Work IQは社内の何を読む?|Copilotに開く前の線

「Work IQを入れると、Copilotが社内のデータを勝手に集め始めるのではないか」「社員の人間関係まで読まれるなら、全部止めておいたほうが安全ではないか」。マイクロソフト365の管理を担う情報システム部門から、こうした声が上がっています。名前だけを聞くと、新しい仕組みが社内のあちこちから情報を吸い上げるように見えるのは無理もありません。けれども、Work IQは新しい保管庫を作ってデータを集める仕組みではありません。本当は、社員一人ひとりが今の権限で見られる範囲を材料に、仕事の文脈を組み立てて渡す層です。怖さの中身は、何を読むかよりも、誰に・どの経路で開くかにあります。この記事では、Work IQが読むものを公式の説明で押さえたうえで、開く相手ごとに引く線と、使った分の費用の止め方を整理します。
カメ先生Work IQは、Copilotやエージェントが「この人はどんな仕事をしているか」を知るための土台なんだ。読む材料は、メールや会議、チャットやファイルだね。
カメ子それなら、社内の資料は全部読まれてしまうということですか。
カメ先生そこが誤解されやすいところでね。読めるのは、その社員が今開ける範囲だけなんだ。だから決めるべきなのは、読む範囲よりも、誰とどの入り口に開くかなんだよ。
カメ子開く相手によって、費用のかかり方も変わるのでしょうか。
- Work IQは、社員が今の権限で見られるメール・会議・チャット・ファイルなどから仕事の文脈を組み立て、Copilotとエージェントに渡す層
- 線を引く単位は4つ。ライセンスを持つ社員、持たない社員、自社製のエージェント、他社製のエージェントと開発者の道具。後ろの3つには使った分の課金が乗る
- 開くかどうかと従量分の上限はAIの見立てで決めない。推論の層を社員への説明なしに使わず、人事評価に使わない線を先に書く
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Work IQとは:データ・メモリ・推論の3つの層
Work IQは、マイクロソフトが2025年11月の年次イベントで発表した、Copilotとエージェントのための「職場の知能の層」です。公式ブログは、これをデータ・メモリ・推論の3つの層で説明しています。3つが組み合わさることで、Copilotとエージェントが、その人の働き方を途切れずに理解できるようにする、という位置づけです。
データの層は、ファイル、メール、会議、チャット、業務システムからの信号をまとめ、組織の中で仕事がどう進んでいるかをとらえる層です。メモリの層は、人とチームがどう働いているかについての理解を持ち続ける層です。推論の層は、モデルと技能と道具をまとめ、エージェントが考えて動けるようにする層とされています。
公式の説明には、社内のメールやファイル、会議やチャットに加えて、その人の好み、習慣、働き方の型、人との関係につながると書かれています。社員が不安を感じるのは、この最後の部分です。誰とよくやり取りしているか、どの案件に時間を使っているかが、答えの材料になり得るからです。
一方で、開発者向けの説明書であるマイクロソフトの学習サイトの「Work IQ の概要」(2026年9月25日更新)は、会話・文脈・道具・作業場所の4つの部品で説明しています。3つの層は考え方の説明、4つの部品は呼び出す側から見た形、と読むと整理しやすくなります。この記事では、3つの層を「何を読むか」、4つの部品を「どこから開くか」の説明に使います。
読むのは「その社員が今見られる範囲」だけ
学習サイトの説明で、情報システム部門がまず押さえるべき一文は、権限の扱いです。Work IQへの要求は、すべて特定の利用者の文脈で実行され、その利用者が見られる内容、実行できる内容にだけアクセスすると書かれています。社員が開けない資料を、Work IQが代わりに開いて答えに混ぜることはない、という設計です。
材料の範囲も書かれています。オフィスのアプリで生まれるメール、予定表、ファイル、ユーザー、チャット、サイトに加えて、ダイナミクス365やパワープラットフォームの業務データも文脈に含まれます。つまり、営業管理や業務アプリに置いた記録も、権限があれば材料になるということです。メールと資料だけだと思って開くと、範囲を読み違えます。
記録についても書かれています。道具の呼び出しはすべて記録され、評価され、監査、利用の分析、呼び出し回数の制限、その場でのコンプライアンスの適用に使えるとされています。誰の権限で、どの材料に触れたかを後から追える作りです。開く前に、この記録を誰が見るかを決めておくと、後の説明が楽になります。
裏を返すと、Work IQが見せすぎるとしたら、原因は社員の権限が広すぎることにあります。全社に開いた共有リンクや、退職者が残した権限のままのフォルダがあれば、その範囲は材料になります。共有設定の直し方は、Copilotが社内資料を見せすぎる原因を扱った別の記事で整理しています。この記事では、直す前に開く相手を決める順番を扱います。
費用の分かれ目:Copilotのライセンスと、使った分の課金
Work IQの呼び出し口は、マイクロソフトのライセンスの告知によると2026年6月16日に一般提供になりました。告知は、Work IQのための専用の契約や、利用者ごとのライセンスは無いと書いています。費用はCopilotクレジットを使った分だけ減らす形で、道具の呼び出しは1回あたり0.1クレジット、問い合わせ型の利用は中身によって変わるとされています。
学習サイトは、ライセンスとの関係を2つに分けて書いています。Copilotのライセンスを持つ利用者は、すべてのCopilotの体験とエージェントでWork IQを使える。ただし自社製と他社製のエージェントは、使った分の課金の対象になる。ライセンスを持たない利用者は、使った分に応じて課金される。この2文が、開く相手を分ける根拠になります。
ここで起きやすい読み違いは、「ライセンスを買った社員なら、どこから呼んでも追加の費用はかからない」という思い込みです。実際には、ライセンスがあっても、自社製や他社製のエージェントから呼べば課金が乗ると書かれています。費用は人ではなく、呼び出す入り口で決まると考えたほうが近いでしょう。
費用の管理は、マイクロソフト365管理センターでできると書かれています。ただし、上限をどの単位で置けるか、上限に達したら止まるのか通知だけなのかといった細部は、この記事の執筆時点で公式の説明から確かめきれていません。上限の置き方は、設定の前に管理センターの画面と公式の手順で確かめるようにしてください。
- 一般提供の日付と課金の単位は、2026年6月2日に掲載されたマイクロソフトのライセンスの告知による
- ライセンスとの関係と管理の場所は、学習サイトの「Work IQ の概要」(2026年9月25日更新)による
- 料金と課金の条件は改定されることがあるので、見積もりの前に最新の告知を確かめる
開く相手を4つに分けて考える
Work IQをどこまで開くかは、「オンかオフか」の1つの問いでは決まりません。材料の範囲は社員の権限で決まり、費用は入り口で決まるからです。そこでこの記事では、開く相手を4つに分けます。ライセンスを持つ社員、持たない社員、自社製のエージェント、他社製のエージェントと開発者の道具の4つです。
4つを分けるのは、相手ごとに変わるものが違うからです。ライセンスを持つ社員では、主に推論の層をどこまで許すかが問いになります。持たない社員では、無料の枠でどこまで使わせるかと、課金の入り口をどう閉じるかが問いになります。エージェントでは、誰が作り、誰の権限で動き、何回呼ぶかが問いになります。
開く相手ごとに、決める人も変わります。社員への展開は情報システム部門と人事、自社製のエージェントは作る部署と情報システム部門、他社製のエージェントは契約を結ぶ部署と情報セキュリティの担当が中心になるはずです。決める人を相手ごとに先に書いておくと、申請が来たときに誰が返事をするかで迷いません。
エージェントの台帳の作り方や、誰の分の席を買うかは、エージェント365を扱った別の記事に譲ります。この記事では、Work IQという材料の層を、それぞれの相手にどこまで開くかに絞ります。以下、相手ごとに、開く前に決めることを順に見ていきます。
相手1:Copilotのライセンスを持つ社員
ライセンスを持つ社員にとって、Work IQはCopilotの体験の中にすでに入っている材料の層です。Copilotのチャットには、Work IQの切り替えがあり、メールやチームズのメッセージ、ファイルなどの職場のデータを参照するかを決められる、とマイクロソフトのサポートは説明しています。
この切り替えが最初からオンになっているかどうかは、サポートの説明には書かれていません。社内の案内で「最初からオンです」と言い切らず、自社のテナントで実際の表示を確かめてから案内するのが安全です。ウェブ検索については、IT管理者がオンにしている必要があると書かれており、管理者の側で止められます。
社員が答えの根拠を確かめる手段も、サポートに書かれています。文中の引用にカーソルを合わせると元のファイルを開け、情報源の一覧を出すと参照した資料がまとめて見られます。送信の前に「情報源の変更」から特定の情報源を外すこともできます。答えを使う前に、情報源の一覧を開く習慣を研修で教えることが、この相手への一番の備えです。
ライセンスを配る相手をどう選ぶかは、Copilotのチャットで足りる社員と有料版を配る社員の線を扱った別の記事で整理しています。ここで決めるのは、配った社員に対して、次の節で扱うメモリと推論の層をどこまで許すかです。材料の範囲はその社員の権限なので、配る前に権限の見直しを済ませておくことが前提になります。
メモリと推論の層は、説明と評価の線を先に書く
3つの層のうち、社員の受け止め方がいちばん割れるのは、メモリと推論の層です。人とチームの働き方を持ち続けて理解し、人との関係や働き方の型を答えの材料にするという説明は、便利さと同時に「見張られている」という感覚を生みます。技術の説明だけで開くと、この感覚が不信につながります。
まず決めるのは、社員に何を説明するかです。どの材料が使われ、誰が何を見られ、記録がどこに残るのかを、開く前に伝えます。説明の項目と、同意が要る範囲の考え方は、従業員にAIを使わせる前の説明項目を扱った別の記事で整理しています。説明の前に推論の層を開かない、という順番だけはこの記事でも押さえておきます。
次に決めるのは、推論の層が組み立てた「誰とよく話しているか」「どの案件に時間を使っているか」という像を、人事評価に使わない線です。道具の呼び出しの記録も同じです。利用の記録を評価に持ち込む危うさは、AI利用ログを人事評価に使う危うさを扱った別の記事にあります。何に使わないかを文書にしてから開くのが、この層の最低条件です。
覚え書きそのものの扱い、たとえば何を覚えさせるか、間違って覚えた内容をどう直すかといった一般的な論点は、メモリと会話履歴の違いを扱った別の記事に譲ります。ここで押さえるのは、Work IQのメモリと推論が「その人の仕事の像」を作るものである以上、使い道の線を人が先に引く、という一点です。
相手2:Copilotのライセンスを持たない社員
ライセンスを持たない社員の扱いは、2つの入り口に分けて考えます。1つはCopilotのチャットです。サポートの説明では、職場のデータを参照できるのはCopilotの契約がある人だけとされています。ライセンスの無い社員がチャットの画面でWork IQの切り替えを使って、社内のメールやファイルを材料にすることは、この説明の範囲では想定されていません。
もう1つの入り口は、エージェントです。学習サイトは、ライセンスを持たない利用者は使った分に応じて課金されると書いています。つまり、ライセンスの無い社員が、社内で作ったエージェントを通してWork IQの材料を使うと、その呼び出しは使った分の費用として積み上がることになります。
ここで起きやすいのは、「ライセンスを買わずに、安く社内データを使わせる方法」としてエージェントを配ることです。月の固定費は増えませんが、使う人と回数が増えるほど、請求は読みにくくなります。ライセンスの無い社員向けのエージェントは、使う人の範囲と月の見込み回数を書いてから開くようにします。
この相手に対しては、開かないという答えも残しておきます。問い合わせの窓口や共有の資料の検索のように、社員の個人の文脈が要らない用途なら、Work IQの材料を使わない作りでも足ります。個人の文脈が本当に要る業務かどうかを、エージェントを作る前に確かめることが、費用と説明の手間の両方を減らします。
相手3:自社で作るエージェント
自社製のエージェントがWork IQを使うとき、学習サイトの説明では、呼び出しは会話・文脈・道具・作業場所のいずれかの部品を通ります。道具の部品は、数百の操作を10個の汎用の道具にまとめたもので、メール、予定表、ファイル、ユーザー、チャット、サイトを取り出したり、作ったり、更新したりできるとされています。
読むだけでなく、作る・更新するが含まれている点が大事です。エージェントが社員の権限で予定を入れたり、ファイルを書き換えたりできるということだからです。開く前に、そのエージェントに読むだけを許すのか、書き込みまで許すのかを決め、書き込みを許すなら実行の前に人が確かめる場面を設計に入れます。
作業場所の部品は、長く動くエージェントの途中のデータや結果を、テナントの境界の中の保存場所に置くためのものと説明されています。途中のデータが社内に残るのは安心材料ですが、残ったものを誰が消すのかは別に決める必要があります。エージェントを止めたあとに、途中のデータの持ち主が誰になるかを、作る部署と情報システム部門で決めておきます。
自社製のエージェントには、使った分の課金が乗ります。作る部署には、1回の処理で道具を何回呼ぶか、1日に何件動かすかの見込みを書いてもらいます。道具の呼び出しは1回0.1クレジットと告知されているので、回数の見込みがあれば桁の見当はつきます。問い合わせ型の利用は変動なので、試しに動かした実績で見込みを直していきます。
相手4:他社製のエージェントと、開発者の道具
4つ目の相手は、他社が作ったエージェントと、社内の開発者が使う道具です。学習サイトは、Work IQの呼び出し口として、エージェント同士をつなぐ方式、遠隔の接続口、一般的なウェブの呼び出し口の3種類を挙げています。標準の方式で呼べるということは、マイクロソフトの外の製品からも、社員の権限で社内の材料に届くということです。
マイクロソフトのライセンスの告知も、他社製のエージェントがWork IQを通してマイクロソフト365のデータを材料にする場合を、課金の対象として書いています。他社製のエージェントの費用は、その他社への支払いとは別に、自社のCopilotクレジットから減る可能性がある、ということです。契約の前に、どちらの請求に乗るのかを相手に確かめます。
開発者向けには、コマンドラインから使う道具も学習サイトで案内されています。開発者が手元でWork IQを呼べるようになると、試作のつもりの呼び出しが、そのまま本番の材料と費用に触れます。開発者の道具は、試す人と試す期間を区切って開くのが現実的です。
外の製品をつなぐときの審査の一般論、たとえば認証の確かめ方や渡す権限の絞り方、接続先の説明文を信用しないことなどは、外部とつなぐ前の確認項目を扱った別の記事にまとめています。ここでは、他社製のエージェントに開く判断を、契約を結ぶ部署と情報セキュリティの担当が一緒に持つ、という線だけを引きます。
開く相手ごとの線の早見表
ここまでの4つの相手を、1枚の表にまとめます。表の「費用」の欄は、学習サイトとライセンスの告知に書かれている範囲です。「開く前に決めること」は、この記事の整理であり、各社の事情で足し引きしてください。
| 開く相手 | 材料の範囲 | 費用 | 開く前に決めること | 決める人 |
|---|---|---|---|---|
| Copilotのライセンスを持つ社員 | その社員が今見られる範囲 | ライセンスに含まれる | 推論の層の説明と、評価に使わない線 | 情報システム部門・人事 |
| ライセンスを持たない社員 | チャットでは職場のデータを参照しない。エージェント経由なら本人の権限の範囲 | 使った分の課金 | 使わせるエージェントと月の見込み回数 | 情報システム部門・利用部署 |
| 自社製のエージェント | 使う社員の権限の範囲 | 使った分の課金 | 読むだけか書き込みまでか、途中のデータの持ち主 | 作る部署・情報システム部門 |
| 他社製のエージェント・開発者の道具 | 使う社員の権限の範囲 | 使った分の課金 | どちらの請求に乗るか、試す人と期間 | 契約する部署・情報セキュリティ |
表で見ると、材料の範囲はどの相手でも「社員の権限の範囲」で同じです。違うのは費用と、決める人です。つまり、Work IQの開き方を決める作業の大半は、費用の入り口と責任の持ち方を決める作業になります。材料の範囲を絞りたいなら、Work IQではなく権限の側を直します。
表は、申請が来たときの受付の用紙にも使えます。申請する部署に「開く相手」「月の見込み回数」「書き込みの有無」「途中のデータの持ち主」を埋めてもらい、空欄のまま出された申請は受け付けない、と決めておきます。空欄が埋まらない申請は、まだ使い方が決まっていない印です。
従量分の上限と止め方を、開く前に決める
使った分の課金が乗る相手に開くなら、上限と止め方を開く前に決めます。学習サイトは、Work IQの費用は使い方によって変わり、マイクロソフト365管理センターで管理できると書いています。管理できる場所があるということは、誰がその画面を見て、誰が止めるボタンを押すかを決めなければ、管理されないということでもあります。
上限を決めるときの材料は、前の節で書いてもらった月の見込み回数です。道具の呼び出しは1回0.1クレジットなので、見込み回数に0.1をかければ、道具の分のクレジットの見当がつきます。問い合わせ型の利用は変動なので、最初の1か月は実績を見てから上限を直す、と決めておきます。
上限に近づいたときの動きも決めます。止めるのか、利用部署に知らせて判断を仰ぐのか、上限を上げるのかです。止めた場合に業務のどこが止まるかは、エージェントを作った部署でないと分かりません。止めてよい業務と、止めると困る業務を、開く前に作る部署に書いてもらうと、上限に当たった日に慌てずに済みます。
従量課金のAIを年度の予算にどう落とすか、部門にどう配賦するかといった一般論は、従量課金のAIの予算化を扱った別の記事にあります。Copilotクレジットの減り方や支出の方針の置き方も、Copilotの作業を任せる機能を扱った記事で触れています。ここでは、Work IQの呼び出しに固有の、相手ごとの見込み回数から上限を置く順番だけを示しました。
開く前に確かめる5つの手順
ここまでの内容を、開く前の手順に並べます。順番を固定しておくと、担当者が替わっても同じ確かめ方ができます。最初に権限、最後に上限、という順番がポイントです。
全社向けの共有リンク、退職者の権限、持ち主のいないサイトを先に片づける。Work IQが読む範囲は、ここで決まる。
ライセンスを持つ社員、持たない社員、自社製のエージェント、他社製のエージェントと開発者の道具。相手ごとに決める人を1行で書く。
どの材料が使われ、誰が何を見られるかを社員に説明する文面を作る。人事評価に使わないことを明記する。
月の見込み回数、書き込みの有無、途中のデータの持ち主、止めると困る業務を書いてもらう。空欄のある申請は差し戻す。
見込み回数から上限を置き、上限に近づいたときに誰が何をするかを決める。最初の1か月は実績で上限を直す。
手順の中で、いちばん時間がかかるのは1つ目の権限の見直しです。Work IQを開く日を先に決めてしまうと、見直しが終わらないまま開くことになります。開く日は、権限の見直しが終わった日から逆算して決めるようにします。
3つ目の説明の文書は、社員に配る前に人事と法務にも見てもらいます。説明に書いたことは、会社がその範囲で使うと約束したことになります。説明に書いていない使い方を後から始めるときは、もう一度説明し直す必要がある、と手順書に書き添えておきます。
見せすぎは、Work IQではなく権限の問題として扱う
開いたあとに「Copilotが、見えてはいけない資料を答えに出した」という報告が来ることがあります。Work IQは社員が見られる範囲だけを読む設計なので、この場合の原因は、その社員がもともとその資料を開けたことにあります。Work IQを止めても、社員がその資料を開ける状態は変わりません。
報告を受けたら、まず情報源の一覧で、どの資料が材料になったかを確かめます。次に、その資料の共有の設定を見て、誰が開ける状態だったかを調べます。ここで分かるのは、Work IQの不具合ではなく、共有の設定の穴です。穴の直し方と直す順番は、見せすぎの原因を扱った別の記事の範囲になります。
それでも、報告が相次いだときに一時的にWork IQの切り替えを止めたくなることはあります。止めるなら、止めている間に権限を直す、直したら戻す、と期限を付けて決めます。期限の無い一時停止は、原因を直さないまま使えない状態を残すだけになりがちです。
道具の呼び出しの記録は、こうした報告の調べにも使えます。どのエージェントが、誰の権限で、いつ何に触れたかが分かれば、同じ穴を使った呼び出しがほかにないかも確かめられます。記録を見る担当者と、見てよい目的を、開く前に決めておくのはそのためです。
開くときにやりがちな失敗
Work IQの開き方で起きやすい失敗を並べます。どれも、仕組みの説明を読み違えたか、決める人を決めないまま進めたことから起きます。
- 「ライセンスがあれば追加の費用はかからない」と案内し、自社製のエージェントの呼び出しで課金が乗ることを伝えない
- Work IQの切り替えが最初からオンだと、自社の画面で確かめないまま社内に案内する
- 社員への説明の前に推論の層を使い始め、「人間関係まで見られている」という不信を招く
- 他社製のエージェントを契約するとき、費用がどちらの請求に乗るかを確かめない
- 見せすぎの報告を受けてWork IQだけを止め、共有の設定を直さないまま放置する
- 開発者の道具を期間を区切らずに開き、試作の呼び出しが本番の費用に積み上がる
中でも多いのは、1つ目の費用の読み違いです。費用は人ではなく入り口で決まると覚えておけば、ほとんどの読み違いは防げます。ライセンスを配った社員でも、どの入り口から呼ぶかで、費用がかかるかどうかが変わります。
失敗の一覧は、開く前の確認の場で読み合わせると効果があります。自社の計画に当てはまる項目がないかを1つずつ確かめ、当てはまったら前の節の手順に戻ります。一覧は、開いたあとの見直しのときにも使えます。
AIに判断させない範囲と、人が確かめる範囲
Work IQの開き方を決める作業にも、AIを使える場面はあります。申請の用紙の下書き、社員への説明の文面の下書き、道具の呼び出しの記録の集計などです。どれも、決まったことを文書や表にする作業で、下書きをAIに作らせ、人が直す形なら時間を短くできます。
一方で、開くかどうかと、従量分の上限は、AIの見立てで決めないようにします。AIに「この部署にWork IQを開いてよいか」と聞けば、もっともらしい理由の付いた答えが返ってきます。けれども、その部署の業務で何が止まると困るか、社員にどう説明したかは、AIは知りません。
AIに集計させるときは、根拠を書かせます。呼び出しの記録から月の回数を集計させるなら、どの期間の、どのエージェントの記録を数えたかを表に添えさせます。根拠の無い数字は、上限の材料に使わない、と決めておきます。集計の結果は、担当者が元の記録と数件突き合わせてから使います。
人が確かめる範囲は、開く相手ごとに決めた「決める人」がそのまま持ちます。推論の層の使い道は人事、他社製のエージェントの契約は契約する部署と情報セキュリティ、上限と止め方は情報システム部門と作る部署です。AIの役割は、この人たちが判断する材料を早くそろえることにとどめます。
まとめ
Work IQは、データ・メモリ・推論の3つの層で、社員が今の権限で見られるメール・会議・チャット・ファイルや業務データから仕事の文脈を組み立て、Copilotとエージェントに渡す層です。読む範囲は社員の権限で決まり、費用は呼び出す入り口で決まります。だから線は、ライセンスを持つ社員、持たない社員、自社製のエージェント、他社製のエージェントと開発者の道具の4つの相手ごとに引きます。権限の見直しを先に済ませ、推論の層は社員への説明と評価に使わない線を文書にしてから開き、使った分の課金が乗る相手には見込み回数から上限と止め方を決めてから開く。開くかどうかと上限はAIの見立てで決めず、決める人を相手ごとに先に書いておく。この順番を守れば、Work IQを怖がって全部止めることも、読み違えたまま全部開くことも避けられます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
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