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通販サイトの模倣品・無断転載を毎週巡回して見つけ、申立ての資料を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

自社の商品名・型番・登録商標を手がかりに通販サイトを毎週巡回し、疑わしい出品を出典のURLとともに一覧にします。担当者の作業は、自分で検索して見回ることから、挙がった候補を見て申立ての要否を決めることに変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Google Vertex AI/Make/n8n/Power Automate/Python
対象業界
EC/小売/広告/製造
対象部門
マーケティング/知財
対象業務
情報検索/比較検討
主な課題
人手が足りない/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
エージェント
主な効果
工数削減/検索時間短縮/機会損失防止
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
70%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当者が、自社ブランド名で通販サイトを検索する
  2. 検索結果を上から見る
  3. 自社または正規代理店の出品かを確かめる
  4. 商品画像が自社の撮影画像かを見比べる
  5. 価格が正規価格から大きく外れていないかを見る
  6. 疑わしければ、出品ページを保存する
  7. 知財担当に相談する
  8. 権利の種類(商標・意匠・著作権)を確認する
  9. モールの権利者向け窓口から申立てを行う
  10. 対応履歴をExcelに記録する
導入後(After)
  1. 自動毎週、商品マスタと監視条件から検索する語の一覧を作る
  2. 自動決めた条件で検索し、出品ページのURLを集める
  3. 自動前回の巡回結果と突き合わせ、新規に出たものと継続しているものを分ける
  4. 自動出品ページの内容(出品者名、価格、商品説明、画像)を取得する
  5. 自動自社の正規情報(正規価格、正規販売者、公式画像)と突き合わせる
  6. 自動食い違う点を、理由とともに挙げる
  7. 自動公式画像との類似が疑われる画像を挙げる
  8. 自動出典のURLと取得日時を記録する
  9. 知財担当が、挙がった候補を見て確かめる
  10. 権利の種類と侵害の成否を判断する(必要に応じて弁理士・弁護士に相談する)
  11. 申立てを行うかを決める
  12. 自動申立ての下書きと、証拠の一覧を作る
  13. 自動申立て後の状態(削除されたか)を追跡する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当者が、自社ブランド名で通販サイトを検索する
  2. 検索結果を上から見る
  3. 自社または正規代理店の出品かを確かめる
  4. 商品画像が自社の撮影画像かを見比べる
  5. 価格が正規価格から大きく外れていないかを見る
  6. 疑わしければ、出品ページを保存する
  7. 知財担当に相談する
  8. 権利の種類(商標・意匠・著作権)を確認する
  9. モールの権利者向け窓口から申立てを行う
  10. 対応履歴をExcelに記録する

問題は5つあります。

(a)検索が終わらない。 ブランド名だけでも複数、型番は180あります。全部を毎週見ることは、2名では物理的にできません。

(b)表記を崩されると見つからない。 「◯◯ブランド風」「◯◯タイプ」のように書かれると、ブランド名の完全一致では当たりません。

(c)見つけ方が人によって違う。 どのキーワードで、どこまで見るかが決まっていません。引き継ぐと、見る範囲が変わります。

(d)前回何を見たかが分からない。 毎回ゼロから検索しています。「先週は問題なかった出品」と「新しく出た出品」を区別できません。

(e)お客様からの問い合わせで気づく。 発見が後手に回り、すでに被害が出てから動いています。

  1. 【自動】 毎週、商品マスタと監視条件から検索する語の一覧を作る
  2. 【自動】 決めた条件で検索し、出品ページのURLを集める
  3. 【自動】 前回の巡回結果と突き合わせ、新規に出たものと継続しているものを分ける
  4. 【自動】 出品ページの内容(出品者名、価格、商品説明、画像)を取得する
  5. 【自動】 自社の正規情報(正規価格、正規販売者、公式画像)と突き合わせる
  6. 【自動】 食い違う点を、理由とともに挙げる
  7. 【自動】 公式画像との類似が疑われる画像を挙げる
  8. 【自動】 出典のURLと取得日時を記録する
  9. 【人】 知財担当が、挙がった候補を見て確かめる
  10. 【人】 権利の種類と侵害の成否を判断する(必要に応じて弁理士・弁護士に相談する
  11. 【人】 申立てを行うかを決める
  12. 【自動】 申立ての下書きと、証拠の一覧を作る
  13. 【自動】 申立て後の状態(削除されたか)を追跡する

自動化されるのは「巡回」「突き合わせ」「記録」の3つです。残るのは「侵害かどうかを判断すること」と「申立てを決めること」です。

3番目が、この構成のいちばんの価値です。 「先週から続いている出品」と「今週新しく出た出品」を分けられれば、毎週見るべき件数が大きく減ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
商品マスタ(型番・ブランド名・登録商標)+ 監視条件
   │
   ▼
Power Automate(週次で起動)
   │
   ▼
Claude API + web search ツール(決めた条件で検索)
   │
   ▼
Claude API + web fetch ツール(見つかったURLの内容を取得)
   │
   ▼
Claude API(画像の比較・正規情報との突き合わせ)
   │
   ├──▶ 新規に出た疑わしい出品
   ├──▶ 継続している出品
   └──▶ 前回から消えた出品
   │
   ▼
巡回結果の一覧 ──【知財担当が確認】──【弁理士・弁護士へ相談】
   │
   ▼
申立ての決定 ── 申立て下書き+証拠一覧 ── 対応履歴(SharePoint リスト)
   │
   ▼
削除の確認(翌週の巡回で追跡)
役割想定する製品代替候補
生成AIClaude API(web search・web fetch ツールを有効にする)ChatGPT、Gemini
連携Power Automate(週次の起動と結果の保存)Make、n8n、Python
処理Claude API(画像の比較)Google Vertex AI、Azure AI
台帳SharePoint リストExcel、kintone
通知TeamsSlack、メール

検索と取得を分けている点に注意してください。 web search で候補のURLを見つけ、web fetch でそのページの内容を読みます。 web fetch は、会話の中に先に現れたURLしか取得できません。 検索結果に出たURLは取得できますが、AI自身が生成しただけのURLは取得できませんurl_not_in_prior_context のエラーになります)。この制約は、意図しないURLへのアクセスを防ぐ安全装置であり、この用途では検索→取得の順で自然に満たされます。

モールのページを自前のプログラムで機械的に収集しないでください。 多くの通販サイトは、利用規約で自動収集を制限しています。この構成は、検索エンジン経由で公開されているページを読む範囲にとどめています。 web fetch は robots.txt による制限を受けたURLを url_not_allowed として返します。この挙動を回避しようとしないでください。

ブランド保護の専門サービスと比べてください。 各モールと提携し、権利者向けに監視と申立てを一括で提供する製品があります。自前で組む価値があるのは、専門サービスの対象外のサイトを見る場合と、社内の商品マスタと結びつけた記録を残したい場合です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

週に1回の定期実行が起点です。

毎日回す必要はありません。出品は毎日増えますが、対応は週単位でも十分に間に合います。 むしろ、毎日回すと確認しきれない量の候補が溜まります。

半自動化では、次の2つを追加します。

  • 新商品の発売時: 発売直後は模倣品が出やすいため、その型番だけ頻度を上げる
  • 申立て後: 削除されたかを翌週に確認する

2つ目を必ず入れてください。 申立てをしたまま追跡していないと、削除されていない出品が残り続けます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
商品マスタ型番、商品名、ブランド名、正規価格、発売日基幹システム
登録している権利登録商標、登録意匠、登録番号、指定商品・区分知財(新しく作る
正規販売者の一覧自社アカウント、正規代理店のアカウント名営業(新しく作る
公式画像自社が撮影・作成した商品画像マーケティング
監視条件検索する語、崩し表記、見る範囲知財(新しく作る
前回の巡回結果前回見つけた出品URLと判定対応履歴
過去の申立て履歴申立てた出品、結果、日付対応履歴

「正規販売者の一覧」が、この構成でもっとも効く入力です。

自社と正規代理店のアカウント名が分かっていれば、それ以外の出品者はすべて確認の対象になります。この一覧がないと、正規代理店の出品を毎週「疑わしい」と挙げ続けることになります。

「監視条件」には、崩し表記を必ず入れてください。

種類
正式名称ブランド名そのもの
表記ゆれカタカナ/ローマ字/全角・半角
崩し表記「◯◯風」「◯◯タイプ」「◯◯互換」
型番型番そのもの、ハイフンの有無
組み合わせブランド名+「激安」「並行輸入」「訳あり」

この一覧を知財担当が作ります。AIに作らせないでください。 何を監視するかは、自社の権利範囲によって決まります。

Step3

データの取得方法を決める

候補の検索: Claude API の web search ツールを使います。監視条件の語ごとに検索するため、max_uses を条件の数に合わせて設定します。上限を超えると max_uses_exceeded が返ります。

{
  "type": "web_search_20250305",
  "name": "web_search",
  "max_uses": 20,
  "allowed_domains": ["example-mall.co.jp", "example-mall2.com"],
  "user_location": {
    "type": "approximate",
    "country": "JP",
    "timezone": "Asia/Tokyo"
  }
}

allowed_domains で対象のモールに絞ります。 全Webを対象にすると、まとめサイトや掲示板の記事が大量に混ざります。 なお allowed_domainsblocked_domains は同時に指定できません。両方を含めると400エラーになります。

出品ページの取得: web fetch ツールを使います。max_content_tokens を指定して、1ページあたりに読み込む量を制限してください。 商品ページは長く、レビューまで読み込むと消費が膨らみます。

{
  "type": "web_fetch_20250910",
  "name": "web_fetch",
  "max_uses": 40,
  "max_content_tokens": 8000,
  "citations": { "enabled": true }
}

web fetch は引用が既定で無効です。 web search とは違い、citations: {"enabled": true} を明示的に指定してください。 申立ての資料には、どの記載を根拠にしたかが必要です。

web fetch そのものに追加料金はありません。 取得した内容がコンテキストに入る分のトークン費用だけがかかります。平均的なWebページ(10kB)で約2,500トークンが目安です。

取得できるのはテキスト・HTML・PDFだけです。 これ以外は unsupported_content_type が返ります。また、JavaScriptで動的に描画されるページには対応していません。 主要なモールの商品ページがこれに当たる場合、その部分は人が見る運用にしてください。

公式画像との比較: 出品ページの画像URLと自社の公式画像を、同じリクエストに入れて比較させます。Claude の画像入力は、1リクエストあたり最大600枚(200kトークンのコンテキストウィンドウを持つモデルでは100枚)です。ただしリクエスト全体のサイズ上限が32MBあるため、枚数より先にこちらに当たります。

画像が20枚を超えると、1枚あたりの寸法の制限が厳しくなります。 すべてのプラットフォームで安全に収めるには、各画像のどちらの辺も2000pxを超えないようリサイズするか、画像とドキュメントのブロックを20個以下に抑えてください。 1リクエストあたりの画像上限は、直接APIを使う場合で1枚10MBです。

対応形式はJPEG・PNG・GIF・WebPです。 アニメーションには対応しておらず、最初のフレームだけが使われます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 監視条件の展開 … 崩し表記を含む検索語の一覧を生成します
  2. 前回結果との突き合わせ … 同じURLが前回もあったかを確認します
  3. 正規販売者の除外 … 自社・正規代理店の出品を候補から外します
  4. 公式画像の縮小 … 各辺が2000pxを超えないようにリサイズします
  5. 画像枚数の分割 … 1リクエストあたり20枚以下になるよう分けます
  6. 申立て済みURLの照合 … すでに申立てた出品を別枠にします

3番目を入れないと運用が続きません。 正規代理店の出品が毎週「疑わしい」として挙がると、確認する側がリストを見なくなります。

4番目と5番目は、費用と精度の両方に効きます。 Claude は画像を28×28ピクセルのブロック(視覚トークン)単位で見ます。画像のトークン数は ⌈幅 / 28⌉ × ⌈高さ / 28⌉ です。 大きすぎる画像はモデルの上限に合わせて縮小されますが、縮小されると細かい部分が読めなくなります。 ロゴの細部を見せたい場合は、あらかじめその部分を切り出して渡してください。

Step5

AIに処理させる

処理内容
巡回監視条件の語で検索し、出品URLを集める
差分の抽出前回の結果と比べ、新規・継続・消失に分ける
出品情報の取得出品者名、価格、商品説明を読み取る
正規情報との突き合わせ正規価格・正規販売者と食い違う点を挙げる
画像の比較公式画像と出品画像の一致・類似が疑われる点を挙げる
根拠の記録出典URL、取得日時、引用箇所を残す

AIに次のことをさせないでください。

させないこと理由
「模倣品である」という断定権利侵害の判断は知財担当と弁理士が行う
「権利侵害です」という判定同上。誤れば相手方から反論される
申立ての自動送信誤った申立ては相手方に損害を与える
出品者の身元の推定人物の特定はさせない
画像がAI生成かどうかの判定Claude は画像がAI生成かを判別できない
出品数・在庫数の正確な集計画像からの計数は概数にとどまる

「模倣品である」と断定させないことが、この構成で最も重要な制約です。 出力は「正規販売者の一覧にない出品者が、正規価格の35%の価格で出品している。商品説明にブランド名の記載がある。出典はこのURL」までにとどめてください。そこから先は人が判断します。

画像がAI生成かどうかの判定をさせないでください。 Claude のドキュメントには、画像がAI生成かどうかは判断できず、尋ねられても誤る可能性があるため、偽造・合成画像の検出に頼らないことが明記されています。

出品者の身元を推定させないでください。 Claude は画像に写った人物の名前を答えることができず、その要求を拒否します。 出品者アカウントの実在人物を特定する用途には使えませんし、使うべきでもありません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは、自社ブランド商品の出品を巡回して確認する担当者です。
出品ページの内容と自社の正規情報を突き合わせ、
食い違う点を出典とともに挙げてください。

【厳守事項】
- 「模倣品です」「偽物です」「権利侵害です」と書かないでください。
  食い違う点と、その根拠となる記載を示すだけにしてください。
- 申立てをすべきかどうかを判断しないでください。
- 出品者が誰であるかを推定しないでください。
  アカウント名を、そのまま account_name に入れてください。
- 画像がAI生成かどうかを判定しないでください。
- 挙げた点には、必ず出典のURLと引用箇所を付けてください。
  出典を付けられない点は、出力しないでください。
- 出品ページに書かれていない内容を補わないでください。
  記載がない項目は "記載なし" と入れてください。
- 公式画像との比較では、「同一である」と断定しないでください。
  一致していると見える箇所と、異なって見える箇所の
  両方を image_comparison に記述してください。
- 正規販売者の一覧にある出品者は、candidates に入れず
  authorized_sellers に分けてください。
- 前回の巡回結果にあるURLは、status を "continuing" にしてください。
  前回になかったものは "new" にしてください。

【自社の正規情報】
正規価格: {list_price}
正規販売者の一覧: {authorized_sellers}
登録している権利: {registered_rights}

【前回の巡回結果】
{previous_results}

【今回の出品ページ】
URL: {listing_url}
取得日時: {retrieved_at}
内容: {page_content}

「模倣品です と書かない」の1行が、この構成の安全装置です。 AIが「模倣品と判断されます」と書いた記録が社内に残り、それを根拠に申立てを行えば、正規の並行輸入品だった場合に、こちらが責任を負います。

「同一である と断定しない」も必ず入れてください。 画像の比較は、似ていることは示せても、同一であることの証明にはなりません。 一致する点と異なる点の両方を書かせてください。

Step7

出力形式を固定する

{
  "crawled_at": "",
  "search_conditions": [],
  "candidates": [
    {
      "listing_url": "",
      "status": "new | continuing",
      "account_name": "",
      "listed_price": 0,
      "price_ratio_to_list": 0.0,
      "title_text": "",
      "description_quote": "",
      "brand_mention": false,
      "model_number_mention": false,
      "image_comparison": {
        "matching_points": [],
        "differing_points": [],
        "official_image_id": ""
      },
      "discrepancies": [],
      "source_url": "",
      "retrieved_at": "",
      "already_reported": false
    }
  ],
  "authorized_sellers": [],
  "disappeared_since_last": [],
  "fetch_errors": [
    {
      "url": "",
      "error_code": ""
    }
  ]
}

statusnewcontinuing かで、確認する順番が決まります。 新規に出たものから見れば、早期に見つけるという目的に直結します。

price_ratio_to_list は、正規価格に対する比率です。 判定はしませんが、並べ替えの手がかりになります。 ただし価格が安いこと自体は侵害の根拠になりません。 正規の値引き販売、中古品、並行輸入品はいずれも安く出ます。

image_comparison に一致点と相違点の両方を持たせます。 一致点だけを記録すると、申立ての根拠として弱くなります。 相手方は「別の商品だ」と反論します。

fetch_errors を必ず残してください。 url_not_allowedrobots.txt やドメイン制限)、unsupported_content_typeurl_not_accessible のいずれかで取得できなかったURLは、「見た」ことになりません。 人が目視で確認する対象として残してください。

disappeared_since_last は、前回あって今回なくなった出品です。 申立てによって削除されたのか、出品者が自分で取り下げたのかは分かりません。記録として残すだけにしてください。

Step8

システムへ連携する

最小構成では連携はありません。担当者が生成AIに監視条件と正規情報を貼って作業します。

半自動化では、次をつなぎます。

つなぐ先内容
基幹システム(読み取り)商品マスタ、正規価格
SharePoint リスト(対応履歴)巡回結果、申立ての記録
Teams新規候補の通知
モールの管理画面人が操作する(自動化しない)

申立てを自動送信しないでください。 各モールは権利者向けの申立て窓口を用意していますが、誤った申立ては相手方の販売を不当に止めることになります。 申立ての送信は、知財担当が内容を確認して人が行ってください。

モールへの自動ログインや管理画面の自動操作も行わないでください。 利用規約で制限されていることが多く、アカウントが停止されると監視そのものができなくなります。

Step9

人が確認する

侵害の判断と申立ての決定は、必ず知財担当が行います。

確認する点誰が
1status: new の候補知財担当(出品ページを実際に開く)
2image_comparison の一致点・相違点知財担当(画像を目で見比べる)
3権利の種類(商標・意匠・著作権)の特定知財担当
4侵害の成否知財担当(必要に応じて弁理士・弁護士)
5fetch_errors(取得できなかったURL)知財担当(目視で確認する
6申立てを行うかの決定知財担当
7申立て後の削除の確認知財担当(翌週の巡回結果で)

1番目の「出品ページを実際に開く」を省かないでください。 取得した内容は、取得した時点のものです。 出品は編集されます。申立ての直前に、現在の状態を確認してください。

2番目は、人が目で見るしかありません。 画像の一致は、AIの説明だけでは判断できません。並べて見比べる画面を用意してください。

4番目で迷ったら、必ず外部に相談してください。 並行輸入品、中古品、正規品の転売は、いずれも権利侵害に当たらない場合があります。 判断を誤って申立てを行えば、相手方から損害賠償を請求されることがあります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
正規代理店の出品が候補に挙がる正規販売者の一覧を更新する。一覧の整備が前提
並行輸入品・中古品だった侵害とは限らない。 弁理士に相談する
JavaScriptで描画されるページweb fetch では取得できない。目視の対象にする
robots.txt で制限されているurl_not_allowed が返る。回避しない。目視の対象にする
取得した内容が古い(キャッシュ)申立ての直前に人が開いて現在の状態を確認する
出品者が名前を変えて再出品するURLが変われば new として挙がる。それでよい
削除されたはずの出品が残っている翌週の巡回で continuing になる。追跡する
検索回数が上限を超えるmax_uses_exceeded監視条件を分割して複数回に分ける
画像が20枚を超える各辺2000px以下にリサイズするか、20枚以下に分ける
画像が10MBを超える縮小してから渡す
アニメーションGIFの画像最初のフレームしか見られない
海外モールの出品国ごとに権利の登録が必要。 国内の商標では対応できない
自社の権利が登録されていない申立ての根拠がない。 先に出願を検討する
Step11

記録を残す

  • 巡回の実行日時と、使用した監視条件
  • 候補として挙がった出品のURL、取得日時、取得内容
  • 出品ページのスクリーンショットまたはPDF(申立ての証拠)
  • 画像の比較結果(一致点・相違点)
  • 知財担当の判断と、その理由
  • 申立ての内容、送信日、結果
  • 削除の確認日
  • fetch_errors に入ったURLと、目視確認の結果

出品ページの保存が、この構成でもっとも重要な記録です。 出品は削除されます。削除された後では、何があったかを示せません。 候補として挙がった時点で、スクリーンショットまたはPDFとして保存してください。

「判断と理由」を必ず残してください。 「申立てをしなかった」判断も記録に残してください。同じ出品が翌週も挙がったときに、同じ検討を繰り返さずに済みます。

監視条件の変更履歴を残してください。 「いつからこの語を監視し始めたか」が分からないと、見つからなかった期間の意味が変わります。

04実装レベルの3段階

最小構成:監視条件と正規情報を生成AIに貼り、候補を挙げさせる / 検索・突き合わせ
半自動化:週次で巡回し、候補の一覧を通知する / 上記+巡回・通知
本格構成:上記+前回結果との差分+画像の比較+申立て後の追跡 / 判断と申立て以外

本格構成にしないと効果が出にくい題材です。 前回結果との差分がないと、毎週同じ出品を確認し続けることになります。 この構成を★4としているのは、半自動化の段階では労力があまり減らないためです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2.4 分
現在  300件 × 8分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 300件 × 2.4分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
70%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,500円)
118万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社ブランドの商品を通販サイトで販売しており、商標登録または意匠登録を済ませている企業。模倣品または商品画像の無断転載が実際に確認されており、月に数十件以上の出品を目視で見回っていること。申立ての判断ができる知財担当または顧問弁理士がいること。
向いていない
  1. 商標・意匠の登録がなく、権利の根拠を示せない場合。模倣品の発見が年に数件で、目視で追えている場合。自社が権利者ではなく、販売代理店の立場である場合(権利者の委任が必要)。

07最小構成で試す方法

  1. 監視条件を20行書き出す(ブランド名、型番、崩し表記)
  2. 正規販売者の一覧を作る(自社アカウントと正規代理店)
  3. 1ブランドだけを対象に、生成AIに検索させて候補を挙げさせる
  4. 知財担当が、挙がった候補を実際に開いて確かめる

見るのは次の4点です。

見る点判断
正規代理店を除外できているかできていなければ、一覧を整備する
「模倣品です」と書いていないか書いていたら、プロンプトを強める。最重要
出典のURLが付いているか付いていなければ、記録として使えない
取得できなかったURLを残しているか残していなければ「見た」ことにならない

2のステップ(正規販売者の一覧)を先に作ってください。 これがないと、候補の大半が正規の出品になります。 そして、これはこの構成をやめても残る資産です。

あわせて、次の2つの数字を出してください。

  1. 1ブランドあたり、確認すべき出品が何件あるか
  2. そのうち、正規販売者以外の出品が何件あるか

6の数字が、この構成で扱う実際の量です。 想像より多いか少ないかを、先に確かめてください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが「模倣品です」と断定するプロンプトで禁止する。食い違う点の提示にとどめる。最重要
正規代理店の出品が毎週挙がる正規販売者の一覧を整備する。これがないと運用が止まる
崩し表記で見つからない監視条件に「◯◯風」「◯◯タイプ」を入れる
前回結果との差分がない差分を作る。ないと毎週同じ量を確認することになる
動的に描画されるページが読めないweb fetch は非対応。目視の対象として残す
robots.txt で制限されているurl_not_allowed が返る。回避しようとしない
画像が多すぎてリクエストが失敗する2000px以下にリサイズするか20枚以下に分ける
画像の細部が縮小で読めないロゴ部分を切り出して渡す
出品ページを保存していない削除されると証拠が残らない。候補の時点で保存する
申立てを自動送信するしない。誤った申立ては損害賠償の対象になりうる
並行輸入品を侵害と扱う侵害とは限らない。弁理士に相談する
海外モールを国内の権利で扱う国ごとに権利の登録が必要
申立て後の追跡をしていない翌週の巡回で削除を確認する

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 自社の商品情報、登録している権利、公開されている出品ページの内容。顧客の個人情報は扱いません。

  1. 相手方への影響 … 申立ては相手方の販売を止めます。誤った申立ては、損害賠償の対象になりえます。 判断を自動化しないでください
  2. 断定を出力させない … 「模倣品である」「権利侵害である」という記述を社内文書に残すことの意味を、顧問弁理士・弁護士と事前に整理してください
  3. 各サイトの利用規約 … 自動収集を制限しているサイトがあります。規約を確認し、検索エンジン経由で公開されている範囲にとどめてください
  4. robots.txt の尊重 … web fetch は制限されたURLを url_not_allowed として返します。この挙動を回避しようとしないでください
  5. 外部からの入力を扱うリスク … この構成は外部のWebページの内容をAIに読ませます。Anthropic は、信頼できない入力と機微なデータを同時に扱う環境での web fetch の利用について、データ持ち出しのリスクがあると警告しています。 対策として、allowed_domains で取得先を限定し、max_uses で回数を制限してください
  6. 社内の機密を同じ会話に入れない … 未発売商品の情報や原価は、この巡回の会話に入れないでください
  7. 人物の特定をさせない … Claude は画像の人物を特定せず、その要求を拒否します。出品者の身元調査に使わないでください
  8. AI生成画像の判別をさせない判別できないことが公式に明記されています。 画像の真贋判定に使わないでください
  9. 自動実行してよい範囲 … 巡回、突き合わせ、記録、通知までです。侵害の判断、申立ての決定と送信は、必ず人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、両方向にあります。 見落とせば、模倣品が売られ続けます。取り違えれば、正規の販売者の出品を不当に止めます。 後者は相手方との紛争になります。「候補を挙げるところまで」を構成の範囲と決めて、外に出さないでください。

10まず何から始めるか

1週目:正規販売者の一覧を作る

自社アカウントと正規代理店のアカウント名を、モールごとに書き出してください。 営業部門に聞けば分かります。これがないと、この構成は動きません。

2週目:登録している権利を整理する

  • 登録商標(登録番号、指定商品・区分)
  • 登録意匠(登録番号)
  • 著作権を主張する画像(自社で撮影・作成したもの)

権利が登録されていない商品については、申立ての根拠がありません。 この整理の過程で、出願を検討すべき商品が見つかることがあります。

3週目:監視条件を20行書く

ブランド名、型番、崩し表記を組み合わせます。現在、担当者が実際に検索している語を聞き取れば埋まります。

4週目:1ブランドで試す

生成AIに検索させ、候補を挙げさせます。「模倣品です」と書いていないか、正規代理店を除外できているか、出典が付いているかを必ず確かめてください。

2か月目:週次の巡回と差分を作る

前回結果との突き合わせを入れて、新規と継続を分けます。 ここまで作って、はじめて労力が減ります。

3か月目以降: 画像の比較と、申立て後の追跡を追加します。8分が何分になるかを実測し、あわせて「お客様からの問い合わせより先に見つけられた件数」を追ってください。 時間より、こちらの数字が本来の目的です。

あわせて、弁理士・弁護士への相談経路を決めてください。 判断に迷う案件は必ず出ます。相談先が決まっていないと、候補が挙がったまま止まります。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-18/最終更新:2026-09-18
確認した内容情報源確認日
Claude API の web search ツールで max_uses により検索回数を制限でき、超過時に max_uses_exceeded が返ること。allowed_domainsblocked_domains を同時に指定すると400エラーになること。引用が常に有効であること。料金が1,000検索あたり10ドルであることClaude Docs: Web search tool2026-09-18
web fetch ツールが、会話の中に先に現れたURLしか取得できず、そうでない場合に url_not_in_prior_context を返すこと。robots.txt やドメイン制限で取得できない場合に url_not_allowed を返すこと。取得できるのがテキスト・HTML・PDFのみで、それ以外は unsupported_content_type になること。JavaScriptで動的に描画されるサイトに対応していないこと。引用は既定で無効で citations: {"enabled": true} の指定が必要なこと。max_content_tokens で取得量を制限できること。追加料金がなくトークン費用のみであること。平均的なWebページ(10kB)が約2,500トークンであること。信頼できない入力と機微なデータを同時に扱う環境ではデータ持ち出しのリスクがあると警告されていることClaude Docs: Web fetch tool2026-09-18
Claude の画像入力が1リクエストあたり最大600枚(200kトークンのコンテキストウィンドウを持つモデルでは100枚)で、リクエスト全体のサイズ上限が32MBであること。画像が20枚を超えると1枚あたりの寸法制限が厳しくなり、各辺2000px以下へのリサイズまたは20ブロック以下への抑制が必要なこと。1画像あたりの上限が直接APIで10MBであること。対応形式がJPEG・PNG・GIF・WebPで、アニメーションは最初のフレームのみ使われること。視覚トークンが ⌈幅/28⌉ × ⌈高さ/28⌉ で計算されること。画像がAI生成かどうかを判別できないこと。画像内の人物を特定できず要求を拒否すること。物体の計数は概数にとどまることClaude Docs: Vision2026-09-18

模倣品・無断転載への対応は、商標権・意匠権・著作権・不正競争防止法のいずれに基づくかによって、取りうる手段と要件が異なります。 並行輸入品、中古品、正規品の転売は権利侵害に当たらない場合があります。侵害の成否の判断は、必ず知財部門と弁理士・弁護士が行ってください。 各通販サイトへの申立ての方法と要件は、サイトごとに定められています。権利者としての登録が必要な場合があります。 自動収集の可否についても、各サイトの利用規約を確認してください。誤った申立ては相手方の販売を不当に止めることになり、損害賠償の対象になりえます。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。従量課金は、自社の監視条件の数と対象サイト数から算出してください。

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