マインドマップはAIに広げさせる|企画の抜けを先に見つける

マインドマップはAIに広げさせる|企画の抜けを先に見つける

「AIにマインドマップを作らせてみたのですが、当たり前のことしか出てきませんでした」「結局、自分で書いたほうが早いと思ってやめました」——企画の骨子や記事の構成を考える場面で、図に広げる道具を一度試した人からは、この2つがほぼ同じ形で返ってきます。ただ、これは道具の出来不出来の話ではありません。本当は、広げる作業と選ぶ作業を、同じ時間に押し込んでいることが原因です。この記事では、人が最初から絞り込むのをやめてAIに先に広げさせ、そのうえで人が選ぶという順番に組み替える手順と、できた図をチームで使い回すところまでを整理します。


カメ先生カメ先生

マインドマップをAIに作らせると、きれいな図がすぐ出てくるから、そこで仕事が終わった気になりやすいんだ。でも本当は、図が出た時点ではまだ何ひとつ決まっていない。


カメ子カメ子

図ができること自体は、成果ではないということですか。


カメ先生カメ先生

そういうこと。広げる側はAIに預けていい。ただ、どの枝を残すかを決める側まで預けると、一般論の図が1枚増えるだけで終わってしまう。


カメ子カメ子

図が出てからが本番で、選ぶところまでが仕事なのですね。


この記事のポイント
  • 人は知っている範囲から書き始めるので、自分で広げると必ず抜ける。先にAIに広げさせると、その抜けが空白として見える
  • 第一階層は人が決めてから広げさせる。1回の漠然とした指示で全部出させると、似た枝ばかりが並ぶ
  • 残す枝を選ぶのはAIにさせない。残す基準は広げる前に決め、図は見出しと担当と期限に変えてから閉じる

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目次

「一般論しか出ない」のは、図が出た時点を終点にしているから

図に広げる道具に題名を1つ渡すと、数十秒で放射状の枝が並んだ図が返ってきます。見た目は整っています。ところが読んでみると、概要、利点、注意点、事例、今後の展望といった、どの題材に当てはめても成り立つ並びになっている。ここで「使えない」と判断されることが多いのですが、実際に起きているのは道具の限界ではなく、渡した問いが漠然としていたことの反映です。誰が聞いても同じ答えになる問いには、誰が聞いても同じ答えが返ります。

もう1つ、評価の仕方にも原因があります。出てきた図を「なるほどと思う枝が何本あったか」で見ると、たいてい落第します。返ってくる枝の大半は、担当者がすでに知っていることだからです。見るべきなのは自分の草案に入っていなかった枝が何本あるかです。20本の枝のうち17本が既知で、3本が抜けだったなら、その図は役目を果たしています。企画の抜けは、たいてい3本くらいの単位で効いてくるからです。

この見方に切り替えると、使う順番が変わります。先に広げさせて眺めるのではなく、自分の草案を5分で書いてから広げさせ、差分だけを見る。差分を見る形にしておけば、既知の枝が何十本並んでも邪魔になりません。図を1枚作ることが目的ではなく、手元の草案に空いている穴を見つけることが目的だからです。この置き換えだけで、同じ道具の同じ出力が、使えないものから使えるものに変わります。

人が自分で広げると抜ける、2つの理由

1つ目は、知っていることから書き始めるからです。企画の骨子を1人で書くと、直近で担当した案件の型、得意な施策、前回の企画書の見出しの並びが、そのまま再生産されます。本人にとっては自然な流れなので、抜けていることに気づけません。抜けは、書いた本人からは見えないという性質があります。第三者に見せれば見つかりますが、企画の初期に第三者を捕まえるのは、実務では思うほど簡単ではありません。

2つ目は、早く絞りたくなるからです。人と生成AIの共同作業を扱った研究では、利用者が「十分に良い」と感じた初期の案に早い段階で寄ってしまい、そこから離れられなくなる固着が問題として挙げられています。この研究は、創造の過程を段階に分けた古典的な整理をもとに、考えを広げる段階と、選んだ案を作り込む段階を明示的に分ける仕組みを提案しています。裏を返せば、分ける仕組みを置かない限り、人は勝手に早く収束するということです。

会議で広げようとすると、この2つが同時に効きます。最初に発言した人の枠に後の発言が引っ張られ、しかも枝が出るたびに「それは予算的に無理では」という評価が挟まる。結果として、会議の1時間で出る枝の数が、1人で黙って書き出した数を下回ることさえあります。広げる場面でAIを入れる価値は、賢い案を出してくれることよりも、誰にも遠慮せずに枝を並べられることのほうにあります。

広げる時間と選ぶ時間を、同じ会議に入れない

実務での分け方は単純です。広げる時間を先に置き、そこでは1本も捨てない。選ぶ時間は別に取り、そこでは1本も足さない。同じ45分の前半後半で分けても構いませんが、間に休憩を挟むか、可能なら日をまたぐほうが機能します。人は、自分が出したばかりの枝を捨てにくいからです。時間を空けると、書いた本人の枝も他人の枝と同じように見えるようになります。

分けないとどうなるか。枝が出るたびに実現性の評価が挟まると、評価に耐えそうな枝しか出てこなくなります。これは参加者が慎重だからではなく、場の作りがそうさせています。広げる時間には、実現性や予算や工数の話を持ち込まないと最初に宣言しておくだけで、出る枝の本数は目に見えて変わります。宣言は口頭で構いませんが、画面の隅に書いておくほうが効きます。

  • 広げる時間は「捨てない」と宣言してから始める。宣言しないと参加者は自動的に選び始める
  • 選ぶ時間には新しい枝を足さない。足すと、その枝に合わせて基準のほうが動いてしまう
  • 広げる時間と選ぶ時間の間に、最低でも休憩を1回、できれば一晩を挟む
  • 参加者が2人以上なら、広げるのは各自別々に、選ぶのは全員で行う

最後の1点は見落とされがちです。複数人で同時に広げると、先に発言した人の枝に引きずられます。各自が別々にAIと広げてから持ち寄ると、同じ中心の問いから出発しても、第一階層の取り方が人によって違うことが分かります。この違い自体が、企画の抜けを見つける材料になります。持ち寄る形にするだけで、1人で広げたときの2倍近い軸が並ぶことは珍しくありません。

「広がった感じ」と、実際に広がった量は別物

気をつけたいのは、AIを使うと「広がっている手応え」のほうが強く出ることです。2026年6月に心理学の学術誌で公開された研究では、製品デザインを学ぶ学生41名に対し、支援なし、画像検索での支援、生成AIでの支援という3つの条件で、それぞれ10分の発想課題を行わせています。使い勝手、探索している感覚、のめり込み具合といった主観の評価は、生成AIの条件が最も高く出ました。

測っているもの支援なし画像検索生成AI
出た案の数3.02.92.2
案の幅(種類の多さ)3.43.52.9
独創性の評価3.23.52.9
探索している感覚4.75.55.5

つまり、主観の手応えは上がったのに、出た案の数も、種類の幅も、独創性の評価も下がっていたということです。参加者の65.9%は、支援なしの条件を好ましいと答えています。ただしこの研究には限界があり、対象は生成AIの利用経験が少ない学生、課題は椅子のデザインという比較的単純なもの、検証したのは広げる段階だけで、使った道具も1種類です。BtoBの企画づくりにそのまま当てはめられる結果ではありません。

それでも実務者が受け取るべき教訓ははっきりしています。手応えの感覚を、成果の指標にしないことです。広げた結果は数えます。数えるのは2つだけで、第一階層の種類がいくつになったかと、自分の草案に無かった枝が何本あったか。どちらも30秒で数えられます。数える習慣を付けると、手応えだけが高くて中身が薄かった回を、その場で見分けられるようになります。

1回の漠然とした指示だと、似た枝ばかりが並ぶ

案の似通いについては、別の研究が数値で示しています。学生100人が出したアイデア同士の似ている度合いを数値にすると0.243でしたが、対話型のAIに素の指示で出させた場合は0.377でした。この数値は大きいほど互いに似ていることを意味するので、素の指示で出させた案は、人の集団が出した案より互いに似ていると読めます。1つの指示に対して、最もありそうな答えの近くに固まるからです。

同じ研究で、考える道筋を順に書かせてから案を出させる指示に変えると、この数値は0.255まで下がり、重複しないアイデアの推定数は約3,700から約4,700に増えました。人の水準に近づいたわけです。似た枝が並ぶのは道具の性質というより、指示の作り方の結果だと言えます。なお、この研究も対象は学生向けの安価な製品に限られ、似ている度合いの数値が人の目に映る新しさと一致するとは限らない、という留保が付いています。

マインドマップという形式が効くのは、まさにこの点です。第一階層を先に分けてから枝を出させる手順は、考える道筋を分けて書かせる指示と、同じことをしています。軸を分けてから広げさせるだけで、1回の指示でまとめて出させたときの似通いはかなり減ります。図の形をとること自体が、そのまま指示の設計になっているわけです。

複数の研究をまとめて傾向を見た分析では、生成AIに頼った発想は人の出す案の多様性を全体として縮める方向に働くという指摘も出ています。個人としては広がったつもりでも、同じ道具を同じように使う人が増えるほど、社内の企画も業界の企画も似てくる。この点でも、第一階層を自社の言葉で決める工程だけは人が握る意味があります。軸が違えば、同じ道具から出てくる枝も変わるからです。

中心に置く言葉は、題名ではなく問いで書く

中心に置く言葉が名詞の題名だと、枝は名詞の分類になります。「新製品の企画」と置けば、市場、競合、価格、販路といった教科書の目次が返ってきます。中心を問いの形にすると、枝は答えの候補になります。「導入を決めた人は、社内の誰の反対を越えたのか」と置けば、部門名と反対の理由が並びます。枝の質は、中心に置いた言葉でほとんど決まると考えて構いません。

中心の言葉に入れる要素は3つです。この3つが入っていれば、枝は自然と具体になります。

  • 誰の話か:役職と部門まで書く。「担当者」ではなく「情報システム部門の課長」
  • どの場面の話か:時点を書く。「検討中」ではなく「上司に相談する前の段階」
  • 何が決まっていないか:迷いを書く。「導入すべきか」ではなく「誰に先に話を通すか」

たとえば「ウェビナーの企画」ではなく「情報システム部門の課長が、上司に相談せずに参加を決められるのは、どういう案内文のときか」。長くなって構いません。中心の言葉が1行に収まらないことを気にする必要はまったくなく、むしろ1行に収まる中心は、たいてい漠然としすぎています。書きにくいときは、直近で断られた案件を1つ思い出して、そのとき何が分からなかったかを書くと、そのまま中心の問いになります。

第一階層は、AIではなく人が決める

第一階層は、中心から最初に伸びる4本から6本の枝です。ここをAIに任せると、ほぼ確実に「概要、利点、注意点、事例、今後」という並びになります。この並びが出た時点で、その下にぶら下がる枝も一般論に固定されます。第一階層は指示の骨格であって、成果物ではありません。人が決めて、指示に書き込む対象です。

実務でよく効く軸は4系統あります。中心の問いによって、どれが向くかが変わります。

  1. 読者の段階:知らない、比べている、決裁を通したい、使い始めた、で分ける。記事の構成づくりに向く
  2. 時間の流れ:準備、当日、後追い、で分ける。催しの企画と、業務の手順づくりに向く
  3. 関係者:使う人、決める人、運用する人、反対する人、で分ける。提案の骨子づくりに向く
  4. 費用:初期にかかる分、毎月かかる分、人の手間、やめるときの費用、で分ける。稟議の材料に向く

選び方の勘どころは1つで、1枚の図で2系統を混ぜないことです。混ぜると同じ内容が2か所に現れ、選ぶときに数えられなくなります。2系統を見たいなら図を2枚作ります。中心の問いは同じまま第一階層だけ入れ替えて広げ直せばよく、作り直しは数分で済みます。同じ問いを別の軸で切ると、片方でしか出てこない枝が必ず現れ、それが抜けの候補になります。

そのまま使える、枝の型一覧

よく使う型を6つ並べます。中心に置く問いと第一階層は、そのまま写して使える形にしています。どれも、その仕事の担当者が自分の案件の言葉に置き換えるだけで動きます。

中心に置く問い第一階層向く場面
段階型その人は今どの段階にいて、次に何を知りたいのか知らない・比べている・決めたい・使い始めた記事の構成づくり
時間型この催しは、どの時点で人が離れるのか告知前・申込・当日・後追い催しの企画
関係者型この提案を止められるのは誰か使う人・決める人・運用する人・反対する人提案の骨子
費用型断られるとしたら、費用のどこが引っかかるか初期・毎月・人の手間・やめるときの費用稟議の材料
原因型この数字が落ちたのは、どの工程が壊れたからか集める・見せる・話す・決める原因の洗い出し
用語型この言葉は、誰と話すときに意味がずれるか定義・似た言葉・混同される言葉・現場での言い方用語の整理

原因型だけは扱いに注意が要ります。原因の候補を並べるところまでは広げる作業ですが、どれが本当の原因かを決めるのは、数字で確かめる作業です。図に並んだ原因は、すべて仮説の段階にとどまります。ここを混同して、それらしい枝を原因として報告してしまうのが、最も起きやすい事故です。枝の横に「どの数字を見れば確かめられるか」を1行足しておくと、この混同が起きにくくなります。

用語型は地味ですが、社内で最も感謝される使い方です。同じ言葉を営業と開発と経営で違う意味で使っている状態は、どの会社にもあります。定義、似た言葉、混同されやすい言葉、現場での言い方の4軸で広げると、ずれている箇所が図の上に出ます。そのまま用語集の下書きにも、記事の中の言葉づかいの統一にも使えます。

1回45分で回す進め方

広げる、選ぶ、書き換えるの3工程を、45分に収める形にします。時間を決めておかないと、広げる工程だけが伸びて、選ぶところまで到達しません。

STEP1
自分の草案を5分で書く

中心の問いと、思いつく第一階層を手で書きます。ここを飛ばすと、後で差分が見えなくなります。粗くて構いません。

STEP2
中心の問いと第一階層を渡して広げさせる

軸ごとに重ならない枝を8本ずつ、一般によく言われていることと、あまり言われていないことを分けて出させます。まとめて出させないことが肝心です。

STEP3
空白の目立つ軸だけ、もう1回広げさせる

全体を作り直させず、枝が薄い軸を名指しして、そこだけ深く出させます。作り直させると前の枝が消え、比べる材料がなくなります。

STEP4
休憩を挟む

ここで前半を終えます。可能なら日をまたぎます。自分が出した枝を捨てられるようにするための工程です。

STEP5
残す基準を読み上げてから選ぶ

広げる前に紙に書いておいた基準を、声に出して読んでから選び始めます。読み上げないと、基準は目立つ枝に合わせて動きます。

STEP6
残した枝を、見出しか作業項目に書き換える

図の形のままで会議を終えません。書き換えるところまでを1回の作業に含めます。

45分のうち、広げるのは前半の20分までにします。広げる時間を長く取りすぎると、選べない枝が増えるだけです。経験的には、枝が60本を超えたあたりから人は全体を見渡せなくなり、結局よく知っている枝を選ぶようになります。広げる量の上限も、質を守るための設計の一部だと考えてください。

出てきた枝の捨て方

残す基準は、広げる前に決めます。後から作ると、目立つ枝に合わせて基準のほうが動くからです。残す基準は、広げる前に紙に書いておく。この一手間があるかないかで、同じ図から選ばれる枝が変わります。基準は毎回考え直さず、部署で1組を共通に持つほうが、人によるぶれが減ります。

基準は3つで足ります。自社が実際に手を動かせるか。読者や顧客の側に、その困りごとが実在すると言えるか。半年以内に、やってみた結果を確かめられるか。この3つを全部満たすものだけを残します。1つでも欠けるものは、面白くても今回は残しません。面白さは基準に入れないのが要点で、入れると図の中で最も目新しい枝が毎回残り、実行されないまま溜まります。

数の決め方も先に決めます。第一階層ごとに残す上限を作り、たとえば各軸2本までとします。60本出しても残るのは8本です。上限を軸ごとに置くと、比べる相手が同じ軸の中に限られるので、判断が速くなります。軸をまたいで比べようとすると、性質の違うものを並べることになり、決まりません。

捨てた枝は消しません。図の下に「今回は残さなかった枝」としてまとめて残します。捨てた理由を1語だけ添えておくと、なお使えます。予算、人手、時期、確認できない、の4語くらいで足ります。捨てた枝を消さずに残しておくことが、次の節で書く使い回しの土台になります。

落とし穴:AIが出した枝を、事実として扱わない

広げる側をAIに預けると、必ず一般論の枝が混ざります。混ざること自体は問題ではありません。問題になるのは、図という形になった瞬間に、枝が確かめられた情報のように見えてしまうことです。手書きの付箋なら「誰の意見だっけ」と聞けますが、整った図の中の枝には、出どころを聞く相手がいません。

  • 出てきた枝をそのまま企画書に書き写す:一般に言われていることの寄せ集めになり、自社が言う理由がなくなる
  • 枝に書かれた数字や社名を裏取りせずに使う:出どころのない数字が、社内資料を経由して外に出る
  • 枝を増やしすぎて選べなくなる:全体を見渡せなくなり、結局よく知っている枝だけが残る
  • 清書した時点で仕事を終える:見出しにも作業にも変換されず、誰も開かない図が1枚増える

2つ目への手当ては単純で、枝に数字、社名、法令、日付のどれかが含まれていたら、その枝には印を付けて人が原典で確かめるまで使わないと決めておくことです。図の中では、確かめた枝と確かめていない枝が同じ見た目で並びます。見た目で区別が付かないなら、印を付けるしかありません。

そして、一般論の枝を自社のものに変える工程を必ず1つ挟みます。広げ終わった図に、自社でしか書けない要素を3つ足します。過去に受注できた理由、断られた理由、社内で反対された理由。この3つは外からは絶対に書けません。自社の事情を差し込むのは、広げる工程ではなく選ぶ工程の直前です。先に差し込むと、その事情に引っ張られて枝が広がらなくなります。

図のままで終わらせない

残した枝は、そのままでは仕事になりません。名詞の枝を、問いか動作に書き換えます。「価格」という枝は「価格が高いと言われたときに、何と比べてもらうか」に。「事例」という枝は「どの業種の事例を、誰に取材するか」に。名詞のままの枝には、担当者が決まりません。書き換えは1本あたり30秒で済みます。

次に、枝1本ごとに担当と期限を付けます。付けられない枝は、その場では採用しない扱いにします。厳しく見えますが、担当が決まらない枝は結局誰もやらないので、図に残しておいても意味がありません。捨てるのではなく「今回は残さなかった枝」に移すだけです。時期が来れば戻せます。

最後に、残した枝から次の打ち合わせの議題を作ります。図をそのまま議題にすると議論が拡散するので、枝から3つだけ議題を起こします。図は議題の材料であって、議題そのものではありません。この変換を挟まないまま図を会議に持ち込むと、参加者は図の見た目に感想を言うだけで終わります。感想が出る会議は、決まらない会議です。

誰がいつ作るかを、運用に載せる

この進め方が定着しない理由は、たいてい技術ではなく段取りにあります。「必要なときに誰かが作る」は運用ではありません。作る人と、作る時機と、かける時間の3つを決めて、はじめて仕事の工程になります。逆に言えば、この3つを決めるだけで定着します。

時機は、企画の起点に固定します。記事なら執筆に入る前、催しなら企画書を書く前、提案なら初回訪問の後。どれも「もう決まりかけているが、まだ書き出していない」時点です。この時点を過ぎると、人はすでに絞り込んだ状態になっていて、広げる作業そのものを面倒に感じます。作る人は、その仕事の担当者本人にする。上長や別の人が作った図は、担当者が使いません。

  • どの仕事の、どの工程で作るかを決める:記事なら執筆前、提案なら初回訪問の後
  • 作る人は担当者本人にする:代わりに作られた図は開かれないまま残る
  • 45分を予定表に入れる:入れないと、締切に押し出されて草案から直接本文に入る
  • 選ぶ基準は部署で1組を共通に持つ:毎回考えると、人によって残る枝がぶれる

チームで回すなら、月に1度、他の人が作った図を持ち寄って眺める場を15分だけ作ると効きます。中身を議論する場ではなく、第一階層の取り方だけを見せ合う場にします。同じ題材でも軸の取り方が違うことが分かり、次に自分が作るときの引き出しが増えます。うまくいった軸は、そのまま部署の型として一覧に足していきます。

図の置き場と、使い回し方

置き場は、案件ごとのフォルダではなく題材ごとにまとめます。案件で分けると、同じ題材を別の人が扱うときに探せません。ファイル名には中心に置いた問いをそのまま入れます。長くなりますが、後から探すときに効くのは題名ではなく問いのほうです。半年後に検索する自分は、案件名を覚えていません。

残す形は2つ用意します。図の道具の形式そのままだと開ける人が限られるので、画像として1枚と、枝を字下げした箇条書きの文字として1つ。箇条書きの形にしておくと検索に引っかかり、他の人が言葉で探せるようになります。検索に引っかからない資料は、存在しないのと同じです。

使い回しで最も効くのは、3か月後に同じ図を開いて、捨てた枝のうち事情が変わったものを見ることです。前回は予算を理由に捨てた枝が、今期は通ることがあります。人手を理由に捨てた枝が、体制の変更で動かせるようになることもあります。捨てた枝を残しておく価値は、ここで初めて回収されます。

作り直したときは上書きせず、日付を付けて別に残します。図が並ぶと、その題材について自社の考え方がどう変わってきたかが見えます。図の変化そのものが、企画の履歴になります。引き継ぎのときに前任者の図を3枚並べて見せると、口頭の説明より速く伝わります。

詰まったときの手当て

実際にやってみると、決まった場所で詰まります。原因はほぼ6通りで、手当てもそれぞれ決まっています。作業の途中で手が止まったら、この一覧から当てはまるものを探してください。

症状と手当ての早見
  • 枝が全部知っていることばかり:一般によく言われていることと、あまり言われていないことを分けて出す条件を足す
  • 枝が抽象的で選べない:第一階層に「誰が」の軸を1つ入れる。主語が入ると枝は具体になる
  • 枝が多すぎて選べない:軸ごとの上限を先に決め、上限の中だけで比べる。軸をまたいで比べない
  • 図はできたが次の行動が決まらない:名詞の枝を問いか動作に書き換える。書き換えないと担当が決まらない
  • 毎回同じような図になる:第一階層の型を替える。段階型で詰まったら関係者型に替えて広げ直す
  • 他部署に見せると話が通じない:図を渡さず、残した枝3本を文章にして渡す。図は作った人にしか読めない

最後の1点は特に大事です。マインドマップは作った人にとっては地図ですが、見せられた人にとっては他人の思考の跡にすぎません。会議の資料として配るのは、図ではなく、そこから起こした3行の文章です。図は、その3行がどこから来たかを聞かれたときに開けばよいものです。

なお、5番目の「毎回同じような図になる」は、道具を替えても解決しません。替えるべきなのは第一階層です。同じ軸で広げ続ければ、道具が変わっても似た枝が並びます。軸の一覧を部署で持っておくと、詰まったときに機械的に替えられます。

広げるのはAI、選ぶのは人

ここまでの手順を1行にすると、広げるのはAI、選ぶのは人になります。この線引きを曖昧にしたまま使うと、便利さに引かれて選ぶ側まで渡してしまい、結果として一般論の企画が出来上がります。渡してよい仕事と、渡してはいけない仕事を、名指しで分けておきます。

  • 中心を決める工程:問いの言い換えの案はAIに出させてよい。どの問いにするかの確定は人
  • 軸を決める工程:軸の候補はAIに挙げさせてよい。どの軸で切るかの確定は人
  • 広げる工程:枝を出す、言い換える、重複をまとめるまでAI。薄い軸を名指しして追加を指示するのは人
  • 選ぶ工程:条件に合う枝の並べ替えまでAI。残す基準の設定と、残す枝の確定は人
  • 仕上げる工程:見出し文の下書きまでAI。担当と期限を決めることと、数字の裏取りは人

選ぶ側を渡さない理由は2つあります。1つは、先に挙げた研究でも、実現できるかどうか、市場で成り立つかどうかの判断では人のほうが優位だと報告されていること。もう1つは、選んだ理由を後から説明できるのは人だけだからです。稟議でも編集会議でも、聞かれるのは案そのものより「なぜこれを選んだのか」です。ここに答えられない企画は通りません。

どうしても選ぶ工程を手伝わせたいときは、折衷案があります。順位を付けさせてもよいのですが、その場合は順位の根拠になった条件を、枝ごとに1行で書かせることを条件にします。根拠が書けない枝は落とすのではなく、人が目で見る行として残します。順位そのものは参考値として扱い、最終の並びは人が確定させます。この形なら、判断を渡さずに手間だけ減らせます。

あわせて、人が必ず確認する範囲を先に決めておきます。数字、社名、法令、日付を含む枝は原典で確かめる。顧客に見せる文言になる枝は、そのまま使わずに書き直す。この2つを最初に決めておけば、図がどれだけ大きくなっても、確認の量は見積もれます。確認する範囲を後から決めようとすると、量に負けて確認そのものが省かれます

まとめ

マインドマップをAIに作らせても一般論しか出ないのは、道具の限界ではなく、広げる作業と選ぶ作業を同じ時間に押し込んでいるからです。順番を組み替えます。自分の草案を5分で書き、中心を題名ではなく問いにし、第一階層は人が決めて渡し、広げる時間には1本も捨てず、休憩を挟んでから、先に決めておいた基準で選ぶ。選んだ枝は名詞のままにせず、問いか動作に書き換えて担当と期限を付けます。ここまでやって、図はようやく仕事になります。

定着させるには、作る人を担当者本人に固定し、企画の起点に45分を予定として置き、題材ごとの置き場に画像と箇条書きの2つで残すところまでを決めます。捨てた枝を消さずに残しておけば、3か月後に事情が変わった枝を拾い直せます。そして最後まで人が持つのは、中心の問い、軸、残す基準、残す枝、そして数字の裏取りの5つです。広げる量はAIに任せて構いませんが、選んだ理由を説明するのは、いつまでも人の仕事です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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