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研究所の分析グループにメールとフォームで届く分析依頼を取り出して受付台帳に載せ、装置の予定と納期の回答を下書きする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

他部門から届く分析依頼のメールとフォームの回答から、試料・測定項目・希望納期などを取り出して受付台帳に載せます。使う装置の予約状況から納期の候補を出し、依頼者への回答メールを下書きします。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
その他/建設/製造
対象部門
品質管理/研究開発
対象業務
データ入力・転記/台帳・マスタ管理
主な課題
入力作業が多い/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
70%
年間削減
504h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受付担当がメールとフォームの回答を開き、依頼の内容を読む
  2. 依頼者、部署、費用を負担する部門のコード、試料名、試料数、測定項目、目的、希望納期をスプレッドシートの受付台帳へ写す
  3. 試料の危険性(有機溶剤を含むか、毒物・劇物に当たるか)と、測定後に試料を返すかを確かめる。書かれていなければ依頼者に聞き返す
  4. 測定項目から使う装置を決め、その装置の予定表を開いて空きを探す
  5. 希望納期に間に合うかを見て、間に合わなければ別の日を考える
  6. 依頼者に受付と納期のメールを書く
  7. 試料が届いたら、受付番号を試料のラベルに書く
導入後(After)
  1. 自動受付のメールボックスにメールが届くか、依頼フォームに回答が送信されると、フローが動く
  2. 自動メールの本文と添付(PDF・画像)、またはフォームの回答をそろえて、AIに渡す
  3. 自動AIが依頼の項目を取り出し、書かれていない項目と、読み取れなかった項目を分けて返す
  4. 自動測定項目と装置の対応表から、使う装置の候補を引く
  5. 自動装置予約のリストから、候補の装置の空きの日を数え、納期の候補を出す
  6. 自動受付台帳に「仮受付」として登録する
  7. 自動足りない項目があれば聞き返しの文面を、そろっていれば受付と納期の回答の文面を下書きする
  8. 人受付担当が台帳の「仮受付」を開き、取り出した項目と装置・納期の候補を確かめる
  9. 人装置と納期を確定し、下書きを直して送る
  10. 自動送信したら、台帳の状態を「受付済」に変える
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受付担当がメールとフォームの回答を開き、依頼の内容を読む
  2. 依頼者、部署、費用を負担する部門のコード、試料名、試料数、測定項目、目的、希望納期をスプレッドシートの受付台帳へ写す
  3. 試料の危険性(有機溶剤を含むか、毒物・劇物に当たるか)と、測定後に試料を返すかを確かめる。書かれていなければ依頼者に聞き返す
  4. 測定項目から使う装置を決め、その装置の予定表を開いて空きを探す
  5. 希望納期に間に合うかを見て、間に合わなければ別の日を考える
  6. 依頼者に受付と納期のメールを書く
  7. 試料が届いたら、受付番号を試料のラベルに書く

(a)台帳へ写すだけで時間がかかる。 依頼の書き方が人によって違うので、同じ項目を探して読む場所が毎回変わります。 Excelの依頼票は版が3つあり、古い版には「試料の危険性」の欄がありません。

(b)足りない項目の聞き返しが遅れる。 受付担当が忙しい日は、2番目で台帳に写して3番目を後回しにし、試料が届いてから「これは返却が要りますか」と聞くことになります。 分析者がその返事を待つあいだ、試料は棚に置かれます。

(c)納期の回答が受付担当の頭の中にある。 どの測定項目がどの装置に当たるか、その装置は前処理に何日かかるか、どの工場の定期の依頼が毎月いつ来るかを、長く受付をしている1名がいちばんよく知っています。 その人が休むと、他の2名は回答を出すまでに分析者へ聞きに行きます。

  1. 【自動】 受付のメールボックスにメールが届くか、依頼フォームに回答が送信されると、フローが動く
  2. 【自動】 メールの本文と添付(PDF・画像)、またはフォームの回答をそろえて、AIに渡す
  3. 【自動】 AIが依頼の項目を取り出し、書かれていない項目と、読み取れなかった項目を分けて返す
  4. 【自動】 測定項目と装置の対応表から、使う装置の候補を引く
  5. 【自動】 装置予約のリストから、候補の装置の空きの日を数え、納期の候補を出す
  6. 【自動】 受付台帳に「仮受付」として登録する
  7. 【自動】 足りない項目があれば聞き返しの文面を、そろっていれば受付と納期の回答の文面を下書きする
  8. 【人】 受付担当が台帳の「仮受付」を開き、取り出した項目と装置・納期の候補を確かめる
  9. 【人】 装置と納期を確定し、下書きを直して送る
  10. 【自動】 送信したら、台帳の状態を「受付済」に変える

8番目と9番目が、人の仕事として残る部分です。 受付担当は依頼を読んで写すことはしなくなりますが、装置と納期を決めるのはこれまでどおり受付担当とリーダーです。 割り込みの依頼をどう扱うかは、そのときの事情で変わるからです。

7番目で、聞き返しの文面を先に作るのも意図してのことです。 足りない項目がある依頼に納期を答えてしまうと、後から「試料が劇物だった」と分かったときに納期がずれます。項目がそろうまでは、納期を答えない形にします。

02今回想定するシステム構成

構成図
分析依頼(受付のメール/Microsoft Forms の依頼フォーム)
   │
   ▼【トリガー】新しいメールの到着/フォームの回答の送信
Power Automate(クラウドフロー)
   ├──▶ メール:本文と添付(PDF・画像)を取り出す
   ├──▶ フォーム:回答の詳細を取り出す
   ▼
AI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)
   │   依頼者・費用負担部門・試料・測定項目・目的・希望納期・危険性・返却
   │   書かれていない項目/読み取れなかった項目
   ▼
Power Automate
   ├──▶ 測定項目と装置の対応表(SharePoint リスト)を引く
   ├──▶ 装置予約(SharePoint リスト)から空きの日を数える
   ├──▶ 受付台帳(SharePoint リスト)に「仮受付」で登録
   ▼
AI Builder のプロンプト ── 聞き返し/受付と納期の回答の下書き
   ▼
Outlook の下書き ──▶【受付担当が確認して送信】
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウドフロー)Make、n8n、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
連携SharePoint リスト(受付台帳・装置予約・測定項目と装置の対応表)Microsoft Lists
メールOffice 365 Outlook(受付のメールボックス)Gmail
フォームMicrosoft Forms(依頼フォーム)Google フォーム

新しく作るのは、フロー2本と SharePoint のリスト3つです。 受付台帳と装置ごとの予定表は、フローから条件を付けて読み書きするために SharePoint のリストへ移します。

メールの入口は、Office 365 Outlook の When a new email arrives (V3) です。 添付を含める設定を「はい」にするとタイムアウトすることがあるとされ、「いいえ」にして Get Attachment (V2) で取り出す方法が案内されています。

フォームの入口は、Microsoft Forms の When a new response is submitted です。 このトリガーが返すのは回答のIDだけなので、Get response details で回答の中身を取ります。 グループのフォームはドロップダウンに出てこないため、フォームのIDを手で入れる必要があります。

AIは、AI Builder のプロンプトを Run a prompt で呼びます。 2025年5月から「Create text with GPT using a prompt」の名前が Run a prompt に変わっています。プロンプトの出力は JSON を選べます。 出力の形は例から自動で読み取る方式(Auto detected)か、例を書き換えて固定する方式(Custom)で決まり、保存したときの形が実行時にも使われます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

トリガーは2つあり、フローも2本に分けます。 1本は受付のメールボックスへの新しいメールの到着、もう1本は依頼フォームの回答の送信です。入口が違うだけで、AIに渡したあとの処理は同じです。 後段を子フローにまとめると、直すところが1か所で済みます。

メールのトリガーには、受信フォルダと件名の条件を付けます。 受付のメールボックスには、依頼のほかに依頼者からの催促や、試料を発送したという連絡も届きます。件名の先頭に「分析依頼」と付けてもらう運用を案内しつつ、付いていないメールも捨てずに後段で仕分けます。 件名で絞りすぎると、書き方を知らない工場からの依頼が入口で落ちます。

公式の説明では、トリガーは受信日時をもとに動き、設定したフォルダだけを見ます。仕分けのルールで別のフォルダへ移されたメールでは動かないことがあるので、受付のメールボックスには自動の仕分けを置きません。また、Defender の動的配信を使っている環境では、1回目は添付が空の配列のまま、2回動くことがあるとされています。添付の数が0より多いかを条件で見てから進めます。

フォームのトリガーは、回答が送信されるたびに1回動きます。フォームの回答には受付番号がまだありません。 番号はフローが台帳に登録した時点で振ります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼メール差出人、件名、受信日時、本文、添付(PDF・画像・Excel)受付のメールボックス
フォームの回答依頼者、部署、費用負担部門、試料名、試料数、測定項目、目的、希望納期、危険性、返却Microsoft Forms
測定項目と装置の対応表測定項目、使う装置、前処理の日数、1日に測れる試料数、担当の分析者SharePoint リスト
装置予約装置、日付、予約の種類(測定・保守・校正)、受付番号SharePoint リスト
依頼者の一覧氏名、メールアドレス、部署、既定の費用負担部門SharePoint リスト(社員の名簿から作る)

質を決めるのは、2つ目の「測定項目と装置の対応表」です。 いま受付担当の頭の中にある「この測定ならこの装置、前処理に2日」を、表に書き出します。この表が無いと、AIが取り出した測定項目から先へ進めません。

依頼者の一覧は、費用負担部門の既定値のために作ります。 コードが書かれていなければ所属から既定値を入れ、「既定値を使った」と台帳に残します。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
メール本文トリガーの出力本文(HTML)をテキストにして渡す
添付Get Attachment (V2)添付の種類を見て、PDFと画像だけをプロンプトの文書入力に渡す
フォームの回答Get response details回答IDで中身を取り、項目名と値の組にして渡す
対応表・装置予約・依頼者SharePoint の Get itemsFilter Query で装置や期間を絞って取る

SharePoint の Get items には Filter Query と Top Count があります。 Filter Query は OData の条件式で、装置予約なら「装置が GC-MS で、日付が今日から21日後まで」のように絞ります。絞らずに全件を取ると、予約の履歴が増えるほど遅くなります。

添付の扱いは種類で分けます。 プロンプトの文書入力に渡すのは PDF と画像だけにし、Excel の依頼票は文書入力に渡しません。 古い依頼票は Excel のまま届くので、受付担当が PDF にしてから再投入するか、フォームでの依頼を案内します。種類を見ずに渡すと、プロンプトの段で止まります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 差出人の確認 … 差出人が依頼者の一覧にあるかを見ます。社外からのメールは処理せず、受付担当へ回します
  2. 催促・連絡との仕分け … 件名と本文の先頭で、依頼か、催促か、試料発送の連絡かを分けます。依頼でないと分かったものは台帳に載せません
  3. 返信の引用の除去 … 「-----Original Message-----」以降や「>」で始まる引用を落とします。過去の依頼の内容が引用に残っていると、前回の試料を取り出します
  4. 署名の除去 … 署名の部署名と電話番号は依頼者の一覧から引けるので、本文からは落とします
  5. 添付の振り分け … PDF・画像はプロンプトへ、Excel は受付担当へ、それ以外は無視します
  6. 同じ依頼の重複の確認 … 同じ依頼者から同じ件名のメールが24時間以内に2通あれば、2通目を「重複の疑い」として台帳に載せずに受付担当へ回します

3番目がいちばん効きます。 依頼者は前回の依頼メールに返信する形で次の依頼を出すことが多く、引用を残したまま渡すと、新しい依頼と古い依頼の試料名が混ざります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、依頼の文面から決まった項目を取り出し、書かれていない項目と読み取れない項目を分けて返すことです。

取り出す項目取り出し方書かれていないときの扱い
依頼者・部署本文・署名・フォームの回答から差出人から引くのでAIには推測させない
費用負担部門コードが書かれていればそのままmissing。既定値はフローが入れる
試料名・試料数試料ごとに1行。数は書かれた数字のまま数が無ければ missing
測定項目書かれた言葉のまま。「組成」「異物」なども写す測定項目が1つも無ければ missing
目的1文でmissing
希望納期日付として書かれていれば日付に「なるべく早く」は日付にせず原文のまま
試料の危険性有機溶剤・毒物劇物・粉じんなどの記載書かれていなければ missing。「無し」と読まない
返却の要否返す/返さないmissing

試料の危険性の扱いが、この構成で最も大事です。 危険性について何も書かれていない依頼は、「危険性は無い」ではなく「書かれていない」です。AIは書かれていないことを「無し」と読みがちです。 そのまま台帳に「危険性:無し」と載ると、分析者が保護具なしで試料を開けることになります。

させないこと理由
使う装置を決める対応表で引く。測定項目の言い方がゆれるときは受付担当が決める
納期を決める予約の空きをフローが数え、受付担当が確定する
試料を受けてよいかの判断危険性の評価は分析グループのリーダーが行う
書かれていない項目を埋める試料数や危険性をそれらしい値で埋めない
希望納期の解釈「来週中」「月末」を日付に直さない
Step6

指示内容を固定する

あなたは研究所の分析グループで、他部門から届いた分析依頼を受け付ける担当です。
渡された依頼の文面(メール本文、添付、フォームの回答)だけを見て、
決まった項目を取り出してください。推測で埋めないでください。

【取り出す項目】
1. 費用負担部門のコード
2. 試料(試料名と試料数。試料ごとに1件)
3. 測定項目(書かれた言葉のまま。装置名に直さない)
4. 目的(1文)
5. 希望納期(日付として書かれていれば YYYY-MM-DD、そうでなければ原文のまま)
6. 試料の危険性(有機溶剤、毒物・劇物、粉じん、生体由来など、書かれた内容のまま)
7. 測定後の試料の返却(要/不要)

【status の選び方】
- ok ......... 文面に書かれており、その項目として読める
- missing .... 文面に書かれていない
- unreadable . 添付の文字がつぶれている、手書きが読めないなどで確定できない
- ambiguous .. 候補が複数あり、1つに決められない
迷ったときに ok を選ばないでください。

【厳守事項】
- 試料の危険性について何も書かれていなければ missing にしてください。
  「書かれていない」を「危険性は無い」として扱わないでください。
- 試料数が書かれていなければ missing にしてください。
  「サンプル一式」「数点」を数字に直さないでください。
- 希望納期の「来週中」「なるべく早く」「月末」を日付に直さないでください。
- 測定項目を装置名に言い換えないでください。「異物を調べたい」は
  そのまま「異物を調べたい」と写してください。
- 引用部分(過去のメール)に書かれた試料や測定項目は取り出さないでください。
- evidence には、その値の根拠にした文字列をそのまま写してください。
- 納期の約束、試料を受けられるかの判断、装置の選定は書かないでください。
- 依頼ではない連絡(催促、発送の連絡、お礼)と判断した場合は、
  項目を取り出さず message_type にその種類を書いてください。
- JSON のマークダウンの囲みを付けずに答えてください。

【メールの件名と本文】{mail_text}
【フォームの回答】{form_answers}
【添付】{attachment}

「書かれていないを危険性無しとして扱わない」を明記しないと、ok で「なし」と返ってきます。 依頼者の多くは危険性を書かないので、何も言わなければ、もっともらしい値で埋めます。禁じるのは、空欄を「無し」と読む判断そのものです。

最後の1行は、公式の FAQ にある対処です。 JSON を作れなかったときの原因として、モデルが JSON をメタ情報で囲んでしまうことが挙げられ、「Don't include JSON markdown in your answer」という指示を足すよう案内されています。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "message_type": "request | reminder | shipping_notice | other",
  "cost_center": { "status": "ok | missing | unreadable | ambiguous", "value": "", "evidence": "" },
  "samples": [
    { "name": "", "count": "", "status": "ok | missing | unreadable | ambiguous", "evidence": "" }
  ],
  "measurements": [
    { "text": "", "evidence": "" }
  ],
  "purpose": { "status": "", "value": "" },
  "due_date": { "status": "", "value": "", "is_date": true, "evidence": "" },
  "hazard": { "status": "", "value": "", "evidence": "" },
  "return_sample": { "status": "", "value": "要 | 不要 | " },
  "missing_items": []
}

1つ目の理由は、台帳の列にそのまま入れられることです。 SharePoint の受付台帳は、試料名・試料数・測定項目・希望納期・危険性・返却を列に持たせています。JSON の各項目を列に当てるだけで、受付担当が写す作業がなくなります。

2つ目は、status で次の分岐を決められることです。 missing_items が空でなければ聞き返しの下書きへ、空なら納期の候補を出して回答の下書きへ進みます。分岐をフローの条件に置くので、AIの文面の出来に左右されません。

3つ目は、is_date で希望納期を扱い分けられることです。 日付として書かれていれば装置の空きと比べ、原文のままなら比べずに受付担当へ回します。

AI Builder の JSON 出力は、保存したときの形がそのまま実行時に使われます。 公式の説明では、JSON のスキーマは画面で確かめられますが、いまはスキーマを直接編集できず、キーの無い配列(["abc", "def"] のような形)は定義できません。 上の例で samples と measurements を「キーを持つオブジェクトの配列」にしているのはこのためです。missing_items も、実装では [{"item": "hazard"}] の形にします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付のメールボックスWhen a new email arrives (V3)、Get Attachment (V2)依頼メールと添付を受け取る
依頼フォームWhen a new response is submitted、Get response details回答の中身を受け取る
AI Builder のプロンプトRun a prompt項目の取り出しと、下書きの作成
測定項目と装置の対応表SharePoint の Get items測定項目から装置・前処理の日数を引く
装置予約SharePoint の Get items候補の装置の空きの日を数える
受付台帳SharePoint の Create item、Update item仮受付で登録し、送信後に受付済へ
依頼者への返信Outlook の Draft an email message下書きを作る。送るのは受付担当

納期の候補は、フローが数えます。 測定項目から引いた装置について、今日から21日後までの予約を取り、予約の入っていない日のうち、前処理の日数を足した最初の日を候補にします。測定項目が複数あるときは、いちばん遅い装置の日を候補にします。希望納期が日付で書かれていれば、候補と比べて「間に合う/間に合わない」を台帳に入れます。

対応表に無い測定項目は、装置の候補を空にします。 「異物を調べたい」のように装置が1つに決まらない言い方は、AIに装置を選ばせず、受付担当が台帳で装置を選んでから、納期の候補を出し直します。

送信は Outlook の下書きまでです。 Office 365 Outlook には Draft an email message があり、フローから下書きを作れます。下書きを受付担当が開き、装置と納期を確かめてから送ります。 送信したら、受付担当が台帳の「受付済」に印を付け、その変更でフローが受付番号を確定させます。

Step9

人が確認する

受付担当が見るのは、台帳の「仮受付」の行と、Outlook の下書きです。

  1. missing_items を見る … 聞き返しの下書きが出ている依頼は、聞き返す項目が正しいかを確かめて送ります
  2. 危険性を見る … hazard が ok の依頼は、書かれた内容で試料を受けられるかをリーダーに確かめます。missing のまま受けることはしません
  3. 装置と納期を確定する … 装置の候補が空なら選び、納期の候補が混んでいる装置に当たっていれば日を動かします
  4. 下書きを直して送る … 回答の文面の日付と装置名を確かめて送ります
  5. 取り出しを直したら記録する … どの項目を、どう直したかを台帳の修正欄に残します

2番目を省かないでください。 取り出しが正しいことと、その試料を受けてよいことは違います。

目標は、180件をならして1件6分です。 そろっている依頼は台帳と下書きを見て送るだけで数分、聞き返しの要る依頼と装置の決まらない依頼に時間を使います。

Step10

例外に対処する

起きること対応
Excel の依頼票が添付されているプロンプトに渡さず受付担当へ。PDF にして再投入するか、フォームを案内する
添付の文字が読めないunreadable。受付担当が依頼者に読める形で送ってもらう
1通のメールに複数の依頼が書かれているsamples と measurements が別の目的に分かれていれば、受付担当が台帳の行を分ける
依頼でない連絡(催促・発送の連絡)message_type で仕分け、台帳に載せず受付担当へ
社外からのメール処理しない。受付担当へ回す
対応表に無い測定項目装置の候補を空にして受付担当へ
希望納期が日付でない比べずに受付担当へ。回答の文面で日付を示す
メールのトリガーが2回動く添付の数と受信日時で重複を見て、2回目は台帳に載せない
プロンプトが JSON を返さない台帳に「取り出し失敗」で載せ、受付担当が手で入力する
装置予約のリストが読めない納期の候補を空にして、受付担当が予定を見て決める

上から3行目が、受付担当がいちばん迷うところです。 品質保証部からの依頼は「返品された部品の異物の確認と、同じロットの原料の組成の確認」のように、目的の違う2つの依頼が1通に入っていることがあります。 台帳では2件に分けたほうが、装置も納期も別々に管理できます。分けるかどうかは受付担当が決めます。

Step11

記録を残す

  • 元のメール(受信日時・差出人・本文・添付)と、フォームの回答
  • プロンプトに渡した文面(引用と署名を落としたあとのもの)
  • プロンプトが返したJSONの全文
  • 台帳に入れた値と、受付担当が直した項目と直した後の値
  • 装置と納期の候補、受付担当が確定した装置と納期
  • 回答メールの送信日時と、聞き返しの送信日時・返事の受信日時

4つ目の「直した項目」は、プロンプトを直す材料になります。 毎月どの項目を直しているかを数えると、たとえば「試料数を ok で取り出したのに違っていた」が多いのか、「測定項目の言い方が対応表に無い」が多いのかが分かります。前者はプロンプト、後者は対応表を直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:プロンプトの画面に依頼の本文を貼り、項目と足りない項目を出させる / 1件ごとの項目の取り出し
半自動化:上記+メールとフォームを起点にフローを動かし、受付台帳に仮受付で登録する / 取り出しと台帳への登録、聞き返しの下書き
本格構成:上記+対応表と装置予約から装置と納期の候補を出し、回答の下書きまで作る / 受付から納期の回答の下書きまで

最小構成では件数がさばけません。 1件ずつ貼り付けるので、取り出しの質を確かめるための段階です。 半自動化で、1件20分が11分程度になります。 読んで写す作業と聞き返しの文面は無くなりますが、装置の予定を探して納期を書く作業が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、装置の空きを予定表で探す作業が、装置が混んでいる月ほど長くなるからです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  180件 × 20分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 180件 × 6分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
42h
削減率
70%
年間削減時間
504h
年間金額換算(時間単価3,500円)
176万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 研究所や品質保証部の中に分析グループがあり、他部門からの分析依頼が月に百件を超えて、メール・フォーム・口頭と経路がばらばらに届いている製造業や建設会社の技術研究所。受付の担当者が依頼を読んで台帳へ写し、装置の予約表を見て納期を返している場合。Microsoft 365 を使っていて、受付台帳と装置の予約を SharePoint のリストに置ける場合。
向いていない
  1. 依頼が月に数十件で、依頼者と分析者が直接やり取りして済んでいる場合。すでに LIMS(試験室の情報管理システム)に依頼の入力画面があり、依頼者がそこへ項目をそろえて入力している場合。なお、どの装置・どの方法で測るか、試料を受けてよいかという分析の専門的な判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた分析依頼のメールとフォームの回答から30件を選ぶ(危険性や試料数が書かれていなかった依頼を必ず混ぜる)
  2. その30件について、受付担当が当時台帳に入れた値と、聞き返した項目を書き出す
  3. Power Automate のプロンプトの作成画面で、第7章のプロンプトを作り、出力を JSON にする
  4. 30件の本文を1件ずつ入力に貼り、テストを実行する
  5. 出てきた値を、当時の台帳の値と聞き返した項目に突き合わせる

30件は必ずやってください。 フローを組む前に、「書かれていない項目を、書かれていないと返せるか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時聞き返した項目が missing で出たフローの作成に進む
危険性が書かれていないのに「なし」で出た指示の書き方で直る。構成は有効
測定項目の言い方がばらばらで対応表に当たらない対応表が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 同じ測定を「異物」「付着物」「黒い点」と書く言い方の一覧を対応表に足すことが、受付担当の頭の中の知識を書き出す作業そのものです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
危険性が書かれていないのに「なし」で出る空欄を「無し」と読まないことを指示に書く。 台帳でも missing を目立たせる
引用の中の古い試料を取り出す前処理で引用を落とす。指示にも引用を見ないと書く
Excel の依頼票で止まる文書入力は PDF と画像にする。Excel は受付担当へ回す
JSON が返らない「JSON のマークダウンの囲みを付けない」を足す
キーの無い配列が定義できない配列の要素をキーを持つオブジェクトにする
メールのトリガーが動かない仕分けのルールで別フォルダへ移していないかを見る
添付が空のまま2回動く添付の数が0より多いかを条件で見る
フォームが選べないグループのフォームはIDを手で入れる
対応表に無い測定項目が多い言い方の一覧を対応表に足す。AIに装置を選ばせない
納期の候補が混んでいる装置で遅くなる候補は目安。受付担当が割り込みを判断して確定する
回答メールが自動で送られる下書きまでにする。 送信は受付担当が行う
装置予約の取得が遅いFilter Query で装置と期間を絞る

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも書かれていないものを埋めるところから起き、危険性の空欄は分析者の安全に直結します。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 依頼者の氏名と部署、試料の名前と目的、そして未発表の開発品の配合や、顧客から返品された部品の不具合の内容です。

  1. プロンプトのデータが国外で処理されうることを確かめる … 公式のモデルの提供地域の表では、日本の環境で既定の GPT-4.1 mini は GA (cross-geo) とされ、cross-geo のモデルは地域外でデータを処理する場合があると書かれています。開発品の情報を渡してよいかを、情報システム部門と先に決めてください
  2. 渡す範囲を受付に必要な項目に絞る … 受付に要るのは試料と測定項目と納期です。依頼メールに添付された開発の報告書や顧客とのやり取りは、プロンプトに渡さない設計にできます
  3. 回答メールを自動で送らない … 出すのは下書きまでです。納期は分析グループの約束になります
  4. この構成は、試料を受けてよいかの判断を代替しません … 危険性の評価、測る方法の選定は分析グループのリーダーが決めることです。この構成が出すのは、依頼に何が書かれていたかという事実だけです
  5. 受付台帳の閲覧範囲を決める … 台帳には他部門の開発品の名前と不具合の内容が並びます。依頼者には自分の依頼だけが見えるように、リストの権限を分けます

誤りが起きた場合のリスクは、危険性を見落として試料を開けることと、守れない納期を答えることの2つです。 前者は missing を「なし」と読むと起き、後者は候補をそのまま送ると起きます。どちらも人が確かめる段を残すことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:測定項目と装置の対応表を作る

受付を長くしている担当者と、測定項目・使う装置・前処理の日数・1日に測れる試料数を書き出します。依頼者の言い方(「異物」「付着物」「黒い点」)も、同じ行に並べます。 12台すべてでなくてかまいません。依頼の多い上位5台から始めます。

2週目:30件で試す

先月の依頼から30件を選び、プロンプトの画面で項目を取り出させます。危険性と試料数が書かれていない依頼を、missing と返せるかを最優先で見ます。

3週目:受付台帳と装置予約をリストにする

スプレッドシートの受付台帳と、装置ごとの予定表を SharePoint のリストに移します。依頼フォームの項目も、台帳の列と同じ並びにそろえます。

4週目:メールとフォームから仮受付までをつなぐ

Power Automate でメールとフォームのフローを作り、プロンプトの結果を台帳に「仮受付」で入れるところまで作ります。この時点では納期の候補を出さず、聞き返しの下書きだけを作ります。

2か月目: 対応表と装置予約から納期の候補を出し、回答の下書きを足します。受付担当が直した項目を毎週数えます。3か月目以降: 1件20分が何分になったかを実測し、依頼の多い部署にフォームの利用を頼みます。受付担当が休んでも、他の2名が同じ回答を出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-13
確認した内容情報源確認日
When a new email arrives (V3) で添付を含める設定にするとタイムアウトしうるため、「いいえ」にして Get Attachment (V2) を使う方法が案内されていること。トリガーは受信日時をもとに動き、設定したフォルダだけを見ること。Defender の動的配信では1回目に添付が空の配列で2回動くことがあること。大量のメールで取りこぼしがあり、まれに1時間ほど遅れること。Draft an email message と Reply to email (V3) があることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook connector2026-10-13
When a new response is submitted と Get response details があり、トリガーは回答IDを返すこと。グループのフォームはドロップダウンに出ず、フォームIDを手で入れる必要があることMicrosoft Learn: Microsoft Forms connector2026-10-13
Create item、Get items、Update item があり、Get items に Filter Query(OData の条件式)と Top Count があることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-13
2025年5月から Create text with GPT using a prompt の名前が Run a prompt になったこと。プロンプトの入力に前の手順の内容を入れられること。Start and wait for an approval of text で人の確認を挟めることMicrosoft Learn: Use your prompt in Power Automate2026-10-13
出力に JSON を選べ、形が Auto detected か Custom で決まり、保存時の形が実行時に使われること。スキーマを直接編集できず、キーの無い配列は定義できないこと。JSON が作れないときに「Don't include JSON markdown in your answer」を足すよう案内されていることMicrosoft Learn: JSON output2026-10-13
既定のモデルが GPT-4.1 mini(Basic rate)であること。Power Automate でプロンプトを使うとプロンプトビルダーのクレジットを消費し、AI Builder のクレジットが先に使われることMicrosoft Learn: Change the model version and settings2026-10-13
日本で GPT-4.1 mini が GA (cross-geo) であり、cross-geo のモデルは地域外でデータを処理する場合があることMicrosoft Learn: Prompt model availability by region2026-10-13

試料を受けてよいか、どの装置・方法で測るかは、分析グループのリーダーが決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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