AIが社内資料を探せない原因と対策|文書管理から整える

「社内の資料をAIに読ませたのに、聞いても目当てのものが出てこない」「別の人が同じことを聞くと、違う答えが返ってくる」——導入から数か月たった部署から、決まってこの声が上がります。総務省の令和8年版情報通信白書によると、何らかの業務で生成AIを使っていると答えた割合は日本で86.4%まで上がりました。ところが業務の種類ごとに見ると、効果を実感すると答えた割合が飛び抜けて高いのは議事録やメールの作成補助で、およそ7割。社内の問い合わせ対応に使っている割合はおよそ5割にとどまります。手元で完結する使い方は効いていて、社内の資料を横断する使い方だけが伸びていない。これは道具の性能の話ではありません。本当は、読ませる文書の側の置き方から来ています。この記事では、探せない状態を5つの型に分け、置き場所・命名・版・年限・権限の順に手を入れる道筋をまとめます。
カメ先生社内の資料をAIに読ませても答えが出ないと、道具の性能の話にされがちなんだけど、たいていは文書の置き方の側なんだ。
カメ子資料そのものは社内にある、ということですか。
カメ先生あるんだよ。ただ、同じ内容が3か所にあって、どれを正とするか誰も決めていない。そうなると、機械は古いほうを根拠に答えてしまう。
カメ子答えが揃わないのは、資料が足りないからではなさそうです。
- 探せない状態は5つに割れる。無い・複数ある・古い・権限で見えない・言葉が違う
- 命名と検索の型は自前で考えず、電子帳簿保存法が求める書き方を借りると早い
- 捨てる基準を先に決める。残し続けることが、古い版を根拠にした答えを生む
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使ってはいるのに、社内の資料を横断する使い方だけ伸びない
数字から入ります。総務省の令和8年版情報通信白書に載った2025年度の企業向け調査では、何らかの業務で生成AIを使っていると答えた割合は日本で86.4%。前年度から大きく上がりました。活用の方針を定めている割合も68.9%で、前年度の49.7%から伸びています。企業規模別では大企業が74.0%、中小企業が58.1%でした。
一方で、生成AIによる業務変革について組織的な取組はない、と答えた割合は27.0%。懸念されるリスクでは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が最も高く、次いで「出力結果の精度に問題がある」が並びます。対策として最も多かったのは「全社的な指針やガイドラインを整備している」で41.1%でした。
並べると構図が見えてきます。使う人は増え、指針も配られた。しかし読ませる文書の側は、まだ触られていない。漏れの心配と精度の不満は、どちらも文書の置き方に足がかりがあります。誰でも見える場所に置いてあるから漏れ、どれを正とするか決まっていないから精度が出ない。指針を配っても文書が動かないのは、指針が人の行動を縛るものであって、保管の構造を変えるものではないからです。
「探せない」を5つに割る
「AIが社内資料を探せない」という一言のなかには、性質の違う問題が混ざっています。混ざったまま対策を打つと、たいてい道具の入れ替えに向かい、また同じところで止まります。先に5つの型へ割ってから、型ごとに手を入れる場所を決めます。
| 型 | 表に出てくる症状 | 手を入れる場所 |
|---|---|---|
| そもそも無い | 決まったはずのことが、どこにも書かれていない | 決定を文書にする手順 |
| 複数ある | 同じ内容が複数の場所にあり、中身が少しずつ違う | 置き場所の決め方 |
| 古い | 廃止した手順が根拠として返ってくる | 版の付け方と廃棄 |
| 権限で見えない | 人によって答えが変わる、途中で止まる | 権限の設計 |
| 言葉が違う | 社内の呼び名で聞くと出てこない | 呼び名の対応づけ |
この5つは、直す順番も違います。無い・古いは文書をつくる側の問題で、複数ある・権限は保管の構造の問題、言葉が違うは読ませ方の問題です。構造の問題を放置したまま読ませ方だけ工夫しても、成果はすぐ頭打ちになります。以下、型ごとに見ていきます。
型1 そもそも無い——決めたことが文書になっていない
いちばん多いのがこれです。手順や判断の基準は存在するのに、会議の場と個人の記憶にしかない。議事録には結論だけが1行書かれ、なぜそう決めたのか、どの範囲に適用されるのかは残っていません。この状態でいくら読ませても、答えは出てきません。素材がないからです。
見分け方は簡単です。新しく入った人が同じ質問を3回以上したテーマを並べると、だいたいここに該当します。問い合わせの多さは、文書が足りない場所を指し示す地図になります。社内の問い合わせ窓口に生成AIを置くと、答えられなかった質問の一覧が残ります。これを月に一度眺めるだけで、書くべき文書の順番が決まります。
書き出すところは、生成AIに任せてよい範囲です。担当者に口頭で説明してもらい、その記録から手順の骨組みを起こさせる。ただし何を正式な文書として認めるかは、人が決めます。下書きのまま共有フォルダに置くと、次の型に化けます。正式なものかどうかを見分ける印を、文書の側に持たせてください。
型2 複数ある——同じ内容が3か所にある
2つ目は、同じ内容の文書が複数の場所にある状態です。営業部の共有フォルダに1つ、情報システム部の共有フォルダに1つ、そして誰かの端末に1つ。中身は少しずつ違います。この状態でAIに読ませると、3つとも根拠として扱われ、混ざった答えが出てきます。人が読むときは日付や置き場所で優先順位をつけますが、機械はそこを見ません。
原因は保管の設計にあります。部門ごとに保管の場所を割り当てると、部門をまたぐ文書は必ず複製されます。契約の書式は法務にも営業にもあり、料金表は営業にも経理にもある。複製された時点で、更新は片方にしか入りません。3か月もすれば別物になります。
止め方は2つです。ひとつは、文書の種類ごとに置き場所を1か所だけ決め、他の部門からはそこへの近道を置くこと。もうひとつは、複製を許すなら「どちらが正か」を文書の先頭に書くことです。前者のほうが確実ですが、部門をまたぐ調整が要ります。後者は今日から始められますが、書き忘れが起きます。現実には、よく参照される上位20件だけ前者で片づけ、残りは後者、という進め方が回ります。
型3 古い——AIは古い版を根拠に答える
3つ目は、古い版が残っている状態です。人であれば「これは去年のやつだな」と気づきますが、機械は日付を見て新しいほうを選ぶ、という判断を自動ではしません。むしろ、書き方が丁寧で分量の多い古い版のほうが、根拠として選ばれやすいことがあります。古い版が残っていること自体が、間違った答えの原因になります。
困るのは、間違いに気づきにくいことです。古い版に基づいた答えは、形としては正しく見えます。廃止した割引率、変わった承認の順番、使わなくなった書式の名前。どれももっともらしく返ってきます。読む側が知らないことを聞いているのだから、間違いに気づけるのは元の文書を知っている人だけです。
対策は、版の管理を人の心がけに委ねないことです。廃止した文書は、見える場所から動かします。参照用に残す必要があるなら、AIに読ませる範囲から外した保管場所に移す。この「読ませない置き場」を最初に作っておくと、その後の運用が楽になります。捨てられないから残す、が、答えを壊す仕組みに変わってしまうのを防げます。
型4 権限で見えない——人によって答えが変わる
4つ目は権限です。社内の資料を読ませる仕組みは、聞いた人の権限に合わせて参照できる範囲を切り替えるのが基本です。そうしないと、見てはいけない中身が答えに混ざります。ところが権限の切り方が雑だと、別の問題が出ます。同じ質問をしても、人によって答えが変わる。しかも、なぜ変わったのかが本人には分かりません。
よくあるのは、共有フォルダの権限が「とりあえず全員が見える」で始まり、問題が起きるたびに個別に絞られていく、という経過です。結果として、誰がどこを見られるのかを誰も把握していない状態になります。権限の一覧を出せない組織は、AIに読ませる範囲も決められません。読ませる範囲は権限の写しになるからです。
整理の順番は、権限が先で、仕組みが後です。まず現状の権限を一覧にし、全員が見えている場所に、見えてはいけない文書が混ざっていないかを確かめる。混ざっていたら、そこを分ける。この作業を飛ばして仕組みを入れると、検索できるようになった分だけ、漏れが速く広がります。白書で懸念の1位が社内情報の漏洩だったのは、この順番の問題を多くの企業が感じ取っているからだと読めます。
型5 言葉が違う——社内の呼び名と文書の中の語がずれる
5つ目は言葉のずれです。現場では「見積書」と呼んでいるものが、文書のなかでは「御見積のご案内」と書かれている。社内で「A案件」と呼ぶ取引が、文書では正式な契約名で書かれている。人は文脈で補いますが、文字を手がかりに探す仕組みは、ここで止まります。
手当ては、文書を書き換えることではありません。呼び名の対応表を1枚作り、それ自体を読ませる文書にするのが早い方法です。現場の呼び名、正式な名称、略した書き方を3列で並べるだけでも、拾える割合が変わります。100語もあれば十分で、問い合わせ窓口で答えられなかった質問から拾っていくと、必要な語だけが集まります。
あわせて、文書の先頭に別名を書く運用も効きます。正式名称の下に「社内では◯◯と呼んでいます」と一行入れる。文書の中身を直す必要はなく、入口に一行足すだけなので、現場の負担がほとんど増えません。これは新しく入った人にも役立つので、文書管理の作業としてではなく、読み手のための作業として頼むと定着します。
共有フォルダが増える構造と、その止め方
5つの型のうち、複数ある・権限で見えないの2つは、共有フォルダの増え方に原因があります。増える理由ははっきりしています。新しい取り組みが始まるたびに、参加者だけが見える場所が要る。作るのは数分で終わり、消す手順は決まっていない。作る速さと消す速さが釣り合っていないから、増える一方になります。
止め方は、作る側ではなく消す側に手を入れることです。新しく場所を作るときに、終了予定日と持ち主を必ず書かせる。予定日が来たら、持ち主に「まだ要るか」を尋ねる。要らなければ、中身を保管用の場所へ移してから閉じる。この一連が回れば、総数はある程度で頭打ちになります。
もうひとつ効くのは、階層の深さに上限を置くことです。深い階層は、探すためではなく、置いた人が迷わないために作られます。上限を4階層と決め、それ以上に細かく分けたくなったら文書の名前で区別する、という決め方にすると、置き場所を探す時間が減ります。名前で区別する方法は、次の節で見る国の要件がそのまま使えます。
命名の実務仕様——国が求めている書き方を借りる
ファイル名の付け方を自前で考えると、決めるのに何回も会議が要ります。そこで、すでにある要件を借ります。電子帳簿保存法で電子取引のデータを保存するときに求められる検索の要件は、記録の項目が3つに絞られています。取引年月日その他の日付、取引金額、取引先。これに、日付または金額の範囲を指定した検索と、2つ以上の項目を組み合わせた検索ができることが加わります。
国税庁が公表している一問一答には、専用のソフトを使わない場合の具体例も載っています。請求書のデータのファイル名に、規則性をもって内容を表示する方法です。2021年1月31日に、ある取引先から受け取った11万円の請求書であれば、日付・取引先・金額をこの順に並べて「20210131_取引先名_110000」という形にする、という例が示されています。あわせて、任意のフォルダに格納しておくこと、訂正や削除を防ぐための事務処理規程を備え付けることが挙げられています。
この形は、税務の書類以外にもそのまま応用できます。日付を先頭に置くと、並べ替えただけで時系列になるのが大きい。社内文書なら「日付+種類+対象+版」の4つで足ります。ファイル名に連番だけを付け、内容は索引の表で管理する方法も、同じ一問一答で認められています。文書の数が多い部門では、こちらのほうが続きます。
同じ一問一答には、要件が外れる場合の定めもあります。判定期間に係る基準期間、つまり通常は2年前の売上高が5,000万円以下で、求めに応じてデータを出せる状態にしておけば、検索機能の確保は不要とされています。令和5年度の税制改正前はこの基準が1,000万円でした。ここから読み取れるのは、探せる形を作る負担は、量に応じて重くなるという前提が置かれていることです。社内文書でも同じで、数が少ないうちは目で探せます。名前の付け方を決めるのは、量が増える前でなければ間に合いません。
- 日本語の日付を混ぜる(並べ替えたときに順番が崩れる)
- 「最新」「新」「改訂」を名前に入れる(次の版が来た瞬間に嘘になる)
- 担当者の名前を入れる(異動のたびに全部の名前が古くなる)
- 全角と半角を混ぜて数字を書く(同じ名前なのに別物として扱われる)
- 名前が長くなりすぎて、末尾が画面に表示されない
版の付け方——「最終版2」が生まれる原因
命名の話でいちばん揉めるのが版です。最終版、最終版2、最終版(修正)。笑い話にされますが、原因ははっきりしています。作業が終わったことを示す言葉と、正として使ってよいことを示す言葉が、同じ「最終」になっているからです。作業は何度でも終わりますが、正は1つしかありません。
直し方は、2つを分けることです。作業の段階は連番で表します。第1版、第2版、第3版。正として使ってよいかどうかは、置き場所で表します。承認済みの文書だけを置く場所を作り、そこに入っているものが正。作業中のものは別の場所に置きます。名前で区別しようとするから破綻するので、場所で区別すれば迷いません。
この分け方は、AIに読ませる範囲を決めるときにも効きます。承認済みの場所だけを読ませれば、作業中の版が根拠に混ざりません。型3で見た「古い版を根拠に答える」問題も、同じ仕組みで防げます。読ませる範囲の設計と、版の管理は、同じ1つの決めごとになります。別々の作業として発注すると、両方とも中途半端に終わります。
保存年限——法令が決めている年数と、決まっていない文書
捨てる話に入る前に、捨ててはいけない文書を確認します。年数が法令で決まっているものがあるからです。会社法は、株式会社は会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿と事業に関する重要な資料を保存しなければならない、と定めています。法人税法施行規則は、青色申告法人について、帳簿書類を整理し起算日から七年間保存しなければならないとしています。欠損金の繰越しの適用を受ける場合は十年間になります。
人事の書類も年数が決まっています。労働基準法は、労働者名簿、賃金台帳、その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならないと定め、同じ法律の附則で、当分の間は三年間と読み替えることになっています。法令の年数は、社内の都合で短くできません。文書管理の表を作るときは、この列を最初に埋めます。
| 文書の種類 | 年数のよりどころ | 年数 |
|---|---|---|
| 会計帳簿と事業に関する重要な資料 | 会社法 | 閉鎖の時から10年 |
| 青色申告法人の帳簿書類 | 法人税法施行規則 | 起算日から7年 |
| 欠損金の繰越しの適用を受ける事業年度の帳簿書類 | 法人税法施行規則 | 起算日から10年 |
| 労働者名簿・賃金台帳など | 労働基準法(附則の読み替えあり) | 5年(当分の間3年) |
| 提案書・議事録・手順書など | 法令の定めなし | 社内で決める |
問題は最後の行です。法令が何も言っていない文書のほうが、社内には圧倒的に多い。年数を決めていないと、事実上「永久保存」になります。提案書は3年、議事録は5年、手順書は改訂から2年、というように、種類ごとに数字を入れてしまうのが早い。厳密な根拠は要りません。決めていないことのほうが、期間が短すぎることよりも危ないからです。
廃棄——捨てる基準を先に決める
年数を決めたら、捨てる作業が回るようにします。ここで多いのが、担当者の判断に委ねてしまう形です。「もう要らないと思ったら捨てる」では、誰も捨てません。捨てて困る可能性はゼロにできない一方、残して困ることは想像しにくいからです。個人の判断に委ねた廃棄は、必ず滞ります。
個人情報を含む文書については、法律の側にも方向が示されています。個人情報の保護に関する法律の第22条は、個人データについて、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めなければならない、と定めています。努力義務ですが、残し続けることが望ましい状態ではない、という位置づけははっきりしています。同じ法律の第23条は、安全管理のために必要かつ適切な措置を求めています。手元にある量が多いほど、この措置の負担は増えます。
実務では、廃棄を日付の作業にしてしまうのが確実です。文書を登録するときに廃棄の予定日を入れ、その日が来たら持ち主に通知が飛ぶ。持ち主は、延長するか廃棄するかだけを答える。判断の中身を毎回考えさせるのではなく、二択にしておくと止まりません。棚卸しの下ごしらえ、つまり種類ごとの仕分け案や重複の候補を並べる作業は生成AIに任せてよい範囲ですが、捨てる判断そのものは人が持ちます。捨てた文書は戻りません。
アクセス権限は、人ではなく役割に付ける
権限の設計でつまずくのは、たいてい付け方の単位です。「田中さんに見せる」という形で個人に付けていくと、異動のたびに全部を見直す作業が発生します。実際には見直されないので、異動した人が、前の部署の文書を見られるまま残ります。退職時に消し忘れれば、さらに危ういことになります。
役割に付ける形にすると、この作業が減ります。「営業部の担当者」「経理の承認者」「情報システムの管理者」といった役割を先に作り、権限は役割に対して設定する。人には役割を割り当てるだけにします。異動のときは役割を付け替えれば済み、退職のときは全部の役割を外せば済みます。確認するのは、役割の一覧と、その役割にいまだれがいるかの2つだけになります。
見直しの周期も決めておきます。人事の異動に合わせて年に2回、役割ごとの人数と、そこに含まれる文書の範囲を並べて確認する。このとき効いてくるのが、役割の数を増やしすぎないことです。細かく分けるほど正確になりますが、確認しきれない数になれば形だけの作業になります。最初は10前後から始めて、事故が起きた場所だけ分けていくのが現実的です。
AIに読ませてよい文書を、保管の段階で分ける
ここまでの整理が効いてくるのが、この節です。AIに読ませる範囲を後から絞ろうとすると、うまくいきません。文書が散らばっている状態で、1つずつ「これは読ませてよい・よくない」を判定していく作業になるからです。数千件を超えた時点で、この方法は破綻します。読ませてよいかどうかは、保管の段階で決めておきます。
分ける基準は3つで足ります。人事や個人の評価にかかわるもの。取引先との間で秘密として扱う約束をしているもの。そして、まだ承認されていない作業中のもの。この3つを別の場所に置き、それ以外を読ませる場所に集める。置き場所そのものが、読ませる範囲の定義になります。新しい文書が増えても、置くときに決まるので、後追いの判定が要りません。
この形にしておくと、権限との整合も取りやすくなります。読ませる場所の中でも、役割ごとに見える範囲は分かれます。そこは仕組みの側で権限を引き継がせる設定にしておく。白書で懸念の1位が社内情報の漏洩だったことを踏まえれば、説明できる形になっていること自体に価値があります。どの場所を読ませているのか、誰がどこまで見られるのかを1枚で示せれば、情報システム部門との調整は驚くほど早く終わります。
決めた範囲は、決めた時点で古くなり始めます。白書によれば、リスク対策の取組で日本が最も多かったのは指針やガイドラインの整備でしたが、他の3か国では、企画や導入の段階で専門的な審査体制があるという回答や、導入したあとに定期的な評価と検証を行っているという回答が、日本より高い傾向にありました。配って終わりにせず、読ませている範囲を定期的に開き直す工程まで含めて設計する。半年に一度、読ませる場所に増えた文書の一覧を出し、分けるべきものが紛れていないかを持ち主に確認するだけでも、ずれの蓄積は止まります。
AIに読ませる前に整える4工程
最後に、着手の順番をまとめます。全部を一度にやろうとすると、半年たっても始まりません。よく参照される文書から順に、範囲を区切って進めます。
人事・秘密保持・作業中の3つを別の場所に移し、残りを読ませる場所に集めます。この時点では中身を直しません。移すだけです。
同じ内容の文書を突き合わせ、正とする1つを残します。廃止した版は読ませない置き場へ移します。仕分けの候補出しは生成AIに任せ、どれを正とするかは持ち主が決めます。
日付を先頭に置き、種類・対象・版の順で並べます。承認済みの文書だけを置く場所を作り、作業中のものと分けます。
現場の呼び名、正式な名称、略した書き方を3列で並べ、その表自体も読ませる文書に加えます。問い合わせで答えられなかった質問から語を足していきます。
この4つを終えてから読ませると、同じ道具でも答えの質が変わります。順番を逆にして、道具を先に入れてから文書を直そうとすると、直すべき場所が見つからないまま時間だけが過ぎます。白書で組織的な取組はないと答えた割合が27.0%あったことを思い出すと、多くの企業がまだこの4工程の手前にいると考えられます。先に済ませておくこと自体が、そのまま差になります。
確認項目一覧
着手前と運用中に確かめる項目を並べます。全部に丸が付くまで待つ必要はありません。丸が付かなかった項目が、次に手を入れる場所です。
保管の構造について
- 文書の種類ごとに、置き場所が1か所に決まっているか
- 共有の場所を作るとき、終了予定日と持ち主を書かせているか
- 階層の深さに上限を決めているか
- 承認済みの文書だけを置く場所があるか
- 廃止した文書を移す、読ませない置き場があるか
名前と版について
- ファイル名の先頭に日付を置いているか
- 「最新」「改訂」といった言葉を名前に使っていないか
- 版は連番で表し、正かどうかは置き場所で表しているか
- 文書の数が多い部門では、索引の表を使っているか
年限と権限について
- 法令で年数が決まっている文書を、一覧にしてあるか
- 法令の定めがない文書にも、年数を入れてあるか
- 廃棄の予定日が来たときに、持ち主へ通知が飛ぶか
- 権限は人ではなく役割に付けているか
- 役割の一覧と、そこにいまだれがいるかを出せるか
- 棚卸しの下ごしらえ——種類ごとの仕分け案、重複の候補、呼び名のゆれの洗い出しは、生成AIに任せてよい範囲です。一方で、どれを正とするか、どれを捨てるか、どの文書を読ませる範囲から外すかは、文書の持ち主が決めます。根拠になった文書の名前を必ず添えさせ、元の文書に当たれる形で受け取ってください。
まとめ
社内資料をAIに読ませても答えが出てこないとき、原因は道具よりも文書の側にあります。探せない状態は、そもそも無い・複数ある・古い・権限で見えない・言葉が違う、の5つに割れ、それぞれ手を入れる場所が違います。置き場所は種類ごとに1か所へ寄せ、共有の場所には終了予定日と持ち主を付ける。名前は日付を先頭に置き、電子帳簿保存法が求める日付・取引先・金額の並べ方をそのまま借りる。版は連番で表し、正かどうかは承認済みの置き場所で表す。年数は、会社法の十年、法人税法施行規則の七年、労働基準法の五年といった法令の定めを先に埋め、定めのない文書にも数字を入れる。権限は人ではなく役割に付け、異動と退職で付け替える。読ませてよい文書とそうでない文書は、後から選ぶのではなく保管の段階で分ける。この順に整えてから読ませると、同じ道具でも答えが揃いはじめます。棚卸しの下ごしらえは生成AIに任せてよい範囲ですが、どれを正とするか、どれを捨てるかは人が持つ。まずは、よく参照される20件だけを対象に4工程を通してみてください。全社に広げるのは、その手応えを確かめてからで間に合います。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
