決裁が通る企画書をAIで作る5工程|差し戻しを減らす

水曜の夕方、3週間かけて練り上げたリード獲得施策の企画書が、付箋つきで戻ってきました。「効果の根拠が弱い。費用の内訳も見えない。再提出」——施策の中身には自信があったのに、判断材料の不足で企画そのものが止まってしまう。マーケの現場で繰り返される光景です。稟議の承認だけでも数日かかるのが実態で、差し戻しが一度あるだけで施策の開始は週単位で遅れます。生成AIを作成の工程に組み込めば、決裁者の疑問に先回りした企画書を、差し戻しを前提にしない品質で速く仕上げられます。本記事では、調査データを踏まえ、企画書づくりを5つの工程に分けて進め方を解説します。
カメ先生企画書が通らない原因はね、文章力じゃないことが多いんだ。決裁者が判断に使う材料が抜けているんだよ。
カメ子まさに先週、費用対効果の根拠が弱いと差し戻されたばかりです…。
カメ先生調査でも、稟議の悩みで一番多いのは『承認までに時間がかかる』なんだ。判断材料を先回りでそろえる工程を作れば、あの往復は減らせるんだよ。
カメ子差し戻しゼロを目指して、作り方そのものを見直してみます!
- 稟議の承認までに3日以上かかるという回答が約半数を占めた調査があり、差し戻し1回の遅れは重い
- 企画書づくりは背景整理・骨子・数字の裏付け・想定問答・1枚サマリーの5工程に分けてAIを組み込む
- 決裁者が見るのは費用対効果・実行可能性・撤退条件の3点。想定問答でこの視点に先回りする
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差し戻しはなぜ重いのか——稟議の実態データ
企画書の差し戻しがどれほどの時間損失になるかは、データで確かめられます。ワークフローシステムを提供するエイトレッドが2022年に公表した調査(従業員100名以上の企業で、半年以内に3回以上稟議を起案した109名が対象)では、稟議の申請から承認までに3日以上かかるという回答が約半数を占めました。1日未満で承認されたという回答はわずか4.6%です。承認そのものにこれだけかかる以上、差し戻しが1回起きれば、修正と再申請の往復でさらに数日から1週間が消える計算になります。
同じ調査では、稟議に関する悩みが「何度もある」「ややある」と答えた人が約8割にのぼり、悩みの内訳は「承認までに時間がかかる」が60.5%で最多、「稟議書の作成に時間がかかる」も30.2%ありました。つまり、作るのにも通すのにも時間がかかるのが稟議の実態です。作成をAIで速くするだけでは半分しか解決しません。最初の提出で判断材料をそろえ切り、往復そのものを減らす作り方が、施策のスピードに直結します。
同じ調査では「稟議の進捗が把握しづらい」という悩みも55.8%と2番目に多く、提出した後の追跡にも負荷がかかっていることが分かります。承認までの日数の分布を見ても、5日以上かかったという回答が4分の1を超え、7日以上も約1割ありました。提出後の停滞まで含めて設計するなら、企画書に「いつまでに判断が必要か」という期限と、その理由(媒体の申し込み締切など)を明記しておくのが有効です。判断の期限が書かれた企画書は、承認フローの中で後回しにされにくくなります。
生成AIで企画書づくりの前提が変わった
この1〜2年で、企画書づくりを支えるAIは2つの系統に分かれて実用段階に入りました。1つは対話型AIで、骨子の作成、文章化、想定問答といった中身づくりを支えます。もう1つはスライド生成AIで、テキストから資料一式を生成するGamma、PowerPoint内で構成案作成や生成を行うMicrosoft 365のCopilot、国産のイルシルなどが代表格です。イルシルは上場企業を含む1,300社以上が導入しているとされ、日本語のビジネス資料に特化した設計が支持されています。
行政でも文書作成へのAI活用は定着しつつあり、デジタル庁の職員利用の報告では、議事録作成が1回あたり10分程度短縮されたという実務データが公開されています。ただし、ツールが増えても企画書が通る確率が自動的に上がるわけではありません。通すために必要なのは見た目ではなく判断材料であり、どの工程で何をAIに任せるかの設計が成果を分けます。次の章から、その工程を順に見ていきます。
スライド生成AIを選ぶ観点は3つあります。無料枠で試せるか(Gammaは月単位の無料クレジット制とされます)、日本語のビジネス資料の型に合うか(イルシルは日本語テンプレートの豊富さが特徴とされます)、そして既存環境と統合できるか(CopilotはMicrosoft 365内で完結する一方、組織向けの有料契約が前提です)。いきなり全社導入を決めず、次の企画書1本で試してから判断すれば、ツール選びで失敗するリスクはほぼありません。
コスト面の情報も集めておきましょう。たとえばPowerPointのCopilotは組織向けの有料アドオンで、無料試用が用意されていないという比較検証もあります。一方、GammaやイルシルのようにWeb登録だけで試せる無料枠を持つサービスもあります。まず無料枠で2〜3本作り、チームの資料文化に合うかを確かめてから有料化を判断する——この段取りにすれば、ツールへの投資判断そのものも、小さく試した根拠を持って通せます。奇しくも、企画書の通し方と同じ発想です。
全体像——企画書づくりを5つの工程に分ける
最初にやめるべきは、白紙のスライドをいきなり開くことです。書きながら考えると、構成は崩れ、根拠は後付けになり、差し戻しの原因を自分で作ることになります。企画書づくりは次の5工程に分けると、AIに任せる部分と人が判断する部分がはっきりします。
現状の数字・課題・決裁者の関心事という判断材料を集めます。この工程の充実度が最終的な品質を決めます。
7要素の型に沿って、AIに目次と各章の要点のたたき台を作らせます。
前提を明示した概算効果を組み立て、AIが補った数字は出典を検証します。
AIに決裁者役を演じさせ、質問と指摘への答えを提出前に準備します。
目的・効果・コスト・求める判断を1枚に凝縮し、冒頭に置きます。
順番も重要です。多くの人は背景整理を飛ばして骨子から書き始め、数字が固まる前に見た目を整え始めます。工程の順番を守るだけで、手戻りは目に見えて減ります。以降の章で、各工程でのAIの使い方を具体的に見ていきます。
時間配分の目安も決めておきましょう。おすすめは、背景整理と数字の裏付けに全体の6割、骨子と文章化に2割、想定問答とサマリーに2割という配分です。多くの人は文章化と見た目の調整に大半の時間を使っていますが、差し戻しの原因はほぼ材料と数字の側にあります。AIで文章化が速くなった分、時間の重心を材料集めに移す——これが生成AI時代の企画書づくりの時間設計です。
なお、すべての企画書に5工程のフル装備が必要なわけではありません。少額の定例施策や、過去に承認済みの施策の継続案件なら、骨子と1枚サマリーだけの簡略版で十分です。フル装備で臨むべきなのは、新規性の高い施策、金額の大きい施策、決裁者が初めて聞く施策。企画の重さに合わせて工程を選ぶようにすると、チーム全体の負荷は現実的な範囲に収まり、重要な企画にこそ時間を注げるようになります。
工程1:背景整理——書く前に判断材料を集める
背景整理で集めるのは4点です。現状の数字(問い合わせ数・CPA・商談化率など)、課題の構造(なぜその数字になっているのか)、過去の類似施策の結果、そして決裁者が誰で、何を重視する人か。この材料が薄いまま書き始めると、もっともらしいけれど根拠のない企画書ができあがり、差し戻しの典型コースに入ります。急がば回れで、ここに時間を使う価値があります。
この工程でのAIの使い方は、書かせることではなく質問させることです。施策の概要を渡し、「この企画を役員に通すために、まだ足りない情報を質問形式で挙げて」と逆質問をさせると、自分では見えていなかった抜けが浮かび上がります。過去の類似施策の有無、競合の動き、社内リソースの空き状況——聞かれて答えられない項目こそ、決裁の場で突かれる項目です。抜けを埋めてから次の工程へ進むと、骨子の質がまったく変わります。
材料は、意外なほど社内に眠っています。アクセス解析、SFAの商談記録、過去の月次レポート、営業会議の議事録——こうした断片をAIに渡して背景に使える事実を整理させると、自分の記憶だけに頼るより濃い材料がそろいます。特に過去の月次レポートは、課題の推移を示す時系列の証拠として使えるため、背景の章の説得力が一段上がります。数字の初出をここで洗い出しておくと、後の裏付け工程も速くなります。
工程2:骨子づくり——7要素の型に流し込む
骨子は、背景・課題・提案・期待効果・コスト・スケジュール・リスクの7要素で組みます。この並びは、決裁者の頭に浮かぶ「なぜ今か」「何をするのか」「いくらで何が得られるか」「いつまでに」「何が不安か」という問いの順序に対応しており、要素が1つ欠けると、そこがそのまま差し戻しの理由になります。逆にいえば、7要素がそろっているかを機械的に点検するだけで、抜けによる差し戻しは大きく減らせます。
AIに骨子を作らせるときは、施策の内容だけでなく、工程1で整理した決裁者の情報まで渡すのがコツです。次のようなプロンプトが出発点になります。
マーケ施策の企画書の骨子を作ってください。
施策:{施策の内容}/解決したい課題:{課題と現状の数字}
対象顧客:{顧客層}/予算規模:{概算}
決裁者:{役職}。重視するのは{費用対効果・前例・リスクなど}
構成:背景・課題・提案・期待効果・コスト・スケジュール・リスク
各項目に、盛り込む要点と、決裁者から出そうな質問を添えてください。
返ってきた骨子はあくまでたたき台です。自社の実態に合わない項目を直したうえで、文章化は章単位で進めます。一括で全文を書かせるより、章ごとに書かせて確認するほうが、品質を保ちながら速く進められます。
骨子の粒度は、章タイトルだけでなく各章に2〜3行の要点と「必要なデータ」のメモまで作るのがポイントです。「期待効果:リード増の概算式。必要データ=直近6カ月のCPAと商談化率」という形まで落ちていれば、肉付けの工程はデータを流し込む作業に変わります。骨子の段階で必要データが見えるため、数字集めを並行して進められるのも、この粒度で作る利点です。
工程3:数字の裏付け——前提を明示した概算をつくる
決裁者が最も見るのは、効果とコストの数字です。概算で構いませんが、計算の前提が見えることが絶対条件です。「リードが月30件増え、商談化率20%・受注率25%・平均単価100万円なら、四半期で約450万円の受注増」のように式ごと示せば、決裁者は前提の妥当性ごと議論でき、話が前に進みます。前提が隠れた数字は、どれだけ立派に見えても不信を招くだけです。
AIには計算構造の組み立てを任せ、数字そのものは自社データから入れる分担が安全です。注意すべきは、AIが会話の流れで補ってくる市場規模や業界平均などの相場観です。もっともらしく見えても出典が存在しないことがあるため、AI由来の数字は、出典を特定できたものだけ採用すると最初に決めておきます。裏付けの正確さは、企画書の信頼そのものだからです。
概算に説得力を足す一手間が感度分析です。商談化率や受注率といった前提を±20%動かしたとき、効果がどの範囲で変わるかを幅で示します。「悲観側の前提でも半年で投資額を回収できる」と示せれば、決裁者の不安は大きく減ります。計算そのものはAIに任せれば数分で済むので、概算を1本の数字で終わらせず、幅を添えて出すことを習慣にしましょう。
工程4:想定問答——決裁者役をAIに演じさせる
差し戻しの多くは、決裁の場で答えられない質問が出ることで起きます。そこで提出前に、完成した企画書をAIに渡し、決裁者役を演じさせて質疑応答の予行演習をします。上司や同僚には頼みにくい壁打ちを、時間を気にせず何度でもやり直せるのが、AIならではの利点です。
プロンプトでは、決裁者の人物像を具体的に設定するほど、返ってくる質問が鋭くなります。
あなたは{役職。例:費用対効果に厳しく、前例を重視する役員}です。
以下の企画書を読み、決裁の場で実際にしそうな質問と指摘を
厳しい順に10個挙げてください。
それぞれについて、どんな答えなら納得できるかも添えてください。
---
{企画書の本文}
挙がった質問には、企画書の中で答えるか、口頭で答える準備をしておきます。特に、自分が答えに詰まった質問こそ、本番で飛んでくる可能性が高い質問です。予行演習で詰まった箇所を放置せず、数字や根拠を補強してから提出しましょう。
想定問答の成果物は、口頭準備だけでなく付録のQ&A集としても活用できます。主要な質問と回答を1ページにまとめて企画書の末尾に付ければ、決裁者は疑問を自己解決でき、会議の時間も短くなります。また、決裁の場に同席しない関係者——経理や法務、情報システム部門——の視点をAIに演じさせておくと、承認後の実行段階でのつまずきまで先回りできます。
決裁の場での説明時間が限られている場合は、想定問答の材料から「3分版の説明」も組み立てておくと安心です。結論(何をしたいか)→根拠(背景の数字と概算効果)→依頼(判断してほしいこと)の順に話し、詳細は質問に答える形で補います。説明は短く、備えは厚くが決裁の場の鉄則です。逆に、質問がほとんど出ないまま通ったなら、それはサマリーと想定問答が機能した証拠だと考えてよいでしょう。
工程5:1枚サマリー——判断材料を先頭に置く
決裁者は忙しく、分厚い資料を頭から読み込むとは限りません。冒頭に1枚のサマリーを置き、目的・提案・期待効果・コスト・そして「何を判断してほしいか」を凝縮します。承認がほしいのか、予算枠の確保か、方向性の確認か——求める判断が明確な企画書は、結論が出るのも速くなります。まず全体像、次に詳細という順序が、読み手の負担を最小にします。
サマリー自体は、完成した本編をAIに渡して要約させれば、たたき台が数分で得られます。ただし「何を判断してほしいか」の一文だけは、人が自分の言葉で書くべき項目です。ここが曖昧だと、内容への評価は高いのに「持ち帰って検討」で終わる、最ももったいない結末になりがちです。
サマリーの分量は、本文200〜300字と数字3つ程度が目安です。読み上げて30秒、目を通して1分以内に収まる密度にします。盛り込むのは、ひと言でいうと何をする企画か、いくらかかって何が得られるか、いつ始めていつ評価するか、そして求める判断。この4点に絞り、詳細は本編の該当ページ番号を添えて誘導すれば、忙しい決裁者への導線として十分に機能します。
応用として、サマリーを最後ではなく最初に書いてみる方法もあります。骨子ができた段階で仮のサマリーを書き、目的・効果・コスト・求める判断がひと息で言えるかを確かめるのです。ここで言葉に詰まるようなら、企画そのものがまだ固まっていない証拠です。本編を書き進める前に弱点が分かるため、手戻りがさらに減ります。仮サマリーは完成後に数字を差し替えて磨き直せば、そのまま提出版として使えます。
決裁者が見るポイントを知っておく
決裁者の視点は、書き手が思うより一貫しています。突き詰めれば費用対効果・実行可能性・撤退条件の3点です。次の表のように、決裁者の問いと示すべき材料を対応させて準備すると、抜けがなくなります。
| 決裁者の問い | 企画書で示すもの | 準備のしかた |
|---|---|---|
| いくらで何が得られるか | 前提つきの概算効果 | 計算式と前提を明記し根拠データを添える |
| 本当に実行できるのか | 体制・工数・スケジュール | 担当者と社内工数を事前に確認しておく |
| うまくいかなかったら | 撤退条件と見直しの節目 | 中止・縮小を判断する数値基準を決めておく |
| なぜ今やるのか | 現状の数字と機会損失 | 放置した場合に失うものを数字で示す |
意外に効くのが撤退条件です。「3カ月でCPAが基準値を超えたら停止する」と明記された企画は、決裁者にとってやめられる企画であり、承認のハードルが一段下がります。リスクに触れない企画書より、リスクと出口を示した企画書のほうが通りやすいのは、このためです。
さらに一歩進めるなら、決裁者のタイプ別に力点を変えます。数字で判断する人には概算の前提と感度分析を厚く、リスクに敏感な人には撤退条件と段階導入の設計を厚く、前例を重視する人には社内外の類似事例を添える。過去にその決裁者がどんな企画を通し、どんな理由で差し戻したかという判断の履歴が、最高の攻略情報になります。チーム内でこの履歴を共有できれば、なお強力です。
差し戻しの定番パターンから逆算する
差し戻しのコメントには定番があります。「費用の内訳が粗い」「効果の根拠は?」「他のやり方と比較したのか」「リスクの検討が浅い」——いずれも7要素のどこかが薄いというサインです。自分やチームが過去にもらった差し戻しコメントを集めておくと、自社特有の重点確認ポイントが見えてきます。決裁者が代々コスト内訳に厳しい会社なら、そこを厚くするのが最短の対策です。
中でも対応が漏れやすいのが「他のやり方と比較したのか」です。これには複数案の併記で先回りします。AIに「この課題を解決する代替案を、費用規模を変えて3つ挙げて」と出させ、本命案と並べて比較表にすれば、検討の跡が一目で伝わります。比較の存在そのものが、本命案の説得力を支えてくれるのです。
複数案は、本命案に加えて費用を抑えた縮小案と、成果を最大化する拡張案の3段構成が作りやすい形です。重要なのは、3案を費用・期待効果・リスクという同じ軸で比較することです。軸がそろっていないと、比較表がかえって混乱を招きます。縮小案があると「まず小さく試したい」という決裁者の心理にも応えられ、全否定ではなく段階承認という着地点が生まれます。
スライド生成AIの使いどころと限界
見た目を整える工程では、スライド生成AIが時間を大きく削ります。テキストからスライド一式を生成するタイプは無料枠から試せるものが多く、Gammaのように月単位の無料クレジットで数本の資料なら賄えるとされるサービスもあります。PowerPointが社内標準ならCopilot、日本語資料の体裁を重視するならイルシルというように、自社の資料文化に合わせて選ぶのが基本です。
ただし、スライド生成AIが作るのは器であって判断材料ではありません。中身が固まる前にスライド化すると、見た目に引きずられて構成の修正が億劫になります。順番は必ず「中身が先、スライド化は最後」。装飾に使っていた時間を、数字の検証と想定問答に回す。この時間配分の見直しが、通過率を上げる一番の近道です。
スライド生成AIを使った後は、数字と固有名詞の転記確認を忘れないでください。文章から図表への変換の過程で、数値が丸められたり、ラベルが入れ替わったりすることがあります。また、社内に指定の企画書テンプレートがある場合は、生成AIで中身を固めてから指定書式に流し込む手順のほうが、結局は速く仕上がります。生成物をそのまま提出できるかどうかは、社内の書式ルール次第です。
社内情報の扱い——ルールを先に決める
企画書には、未公開の売上、顧客名、原価といった機密情報が含まれがちです。AIに渡してよい情報の線引きを、作り始める前に確認しておきましょう。入力内容が学習に使われない設定や法人向けプランの利用が基本です。具体的には、次の点を押さえます。
- 社内のAI利用ルールを確認し、学習に使われない設定・法人向けプランを利用する
- 顧客名・取引条件・未公開の業績数字は、伏せ字やダミー値に置き換えて渡す
- AIの出力をそのまま社外に出さない。公開前に機密の混入がないか確認する
- ルールが未整備なら、扱う情報の範囲を決めるところから始める
ルールが未整備の場合でも、固有名詞と具体的な数字を伏せ字にして渡せば、骨子や想定問答の支援は十分に受けられます。整備を待たずに、安全な範囲から使い始めるのが現実的です。
匿名化の実務は、置き換えの対応表を作っておくと安全に回せます。顧客名はA社・B社、金額は実額ではなくレンジや相対値、担当者名は役職名に置き換える。AIへの入力前にこの表で変換し、出力を受け取ってから手元で元に戻します。骨子や想定問答のような構造とロジックの検討には匿名化の影響はほとんどなく、漏れて困る情報だけが外に出ない状態を作れます。対応表は一度作れば、次回以降の企画書でもそのまま使い回せます。慣れれば置き換えの手間は数分で、得られる安心とは比べものになりません。
AIの出力を検証する——もっともらしい数字ほど疑う
生成AIは、存在しない統計や古い相場観を、自信ありげな文面で出してくることがあります。企画書は数字の信頼がすべてであり、検証を省けば、速く作れた分だけ速く信用を失うことになりかねません。特に市場規模、業界平均、競合の動向といった外部の数字は要注意です。
検証は型にできます。AIの初稿に含まれる数字にすべて印を付け、出典を特定できたものだけを残す。特定できない数字は削るか、自社データに置き換える。検証を通過した数字だけが企画書に載るという原則を徹底するだけで、決裁の場での安心感が変わります。検証にかかる時間は、AIで短縮した作成時間の一部を充てれば十分に賄えます。
裏取りの優先順位も決めておくと迷いません。最優先は一次情報——官公庁の統計、業界団体の調査、企業の公式発表です。まとめ記事の孫引きは、元の数字から変質していることがあります。AIに出典を尋ねるとURLらしきものを示すことがありますが、実在しないページを挙げる場合もあるため、必ずリンク先を開いて数字の記載を確かめます。ここまでやって初めて、企画書の数字は武器になります。
やりがちな失敗と回避
生成AIで企画書を作る際につまずきやすい、典型的なパターンを挙げます。いずれも工程の順番と検証で防げるものです。
- 白紙からスライドを開いて書き始める:構成が崩れ、根拠が後付けになり、差し戻しの原因を自分で作る
- AIの文章をそのまま提出する:一般論の羅列になり、自社の実態と合わず信頼を失う
- AIが補った数字を検証せず載せる:出典のない相場観が混ざり、指摘された瞬間に企画全体が疑われる
- 見た目の調整に時間を使いすぎる:肝心の数字の裏付けと想定問答が手薄なまま提出日を迎える
共通するのは、AIで浮いた時間の使い道を決めていないことです。短縮できた時間は、検証と磨き込みに再投資すると決めておきましょう。この再投資の習慣こそが、作成の速さと通過率の高さを同時に手に入れる、ほぼ唯一の方法です。
企画書づくりを組織の型にする
5工程の流れは、個人のテクニックで終わらせず組織の型にすると効果が積み上がります。通った企画書と差し戻された企画書をアーカイブする、7要素のテンプレートを共有する、骨子と想定問答のプロンプトをチームの共有資産にする。誰が書いても一定水準に届く仕組みができれば、企画のスピードはチーム全体で上がります。
蓄積が進んだら、過去の企画書一式をAIに読ませて、自社で通る企画書の共通点を分析させるのも有効です。決裁者の関心の傾向、通りやすい費用規模、期初と期末での判断の違い——自社固有のパターンが言語化できれば、企画の中身だけでなく出すタイミングまで含めて戦略的に設計できるようになります。
まとめ
差し戻しの往復から抜け出す鍵は、筆の速さではなく工程の設計にあります。背景整理・骨子・数字の裏付け・想定問答・1枚サマリーの5工程にAIを組み込み、費用対効果・実行可能性・撤退条件という決裁者の視点に先回りする。AI由来の数字は出典を確認できたものだけ使い、求める判断を1枚目に明記する。稟議の承認には3日以上かかるという調査が示すとおり、往復を1回減らす価値は大きいものです。まずは次の施策で、AIへの逆質問による背景整理から試してみてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
コンテンツ制作にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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