Media > AI活用ユースケース > 人事 > 入社・退職の連絡から社会保険と雇用保険の手続きリストと期限を作る

入社・退職の連絡から社会保険と雇用保険の手続きリストと期限を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

顧問先からメールや添付ファイルで届く入社・退職の連絡を入力に、生成AIで氏名・日付・給与・週の労働時間などを抜き出し、曖昧な点と聞き返しの文面を下書きします。必要な手続きと提出期限は、人が管理するルール表とプログラムで決めます。連絡を読み解き、期限を数えて台帳に書く作業が減ります。

サマリー
利用ツール
AWS Textract/Azure AI/Azure OpenAI Service/Claude/Gemini/Google Apps Script/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate/Python
対象業界
その他/士業
対象部門
人事
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック/台帳・マスタ管理
主な課題
入力作業が多い/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
抽出
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
48h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
58%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 顧問先の人事担当から、入社・退職の連絡がメールで届く
  2. 担当者が連絡を読み、氏名、入社日または退職日、給与、週の所定労働時間などを拾う
  3. 顧問先の台帳で、その事業所の適用区分を確かめる
  4. 健康保険・厚生年金保険と雇用保険の加入要件に当たるかを判断し、手続きを決める
  5. 手続きごとに提出期限を数える
  6. 足りない情報を洗い出し、聞き返しメールを書く
  7. 手続き台帳に登録し、情報がそろったら労務ソフトで届書を作る
導入後(After)
  1. 顧問先が、事務所の手続き用アドレスへ連絡を送る
  2. 自動送信元から顧問先を特定し、添付をテキストに変換する
  3. 自動マイナンバーなどの番号を伏せる
  4. 自動生成AIが人ごとに項目を抜き出し、曖昧な点を挙げる
  5. 自動ルール表とプログラムで、加入要件の判定、手続き、期限、足りない項目を決める
  6. 自動聞き返しメールの下書きを作る
  7. 担当者が原文・抽出結果・判定の根拠を見比べて確定し、聞き返しを送る
  8. 自動手続きを期限の近い順に台帳へ並べ、期限が迫ったものを通知する
  9. 労務ソフトで届書を作成し、提出する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 顧問先の人事担当から、入社・退職の連絡がメールで届く
  2. 担当者が連絡を読み、氏名、入社日または退職日、給与、週の所定労働時間などを拾う
  3. 顧問先の台帳で、その事業所の適用区分を確かめる
  4. 健康保険・厚生年金保険と雇用保険の加入要件に当たるかを判断し、手続きを決める
  5. 手続きごとに提出期限を数える
  6. 足りない情報を洗い出し、聞き返しメールを書く
  7. 手続き台帳に登録し、情報がそろったら労務ソフトで届書を作る

問題は4つあります。

(a)書き方がばらばら。 「4/1からAさん入社、25万」だけの連絡が届きます。月給か年俸か、交通費を含むかが分かりません。

(b)加入要件の判断が人によって揺れる。 週20時間前後の人、契約期間の短い人の判断は経験頼みです。改正の直後がもっとも誤りやすい時期です。

(c)聞き返しの往復で期限が迫る。 健康保険・厚生年金保険の資格取得届は事実発生から5日以内です。

(d)退職日の取り違え。 連絡には「最終出勤日」と「退職日」が混ざって書かれます。取り違えると、資格を失う日がずれます。

  1. 顧問先が、事務所の手続き用アドレスへ連絡を送る
  2. 【自動】 送信元から顧問先を特定し、添付をテキストに変換する
  3. 【自動】 マイナンバーなどの番号を伏せる
  4. 【自動】 生成AIが人ごとに項目を抜き出し、曖昧な点を挙げる
  5. 【自動】 ルール表とプログラムで、加入要件の判定、手続き、期限、足りない項目を決める
  6. 【自動】 聞き返しメールの下書きを作る
  7. 【人】 担当者が原文・抽出結果・判定の根拠を見比べて確定し、聞き返しを送る
  8. 【自動】 手続きを期限の近い順に台帳へ並べ、期限が迫ったものを通知する
  9. 【人】 労務ソフトで届書を作成し、提出する

判定の確定、聞き返しの送信、届書の提出は人が行います。

02今回想定するシステム構成

構成図
顧問先(メール本文 / Excel連絡表 / PDF・写真)
   │
   ▼【トリガー】When a new email arrives in a shared mailbox (V2)
Power Automate
   │
   ├──▶ 顧問先の特定(送信元アドレス → 顧問先マスタ)
   ├──▶ 添付の変換(Excel → CSVテキスト / PDF → OCR)
   ├──▶ 伏せ字処理【必須】番号を [個人番号] [番号] に置き換える
   ├──▶ Claude API ── 人ごとに項目を抜き出す(JSON)
   ├──▶ ルール表+プログラム ── 判定 / 手続き / 期限 / 不足項目
   └──▶ Claude API ── 聞き返しメールの下書き
   │
   ▼
手続き台帳(確認待ち)──【人が確定】──▶ 労務ソフトで届書作成【人】
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(Outlook の共有メールボックスの受信をきっかけに起動)Make、n8n
OCRAzure AI Document Intelligence(prebuilt-layout)Google Document AI、AWS Textract
生成AIClaude API(structured outputs)Azure OpenAI Service、Gemini API
処理Python(伏せ字処理・ルール判定・期限計算)Google Apps Script
手続き台帳・ルール表SharePoint リストGoogle スプレッドシート

顧問先に入社情報の入力フォームを使ってもらえるなら、そちらを先に検討してください。 項目がそろって届けば読み取りは要りません。この構成は、フォームに移れない顧問先のメールを受け持つ役割です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

事務所の手続き用の共有メールボックスへの着信を起点にします。Office 365 Outlook コネクタの「When a new email arrives in a shared mailbox (V2)」トリガーを使います。共有メールボックスのアドレスの指定が必須で、利用するアカウントにそのメールボックスへのアクセス権が必要です。本文だけの連絡も多いため、添付の有無では絞り込みません。添付の中身は「Get Attachment (V2)」アクションで取り出します。

コネクタのドキュメントには、50MBまたは管理者が設定した上限を超えるメールや、保護されたメールはスキップされることがあると書かれています。日次で受信件数と処理件数を突き合わせてください。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
連絡メール本文、Excel連絡表、PDF・写真共有メールボックス
顧問先マスタ送信元アドレス、特定適用事業所かどうか、通常の労働者の週の所定労働時間と月の所定労働日数SharePoint リスト
在籍者一覧氏名、入社日、加入している保険労務ソフトからの出力
ルール表加入要件、手続き、期限の数え方、必要な項目SharePoint リスト

顧問先マスタに通常の労働者の所定労働時間がないと、4分の3基準で判定できません。

Step3

データの取得方法を決める

Excel添付: OCRには送らず、プログラムでセルの値を読んでCSVテキストにします。prebuilt-layout はExcelも受け付けますが、XLSXを入力にした場合は表の解析に対応していないとドキュメントに明記されています。

PDF・写真: Azure AI Document Intelligence の prebuilt-layout に渡します。PDFと画像(JPEG、PNG、BMP、TIFF、HEIF)から文字、表、選択マーク、構造を抽出し、outputContentFormat=markdown でMarkdown形式にできます。各行が手書きかどうかを確信度つきで返すため、手書きの連絡票は確認を厚くできます。

在籍者一覧: 退職の連絡との照合に使います。出力方法は労務ソフトによって違うため、利用環境に応じた個別確認が必要です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. マイナンバーを伏せる(必須) … 本文とExcelの変換結果から、個人番号にあたる12桁の数字を [個人番号] に置き換えます。全角数字、ハイフンや空白で区切った書き方も対象です。迷う数字列は伏せる側に倒します
  2. ほかの番号も値は渡さない … 基礎年金番号や雇用保険の被保険者番号も、AIが知る必要があるのは「書かれているか」だけです。10桁以上の数字はすべて [番号] にし、値は担当者が原文から労務ソフトへ入力します
  3. 画像は自動でOCRに回さない … 画像は読むまで番号の有無が分かりません。写真と、ファイル名に「マイナンバー」「個人番号」を含む添付は人に回します。OCRの結果も1の処理を通します
  4. 顧問先の特定 … 送信元アドレスがマスタにない場合は処理を止めます
  5. 引用の除去 … 返信メールの引用部分にある過去の連絡を拾わないよう、区切り行から下を落とします
Step5

AIに処理させる

役割を分けます。ここがこの構成でもっとも大事な点です。

処理担当
連絡を人ごとに分け、項目を抜き出す生成AI
曖昧・矛盾する点を挙げる(「25万」が月給か年俸か等)生成AI
加入要件の判定、手続きの決定、期限の計算ルール表+プログラム
足りない項目の確定(手続きごとの必要項目との差)プログラム
聞き返しメールの下書き生成AI

ルール表は、社会保険労務士などの責任者が公式情報を確認して作ります。次は2026年9月14日に公式ページで確認した内容による例です。

区分加入要件(確認日時点)変更の予定
健康保険・厚生年金保険1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上
同(短時間労働者。特定適用事業所など)週20時間以上/所定内賃金 月額8.8万円以上/学生でない。特定適用事業所は被保険者の総数51人以上賃金要件は令和8年10月に撤廃予定。企業規模は令和9年10月に36人以上、令和11年10月に21人以上、令和14年10月に11人以上へ拡大予定
雇用保険1週間の所定労働時間20時間以上/31日以上の雇用見込み週10時間以上へ変更(令和10年10月1日施行)

短時間労働者の適用拡大は改正が続いています。最新の要件を必ず公式情報で確認してください。 表にない適用除外(2カ月以内の期間を定めて使用される人など)もルール表に持たせます。

ルールID条件手続き期限(公式案内の表現)
H-01入社・健保厚年の要件に該当被保険者資格取得届事実発生から5日以内
H-02入社・雇用保険の要件に該当雇用保険被保険者資格取得届資格取得年月日の属する月の翌月10日まで
E-01退職・健保厚年の被保険者被保険者資格喪失届事実発生から5日以内(喪失日は退職日の翌日)
E-02退職・雇用保険の被保険者雇用保険被保険者資格喪失届被保険者でなくなった日の翌日から10日以内

資格取得届は、マイナンバーまたは基礎年金番号が未記入だと返戻されると日本年金機構が案内しています。この項目の欠けは、真っ先に聞き返す対象です。

ルール表には、さらに次の列を持たせます。

  • 期限の計算式 … 起算日の数え方と、期限が休日にあたる場合の扱いは、管轄の年金事務所・ハローワークに確認して事務所として決めます。プログラムはこの列のとおりに計算するだけです
  • 根拠URL・確認日・適用開始日・適用終了日 … 改正前後のルールを両方登録し、入社日で使う版を選びます。改正日に表を上書きすると、前日に入社した人を新ルールで判定する誤りが起きます
Step6

指示内容を固定する

あなたは社会保険労務士事務所の手続き担当を支援する担当者です。
顧問先からの入社・退職の連絡を読み、人ごとに項目を抜き出してください。

【厳守事項】
- 書かれていない項目は null にし、推測で埋めないでください。
- 加入すべき保険、必要な手続き、提出期限は書かないでください。
- [個人番号] [番号] は番号が書かれていた場所です。
  何の番号かを直前の語から判断し *_written を true にしてください。
- 「最終出勤日」と「退職日」を区別してください。
  どちらか分からない日付は unclear_points に原文を引用してください。
- 給与は月給・時給・日給と、交通費を含むかを分けてください。
- 年が書かれていない日付は null にし、date_raw に原文を残してください。
- 退職理由に病名や家族の事情があっても抜き出さないでください。

【顧問先】{client_name}
【在籍者の候補】{employee_candidates}
【連絡(番号は伏せてあります)】{masked_text}

「必要な手続き、提出期限は書かない」の1行が重要です。 生成AIは親切に「資格取得届が必要です」と書き足します。ルール表を通らない判断を台帳に入れないためです。

聞き返しの下書きには、プログラムが確定した不足項目とAIが挙げた曖昧な点だけを渡し、「渡した項目以外を聞かない」「マイナンバーをメールで送るよう求めない」と指示します。

Step7

出力形式を固定する

{
  "persons": [
    {
      "event_type": "hire | exit | unknown",
      "name": "",
      "hire_date": null,
      "exit_date": null,
      "last_work_date": null,
      "date_raw": [],
      "fixed_term": "yes | no | unknown",
      "weekly_hours": null,
      "wage_type": "monthly | hourly | daily | unknown",
      "wage_amount": null,
      "is_student": "yes | no | unknown",
      "my_number_written": false,
      "pension_no_written": false,
      "unclear_points": [{ "field": "", "quote": "" }]
    }
  ]
}

Claude API の structured outputs で、output_config.format に JSON スキーマを渡します。制約付きデコードにより、型と必須項目がスキーマどおりに返ると公式ドキュメントに説明されています。ただし数値の範囲(minimummaximum)はスキーマで指定できません。 「週の労働時間が0〜60か」などの検査はプログラムで行います。

Step8

システムへ連携する

判定結果を、手続き台帳へ 「1人×1手続き」を1行 で登録します。列は、顧問先、従業員、手続き、提出期限、判定に使ったルールIDとルール表の版、足りない項目、状態(確認待ち/情報待ち/作成中/提出済み)です。

聞き返しは、Office 365 Outlook コネクタの「Draft an email message」アクションで下書きとして保存するだけにし、担当者が直して送ります。

届書の作成と提出は人が労務ソフトから行います。e-Gov への電子申請の自動提出は入れません。 台帳から労務ソフトへの取り込み方式は、利用環境に応じた個別確認が必要です。

Step9

人が確認する

全件、人が確定します。 手続きの誤りは従業員本人の不利益に直結するためです。

  • 原文、抜き出した項目、判定結果を1画面に並べる
  • 判定の横に使ったルールIDと条件を表示する(「週25時間・特定適用事業所 → H-01」)
  • 加入要件の境目にある人(週20時間前後、4分の3の前後)に印を付け、社会保険労務士の確認を必須にする
Step10

例外に対処する

起きること対応
送信元が顧問先マスタにない処理を止めて人へ回す。推測で当てはめない
労働時間が「シフトによる」判定を保留し、契約上の所定労働時間を聞き返す
退職日と最終出勤日の区別がつかない退職日を空欄にして聞き返す
同姓同名の在籍者が2人いる候補を並べて人に選ばせる
伏せ字処理の後に12桁の数字が残ったAIへ送る直前の検査で止める
期限をすでに過ぎている台帳の最上段に出し、即時通知する
改正日をまたぐ入社入社日でルール表の版を選ぶ
生成AIが手続きや期限を書いた出力の検査で弾き、台帳に入れない
Step11

記録を残す

  • 伏せ字処理後のテキストと伏せた件数(マイナンバーの値は残さない
  • AIの出力、判定に使ったルールIDとルール表の版
  • 人が修正した項目と修正前後の値、聞き返しの送信日時

ルール表の版を必ず残してください。 後から判定の根拠を示すためです。

04実装レベルの3段階

最小構成:番号を手で伏せた連絡を生成AIの画面に貼り、Excelのルール表で人が判定する / 項目の抜き出しのみ
半自動化:メール監視 → 伏せ字処理 → 抜き出し → ルール判定・期限計算 → 台帳(確認待ち)→ 聞き返しの下書き / 読み取り、判定、期限計算、下書き
本格構成:上記+根拠を並べる確認画面+ルール表の版の自動切り替え+労務ソフトへの取り込み / 確定と提出以外

モデルに置いたのは半自動化です。 本格構成の価値は時間よりも改正への強さにあります。改正日をまたぐ時期に、どちらのルールかを人が意識せずに済みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
160 件
1件あたり現在時間
18 分
1件あたり導入後時間
7.5 分
現在  160件 × 18分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 160件 × 7.5分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
58%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,500円)
118万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 顧問先(または自社の各拠点)から入社・退職の連絡が月80件以上届き、書き方がそろっていない社会保険労務士事務所・人事部門。顧問先ごとに適用区分(特定適用事業所かどうか、通常の労働者の所定労働時間)を台帳で管理できること。加入要件と期限のルール表を、社労士などの責任者が公式情報で確認して保守できること。
向いていない
  1. 入社・退職の情報を入力フォームで登録する運用がすでに定着している場合。連絡が月20件未満で、担当者が全件を把握できている場合。マイナンバーを含む書類の画像をメールで受け取る運用を変えられない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 処理済みの連絡を30件用意する(Excel添付を1/3ほど含める)
  2. 氏名を仮名に、番号類を「[番号]」に手で置き換える
  3. ChatGPTかClaudeの画面に、上の指示と連絡を貼る
  4. 抜き出した項目を、実際の台帳の登録内容と比べる
30件の結果判断
27件以上で全項目が正しい自動化する価値がある
21〜26件誤りの出る項目を見て、指示を直す
20件以下連絡の情報不足が原因のことが多い。顧問先に「書いてほしい項目」の一覧を配るほうが先

並行して、ルール表をExcelで作ってみてください。 30件をこの表で判定し、実際の判断と食い違えば、表に書けていない条件があるということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
生成AIが手続きや期限を書き足す指示で禁止し、出力の検査でも弾く
伏せ字処理が全角数字や区切り入りの番号を見逃す数字を正規化してから検査し、送信直前にもう一度検査する
最終出勤日を退職日として登録する別項目で返させ、区別できなければ空欄にする
通常の労働者の所定労働時間が分からない顧問先マスタに先に持たせる。空だと判定が全件保留になる
改正日に表を上書きする適用開始日・終了日を持たせ、入社日で版を選ぶ
期限の数え方が担当者で違う起算日と休日の扱いを決め、計算式の列に書く
ExcelをOCRに送って表が崩れるセルの値をプログラムで読む
境目の人を担当者だけで判断する印を付け、社会保険労務士の確認を必須にする

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 従業員の氏名、生年月日、住所、給与、雇用条件。マイナンバーが含まれることがあります。

  1. マイナンバーを外部のAIに渡さない … 個人情報保護委員会のQ&Aでは、個人番号部分を復元できない程度にマスキングまたは削除すれば個人情報保護法の個人情報になると説明されています。伏せた後も氏名や給与は個人情報のままです。 外部AIへの入力可否は、事務所の規程と顧問先との契約で確認してください
  2. 再委託の整理 … 同Q&Aでは、再委託には最初の委託者の許諾が必要とされています。一方、クラウドサービス事業者が契約上個人番号を含む電子データを取り扱わず、アクセス制御されている場合などは委託に当たらないとされています。AIに番号を渡さない設計は、この整理を単純にします
  3. メールボックスとワークフローには番号が届く … 委託に当たらない場合も、利用する事業者が自ら安全管理措置を講じる必要があるとされています。アクセスできる人を手続き担当に限定してください
  4. そもそもメールで受け取らない … 顧問先には番号を書かないよう依頼し、別の受け取り方法を案内します。伏せ字処理は備えです
  5. 自動実行してよい範囲 … 台帳への登録(確認待ち)と下書き保存までです。聞き返しの自動送信と届書の自動提出は入れないでください

企業の人事部が自社で使う場合、2は当てはまりませんが、1・3〜5はそのまま当てはまります。

10まず何から始めるか

1週目:連絡の書き方を数える

直近の連絡100件で、本文・Excel・PDFの割合と、マイナンバーが書かれていた件数を数えます。番号入りが1割を超えるなら、顧問先への依頼から始めてください。

2週目:ルール表を作る

社会保険労務士が公式情報を確認し、根拠URL・確認日・適用開始日を1行ずつ書きます。令和8年10月に撤廃予定の賃金要件のように、変更が近いものは改正前後の2行を登録します。

3〜4週目:30件で試す

第8章の手順で、全項目の正解が27件以上なら次へ進みます。

2か月目以降: 半自動化を作り、協力的な顧問先3社で1か月使って18分が何分になるかを実測します。伏せ字処理の検査を動かしてから本番のメールを流してください。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-14/最終更新:2026-09-14
確認した内容情報源確認日
資格取得届は事実発生から5日以内。マイナンバーまたは基礎年金番号が未記入だと返戻日本年金機構:資格取得の手続き2026-09-14
資格喪失届は事実発生から5日以内。退職の場合の喪失日は退職日の翌日日本年金機構:資格喪失の手続き2026-09-14
4分の3基準。2カ月以内の期間を定めて使用される人の扱い日本年金機構:適用事業所と被保険者2026-09-14
短時間労働者の要件、特定適用事業所51人以上、賃金要件の撤廃予定と企業規模要件の拡大予定日本年金機構:短時間労働者の適用拡大2026-09-14
雇用保険の資格取得届は資格取得年月日の属する月の翌月10日までハローワーク:資格取得届2026-09-14
雇用保険の要件(週20時間以上、31日以上の雇用見込み)。資格喪失届は被保険者でなくなった日の翌日から10日以内厚生労働省:雇用保険制度Q&A2026-09-14
週所定労働時間の要件を10時間以上へ変更、令和10年10月1日施行厚生労働省:令和6年改正法の概要2026-09-14
個人番号は12桁。マスキング後の扱い(Q5-9)、再委託の許諾(Q3-8)、クラウドサービスと委託(Q3-12・Q3-13)個人情報保護委員会:番号法ガイドラインQ&A2026-09-14
共有メールボックスのトリガー、Get Attachment (V2)、Draft an email message、スキップされるメールの条件Microsoft Learn: Office 365 Outlook2026-09-14
prebuilt-layout の対応形式、XLSXで表解析に非対応、Markdown出力、手書き判定Microsoft Learn: Layout2026-09-14
structured outputs の指定方法とスキーマ準拠の保証、数値範囲の制約に非対応Claude Docs: Structured outputs2026-09-14

加入要件と期限は改正されます。ルール表を作る時点の公式情報を確認し、期限の起算日と休日の扱いは管轄の年金事務所・ハローワークに確認してください。 労務ソフトへの取り込み方式と、メールボックス上での特定個人情報の安全管理措置は、利用環境に応じた個別確認が必要です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0049)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次