インサイドセールスのKPIはAIで変わる?|架電数の次に追う数字

インサイドセールスのKPIはAIで変わる?|架電数の次に追う数字

「AIに一次接触を任せたら、架電数の目標は要らなくなるのでは」「通話の記録も要約もAIがやるなら、KPIは全部作り直しか」。インサイドセールスの責任者や営業企画から、こうした声が出ています。確かに、AIが電話やメールの一部を担うようになると、これまでの数字の見え方は変わります。ただし、AIを入れるとKPIの考え方がまるごと入れ替わる、というわけではありません。本当は、同じ指標の数え方と分母を、AIの分と人の分に分けて引き直す作業です。この記事では、AIを入れた後に崩れやすい数字と、その原因、取り直し方を順に整理します。


カメ先生カメ先生

インサイドセールスの数字は、行動・経過・成果の階段になっているんだ。AIが入って揺れるのは、主に一番下の行動の段なんだよ。


カメ子カメ子

架電数が意味を失うなら、上の段の商談化率だけ見ればよいのではないですか。


カメ先生カメ先生

上の段だけだと、どこで詰まったかが見えなくなる。だから階段は残したまま、AIが担った段と人が担った段を分けて数え直すんだ。


カメ子カメ子

では、どの数字を目標に置くかも、AIに決めてもらえるのでしょうか。


この記事のポイント
  • AIが電話やメールを担うと、架電数や送信数は人の働きを表さなくなる。階段は残し、AIの分と人の分を分けて数える
  • 通話の録音・文字起こし・要約が顧客の記録に自動で残ると、手入力に頼っていた有効会話などの数字を取り直せる
  • どの数字を目標に置くか、人の評価にどう使うかはAIに判断させない。AIの集計には根拠の通話を付けさせ、人が確かめる

リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?

企画・集客・運営までデボノが伴走支援。外部リスト頼みにしない「自社の集客力」を育てます。

目次

「AIでKPIが変わる」は半分だけ当たっている

AIを入れるとKPIが変わる、という言い方はよく耳にします。半分は当たっています。AIが電話をかけたり、メールを送ったり、通話の記録を自動で残したりすると、同じ名前の数字でも、中身が変わるからです。たとえば架電数は、人が受話器を取った回数だったものが、AIが発信した回数を含むようになります。

一方で、インサイドセールスの役割そのものは変わっていません。見込みのある相手と会話し、課題を聞き、商談につなげることです。役割が変わらない以上、追うべき数字の階段も基本は同じです。行動の数、会話の質、商談の数と質、受注への寄与という並びは、AIを入れた後もそのまま使えます。

変わるのは、階段の段ごとに「誰がやった分か」を分けないと数字が読めなくなる点です。AIの発信と人の発信を足した架電数が増えても、人の働きが増えたのかは分かりません。変わるのは指標の名前ではなく、数え方と分母だと押さえておくと、作り直しの範囲を小さくできます。

もう1つの変化は、記録の取り方です。これまで有効会話や通話の中身は、担当者が手で入力した記録に頼っていました。通話を録音して文字起こしし、要約を顧客の記録に紐づける道具が広がったことで、手入力に頼っていた数字を、通話そのものから取り直せるようになりました。以下では、崩れる数字、崩れる原因、取り直し方の順に見ていきます。

課題1:架電数と送信数が、人の働きを表さなくなる

最初に崩れるのは、行動の段の数字です。架電数、メールの送信数、接触した社数は、担当者がどれだけ動いたかを表す数字として置かれてきました。AIが発信や送信の一部を担うと、この数字は機械の稼働量を含むようになり、担当者の努力と数字の増減が結びつかなくなります。

困るのは、数字が見かけ上よくなることです。AIが1日に何百件も発信すれば、チーム全体の架電数は大きく伸びます。月次の会議でその数字だけを見ると、活動が増えて順調に見えます。しかし、人が会話した件数は横ばいかもしれません。足し算した行動量は、改善の手がかりにならないのです。

逆の動きもあります。AIに単純な確認の電話を任せた結果、人が担う電話は難しい相手ばかりになり、人の架電数は減ります。これを「人の活動が落ちた」と読むと、担当者は不当に評価されます。人の1件あたりの重さが変わったのに、件数だけで比べてしまうからです。

AIが電話をかける用途の向き不向きは、発信を任せる用途を扱った別の記事に、一次接触をどこまで任せるかは一次接触の線引きを扱った別の記事に譲ります。ここで扱うのは、任せた後に数字をどう数え直すかです。任せる範囲が決まっていれば、行動の段はAIの行と人の行の2つに分けて並べるのが出発点になります。

課題2:手入力の記録に頼った数字が、実態とずれている

経過の段の数字、たとえば接続数や有効会話数は、担当者の入力で数えられてきました。コンサル会社の才流は、有効会話を「課題感や興味についてヒアリングできた状態」と説明しています。この判定は、通話を終えた担当者が記録の欄に何を選ぶかで決まっていました。

手入力の記録には、ずれが入りやすい性質があります。忙しい日は入力が後回しになり、まとめて入力するときに記憶が薄れます。目標に近い月は、判定が甘くなることもあります。有効会話の数は、会話の中身より入力の癖を映していた可能性があるということです。

通話の記録を自動で残す道具を入れると、このずれが見えるようになります。録音と文字起こしがあれば、有効会話と入力された通話の中身を後から確かめられます。入れてみたら、担当者ごとに有効会話の割合が大きく違い、その差の多くが判定の基準の違いだった、ということは起こり得ます。

ここで大事なのは、過去の数字を責めないことです。基準がそろっていなかったのは仕組みの問題で、担当者の問題ではありません。自動の記録を入れた月を境に、数字の系列が変わると決めておき、それより前の実績とは直接比べない、という扱いにしておくと混乱が減ります。

課題3:目標の数字だけが残り、評価が荒れる

行動の段と経過の段の数字が揺れると、残るのは成果の段の数字だけになりがちです。商談化数や受注への寄与だけを目標にする考え方は、一見すっきりしています。しかし、成果の数字は動きが遅く、月の途中でどこを直せばよいかを教えてくれません。

成果の数字だけを追うと、別のゆがみも出ます。才流の解説は、活動の数字だけを追うと質が落ち、成果の数字だけを追うと、つながりやすい少数の温かい見込み客ばかりに当たるようになる、という両側の落とし穴を挙げています。成果だけの目標は、難しい相手を避ける行動を招くということです。

さらに、AIが一次接触を担う体制では、商談の手柄が誰のものか曖昧になります。AIの送ったメールに返信があり、人が電話で深掘りして商談になった場合、その1件はAIの成果でしょうか、人の成果でしょうか。ここを決めないまま個人の目標に落とすと、担当者どうしで記録の取り合いが起きます。

評価が荒れると、数字そのものが信頼されなくなります。記録を自分に有利に付ける人が出て、誰も数字を読まなくなる。こうなると、KPIは形だけの物差しになります。数字の階段を残したまま、誰の分かを分けて数えることが、評価を荒らさないための前提になります。

原因1:AIの分と人の分を、同じ列で数えている

ここからは、数字が崩れる原因を見ていきます。1つ目は、AIが担った分と人が担った分を、同じ列に足し込んでいることです。顧客管理の仕組みで活動の記録を取ると、AIの発信も人の発信も同じ「電話」の種類で残る設定になっていることがあります。

同じ列で数えると、割合の数字もゆがみます。接続率は、つないだ件数を発信した件数で割って出しますが、AIの発信が大量に入ると、分母が一気に膨らみます。人の接続率が変わっていなくても、チームの接続率は下がって見えます。割合の数字ほど、混ぜたときの誤差が大きいのです。

直し方は単純で、記録の項目に「誰が担ったか」を1つ足すことです。AIの発信、人の発信、AIの送信に人が返した、といった区分を、活動の記録を残す時点で付けます。後から分けようとすると、どれがAIの分か分からなくなるので、区分は記録の入口で付けるのが原則です。

この区分は、細かくしすぎないことも大事です。AIが下書きを作って人が送ったメールのように、境目の活動は必ず出ます。そうした活動をどちらに入れるかは、最初に決めて文書に残しておきます。迷うたびに担当者が判断すると、また入力の癖が数字に入り込みます。

原因2:有効会話と商談の定義が、人によって違う

2つ目の原因は、定義のばらつきです。有効会話、有効商談、見込みのある相手といった言葉は、チームの中で何となく共有されていますが、文章で定義されていないことが少なくありません。才流は、隣の部署と有効商談・有効リードの定義を合わせることを、KPIを置く手順の最初に挙げています。

定義があいまいなままAIの記録を入れると、AIの要約と人の判定が食い違います。AIの要約は「予算の話が出た」と書いているのに、担当者は有効会話にしていない。あるいはその逆です。AIに判定を任せる前に、人の側の定義を言葉にする必要があります。

定義は、通話の中で確かめられる事実で書くと、後から照合できます。たとえば「相手が自社の課題を1つ以上具体的に話した」「次の打ち合わせの候補日が出た」のように書けば、文字起こしを読んで当てはまるかを確かめられます。「感触がよかった」のような書き方は、照合ができません。

商談として数える線の引き方そのものは、商談化の進め方を扱った別の記事に、マーケとインサイドセールスで共通のKPIをそろえる話は、両者の連携を扱った別の記事に譲ります。ここでは、自分のチームの定義を、通話の事実で確かめられる言葉にしておくことだけを押さえてください。

原因3:割合の分母を、何にするか決めていない

3つ目の原因は、分母です。商談化率は、商談になった件数を何で割るかで数字が大きく変わります。才流は、商談化率の分母を有効リード数ではなく、対応済みのリード数にすると説明しています。対応したのに商談にならなかった相手を分母に残すことで、実態に近い割合になるからです。

AIが一次接触を担うと、「対応済み」の意味が揺れます。AIがメールを1通送った相手は対応済みでしょうか。AIの電話が留守番電話につながっただけの相手はどうでしょうか。分母の定義が決まっていないと、商談化率は担当者やツールの設定で自由に上下することになります。

おすすめは、分母を2つ持つことです。1つはAIが触れた相手を含む全体の分母、もう1つは人が会話まで進んだ相手に限った分母です。前者で割った商談化率は仕組み全体の効き目を、後者で割った商談化率は人の会話の質を表します。1つの数字で両方を表そうとすると、どちらも読めなくなります。

分母を決めたら、その定義を数字の横に必ず書いておきます。会議の資料で商談化率だけが独り歩きすると、別の分母で出した数字と比べられてしまうからです。架電のリストの並べ方と分母のそろえ方はリストの並べ方を扱った別の記事に譲りますが、割合の数字には、必ず分母の定義を添えるという決まりは、どの場面でも役に立ちます。

対策1:指標の階段を、AIの行と人の行に描き直す

原因が分かったら、対策に移ります。最初にやるのは、今の指標の一覧を、行動・経過・成果の階段に並べ直し、それぞれの段をAIの行と人の行に分けることです。才流も、行動指標・経過指標・成果指標に分けて考える枠組みを示しています。段の枠は変えず、行を分けるのがこの記事の考え方です。

描き直すと、段ごとに意味の変わり方が違うことが分かります。行動の段は、AIの行が機械の稼働量、人の行が人の手数になります。経過の段は、AIがつないだ相手を人が会話に進めた割合のように、AIと人の受け渡しの質を表す数字が新しく必要になります。成果の段は、AIと人のどちらを通った相手かで分けて見ます。

段AIを入れる前によく置かれた数字AIを入れた後の数え方
行動架電数・送信数・接触社数AIの発信と人の発信を別の行にする。人の行は件数より1件あたりの時間も見る
経過接続数・有効会話数有効会話は通話の記録で照合する。AIがつないだ相手を人が会話に進めた割合を足す
成果商談化数・商談化率分母を全体と人の会話に分けて2本持つ。AIを通った相手と通らない相手で分けて見る
受注への寄与受注に至った商談の数商談の質を見る数字として残す。個人の目標に落とすかは人が決める

表の右の列は、置き換えの一例です。大切なのは、すべてを一度に変えないことです。AIを入れた最初の期は、階段の枠はそのままに、行を分けることだけを始めます。目標値を変えるのは、分けた数字が1期分たまってからにすると、判断の根拠が手元にそろいます。

対策2:通話の自動記録で、手入力の数字を取り直す

次に、通話の自動記録で取り直せる数字を確かめます。顧客管理の製品には、通話を録音して文字起こしし、要約を顧客の記録に紐づける機能を持つものがあります。たとえばハブスポットの公式ヘルプ(2026年9月2日更新)は、文字起こしが顧客の記録に同期され、記録の更新やAIによる要約、次の一手の提案に使えると説明しています。

同じ公式ヘルプ(2026年8月31日更新)によると、通話の一覧は担当者・チーム・通話の結果・通話の長さで絞り込めます。要約は、通話の目的、主な論点、決まったこと、相手の感情、次の一手に分けて作られます。通話の長さと結果が自動で残るだけでも、接続数や有効会話数を入力に頼らず数えられるようになります。

ただし、こうした機能はプランによって使える範囲が違います。同じヘルプでは、文字起こしと分析にはセールスハブかサービスハブの上位のプランが必要とされています。自社で使っている製品で、どこまでが自動で残り、どこからが手入力のままかを、導入前に一覧にしておくと、取り直せる数字の範囲がはっきりします。

また、筆者が確かめた範囲では、このヘルプの設定の説明には、通話の相手に録音を知らせる手順は書かれていませんでした。録音と文字起こしを始める前に、相手への告げ方と記録の保存期間は、自社の規程と相手との取り決めで別に確かめます。商談の録音の同意は、録音の同意を扱った別の記事に譲ります。

  • 自動で残る数字(通話の長さ・通話の結果)と、手入力のまま残る数字(有効会話の判定など)を分けた一覧を作る
  • 録音の告げ方・保存期間・社内で聞ける人の範囲が公式ヘルプに書かれていなければ、提供元に問い合わせて確かめる
  • プランを変えると文字起こしや統計が使えなくなることがある。数字の系列が途切れないよう、契約の見直しの前に確かめる

対策3:会話の中身の数字は、目標にせず観察に使う

自動の記録が入ると、会話の中身に関する数字も手に入ります。先のハブスポットの公式ヘルプは、通話の統計として、担当者が話した時間、話す速さ、最も長く1人で話し続けた時間、顧客が最も長く話した時間、やり取りの多さ、相手が話し終えるのを待つ間といった項目を挙げています。

こうした数字は魅力的ですが、すぐに目標に置くのは避けます。たとえば「担当者が話す時間の割合を下げる」を目標にすると、相手の質問に短く答えすぎる担当者が出るかもしれません。会話の数字は、よい会話の結果として動くものであって、動かせば会話がよくなるものではないからです。

使い方としておすすめなのは、振り返りの材料にすることです。商談につながった通話とつながらなかった通話で、話す時間の割合や待つ間がどう違うかを、チームで見比べます。差が見つかったら、その差を生んだ話し方を台本や研修に取り込みます。台本づくりは、トークの台本を扱った別の記事に譲ります。

観察に使う数字と、目標に置く数字は、資料の上でも分けておきます。同じ表に並べると、観察の数字にもいつの間にか目標値が書き込まれるからです。目標に置く数字は少なく、観察する数字は多くという配分にしておくと、担当者が数字に追い立てられずに済みます。

対策4:AIの分と人の分を分けて数える手順

ここまでの対策を、実際に数字を分けて数える手順にまとめます。いきなり全部をやる必要はありません。最初の1か月で記録の区分を入れ、次の1か月で数字を分けて並べ、3か月目に目標の置き直しを検討する、というくらいの速さで十分です。

STEP1
記録の区分を決める

活動の記録に「AIが担った」「人が担った」「AIが始めて人が引き継いだ」の区分を足す。境目の活動をどちらに入れるかを文書に書き、担当者に配る。

STEP2
定義を事実の言葉で書く

有効会話・有効商談・対応済みの意味を、通話の記録で確かめられる事実で書く。隣の部署と合わせる項目は、この時点で相手に見せておく。

STEP3
分母を2本持つ

商談化率などの割合は、AIが触れた相手を含む全体の分母と、人が会話まで進んだ相手に限った分母の2本で出す。資料には必ず分母の定義を添える。

STEP4
AIの集計を人が照合する

AIの要約や自動の判定で数えた有効会話のうち、毎週いくつかを抜き出して文字起こしと照らし合わせる。食い違いが多い判定は、定義か設定を直す。

STEP5
1期分たまってから目標を置き直す

分けた数字が1期分そろってから、どの数字を目標にするかを責任者が決める。AIに目標値の案を出させてもよいが、採るかどうかは人が決める。

手順の4番目は、特に省かないでください。AIの要約や判定は便利ですが、誤ることがあります。毎週の照合の結果は、AIの判定がどれくらい人の判定と合っていたかとして記録に残し、合わない傾向が続くなら、その数字を目標から外します。AIには、集計の根拠になった通話を必ず添えて出させます。

手順全体で、決めるのは人、数えるのはAIと仕組み、という分担を崩さないことが大切です。どの数字を目標に置くかをAIに判断させないのは、目標が担当者の行動を方向づけるからです。行動の方向を決める責任は、チームを預かる人が持ちます。

対策5:目標値は、置き換える前の実績から引き直さない

AIを入れた後の目標値を決めるとき、置き換える前の実績を基準にしたくなります。たとえば「以前は人が1日に何件電話していたから、AIが加わった今はその倍を目標にする」といった考え方です。しかし、前の数字と今の数字は、数え方が変わっているので直接比べられません。

特に注意したいのは、人の架電数です。AIが単純な電話を引き受けると、人に残るのは長く難しい電話です。前と同じ件数を人に求めると、1件あたりにかけられる時間が減り、会話の質が落ちます。人の行動の目標は、件数より会話の中身に寄せて置き直すほうが実態に合います。

目標値の出し方は、最終の目標から逆算するのが基本です。才流は、受注の金額の目標から必要な商談化数を逆算し、そこから経過と行動の指標を決める順番を示しています。AIを入れた後も、この順番は変わりません。変わるのは、逆算の途中でAIの行と人の行に分かれる点です。

逆算の計算そのものは、AIに任せてかまいません。ただし、計算に使う割合は、分けて数えた1期分の実績から取ります。前の期の割合をそのまま使うと、AIを入れた効果を二重に数えることがあります。マーケ全体のKPIの組み立て方は、KPI設計を扱った別の記事に譲ります。

人の評価に使うときに、先に決めておくこと

KPIを人の評価に使うときは、数字の置き直し以上に慎重さが要ります。AIの記録が入ると、担当者一人ひとりの通話の中身まで数字で見えるようになります。見えることと、評価に使ってよいことは別です。どこまでを評価に使うかは、担当者に先に知らせてから始めるのが筋です。

先に決めておきたいのは、次の3点です。1つ目は、AIの分と人の分が混ざった成果を、個人の成果としてどう数えるか。2つ目は、会話の中身の数字を評価に使うか、振り返りだけに使うか。3つ目は、AIの判定と担当者の記録が食い違ったとき、どちらを採るかです。3つ目は、AIの判定を自動で採らず、人が通話を聞いて決めるようにします。

AIの記録を評価の証拠として使うと、担当者は記録されることを意識して話し方を変えます。それが会話の質を上げる方向ならよいのですが、記録に残りにくい話し方を覚えるだけなら逆効果です。評価には成果の段の数字を主に使い、会話の数字は育成の場で使う、という分け方が無難です。

マーケ担当者の個人の評価の組み立て方は、別の記事で扱っています。インサイドセールスでも考え方は近く、数字は評価の材料の1つであって、評価そのものではありません。数字をどう重みづけるかをAIに決めさせないことは、この記事の中でもっとも守ってほしい線です。

  • 評価に使う数字と、振り返りだけに使う数字の一覧を、期の始めに担当者へ配る
  • AIの判定と担当者の記録が食い違った件は、責任者が通話を聞いて決め、その結果を記録に残す
  • 評価の面談でAIの要約を示すときは、元の通話の該当箇所も一緒に示す

やってはいけないKPIの置き方

ここまでの内容を裏返すと、AIを入れた後にやってしまいがちな置き方が見えてきます。どれも、よかれと思って始めたことが数字を読めなくする例です。自分のチームで当てはまるものがないか、点検に使ってください。

  • AIの発信と人の発信を足した架電数を、チームの活動量として会議で報告する
  • AIを入れた月の前と後の有効会話数を、定義を変えないまま並べて「改善した」と言う
  • 商談化率を分母の定義なしで資料に載せ、別の分母で出した他部署の数字と比べる
  • 担当者が話す時間の割合をすぐ目標に置き、短く答えるだけの会話を増やす
  • AIの要約が有効会話と判定した件数を、人の照合なしに個人の目標の達成に数える
  • 目標値をAIに出させ、どうしてその値になったかを確かめないまま採用する

最後の項目は、特に起こりやすい失敗です。AIに過去の実績を渡して目標値を出させると、それらしい数字が返ってきます。しかし、その数字の根拠になった前提を、AIに文章で書かせてから読むことをしないと、前の期の割合をそのまま使った数字なのか、AIの分を二重に数えた数字なのかが分かりません。

どの失敗も、数え方を決める人がいない状態で起こります。KPIの定義と分母を管理する担当を1人決め、定義を変えるときはその人を通す、という決まりを置いておくと、数字の系列が勝手に変わるのを防げます。

定義を変えた記録も残しておきます。いつ、誰が、どの数字の定義をどう変えたかを1行ずつ書いた変更の記録があれば、半年後に数字が急に動いたとき、それが実態の変化なのか定義の変更なのかをすぐに見分けられます。変更の記録は、AIを入れた後の数字を読むための地図になります。

よくある質問

Q. AIを入れたら、架電数の目標はなくしてよいですか。

なくすより、人の行とAIの行に分けて残すことをおすすめします。人の架電数は、1件あたりの時間と合わせて見れば、担当者の負荷の目安になります。AIの発信数は、目標ではなく仕組みが動いているかの確認に使います。

Q. 有効会話の判定をAIの要約に任せてもよいですか。

数える作業は任せてかまいませんが、判定の基準は人が事実の言葉で決め、毎週いくつかを文字起こしと照らし合わせてください。AIには、判定の根拠になった発言の箇所を添えさせると照合が速くなります。

Q. AIが始めて人が引き継いだ商談は、誰の成果にしますか。

正解は1つではありませんが、始める前に決めて文書にしておくことが大切です。チームの成果として数えつつ、引き継いだ後の会話の中身を個人の振り返りに使う、という分け方がよく使われる考え方の1つです。

Q. 通話の録音を始める前に、何を確かめればよいですか。

相手への告げ方、録音と文字起こしの保存期間、社内で誰が聞けるかの3つです。使っている製品の公式ヘルプに書かれていない項目は、提供元に問い合わせるか、自社の規程で決めてから始めます。

Q. 分けて数えた数字は、どのくらいの期間で見直せばよいですか。

最初の1期は、目標値を変えずに分けた数字をためることに使います。1期分がそろったら、割合の数字を前の期と比べずに、AIの行と人の行の関係を見て、目標に置く数字を選び直します。その後は期ごとに定義の変更がなかったかを確かめながら見直します。

まとめ

AIが電話やメールの一部を担うと、インサイドセールスのKPIは名前ではなく中身が変わります。行動・経過・成果の階段は残し、各段をAIの行と人の行に分けて数え、割合には分母の定義を添える。通話の自動記録は、手入力に頼っていた有効会話などの数字を取り直す助けになりますが、定義は人が事実の言葉で決め、AIの判定は毎週照合します。どの数字を目標に置くか、人の評価にどう使うかはAIに判断させず、チームを預かる人が決める。この線を先に引いておけば、AIを入れた後も数字を信頼して使い続けられます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

リード獲得・育成の打ち手として、ウェビナーの集客と運営でお困りですか?

企画・集客・運営までデボノが伴走支援。外部リスト頼みにしない「自社の集客力」を育てます。

運営会社:株式会社デボノ

目次