知らせる。期限の前日と当日に、処置が決まっていなければ知らせる

9番目が、この設計の分かれ目です。 重大度と期限は処置の担当と仕入先を動かす値なので、全件を判定者が確定してから流します。 判定者が読むのは原文ではなく、AIが選んだ区分と根拠の文、似た不適合の共通点です。

02今回想定するシステム構成

構成図
不適合報告(SharePoint リストの入力画面。受入検査の担当・工程の班長が起票)
   │
   ▼【トリガー】When an item is created
Power Automate(クラウドフロー)
   ├──▶ 出荷済み・客先・安全法規のチェック ── 当たれば重大度Aで課長へ先に連絡
   ├──▶ Get items:不適合台帳から同じ品番・同じ仕入先の直近24か月(候補)
   ├──▶ Get items:種類の定義表/影響の区分の定義表
   ▼
AI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)
   │   不適合の種類/影響の区分/根拠の文/似た過去の不適合(最大3件)と共通点
   ▼
Power Automate
   ├──▶ 重大度の表(影響の区分 × 発見の段階)を当てはめる
   ├──▶ 再発の条件(同じ品番か同じ仕入先で同じ種類が12か月に2件以上)
   ├──▶ 担当表と期限の規則(稼働日カレンダー)から担当と期限を出す
   ├──▶ Update item:台帳の行を更新
   ▼
Microsoft Teams ── Post adaptive card and wait for a response(品質管理課の判定者)
   │   確定/修正して確定
   ▼
台帳に書き戻す ──▶ 処置の担当へ通知 ──▶ 期限の前日・当日の催促(別のフロー)
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウドフロー)Make、n8n、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
連携SharePoint リスト(不適合台帳・定義表・重大度の表・担当表・稼働日カレンダー)Microsoft Lists
通知Microsoft Teams(品質管理課の判定者のチャネル、処置の担当への連絡)Outlook のメール

入口は、SharePoint の When an item is created です。 不適合台帳のリストに行が作られたときに動きます。似たトリガーに When an item is created or modified がありますが、こちらは修正のたびにも動きます。 フローが自分で台帳を更新するので、修正でも動くトリガーにすると、自分の書き込みで何度も動き直します。

AIは、AI Builder のプロンプトを Run a prompt で呼びます。 2025年5月から「Create text with GPT using a prompt」の名前が Run a prompt に変わっています。出力は JSON にでき、形を例から読み取る Auto detected と、例を書き換えて固定する Custom があり、保存したときの形が実行時にも使われます。

判定者への確認は、Teams の Post adaptive card and wait for a response で出します。 カードをチャットかチャネルに出し、誰かが応答するまでフローを止めて待つアクションです。返ってきた値を、そのまま台帳に書き戻せます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

不適合報告の行が作られたことを起点にします。 When an item is created は新しい行ごとに動くので、夜勤帯に起票された報告も、その場で重大度と期限が付きます。 1日1回の定時実行にはしません。まとめて処理すると、受入で保留にした部品の処置が1日ずつ遅れます。

フローは3本に分けます。 1本目は、起票を受けて分類し、台帳を更新してカードを出すフロー。2本目は、毎朝8時に台帳を見て、処置の決定の期限が前日か当日なのに「処置の決定」が空の行を担当へ知らせるフロー。3本目は、毎月の初めに前月の重大度別・種類別・仕入先別の件数を品質管理課長へ送るフローです。1本目はカードの返事を待つあいだ止まっているので、催促の役は別のフローに持たせます。

「現象」「発見の段階」「品番」は必須の列にします。 空に近い行でフローが動くのを防ぐためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
不適合報告発見の段階、品番、ロット番号、仕入先コード、数量、発見日、現象、調べたこと、チェック欄(出荷済み・客先で発見・安全法規)、添付の有無不適合台帳(トリガーの行)
種類の定義表寸法・外観・材質・機能・員数・表示・梱包などの区分ごとに、定義・典型的な書き方・含めないものSharePoint リスト
影響の区分の定義表安全・法規/機能・組付け/外観のみ/影響の確認待ち の4区分と、それぞれの判断の目安SharePoint リスト
過去の不適合の候補同じ品番か同じ仕入先の直近24か月の不適合の番号・発生日・種類・現象・処置・是正の有無不適合台帳
重大度の表・担当表・期限の規則影響の区分×発見の段階→重大度、種類×段階→処置の担当、重大度→各期限の稼働日数SharePoint リスト

質を決めるのは、影響の区分の定義表です。 「機能・組付け」と「外観のみ」の境目を、「相手部品と組み付く面か」「図面の重要寸法の記号が付いているか」のように、記述から判断できる言葉で書きます。経験の長い担当者の判断を言葉にする作業で、第3章の(a)のぶれは、ここで止めます。

「影響の確認待ち」の区分を必ず作ります。 現象は書かれているが、機能に影響するかがまだ分からない報告は少なくありません。この区分が無いと、AIはどちらかに寄せて選びます。確認待ちは重大度の表で一段上の扱いにし、確かめてから下げます。

過去の候補は、フローの側で数を絞ってから渡します。 品番が同じものと、仕入先が同じで種類が近そうなものを合わせて最大30件にします。それより多いときは発生日の新しいものから取ります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
起票された行不適合台帳When an item is created のトリガーの出力
添付の一覧不適合台帳の行Get attachments(件数と名前だけを使う)
過去の不適合の候補不適合台帳Get items の Filter Query で品番か仕入先コードと発見日を絞り、Top Count で上限
定義表・重大度の表・担当表・期限の規則SharePoint リストGet items
稼働日カレンダーSharePoint リストGet items(期限を稼働日で数えるため)

Get items の Filter Query には OData の条件式を書けます。 「品番が同じ、または仕入先コードが同じ」かつ「発見日が24か月以内」かつ「自分自身の行ではない」で絞ります。台帳の全件を読んでからフローの中で絞ると、5年分の行で遅くなります。 Top Count で取る件数の上限も決めます。

写真はAIに渡しません。 添付の枚数だけを記録し、判定者がカードから開いて見ます。写真から傷の程度を推し量らせると、記述に無い事実が台帳に入ります。

過去の候補は、1件ごとに番号・発生日・種類・現象の先頭100文字・処置・是正の有無だけにして渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. チェック欄の確認 … 「出荷済み」「客先で発見」「安全・法規に関わる」のどれかにチェックがあれば、AIを通さずに重大度Aとし、品質管理課長へ先に知らせます。 そのあとで分類は通常どおり行います
  2. 空に近い報告の確認 … 現象が10文字未満なら、AIに渡さず起票者へ聞き返します
  3. 品番と仕入先コードの形の確認 … 品番の桁と仕入先コードの形が決まりに合わないものは「形が合わない」と印を付け、AIに直させません
  4. 発見の段階と仕入先の整合 … 受入の不適合で仕入先コードが空なら、起票者へ聞き返します。工程の不適合で仕入先コードがあれば「購入品起因の疑い」として残します
  5. 過去の候補の絞り込みと要約 … 上の取得方法のとおり、最大30件にして短い表にします
  6. 起票者名の扱い … 起票者の氏名はプロンプトに渡さず、台帳にだけ残します

1番目をAIの前に置くのは、この3つが重大度を決める事実そのものだからです。 AIの区分がどうであれ、重大度はAより下がりません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、報告の記述を定義表に照らして種類と影響の区分を1つずつ選び、根拠の文を写すことと、過去の候補から似たものを選んで共通点を書くことです。

項目させること判断できないときの扱い
不適合の種類種類の定義表から1つ選ぶ当てはまらなければ unclassified
影響の区分影響の区分の定義表から1つ選ぶ記述から決まらなければ pending_check(確認待ち)
根拠種類と影響の区分を選んだ根拠の文を報告から写す写せなければ unclassified
図面の重要寸法への言及「重要寸法」「保安部品」などの記述があれば写す無ければ空
似た過去の不適合候補から最大3件を選び、共通点(同じ品番・同じ現象・同じ工程など)を書く似たものが無ければ空の配列

影響の区分の右端を pending_check にしているのが要です。 「端面にへこみ」とだけ書かれた報告で、組み付く面かどうかが書かれていなければ、機能とも外観とも決められません。決められないことを値として返させれば、重大度の表がそれを一段上で扱います。

させないこと理由
重大度を決めること影響の区分×発見の段階の表で決める。基準を変えるたびにプロンプトを直さない
処置(特採・選別・返品・廃却)を提案すること品質管理課と関係部署が決める
原因を推定すること原因の調査は仕入先と生産技術の仕事
再発かどうかを決めること同じ品番・仕入先・種類の件数で、フローが規則で決める
品番・ロット番号・数量を直すこと追跡に使う値。原文のまま

4行目も大事です。 AIに「再発か」を聞くと、似た現象の記述があるだけで再発と書きます。再発の判定は「同じ品番か同じ仕入先で、同じ種類が12か月に2件以上」という数え方で決め、AIの共通点の記述は判定者が読む材料にとどめます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは部品メーカーの品質管理課で、不適合報告を台帳に登録する立場です。
報告に書かれていることだけを使って、決まった項目を埋めてください。
推測で埋めないでください。

【不適合の種類の選び方】
- 下の「種類の定義表」の区分から1つだけ選んでください。
- 定義表の「含めないもの」に当たる場合は、その区分を選ばないでください。
- どれにも当てはまらない、または迷う場合は unclassified にしてください。
  迷ったときに近そうな区分を選ばないでください。

【影響の区分の選び方】
- 下の「影響の区分の定義表」から1つだけ選んでください。
- 機能・組付けに影響するか、外観だけかが報告から決められない場合は、
  pending_check を選んでください。どちらかに寄せないでください。
- 「重要寸法」「保安部品」「法規」などの語が報告にあれば、
  その文を critical_mention にそのまま写してください。

【根拠】
- 種類と影響の区分のそれぞれについて、選んだ根拠の文を報告から
  そのまま写してください。写せる文が無い場合は unclassified にしてください。

【似た過去の不適合】
- 下の「過去の不適合の候補」から、今回の報告と似ているものを最大3件選び、
  番号と共通点を書いてください。共通点は「同じ品番」「同じ仕入先」
  「同じ現象」「同じ工程」のように、候補に書かれている事実で書いてください。
- 似ているものが無ければ、空の配列にしてください。
  件数を埋めるために似ていないものを選ばないでください。
- 再発かどうか、是正が必要かどうかは書かないでください。

【厳守事項】
- 重大度、処置(特別採用・選別・返品・廃却)、原因の推定は書かないでください。
- 品番・ロット番号・数量は、報告のとおりに写してください。
  桁を補う、記号を直すことをしないでください。
- 候補に無い過去の不適合の番号を書かないでください。
- Don't include JSON markdown in your answer.

【種類の定義表】{type_definitions}
【影響の区分の定義表】{impact_definitions}
【報告】発見の段階:{stage}/品番:{part_no}/ロット番号:{lot_no}
    仕入先コード:{supplier_code}/数量:{qty}/発見日:{found_on}
    現象:{phenomenon}
    調べたこと:{investigation}
【過去の不適合の候補】{candidates}

「迷ったときに近そうな区分を選ばない」と「どちらかに寄せない」を明記しないと、必ずどこかに入ります。 モデルは何か選ぶほうを好み、新しい現象ほど既存の区分に押し込まれて台帳から見えなくなります。

「件数を埋めるために似ていないものを選ばない」も同じ理由です。 最大3件と書くと、3件そろえようとして共通点の薄いものまで選びます。判定者は3件とも読むので、関係の無い1件が確認の時間を増やします。

最後の英文の1行は、公式の案内に合わせたものです。 JSON が作れないというエラーが出るとき、この一文を足すよう案内されています。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 AI Builder のプロンプトの出力を JSON にし、例を書き換えて Custom の形に固定します。

{
  "nc_type": "寸法 | 外観 | 材質 | 機能 | 員数 | 表示 | 梱包 | unclassified",
  "nc_type_evidence": "",
  "impact": "safety_legal | function_fit | appearance_only | pending_check",
  "impact_evidence": "",
  "critical_mention": "",
  "similar_cases": [
    { "nc_no": "", "common_points": "" }
  ],
  "part_no_as_written": "",
  "lot_no_as_written": "",
  "qty_as_written": ""
}

JSON にする理由の1つ目は、重大度を表で決められることです。 impact と発見の段階を、フローの条件分岐で表に当てはめます。

影響の区分 \ 発見の段階受入工程出荷前・客先
safety_legalAAA
function_fitBBA
pending_checkBBA
appearance_onlyCCB
共通前処理でチェック欄に当たれば A。critical_mention が空でなければ一段上げる

2つ目は、期限を規則で出せることです。 重大度ごとに「暫定処置」「処置の決定」「是正の要否の判断」の稼働日数を期限の規則に持たせ、稼働日カレンダーで数えて日付にします。期限が空のまま担当へ回ることが、なくなります。

重大度暫定処置処置の決定是正の要否の判断
A当日1稼働日3稼働日
B1稼働日3稼働日5稼働日
C-5稼働日10稼働日

3つ目は、similar_cases を照合できることです。 返ってきた nc_no が候補の番号に含まれるかを確かめ、含まれないものを捨てます。そのうえで、再発の条件(同じ品番か同じ仕入先で、同じ種類が12か月に2件以上)はフローが台帳の件数で判定し、 当たれば「是正の要否」を「要検討」にします。AIの共通点の記述は判断の材料で、判定ではありません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
不適合台帳(SharePoint リスト)When an item is created、Get items、Update item起票の受け取り、過去の候補の取得、判定結果の書き戻し
不適合台帳の添付Get attachments添付の件数と名前の記録
定義表・重大度の表・担当表・期限の規則・稼働日カレンダーGet items分類と期限の材料を引く
AI Builder のプロンプトRun a prompt種類・影響の区分・似た過去の不適合
Microsoft TeamsPost adaptive card and wait for a response判定者へのカードと、確定・修正の受け取り
Microsoft TeamsPost message in a chat or channel重大度Aの先行連絡、処置の担当への通知、期限の催促

カードには、報告の原文、AIが選んだ種類と影響の区分とその根拠の文、表から出た重大度とその理由、期限、似た過去の不適合の番号と共通点を並べます。 選択欄で種類・影響の区分・重大度を直せるようにし、ボタンは「確定」と「修正して確定」の2つです。過去の不適合の番号は台帳の行へのリンクにして、カードから開けるようにします。

チャネルとカードの大きさに制約があります。 Teams の公式の説明では、プライベートチャネルへの投稿は現在できないとされているので、判定者のチャネルは標準チャネルにします。カードを含むメッセージは約28KBが上限とされているので、報告の原文は先頭だけを載せ、台帳へのリンクを付けます。

生産管理システムと仕入先へは書き込みません。 受入の保留の解除やロットの止めは品質管理課が生産管理システムで行い、仕入先への処置の要求は購買課が出します。この構成が出すのは、誰がいつまでに決めるかまでです。

Step9

人が確認する

人が確かめるのは、次の3つの場面です。

  1. 判定者がカードを開いたとき(全件) … 種類・影響の区分・重大度・期限を確かめ、違えば直して確定します。 似た過去の不適合は、番号のリンクから1件ずつ開いて確かめます
  2. 重大度Aの先行連絡を受けた課長 … チェック欄に当たった報告を、分類の結果を待たずに見ます
  3. 再発の条件に当たった報告 … 「是正の要否」が「要検討」になったものを、購買課と品質管理課で仕入先へ是正を求めるかを決めます

全件を確定するのは、誤った重大度Cのまま流れると期限が10稼働日先になり、重大な不適合が2週間放置されるからです。

判定者が直した記録を毎週数えます。 種類と影響の区分のどちらを、どこからどこへ直したかを集計すると、定義表のどの境目が言葉になっていないかが分かります。

目標は、180件をならして1件6分です。 カードを読んで確定するだけの報告は数分、似た過去の不適合を開いて読む報告や、区分を直す報告は10分ほどかかります。6分を大きく超える月は、定義表か重大度の表が現場の実態とずれています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
チェック欄(出荷済み・客先・安全法規)に当たったAIを待たずに重大度Aで課長へ連絡。そのあとで分類する
現象が10文字未満AIに渡さず、起票者へ聞き返す
受入の不適合で仕入先コードが空起票者へ聞き返す。分類は進めるが、再発の判定は保留
unclassified が返る判定者のカードで種類を選んでもらう。「その他」に入れない
pending_check が返る重大度の表で一段上に扱い、確認の結果で下げる
候補に無い番号が similar_cases に入るその番号を捨て、ログに残す
JSON が作れないエラー同じ入力で1回だけ再実行。続けて失敗すればAIの欄を空にしてカードを出す
カードの返事が来ない別のフローが4時間後に再通知。重大度Aなら課長にも
期限が休日に当たる稼働日カレンダーで次の稼働日にずらす
Step11

記録を残す

  • 起票された行の項目と、起票の時刻
  • AIに渡した入力(定義表の版と、渡した候補の番号の一覧を含む)と、返ってきたJSONの全文
  • 表から出た重大度と、どの条件でその重大度になったか(チェック欄・影響の区分・発見の段階・重要寸法の記述)
  • 期限の計算に使った規則と稼働日カレンダーの版
  • 判定者が直した項目と、直す前後の値
  • 捨てた similar_cases の番号、再発の条件に当たったかどうか

2つ目で候補の番号の一覧を残すのは、「似た不適合が無い」と出たときに、探した範囲を後から確かめるためです。 候補に入っていなかったのか、入っていたのに選ばれなかったのかで、直す場所が違います。前者は Filter Query の条件、後者はプロンプトです。

5つ目は、定義表を育てる材料です。 判定者の修正を区分ごとに数え、多いところから定義表の「含めないもの」を足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:定義表と報告を手元のAIサービスに貼り、種類と影響の区分を出させる / 1件ごとの区分の下書き
半自動化:上記+起票でフローが動き、過去の候補の取得、重大度と期限の算出、判定者のカード、台帳の更新まで行う / 区分、重大度、期限、似た不適合の提示、台帳への記録
本格構成:上記+期限の催促、再発の条件に当たった仕入先の月次の一覧、判定者の修正の集計を足す / 受付の全体と、仕入先の是正の検討の材料づくり

半自動化で、1件20分が6分になり、この段階が本記事の想定です。本格構成で減るのは工数より、期限の過ぎた不適合の追いかけと、仕入先の再発の見落としです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  180件 × 20分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 180件 × 6分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
42h
削減率
70%
年間削減時間
504h
年間金額換算(時間単価3,500円)
176万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 部品の受入検査と自社の工程の両方で不適合が出て、月に百数十件以上の不適合報告を品質管理課が台帳に登録している製造業・建設資材の加工業。重大度の決め方と処置の期限が担当者の経験に寄っていて、同じ仕入先・同じ品番の再発に気づくのが遅れている場合。Microsoft 365 を使っていて、不適合の台帳と定義表を SharePoint のリストに置ける場合。
向いていない
  1. 不適合が月に数件で、品質管理課長が全件を自分で見て決めている場合。品質管理システムにすでに不適合の登録と期限の管理があり、重大度を現場が選ぶ運用が定着している場合。なお、特別採用(特採)にするか、返品・廃却するか、客先へ連絡するかという処置の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の不適合報告から40件を選ぶ(うち数件は、重大度で迷った報告と、後から再発と分かった報告を入れる)
  2. 経験の長い担当者に、種類の定義表と影響の区分の定義表を「含めないもの」まで書いてもらう
  3. 定義表と40件の現象・調べたことを、Microsoft Copilot などの手元のAIサービスに貼り付ける
  4. 「種類と影響の区分を定義表から1つずつ選び、根拠の文を写してください。機能に影響するか決められなければ『確認待ち』としてください。重大度と処置は書かないでください」と指示する
  5. 出てきた区分を重大度の表に手で当てはめ、当時の台帳の重大度と突き合わせる

40件は必ずやってください。 フローを組む前に、「定義表の言葉で区分が決まるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の重大度とおおむね同じになったフローの組み立てに進む
機能と外観のあいだで揺れる影響の区分の定義表に、記述から判断できる目安を足す。構成は有効
確認待ちが半分を超える起票の「調べたこと」が足りていない。入力画面の項目を見直す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
フローが自分の書き込みで動き直すWhen an item is created を使う。 修正でも動くトリガーにしない
AIに重大度を書かせて、書き方の穏やかな報告が軽くなる影響の区分だけを選ばせ、重大度は表で決める
機能か外観か決まらない報告がどちらかに寄るpending_check を用意し、指示に「寄せない」と書く
似た不適合を3件そろえようとして関係の薄いものが入る「件数を埋めるために選ばない」と書き、空の配列を許す
候補に無い番号が返る候補の番号と照らし、含まれないものを捨てる
台帳の全件を読んで遅くなるFilter Query で品番・仕入先・期間を絞り、Top Count で上限を置く
プロンプトを試すたびに JSON の形が変わる例を書き換えて Custom にし、保存する
プライベートチャネルに投稿できない判定者のチャネルは標準チャネルにする
カードが大きすぎて失敗する約28KBが上限。原文の先頭だけを載せ、台帳へのリンクを付ける
期限が休日に当たる稼働日カレンダーで数える
定義表を品質管理課だけで作る購買課と生産技術課にも見てもらう。 処置を受ける側の目で境目を決める

上から2行目と3行目が、この構成の失敗のほとんどです。 AIには記述を区分に置き直させるだけにして、重さと期限は表と人の側に置きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 品番、ロット番号、数量、仕入先コード、不適合の現象と調べた内容、起票者の名前、そして出荷済みのロットや客先で不適合が見つかったという情報です。

  1. 起票者の氏名をAIに渡さない … 分類に氏名は要りません。台帳にだけ残し、プロンプトには入れません
  2. cross-geo の扱いを確かめる … 日本の地域では既定のモデルが GA (cross-geo) と表示され、地域の外でデータを処理する場合があるとされています。客先の図面番号や仕入先との取引の情報を地域外で処理してよいか、客先・仕入先との取り決めと社内の規程を先に確かめます
  3. 仕入先の評価にAIの記述を使わない … 似た不適合の共通点は、判定者が読む材料です。仕入先の格付けや取引の見直しは、件数と処置の記録をもとに人が決めます
  4. 処置の判断をこの構成に持たせない … 出すのは重大度・期限・似た不適合までです。特別採用・返品・客先への連絡は、品質管理課と関係部署が決めます
  5. 台帳とチャネルの閲覧範囲をそろえる … 不適合の情報は社内でも広く見せるものではありません。SharePoint のリストと Teams のチャネルの権限を、品質管理・購買・製造・生産技術に絞ります

誤りが起きた場合のリスクは、重い不適合が軽く扱われて期限が先送りになることと、再発に気づかず仕入先への是正の要求が遅れることの2つです。 前者は重大度をAIに書かせると起き、後者は過去の照会が省かれると起きます。重大度は表とチェック欄で、再発は件数の規則で守る設計にしています。

10まず何から始めるか

1週目:定義表と重大度の表を書く

経験の長い担当者に、種類の定義表と影響の区分の定義表を、記述から判断できる言葉と「含めないもの」まで書いてもらいます。影響の区分×発見の段階の重大度の表と、重大度ごとの期限の稼働日数を、品質管理課長と決めます。

2週目:40件で試す

先月の報告から40件を選び、手元のAIサービスに定義表と一緒に貼って区分を出させます。当時の台帳の重大度と突き合わせ、揺れた境目を定義表に戻します。

3週目:担当表と再発の条件を決める

種類×発見の段階ごとの処置の担当と、再発の条件(同じ品番か同じ仕入先で、同じ種類が12か月に2件以上)を、購買課と生産技術課の責任者と決めます。 稼働日カレンダーのリストも作ります。

4週目:起票からカードまでをつなぐ

Power Automate で、起票のトリガーから過去の候補の取得、AI Builder のプロンプト、重大度と期限の算出、判定者のカードまでを作ります。最初の2週間は、判定者がこれまでどおり自分でも重大度を決め、カードの値と見比べます。

2か月目: 処置の担当への通知と、期限の催促のフローを足します。判定者の修正の件数を毎週数えます。3か月目以降: 再発の条件に当たった仕入先の月次の一覧を足し、1件20分が何分になったかを実測します。判定者の修正が落ち着き、定義表の手入れが月1回で済むようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
When an item is created と When an item is created or modified(作成時と修正のたびに動く)のトリガーがあること。Get items に Filter Query(OData の条件式)と Top Count があること。Update item、Get attachments、Get attachment content があること。リストのフローは汎用のリストとライブラリでのみ使えることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-15
2025年5月から Create text with GPT using a prompt の名前が Run a prompt になったこと。プロンプトの入力に前の手順の内容を入れられること。Start and wait for an approval of text で人の確認を挟めることMicrosoft Learn: Use your prompt in Power Automate2026-10-15
出力に JSON を選べ、形が Auto detected か Custom で決まり、保存時の形が実行時に使われること。スキーマを直接編集できず、キーの無い配列は定義できないこと。JSON が作れないときに「Don't include JSON markdown in your answer」を足すよう案内されていることMicrosoft Learn: JSON output2026-10-15
既定のモデルが GPT-4.1 mini で、Mini の区分が要約や情報の作業に向くこと。温度の既定が0であること。Power Apps・Power Automate でプロンプトを使うとプロンプトビルダーのクレジットを消費し、AI Builder のクレジットが先に使われることMicrosoft Learn: Change the model version and settings2026-10-15
日本で GPT-4.1 mini が GA (cross-geo) であり、cross-geo のモデルは地域外でデータを処理する場合があることMicrosoft Learn: Prompt model availability by region2026-10-15
Post adaptive card and wait for a response が応答があるまでフローを止めること。Post message in a chat or channel があること。メッセージの上限が約28KBであること。プライベートチャネルへの投稿ができないこと。Workflows アプリの許可が要ることMicrosoft Learn: Microsoft Teams connector2026-10-15

特別採用にするか、返品・廃却するか、仕入先に是正を求めるか、客先へ連絡するかは、品質管理課と購買課の責任者が決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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