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海外の協力会社から届く英文の溶接士・検査員の資格証明書を読み取って資格台帳に転記し、期限切れ間近と資格範囲外の配置を拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

海外の協力会社から届く英文の溶接士・検査員の資格証明書を読み取り、資格の種類・範囲・有効期限を資格台帳に転記します。期限切れが近い資格と、資格の範囲を外れた作業への配置を拾い、品質管理の担当者に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
AWS Textract/Azure AI/Google Document AI
連携・自動化
Python
対象業界
建設/製造
対象部門
品質管理/生産
対象業務
内容確認・チェック/台帳・マスタ管理
主な課題
入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
入力漏れ削減/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
50h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
60%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 協力会社からメールで届いた証明書のPDFを、協力会社ごとのフォルダに保存する
  2. 担当者が証明書を開き、氏名・作業者のID・資格の規格・溶接の方法・姿勢・材料・板厚の範囲・試験日・有効期限を台帳に写す
  3. 継続の確認の記録があれば、最後に確認された日を台帳に入れる
  4. 配置の予定表を見て、作業者が溶接の手順書の要求する範囲の資格を持っているかを確かめる
  5. 期限や継続の確認が近いものを、協力会社に知らせる
  6. 範囲外の配置が見つかれば、製造部・工事部に配置の見直しを頼む
導入後(After)
  1. 自動資格証明書の受け取り用のメールアドレスに届いた添付を、受付フォルダへ保存する
  2. 自動保存をきっかけに、形式・ページ数・パスワードの有無を確かめる
  3. 自動OCRが証明書のキーと値、範囲の表、質問への答え、署名の位置を、信頼度とともに返す
  4. 自動生成AIが、資格の種類・規格・範囲・試験日・有効期限・継続の確認日を台帳の形にそろえる
  5. 自動作業者を名簿と照らし、資格の種類ごとの規則で期限と継続の確認を照らす
  6. 自動配置の予定表と溶接の手順書の要求で、資格の範囲を照らす
  7. 自動作業者ごとに `valid` / `expiring` / `continuity_due` / `expired` / `out_of_range` / `unsigned` / `needs_human` を付けて確認の一覧に出す
  8. 人品質管理の担当者が `valid` 以外を開き、協力会社に連絡するか、配置の見直しを頼むかを決める
  9. 人製造部・工事部が、範囲外の配置を見直す
  10. 自動毎週1回、配置の予定表の変更を見て、範囲の照合をやり直す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 協力会社からメールで届いた証明書のPDFを、協力会社ごとのフォルダに保存する
  2. 担当者が証明書を開き、氏名・作業者のID・資格の規格・溶接の方法・姿勢・材料・板厚の範囲・試験日・有効期限を台帳に写す
  3. 継続の確認の記録があれば、最後に確認された日を台帳に入れる
  4. 配置の予定表を見て、作業者が溶接の手順書の要求する範囲の資格を持っているかを確かめる
  5. 期限や継続の確認が近いものを、協力会社に知らせる
  6. 範囲外の配置が見つかれば、製造部・工事部に配置の見直しを頼む

(a)範囲を読み解くのに時間がかかる。 2番で、証明書の書式は規格と発行機関ごとに違い、範囲は略号と数字の表で書かれます。 試験の条件と、その結果として認められる範囲が同じ表に並び、どちらがどちらかを読み分けるところから始まります。

(b)継続の確認が漏れる。 3番と5番で、有効期限は台帳に入れても、継続の確認の日付は入れ忘れることがあります。 期限の日付だけを見ていると、継続の確認が途切れて資格が有効でなくなっているのに気づきません。

(c)範囲外の配置に気づかない。 4番は、配置の予定が変わるたびに見直す必要があります。急な人の入れ替えで、薄板の資格しか持たない溶接士が厚板の作業に入っていた、ということが、検査の記録を見て初めて分かることがあります。

(d)名前が合わない。 証明書の氏名の順序や綴りが、協力会社の名簿と違うことがあります。同じ人の資格が2行に分かれて台帳に入り、片方の期限だけが更新されます。

  1. 【自動】 資格証明書の受け取り用のメールアドレスに届いた添付を、受付フォルダへ保存する
  2. 【自動】 保存をきっかけに、形式・ページ数・パスワードの有無を確かめる
  3. 【自動】 OCRが証明書のキーと値、範囲の表、質問への答え、署名の位置を、信頼度とともに返す
  4. 【自動】 生成AIが、資格の種類・規格・範囲・試験日・有効期限・継続の確認日を台帳の形にそろえる
  5. 【自動】 作業者を名簿と照らし、資格の種類ごとの規則で期限と継続の確認を照らす
  6. 【自動】 配置の予定表と溶接の手順書の要求で、資格の範囲を照らす
  7. 【自動】 作業者ごとに valid / expiring / continuity_due / expired / out_of_range / unsigned / needs_human を付けて確認の一覧に出す
  8. 【人】 品質管理の担当者が valid 以外を開き、協力会社に連絡するか、配置の見直しを頼むかを決める
  9. 【人】 製造部・工事部が、範囲外の配置を見直す
  10. 【自動】 毎週1回、配置の予定表の変更を見て、範囲の照合をやり直す

4番目でAIに任せるのは「そろえる」ところまでです。 資格が有効か、その作業に足りるかはAIに判断させません。有効の条件は規格ごとに決まっており、作業の要求は溶接の手順書にあるからです。

10番目が、範囲外の配置を拾う要です。 証明書が届いたときだけ照らしていると、配置の予定が後から変わったときに見逃します。

02今回想定するシステム構成

構成図
協力会社からの英文の資格証明書・継続の確認の記録(PDF)
   ▼【トリガー】受付フォルダ(Amazon S3)への保存       配置の予定表(毎週)
AWS Lambda ── 形式・ページ数・サイズ・パスワードの確認          │
   ▼                                                           │
AWS Textract(StartDocumentAnalysis:FORMS/TABLES/QUERIES/SIGNATURES)
   │   キーと値、範囲の表、質問への答え、署名の位置、信頼度      │
   ▼                                                           │
Claude API ── 資格の種類・範囲・期限・継続の確認日をそろえる      │
   ▼                                                           ▼
Python ── 資格の種類ごとの規則、溶接の手順書の要求、配置の予定で照らす
   ▼
判定(valid / expiring / continuity_due / expired / out_of_range / unsigned / needs_human)
   ▼
【品質管理の担当者が valid 以外を確認】
   ├──▶ 協力会社への連絡(英文の下書き)
   ├──▶ 製造部・工事部へ配置の見直しの依頼
   └──▶ 資格台帳へ確定
役割想定する製品代替候補
OCRAWS Textract(StartDocumentAnalysis/GetDocumentAnalysis)Azure AI Document Intelligence、Google Document AI
生成AIClaude API(資格の種類・範囲・期限の整形と、連絡文の下書き)OpenAI API、Gemini API
差異計算Python(有効の規則と、溶接の手順書の要求・配置の予定との照合)作業者の資格管理の仕組みの照合の機能
連携AWS Lambda(保存と完了の通知、毎週の照合を起点に処理を動かす)Amazon EventBridge
保管Amazon S3(証明書、読み取り結果、照合の結果)社内のファイルサーバー

資格台帳・溶接の手順書の一覧・配置の予定表は、新しく足すものではありません。 最初の準備は、溶接の手順書ごとに求める資格の範囲を列に起こすことと、資格の種類ごとの有効の規則(期限、継続の確認の間隔)を表にすることです。

OCRに AWS Textract を選ぶのは、証明書が英文だからです。 対応言語は英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語で、日本語は読めません。 手書きの文字が読めるのは英語だけで、継続の確認の記録に手書きで日付と署名が書かれていても、英語なら読めます。

使う機能は、文書の分析(AnalyzeDocument と、その非同期版の StartDocumentAnalysis)です。 FORMS でキーと値の組、TABLES で範囲の表、QUERIES で質問への答え、SIGNATURES で署名の位置が返ります。署名の検出は、署名がどこにあるかを返すもので、誰の署名かを確かめるものではありません。 「署名の欄が空のまま届いた証明書」を拾うのに使います。

質問(Queries)は英語の文書でしか使えません。 欧州の発行機関の証明書には、英語とドイツ語などを併記したものがあります。併記なら英語の部分に質問を当て、自国語だけのものは質問を外します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

処理の起点は2つです。 1つは、受付フォルダ(Amazon S3)に証明書が保存されたこと。もう1つは、毎週月曜の定時実行で、配置の予定表の変更を見て範囲を照らし直し、期限と継続の確認の近いものを拾います。

資格証明書の受け取り用のメールアドレスを協力会社に案内し、添付を自動で受付フォルダへ保存します。 新しい作業者を送り込むときは、入場の予定日の2週間前までに送る決まりにしておくと、照合の結果を見て入れ替えを頼む時間が取れます。

毎週の照合は、証明書が届くかどうかに関係なく動かします。処理が終わった証明書は処理済みの場所へ移し、移すのは確認の一覧への書き出しまで成功したときだけにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
資格証明書PDF。送り元の協力会社、受け取った日時受付フォルダ
読み取り結果キーと値、範囲の表のセル、質問への答え、署名の位置、値ごとの信頼度AWS Textract
協力会社の名簿作業者のID、氏名(綴りの別表記を含む)、生年月日、所属、職種協力会社から受け取る名簿
有効の規則資格の種類ごとの有効期間、継続の確認の間隔、更新の条件品質保証部で用意する表
溶接の手順書の要求手順書の番号ごとの溶接の方法、姿勢、材料、板厚・管の径の範囲溶接の手順書の一覧
配置の予定表作業者のID、工程、使う手順書の番号、期間製造部・工事部
略号の対応表規格ごとの溶接の方法・姿勢の略号と、社内の区分品質保証部で用意する表

質を決めるのは、有効の規則と溶接の手順書の要求です。 有効の規則が「2年」だけでは、継続の確認の漏れを拾えません。手順書の要求が文章のままでは、範囲と照らせません。 どちらも、照合に使える列に起こしておきます。

Step3

データの取得方法を決める

読み取りは、Lambda から StartDocumentAnalysis を呼んで始めます。 文書はS3の場所で指定し、完了の通知先にSNSのトピックを渡します。ClientRequestToken に受付のファイルごとの値を入れ、同じ証明書の処理が二重に始まらないようにします。 JobId は7日間しか有効でないので、完了を受けたらすぐに GetDocumentAnalysis で結果を取り、自社のバケットへ書き出します。

質問は QueriesConfig に並べ、表の外にある項目を取ります。

質問の文(Text)Alias何に使うか
What is the welder name?NAME名簿との照合
What is the welder ID or stamp number?WELDER_ID名簿を引く第一の手がかり
What is the qualification standard?STANDARD有効の規則の選択
What is the date of test?TEST_DATE有効期間の起点
What is the expiry date?EXPIRY_DATE期限の照合
Who is the examiner or certifying body?EXAMINER発行機関の確認

答えが見つからないときは空のまま返ります。 有効期限を書かない書式もあり、空なら有効の規則と試験日から規則の側で期限を計算します。 空を「期限なし」と読まないことが大事です。

取るものどこから何に使うか
質問への答えQUERY と QUERY_RESULT氏名・ID・規格・試験日・期限
範囲の表TABLE と CELL試験の条件の列と、認められる範囲の列
キーと値の組KEY_VALUE_SET質問を使えない言語の書式、継続の確認の欄
署名SIGNATURE の位置と信頼度発行機関と確認者の署名の有無
全文LINE と WORD備考の制限事項

範囲の表は、試験の条件の列と、認められる範囲の列が並んでいることが多くあります。 どちらの列かは列見出しで分けます。照合に使うのは、認められる範囲の列だけです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … 扱えるのはJPEG、PNG、PDF、TIFFです。XFA形式のPDFには対応していません
  2. パスワードの確認 … パスワードで保護されたPDFは読めません。 送り直してもらいます
  3. 解像度の確認 … 読み取れる文字の高さは15ピクセル以上(150dpiで8ポイント)。現場で撮った証明書の写真は、この下限を下回りがちです
  4. 書類の種類の判別 … 1ページ目の題で、資格証明書・継続の確認の記録・更新の証明書を分けます
  5. 言語の切り替え … 英語の部分がある書式は QUERIES を入れ、無いものは外します
  6. 日付の正規化 … 発行機関ごとの書き方で、「03/04/2026」を自社の形に直します。元の文字列は残します
  7. 重複の検知 … 同じ作業者・同じ規格・同じ試験日のものが既にあれば、再送の印を付けます

6番目はAIに任せません。 米国の発行機関は月・日・年、欧州やアジアの発行機関は日・月・年で書くことが多く、生成AIに読ませると、継続の確認の期限が数か月ずれます。 発行機関ごとの書き方の表で決め打ちします。

Step5

AIに処理させる

させるのは、読み取り結果を台帳の形にそろえ、範囲の表を「認められる範囲」の行に整えることだけです。

見るもの書き出す内容判断できないときの扱い
書類の種類資格証明書/継続の確認の記録/更新の証明書/その他決められなければ other
作業者氏名、ID、所属の記載書かれていなければ「不明」
資格規格、職種(溶接士/検査員)、検査の方法とレベル書かれていなければ「不明」
認められる範囲溶接の方法、姿勢、材料、板厚・管の径の範囲を略号と数字の原文で試験の条件と区別できなければ ambiguous
日付試験日、有効期限、継続の確認の日付の原文書かれていなければ「不明」
制限事項備考の制限の原文無ければ空

範囲を「原文で」書き出させるのは、略号の読み替えを規則の側に置くためです。 姿勢の略号や材料の区分は規格ごとに意味が違い、生成AIに社内の区分へ読み替えさせると、規格の違いをならしてしまいます。 読み替えは略号の対応表で行います。

させないこと理由
資格が有効かの判断有効の規則で規則が照らす
その作業に足りるかの判断溶接の手順書の要求で規則が照らす
試験の条件から範囲を推し量る範囲は証明書に書かれた列だけを使う
期限の計算規則で行う
名簿の別人との照合規則で照らし、当たらなければ人

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 認められる範囲の列が読めないと、AIは試験の条件(試験で溶接した板厚など)を範囲として返すことがあります。試験の条件と認められる範囲は同じではありません。 区別できなければ ambiguous で人に回します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは圧力容器のメーカーの溶接管理の担当で、海外の協力会社から届いた
英文の資格証明書を、作業者の資格台帳の形にそろえる立場です。
渡すのは、OCRが返した読み取り結果(質問への答え、キーと値、表)です。
そこに書かれたことだけを使ってください。

【書き出すこと】
1. document_type: qualification_certificate / continuity_record /
   renewal_certificate / other
2. person: name, worker_id, employer
3. qualification: standard, role(welder / inspector), method_or_process, level
4. qualified_range: 認められる範囲の列だけを、略号と数字の原文のまま
   (process, position, material, thickness_range, diameter_range)
5. dates: test_date, expiry_date, continuity_dates(原文のまま)
6. limitations: 備考の制限の原文

【厳守事項】
- 書かれていない項目は「不明」としてください。推測で埋めないでください。
- 日付・ID・略号・数字は、読み取り結果の文字列のまま写してください。
  書き方を直したり、社内の区分に読み替えたりしないでください。
- 範囲は「認められる範囲」の列からだけ取ってください。
  試験の条件の列の値を範囲として書かないでください。
  どちらの列か区別できなければ ambiguous としてください。
- 有効期限が書かれていなければ「不明」とし、試験日から計算しないでください。
- 資格が有効か、その作業に足りるかを書かないでください。
- 署名があるかどうかは書かないでください(別の仕組みで確かめます)。
- evidence には、根拠にした文字列をそのまま写してください。

【読み取り結果】{textract_result}

「試験日から計算しない」を書かないと、AIは有効期限を埋めます。 規格によって有効期間が違うのに、よく見る期間で計算した日付を返します。 期限の計算は有効の規則の表で行います。

「署名は書かない」を入れるのは、署名の有無を Textract の検出結果で見るためです。 生成AIに聞くと、署名の欄の印字の文字(「Signature」など)を根拠に「署名あり」と返すことがあります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Claude API の構造化出力(output_config.format に type: "json_schema" とJSONスキーマを渡す)を使うと、スキーマどおりの形で返り、必須の項目が欠けません。

{
  "document_type": "qualification_certificate",
  "person": { "name": "", "worker_id": "", "employer": "" },
  "qualification": { "standard": "", "role": "welder",
                     "method_or_process": "", "level": "" },
  "qualified_range": { "process": "", "position": "", "material": "",
                       "thickness_range": "", "diameter_range": "",
                       "status": "ok | ambiguous" },
  "dates": { "test_date": "", "expiry_date": "", "continuity_dates": [] },
  "limitations": "",
  "evidence": []
}

この後に、Python が照合を足します。

確かめること規則結果
作業者IDで名簿を引けるか、氏名が別表記を含めて当たるか当たらなければ needs_human
署名発行機関・確認者の欄に SIGNATURE が検出されたか無ければ unsigned
有効期限期限(無ければ試験日と有効の規則から計算)が今日より後か切れていれば expired、60日以内なら expiring
継続の確認最後の確認日から、規則の間隔を過ぎていないか30日以内に過ぎるなら continuity_due、過ぎていれば expired
範囲配置の予定の手順書の要求が、認められる範囲に収まるか外なら out_of_range と外れた項目
範囲の読み取りqualified_range.statusambiguous なら needs_human

1つ目の理由は、期限と継続の確認を別の行で照らせることです。 証明書の期限がまだ先でも、継続の確認が途切れていれば有効ではない、という規格の仕組みを、規則の側でそのまま表せます。

2つ目は、out_of_range を「外れた項目」付きで出せることです。 「姿勢は範囲内、板厚が範囲外」のように出るので、配置を見直す側が、別の作業者を探すか、作業を分けるかを決めやすくなります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付フォルダ(Amazon S3)保存の通知で Lambda を起動証明書の受け取り
AWS TextractStartDocumentAnalysis/GetDocumentAnalysisキーと値、表、質問への答え、署名
Claude APIAPI呼び出し項目の整形と、協力会社への連絡文の下書き
名簿・有効の規則・手順書の要求読み取り照合の材料
配置の予定表毎週の読み取り範囲の照合
資格台帳確定したものの書き込み担当者が確定したものだけ

配置の予定表には書き込みません。 範囲外の配置を見直すのは製造部・工事部で、この構成が出すのは、どの作業者のどの項目が範囲を外れているかという事実までです。

Step9

人が確認する

人が開くのは valid 以外の作業者です。

  1. out_of_range と expired を最優先で見る … その作業者が今週その作業に入る予定かを確かめ、入るなら製造部・工事部に配置の見直しを頼みます
  2. unsigned を見る … 署名の欄が空なら、署名のある証明書を協力会社に求めます
  3. continuity_due を見る … 協力会社に継続の確認の記録を求めます
  4. needs_human を見る … 範囲の読み取りが ambiguous なものは、証明書の表を目で見て範囲を確定します
  5. expiring は連絡文の下書きを確かめて送る

1番目で予定を先に確かめるのは、範囲外の作業者を全員止める必要は無いからです。 範囲外になるのは、その作業に配置したときだけです。予定が無ければ、台帳に印を付けておくだけで足ります。

目標は、200件をならして1件6分です。 valid は数分、範囲の読み取りを目で確かめるものは15分以上かかる想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
パスワードで保護されたPDF読めない。送り直してもらう
現場で撮った写真で文字が小さい文字の高さが下限を下回る。元のPDFを求める
自国語だけの証明書で質問が使えないFORMS と TABLES で読み、主要な項目は生成AIがキーと値から拾う
有効期限が書かれていない試験日と有効の規則から規則の側で計算する
1名の資格が複数ページにまたがる作業者のIDで束ねてから照らす
範囲の列が試験の条件と区別できないambiguous で人へ。推し量らない
名簿にIDが無いneeds_human。名簿の更新の遅れか、別人の証明書か
発行機関の照会で真偽を確かめたい発行機関の照会の仕組みを人が使う。この構成では行わない
OCRが応答しない受付フォルダに残す。処理済みへ移すのは成功時だけ

下から2行目について。 米国溶接協会は、認定溶接士の登録の仕組みが雇用主による確認に使われていると案内しています。証明書の真偽が疑わしいときは、発行機関の側の仕組みで確かめます。 読み取りの結果だけで真偽は決まりません。

Step11

記録を残す

  • 元の証明書のPDFと、受け取った日時・送り元
  • OCRが返したJSONの全文(署名の検出結果を含む)
  • AIが返したJSONと、照合の結果
  • 照合に使った有効の規則・手順書の要求・配置の予定の版
  • 人が範囲や判定を確定・変更した記録
  • 協力会社への連絡と回答、製造部・工事部への配置の見直しの依頼

「配置の予定の版」を残すのは、溶接の記録と資格を後から突き合わせるためです。 検査で不具合が見つかったとき、その溶接をした時点で作業者の資格が範囲内だったかを、当時の予定と台帳で確かめられるようにします。

04実装レベルの3段階

最小構成:証明書を手でAIの画面に貼り、範囲と期限を書き出させる / 1件ごとの転記の下書き
半自動化:上記+OCRのAPIで読み取り、有効の規則と手順書の要求・配置の予定で照らし、確認の一覧と毎週の照合を出す / 読み取り、整形、照合、毎週の見直し
本格構成:上記+配置の予定表の仕組みとつなぎ、範囲外の作業者を予定に入れようとした時点で知らせる / 配置の段階での照合

本記事の想定は半自動化です。 1件15分が6分になります。本格構成では配置の予定を立てる段階で照らせますが、予定表の仕組みとの連携の開発が要ります。 半自動化で out_of_range がどの工程で多く出るかを3か月見てから、出やすい工程の予定表からつなぎます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
200 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  200件 × 15分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 200件 × 6分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
60%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,000円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 圧力容器・プラント・鋼構造物などを海外の工場や工事現場で製作・据え付けるメーカーと建設会社。海外の協力会社から溶接士と非破壊検査の検査員を受け入れ、英文の資格証明書や資格の継続の記録が月に百件以上届く場合。溶接の作業ごとに求める資格の範囲(溶接の方法・姿勢・板厚など)が溶接の手順書で決まっており、配置の予定を表で持っている場合。
向いていない
  1. 資格証明書が日本語で届く場合(この構成のOCRは英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語しか読めません。国内の現場の資格者証は UC-0450 の構成が向きます)。協力会社の作業者が数十名で、資格の更新が年に数回の場合。資格の有効の判断を発行機関の照会の仕組みで済ませている場合。なお、資格が規格上有効かの最終的な判断と、作業者の配置の決定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 手元の証明書から10件を選ぶ(規格の違うもの、継続の確認の記録、範囲の表が複雑なもの、署名の欄が空のものを入れる)
  2. 10件について、担当者が台帳に入れた範囲と期限を書き出しておく
  3. 証明書のPDFを手元のAIサービスに貼り付ける
  4. 「この資格証明書から、氏名・ID・規格・認められる範囲(略号と数字の原文のまま)・試験日・有効期限を書き出してください。試験の条件と認められる範囲を区別してください。書かれていない項目は『不明』としてください。資格が有効かは判断しないでください」と指示する
  5. 出てきた内容を、担当者の台帳と突き合わせる

10件は必ずやってください。 組む前に、「試験の条件と認められる範囲を取り違えずに読めるか」を確かめます。

出てきた内容判断
担当者の台帳と同じ範囲が出たOCRと照合の仕組みに進む
有効期限を試験日から計算して埋めた指示の書き方で直る。構成は有効
試験の条件を範囲として返す書式ごとに列見出しを確かめる。 範囲の列の見出しを略号の対応表に持たせる

3行目が出たら、書式の問題です。 発行機関ごとに列見出しの言い方が違うので、「認められる範囲」に当たる列見出しを発行機関ごとに表にしておくと、取り違えが減ります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
試験の条件を範囲として読む認められる範囲の列だけを使う。 区別できなければ人へ
有効期限をAIが計算して埋める計算を禁じ、有効の規則の表で行う
継続の確認の漏れを拾えない期限と継続の確認を別の行で照らす
略号を社内の区分に読み替えてしまう原文で取り、略号の対応表で読み替える
配置の予定の変更を見逃す毎週の照合を証明書の受け取りと別に動かす
署名の欄の印字を署名と読む署名は Textract の検出結果で見る
日付の月と日が入れ替わる発行機関ごとの書き方で決め打ちする
同じ人が台帳で2行になるIDで照らし、氏名の別表記を名簿に積む
範囲外の作業者を全員止める予定のある作業だけを見直す
協力会社への連絡を自動で送る下書きまでにする。 送るのは担当者

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、証明書に書かれていない「範囲」や「有効」を、もっともらしく埋めてしまうことから出ています。書かれたものだけを取り、規格の規則は表で持つ、という分け方を崩さないことです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 作業者の氏名・ID・生年月日・所属・顔写真(証明書に付いていれば)、資格の内容と試験の結果です。海外の作業者の個人情報であり、その国の個人情報の決まりも関わります。

  1. 外部へ渡す範囲を、整形に必要な項目に限る … 生成AIに渡すのは読み取り結果のうち、資格に関わる部分だけです。顔写真の領域と生年月日は渡しません
  2. 資格の有効と配置の判断をAIに任せない … 照らすのは規則、判断は品質管理と製造部・工事部です
  3. 協力会社への連絡を自動で送らない … 連絡文は下書きまでです
  4. 真偽の確かめを読み取りで済ませない … 疑わしい証明書は、発行機関の側の仕組みで確かめます
  5. 保存先を暗号化する … 非同期の分析では、結果を自社のバケットに出し、KMSの鍵で暗号化する設定ができます
  6. 見られる人を絞る … 資格台帳と確認の一覧は、溶接管理と配置を決める担当者だけが見られるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、範囲外の溶接と、有効でない資格での作業の2つです。 前者は試験の条件と範囲の取り違えで、後者は継続の確認の漏れで起きます。どちらも、範囲を原文で取り、規格の規則を表で照らす設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:規則の表を起こす

受け入れている資格の規格ごとに、有効期間、継続の確認の間隔、更新の条件を表にします。あわせて、よく使う溶接の手順書の要求(方法・姿勢・材料・板厚・管の径)を列に起こします。

2週目:10件で試す

手元のAIサービスで、証明書から範囲と期限を書き出させます。試験の条件を範囲として返していないか、期限を計算していないかを最優先で見ます。

3週目:台帳を見直す

資格台帳に継続の確認の日付の列を足し、今ある記録で埋めます。継続の確認が途切れている作業者の数を数えます。 これが最初の月の連絡の対象です。

4週目:受付から確認の一覧までをつなぐ

S3 の受付フォルダから StartDocumentAnalysis を呼び、整形と、期限・継続の確認の照合を一覧に書き出すところまで作ります。この時点では範囲の照合は手で行い、一覧の判定だけを見ます。

2か月目: 配置の予定表との範囲の照合と毎週の見直しを足し、valid 以外の件数を毎週数えます。3か月目以降: 署名の確認と連絡文の下書きを足し、1件15分が何分になったかを実測します。範囲外の配置が検査の前に毎週拾えるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
StartDocumentAnalysis がJPEG・PNG・TIFF・PDFを非同期で分析し、完了をSNSに通知し、GetDocumentAnalysis で結果を取ること。FeatureTypes に TABLES・FORMS・QUERIES・SIGNATURES・LAYOUT を指定できること。ClientRequestToken で二重起動を防げること、JobId が7日間有効なこと、OutputConfig と KMSKeyId で自社のバケットへの出力と暗号化ができることAWS: StartDocumentAnalysis2026-10-06
AnalyzeDocument がキーと値(KEY_VALUE_SET)、表とセル、質問(QUERY・QUERY_RESULT)、署名(SIGNATURE の塊が署名の位置を持つ)を返すこと。QueriesConfig が Text・Alias・Pages を持つことAWS: AnalyzeDocument2026-10-06
質問の答えが QUERY_RESULT として信頼度とともに返り、答えが見つからないときは空のまま返ることAWS: Queries2026-10-06
同期の処理がPDFで1ページ・10MBまで、非同期がPDFで500MB・3,000ページまで、XFA形式とパスワード保護のPDFは不可、対応言語が6言語で手書きは英語のみ、質問の検出は英語の文書だけ、文字の高さが15ピクセル以上(150dpiで8ポイント)であることAWS: Set Quotas in Amazon Textract2026-10-06
米国溶接協会の認定溶接士の制度で、6か月ごとに認定された溶接の方法で作業を続けていることを確認する書類を出す必要があり、継続が保てないと認定が無効になり再試験が要る場合があること。認定溶接士の登録の仕組みが雇用主による確認に使われていることAmerican Welding Society: Certified Welder Program2026-10-06
構造化出力を output_config.format(type: "json_schema")で指定でき、スキーマどおりの形で必須の項目が欠けずに返ることClaude Docs: Structured outputs2026-10-06

資格が規格上有効かの判断と、規格ごとの有効の条件は、各規格の原文と発行機関の案内で確かめてください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っており、継続の確認の例は1つの制度のものです。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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