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工場の保全担当が設備の警報コードの意味と復旧・部品交換の手順を、その機種の取扱説明書と過去の保全記録から根拠付きで探す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

設備に警報が出たとき、保全担当が設備のQRコードと警報コードを入れると、その機種の取扱説明書・保全マニュアル・部品表と過去の保全記録から、警報の意味、復旧の手順、交換する部品を引用付きで返します。手順の順番と安全上の注意は原文のまま示します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
物流/製造
対象部門
生産
対象業務
情報検索
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
属人化解消/教育コスト削減/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
70%
年間削減
840h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 設備に警報が出て、現場の作業者が保全担当を呼ぶ
  2. 保全担当が設備の画面で警報の番号と表示文を確かめ、設備の銘板で機種を見る
  3. 共有フォルダで、その機種の取扱説明書を探し、警報の一覧の章を開く
  4. 警報の意味と処置の欄を読み、復旧の手順や部品の交換が書かれたページへ移る
  5. 保全管理の仕組みで、同じ設備・同じ警報の過去の記録を探す
  6. 部品の交換が要るときは、部品表で品番を調べ、予備品の棚を見に行く
  7. 復旧の作業をして、保全記録に入力する
導入後(After)
  1. 人保全担当が、設備に貼ったQRコードを現場のタブレットで読み、警報の番号と表示文を入れる
  2. 自動中継プログラムが、設備台帳から機種・制御装置の型式・該当する文書の番号を引き、絞り込みの条件を作る
  3. 自動Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、その設備の取扱説明書・保全マニュアル・部品表と過去の保全記録から該当箇所を探し、引用付きの回答を返す
  4. 自動中継プログラムが、引用した手順の工程と警告の文が回答に全部入っているかを確かめ、落ちていれば原文から補う
  5. 自動中継プログラムが、回答に出た品番を部品表と予備品の台帳に照らし、在庫の有無を付ける
  6. 人保全担当が、引用されたページを開いて手順を確かめ、作業するかを決める
  7. 人復旧の作業をして、保全記録に結果と実際の原因を入力する(翌晩に取り込まれる)
各工程の詳しい説明を読む
  1. 設備に警報が出て、現場の作業者が保全担当を呼ぶ
  2. 保全担当が設備の画面で警報の番号と表示文を確かめ、設備の銘板で機種を見る
  3. 共有フォルダで、その機種の取扱説明書を探し、警報の一覧の章を開く
  4. 警報の意味と処置の欄を読み、復旧の手順や部品の交換が書かれたページへ移る
  5. 保全管理の仕組みで、同じ設備・同じ警報の過去の記録を探す
  6. 部品の交換が要るときは、部品表で品番を調べ、予備品の棚を見に行く
  7. 復旧の作業をして、保全記録に入力する

(a)取扱説明書を探すのに時間がかかる。 共有フォルダにはメーカー名のフォルダがありますが、その下は機種名、導入年、版がまちまちです。警報の一覧が取扱説明書の付録にあるのか、別冊の保全マニュアルにあるのかも、メーカーで違います。

(b)過去の対応を知っているのがベテランだけ。 「この成形機の2041は、説明書では温調機の異常だが、実際はほとんど熱電対のコネクタの緩み」。こうした知恵は保全記録のどこかにありますが、探すより、知っている人に聞くほうが早いのが実情です。

(c)別の機種の手順を読んでしまう。 同じメーカーの似た型番の取扱説明書を開き、警報の番号が同じなので、そのまま読み進めてしまうことがあります。 処置が合わないと分かって探し直す時間は、設備が止まっている時間です。

(d)手順の途中を飛ばす。 急いでいると、取扱説明書の手順のうち、知っている工程だけを拾って作業します。飛ばされやすいのは、電源を切る、残圧を抜く、といった準備の工程です。

  1. 【人】 保全担当が、設備に貼ったQRコードを現場のタブレットで読み、警報の番号と表示文を入れる
  2. 【自動】 中継プログラムが、設備台帳から機種・制御装置の型式・該当する文書の番号を引き、絞り込みの条件を作る
  3. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、その設備の取扱説明書・保全マニュアル・部品表と過去の保全記録から該当箇所を探し、引用付きの回答を返す
  4. 【自動】 中継プログラムが、引用した手順の工程と警告の文が回答に全部入っているかを確かめ、落ちていれば原文から補う
  5. 【自動】 中継プログラムが、回答に出た品番を部品表と予備品の台帳に照らし、在庫の有無を付ける
  6. 【人】 保全担当が、引用されたページを開いて手順を確かめ、作業するかを決める
  7. 【人】 復旧の作業をして、保全記録に結果と実際の原因を入力する(翌晩に取り込まれる)

4番目の照合が、この設計の要です。 AIの回答だけを信じず、引用元の文書の該当箇所にある工程の数と警告の文を、プログラムが数えて回答と突き合わせます。 落ちていれば、回答の文ではなく原文の手順を表示します。

7番目を省くと、この構成は育ちません。 実際の原因が保全記録に残らなければ、次に同じ警報が出たときも説明書の処置しか返りません。

02今回想定するシステム構成

構成図
取扱説明書・保全マニュアル・部品表(PDF)  メーカーの技術資料  保全記録(書き出し)
   │  文書ごとに対象の機種・制御装置を付ける           │  設備・警報・日付
   ▼                                                   ▼
Cloud Storage ── メタデータ(JSON Lines)
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── データストア(レイアウト パーサー、表の注釈)
   │   doc_kind/maker/models/controllers/equipment_id
   ▼
現場のタブレット ──【トリガー】QRコードと警報の番号の入力
   ▼
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 設備台帳から機種・制御装置を引いて絞り込み
   ├──▶ answer メソッド:警報の意味・手順・部品の引用
   ├──▶ 手順の工程と警告の文の照合
   └──▶ 品番と予備品の台帳の照合
   ▼
タブレットに表示(引用元のページへのリンク付き)
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、設備台帳・検索・予備品の台帳・タブレットをつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(取扱説明書の写しとメタデータ、保全記録の書き出し、問い合わせの記録)─

設備台帳と保全管理の仕組みは、今あるものをそのまま使います。 保全記録は毎晩書き出して取り込むだけで、保全管理の仕組みには書き込みません。 設備の制御装置にも監視システムにもつながず、警報の番号は保全担当が入れます。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 公式のドキュメントでは、引用を付ける設定(includeCitations、既定は無効)、関係の薄い内容で答えない設定(ignoreLowRelevantContent)、回答の作り方を指示する preamble、文ごとの根拠のスコアを返す設定(includeGroundingSupports)があります。

取扱説明書の取り込みには、レイアウト パーサーを使います。 公式では、段落・表・リスト・見出し・脚注を検出し、スキャンした文書の文字も読み取れます。表の注釈を有効にすると表とその説明が1つのチャンクに、画像の注釈を有効にすると図とその説明がチャンクに入ります。 警報の一覧は表、部品の位置は図で書かれていることが多いので、両方を有効にします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、保全担当が設備のQRコードを読み、警報の番号を入れたことです。 QRコードには設備番号だけを入れておきます。機種を人に選ばせないのは、第3章の(c)の取り違えを、入力の段階でなくすためです。

入力の項目書き方使い道
設備番号QRコードから自動で入る設備台帳を引く
警報の番号設備の画面に出た番号検索の質問文
警報の表示文画面の文をそのまま(任意)検索の質問文
状況自由記述(いつから、何をしていたときか)検索の質問文
知りたいこと意味/復旧の手順/部品の交換/過去の対応回答の並べ方

もう一つのトリガーは、文書と保全記録の更新です。 新しい設備の導入、制御装置の更新、メーカーからの技術資料の受け取りがあったら、保全課の担当が文書を置き、対象の機種を書きます。保全記録は毎晩書き出して取り込みます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
問い合わせ設備番号、警報の番号・表示文、状況現場のタブレット
設備台帳設備番号、メーカー、機種、制御装置の型式、導入年、該当する文書の番号設備台帳(表計算)
取扱説明書・保全マニュアル警報の一覧、処置、復旧の手順、点検・交換の手順、警告の文共有フォルダのPDF
部品表品番、名称、使われる位置、図の番号共有フォルダのPDF
メーカーの技術資料不具合の対策、部品の変更、手順の改訂メーカーから受け取った資料
保全記録設備番号、警報の番号、日付、処置、交換した部品、実際の原因保全管理の仕組みの書き出し
予備品の台帳品番、在庫数、置き場所予備品の管理表

質を決めるのは、設備台帳の「該当する文書の番号」の列です。 機種名だけで文書を引くと、型番の末尾が違う別の機種の文書が当たります。設備ごとに、どの取扱説明書・どの部品表が当てはまるかを、保全課が一度だけ確かめて書きます。

保全記録は「実際の原因」の欄が埋まっているものだけを取り込みます。 「リセットして復帰」とだけ書かれた記録は、次の人の役に立たないうえ、リセットで済むという誤った印象だけを回答に持ち込みます。

Step3

データの取得方法を決める

文書は1冊ずつ、保全記録は1件ずつファイルにして Cloud Storage に置きます。公式では、非構造化データは TXT・JSON・Markdown・PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM に対応し、1ファイルの上限は200MBです。メタデータは JSON Lines で、1行ごとに id、structData、content(mimeType と uri)を書きます。

{"id":"man-imm-a200-r3","structData":{"doc_kind":"manual",
 "maker":"MK-07","models":["A200","A200S"],
 "controllers":["CT-5"],"revision":"第3版","lang":"ja"},
 "content":{"mimeType":"application/pdf",
 "uri":"gs://equip-docs/man-imm-a200-r3.pdf"}}
項目中身使い道
doc_kind取扱説明書/保全マニュアル/部品表/技術資料/保全記録回答の並べ方、表示
makerメーカーの番号絞り込み
modelsその文書が対象にする機種(複数)絞り込み
controllers対象の制御装置の型式(複数)絞り込み
equipment_id保全記録の設備番号同じ設備の記録を先に出す
revision/lang版、言語表示
supersedes技術資料が置き換える警報の番号・手順の頁技術資料を説明書より上に出す

問い合わせのたびに、中継プログラムが設備台帳から絞り込みの条件を作ります。 公式の構文では、文字の項目は ANY() に並べた値のどれかと完全に一致するかを見られ、AND/OR で組み合わせられます。

(models: ANY("A200S") AND controllers: ANY("CT-5"))
OR equipment_id: ANY("EQ-1-0412")

機種と制御装置の両方で絞るのは、同じ機種でも制御装置の更新で警報の番号が変わるからです。 保全記録は同じ設備のものを含めます。項目はスキーマで索引可能にしておかないと絞り込みに使えません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 文書に対象の機種と制御装置を付ける … 表紙と「適用機種」の頁から書きます。1冊が複数の機種にまたがるなら全部並べます
  2. 設備台帳に文書の番号を書く … 設備ごとに、当てはまる取扱説明書・部品表を保全課が確かめて書きます
  3. スキャンした文書の読み取りを確かめる … 古い紙の説明書は、警報の一覧の頁だけでも、読み取った文字を担当が目で確かめます
  4. 保全記録を整える … 「実際の原因」が空の記録を外し、作業者の名前を外します
  5. 工程と警告の文の目録を作る … 警報ごとの処置の頁について、工程の数と、警告・注意の囲みの文を書き出しておきます
  6. 英語の説明書に印を付ける … lang を en にし、回答で原文を併記するようにします

5番目の目録は、第5章の4番目の照合に使います。 回答に入った工程が目録より少なければ、落ちた工程があるということです。 目録は、警報の多い設備から作ります。

3番目を省くと、警報の番号そのものが読み違えられます。 スキャンの「8」と「6」、「0」と「D」の読み違いは、別の警報の頁を引く原因になります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、その設備に当てはまる文書と保全記録から該当箇所を探し、警報の意味・手順・部品・過去の対応を引用して並べることです。

させること中身
警報の意味を引く警報の一覧の行(番号、表示文、原因、処置)をそのまま写す
手順を引く復旧・点検・交換の手順を、番号の順に全部写す
警告の文を引く手順の頁にある警告・注意の囲みを、原文のまま写す
部品を挙げる部品表の品番・名称・図の番号を写す
過去の対応を挙げる同じ設備・同じ警報の保全記録の処置と実際の原因、日付
させないこと理由
手順の要約・省略準備の工程が落ちる
別の機種の文書で答える警報の番号の意味が違う
品番を推測で書く部品表に無い品番は存在しない
作業してよいかの判断保全担当と現場の責任者が決める
説明書に無い処置を一般論で補う「一般にはセンサを清掃」と書くと根拠が無い

手順の要約を禁じるのは、短い回答ほど危ないからです。 「熱電対のコネクタを挿し直す」は、説明書では「ヒータの電源を切る」「温度が下がるのを待つ」の後の工程です。要約すると、最後の工程だけが残ります。

過去の対応は、説明書の手順の後に置きます。 保全記録の「実際の原因」は役に立ちますが、そこに書かれた処置は、そのときの担当が説明書の手順のどこから始めたかまでは書いていません。過去の対応を手順の代わりに読むと、準備の工程を飛ばした作業がくり返されます。 回答では説明書の手順を先に出し、過去の対応は「どこを疑うか」の手がかりとして後に並べます。

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
includeCitations有効文書の頁と保全記録に出典を付ける(既定は無効)
ignoreLowRelevantContent有効関係の薄い頁で答えない
filter機種、制御装置、設備番号その設備に当てはまる文書だけを引く
includeGroundingSupports有効文ごとの根拠のスコアを受け取る
answerLanguageCodeja日本語で答えさせる
preamble下の指示答え方の規則を与える
Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは工場の保全課の担当として、設備に警報が出たときに、
その設備の取扱説明書・保全マニュアル・部品表と過去の保全記録から
該当箇所を示す立場です。読むのは設備の前にいる保全担当です。

【前提】
検索の文の最初に、設備番号、メーカー、機種、制御装置、警報の番号が
並んでいます。検索の対象は、その設備に当てはまる文書と、
同じ機種・同じ設備の保全記録だけです。

【答え方】次の順に並べてください。
1. 警報の意味:警報の一覧の行を、番号・表示文・原因・処置のまま写す
2. 安全上の注意:手順の頁にある警告・注意の文を、原文のまま全部写す
3. 手順:復旧・点検・交換の手順を、番号の順に全部写す
4. 部品:部品表の品番・名称・図の番号を写す
5. 過去の対応:同じ設備・同じ警報の保全記録の日付、処置、実際の原因
それぞれに文書の名前と頁を付けてください。

【厳守事項】
- 手順を要約したり、工程をまとめたり、省いたりしないでください。
- 警告・注意の文を言い換えたり、短くしたりしないでください。
- 検索結果に無い文書、別の機種の文書で答えないでください。
- 品番は部品表に書かれたとおりに写し、推測で書かないでください。
- 作業してよいか、運転を続けてよいかを判断しないでください。
- 説明書に「販売店・メーカーに連絡」とあれば、そのまま写してください。
- 英語の文書は、原文を写したうえで日本語の訳を添えてください。
  安全上の注意は原文を先に置いてください。
- 該当する記述が見つからないときは、
  「この設備の文書に該当する記述は見つかりませんでした」
  とだけ書いてください。

「販売店・メーカーに連絡」をそのまま写させるのは、保全担当が手を出してはいけない警報があるからです。 制御装置の内部の異常や、安全回路の故障の警報には、説明書が自分で直さず連絡するよう書いていることがあります。AIが気を利かせて処置を補うと、その一文が消えます。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの返り値と照合の結果を、中継プログラムが次の形にまとめます。

{
  "inquiry_id": "",
  "equipment_id": "",
  "model": "",
  "controller": "",
  "alarm_code": "",
  "meaning": { "quote": "", "doc": "", "page": "" },
  "safety_notes": [ { "quote": "", "doc": "", "page": "", "restored": false } ],
  "steps": [ { "no": 1, "quote": "", "doc": "", "page": "" } ],
  "parts": [ { "part_no": "", "name": "", "in_parts_list": true, "stock": 0, "location": "" } ],
  "history": [ { "date": "", "action": "", "root_cause": "" } ],
  "flags": []
}

restored は、AIの回答に無く、目録から中継プログラムが補った警告の文に true を付けます。補った文があることは、画面の一番上に表示します。

flags は次の規則で立てます。

flags立てる条件
steps_short回答の工程の数が目録より少ない
safety_restored警告の文を目録から補った
part_not_in_list回答の品番が部品表に無い
vendor_call引用に「メーカーに連絡」の記述がある
no_document該当する記述が無い、または answerSkippedReasons が返った
weak_support根拠のスコアが低い文がある

JSONにする理由は、照合をプログラムで行うためです。 文章の回答だけでは、工程が全部入っているか、品番が部品表にあるかを機械で数えられません。steps を工程ごとの要素にしておけば、目録の工程の数とそのまま比べられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
現場のタブレットWebの画面から中継プログラムを呼ぶ入力を受け取り、結果を表示する
設備台帳表計算の読み取り機種・制御装置・文書の番号を引く
Agent Searchanswer メソッド該当箇所の引用
予備品の台帳表の読み取り在庫数と置き場所を付ける
保全管理の仕組み毎晩の書き出しを取り込む保全記録を検索の対象にする

タブレットの画面では、引用ごとに元のPDFの該当頁へのリンクを付けます。 公式では、データストアに画像があれば answer メソッドが回答に画像を返すことができ、引用を求めれば参照にも画像が返るとされていますが、図は元の頁で見るほうが確実です。

設備の制御装置と保全管理の仕組みには書き込みません。 復旧の操作も保全記録の入力も人が行います。

Step9

人が確認する

この構成では、回答はすべて保全担当が読みます。 回答をもとに作業するかを決めるのは、設備の前にいる保全担当です。

  1. flags を先に見る … safety_restored と vendor_call があれば、その表示を最初に読みます
  2. 引用元の頁を開く … 手順は回答の文ではなく、リンク先の頁で確かめます
  3. 運転を止めてから作業する … 手順に運転の停止や錠の掛け方があれば、そのとおりにします
  4. 保全記録に実際の原因を入力する … 説明書の原因と違っていたら、そのことを書きます

2番目を省かないでください。 回答の手順は引用ですが、読み取りや取り込みの誤りで、頁の内容と違っている可能性は残ります。 作業の根拠は元の頁に置きます。

運用を始めて1か月は、保全課のリーダーが毎日、前日の問い合わせから10件を選び、引用が正しい頁を指しているかを確かめます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
設備台帳に文書の番号が無い検索せず「文書が登録されていません」と返し、保全課に通知
警報の番号が警報の一覧に無いno_document。制御装置の更新や番号の読み違いを疑う
工程が目録より少ないsteps_short。原文の頁を表示する
回答の品番が部品表に無いpart_not_in_list。品番を消して表示する
英語の説明書しか無い原文と訳を併記し、安全上の注意は原文を先に出す
説明書が「メーカーに連絡」としているvendor_call。手順を出さず、メーカーの窓口を表示する
制御装置を更新したが設備台帳が古い警報の番号が一覧に無いことで気づく。保全課が台帳と文書の対応を直す
複数の警報が同時に出た画面の履歴で最初に出た番号から入れる運用にし、残りは状況の欄に書く
同じ警報が短い間に繰り返す過去の対応を先に表示し、説明書の処置で直らなかった記録を目立たせる
技術資料で手順が改訂されている技術資料の引用を説明書より上に出し、改訂のあることを表示する
検索の呼び出しが失敗した設備台帳から取扱説明書のPDFへのリンクだけを返す

4行目で品番を消すのは、存在しない品番で予備品を探したり、発注したりしないためです。

10行目の技術資料は、説明書より新しい手順です。 メーカーが不具合の対策として手順や部品を変えると、技術資料だけが届き、説明書は改訂されないことがあります。説明書の手順を先に出すと、直されたはずの手順で作業することになります。 技術資料を取り込むときは、どの警報・どの手順を置き換えるものかをメタデータに書いておきます。

Step11

記録を残す

  • 問い合わせの内容(設備番号、警報の番号・表示文、状況)、保全担当、日時
  • answer メソッドへの要求(絞り込みの条件、preamble の版)と返り値の全文
  • 照合の結果(flags、補った警告の文、部品表との照合)
  • 保全担当が開いた引用元の頁(開かずに閉じた回答も記録する)
  • 引用した文書の版と、目録の版
  • 後日入力された保全記録との対応(問い合わせの番号で結ぶ)

最後の行は、回答が役に立ったかを測るためです。 回答の処置と実際の処置が違う警報が続くなら、説明書と現場の実態がずれています。 保全記録を整えて取り込むほど、次の回答が実態に近づきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:3台の説明書を手元のAIサービスに貼り、警報を1件ずつ入れる / 警報の意味と手順を探して引用する
半自動化:上記+全設備の文書と保全記録をデータストアに取り込み、保全担当が検索画面で機種を選んで探す / 機種で絞った検索と引用。照合と部品の確認は人
本格構成:上記+QRコードから設備台帳を引いて絞り込み、工程と警告の照合、品番と予備品の照合まで自動で行う / 警報の入力から、照合済みの手順と部品の表示まで

最小構成では件数がさばけません。 300台の説明書を毎回貼ることはできないので、確かめるための段階です。 半自動化で、20分が11分程度になります。 探す時間は減りますが、機種を人が選ぶので取り違えが残り、品番と在庫を別に調べる作業も残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、機種の選択と品番の確認が、1件ずつの手作業だからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の検索画面を1か月使うと、文書の対応づけが抜けている設備と、実際の原因が書かれていない保全記録が先に見えてきます。そこを直してから照合を作るほうが、目録を作る手間がむだになりません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  300件 × 20分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 300件 × 6分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
70h
削減率
70%
年間削減時間
840h
年間金額換算(時間単価3,500円)
294万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 成形機・プレス・加工機・ロボット・搬送設備など、十数社のメーカーの設備を数百台持つ工場や物流センター。警報が出るたびに保全担当が紙やPDFの取扱説明書を探し、同じ警報の過去の対応を知っているのがベテランに限られている場合。設備台帳に機種と制御装置の型式が登録されているか、登録できる場合。保全記録を保全管理の仕組みや表計算に残している場合。
向いていない
  1. 設備が数台で、取扱説明書を保全担当が覚えていられる場合。警報からの復旧の判断や安全の確認をAIの回答だけで済ませたい場合(復旧の作業をするかどうか、運転を止めてよいかを決めるのは保全担当と現場の責任者です)。メーカーの取扱説明書を社内の検索に取り込むことが、メーカーとの契約で認められていない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 警報の多い設備を3台選び、その取扱説明書と部品表、過去1年の保全記録を集める
  2. 過去3か月の警報から20件を選ぶ(メーカーに連絡が要った警報、手順の長い警報を数件入れる)
  3. 手元のAIサービスに、その設備の説明書の警報の章と処置の頁を貼り、警報を1件ずつ入れる
  4. 第7章の指示を貼り、「手順を要約せず、警告の文を原文のまま写す」と指示する
  5. 出てきた回答を、説明書の頁と、当時の保全記録と突き合わせる
出てきた内容判断
工程と警告の文が全部、原文のまま出た検索基盤への取り込みに進む
工程を省いた、警告を言い換えた指示で直るか試す。直らなければ目録との照合を最初から作る
警報の番号の頁が見つからないスキャンの読み取りを確かめる。番号の読み違いが原因なら、読み取りの見直しが先

2行目が出ることは珍しくありません。 だからこそ、照合をAIの外に置く設計にしています。指示で直ったように見えても、20件のうち1件でも工程が落ちていれば、本格構成では目録との照合を外さずに作ってください。

当時の保全記録との突き合わせでは、説明書の処置と実際の処置が違った警報を数えておきます。 その警報は、説明書だけを引いても現場の役に立たないものです。保全記録を整える作業を、その警報の設備から始める理由になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
別の機種の手順で答える設備台帳から機種と制御装置で絞る。機種を人に選ばせない
手順が要約される要約を禁じ、目録の工程の数と突き合わせる
警告の文が落ちる目録から補い、補ったことを画面の上に出す
存在しない品番が出る部品表と照らし、無ければ消す
スキャンの番号が読み違えられる警報の一覧の頁を担当が目で確かめる
「リセットで復帰」ばかり返る実際の原因が空の保全記録を取り込まない
対策前の古い手順で作業する技術資料を説明書より上に出す
英語の説明書の訳で安全上の注意が弱まる原文を先に出し、訳は添えるだけにする
項目で絞り込めないスキーマで項目を索引可能にする

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、保全担当に誤った作業をさせる誤りです。機種の絞り込みと手順の照合を、AIの外の規則で守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: メーカーの取扱説明書・保全マニュアル・部品表・技術資料(メーカーの著作物で、取引先に限って渡されたものを含む)、保全記録(作業者の名前を含みうる)、設備台帳です。

  1. 回答を作業の許可として扱わない … 労働安全衛生規則は、機械の掃除・検査・修理・調整で危険が及ぶおそれがあるときは運転を止め、起動装置に錠を掛けるなど他の人が運転できないようにする措置を求めています。運転を止めるか、作業してよいかを決めるのは、保全担当と現場の責任者です
  2. メーカーの文書を取り込んでよいかを確かめる … 取扱説明書や技術資料は、社内での利用に限って渡されていることがあります。外部のクラウドの検索に取り込むことが、メーカーとの取り決めに合うかを確かめます
  3. 保全記録から作業者の名前を外す … 回答に出るのは処置と原因だけにします
  4. 英語の説明書の訳を根拠にしない … 訳は読む助けにとどめ、「WARNING」「CAUTION」の文は原文で読むことを保全課の決まりにします。訳で「必ず」が「なるべく」に弱まることがあります
  5. データの置き場所を確かめる … 設備の構成と保全の記録は、工場の生産の情報です。データストアを作るリージョンと、社内の情報管理の規程を合わせて確かめてください

誤りが起きた場合のリスクは、別の機種の手順や、工程の抜けた手順で作業させることです。 どちらも人のけがや設備の破損につながりうるので、機種の絞り込みと手順の照合をAIの外に置き、作業の根拠は必ず元の頁に置きます。

10まず何から始めるか

1週目:警報の多い設備を決め、文書を対応づける

過去3か月の保全記録から警報の多い設備を30台選び、設備台帳に当てはまる取扱説明書・部品表の番号を書きます。

2週目:20件の警報で試す

手元のAIサービスに3台分の説明書の頁を貼り、過去の警報20件を入れます。工程を省いていないか、警告の文を言い換えていないかを最優先で見ます。

3週目:目録を作り、保全記録を整える

30台の警報の多い上位について、工程の数と警告の文の目録を作ります。保全記録から実際の原因が空のものを外し、作業者の名前を外します。

4週目:データストアを作り、保全課で使う

文書と保全記録を取り込み、昼勤の保全担当が検索画面で機種を選んで探す運用を始めます。

2か月目: QRコードと中継プログラム、工程と警告の照合を作り、夜勤でも使い始めます。リーダーが毎日10件の引用を確かめます。3か月目以降: 品番と予備品の照合を足し、設備を広げます。全設備の文書が設備台帳に対応づき、保全記録に実際の原因が書かれるのが当たり前になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドの includeCitations(既定は false)、ignoreLowRelevantContent、preamble、answerLanguageCode、検索の指定の filter。includeGroundingSupports で文ごとに 0〜1 の根拠のスコアが返ること。answerSkippedReasons。references の chunkInfo。データストアに画像があれば回答に画像を返せ、引用を求めれば参照にも画像が返ることGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-14
絞り込みの ANY() が列挙した値との完全一致を見ること、AND/OR で組み合わせられること、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter custom search for structured or unstructured data2026-10-14
非構造化データの対応形式と、1ファイル200MBの上限。メタデータを JSON Lines で id・structData・content(mimeType・uri)として書くことGoogle Cloud: Prepare data for ingesting2026-10-14
レイアウト パーサーが段落・表・リスト・見出し・脚注を検出し、スキャンした文書の文字を読み取れること。表の注釈・画像の注釈を有効にすると表・図とその説明がチャンクに入ることGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-14
労働安全衛生規則第107条(機械の掃除・給油・検査・修理・調整の作業で危険が及ぶおそれのあるときは運転を停止すること、起動装置に錠を掛け表示板を取り付ける等の措置を講じること)e-Gov 法令API: 労働安全衛生規則2026-10-14

復旧の作業の可否と安全の確認は、設備の取扱説明書と社内の安全規程、保全課と現場の責任者の判断に従ってください。 本記事は Google Cloud の公式ドキュメントと e-Gov の法令データで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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