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営業秘密として守る文書を仕分けて、表示とアクセス記録の状態を点検する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

共有フォルダの文書を入力に、文書の種類を仕分けたうえで中身から秘密区分の候補を出し、実際に付いている表示・アクセス権限・閲覧記録と突き合わせて食い違いを一覧にします。担当者の作業は、1件ずつ開いて判断することから、指摘された文書を確かめて区分を確定することに変わります。

サマリー
利用ツール
AWS Textract/Azure AI/ChatGPT/Claude/Gemini/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/医療/商社/建設/製造
対象部門
情報システム/知財
対象業務
内容確認・チェック/分類・仕分け
主な課題
属人化している/情報が見つからない/確認ミスが多い
AIで行う処理
分類
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
個別開発(大)
人間の確認
必須
現在工数
53.3h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
70%
年間削減
448h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 情報管理担当が、点検する文書を選ぶ(部門からの依頼、監査の指摘、気になったフォルダ)
  2. 文書を開き、中身を読んで、どの区分に当たるかを考える
  3. 情報管理規程を開き、区分の定義と照らす
  4. ファイルのプロパティや文書内の表示を確認し、区分が付いているかを見る
  5. その文書が置かれているフォルダのアクセス権限を確認する
  6. 権限の範囲が区分に見合っているかを判断する
  7. 食い違いがあれば、作成部署へ連絡して直してもらう
  8. 直ったかを後日確認する
導入後(After)
  1. 自動毎週、新規作成・更新された文書を一定件数ずつ取り込む
  2. 自動文書の種類を仕分ける(図面/技術報告書/原価表/取引条件/議事録/社内報/テンプレート など)
  3. 自動点検の対象にならない種類(社内報、テンプレート、公開済み資料)を除外する
  4. 自動残った文書の中身から、情報管理規程の区分に照らして秘密区分の候補を出す
  5. 自動現在付いている表示(ラベル、ヘッダー・フッター、ファイル名の接頭辞)を取得する
  6. 自動その文書が置かれている場所のアクセス権限の範囲を取得する
  7. 自動直近90日の閲覧記録から、区分に見合わない範囲からの閲覧がなかったかを見る
  8. 自動候補の区分と、表示・権限・アクセス記録の3つを突き合わせ、食い違いを指摘する
  9. 情報管理担当が指摘を確認し、区分を確定するか、作成部署へ確認するかを決める
  10. 確定した区分を反映する(ラベルの付与、権限の変更)
  11. 自動変更の依頼と期限を管理し、直ったかを再点検する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 情報管理担当が、点検する文書を選ぶ(部門からの依頼、監査の指摘、気になったフォルダ)
  2. 文書を開き、中身を読んで、どの区分に当たるかを考える
  3. 情報管理規程を開き、区分の定義と照らす
  4. ファイルのプロパティや文書内の表示を確認し、区分が付いているかを見る
  5. その文書が置かれているフォルダのアクセス権限を確認する
  6. 権限の範囲が区分に見合っているかを判断する
  7. 食い違いがあれば、作成部署へ連絡して直してもらう
  8. 直ったかを後日確認する

問題は6つあります。

(a)対象が多すぎて、点検が行き当たりばったりになる。 12万件に対して2名です。どこから手を付けるかの基準がなく、監査で指摘された範囲だけを見る運用になっています。

(b)区分の判断が担当者に依存する。 「この原価表は関係者限りか、社内限りか」の判断が、経験と勘で行われています。同じ種類の文書でも、見る人によって区分が変わります。

(c)文書の種類を見分けるだけで時間がかかる。 12万件の中には、設計図面、議事録、見積書、社内報、テンプレートが混在しています。中身を開くまで何の文書か分からないファイルが多数あります。

(d)表示・権限・アクセス記録がばらばらに管理されている。 区分の表示は文書の中、権限はフォルダの設定、閲覧記録は監査ログにあります。3つを突き合わせる作業を、手作業で行っています。

(e)作成部署が直してくれない。 連絡しても、自分の業務が忙しく後回しになります。追いかける仕組みがなく、翌年の点検で同じ指摘をすることになります。

(f)本当に重要な文書が埋もれている。 区分が付いていない8割の中に、原価表や仕入先との取引条件が含まれています。どれがそれかを知っているのは、作った本人だけです。

  1. 【自動】 毎週、新規作成・更新された文書を一定件数ずつ取り込む
  2. 【自動】 文書の種類を仕分ける(図面/技術報告書/原価表/取引条件/議事録/社内報/テンプレート など)
  3. 【自動】 点検の対象にならない種類(社内報、テンプレート、公開済み資料)を除外する
  4. 【自動】 残った文書の中身から、情報管理規程の区分に照らして秘密区分の候補を出す
  5. 【自動】 現在付いている表示(ラベル、ヘッダー・フッター、ファイル名の接頭辞)を取得する
  6. 【自動】 その文書が置かれている場所のアクセス権限の範囲を取得する
  7. 【自動】 直近90日の閲覧記録から、区分に見合わない範囲からの閲覧がなかったかを見る
  8. 【自動】 候補の区分と、表示・権限・アクセス記録の3つを突き合わせ、食い違いを指摘する
  9. 【人】 情報管理担当が指摘を確認し、区分を確定するか、作成部署へ確認するかを決める
  10. 【人】 確定した区分を反映する(ラベルの付与、権限の変更)
  11. 【自動】 変更の依頼と期限を管理し、直ったかを再点検する

自動化されるのは「仕分ける」「除外する」「区分の候補を出す」「3つを突き合わせる」「食い違いを指摘する」の5つです。残るのは、区分を確定することと、作成部署との調整です。

区分を自動で確定しません。 区分は、その文書をどの範囲の人が見られるかを決めるものです。誤って厳しくすれば業務が止まり、緩くすれば情報が漏れます。 どちらも人が判断すべき事柄です。

02今回想定するシステム構成

構成図
共有ストレージ(SharePoint / 設計データ管理システム)
   │
   ▼【トリガー】毎週、新規作成・更新された文書を抽出
Power Automate
   │
   ├──▶ Azure AI Document Intelligence(カスタム分類モデル)
   │       └─ 文書の種類を仕分ける(図面 / 技術報告書 / 原価表 / 取引条件 / 議事録 / その他)
   │
   ├──▶ 点検対象外の種類を除外
   │
   ├──▶ Claude API ── 中身から秘密区分の候補と、その根拠を出す
   │
   ├──▶ 現在の管理状態を取得
   │       ├─ 秘密度ラベル(Microsoft Purview)
   │       ├─ 文書内の表示(ヘッダー・フッター・透かし)
   │       ├─ 保存場所のアクセス権限
   │       └─ 直近90日の閲覧記録(監査ログ)
   │
   ├──▶ 候補の区分と現状の突合
   │
   └──▶ 点検リスト(Microsoft Lists)を作成
   │
   ▼
知財部が確認 ──【人】区分を確定 / 作成部署へ確認
   │
   ├──▶ 確定 → ラベルの付与・権限の変更を依頼
   └──▶ 保留 → 作成部署へ照会
   │
   ▼
再点検(変更が反映されたかを確認)
役割想定する製品代替候補
OCRAzure AI Document Intelligence(カスタム分類モデル)Google Document AI、AWS Textract
生成AIClaude APIOpenAI API、Gemini API
連携Power AutomateMake、n8n
保管SharePointBox、Google Drive
点検リストMicrosoft ListsGoogle スプレッドシート、kintone

情報保護の製品を導入しているなら、まずその機能を確認してください。 Microsoft Purview の秘密度ラベルは、暗号化とコンテンツマーキング(ヘッダー、フッター、透かし)を含む保護設定を提供し、コンテナーやアプリをまたいで保護を持ち運べます。ラベルはファイルとメールのメタデータにクリアテキストで格納されるため、保存場所が変わってもコンテンツと一緒に維持されます。機密情報の検出条件に基づいて自動でラベルを適用する、あるいは推奨として利用者に促す機能も用意されています。

では、なぜ自前で組む部分が残るのか。 自動ラベル付けの条件は、クレジットカード番号やマイナンバーのような決まった形の文字列を見つけるのが得意です。一方、「この原価表は関係者限りに当たるか」の判断は、文書の種類と中身の意味を読む必要があります。この構成が担うのは、そこの候補出しと、現状との突合です。 ラベルを実際に付ける部分は、情報保護の製品に任せてください。

文書の種類の仕分けは、生成AIではなく専用モデルで行います。 Document Intelligence のカスタム分類モデルは、レイアウトと言語の特徴を組み合わせて文書の種類を検出します。2つ以上のクラスと、クラスごとに5件以上のサンプルがあれば学習を始められます。 クラスの最大数は1,000、クラスあたりのサンプルの最大数は100です。図面と報告書と原価表は見た目が大きく違うため、この方法が向いています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎週、新規作成・更新された文書を抽出することを起点にします。既存12万件を一度に処理しません。

この順番を守ることが、この構成でもっとも重要な設計です。 全件を対象にすると、初回に数万件の指摘が出て、そこで止まります。新しく作られる文書から先に正しい状態にすれば、区分の付いていない文書の割合は自然に下がります。 既存分は、その後で古いものから順に回します。

抽出の量は、確認できる件数で決めてください。2名で月800件なら、週200件です。指摘が出る件数は、そのうち2〜3割です。

もう1つの起点として、アクセス権限が変更されたときに、その場所の文書を再点検する形が考えられます。フォルダの共有範囲が広がったのに、中の文書が極秘のまま、という状態を検出できます。これは運用が回り始めてから足してください。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
文書ファイル本文、図、表共有ストレージ
ファイルのメタデータ作成者、作成部署、作成日、更新日、ファイル名、保存場所同上
現在の秘密度ラベル付いているラベルの名称情報保護の製品
アクセス権限保存場所を閲覧できるグループと人数ストレージの権限設定
閲覧記録直近90日の閲覧者、日時、操作(ダウンロード・共有)監査ログ
情報管理規程秘密区分の定義、区分ごとの取扱いルール知財部の文書
文書種類のラベル付きサンプル種類ごとに5件以上の見本知財部が用意
過去の確定結果過去に区分を確定した文書と、その理由点検リスト
Step3

データの取得方法を決める

文書ファイル: ストレージのAPIで取得します。すべてのファイル形式を対象にしないでください。 Office 文書、PDF、図面の形式に絞り、画像ファイルや動画は対象外にします。対象を広げると、処理時間も費用も跳ね上がります。

Document Intelligence のカスタム分類モデルは、PDF と画像(JPEG/JPG、PNG、BMP、TIFF、HEIF)に加えて、Word・Excel・PowerPoint にも対応します。PDF と TIFF は最大2,000ページ、有料プランでのファイルサイズは500MBまでです。 分類のトレーニングデータは合計2GB・最大25,000ページまでです。

アクセス権限: ここの取得がもっとも手間のかかる部分です。SharePoint のサイト・ライブラリ・フォルダのどの階層で権限が設定されているかを追う必要があります。「継承している」場合は、親をたどって実際の範囲を出します。

権限の「範囲」は、人数で見るのが実務的です。「このフォルダは全社1,500名が見られる」「このフォルダは設計部40名だけ」という粒度で十分です。 誰が見られるかの完全なリストは不要です。

閲覧記録: 監査ログから、直近90日の閲覧者を取得します。見るのは「区分に見合わない範囲からの閲覧があったか」だけです。 個人の閲覧行動を評価する目的で使わないでください。運用の目的が変わると、社内の受け止め方が変わります。

文書種類のラベル付きサンプル: 種類ごとに5〜20件を用意します。ここが準備の山場です。 ただし、一度作れば使い回せます。分類モデルは増分トレーニングに対応しており、既存のクラスに新しいサンプルを追加したり、新しいクラスを追加したりできます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 対象外の除外 … テンプレート、社内報、公開済みの製品カタログ、他社から受領した資料を除きます。受領資料は自社の営業秘密ではなく、相手先との秘密保持の対象です。別の管理が要ります
  2. 重複の統合 … 同じ文書が複数の場所にコピーされていることがあります。ハッシュで検出し、コピー元とコピー先の両方を記録します。「極秘の文書が誰でも見られる場所にコピーされている」がここで見つかります
  3. 本文の抽出 … 文書からテキストを取り出します。図面はテキストが少ないため、タイトル欄と注記欄に絞ります
  4. 機密性の高い部分の除去 … 個人名、口座番号など、区分の判断に不要な情報は伏せてから渡します
  5. 文書の長さの調整 … 長い報告書は、判断に効く部分(表題、目的、結論、数表の見出し)に絞ります。全文を渡す必要はありません
Step5

AIに処理させる

3つの役割に分けます。

カスタム分類モデルにさせること: 文書の種類の仕分け。ここは生成AIにさせません。 レイアウトの特徴で判別できるものは、専用モデルのほうが安定し、費用も安く済みます。

生成AI(Claude API)にさせること:

処理内容
秘密区分の候補規程の定義に照らして、4区分のどれに当たるかの候補を出す
根拠の提示文書のどの記載がその判断の根拠かを引用する
含まれる情報の種類原価、仕入先名、単価、設計の数値、未公開の計画、顧客名 などのうち何が含まれるか
過去の確定結果との一致似た文書を過去にどう区分したかと合っているか
確信度high / medium / low

突合の処理(計算側):

突合内容
表示との突合候補の区分と、実際に付いているラベル・文書内の表示が一致しているか
権限との突合候補の区分に対して、アクセスできる範囲が広すぎないか
閲覧記録との突合区分に見合わない範囲からの閲覧・ダウンロードがなかったか
コピーとの突合同じ文書がより広い範囲の場所にコピーされていないか

「どの区分にすべきか」を断定させません。 出せるのは候補と根拠までです。特に「極秘」の判断は、業務への影響が大きいため、人が決めます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは情報管理を支援する担当者です。
下の文書について、社内の情報管理規程に照らして、秘密区分の候補を出してください。

【厳守事項】
- 判断は、下の「情報管理規程の区分の定義」に書かれている条件のみを根拠にしてください。
  一般的な情報管理の考え方や、他社の慣行で補わないでください。
- 候補は1つに絞らず、当てはまりうる区分を確信度つきで最大2つ挙げてください。
- 各候補について、文書のどの記載が根拠かを、原文から20字程度そのまま引用してください。
  **引用のない候補を出さないでください。**
- 含まれる情報の種類を、下の一覧から選んで列挙してください。
  一覧にないものは "その他" とし、内容を書いてください。
- 文書に書かれていない情報が含まれていると推測しないでください。
- 区分を変更すべきか、権限をどう変えるべきかを書かないでください。
  判断は情報管理担当が行います。
- 判断できない場合は candidates を空にし、undetermined_reason に理由を書いてください。
  **「おそらく社内限り」のような当て推量をしないでください。**

【文書の種類(分類モデルの判定)】
{doc_type}

【文書の内容(抜粋)】
{doc_excerpt}

【情報管理規程の区分の定義】
{classification_rules}

【含まれる情報の種類の一覧】
原価 / 仕入先名 / 単価・取引条件 / 設計の数値・公差 / 製造条件 / 未公開の計画 /
顧客名 / 人事情報 / 契約条件 / 知的財産(出願前)/ その他

【過去に確定した類似文書(種類と区分が近いもの・上位5件)】
{past_decisions}

「引用のない候補を出さない」の1行が重要です。 これがないと、AIは「技術的な内容を含むため関係者限りが妥当です」という抽象的な理由を返します。その理由では、情報管理担当が検証できません。 原文の引用があれば、その一文を見て判断できます。

「当て推量をしない」も必要です。 判断できない文書は必ず出ます。目次だけのファイル、中身が空のテンプレート、外国語の資料。そこで無理に区分を付けさせると、誤った区分が確定してしまいます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "document_id": "",
  "file_name": "",
  "doc_type": "",
  "doc_type_confidence": 0,
  "created_by_department": "",
  "candidates": [
    {
      "classification": "公開 | 社内限り | 関係者限り | 極秘",
      "evidence_quote": "",
      "matched_rule": "",
      "confidence": "high | medium | low"
    }
  ],
  "information_types": [],
  "undetermined_reason": "",
  "current_state": {
    "label": "",
    "in_document_marking": "",
    "access_scope_headcount": 0,
    "access_scope_note": "",
    "viewers_90d": 0,
    "out_of_scope_views": 0,
    "copies_in_wider_scope": []
  },
  "findings": [
    { "type": "label_missing | label_mismatch | access_too_wide | out_of_scope_view | wider_copy", "severity": "high | medium | low", "detail": "" }
  ],
  "needs_owner_check": false
}

JSON Schema を指定して出力を固定します。Claude API では output_config.format にJSONスキーマを渡すことで、応答をスキーマに沿った形に制約できます。

findingstype を5つに分けている点が実務上効きます。対処の仕方が種類ごとに違うためです。

type意味対処
label_missing区分の表示が付いていないラベルを付与する
label_mismatch付いている区分が候補と違うどちらが正しいかを確認する
access_too_wide区分に対して閲覧できる範囲が広すぎる権限を絞る
out_of_scope_view区分に見合わない範囲から閲覧された既に見られている。優先度が高い
wider_copyより広い範囲の場所にコピーがあるコピーを削除するか、場所を移す

out_of_scope_viewwider_copy を最優先にしてください。 この2つは「これから起こること」ではなく「すでに起きたこと」です。ラベルの付け忘れより重い指摘です。

Step8

システムへ連携する

点検リストをスプレッドシートまたは Microsoft Lists に作ります。1文書1行で、上の findings を展開して見る形にします。

中身
文書名 / 保存場所 / 作成部署 / 作成者基本情報
文書の種類 / 分類の確信度仕分けの結果
候補の区分(第1候補・第2候補)根拠の引用つき
現在の表示 / 権限の範囲(人数)現状
直近90日の閲覧者数 / 範囲外の閲覧実績
指摘(type と severity)5種類
情報管理担当の判断人が入れる(確定/作成部署へ確認/対象外)
確定した区分 / 確定日 / 確定者記録
依頼日 / 期限 / 対応日追跡用

確定した区分の反映は、情報保護の製品の機能で行ってください。 この構成から直接ラベルを書き込むより、既存の仕組みに乗せるほうが確実です。秘密度ラベルはファイルとメールのメタデータに格納され、保存場所が変わってもコンテンツと一緒に維持されます。

権限の変更は、人が行います。 自動でフォルダの権限を絞ると、業務が止まります。変更の依頼を出し、作成部署と情報システム部が確認したうえで実施してください。

Step9

人が確認する

全件、情報管理担当が確認します。区分の自動確定はしません。

理由は3つあります。1つは、区分を厳しくしすぎると業務が止まるためです。共有すべき資料が見られなくなれば、現場は別の経路で回します。2つ目は、規程の側が古い可能性があり、AIの判断が規程どおりでも実態に合わないことがあるためです。3つ目は、作成部署の意図を確認する必要がある場合があるためです。

確認の深さを分けてください。

  • out_of_scope_viewwider_copy があるもの … すでに起きている。最優先で対処する
  • candidates の第1候補が「極秘」のもの … 影響が大きい。全件、根拠の引用を読む
  • label_missing で候補が「社内限り」のもの … 数が多い。まとめて確定してよい
  • undetermined_reason があるもの … 人が中身を見る
  • doc_type_confidence が低いもの … 仕分けの誤りかもしれない。種類から確認する

確認を速くするための設計が効きます。

  • findingsseveritytype で並べ替える
  • 根拠の引用と、規程の該当条項を左右に並べて表示する
  • 同じ作成部署・同じ種類の文書をまとめて表示する(まとめて確定できる
  • 過去に同種の文書をどう確定したかを併記する
  • 権限の範囲を人数で表示する(「1,500名が見られる」は一目で分かる

3つ目が効きます。 「設計部が作った原価表30件」をまとめて「関係者限り」に確定できれば、1件ずつ見るより圧倒的に速くなります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
文書の種類が判定できないdoc_type_confidence が低い。人が種類から確認する。種類のサンプルを追加する材料にもなる
区分の候補が出せないundetermined_reason に理由を入れて人へ回す。当て推量で区分を付けない
他社から受領した資料対象外にする。相手先との秘密保持契約に基づく別の管理が要る
同じ文書が複数の場所にあるハッシュで検出し、wider_copy として指摘する
権限が親フォルダから継承されている親をたどって実際の範囲を出す。継承のままでは範囲が分からない
閲覧記録が90日分しか残っていないその範囲で判定し、期間を明示する。ログの保存期間の延長は別途検討する
図面でテキストがほとんどないタイトル欄と注記欄だけで判定する。判定できなければ undetermined にする
外国語の文書種類の仕分けは可能。区分の判断は翻訳してから行うか、人へ回す
作成者が退職している作成部署の現在の責任者へ確認を回す
区分を確定しても作成部署が直さない期限を設けて再通知する。3回目で部門長へ通知する運用を検討する
規程の定義が曖昧で判断できないundetermined が集中する条項を集計し、規程の改定の材料にする
処理が重く、週の件数を消化できない対象の形式と本文の抽出範囲を絞る。件数を減らす
Step11

記録を残す

この記録は、営業秘密の管理を行っていたことを示す資料になります。

  • 点検した文書の一覧と、点検日
  • 区分の候補と、その根拠の引用
  • 情報管理担当が確定した区分と、確定日・確定者
  • 候補と違う区分に確定した場合、その理由
  • findings の内容と、対処の結果
  • out_of_scope_view の詳細(いつ、どの範囲から閲覧されたか)
  • 適用した情報管理規程の版

「候補と違う区分に確定した理由」を残すことが特に重要です。 同じ種類の文書で毎回同じ理由の上書きが起きているなら、規程の定義かAIへの渡し方に原因があります。

適用した規程の版も必ず記録してください。 規程は改定されます。「いつ時点の規程で判断したか」が残っていないと、後から検証できません。

out_of_scope_view の記録は、万一の流出時に経緯を追う材料になります。ただし、個人の閲覧行動の監視が目的ではないことを、社内に明示してください。

04実装レベルの3段階

最小構成:文書をチャット画面に貼り付け、区分の候補と根拠を出させる / 区分の候補出し
半自動化:週次で文書を取り込み、種類の仕分けと区分の候補出し、点検リストの作成まで / 仕分けと候補出し
本格構成:上記+表示・権限・閲覧記録との突合+コピーの検出+変更依頼の期限管理 / 突合と追跡まで

半自動化の時点で、4分が2分程度になります。 種類の判別と区分の判断が消えるためです。本格構成では1.2分になりますが、この構成では本格構成まで進める価値が大きくなります。 理由は、突合こそがこの業務の目的だからです。区分の候補が出るだけでは、「この文書は関係者限りらしい」で終わります。それが実際にどう管理されているか(表示・権限・閲覧)と突き合わせて初めて、何を直すべきかが決まります。 特に out_of_scope_viewwider_copy は、半自動化では検出できません。 この2つがもっとも重い指摘なので、そこまで作らないと効果が薄くなります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
800 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1.2 分
現在  800件 × 4分 ÷ 60 = 53.3 時間/月
導入後 800件 × 1.2分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
37.3h
削減率
70%
年間削減時間
448h
年間金額換算(時間単価3,500円)
157万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 共有フォルダやクラウドストレージに技術資料・図面・原価表が数万件あり、秘密の区分を人が付ける運用になっている企業。区分の付いていない文書が大半を占めている場合。退職者の持ち出しや取引先への誤送信が過去に問題になったことがある場合。情報管理規程はあるが、実際の文書の状態を点検できていない場合。
向いていない
  1. 文書が数百件で、管理者が中身を把握できている規模の場合。情報保護の製品を導入済みで、自動ラベル付けと監査ログの運用が回っている場合。そもそも情報管理規程がなく、何を秘密とするかが決まっていない場合(規程の整備が先)。

07最小構成で試す方法

  1. 文書の種類を5つ決める(図面/技術報告書/原価表/取引条件/議事録 など)
  2. 種類ごとに10件ずつ、計50件のサンプルを集める
  3. 情報管理規程から、4区分の定義を抜き出して1枚にまとめる
  4. サンプルのうち20件について、生成AIのチャット画面で区分の候補を出させる
  5. 情報管理担当が自分で判断した区分と突き合わせる

分類モデルを学習させる前に、この検証を済ませてください。 カスタム分類モデルの学習には準備と費用がかかります。区分の判断が使えるかどうかを先に確かめるほうが順序として正しくなります。

見るのは次の3点です。

見る点判断
第1候補が担当者の判断と一致した割合7割以上なら使える。極秘の判定だけは別に数える
根拠の引用が具体的か「技術的な内容のため」ではなく、原文の引用があるか
undetermined の件数と理由ここに出る理由が、規程の曖昧な部分です

3つ目が、この検証でもっとも価値のある発見になります。 「関係者限りと社内限りの違いが規程から読み取れない」という理由が複数出るなら、それは規程の問題です。 仕組みを作る前に、そこを直すほうが効きます。

あわせて、権限の範囲が取れるかを確かめてください。 SharePoint のフォルダ1つについて、実際に何名が閲覧できるかを出す作業を手でやってみます。これが簡単に出せないなら、この構成の後半(突合)は作れません。 情報システム部と一緒に確認してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
初回に全件を流して指摘が数万件出る新規・更新分から始める。既存分は後回しにする
区分の根拠が抽象的で検証できない原文の引用を必須にする。引用のない候補を出させない
判断できない文書に当て推量の区分が付くundetermined を許す。理由を書かせる
規程の定義が曖昧で判断が割れるundetermined の理由を集計し、規程の改定へ回す
他社から受領した資料を自社の営業秘密として扱う前処理で除外する。別の管理が要る
権限が継承されていて実際の範囲が分からない親をたどって範囲を出す処理を入れる
自動で権限を絞って業務が止まる権限の変更は人が行う。自動変更の経路を作らない
極秘の区分を自動確定してしまう全件、人が確定する。特に極秘は根拠を読む
作成部署が区分を直さない期限を設けて再通知する。部門長への通知を検討する
監査ログを個人の監視に使っていると思われる目的を社内に明示する。区分に見合わない閲覧の有無だけを見る
文書の種類の判定が外れるサンプルを追加して増分トレーニングする。"other" クラスを設けると誤分類が減る
処理が重く週の件数を消化できない対象の形式を絞る。本文の抽出範囲を絞る

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内文書の本文、原価、仕入先名、設計の数値、未公開の計画。守ろうとしている情報そのものを、処理の過程で扱うことになります。

  1. 外部AIへの入力可否 … これがこの構成の最大の論点です。営業秘密に当たりうる文書の中身を、外部のAIサービスへ送ることになります。 自社の情報管理規程で、そもそもこれが許されるかを先に確認してください。規程で禁じられているなら、この構成は成立しません
  2. 抜粋だけを渡す設計 … 全文を渡す必要はありません。表題、目的、結論、数表の見出しだけで区分の判断は多くの場合できます。 渡す範囲を絞ることで、外部へ出る情報を減らせます
  3. オンプレミスでの実行 … 判断が難しい場合、社内の環境で完結する構成を検討してください。情報保護の製品には、社内に閉じた形で分類を行う機能があります。費用と手間は増えますが、この題材では検討する価値があります
  4. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。ここは他のユースケース以上に重要です
  5. 極秘文書を対象から外す選択 … すでに極秘のラベルが付いている文書は、この構成の対象から外すという設計もありえます。 目的は「区分が付いていない文書を見つけること」なので、すでに付いているものは対象外にしても目的を損ないません
  6. アクセス権限 … 点検リストには、全社の重要文書の所在が集まります。このリスト自体が極秘の文書になります。 閲覧を知財部と情報システム部の担当者に限定してください
  7. 閲覧記録の扱い … 監査ログから読み取れるのは個人の行動です。目的を「区分に見合わない閲覧の有無の確認」に限定し、人事評価や個人の監視に使わないことを明示してください。 目的外の利用は、従業員との信頼を損ないます
  8. AIの判定を根拠に処分しないことout_of_scope_view の記録は、権限設定の問題であって、閲覧した人の問題とは限りません。人が経緯を確認してください
  9. 自動実行してよい範囲 … 仕分け、候補出し、突合、指摘までです。区分の確定、ラベルの付与、権限の変更は人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、誤った区分による業務の停滞、逆に緩い区分による情報の流出、そして個人の閲覧記録の目的外利用です。3つ目は社内の信頼に関わるため、目的の明示を省かないでください。

10まず何から始めるか

1週目:規程の区分の定義を1枚にまとめる

情報管理規程から、4区分の定義を抜き出して1枚にします。「関係者限り」と「社内限り」の違いが、読んで分かるかを確かめてください。 分からないなら、その時点で規程の改定が必要です。仕組みを作る前に気づけます。

2週目:区分の判断を20件で試す

代表的な文書20件について、生成AIに区分の候補を出させ、担当者の判断と突き合わせます。undetermined の理由を必ず読んでください。 そこが規程の弱い部分です。

3週目:権限の範囲が取れるかを確かめる

フォルダ10個について、実際に何名が閲覧できるかを出す作業を、情報システム部と一緒にやってみます。ここが出せないなら、突合の部分は作れません。 この構成の価値の半分がここにあるので、必ず先に確かめてください。

4〜6週目:文書の種類のサンプルを集める

5種類 × 10件を集め、カスタム分類モデルを学習させます。判定できない文書のための "other" クラスを必ず入れてください。 これを入れないと、対象外の文書が無理やりどれかの種類に割り当てられます。

2か月目以降: 新規・更新分の週200件で半自動化を回します。指摘の質を2か月見て、undetermined の割合が2割を下回ったら、突合の部分を足します。

4か月目以降: 本格構成に進みます。out_of_scope_viewwider_copy の検出から作ってください。 ラベルの付け忘れより、こちらのほうが重い指摘です。同時に、区分の付いていない文書の割合を月次で記録してください。 この割合が下がっていくことが、この取り組みの成果です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-23/最終更新:2026-09-23
確認した内容情報源確認日
Document Intelligence のカスタム分類モデルが、レイアウトと言語の特徴を組み合わせて文書の種類を検出すること。学習には2つ以上のクラスと、クラスごとに5件以上のサンプルが必要で、クラスの最大数は1,000、クラスあたりのサンプルの最大数は100であること。PDF・画像・Office 形式に対応し、PDFとTIFFは最大2,000ページ、有料プランのファイルサイズは500MBまでであること。増分トレーニングと "other" クラスの追加が推奨されることMicrosoft Learn: カスタム分類モデル2026-09-23
Microsoft Purview の秘密度ラベルが、暗号化とコンテンツマーキング(ヘッダー、フッター、透かし)を含む保護設定を提供すること。ラベルがファイルとメールのメタデータにクリアテキストで格納され、保存場所が変わってもコンテンツと一緒に維持されること。機密情報の検出に基づく自動ラベル付けと、利用者への推奨が構成できることMicrosoft Learn: 秘密度ラベルの詳細2026-09-23
Claude API で output_config.format にJSONスキーマを渡すと、応答をスキーマに沿った形に制約できることClaude Docs: Structured outputs2026-09-23

アクセス権限の実際の範囲を取得する方法、監査ログの保存期間と取得方法は、利用しているストレージと契約プランによって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 何を営業秘密として管理すべきか、およびその管理方法が法的な要件を満たすかについては、自社の法務部および顧問弁護士に確認してください。この記事は法的な判断を示すものではありません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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