Microsoft Fabricは要る?|Power BIの次の判断

Microsoft Fabricは要る?|Power BIの次の判断

「Power BIの契約更新の案内に、Microsoft Fabricへの移行と書いてあった。分析の土台ごと入れ替える話なのか」「生成AIに社内の数字を答えさせたいなら、Fabricが要ると言われた。本当に要るのか判断がつかない」。情シスやデータ活用の担当者から、こうした声が届いています。どちらも、製品の名前が先に来て、自社にとっての意味が後回しになっている点で同じ迷いです。Fabricが要るかどうかは、機能の多さで決まるものではありません。本当は、1つの容量を、どの部門の分析とどのAIの利用で分け合い、足りなくなったとき誰が止めるかを決められるかで決まります。この記事では、Power BIのままで足りる会社と広げる会社の分かれ目、容量の分け合い方、AIに見せる範囲を人が決める所を整理します。


カメ先生カメ先生

Fabricは、データの取り込みから置き場、分析、Power BIの報告までを、1つの容量の上で動かす仕組みなんだ。AIの機能も同じ容量を使う。だから、買うかどうかより、分け方の話になるんだよ。


カメ子カメ子

Power BIの報告が動いていれば、そのままでもよいという考え方は成り立たないのですか。


カメ先生カメ先生

成り立つ会社もあるよ。1人ずつのライセンスで回している会社は、今回の契約の変化の外にいる。影響を受けるのは、容量単位のプレミアムの契約を持つ会社なんだ。


カメ子カメ子

移行が避けられない会社でも、広げるかどうかは別の判断になるのでしょうか。


この記事のポイント
  • 容量単位のプレミアムの契約は更新のたびに終わり、Fabricの容量へ移す。移すことと、Fabricの機能に広げることは別の判断として分ける
  • Power BIの報告と共有だけなら、Power BIのままで足りる会社は多い。広げるのは、散らばったデータを1か所で扱い、AIに答えさせたい会社
  • 容量は分析とAIの共有の財布。部門ごとの分け方、止める順番、AIに見せる表の範囲はAIに決めさせず、人が決めて記録に残す

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目次

Power BIがあるのに、Fabricの話が来る理由

Microsoft Fabricは、マイクロソフトが2023年11月15日に一般提供を始めたデータ分析の基盤です。データの取り込み、ためておく置き場、加工、分析、Power BIの報告までを、1つの容量の契約の上で動かします。2026年10月1日時点で、Fabric本体の提供を終えるという告知は、公式の情報では見当たりませんでした。

Fabricの話がPower BIの利用者に届くのは、容量単位で契約するPower BIのプレミアム(P1〜P5の区分)が終わりに向かっているからです。マイクロソフトの公式の案内では、プレミアムの容量契約は各社の契約期間の終わりで終了し、新規の販売はすでに行っていないとされています。代わりに案内されているのが、Fabricの容量(F2やF64などの区分)です。

ここで混同しやすいのが、終わるものの範囲です。終わるのは容量単位のプレミアムだけで、1人ずつ買うPower BIの有料ライセンス(プロ版と、ユーザー単位のプレミアム)は対象外だと公式に書かれています。報告の埋め込み向けの区分も対象外です。自社の契約が容量単位か1人単位かで、この記事の前半が関係するかどうかが決まります。

  • この記事の製品の仕様は、マイクロソフトの公式ヘルプ(2026年6〜9月更新の各ページ)で確かめた範囲に限っています
  • 契約の条件は会社ごとに違います。とくに企業向けの包括契約を結んでいる会社は、残りの期間の扱いを営業担当に確かめてください

プレミアムの容量契約は、満了のあと段階的に止まる

公式の案内によると、プレミアムの容量契約が満了すると、まず30日間の猶予に入ります。31日目からは、利用者の操作が遅らされるようになります。91日目以降はすべての操作が拒否され、データは残るものの、Fabricの容量に移すか容量を消すまで使えません。満了日の翌日にすぐ止まるわけではないが、放っておけば3か月で報告が開かなくなるという設計です。

もう1つ大事なのは、移行が自動では行われないことです。更新の時期が来ても、Fabricの容量に勝手に切り替わることはありません。担当者がFabricの容量を買い、ワークスペース(報告やデータを入れておく作業場所)を1つずつ新しい容量に割り当て直す必要があります。

順番にも決まりがあります。公式のよくある質問は、プレミアムを先に解約してからFabricの容量を買う順番を避けるよう書いています。正しくは、Fabricの容量を先に買い、ワークスペースを割り当て直して動きを確かめ、最後にプレミアムを解約します。しかも、プレミアムの解約は手動で、Fabricを買っても自動では止まらないため、確かめたあとに解約する手続きを忘れると、2つの契約の費用が重なります。

企業向けの包括契約がまだ続いている会社は、その期間中は既存のプレミアムの容量を年ごとに更新できると案内されています。一方、包括契約やクラウドの契約が満了を迎える会社は、容量の追加も更新もできません。自社がどちらに当たるかで、移行の締め切りが変わります。

移しても変わらないもの、移すと変わるもの

移行と聞くと、報告を作り直す大きな作業を想像しがちです。公式の案内では、移行は主に契約と基盤の変更で、利用者の見え方や管理のしかたの多くは変わらないとされています。報告、意味モデル(集計の定義をまとめたもの)、ダッシュボードは、F64以上の容量ならそのまま動きます。定期の更新の予定も新しい容量で続きます。

変わるのは、買い方と容量の動かし方です。プレミアムはマイクロソフトの業務用サービスの契約として月や年で払う形でしたが、Fabricの容量はクラウドの契約として払います。既定は使った分だけの従量で、1秒ごとに計算され、最低1分から請求されます。使い方が安定していれば、1年の予約で割り引く選び方もあります。料金は地域ごとに違います。

プレミアムにあった自動で容量を足す機能は、Fabricの容量にはありません。代わりに、容量の大きさを手で上げ下げする、使わない時間に一時停止する、といった操作ができます。公式の案内は、夜間など本当に使っていない時間に止めれば請求も止まる一方、止めるとその容量の報告も開けなくなると注意しています。

もう1つ変わるのは、容量の外にあった設定の引き継ぎです。テナント(会社全体)の設定はそのまま残りますが、容量ごとの設定は新しい容量で作り直す必要があります。意味モデルのメモリの上限などを変えていた会社は、その値を控えておき、割り当て直しの前に新しい容量に入れておきます。

閲覧する人のライセンスは、F64を境に分かれる

容量の大きさを決めるとき、費用と同じくらい効いてくるのが、報告を見るだけの人のライセンスです。公式の案内では、F64以上の容量なら、無料のライセンスと閲覧者の役割を持つ人が報告を見られます。これはプレミアムの容量と同じ扱いで、P1はF64に対応します。

反対に、F2からF32までの小さい容量では、報告を見る人全員に、プロ版かユーザー単位のプレミアムのライセンスが要ります。容量を小さくすれば容量の費用は下がりますが、閲覧者のライセンスの費用が増えることがあります。閲覧者が数百人いる会社では、この差が容量の費用を上回ることもあり得ます。

報告を作る人や直す人は、容量の大きさにかかわらず、プロ版かユーザー単位のプレミアムが要ります。つまり、容量の区分と、作る人・見る人の人数を1枚の表に並べてから、容量の大きさを決めるのが順番です。容量だけを見て小さい区分を選ぶと、閲覧者から「報告が開けない」という問い合わせが一斉に来ます。

公式のよくある質問は、1つのP1から移る場合の例として、本番用にF64を1つ残し、開発や検証には小さい容量を別に置いて使わない時間は止める形を挙げています。本番の閲覧者が多い会社ほど、本番の容量はF64以上に置き、試しの作業を小さい容量に逃がす形が考えやすくなります。

Power BIのままで足りる会社の条件

ここからが本題の、Fabricの機能に広げるかどうかの判断です。まず、広げなくてよい会社の条件を書き出します。いちばん分かりやすいのは、1人ずつのライセンスで回している会社です。プロ版やユーザー単位のプレミアムだけで報告を作って共有しているなら、今回の容量契約の終了の影響は受けません。

公式の案内は、Power BIのプレミアムの機能を使う人が250人より少ない場合は、ユーザー単位のプレミアムのほうが費用の面で有利になると書いています。ただし、ユーザー単位のプレミアムはFabricの容量ではないため、データの置き場や加工の機能は使えません。報告を作って共有することが仕事の中心なら、それで困らない会社は多いはずです。

データの置き場がすでに別にある会社も、急いで広げる理由は小さくなります。基幹システムや別のクラウドのデータ基盤で加工を済ませ、Power BIはその結果を見せる窓口に徹している形です。置き場を2つ持つと、同じ数字の定義が2か所に生まれます。置き場と基盤の違いや、加工の段の分け方は、データ基盤の加工の段階を扱った別の記事で整理しています。

容量単位のプレミアムを持つ会社でも、移行は1対1で済ませ、Fabricの機能は使わないという選び方ができます。公式の案内も、置き場への取り込みなどの新しい使い方は、移行の後に別の作業として進める任意の選択肢だと書いています。移すことと広げることを、同じ会議で決めなくてよいのです。

Fabricに広げる会社の分かれ目

広げる理由がはっきりするのは、分析に使うデータが部門ごとの表計算や別々のシステムに散らばり、Power BIの意味モデルごとに取り込み直している会社です。同じ売上の数字を、営業と経理がそれぞれ別の手順で取り込んでいると、数字が合わない原因を探すだけで時間が消えます。1つの置き場にためて同じ表を使えば、この手間は減らせます。

もう1つの分かれ目は、生成AIに社内の数字を答えさせたいかどうかです。Fabricでは、普段の言葉の質問から集計を返す仕組みや、データを問い合わせるエージェントが、同じ置き場の表を読みます。AIに答えさせる土台をPower BIの報告の外に置きたいなら、置き場ごと持つ理由が生まれます。ただし、後の節で見るように、言語の対応などの制約があります。

反対に、広げても効果が出にくいのは、データの持ち主と定義が決まっていない会社です。置き場を1つにしても、どの表が正しいかを決める人がいなければ、置き場の中に似た表が増えるだけです。基盤を替える前に、主要な数字の定義と持ち主を決めておくほうが、効き目は早く出ます。

広げると決めた場合も、全部門を一度に載せる必要はありません。散らばり方がいちばんひどく、数字の食い違いで困っている1つの業務から始め、容量の使われ方を見てから次の部門を載せます。小さく始めるための試用版は60日間で、F64に相当する容量が付きますが、試用版では生成AIの機能が使えない点に注意が要ります。

比べて分かる、Power BIのままとFabricに広げる違い

ここまでの判断を1枚の表にまとめます。左の列が判断に使う観点、真ん中がPower BIのままで続ける場合、右がFabricの置き場や加工の機能まで広げる場合です。どちらが優れているかではなく、自社の今の状態に近いほうの列を選ぶ使い方をしてください。

観点Power BIのままFabricに広げる
主な仕事報告を作り、社内に共有するデータを1か所にため、加工し、報告とAIに渡す
データの置き場別の基盤や元のシステムに任せるFabricの置き場に集める
契約の形1人ずつのライセンス、または容量容量(F2〜)+作る人のライセンス
向いている会社定義と置き場がすでに整っている取り込みが部門ごとに重なっている
AIとの関係報告の中でAIの支援を使う置き場の表をAIが問い合わせる
新しく決めること閲覧者のライセンスの数容量の分け方、止める順番、AIに見せる表

表の最後の行が、この記事の後半の中心です。Fabricに広げると、容量の分け方、止める順番、AIに見せる表の範囲という、Power BIのままなら要らなかった決めごとが増えます。この決めごとを引き受ける人がいない会社は、広げる前に体制から考えます。

別の会社のデータ基盤と比べたい場合は、権限と費用の線引きを扱った別の記事が参考になります。この記事では、マイクロソフトの業務用サービスとPower BIをすでに使っている会社が、同じ契約の延長で基盤に広げるかどうかに絞って進めます。

容量は、分析とAIが分け合う1つの財布

Fabricを理解するうえでいちばん大事なのが、容量の考え方です。容量の大きさは容量単位(CU)で表され、F2なら2、F64なら64というように、区分の数字がそのまま計算の力の量を示します。データの取り込み、加工、報告の表示、AIの機能は、すべて同じ容量から計算の力を使います。

公式の案内によると、Fabricは一時的に容量を超える処理も走らせ、その分を後の時間に均して数えます。画面の操作のような対話型の処理は最短5分から最長64分、夜間の更新のような裏の処理は24時間にわたって均されます。このため、朝に更新が集中しても、すぐに止まるわけではありません。

均して数えるということは、今日の使いすぎが、しばらく後の時間の余裕を先に食べてしまうということでもあります。ある部門が大きな加工を何度もやり直すと、その影響は24時間にわたって残り、同じ容量を使う別の部門の報告が遅くなります。容量を共有するとは、他の部門の使い方の影響を受け合うことだと考えておきます。

この仕組みは、部門ごとに使った量が見えにくいという問題も生みます。公式には、容量の使われ方を見るための専用のアプリがあり、どの処理がどれだけ使ったかを後から追えます。容量を分け合うなら、このアプリを誰が見るかを最初に決めておきます。見る人がいなければ、使いすぎに気づくのは報告が開かなくなってからです。

容量が尽きると、どの順番で止まるか

均して数えても足りなくなると、容量は段階的に処理を抑えます。公式の案内では、先の10分ぶんまでの使いすぎは保護され、そのまま動きます。先の10分から60分ぶんを使い切ると、利用者が画面から出す新しい処理に20秒の遅れが入ります。60分から24時間ぶんでは画面からの新しい処理が拒否され、24時間ぶんを超えると裏の処理も含めてすべて拒否されます。

拒否が始まると、利用者の画面には、組織の計算の容量が上限を超えたので後でやり直すように、という趣旨の案内が出ます。報告を開こうとした営業や経営層から見ると、原因の分からない故障に見えます。問い合わせは情シスに集まりますが、原因の処理が別の部門の加工だった場合、情シスだけでは直せません。

止まったときの対処として、公式は、一時的に容量を大きくする、一時停止してから再開する、超過分を別に払って止まらないようにする、の3つを挙げています。超過分の課金は通常の3倍の料金だと書かれています。一時停止は、その時点までの使いすぎがまとめて請求され、止めている間はその容量の報告が開けなくなります。

どの対処にも、費用か利用者への影響が伴います。だから、止まってから誰が選ぶかを考えるのでは遅いのです。容量を大きくしてよい金額の上限と、それを決められる人を、使い始める前に書いておく必要があります。この決めごとは、次の節からの分け合い方と一緒に作ります。

AIの機能も、同じ容量を使う

容量の話にAIが関わるのは、FabricとPower BIの生成AIの支援機能(コパイロット)が、同じ容量から計算の力を使うからです。公式の案内は、Power BIのコパイロットが使える容量を消費するので、使いすぎによって他の処理が遅れたり止まったりしないよう管理が要ると書いています。

しかも、コパイロットは、有料の容量(F2以上)を持つテナントでは既定で有効だと公式に書かれています。広げた直後から、報告を見る人がAIに要約を頼むたびに、同じ容量が使われます。AIの利用は人数に比例して増えやすく、報告の閲覧と同じ時間帯に重なりやすいので、朝の会議の前などに容量が詰まる原因になります。

日本の会社がとくに確かめておきたいのは、データの処理場所です。公式の案内では、Fabricの生成AIの機能を支える仕組みはアメリカと欧州の拠点に置かれていて、日本の地域の容量では、利用者の質問や表の構造などがアメリカで処理されます。そのため、地域の外での処理を許すテナントの設定を、管理者がオンにしないと使えません。

この設定をオンにするかどうかは、情シスだけで決めずに、法務や情報管理の担当と確かめます。公式の案内は、表の中身は利用者が指示しない限り送らないとしていますが、質問の文や表の構造は送られます。社内の規程で、国外での処理をどう扱うかを先に確かめておきます。

容量の分け合い方を決める

容量を部門でどう分け合うかには、大きく2つの形があります。1つは、大きな容量を1つ持ち、全部門のワークスペースを載せる形です。もう1つは、部門や用途ごとに容量を分ける形です。公式のよくある質問は、部門が容量の大きさや停止の時間を自分で決めたいなら、部門ごとに容量を持たせるよう書いています。

1つにまとめると、使っていない部門の余裕を他の部門が使えるので、全体の無駄は減ります。その代わり、ある部門の使いすぎが全部門に響きます。分けると影響は閉じ込められますが、部門ごとに余裕を持たせる分だけ全体の費用は増えます。どちらが得かは、部門ごとの使い方の山がどれだけ重なるかで決まります。

費用の割り振りについては、公式は、クラウドの管理画面で容量に付ける荷札のような印を使い、部門ごとの費用に振り分ける方法を挙げています。1つの容量を分け合う場合は、部門ごとの使った量を容量の使われ方のアプリで見て、月ごとに按分する決めごとを作ります。使った量の見積もりの立て方は、社内のAIの使用量を見積もる5つの工程を扱った別の記事に譲ります。

分け方を決めるときは、AIの機能をどこで使わせるかも一緒に決めます。たとえば、本番の報告の容量ではコパイロットを一部の人に限り、試しに使う人は小さい別の容量に置く、という分け方です。公式の案内では、コパイロットを使える人や作業場所を管理者が絞れるとされています。

容量が詰まったとき、誰が何から止めるか

分け合い方が決まったら、詰まったときの手順を書きます。公式には、容量の使用率が決めた値を超えたときに、管理者に電子メールで知らせる設定があります。知らせを受ける人と、受けた後の手順を決めておけば、利用者から問い合わせが来る前に動けます。

STEP1
知らせの受け手を決める

容量の管理者と、各部門の窓口を1人ずつ決める。使用率の知らせは管理者に届け、管理者が部門の窓口に回す。

STEP2
原因の処理を特定する

容量の使われ方のアプリで、どの部門のどの処理が使ったかを確かめる。推測で止めず、記録で確かめる。

STEP3
止める順番に沿って抑える

先に決めた順番で抑える。たとえば、試しに使うAIの利用、次に急がない裏の加工、最後に報告の閲覧の順。

STEP4
費用のかかる対処は決裁を取る

容量を大きくする、超過分を払う、といった対処は、決めておいた上限と決裁者の承認の範囲で行う。

STEP5
記録を残して次に生かす

何が原因で、何を止め、いくらかかったかを残す。同じ原因が続くなら、分け方そのものを見直す。

止める順番は、業務への影響の小さいものから並べます。経営層が毎朝見る報告を最後に守り、試しのAIの利用を最初に抑えるのが基本の形です。ただし、月末の締めの前は加工を優先する、といった時期ごとの例外も書いておきます。

この順番や上限を、AIに決めさせてはいけません。容量の使われ方の記録をAIに読ませ、どの処理が多いかを要約させるのは便利です。しかし、どの部門の仕事を後回しにするかは、業務の優先順位の判断で、AIの見立てで決めてよいものではありません。要約には、どの記録を読んだかを必ず添えさせ、止める判断は管理者と決裁者が行います。

データエージェントに見せる表の範囲は、人が選ぶ

Fabricには、普段の言葉で質問するとデータを問い合わせて答えるデータエージェントがあります。公式の案内では一般提供の機能で、F2以上の容量か、Fabricを有効にしたP1以上の容量で使えます。答えの作り方は、質問した利用者の資格と権限で表の構造を読み、問い合わせの文を作って実行する、という流れです。

見せる範囲を決めるのは、作る人です。公式の案内では、1つのエージェントにつなげるデータソースは最大5つで、その中から使う表を1つずつ選びます。問い合わせは読み取りだけで、データを書き換えることはありません。また、意味モデルにかけた行ごと・列ごとの権限の設定も、そのまま効きます。つまり、見せる範囲は、つなぐ表の選び方と、もとの権限の設定の2段で決まります。

注意したいのは、言語と答えの量の制約です。公式の制約の一覧には、英語以外の言語は現在対応しておらず、質問や指示は英語で書くほうがよいと書かれています。答えは最大25行25列に絞られます。日本語の質問で動くことがあっても、正式な対応の外なので、数字は元の表で検算する前提で使います。

どの表をつなぐか、どんな指示を書くかをAIに決めさせないでください。つなぐ表は、持ち主が決まり、定義が書かれ、見せてよい相手が決まっているものに限ります。Power BIの質問機能からコパイロットへ移るときの意味モデルの言葉の整え方は、Power BIの質問機能の終了を扱った別の記事で整理しています。

移行と拡張は、別の作業として順番に進める

公式の案内は、プレミアムからFabricの容量への移行を、決める、計画する、容量を用意する、移して確かめる、古い契約を止めて運用する、の5段階で説明しています。そして、容量をまとめる、地域を移す、大きさを変える、といった変更は、移行が終わった後の別の作業として進めるよう勧めています。

とくに気をつけたいのが、地域をまたぐ移行です。同じ地域での割り当て直しなら、動いている更新が途切れる程度で済みます。しかし地域をまたぐと、大きな形式の意味モデルやFabricの置き場・加工の項目は割り当て直しに失敗し、控えを取って作り直す必要があります。公式は、地域ごとの料金の差を理由に地域を移すことを勧めていません。

移行の段階で起きやすい失敗を並べておきます。どれも、移行と拡張を同じ作業に混ぜたことで起きるものです。

  • 移行と同時に置き場への取り込みを始め、容量の使用量の見積もりが外れる
  • 閲覧者の人数を確かめずに小さい容量を選び、報告が開けない人が出る
  • プレミアムを先に解約し、猶予の期間の中で慌てて移す
  • Fabricの容量を買った後、プレミアムの解約を忘れて費用が重なる
  • 容量ごとの設定を控えずに移し、意味モデルのメモリの上限が元に戻る

移した後は、公式の案内どおり、1〜2週間は容量の使われ方を見て、プレミアムのときの記録と比べます。月末や四半期の締めを1回通してから、容量の大きさを確定させます。拡張の検討は、その後に始めても遅くありません。

よくある質問

Q. Microsoft Fabric自体が終わる予定はありますか。

2026年10月1日時点で、公式の情報からFabric本体の提供終了の告知は見つかりませんでした。終わりに向かっているのは、Power BIの容量単位のプレミアムの契約です。1人単位のライセンスや埋め込み向けの区分は対象外とされています。

Q. 1人ずつのライセンスだけで使っています。何かする必要はありますか。

容量契約の終了の影響は受けません。置き場や加工の機能が要るかどうかを、この記事の前半の条件で見直す程度で足ります。広げる場合は、容量を別に買う必要があります。

Q. 試用版で、AIの機能まで試せますか。

試用版はF64に相当する容量が60日間使えますが、公式の案内では、生成AIの機能を支える仕組みは試用版では使えないとされています。AIの機能を試すなら、小さい有料の容量を短い期間だけ用意する方法を検討します。

Q. データエージェントに、日本語で質問させてよいですか。

公式の制約の一覧では、英語以外の言語は現在対応していないとされています。社内の試しで使う場合も、答えの数字は元の表で検算し、会議の資料にそのまま載せない決めごとにしておきます。

まとめ

Microsoft Fabricが要るかどうかは、機能の多さではなく、1つの容量を分け合う決めごとを引き受けられるかで決まります。容量単位のプレミアムの契約は満了のあと段階的に止まるため、持っている会社はFabricの容量へ移します。ただし、移すことと広げることは別の判断です。報告の共有が中心ならPower BIのままで足り、散らばったデータを1か所で扱い、AIに答えさせたい会社が広げる候補になります。広げるなら、閲覧者のライセンス、部門の分け方、詰まったときの止める順番と上限、AIに見せる表を、人が決めて記録に残してください。AIには記録の要約や下書きを任せ、根拠を添えさせ、配分と範囲の判断はAIに決めさせないことが、基盤を長く使う前提になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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