プロダクトライフサイクルで打ち手を選ぶ方法|今いる段階の見極め方

プロダクトライフサイクルで打ち手を選ぶ方法|今いる段階の見極め方

「去年と同じ売り方をしているのに、問い合わせだけが減っています」「広告費を増やしても、以前ほど反応が返ってきません」——BtoBの製品を担当していると、どこかで必ずぶつかる場面です。原因を社内で探すと、たいていは施策の出来不出来の話に落ち着きます。けれども売り方を変えていないのに数字だけが動いたのなら、変わったのは自社の側ではありません。本当は製品が置かれている市場の側が、次の段階に移っています。この記事では、段階を見極める4つの手がかりと、段階ごとに何を変えるのか、そして材料の並べ方をAIにどこまで任せてよいのかを、順に見ていきます。


カメ先生カメ先生

プロダクトライフサイクルはね、製品が古くなっていく話だと思われがちなんだけど、本当は『買い手の顔ぶれが入れ替わっていく話』なんだ。


カメ子カメ子

製品ではなく、買う側が変わるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。最初は物珍しさで手を出す会社が来て、次は評判を確かめてから動く会社が増えて、最後は値段で選ぶ相手しか残らない。買い手が変われば、効く言い方も変わるからね。


カメ子カメ子

では、売り方を変える合図は、製品ではなく買い手の側に出ているのでしょうか。


この記事のポイント
  • 段階は水準ではなく伸び幅に出る。数字が高いままでも、伸び幅が縮んでいれば次の段階に入っている
  • 問い合わせの中身・競合の顔ぶれ・値引きの起き方を重ねると、伸び幅だけでは足りない裏づけが取れる
  • AIに任せてよいのは材料を並べるところまで。段階の判定と打ち手の決定は人が行う

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

売り方を変えていないのに落ちるとき、動いているのは市場の側

施策を変えていないのに数字が落ちたとき、最初に疑われるのは担当者の腕か、広告の設定か、競合の値下げです。どれも原因になり得ますが、同じ打ち手を同じ強さで続けているのに反応だけが薄れるという形で現れたときは、買い手の構成が入れ替わっている可能性を先に見たほうが早く当たります。

BtoBでは、この入れ替わりがはっきり出ます。まだ誰も使っていない時期に手を挙げる会社は、うまくいかない可能性を承知のうえで先に試したい会社です。評判が固まってから動く会社は、失敗しないことを重く見ます。同じ製品でも、前者には「何ができるか」が刺さり、後者には「どこが使っているか」が刺さります。説明の中身を変えないまま相手だけが入れ替われば、反応は静かに落ちていきます。

段階が移ると、効く打ち手の順番も入れ替わります。値下げが効く段階と、値下げしても決まらない段階があります。機能を増やすことが効く段階と、増やすほど選ばれにくくなる段階があります。だから最初にやることは打ち手を探すことではなく、いま自社の製品がどこにいるのかを決めることです。

手がかり1:水準ではなく伸び幅を見る

段階を測るとき、多くの人は数字の水準を見ます。けれども水準は遅れて動きます。先に動くのは伸び幅です。総務省の令和7年通信利用動向調査(2026年5月29日公表、調査時点は令和7年8月末)の世帯の保有割合を借りると、この違いが分かりやすく出ます。

スマートフォンを保有する世帯の割合は、平成28年の71.8パーセントから令和7年の91.8パーセントまで上がりました。水準だけを見れば過去10年で最高です。ところが1年あたりの伸び幅を並べると、平成30年から令和元年にかけての4.2ポイントを頂点に、令和4年は1.5ポイント、令和5年は0.5ポイント、令和6年はわずかに下がり、令和7年は1.3ポイントでした。水準が最高を更新しているのに、伸びる力はとうに落ちているという状態です。

下がり始めた側も同じ読み方ができます。同じ調査で、テレビを保有する世帯の割合は令和7年に90.1パーセントで、報告書は令和2年から減少が続いていると記しています。この年、はじめてスマートフォンを下回りました。固定電話は平成28年の72.2パーセントから令和7年の53.6パーセントへ、パソコンは73.0パーセントから64.4パーセントへ下がっています。一方でタブレット型端末は34.4パーセントから36.9パーセントで、10年かけて行ったり来たりしています。水準・伸び幅・伸び幅の変化の3つを並べて、はじめて段階の話ができます。

手がかり2:問い合わせの中身が変わる

数字より早く動くのが、問い合わせの中身です。件数は季節や広告の出稿量で揺れますが、聞かれる内容は買い手の顔ぶれをそのまま映します。同じフォームから来ていても、質問の主語が変われば段階が動いています

誰も使っていない時期に多いのは「これは何ができるのか」「うちの業界でも使えるのか」という質問です。広がり始めると「他社はどう使っているのか」「うちの環境で動くのか」に移ります。行き渡ったあとは「いま使っているものと何が違うのか」「乗り換えるとどれくらい手間がかかるのか」が増えます。そして「いつまで使えるのか」「後継の予定はあるのか」が出始めたら、買い手はすでに次を探し始めています

この手がかりを使うには、記録の取り方を変える必要があります。問い合わせ件数を月次で数えるだけでは中身は残りません。フォームの自由記述と、商談の一次記録を四半期ごとに読み返し、質問の型がどこに寄っているかを数えます。手作業に見えますが、四半期に一度、直近の数十件を読むだけで傾向は出ます。件数の増減より、この読み返しのほうが早く合図を拾えます

手がかり3:競合の数と顔ぶれが変わる

3つ目は、比較検討の場に誰が出てくるかです。誰も使っていない時期は、そもそも比べる相手がいません。この時期の実質的な競合は他社ではなく、「導入しない」という選択です。見積もりが通らない理由が「他社にした」ではなく「今回は見送る」なら、まだこの段階にいます。

広がり始めると、新しい名前が急に増えます。同じ市場に新規参入が集まり、商談のたびに知らない社名が出てくるようになります。行き渡ったあとは逆に数が減り、残った相手の機能が互いに似てきます。比較表を作ると差がつかなくなり、価格と保守の話に落ちていきます。そして撤退や事業の統合の告知が出始めたら、市場全体が縮み始めた合図です。

測り方は簡単です。案件ごとに、比較検討に挙がった社名を記録するだけです。四半期ごとに顔ぶれを並べ、前の期から何社入れ替わったかを数えます。社名の数そのものより、入れ替わりの速さが段階を映します。入れ替わりが激しければ広がっている途中、固定していれば行き渡ったあと、減り続けていれば縮み始めた段階です。

手がかり4:値引きがどこから起きるか

4つ目は値引きです。ただし見るのは値引き率ではありません誰が値引きを言い出したかを記録します。同じ1割の値引きでも、自社から持ちかけたのか、買い手から求められたのかで、意味が正反対になります。

誰も使っていない時期の値引きは、自社から持ちかけるものです。実績が欲しいから条件を下げる。この値引きは投資であって、追い込まれた結果ではありません。広がっている時期は、そもそも値引きが起きにくくなります。需要のほうが供給より速く伸びるため、下げなくても決まるからです。

行き渡ったあとは、値引きの出どころが買い手側に移ります。他社の見積もりを持ってきて「これと同じにしてほしい」と言われる形です。この段階に入ったら、値下げで応じても翌年また同じ話になります。そして縮み始めた市場では、値引きしても決まらなくなります。価格が理由ではなく、その用途自体を続けるかどうかが問われているからです。値引きの効き目が落ちたことは、段階が動いた強い合図になります

4つの手がかりを1枚に並べて突き合わせる

4つの手がかりは、単独ではどれも当てになりません。伸び幅は季節で揺れ、問い合わせの中身は広告の出稿先で変わり、競合の顔ぶれは1件の大型案件で見え方が変わり、値引きは担当者の癖に左右されます。だから4つを同じ紙に並べ、3つ以上が同じ段階を指すまで判定しないという決め方をします。

段階伸び幅問い合わせの中身競合の顔ぶれ値引きの起き方
まだ知られていない小さいが増えている何ができるのか比べる相手がいない自社から持ちかける
広がっている大きく、さらに拡大他社の使い方・自社の環境新しい名前が増えるほとんど出ない
行き渡った縮み始めている今との違い・乗り換えの手間顔ぶれが固定し似てくる買い手から求められる
縮み始めた減っているいつまで使えるか撤退や統合が出る下げても決まらない

この表を四半期ごとに埋めて残していくと、段階の移り変わりが記録として見えるようになります。1回埋めただけでは、それが移り変わりなのか一時の揺れなのか分かりません。3期分ためて、はじめて線が引けます。判定を急がず、埋め続けることのほうが効きます。

埋める人も先に決めておきます。伸び幅は数字を持っている部署、問い合わせの中身は受け付けている部署、競合の顔ぶれと値引きの出どころは商談に出ている人しか書けません。1人で全部を埋めようとすると、3列は事実で1列は推測という表になります。推測の列が混じったまま判定すると、次の四半期に前提から作り直すことになります。

4つの手がかりが食い違ったときの見方

実際に埋めてみると、4つがきれいにそろわないことのほうが多くなります。そのときに使う優先順位を、先に決めておきます。原則は買い手の行動が直接映るものを重く見ることです。問い合わせの中身と値引きの出どころは、買い手が実際に取った行動そのものです。伸び幅と競合の顔ぶれは、他社の動きや自社の出稿量が混じります。

とくに伸び幅は、上限に近づくと使えなくなります。先の調査で、モバイル端末全体を保有する世帯の割合は平成28年の94.7パーセントから令和7年の97.1パーセントまで、10年で2.4ポイントしか動いていません。これは勢いが落ちたのではなく、残りが少なくなって伸びる余地そのものが消えた状態です。天井に届いた市場では、伸び幅の小ささを衰退の証拠として読んではいけません。

食い違ったときの手順は3つです。まず判定の単位が広すぎないかを疑い、業種や用途で割り直します。次に、割り直しても食い違うなら判定を保留し、次の四半期の材料を待ちます。最後に、2期続けて食い違うなら、それは移り変わりの途中である可能性が高いと考えます。移り変わりの時期は、古い段階の合図と新しい段階の合図が同時に出ます。無理に1つの名前を付けず、両方の段階の打ち手を小さく並走させるほうが損が小さくなります。

まだ知られていない段階に変えること

この段階でやることは、機能を増やすことではありません。買える形を作ることです。価格をいくらにするか、契約の期間をどう区切るか、導入にどれだけの日数がかかるか、最小の構成はどこまで削れるか。これらが決まっていないと、興味を持った相手が社内を通せません。

説明の相手も変えます。この段階で最初に動くのは、現場で困っている人ではなく、新しいものを試す裁量を持っている人です。だから資料の中身は、使い方の細部より、何のための投資で、失敗したときにどこまでで止められるかに寄せます。止め方が書いてある提案のほうが通りやすいのは、この段階に限った話ではありませんが、ここではとくに効きます。

やってはいけないのは、反応が薄いことを理由に機能を足し続けることです。この段階の反応の薄さは、機能が足りないからではなく、買い方が分からないから起きていることが大半です。足すべきは機能ではなく、導入の手順と、社内を通すための材料です

最初に取る顧客の選び方にも基準を置きます。早く決まる相手ではなく、あとで名前と使い方を出させてもらえる相手を優先します。この段階の1件は売上としては小さくても、次の段階で事例として何度も使う資産になるからです。契約の前に、公開の可否と公開できる範囲を条件として詰めておくと、半年後に「事例に出せる顧客が1社もない」という状態を避けられます。

広がっている段階に変えること

需要が伸び始めたら、打ち手を「取りに行く」から「取りこぼさない」へ組み替えますこの段階でいちばん失うのは、来ているのに拾えなかった案件です。問い合わせから初回接触までの時間、見積もりが出るまでの日数、導入後に使い始められるまでの日数。この3つを短くするほうが、新しい広告を増やすより効きます。

事例の出し方も変わります。何社が使っているかという数より、どの業種の、どの場面で使われているかが効きます。この段階の買い手は、自分と似た会社の話を探しているからです。業種と規模と使い方の3つが書かれた事例が1本あれば、同じ業種の商談で繰り返し使えます。

人を増やす順番にも決まりがあります。作る人より先に、渡す人と支える人を増やします。需要が伸びている時期に導入の支援が追いつかないと、使われないまま契約だけ残る顧客が積み上がり、行き渡ったあとの解約としてまとめて表面化します。そしてこの段階では値下げをしません。ここで下げた価格は、後から戻せなくなります。

行き渡った段階に変えること

行き渡った市場では、同じ土俵で戦うほど利益が薄くなります。打ち手は奪い合いから離れる方向へ切り替えます。具体的には3つの方向があります。用途を割る、対象を絞る、組み合わせを変える。どれも「比較表に載る土俵をずらす」ための動きです。

用途を割るとは、これまで1つの製品として売っていたものを、使われ方ごとに別の売り方に分けることです。同じ機能でも、日々の運用に使う相手と、年に数回の監査に使う相手では、求める条件も払える金額も違います。対象を絞るとは、勝てる業種や規模に資源を寄せることです。全方位に出し続けると、成約率の低い商談に人が取られます。

この段階で伸びるのは、新規の獲得より既存顧客の使い方の深掘りです。新規を1件取る費用が上がり続けるのに対し、すでに使っている顧客が使う範囲を広げる費用は上がりません。どの顧客がどの機能を使っていないかを一覧にし、使われていない機能の説明を届ける。地味ですが、この段階では最も確度が高い打ち手です。

縮み始めた段階に変えること

縮み始めた市場では、畳み方そのものが打ち手になります。何もしないまま売上が細っていくのと、終了の時期を決めて移行先を用意するのとでは、同じ縮小でも残るものが違います。前者は顧客も人も失いますが、後者は顧客を次の製品に引き継げます。

決めることは3つです。いつまで売るか、いつまで保守するか、どこへ移ってもらうか。この3つを社内で決めてから顧客に伝えると、問い合わせが「いつまで使えるのか」から「では次は何にするか」へ移ります。逆に、決めないまま「当面は続けます」と答え続けると、顧客は自分で次を探し始め、そのときに自社の製品は候補に入りません。

残る顧客の見分け方も要ります。縮む市場でも、その用途を続けざるを得ない顧客は残ります。残る顧客が十分にいて、支える体制を小さく保てるなら、縮小しながら続けるという選択もあります。判断の基準は、売上の大きさではなく、その売上を維持するために必要な人数です。撤退の基準は、数字が落ちてから作るのではなく、落ち始める前に書いておきます

段階を読み違えると何が起きるか

段階の判定を外すと、打ち手の方向がまるごと逆になります。そして厄介なことに、外した判定のほうが短期的には自然に見えます。落ちている数字を上げようとして広告費を増やすのは、誰も止めない打ち手だからです。

よくあるのは4つの型です。行き渡った市場を広がっている市場と読み違えると、広告費を増やしても獲得単価だけが上がります。広がっている市場を行き渡ったと読み違えると、早すぎる値下げで利益が消えます。縮み始めた市場を行き渡ったと読み違えると、改良を続けて開発費が沈みます。まだ知られていない市場を縮み始めたと読み違えると、反応が薄いだけの段階で製品を畳んでしまいます。

4つの型に共通する原因は同じです。1つの指標だけを見ていること。売上だけ、問い合わせ件数だけ、成約率だけを見ていると、どの型にも入りやすくなります。4つの手がかりを並べる意味は、ここにあります。

  • 売上の水準だけを見て、伸び幅の変化を見ていない
  • 問い合わせ件数は数えているが、質問の中身を読み返していない
  • 競合の社名を案件ごとに記録していないため、顔ぶれの入れ替わりが分からない
  • 値引き率だけを集計し、誰が言い出したかを残していない
  • 製品全体で1つの段階を決めてしまい、業種ごとの差を潰している
  • 1期分の数字だけで段階を確定し、翌期に打ち手を戻している

段階は製品ではなく、市場と用途の単位で動く

見落とされやすいのが判定の単位です。「この製品は成熟している」という言い方には、隠れた前提があります。どの市場の、どの用途での話なのかという前提です。同じ製品でも、ある業種ではまだ誰も使っておらず、別の業種ではすでに行き渡っているという状態は普通に起きます。

先の通信利用動向調査でも、同じ傾向が見えます。企業側では、テレワークを導入している企業の割合が50.1パーセントで前年より増え、クラウドサービスを利用する企業は8割を超えて増加傾向が続いています。世帯側でテレビや固定電話が下がり続けているのと同じ時期に、企業側では別の何かが伸びています。市場が違えば、同じ暦の上でも段階は別々に進みます

だから判定の単位は、製品ではなく「製品と業種と用途の組み合わせ」で置きます。組み合わせごとに4つの手がかりを埋めると、全社では成熟に見えていた製品の中に、まだ広がっていない組み合わせが残っていることが分かります。資源を寄せる先は、たいていそこにあります。

あわせて、新しく入れる需要と、古いものからの置き換えの需要は分けて数えます。受注の記録に「今回が初めての導入か、他社製品からの入れ替えか」の1項目を足すだけで分かれます。初めての導入が多いなら、その市場はまだ広がっている途中です。入れ替えばかりになっていれば、市場全体の大きさはもう増えておらず、誰かの分を取っているだけの状態です。同じ受注件数でも、この内訳が入れ替われば打ち手は変わります。前者なら知ってもらう投資が効き、後者なら乗り換えの手間を下げる投資が効きます。

判定に使う材料をAIにどう渡すか

4つの手がかりを集める作業は、量が多いわりに単純です。ここは生成AIが役に立つ場所です。ただし渡し方を間違えると、材料の整理ではなく結論の代筆になります。任せる範囲を先に切っておきます。

STEP1
判定の単位を先に決める

どの製品の、どの業種の、どの用途の話かを1行で書きます。単位が決まっていない状態で材料を渡すと、混ざったまま要約されます。

STEP2
加工前の材料をそのまま集める

四半期ごとの実数、問い合わせの自由記述、案件ごとの競合社名、値引きの提案者と金額を、集計せずに集めます。

STEP3
並べ替えと要約だけを頼む

「四半期ごとに質問の型を分類して件数を出す」のように、作業の内容を指定します。段階の名前を出させる指示は入れません。

STEP4
出てきた並びを人が読み、仮に置く

4つの手がかりのうち、いくつが同じ方向を指しているかを人が数え、段階を仮置きします。

STEP5
反証を1つ探してから確定する

仮置きした段階と矛盾する材料を、意識して1つ探します。見つからなければ確定、見つかれば単位を割り直します。

渡すときは、期間の区切り・数える単位・欠けている月の扱いを明記します。前年比だけを渡すのは避けます。前年の値が特殊だった場合、比率だけでは判断がつかないからです。実数と比率の両方を渡し、どちらを根拠にしたかを書かせるようにします。

段階の判定をAIに任せてはいけない理由

材料を並べさせるところまでは任せてよく、段階の判定は任せない。この線を引く理由は、AIの性能ではなく、判定という作業の性質にあります。段階の名前は観測した値ではなく、材料から導いた結論です。結論を出させれば、そこに至る前提もまとめて引き受けることになります。

生成AIは、与えられた材料の範囲で最もそれらしい答えを返します。材料が偏っていても、返ってくる文章の調子は変わりません。「行き渡った段階にあると考えられます」という一文は、十分な材料から出ても、3か月分の数字1本から出ても、同じ確からしさに見えます。読む側がその差を判別できないところに危うさがあります。

使い方は3つに絞ります。第一に、根拠を書かせること。どの材料のどの部分から言えるのかを、答えと一緒に出させます。第二に、反対の解釈も出させること。同じ材料から別の段階を主張するとしたら、どの数字を使うかを書かせます。第三に、人が確認する範囲を先に決めておくこと。どの数字を、誰が、いつ見るのかを決めてから作業を始めます。決めずに始めると、確認は「気づいた人がやる」ものになり、やがて誰もやらなくなります。

  • 段階の名前をAIに言わせない。分類・集計・並べ替えまでを頼む
  • 答えには必ず根拠の材料を併記させ、書けないものは採用しない
  • 同じ材料から別の解釈が立つかを、毎回1つ書かせる
  • 確認する人と時期を先に決め、判定の記録を四半期ごとに残す

よくある質問

段階はどのくらいの間隔で見直せばよいですか

四半期ごとが扱いやすい間隔です。月次では季節の揺れを拾いすぎ、年次では気づくのが遅くなります。四半期ごとに4つの手がかりを埋め、3期そろったところで線を引きます。ただし、比較検討に出てくる社名が急に入れ替わったときや、値引きの言い出しっぺが自社から買い手に変わったときは、期の途中でも埋め直す価値があります。

新製品なのに問い合わせが伸びません。まだ知られていない段階なのか、そもそも需要がないのか、どう見分けますか

問い合わせの中身で見分けます。「何ができるのか」という質問が来ていて、そこから先に進まないなら、買い方が分からないだけの可能性が高く、価格や契約条件、導入の手順を整えると動き出します。一方、問い合わせ自体がほとんど来ず、来ても用途が自社の想定と噛み合っていないなら、その業種にその用途の需要がない可能性を疑います。業種を1つ変えて同じ材料を集め直すのが、いちばん早い確かめ方です。

段階ごとの標準的な期間はありますか

ありません。市場ごとに速さが違います。同じ10年でも、世帯のスマートフォン保有割合が71.8パーセントから91.8パーセントまで動いた一方で、タブレット型端末は34.4パーセントから36.9パーセントの範囲で行き来していました。期間で段階を当てようとせず、自社の材料から手がかりを積むほうが確実です。

段階が変わったと分かったら、打ち手はいつ切り替えますか

すべてを一度に切り替えないことが要点です。3期分の材料で段階が動いたと判断できたら、まずは新しい段階の打ち手を1つだけ足し、古い段階の打ち手はそのまま続けます。そのうえで次の四半期に、両方の結果を並べて比べます。移り変わりの時期は古い打ち手がまだ効いていることがあり、先に止めてしまうと、切り替えたことが原因なのか段階が理由なのか分からなくなります。止める順番は、効き目が落ちたものから1つずつです。

複数の製品をまとめて判定してもよいですか

同じ買い手が同じ用途で使っているなら、まとめて判定できます。違う業種や違う用途で売っているなら、分けます。まとめて判定すると、伸びている組み合わせと縮んでいる組み合わせが打ち消し合い、全体では横ばいに見えてしまいます。横ばいに見えている製品ほど、分解すると中で正反対のことが起きている場合が多いのです。

まとめ

同じ売り方を続けているのに数字が落ちるときは、製品ではなく買い手の顔ぶれが入れ替わっています。それを確かめる手がかりは4つあります。水準ではなく伸び幅の変化、問い合わせの質問の型、比較検討に出てくる社名の入れ替わり、そして値引きを誰が言い出したか。4つのうち3つ以上が同じ方向を指すまで判定を急がず、四半期ごとに埋めて3期ためてから線を引きます。判定の単位は製品ではなく、製品と業種と用途の組み合わせです。そして段階が決まったら、打ち手は足すのではなく入れ替えます。AIには材料の分類と集計を頼み、段階の名前と打ち手の決定は人が引き受ける。この線を最初に引いておくことが、読み違えを一番小さくします。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次