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量産の検査データから寸法ごとの工程能力指数を毎月出し、下がり始めた工程と寸法を判定して品質会議の資料を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

量産の検査データから、品番・工程・寸法ごとの工程能力指数を毎月計算します。下がり始めた寸法、社内の基準を下回った寸法、工程が安定していない寸法を規則で判定し、品質会議に出す資料にまとめます。

サマリー
連携・自動化
Python
対象業界
製造
対象部門
品質管理/生産
対象業務
内容確認・チェック/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/判断に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
判定
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
18h/月
想定削減
70%
年間削減
504h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 月初に、品質のデータベースから品番・寸法ごとに先月の測定値を書き出す
  2. 表計算のひな形に貼り、平均・標準偏差・Cp・Cpk を出す
  3. QC工程表の規格と照らし、規格の値が正しく入っているかを確かめる
  4. 先月までの Cpk と並べ、下がった寸法に印を付ける
  5. 印の付いた寸法について、管理図とヒストグラムを作る
  6. 品質会議のスライドに、表と図を貼り、コメントを書く
導入後(After)
  1. 自動毎月2日の早朝に、先月の測定値を品質のデータベースから品番・工程・寸法ごとに読む
  2. 自動QC工程表から規格の上限と下限を引き、規格の欠けや食い違いを確かめる
  3. 自動5個ずつの組の平均と範囲で管理図を作り、安定かどうかを規則で確かめる
  4. 自動測った数が足りているかを確かめ、Cp・Cpk と Cpk の信頼区間を出す
  5. 自動下がり始め・基準割れ・不安定・数の不足・問題なしを規則で判定する
  6. 自動判定の付いた寸法について、指数の推移と分布の図を付けた資料のスライドを作る
  7. 人品質保証の担当が判定の付いた寸法を確かめ、コメントを書き、会議に出すものを決める
  8. 人品質会議で、製造課と生産技術が対策を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 月初に、品質のデータベースから品番・寸法ごとに先月の測定値を書き出す
  2. 表計算のひな形に貼り、平均・標準偏差・Cp・Cpk を出す
  3. QC工程表の規格と照らし、規格の値が正しく入っているかを確かめる
  4. 先月までの Cpk と並べ、下がった寸法に印を付ける
  5. 印の付いた寸法について、管理図とヒストグラムを作る
  6. 品質会議のスライドに、表と図を貼り、コメントを書く

(a)360件を表計算で回す時間が足りない。 1件10分でも、月60時間です。月初の1週間に集中し、後半に回した品番ほど確認が粗くなります。

(b)計算の仕方が担当で違う。 標準偏差を全部の値から出す担当と、5個ずつの組の範囲から出す担当がいます。同じ寸法でも、担当が替わると Cpk が変わります。 下がったのか、計算が変わったのかが分かりません。

(c)安定していない月の数字を、そのまま並べる。 工具の交換の直後に寸法が跳ねた月も、その月の値で Cpk を出して並べています。数字が下がったことだけが会議に挙がり、工程が不安定だったことは見えません。

(c)と次の(d)は表裏の関係にあります。 条件を確かめずに数字だけを並べると、見るべき寸法と見なくてよい寸法の区別がつきません。

(d)少しの下がりで毎月騒ぐ。 測った数が少ない寸法は、何もしなくても Cpk が月ごとに上下します。その揺れを「下がった」と読むと、対策の要らない寸法に会議の時間を使い、本当に下がり始めた寸法が埋もれます。

  1. 【自動】 毎月2日の早朝に、先月の測定値を品質のデータベースから品番・工程・寸法ごとに読む
  2. 【自動】 QC工程表から規格の上限と下限を引き、規格の欠けや食い違いを確かめる
  3. 【自動】 5個ずつの組の平均と範囲で管理図を作り、安定かどうかを規則で確かめる
  4. 【自動】 測った数が足りているかを確かめ、Cp・Cpk と Cpk の信頼区間を出す
  5. 【自動】 下がり始め・基準割れ・不安定・数の不足・問題なしを規則で判定する
  6. 【自動】 判定の付いた寸法について、指数の推移と分布の図を付けた資料のスライドを作る
  7. 【人】 品質保証の担当が判定の付いた寸法を確かめ、コメントを書き、会議に出すものを決める
  8. 【人】 品質会議で、製造課と生産技術が対策を決める

3番目を4番目より前に置いているのが、この設計の分かれ目です。 安定していない寸法は、工程能力指数を出しても工程の実力を表しません。先に管理図の規則で確かめ、不安定なものは「不安定」と判定して、数字は参考として小さく載せます。

7番目で人が見るのは、判定の付いた寸法だけです。 360件の大半は「問題なし」で、一覧で件数を確かめて終わります。全件を開く設計にすると、60.0時間はあまり減りません。

02今回想定するシステム構成

構成図
品質のデータベース(測定値:品番・工程・寸法・時刻・組の番号・値)
QC工程表(寸法ごとの規格の上限・下限、社内の基準)
   ▼【トリガー】毎月2日 6:00(タスクの予定実行)
Python(pandas)
   ├──▶ 品番・工程・寸法ごとに先月の測定値をそろえる
   ├──▶ 管理図(組の平均と範囲)と安定の規則
   ├──▶ Cp・Cpk・信頼区間(測った数の確認つき)
   ├──▶ 過去12か月の指数と比べる
   ▼
判定(declining / below_target / unstable / insufficient_n / ok)
   ▼
python-pptx ── 品質会議の資料のスライド(表・推移・分布)
   ▼
【品質保証の担当が判定を確かめ、コメントを書く】
役割想定する製品代替候補
実行環境Python(pandas)R
集計Python(管理図、工程能力指数と信頼区間、判定の規則)統計の専用ソフト
データの取得元品質のデータベースの読み取り測定値の書き出し(CSV)
規格の取得元QC工程表(表)図面の管理の仕組み
資料の作成python-pptx(スライドの表と図)文書の書き出し(PDF)

計算と判定は、決まった式と規則だけで行います。 工程能力指数は、規格の幅と工程のばらつきを比べる数字で、式が決まっているものを AI に考えさせる理由はありません。 判定も、管理図の規則と信頼区間で機械的に決めます。

工程能力指数の式は、米国の国立標準技術研究所(NIST)の統計の手引きに沿います。 Cp は「(上限 − 下限)÷ 6σ」、Cpk は「(上限 − 平均)÷ 3σ」と「(平均 − 下限)÷ 3σ」の小さいほうです。手引きでは、これらの指数が値の分布を正規分布と見なしていること、安定した工程の出力を規格と比べるものであることが書かれています。

安定かどうかは、管理図の Western Electric の規則で見ます。 手引きには、3σを超える点が1つ、直近3点のうち2点が2σを超える、直近5点のうち4点が1σを超える、中心線の片側に8点続く、6点続けて上がる・下がるといった規則が並んでいます。ただし手引きは、これらの規則を足すと誤った警報が増えるとも書いています。3σの規則だけなら平均で371点に1回、規則を足すと約92点に1回です。この構成では、どの規則で引っかかったかを資料に書き、人が重みを判断します。

資料は python-pptx で作ります。 PowerPoint のファイルを作成・読み込み・更新できる Python のライブラリで、スライドの追加、表、棒・折れ線のグラフ、画像の挿入ができ、PowerPoint の本体が無い環境でも動きます。 品質会議で使っているスライドのひな形を読み込み、そこに表と図を入れます。

生成AIは使いません。 判定の理由は、どの規則に当たったかとその値で書けます。会議のコメントは、担当者が判定を確かめた後に書きます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月2日の6時に、工場のサーバーのタスクの予定実行で Python のスクリプトを起動します。 1日の夜勤の測定値までがデータベースに入るのを待ち、2日の朝に先月分をまとめて計算します。品質会議は第2週なので、2日の朝に判定が出ていれば、担当は会議までの数日を確認とコメントに使えます。

取引先への報告の品番は、別の予定で動かします。 報告の品番と期間の表を持ち、報告の月には、その品番だけ6か月分の測定値で計算した版を作ります。 毎月の判定とは期間が違うので、ファイルを分けます。

途中で測定値の訂正が入ったときは、同じ月を手で動かし直せるようにします。 動かし直しても、前の版の結果は残します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
測定値品番、工程、寸法、測定の時刻、組の番号(5個ずつ)、値、測定機、測定者品質のデータベース
規格品番・寸法ごとの上限・下限・狙いの値、片側規格かどうかQC工程表
社内の基準要注意と対策が要るの境目(1.33と1.00)、寸法の重要度品質保証課の表
過去の指数品番・工程・寸法ごとの過去12か月の Cp・Cpk・判定この構成の保存先
工程の変更の記録工具の交換、設備の修理、材料のロットの切り替え、条件の変更の日時製造課の変更の記録

質を決めるのは、組の番号と工程の変更の記録です。 組の番号が無いと、5個ずつの組の範囲から工程のばらつきを出せず、管理図も作れません。工程の変更の記録が無いと、不安定と出た理由を資料に添えられません。

片側規格かどうかを、規格の表で明示しておきます。 表面の粗さや振れのように上限しか無い寸法で、下限に0を入れてしまうと、両側の Cp が意味の無い数字で出ます。 片側規格の寸法は、上側だけの Cpu を使います。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
先月の測定値品質のデータベースの読み取り(品番・工程・寸法・月で絞る)管理図と指数
規格QC工程表の表指数の計算と規格の確認
過去の指数この構成の保存先下がり始めの判定
工程の変更の記録製造課の変更の記録の書き出し資料の添え書き

測定値は、測定の時刻の順に並べてから組に分けます。 データベースに組の番号が入っていても、測り直した値が後から同じ組の番号で入っていることがあります。 同じ組に6個以上の値があれば、測り直しの前の値を外すか、組ごと人に回すかを設定で決めておきます。どちらにしたかは、保存・ログの「外した値の数と理由」に残します。

データベースへは、読み取りの権限だけで入ります。 測定値の訂正は品質保証の担当が測定値の側で行い、この構成からは書き込みません。

規格は、QC工程表の最新の版を使います。 規格が月の途中で変わった寸法は、変わった日で月を2つに分けて計算し、資料に規格の変更があったことを書きます。 古い規格と新しい規格の測定値を1つにまとめると、指数が意味の無い数字になります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 品番・工程・寸法でそろえる … 先月の測定値を組み合わせごとに集め、組の番号で5個ずつに並べます
  2. 規格を確かめる … 規格の欠け、上限より下限が大きい、狙いの値が規格の外にある、といった表の誤りを見つけ、見つけた組み合わせは計算に進めず印を付けます
  3. 明らかな誤りを外す … 規格の幅の10倍以上外れた値(桁の打ち間違い、単位の違い)を外し、外した数を数えます。規格の外の値そのものは外しません
  4. 測った数を数える … 値の数が50に届かない組み合わせは insufficient_n にします
  5. 工程のばらつきを出す … 組の範囲の平均を管理図の係数で割り、工程の中のばらつきの σ を出します。全部の値の標準偏差も別に出します
  6. 分布の形を確かめる … 値の偏りが大きい寸法は、Box-Cox の変換をかけてから指数を出す版を別に作り、transformed の印を付けます
  7. 工程の変更を重ねる … 先月の工程の変更の記録を、時刻で管理図に重ねられるよう並べます

3番目で規格の外の値を外さないことが大事です。 規格の外の値を「異常値」として外すと、ばらつきが小さく見え、工程能力指数が高く出ます。 外すのは、物理的にありえない桁の誤りだけです。

5番目で2つの σ を出すのは、両者の差が工程の安定を表すためです。 組の中のばらつきと全体のばらつきが大きく違うときは、組と組の間で平均が動いている、つまり工程が時間とともにずれていることを示します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、寸法ごとに5つの判定のどれかを、決まった規則で付けることです。

判定規則判断できないときの扱い
unstable管理図で Western Electric の規則のどれかに当たった当たった規則と日時を書く。指数は参考扱い
insufficient_n値の数が50に届かない指数を出さない
below_targetCpk の点の値が社内の基準(1.33)を下回る1.00未満は action の印
decliningCpk の信頼区間の上限が、過去6か月の Cpk の中央値を下回る過去の指数が3か月に満たなければ判定しない
ok上のどれにも当たらない―

判定の優先は、上から順です。 不安定な寸法の指数は工程の実力を表さないので、unstable を最初に見ます。数の足りない寸法は、指数の揺れが大きすぎるので、基準割れも下がり始めも判定しません。

declining に信頼区間を使うのが、第3章の(d)への答えです。 NIST の手引きでは、Cpk の信頼区間の近似として「Ĉpk ± z × √(1 ÷ 9n + Ĉpk² ÷ 2(n − 1))」が示され、この近似は n が25以上で使えるとされています。 上限でさえ過去の中央値に届かないなら、揺れでは説明できない下がり方だと判断できます。

下がったときに、「中心のずれ」か「ばらつきの広がり」かを分けて書きます。 Cp が変わらず Cpk だけが下がったなら、ばらつきは同じで中心がずれた(工具の摩耗やオフセットのずれが多い)ということで、Cp も下がったならばらつきが広がった(治具・材料・設備のがたが多い)ということです。打ち手が違うので、資料の上で分けます。

させないこと理由
対策の決定製造課と生産技術が、現場を見て決める
出荷の可否の判断規格の外の個体は検査で扱う。指数で出荷を止めない
規格の変更の提案規格は図面と取引先との取り決め
取引先への報告の確定報告の内容は品質保証の責任者が決める
不安定な月の指数を工程の実力として扱う参考扱いにし、不安定と明記する
Step6

指示内容を固定する

この構成は生成AIを使わないので、プロンプトの代わりに、計算と判定の設定を書いておきます。

【計算の単位】
- 品番 × 工程 × 寸法 × 月(規格が月の途中で変わったら分ける)
- 組 = 1時間ごとに測る 5 個

【ばらつき】
- σ_within = 組の範囲の平均 ÷ d2
  (d2 は組の大きさだけで決まる係数。組の大きさ 5 の値を管理図の係数表から設定に固定する)
- σ_overall = 全部の値の標準偏差
- 指数は σ_within で出す。σ_overall の指数も並べて載せる

【指数】
- Cp  = (上限 − 下限)÷(6 × σ_within)
- Cpk = min((上限 − 平均)÷(3 × σ_within),(平均 − 下限)÷(3 × σ_within))
- 片側規格は Cpu または Cpl だけを出す
- Cpk の 95%の信頼区間 = Cpk ± 1.96 × √(1 ÷(9n)+ Cpk² ÷(2(n − 1)))
- 偏りの大きい寸法は Box-Cox で変換した版も出し、transformed の印

【安定の規則(組の平均の管理図、中心と σ は過去 6 か月の安定した期間から)】
- 3σ を超える点が 1 つ
- 直近 3 点のうち 2 点が同じ側の 2σ を超える
- 直近 5 点のうち 4 点が同じ側の 1σ を超える
- 中心線の同じ側に 8 点続く
- 6 点続けて上がる、または下がる

【判定(上から順に最初に当たったもの)】
- unstable → insufficient_n(n < 50)→ below_target(Cpk < 1.33)
  → declining(信頼区間の上限 < 過去 6 か月の Cpk の中央値)→ ok
- below_target のうち Cpk < 1.00 は action の印
- declining のうち Cp も下がったものは spread、Cp が変わらないものは shift の印

管理図の中心と σ を「過去6か月の安定した期間から」取るのが大事です。 その月の値で中心を引くと、月全体がずれていても、ずれた月の中では点が中心の周りに散らばり、規則に当たりません。 安定していたころの中心と比べてはじめて、ずれが見えます。

d2 を明記するのは、組の範囲から σ を出す係数が組の大きさで変わるからです。 NIST の手引きでは、正規分布のデータの範囲の平均が d2 × σ になり、d2 は組の大きさだけで決まるため、範囲の平均 ÷ d2 で σ を見積もれると説明されています。 組の大きさを変えたときに係数を替え忘れると、全部の寸法の指数が一斉にずれます。組の大きさが5でない月があれば、その組み合わせは印を付けて人に回します。

基準の1.33は、社内の取り決めの値です。 NIST の手引きでは、中心が規格の真ん中にあるとき、Cp が1.33なら規格の外に出るのは約64 ppm と示されています。どの値を基準にするかは、取引先の求めと自社の取り決めで決めます。

Step7

出力形式を固定する

寸法ごとに、次の形のJSONを作り、資料と保存に使います。

{
  "part_no": "",
  "process": "",
  "characteristic": "",
  "month": "",
  "spec": { "lsl": 0.0, "usl": 0.0, "one_sided": false },
  "n": 0,
  "mean": 0.0,
  "sigma_within": 0.0,
  "sigma_overall": 0.0,
  "cp": 0.0,
  "cpk": 0.0,
  "cpk_ci95": [0.0, 0.0],
  "verdict": "unstable | insufficient_n | below_target | declining | ok",
  "tags": ["action", "shift", "spread", "transformed"],
  "rules_hit": [ { "rule": "", "at": "" } ],
  "history_cpk_6m": [],
  "process_changes": [ { "at": "", "what": "" } ]
}

1つ目の理由は、verdict と tags を分けられることです。 判定は1つに決め、基準を大きく割った、中心がずれた、ばらつきが広がった、といった性質は tags で重ねます。 資料では判定ごとにまとめ、tags を見出しの横に添えます。

2つ目は、rules_hit と process_changes を並べられることです。 不安定と出た寸法について、どの規則にいつ当たったかと、その近くに工具の交換や材料の切り替えがあったかを、1枚のスライドで見せられます。

3つ目は、cpk_ci95 と history_cpk_6m で揺れの大きさを見せられることです。 点の値だけでなく区間を載せると、会議で「先月より0.1下がった」が揺れの範囲かどうかを、その場で見分けられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
品質のデータベース読み取り(品番・工程・寸法・月で絞る)測定値
QC工程表表の読み取り規格と片側規格の区分
製造課の変更の記録書き出しの読み取り工具の交換、修理、材料の切り替え
品質会議の資料python-pptx でひな形に書き出し判定ごとの一覧、寸法ごとのスライド
保存先表とファイル寸法ごとの JSON と指数の履歴

資料は、判定ごとにスライドを分けます。 最初のスライドに判定ごとの件数、次に action と declining、その後に unstable、最後に insufficient_n の一覧を置きます。寸法ごとのスライドには、過去12か月の Cpk の推移の折れ線と、先月の値の分布の棒グラフ、組の平均の管理図を入れます。

品質のデータベースにも QC工程表にも書き込みません。 規格の誤りを見つけても、この構成は直さず、印を付けて担当に返します。

Step9

人が確認する

人が見るのは、ok 以外の判定が付いた寸法だけです。 360件の全部を開く設計にすると、第10章の18.0時間には収まりません。

  1. action を先に見る … Cpk が1.00を下回った寸法です。規格の外の個体が出ていないかを検査の記録で確かめ、会議の前に製造課へ知らせます
  2. unstable を見る … 当たった規則と工程の変更の記録を並べ、工具の交換の直後だけの一時的なものか、続いているものかを確かめます
  3. declining の shift と spread を見る … 中心のずれか、ばらつきの広がりかを確かめ、コメントに書きます
  4. transformed の寸法は、変換前と変換後の両方を見る … 分布の偏りが測定の仕方から来ていないかを確かめます
  5. 会議に出す寸法を決め、コメントを書く … 判定を覆したときは理由を残します

2番目を省かないでください。 Western Electric の規則は、足すほど誤った警報が増えると手引きにも書かれています。3σを超えた点と、片側に8点続いた点では、重みが違います。 どれを会議で取り上げるかは、担当が規則の種類と工程の記録を見て決めます。

コメントは、決まった3つの欄で書きます。 「判定の理由(規則と値)」「工程の記録で分かったこと」「会議で決めたいこと」です。欄が決まっていれば、担当が替わってもコメントの粒度がそろい、翌月に前の月のコメントと並べて読めます。

目標は、360件をならして1件3分です。 判定の付いた寸法は1件あたり十数分、ok は件数を確かめるだけです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
規格の欠け・誤り計算に進めず印を付け、QC工程表の担当へ
規格が月の途中で変わった変わった日で分けて計算し、資料に書く
組の大きさが5でない印を付けて人へ。係数を替えて計算しない
値の数が50未満insufficient_n。指数を出さない
過去の指数が3か月に満たない(新しい品番)declining を判定しない
桁の誤りと思われる値規格の幅の10倍以上外れたものだけ外し、数を記録する
データベースに接続できない処理を止めて担当に知らせ、手で動かし直す
測定機が替わった替わった日を記録し、前後で σ が大きく違えば印を付ける

上から3行目までが大半を占めます。 どれも計算の問題ではなく、QC工程表と測定の手順の問題です。 直すほうが、判定の規則を工夫するより効きます。

最後の行は、測定機の違いを工程の変化と取り違えないためです。 測定機を替えた月に σ が変わったら、工程ではなく測り方が変わった可能性を先に確かめます。

Step11

記録を残す

  • 寸法ごとの JSON(指数、信頼区間、判定、当たった規則)
  • 計算に使った測定値の範囲(取り込んだ日時、外した値の数と理由)
  • 使った規格の版と、社内の基準の値
  • 人が判定を覆した記録と、会議で決まった対策
  • 作った資料のファイル
  • 計算の設定(係数、規則、基準)の版

4つ目が、翌月以降の判定を読む材料になります。 対策を打った寸法の指数が翌月どうなったかを並べると、どの対策が効いたかが品番を越えて分かります。

最後の行は、設定を変えたときに過去と比べられるようにするためです。 基準や規則を変えると判定の数が変わるので、どの版の設定で出した判定かを残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:10寸法を表計算で計算し、規則で拾えるかを確かめる / 構成が成り立つかの確認
半自動化:上記+Python で全寸法の指数と信頼区間を毎月計算し、一覧に書き出す / 指数の計算と一覧化
本格構成:上記+管理図の規則と判定、品質会議の資料のスライドまで作る / 判定と資料の下書きまで

最小構成では、360件はさばけません。 10寸法を手で計算するので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件10分が6分程度になります。 書き出しとひな形への貼り付けが無くなりますが、どの寸法を挙げるかの判断と、図を作って資料に貼る作業が残ります。本格構成で3分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、判定と図の作成が、判定の付いた寸法の確認に置き換わるからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を2か月見ると、規格の表の誤りと、組の番号の欠けている寸法が先に分かります。そこを直してから判定を入れるほうが、unstable の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
360 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  360件 × 10分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 360件 × 3分 ÷ 60 = 18 時間/月
月間削減時間
42h
削減率
70%
年間削減時間
504h
年間金額換算(時間単価4,000円)
202万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 切削・プレス・成形などの量産の工程で、寸法の測定値を測定機やデジタルの測定具から品質のデータベースに残している工場。品番・工程・寸法ごとの工程能力指数を品質保証の担当者が表計算で毎月出しており、数百の寸法を見比べる時間が足りない場合。取引先から工程能力の定期の報告を求められ、計算の仕方を担当者によらずそろえたい場合。
向いていない
  1. 測定値が紙の記録表にしか無く、データになっていない場合(まず読み取りか入力の仕組みが要ります)。量産の数が少なく、1か月の測定値が寸法ごとに数十に届かない場合。管理する寸法が十数か所で、担当者が全部の管理図を毎日見ている場合。なお、工程の変更、出荷の可否、取引先への報告の内容の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去1年で工程能力が問題になった寸法を5つ、問題にならなかった寸法を5つ選ぶ
  2. その10寸法について、過去12か月の測定値を書き出す
  3. 表計算で、組の範囲から σ を出し、月ごとの Cp・Cpk と信頼区間を計算する
  4. 組の平均の管理図を作り、3σと片側に8点続く規則に当たる月に印を付ける
  5. 問題になった寸法で、会議に挙がる前の月に declining や unstable が出ていたかを見る

10寸法は必ずやってください。 組み立てる前に、「決まった規則で、問題になる寸法を先に拾えるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
問題になった寸法で、1〜2か月前に判定が出ていたPython での計算と資料の作成に進む
問題にならなかった寸法にも毎月判定が出る規則か基準が厳しすぎる。設定を直せば構成は有効
組の番号が無く、範囲から σ を出せない測定の記録の仕方が先。 組の番号を付けてもらう

2行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、今の会議が揺れの範囲の下がりにも時間を使っていたと分かったということです。 規則を3σと片側に8点の2つだけに絞ると、挙がる数がどれだけ変わるかも同じ10寸法で見ておきます。 その場合は、信頼区間の判定に替えた場合に挙がる寸法の数を、担当者と見比べてください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
不安定な月の指数を実力として並べる先に管理図の規則で確かめ、不安定は参考扱い
揺れの範囲の下がりを毎月挙げる信頼区間の上限で判定する
担当で σ の出し方が違う組の範囲から出す σ に統一し、全体の σ は並べるだけ
規格の外の値を外して指数が高く出る外すのは桁の誤りだけ
片側規格で意味の無い Cp が出る規格の表で片側を明示し、Cpu か Cpl だけにする
管理図の中心をその月の値で引く過去6か月の安定した期間から引く
組の大きさが変わって指数が一斉にずれる係数を固定し、大きさが違う月は人へ
規格の途中の変更で指数がおかしくなる変わった日で分けて計算する
測定機の交換を工程の変化と取り違える測定機の交換を記録し、前後の σ を比べる
規則を足しすぎて警報が増えるどの規則に当たったかを書き、重みは人が決める
判定で出荷を止めようとする出荷の可否は検査で扱う。 指数で止めない

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、工程能力指数の数字を、条件を確かめずに読むことから起きます。安定と数の確認を先に置けば、会議に挙がる寸法は大きく変わります。

下の2行も、同じくらい早く効いてきます。 規則に当たった件数が多いと、資料は判定で埋まり、誰も読まなくなります。指数はあくまで工程の余裕を見る数字で、個体の合否は検査が受け持つことを、運用の決まりに書いておいてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 品番ごとの寸法の測定値、規格、工程の変更の記録、測定者の名前です。取引先の図面の寸法と規格は、取引先との契約で外に出せない情報です。

  1. 工場の中で動かす … 計算と資料の作成は工場のサーバーで行い、測定値と規格を外部のサービスへ送りません。 生成AIを使わない構成にしているのは、この理由もあります
  2. 測定者の評価に使わない … 測定値には測定者の名前が付いていますが、判定や資料に測定者を出しません。 測る人で値が変わる疑いがあるときは、測定の仕組みの評価として別に行います
  3. 出荷の判断を代替しない … 工程能力指数は工程の余裕を見る数字です。規格の外の個体の扱いと出荷の可否は、検査の手順と品質保証の責任者が決めます
  4. 取引先への報告は人が確定する … 報告の版は、品質保証の責任者が判定と工程の記録を確かめてから出します。この構成の資料をそのまま取引先に送りません
  5. 設定の変更を記録する … 基準・規則・係数を変えたときは、誰がいつ変えたかを残します。基準を緩めて判定を減らすことは、記録が残る形でしかできないようにします
  6. 測定値のデータベースは読み取りだけ … 訂正は測定値の側の手順で行い、計算の側から値を直しません

誤りが起きた場合のリスクは、下がり始めた工程を見落とすことと、揺れの範囲の下がりに会議の時間を使うことの2つです。 前者は管理図の規則と基準割れの判定を残すことで、後者は信頼区間の判定で減らします。どちらも最後は品質保証の担当が見る設計にしています。

10まず何から始めるか

1週目:規格の表を整える

QC工程表から、60品番・360寸法の規格の上限・下限・狙いの値を表にし、片側規格の区分と重要度の列を足します。規格の欠けや誤りがあれば、この時点で直します。

2週目:10寸法で試す

問題になった寸法と問題にならなかった寸法を5つずつ選び、過去12か月の指数と信頼区間、管理図の規則を表計算で出します。問題になる前の月に判定が出ていたかを見ます。

3週目:判定の設定を決める

社内の基準(1.33と1.00)、使う管理図の規則、declining に使う過去の期間を、品質保証課と製造課で決めます。 規則を足しすぎると誤った警報が増えるので、最初は少なめにします。

4週目:全寸法の計算をつなぐ

Python で品質のデータベースと規格の表を読み、全寸法の指数と信頼区間を出して一覧に書き出すところまで作ります。この時点では判定を出さず、一覧だけを会議の前に見ます。

2か月目: 管理図の規則と判定、python-pptx でのスライドの作成を足します。判定ごとの件数を毎月数えます。3か月目以降: 1件10分が何分になったかを実測し、判定を覆した記録から設定を見直します。会議で決めた対策の翌月の指数を並べて見られるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Cp=(上限−下限)÷6σ、Cpk=(上限−平均)÷3σ と(平均−下限)÷3σ の小さいほう、片側の Cpu・Cpl の式。安定した工程の出力を規格と比べるものであること。指数が正規分布を前提にすること。Cp 1.33 で約64 ppm(中心が規格の真ん中にある場合)。Cpk の信頼区間の近似と、その近似に n が25以上要ること。分布が正規でないときに Box-Cox の変換を勧めていることNIST/SEMATECH e-Handbook: Process Capability2026-10-14
Western Electric の規則(3σを超える1点、直近3点のうち2点が2σ超、直近5点のうち4点が1σ超、片側に8点、6点続けて上下など)。3σの規則だけでは平均371点に1回、規則を足すと約92点に1回の誤った警報になることNIST/SEMATECH e-Handbook: What are Variables Control Charts?2026-10-14
正規分布のデータでは組の範囲の平均が d2 × σ になり、d2 は組の大きさだけで決まる係数であること。範囲の平均 ÷ d2 で σ を見積もり、組の平均と範囲の管理図を作ることNIST/SEMATECH e-Handbook: Shewhart X-bar and R and S Control Charts2026-10-14
python-pptx が PowerPoint のファイルを作成・読み込み・更新できる Python のライブラリで、スライドの追加、表、棒・折れ線などのグラフ、画像の挿入ができ、PowerPoint の本体が無くても動くこと(1.0.0)python-pptx documentation2026-10-14

工程の変更、出荷の可否、取引先への報告の内容は、品質保証と製造の責任者の判断で決めてください。 本記事は公開されている手引きと製品のドキュメントで確認できた範囲だけを扱っています。社内の基準の値は自社と取引先の取り決めで決めてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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